IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社島津製作所の特許一覧

特開2023-183879搬送ロボット、搬送システムおよび判定方法
<>
  • 特開-搬送ロボット、搬送システムおよび判定方法 図1
  • 特開-搬送ロボット、搬送システムおよび判定方法 図2
  • 特開-搬送ロボット、搬送システムおよび判定方法 図3
  • 特開-搬送ロボット、搬送システムおよび判定方法 図4
  • 特開-搬送ロボット、搬送システムおよび判定方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183879
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】搬送ロボット、搬送システムおよび判定方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
B25J9/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097669
(22)【出願日】2022-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】赤丸 久光
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS02
3C707BS09
3C707JU09
3C707JU12
3C707LS15
3C707LT18
3C707LV09
3C707MS22
3C707NS02
(57)【要約】
【課題】 実目標位置の教示が困難な場合でも迅速に搬送動作を開始することを可能にする。
【解決手段】 搬送ロボット100は、被搬送物を保持する保持部11を有し、保持部11に保持された被搬送物を予め定められた可動範囲内で実目標位置(R1~Rk)に搬送する搬送部と、実目標位置(R1~Rk)に対して予め定められた相対的な位置関係を有する仮目標位置(P1~Pk)が設定された状態で教示された仮目標位置(P1~Pk)を示す位置情報を取得する取得部と、取得部により取得された仮目標位置(P1~Pk)の情報から相対的な位置関係に基づいて実目標位置(R1~Rk)を算出する算出部と、算出部により算出された実目標位置(R1~Rk)が保持部11の可動範囲内にあるか否かを判定する判定部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を保持する保持部を有し、前記保持部に保持された前記被搬送物を予め定められた可動範囲内で実目標位置に搬送する搬送部と、
前記実目標位置に対して予め定められた相対的な位置関係を有する仮目標位置が設定された状態で教示された前記仮目標位置を示す位置情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記仮目標位置の情報から前記相対的な位置関係に基づいて前記実目標位置を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にあるか否かを判定する判定部とを備えた、搬送ロボット。
【請求項2】
前記取得部は、前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にないと前記判定部により判定された場合に、前記搬送部の位置が変更された後に、前記実目標位置に対して前記相対的な位置関係を有する前記仮目標位置が設定された状態で教示された前記仮目標位置を示す位置情報を取得し、
前記算出部は、前記搬送部の位置の変更後に前記取得部により取得された前記仮目標位置の位置情報から前記相対的な位置関係に基づいて前記実目標位置を算出し、
前記判定部は、前記搬送部の位置の変更後に前記算出部により算出された前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にあるか否かを判定する、請求項1記載の搬送ロボット。
【請求項3】
前記取得部は、前記判定部により前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にないと判定された場合に、前記実目標位置が変更された後に、変更後の実目標位置に対して前記相対的な位置関係を有する新たな仮目標位置が設定された状態で教示された前記新たな仮目標位置を示す位置情報を取得し、
前記算出部は、前記取得部により取得された前記新たな仮目標位置の位置情報から、前記相対的な位置関係に基づいて前記変更後の実目標位置を算出し、
前記判定部は、前記算出部により算出された前記変更後の実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にあるか否かを判定する、請求項1または2記載の搬送ロボット。
【請求項4】
出発位置にある前記被搬送物を前記保持部が保持して前記実目標位置に搬送するように前記搬送部を制御する搬送制御部をさらに備え、
前記取得部は、前記出発位置を示す位置情報を取得し、
前記判定部は、前記取得部により取得された前記出発位置の位置情報および前記仮目標位置の位置情報に基づいて前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にあるか否かを判定する、請求項1または2記載の搬送ロボット。
【請求項5】
前記保持部が前記仮目標位置に移動された状態で前記搬送制御部が前記仮目標位置の位置情報を出力することにより前記仮目標位置の位置情報が教示される、請求項4記載の搬送ロボット。
【請求項6】
前記判定部により前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にないと判定された場合、前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にないことを通知する通知部をさらに備える、請求項1または2記載の搬送ロボット。
【請求項7】
前記判定部は、前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にないと判定した場合、前記実目標位置が前記可動範囲内にあるように前記搬送部の位置または前記実目標位置を変更すべき方向および距離の少なくとも一方を算出し、
前記搬送ロボットは、
前記判定部により算出された前記方向および前記距離の前記少なくとも一方を表示部に表示させる表示制御部をさらに備える、請求項1または2記載の搬送ロボット。
【請求項8】
請求項1または2記載の搬送ロボットと、
前記実目標位置に対して前記予め定められた相対的な位置関係を有する前記仮目標位置を設定するために用いられる設定治具とを備えた、搬送システム。
【請求項9】
前記設定治具は、
前記実目標位置に配置可能な第1部分と、
前記第1部分から離間する第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分とを連結する連結部とを含み、
前記第1部分が前記実目標位置に配置された状態で前記第2部分が存在する位置が前記仮目標位置に設定される、請求項8に記載の搬送システム。
【請求項10】
前記設定治具の前記第1部分は係合部を含み、
前記実目標位置には、前記係合部が係合可能な被係合部が設けられた、請求項9記載の搬送システム。
【請求項11】
搬送ロボットにより実目標位置に被搬送物を搬送することが可能であるか否かを判定する判定方法であって、
前記実目標位置に対して予め定められた相対的な位置関係を有する仮目標位置を設定するステップと、
前記仮目標位置を前記搬送ロボットに教示するステップと、
前記仮目標位置を示す位置情報を取得するステップと、
前記取得された前記仮目標位置の位置情報から前記相対的な位置関係に基づいて前記実目標位置の位置情報を算出するステップと、
前記算出された位置情報から前記実目標位置が保持部の可動範囲内にあるか否かを判定するステップとを含む、判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ロボット、搬送システムおよび判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の対象物を搬送するために搬送ロボットが用いられる(例えば、特許文献1参照)。一般的に、搬送ロボットを稼働させる場合においては、搬送ロボットに対して動作位置を教示する必要がある。特許文献1に記載された搬送装置によれば、干渉チェックモードのティーチング時において教示位置を設定することにより、ロボットの動作位置が検出される。そこで、検出されたロボットの動作位置がロボットの動作可能範囲内であるか否かが判断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3202731号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された搬送装置では、目標位置を目視で確認することが困難な場合等には、被搬送物と目標位置との位置関係を確認することが困難である。この場合、目標位置を搬送ロボットに教示することができない。この場合、目標位置が搬送ロボットの移動可能な範囲内にあるか否かを把握することができない。そのため、搬送ロボットの搬送動作が開始される前の教示動作に多大な時間が費やされる。
【0005】
本発明の目的は、実目標位置の教示が困難な場合でも迅速に搬送動作を開始することが可能な搬送ロボット、搬送システムおよび判定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に従う搬送ロボットは、被搬送物を保持する保持部を有し、前記保持部に保持された前記被搬送物を予め定められた可動範囲内で実目標位置に搬送する搬送部と、前記実目標位置に対して予め定められた相対的な位置関係を有する仮目標位置が設定された状態で教示された前記仮目標位置を示す位置情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記仮目標位置の情報から前記相対的な位置関係に基づいて前記実目標位置を算出する算出部と、前記算出部により算出された前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にあるか否かを判定する判定部とを備える。
【0007】
本発明の他の局面に従う搬送システムは、搬送ロボットと、前記実目標位置に対して前記予め定められた相対的な位置関係を有する仮目標位置を設定するために用いられる設定治具とを備える。
【0008】
本発明のさらに他の局面に従う判定方法は、搬送ロボットにより実目標位置に被搬送物を搬送することが可能であるか否かを判定する判定方法であって、前記実目標位置に対して予め定められた相対的な位置関係を有する仮目標位置を設定するステップと、前記仮目標位置を前記搬送ロボットに教示するステップと、前記仮目標位置を示す位置情報を取得するステップと、前記取得された前記仮目標位置の位置情報から前記相対的な位置関係に基づいて前記実目標位置の位置情報を算出するステップと、前記算出された位置情報から前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にあるか否かを判定するステップとを含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、実目標位置の教示が困難な場合でも迅速に搬送動作を開始することが可能な搬送ロボット、搬送システムおよび判定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施の形態に係る搬送ロボットの構成および動作を説明するための模式的平面図である。
図2】実目標位置から対応する仮目標位置を決定するための設定治具の一例を示す図である。
図3】制御装置の機能的な構成を示すためのブロック図である。
図4】制御装置のティーチング動作を示すフローチャートである。
図5】制御装置のティーチング動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態に係る搬送ロボット、搬送システムおよび判定方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(1)搬送ロボット
図1は、一実施の形態に係る搬送ロボットの構成および動作を説明するための模式的平面図である。図1には、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印を付している。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。
【0013】
搬送ロボット100は、搬送部10、本体部20、制御装置30、操作部40および表示部50を備える。搬送部10は、保持部11、可変部12およびアーム13,14を含む。保持部11は、被搬送物を保持可能な構成を有する。本実施の形態では、保持部11は、被搬送物を把持可能な構成(例えば、グリッパ)を有する。アーム13の一端は本体部20に接続され、他端は可変部12に接続される。アーム13は、一端を支点として本体部20に対してXY面、YZ面およびZX面における任意の方向に傾斜可能に構成される。アーム13は伸縮可能に構成されてもよい。アーム14の一端は可変部12に接続され、他端は保持部11に接続される。可変部12は、アーム13,14を接続するとともに、アーム13とアーム14との間の角度をXY面、YZ面およびZX面において変化させることが可能である。アーム14は伸縮可能に構成されてもよい。本体部20は、モータ(図示せず)等の駆動装置を含み、アーム14の傾斜角度を変化させる。また、可変部12は、モータ(図示せず)等の駆動装置を含み、アーム13とアーム14との間の角度を変化させる。本体部20および可変部12は、例えばエンコーダ(図示せず)を含む。この構成により、保持部11は、本体部20を基準として一定の可動範囲内で移動することができる。本実施の形態においては、使用者は、搬送ロボット100の本体部20を任意の位置に移動させることが可能である。それにより、保持部11の可動範囲を変更することができる。以下、本体部20の位置を配置位置PPと呼ぶ。
【0014】
制御装置30は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)および記憶装置等を含む。制御装置30は、搬送部10の各構成要素の動作を制御する。また、制御装置30は、本体部20および可変部12の例えばエンコーダの出力信号に基づいて保持部11の位置情報(以下、座標(X座標、Y座標およびZ座標)と呼ぶ。)を取得する。
【0015】
操作部40は、例えば、キーボード、ポインティングデバイスまたは専用のコンソールを含む。ポインティングデバイスとしては、マウスまたはジョイスティック等が用いられる。使用者は、操作部40を操作することにより、搬送ロボット100の搬送部10の保持部11を移動させることが可能である。表示部50は、例えばLCD(液晶ディスプレイ)パネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。表示部50には、後述する教示動作に関連する種々の画像が表示される。
【0016】
搬送ロボット100は、被搬送物を始点位置(出発位置)から一または複数の目標位置(到着位置)へ搬送するために用いられる。搬送ロボット100が被搬送物を始点位置から各目標位置へ搬送するためには、搬送ロボット100に始点位置を教示するとともに各目標位置を教示する必要がある。本実施の形態では、実際の各目標位置を教示するために、搬送ロボット100に対して予め仮の目標位置を教示する。以下の説明では、実際の目標位置を実目標位置と呼び、仮の目標位置を仮目標位置と呼ぶ。
【0017】
本実施の形態では、搬送ロボット100は、被搬送物を始点位置SPから複数の実目標位置R1,R2,…,RMへ搬送するために用いられる。Mは2以上の整数である。また、複数の実目標位置R1,R2,…,RMにそれぞれ対応する仮目標位置P1,P2,…,PMが設定される。以下、始点位置SP、仮目標位置P1,P2,…,PMおよび実目標位置R1,R2,…,RMを搬送ロボット100に教示する動作を教示(ティーチング)動作と呼ぶ。
【0018】
図1の例では、被搬送物はベルトコンベアVCにより矢印VAの方向に搬送されるバイアルVLである。始点位置SPは、ベルトコンベアVC上に設定される。搬送ロボット100の教示動作においては、まず、ベルトコンベアVC上の始点位置SPが制御装置30に記憶される。例えば、使用者は、搬送ロボット100の保持部11を操作部40の操作または手動で目視によりベルトコンベアVCの始点位置SPに移動させる。制御装置30は、この時点の保持部11の位置の3次元座標(X座標、Y座標およびZ座標)を記憶する。それにより、搬送ロボット100に対して始点位置SPが教示される。
【0019】
図1の例では、複数の実目標位置R1,R2,…,RMは、例えば、バイアルプレートVPに設けられたバイアルVLを収容可能な孔H1,H2,…,HMに設定される。本例では、バイアルプレートVP上の複数の実目標位置R1,R2,…,RMは、カバー等の障害物OBにより、使用者が目視できない。そのため、搬送ロボット100に対して実目標位置R1,R2,…,RMを教示することができない。そこで、使用者が目視可能な位置(本実施の形態では、XY面における障害物OB外)に実目標位置R1,R2,…,RMに対応する複数の仮目標位置P1,P2,…,PMをそれぞれ設定する。本実施の形態では、使用者は、各実目標位置から対応する仮目標位置を決定するための設定治具を用いる。
【0020】
図2は、実目標位置から対応する仮目標位置を決定するための設定治具の一例を示す図である。設定治具AJは、例えば、一本の金属棒により形成され、連結部A1、一端部A2および他端部A3を含む。連結部A1の両端は、直角に屈曲され、それぞれ屈曲された部分が一端部A2および他端部A3として形成される。一端部A2の先端には、係合部A4が形成される。本実施の形態においては、係合部A4は、バイアルプレートVPの孔H1,H2,…,HM(図1参照)と係合可能な形状に形成される。他端部A3の先端には、設定部A5が形成される。図2の例においては、設定部A5の形状は、係合部A4と同形状を有する。
【0021】
一端部A2および他端部A3の距離は、長さΔYに設定される。各実目標位置から仮目標位置を決定する際には、設定すべき仮目標位置の状態に応じて、それぞれ異なる長さΔYを有する複数の設定治具AJが用いられてもよい。なお、設定治具AJおよび図1の搬送ロボット100が搬送システムを構成する。
【0022】
本例では、使用者は、図2の設定治具AJを用いて、図1の実目標位置R1,R2,…,RMから仮目標位置P1,P2,…,PMを設定する。具体的には、使用者は、設定治具AJの一端部A2の係合部A4をバイアルプレートVPの各孔(H1,H2,…,HM)に嵌め込み、連結部A1をY方向と平行になるように配置するとともに、他端部A3の設定部A5位置を仮目標位置に設定する。それにより、仮目標位置P1,P2,…,PMは、実目標位置R1,R2,…,RMからY方向において長さΔY離間する位置にそれぞれ設定される。
【0023】
この状態で、使用者は、搬送ロボット100の保持部11を操作部40の操作または手動で目視により仮目標位置P1,P2,…,PMに順に移動させる。制御装置30は、仮目標位置P1,P2,…,PMに順に移動した保持部11の位置の3次元座標(X座標、Y座標およびZ座標)を記憶する。それにより、搬送ロボット100に対して複数の仮目標位置P1,P2,…,PMが教示される。
【0024】
また、制御装置30は、実目標位置R1,R2,…,RMと仮目標位置P1,P2,…,PMとの間の相対的な位置関係を記憶する。本例では、制御装置30には、実目標位置R1,R2,…,RMが仮目標位置P1,P2,…,PMからY方向に長さΔY離間していることを記憶する。例えば、使用者は、仮目標位置P1,P2,…,PMの設定に用いた設定治具AJの長さΔYに基づいて、制御装置30に実目標位置R1,R2,…,RMと仮目標位置P1,P2,…,PMとの間の相対的な位置関係を記憶させる。
【0025】
制御装置30は、教示された複数の仮目標位置P1,P2,…,PMと記憶された相対的な位置関係に基づいて、複数の仮目標位置P1,P2,…,PMにそれぞれ対応する複数の実目標位置R1,R2,…,RMを算出する。さらに、制御装置30は、算出した複数の実目標位置R1,R2,…,RMを記憶する。それにより、搬送ロボット100に対して複数の実目標位置R1,R2,…,RMが教示される。
【0026】
また、制御装置30は、算出された複数の実目標位置R1,R2,…,RMの各々が搬送ロボット100の保持部11の可動範囲内にあるか否かを判定する。このとき、複数の実目標位置R1,R2,…,RMのうちいずれかが保持部11の可動範囲外にある場合には、使用者は搬送ロボット100の本体部20またはバイアルプレートVPの位置を移動させる。その後、上記の教示動作が再度行われる。
【0027】
搬送ロボット100の保持部11が複数の実目標位置R1,R2,…,RMのすべてにバイアルVLを搬送可能である場合、搬送ロボット100は、通常動作を開始する。本実施の形態の通常動作においては、始点位置SPにバイアルVLがベルトコンベアVCにより搬送される。次に、搬送ロボット100の保持部11が教示された始点位置SPに移動し、始点位置SP上のバイアルVLを把持する。この状態で、保持部11が算出された実目標位置に移動するとともに、保持部11がバイアルVLの把持を解除する。それにより、実目標位置上に、バイアルVLを搬送することが可能になる。上記の動作を繰り返すことにより、複数のバイアルVLを複数の実目標位置R1,R2,…,RMに搬送することが可能になる。
【0028】
(2)制御装置30の機能的な構成および動作
図3は、制御装置30の機能的な構成を示すためのブロック図である。図4および図5は、制御装置30の教示動作を示すフローチャートである。制御装置30は、実目標位置数取得部31、教示位置取得部32、記憶部33、仮目標位置判定取得部34、実目標位置算出部35、可動判定部36、表示制御部37、変更情報取得部38および搬送制御部39を含む。制御装置30の各構成要素(31~39)は、ROMまたは記憶装置に記憶されるティーチング動作実行プログラム等のコンピュータプログラムをRAM上で実行することにより実現される。制御装置30の構成要素(31~39)の一部または全てが電子回路等のハードウェアにより構成されてもよい。本例においては、記憶部33には、本体部20を基準とする搬送部10の保持部11の可動範囲が予め記憶されている。制御装置30の各構成要素(31~39)の機能については、図4および図5に示される教示動作とともに説明する。
【0029】
制御装置30の教示動作においては、まず、実目標位置数取得部31は、使用者により操作部40を用いて入力された実目標位置の総数Mを取得する(図4のステップS1)。その後、搬送制御部39は、使用者による操作部40の操作に基づいて、搬送部10の保持部11を始点位置SPに移動させる。なお、使用者が保持部11を手動で始点位置SPに移動させてもよい。
【0030】
教示位置取得部32は、使用者による操作部40の操作より、始点位置SPの教示が指令されたか否かを判定する(ステップS2)。始点位置SPの教示が指令されていない場合、教示位置取得部32は待機する。始点位置SPの教示が指令された場合、教示位置取得部32は、搬送部10から保持部11の座標を取得することにより始点位置SPの座標を取得し、記憶部33に取得した始点位置SPの座標を記憶させる(ステップS3)。これにより、始点位置SPの教示動作が終了する。
【0031】
続いて、教示位置取得部32は、変数kに1を設定する(ステップS4)。ここで、仮目標位置Pkを設定するためには、使用者は、例えば、実目標位置Rkに図2の設定治具AJの一端部A2の係合部A4を嵌め合わせ、連結部A1をY方向に平行にする。それにより、設定治具AJの他端部A3の設定部A5の位置が仮目標位置Pkとして設定される。次いで、使用者は、操作部40により仮目標位置Pkを設定したことを通知する。仮目標位置判定取得部34は、使用者により仮目標位置Pkが設定されたか否かを判定する(ステップS5)。
【0032】
仮目標位置Pkが設定されていない場合、仮目標位置判定取得部34は待機する。仮目標位置Pkが設定された場合、使用者は、操作部40を用いて実目標位置Rkと仮目標位置Pkとの間の相対的な位置関係(図1の例では、長さΔY)を入力する。仮目標位置判定取得部34は、入力された実目標位置Rkと仮目標位置Pkとの間の相対的な位置関係を取得するとともに、記憶部33に取得した位置関係を記憶させる(ステップS6)。なお、予め定められた設定治具が用いられる場合には、記憶部33に実目標位置Rkと仮目標位置Pkとの間の相対的な位置関係が予め記憶されてもよい。
【0033】
その後、使用者による操作部40の操作により、搬送制御部39は、搬送部10の保持部11を仮目標位置Pkに移動させる。本例では、使用者が操作部40を操作することにより搬送部10の保持部11を設定治具AJの他端部A3の設定部A5に移動させる。なお、使用者が保持部11を手動で設定治具AJの他端部A3の設定部A5に移動させてもよい。
【0034】
教示位置取得部32は、使用者による操作部40の操作により、仮目標位置Pkの教示が指令されたか否かを判定する(ステップS7)。仮目標位置Pkの教示が指令されていない場合、教示位置取得部32は待機する。仮目標位置Pkの教示が指令された場合、教示位置取得部32は、移動後の保持部11の座標を取得することにより仮目標位置Pkの座標を取得し、取得した仮目標位置Pkの座標を記憶部33に記憶させる(ステップS8)。これにより、仮目標位置Pkの教示動作が終了する。
【0035】
ここで、実目標位置算出部35は、記憶部33に記憶された仮目標位置Pkの座標と相対的な位置関係とに基づいて実目標位置Rkの座標を算出する(ステップS9)。
【0036】
記憶部33には、予め保持部11の可動範囲を記憶されている。可動判定部36は、記憶部33に記憶された保持部11の可動範囲に基づいて、実目標位置Rkが保持部11の可動範囲内にあるか否かを判定する(ステップS10)。保持部11の可動範囲は、本体部20により異なる。例えば、教示動作の前に、制御装置30が保持部11を移動させることにより保持部11の可動範囲を検出し、検出した可動範囲を記憶部33に記憶させる。
【0037】
実目標位置Rkが保持部11の可動範囲内にない場合、表示制御部37は、実目標位置Rkが可動範囲外であることを使用者に通知する(ステップS11)。本例では、表示制御部37は、実目標位置Rkが可動範囲外であることを表示部50に表示させる。実目標位置Rkが可動範囲外であることが通知されると、使用者は、搬送ロボット100の本体部20またはバイアルプレートVPの位置を移動させる。以下、搬送ロボット100の本体部20またはバイアルプレートVPの位置を移動させたことを示す情報を変更情報と呼ぶ。また、使用者は、操作部40を用いて制御装置30に変更情報を送信する。変更情報取得部38は、送信された変更情報を取得する。
【0038】
変更情報取得部38は、変更情報に基づいて、バイアルプレートVPの位置が移動されることにより実目標位置Rkが移動したか否かを判定する(ステップS12)。実目標位置Rkが移動した場合、本体部20と始点位置SPとの位置関係に変更がないため、制御装置30の動作がステップS4に戻る。
【0039】
実目標位置Rkが移動していない場合、変更情報取得部38は、変更情報に基づいて、搬送ロボット100の本体部20が移動したか否かを判定する(ステップS13)。搬送ロボット100の本体部20が移動した場合、本体部20と始点位置SPとの位置関係に変更があるため、制御装置30の動作がステップS2に戻る。
【0040】
搬送ロボット100の本体部20が移動していない場合、変更情報取得部38はステップS11に戻る。換言すれば、使用者が操作部40を用いて制御装置30に変更情報を送信しない限り、使用者に実目標位置Rkが可動範囲外であることが通知され続ける。
【0041】
ステップS10において、実目標位置Rkが保持部11の可動範囲内にある場合、実目標位置算出部35は、算出した実目標位置Rkを記憶部33に記憶させる(ステップS14)。これにより、実目標位置Rkの教示動作が終了する。
【0042】
続いて、教示位置取得部32は、変数kに1を加算する(ステップS15)。ここで、教示位置取得部32は、変数kが実目標位置の総数Mより大きいか否かを判定する(ステップS16)。変数kが実目標位置の総数M以下である場合、ステップS5に戻る。それにより、仮目標位置P1,P2,…,PMおよび複数の実目標位置R1,R2,…,RMの教示動作が行われる。変数kが実目標位置の総数Mより大きい場合、制御装置30の教示動作が終了する。
【0043】
(3)実施の形態の効果
上記実施の形態の搬送ロボット100において、仮目標位置P1,P2,…,PMの教示では、使用者が保持部11と実目標位置R1,R2,…,RMとの位置関係を視認することにより確認する必要がない。また、仮目標位置P1,P2,…,PMは、実目標位置R1,R2,…,RMに対して予め定められた相対的な位置関係を有するように設定されるので、仮目標位置P1,P2,…,PMの位置情報が教示されると、実目標位置R1,R2,…,RMが容易に算出される。それにより、実目標位置R1,R2,…,RMが保持部11の可動範囲内にあるか否かを迅速に判定することができる。したがって、実目標位置R1,R2,…,RMの教示が困難な場合でも、迅速に搬送ロボット100の搬送動作を開始することが可能となる。
【0044】
また、算出された実目標位置R1,R2,…,RMが保持部11の可動範囲内にないと判定された場合には、本体部20の位置を変更することにより実目標位置R1,R2,…,RMが可動範囲内にあるように可動範囲を変更することが可能である。この場合には、本体部20の位置の変更後に算出された実目標位置R1,R2,…,RMが可動範囲内にあるか否かが判定される。このような動作の繰り返しにより、可動範囲内にある実目標位置R1,R2,…,RMに被搬送物を搬送することが可能となる。
【0045】
さらに、算出された実目標位置R1,R2,…,RMが保持部11の可動範囲内にないと判定された場合には、実目標位置R1,R2,…,RMを変更することにより実目標位置R1,R2,…,RMが可動範囲内に移動させることが可能である。この場合には、変更後に算出された実目標位置R1,R2,…,RMが可動範囲内にあるか否かが判定される。このような動作の繰り返しにより、可動範囲内にある実目標位置R1,R2,…,RMに被搬送物を搬送することが可能となる。
【0046】
また、実目標位置R1,R2,…,RMが保持部11の可動範囲内にない場合に、表示部50により実目標位置Rkが可動範囲外であることが使用者に通知される。それにより、使用者に対して本体部20の移動または実目標位置R1,R2,…,RMの移動を促すことが可能になる。
【0047】
上記実施の形態の搬送システムにおいては、使用者は、設定治具AJを用いて、位置情報を容易に教示することができる位置に仮目標位置P1,P2,…,PMを容易に設定することができる。そのため、仮目標位置P1,P2,…,PMの位置情報が教示されると、実目標位置R1,R2,…,RMが容易に算出される。それにより、実目標位置R1,R2,…,RMが保持部11の可動範囲内にあるか否かを迅速に判定することができる。したがって、実目標位置R1,R2,…,RMの教示が困難な場合でも、迅速に搬送動作を開始することが可能となる。
【0048】
また、使用者は、設定治具AJの一端部A2を実目標位置R1,R2,…,RMに配置することにより他端部A3の設定部A5が存在する位置を容易に仮目標位置P1,P2,…,PMに設定することができる。
【0049】
さらに、使用者は、設定治具AJの係合部A4を実目標位置R1,R2,…,RMのバイアルプレートVPの各孔H1,H2,…,HMに嵌め合わせることにより、設定治具AJの一端部A2を実目標位置R1,R2,…,RMに正確に配置することができる。それにより、仮目標位置P1,P2,…,PMが実目標位置R1,R2,…,RMに対して予め定められた相対的な位置関係を有するように正確かつ容易に設定することができる。
【0050】
(4)他の実施の形態
(4-1)上記実施の形態において、搬送ロボット100の搬送部10は、被搬送物を保持する構成として保持部11を有するが、保持部11は、被搬送物を保持可能な例えば吸着パッドにより構成されてもよい。
【0051】
(4-2)上記実施の形態において、搬送ロボット100は、複数の実目標位置R1,R2,…,RMに被搬送物を搬送する例が示されるが、搬送ロボット100は、単一の実目標位置に被搬送物を搬送してもよい。
【0052】
(4-3)上記実施の形態において、複数の実目標位置R1,R2,…,RMと仮目標位置P1,P2,…,PMとの相対的な位置関係は、長さΔYで統一されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、仮目標位置P1,P2,…,Pkがそれぞれ異なる長さに設定されてもよい。この場合、仮目標位置P1,P2,…,Pkを設定すべき位置の状況(例えば、障害物が存在する場合等により仮目標位置を設定できない状況)に応じて、適宜長さおよび形状の異なる設定治具AJが用いることができる。
【0053】
(4-4)上記実施の形態のステップS11においては、実目標位置Rkが保持部11の可動範囲内にない場合、実目標位置Rkが可動範囲外であることが使用者に通知されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、制御装置30の可動判定部36は、実目標位置Rkと仮目標位置Pkとの相対的な位置関係に基づいて、実目標位置Rkが可動範囲内にあるような搬送部10の位置または実目標位置Rkを変更すべき方向および距離の少なくとも一方を算出してもよい。この場合、実目標位置Rkが可動範囲外であることに加えて、算出された実目標位置Rkが可動範囲内にあるような搬送部10の位置または実目標位置Rkを変更すべき方向および距離を使用者に通知させることが可能になる。それにより、使用者は、搬送部10の位置または実目標位置Rkをどのように変更すべきかを容易に認識することができる。
【0054】
(4-5)上記実施の形態において、実目標位置Rkが可動範囲外である場合、使用者は、実目標位置Rkを移動させるために他の複数の実目標位置R1,R2,…,RMも移動させる例が示されるが、本発明はこれに限定されない。実目標位置Rkが可動範囲外である場合、複数の実目標位置R1,R2,…,RMがそれぞれ独立に移動可能な場合には、使用者は、実目標位置Rkのみを移動させてもよい。この場合、実目標位置Rkのみが変更されているので、制御装置30の動作としてステップS12からステップS5に戻る。
【0055】
(5)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、搬送部10および本体部20が搬送部の例であり、教示位置取得部32が取得部の例であり、実目標位置算出部35が算出部の例であり、可動判定部36が判定部の例である。また、一端部A2が第1部分の例であり、他端部A3が第2部分の例であり、被係合部がバイアルプレートVPの各孔H1~HMの例である。
【0056】
(6)態様
上述した複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0057】
(第1項)一態様に係る搬送ロボットは、被搬送物を保持する保持部を有し、前記保持部に保持された前記被搬送物を予め定められた可動範囲内で実目標位置に搬送する搬送部と、
前記実目標位置に対して予め定められた相対的な位置関係を有する仮目標位置が設定された状態で教示された前記仮目標位置を示す位置情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記仮目標位置の情報から前記相対的な位置関係に基づいて前記実目標位置を算出する算出部と、
前記算出部により算出された前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にあるか否かを判定する判定部とを備える。
【0058】
第1項に記載の搬送ロボットにおいて、仮目標位置の教示では、使用者が保持部と実目標位置との位置関係を視認することにより確認する必要がない。また、仮目標位置は、実目標位置に対して予め定められた相対的な位置関係を有するように設定されるので、仮目標位置の位置情報が教示されると、実目標位置が容易に算出される。それにより、実目標位置が保持部の可動範囲内にあるか否かを迅速に判定することができる。したがって、実目標位置の教示が困難な場合でも、迅速に搬送動作を開始することが可能となる。
【0059】
(第2項)第1項に記載の搬送ロボットにおいて、前記取得部は、前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にないと前記判定部により判定された場合に、前記搬送部の位置が変更された後に、前記実目標位置に対して前記相対的な位置関係を有する前記仮目標位置が設定された状態で教示された前記仮目標位置を示す位置情報を取得し、
前記算出部は、前記搬送部の位置の変更後に前記取得部により取得された前記仮目標位置の位置情報から前記相対的な位置関係に基づいて前記実目標位置を算出し、
前記判定部は、前記搬送部の位置の変更後に前記算出部により算出された前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にあるか否かを判定してもよい。
【0060】
第2項に記載の搬送ロボットにおいては、算出された実目標位置が保持部の可動範囲内にないと判定された場合には、搬送部の位置を変更することにより実目標位置が可動範囲内にあるように可動範囲を変更することが可能である。この場合には、搬送部の位置の変更後に算出された実目標位置が可動範囲内にあるか否かが判定される。このような動作の繰り返しにより、可動範囲内にある実目標位置に被搬送物を搬送することが可能となる。
【0061】
(第3項)第1項または第2項に記載の搬送ロボットにおいて、前記取得部は、前記判定部により前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にないと判定された場合に、前記実目標位置が変更された後に、変更後の実目標位置に対して前記相対的な位置関係を有する新たな仮目標位置が設定された状態で教示された前記新たな仮目標位置を示す位置情報を取得し、
前記算出部は、前記取得部により取得された前記新たな仮目標位置の位置情報から前記相対的な位置関係に基づいて前記変更後の実目標位置を算出し、
前記判定部は、前記算出部により算出された前記変更後の実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にあるか否かを判定してもよい。
【0062】
第3項に記載の搬送ロボットにおいては、算出された実目標位置が保持部の可動範囲内にないと判定された場合には、実目標位置を変更することにより実目標位置が可動範囲内に移動させることが可能である。この場合には、変更後に算出された実目標位置が可動範囲内にあるか否かが判定される。このような動作の繰り返しにより、可動範囲内にある実目標位置に被搬送物を搬送することが可能となる。
【0063】
(第4項)第1項~第3項のいずれか一項に記載の搬送ロボットは、出発位置にある被搬送物を前記保持部が保持して前記実目標位置に搬送するように前記搬送部を制御する搬送制御部をさらに備え、
前記取得部は、前記出発位置を示す位置情報を取得し、
前記判定部は、前記取得部により取得された前記出発位置の位置情報および前記仮目標位置の位置情報に基づいて前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にあるか否かを判定してもよい。
【0064】
第4項に記載の搬送ロボットにおいては、仮目標位置の教示により出発位置から実目標位置への被搬送物の搬送が可能となる。
【0065】
(第5項)第4項に記載の搬送ロボットにおいて、前記保持部が前記仮目標位置に移動された状態で前記搬送制御部が前記仮目標位置の位置情報を出力することにより前記仮目標位置の位置情報が教示されてもよい。
【0066】
第5項に記載の搬送ロボットにおいては、使用者が手動でまたは操作部を用いて保持部を仮目標位置に移動させることにより仮目標位置の位置情報を教示することができる。
【0067】
(第6項)前記判定部により前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にないと判定された場合、前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にないことを通知する通知部をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の搬送ロボット。
【0068】
第6項に記載の搬送ロボットにおいては、実目標位置が保持部の可動範囲内にない場合に、使用者に対して搬送部の移動または実目標位置の移動を促すことが可能になる。
【0069】
(第7項)第1項~第6項のいずれか一項に記載の搬送ロボットにおいて、前記判定部は、前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にないと判定した場合、前記実目標位置が前記可動範囲内にあるような前記搬送部の位置または前記実目標位置を変更すべき方向および距離の少なくとも一方を算出し、
前記搬送ロボットは、
前記判定部により算出された前記方向および前記距離の前記少なくとも一方を表示部に表示させる表示制御部をさらに備える。
【0070】
第7項に記載の搬送ロボットにおいては、使用者は、実目標位置が保持部の可動範囲内にない場合に、搬送部の位置または実目標位置をどのように変更すべきかを容易に認識することができる。
【0071】
(第8項) 他の態様に係る搬送システムは、
第1項~第7項のいずれか一項に記載の搬送ロボットと、
前記実目標位置に対して前記予め定められた相対的な位置関係を有する仮目標位置を設定するために用いられる設定治具とを備える。
【0072】
第8項に記載の搬送システムにおいては、使用者は、設定治具を用いて、位置情報を容易に教示することができる位置に仮目標位置を容易に設定することができる。そのため、仮目標位置の位置情報が教示されると、実目標位置が容易に算出される。それにより、実目標位置が保持部の可動範囲内にあるか否かを迅速に判定することができる。したがって、実目標位置の教示が困難な場合でも、迅速に搬送動作を開始することが可能となる。
【0073】
(第9項) 第8項に記載の搬送システムにおいて、
前記設定治具は、
前記実目標位置に配置可能な第1部分と、
前記第1部分から離間する第2部分と、
前記第1部分と前記第2部分とを連結する連結部とを含み、
前記第1部分が前記実目標位置に配置された状態で前記第2部分が存在する位置が前記仮目標位置に設定されてもよい。
【0074】
第9項に記載の搬送システムにおいては、使用者は、設定治具の第1部分を実目標位置に配置することにより第2部分が存在する位置を容易に仮目標位置に設定することができる。
【0075】
(第10項)第9項に記載の搬送システムにおいて、
前記設定治具の前記第1部分は係合部を含み、
前記実目標位置には、前記係合部が係合可能な被係合部が設けられてもよい。
【0076】
第10項に記載の搬送システムにおいては、使用者は、設定治具の係合部を実目標位置の被係合部に係合させることにより、設定治具の第1部分を実目標位置に正確に配置することができる。それにより、仮目標位置が実目標位置に対して予め定められた相対的な位置関係を有するように正確かつ容易に設定することができる。
【0077】
(第11項)他の態様に係る判定方法は、
搬送ロボットにより実目標位置に被搬送物を搬送することが可能であるか否かを判定する判定方法であって、
前記実目標位置に対して予め定められた相対的な位置関係を有する仮目標位置を設定するステップと、
前記仮目標位置を前記搬送ロボットに教示するステップと、
前記仮目標位置を示す位置情報を取得するステップと、
前記取得された前記仮目標位置の位置情報から前記相対的な位置関係に基づいて前記実目標位置の位置情報を算出するステップと、
前記算出された位置情報から前記実目標位置が前記保持部の前記可動範囲内にあるか否かを判定するステップとを含む。
【0078】
第11項に記載の判定方法において、仮目標位置の教示では、使用者が保持部と実目標位置との位置関係を視認することにより確認する必要がない。また、仮目標位置は、実目標位置に対して予め定められた相対的な位置関係を有するように設定されるので、仮目標位置の位置情報が教示されると、実目標位置が容易に算出される。それにより、実目標位置が保持部の可動範囲内にあるか否かを迅速に判定することができる。したがって、実目標位置の教示が困難な場合でも、迅速に搬送動作を開始することが可能となる。
【符号の説明】
【0079】
10…搬送部,11…保持部,12…可変部,13,14…アーム,20…本体部,30…制御装置,31…実目標位置数取得部,32…教示位置取得部,33…記憶部,34…仮目標位置判定取得部,35…実目標位置算出部,36…可動判定部,37…表示制御部,38…変更情報取得部,39…搬送制御部,40…操作部,50…表示部,62…選択ウェル受付部,100…搬送ロボット,A1…水平部,A2…一端部,A3…他端部,AJ…設定治具,OB…障害物,P1,P2,PM,Pk…仮目標位置,PP…配置位置,R1,R2,RM,Rk…実目標位置,SP…始点位置,VA…矢印,VC…ベルトコンベア,VL…バイアル,VP…バイアルプレート
図1
図2
図3
図4
図5