(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183889
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】半導体集積回路
(51)【国際特許分類】
G06F 1/3287 20190101AFI20231221BHJP
G06F 1/3206 20190101ALI20231221BHJP
【FI】
G06F1/3287
G06F1/3206
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097685
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100176599
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100205095
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 啓一
(74)【代理人】
【識別番号】100208775
【弁理士】
【氏名又は名称】栗田 雅章
(72)【発明者】
【氏名】森 賀与
(72)【発明者】
【氏名】田代 浩一
(72)【発明者】
【氏名】福島 秋博
【テーマコード(参考)】
5B011
【Fターム(参考)】
5B011DC01
5B011EA09
5B011LL11
(57)【要約】
【課題】本発明の一実施形態では、アクティブ状態とスタンバイ状態とを好適に切り替えることができる半導体集積回路を提供する。
【解決手段】本実施形態に係る半導体集積回路は、各々が第1電流を流すことが可能な複数の第1スイッチ回路と、第1電流より大きい第2電流を各々が流すことが可能な複数の第2スイッチ回路とを含み、各々に接続される回路に対して電圧を供給するオン状態又は供給を遮断するオフ状態に切り替えるように構成された複数のスイッチ回路と、オフ状態からオン状態にする場合に、パラメータに応じた個数単位で、複数のスイッチ回路を複数の第1スイッチ回路から順にオン状態に切り替える制御回路と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が第1電流を流すことが可能な複数の第1スイッチ回路と、前記第1電流より大きい第2電流を各々が流すことが可能な複数の第2スイッチ回路とを含み、各々に接続される回路に対して電圧を供給するオン状態又は前記供給を遮断するオフ状態に切り替えるように構成された複数のスイッチ回路と、
前記オフ状態から前記オン状態にする場合に、パラメータに応じた個数単位で、前記複数のスイッチ回路を前記複数の第1スイッチ回路から順に前記オン状態に切り替える制御回路と、
を備える半導体集積回路。
【請求項2】
前記パラメータは、前記接続される回路に対して変動量が閾値内の電圧を供給しつつ、同時に切り替えることが可能な前記第1スイッチ回路又は前記第2スイッチ回路の数である請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
前記制御回路は、前記パラメータを記憶するレジスタと、前記パラメータに基づいてカウンタ値を算出する第1回路と、前記カウンタ値をデコードする第2回路と、を備え、前記デコードした前記カウンタ値に基づいて前記複数のスイッチ回路の何れかを前記オフ状態から前記オン状態に切り替える請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項4】
前記パラメータは、第1パラメータと第2パラメータとを含み、
前記複数の第1スイッチ回路の何れかを前記オン状態に切り替える場合、前記第1パラメータに応じた個数単位で前記複数の第1スイッチの何れかを前記オン状態に切り替え、
前記複数の第2スイッチ回路の何れかを前記オン状態に切り替える場合、前記第2パラメータに応じた個数単位で前記複数の第2スイッチ回路の何れかを前記オン状態に切り替える、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項5】
前記制御回路は、前記複数のスイッチ回路の何れかをオン状態からオフ状態に切り替える場合に、前記パラメータに応じた個数単位で、前記複数のスイッチ回路の何れかを前記複数の第2スイッチ回路から順にオフ状態に切り替え、
前記パラメータは、第3パラメータと第4パラメータとを有し、
前記複数の第2スイッチ回路の何れかをオフ状態に切り替える場合、前記第3パラメータに応じた個数単位で前記複数の第2スイッチ回路の何れかをオフ状態に切り替え
前記複数の第1スイッチ回路の何れかをオフ状態に切り替える場合、前記第4パラメータに応じた個数単位で前記複数の第1スイッチ回路の何れかをオフ状態に切り替える、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の半導体集積回路。
【請求項6】
許容電流が異なる複数種類のスイッチ回路を含み、各々に接続される少なくとも一つの回路に対して電圧を供給するための複数のスイッチ回路と、
第1許容電流を有するスイッチ回路から、前記第1許容電流より大きい第2許容電流を有するスイッチ回路への順に、設定された個数単位で前記複数のスイッチ回路の何れかをオフ状態からオン状態に順次切り替える制御回路と、
を備える半導体集積回路。
【請求項7】
前記制御回路は更に、前記第2許容電流を有するスイッチ回路から、前記第1許容電流を有するスイッチ回路への順に、前記設定された個数単位で前記複数のスイッチ回路の何れかを前記オン状態から前記オフ状態に順次切り替えていく、
請求項6に記載の半導体集積回路。
【請求項8】
前記設定された個数単位は、複数ある個数単位の何れか一つであり、
前記複数のスイッチ回路を前記オフ状態から前記オン状態に又は前記オン状態から前記オフ状態に順次切り替えていく期間中に、前記個数単位が変更される、
請求項6又は請求項7に記載の半導体集積回路。
【請求項9】
前記複数のスイッチ回路は、電源と前記接続される少なくとも一つの回路との間に電気的に接続されるよう並列に設けられた複数のMOSトランジスタであり、
前記制御回路は、前記複数のMOSトランジスタのゲート端子の電圧制御を行う、
請求項6に記載の半導体集積回路。
【請求項10】
前記制御回路は、前記個数単位に関する情報を記憶するレジスタと、前記情報に基づいてカウンタ値を算出する第1回路と、前記カウンタ値をデコードする第2回路と、を備え、前記デコードした前記カウンタ値に基づいて前記複数のスイッチ回路の個々の前記オン状態と前記オフ状態の切り替えを制御する、
請求項6に記載の半導体集積回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体集積回路に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電気回路部品への電源電圧の供給を制御する半導体集積回路が知られている。半導体集積回路は、複数の電気回路部品それぞれに独立して電源電圧を供給する。このような半導体集積回路は、アクティブ状態とスタンバイ状態とを有する。アクティブ状態は、複数の電気回路部品それぞれに電源電圧を供給する状態である。スタンバイ状態は、少なくとも一部の電気回路部品に電源電圧を供給しない状態である。半導体集積回路は、アクティブ状態とスタンバイ状態とを好適に切り替えることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態では、アクティブ状態とスタンバイ状態とを好適に切り替えることができる半導体集積回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係る半導体集積回路は、各々が第1電流を流すことが可能な複数の第1スイッチ回路と、第1電流より大きい第2電流を各々が流すことが可能な複数の第2スイッチ回路とを含み、各々に接続される回路に対して電圧を供給するオン状態又は供給を遮断するオフ状態に切り替えるように構成された複数のスイッチ回路と、オフ状態からオン状態にする場合に、パラメータに応じた個数単位で、複数のスイッチ回路を複数の第1スイッチ回路から順にオン状態に切り替える制御回路と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る半導体集積回路を含む半導体装置の構成の一例を表すブロック図。
【
図2】第1実施形態に係る切替制御回路と切替回路との接続例を表すブロック図。
【
図3】第1実施形態に係る加減算回路とデコーダ回路との接続例を表すブロック図。
【
図4】第1実施形態に係るデコーダ回路と切替回路との接続例を表すブロック図。
【
図5】第1実施形態に係るカウンタ値と切替制御線への入力値との対応表。
【
図6】第1実施形態に係る切替回路の一例を表す回路図。
【
図7】第1実施形態に係る半導体集積回路の状態切替制御のフローチャート。
【
図8】第1実施形態に係るスイッチ制御段数と時間の関係を表したグラフ。
【
図9】第2実施形態に係るスイッチ制御段数と時間の関係を表したグラフ。
【
図10】第3実施形態に係る半導体集積回路の状態切替制御のフローチャート。
【
図11】第3実施形態に係るスイッチ制御段数と時間の関係を表したグラフ。
【
図12】第4実施形態に係る半導体集積回路の状態切替制御のフローチャート。
【
図13】第4実施形態に係るスイッチ制御段数と時間の関係を表したグラフ。
【
図14】第5実施形態に係るスイッチ制御段数と時間の関係を表したグラフ。
【
図15】第6実施形態に係る半導体集積回路の状態切替制御のフローチャート。
【
図16】第6実施形態に係るスイッチ制御段数と時間の関係を表したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明を実施するための実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図面は模式的なものであり、例えば厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる場合がある。また、実施形態において、実質的に同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略又は簡略化する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体集積回路を含む半導体装置の構成の一例を表すブロック図である。半導体装置1は、レギュレータ100、第1電源ドメイン200、第2電源ドメイン300、及び切替回路400を含む。第1電源ドメイン200の一部及び切替回路400は、半導体集積回路の一例である。
【0009】
レギュレータ100は、電源電圧を生成する。レギュレータ100は、例えば、第1電源ドメイン200及び第2電源ドメイン300に、生成した電源電圧を供給することができる。
【0010】
第1電源ドメイン200は、レギュレータ100に接続されている。第1電源ドメイン200は、レギュレータ100が生成した電源電圧を常に供給されるデバイスのグループ(回路群)である。第1電源ドメイン200に含まれるデバイスは、例えば、制御回路210、ROM(Read Only Memory)220、RAM(Random Access Memory)230、及び切替制御回路240である。
【0011】
制御回路210は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御回路210は、半導体装置1全体を制御する。ROM220は、データを不揮発に記憶する記憶装置である。ROM220は、例えば、NAND型フラッシュメモリ又はNOR型フラッシュメモリである。また、ROM220は、制御回路210に内蔵されていても良い。ROM220は、例えば、ファームウェアを記憶する。RAM230は、データを記憶する記憶装置である。RAM230は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)又はSRAM(Static Random Access Memory)である。RAM230は、例えば、ROM220及び半導体装置1の外部の記憶装置(図示しない)の何れかから読み出されたファームウェアを記憶可能である。本実施形態において、RAM230は、切替制御回路240の制御に関するファームウェアを記憶する。切替制御回路240の制御に関するファームウェアは、後述するパラメータを処理する。また、RAM230は、制御回路210の作業領域として使用される。切替制御回路240は、例えば、CPUである。切替制御回路240は、切替回路400を制御する。切替制御回路240は、制御回路210に含まれてもよい。
【0012】
第2電源ドメイン300は、レギュレータ100が生成した電源電圧が切替回路400を介して供給されるデバイスのグループ(回路群)である。第2電源ドメイン300に含まれるデバイスは、例えば、半導体装置1の外部との通信を司るインターフェース回路(図示しない)である。第2電源ドメイン300は、レギュレータ100と電気的に非接続にされて電源電圧が供給されない状態と、レギュレータ100と電気的に接続されて電源電圧が供給される状態とを有する。半導体装置1において、第2電源ドメイン300に電源電圧が供給されない状態をスタンバイ状態とする。半導体装置1において、第2電源ドメイン300に電源電圧が供給される状態をアクティブ状態とする。アクティブ状態は、スタンバイ状態よりも消費電力が大きい。なお、レギュレータ100と電気的に非接続にされて電源電圧が供給されない状態と、レギュレータ100と電気的に接続されて電源電圧が供給される状態と、を有する電源ドメインが複数あっても良い。
【0013】
切替回路400は、レギュレータ100及び第2電源ドメイン300に接続されている。切替回路400は、レギュレータ100から第2電源ドメイン300への電源電圧の供給を制御する。切替回路400は、複数の第1スイッチと複数の第2スイッチとを含む。
複数の第1スイッチと複数の第2スイッチは、電気回路素子によって構成される。複数の第1スイッチ及び複数の第2スイッチは、並列に設けられている。第1スイッチは、例えば、W-PSW(Weak-Power SWitch)とも称する。第2スイッチは、例えば、S-PSW(Strong-Power SWitch)とも称する。S-PSWは、W-PSWと比較して回路のレイアウトにおけるサイズが大きい。そのため、S-PSWは、W-PSWを流れる電流より大きい電流を流すことができる。本実施形態において、W-PSWとS-PSWとを区別しない場合、単にスイッチPSWと記載する。本実施形態において、W-PSWはn個(nは1以上の自然数)含まれる。また、S-PSWはm個(mは1以上の自然数)含まれる。また、本実施形態において、切替回路400は、スイッチPSWを80個含む。スイッチPSWの数は80個に限定されない。なお、切替回路400は、第1スイッチ及び第2スイッチに限らず、流すことができる電流量の大きさ(許容電流量)が異なる複数種類のスイッチを含んでいても良い。また、切替回路400は、許容電流量が一種類のスイッチのみを含んでいても良い。
【0014】
切替回路400の各スイッチPSWは、切替制御回路240によってオンとオフとを制御される。各スイッチPSWが全てオンの場合、半導体装置1はアクティブ状態である。
各スイッチPSWが全てオフの場合、半導体装置1はスタンバイ状態である。したがって、切替回路400の各スイッチPSWのオンとオフとを切り替えることによって、半導体装置1のスタンバイ状態とアクティブ状態とを切り替えることができる。
【0015】
半導体装置1のスタンバイ状態とアクティブ状態とを切り替える場合に、切替回路400のスイッチPSWを全て同時に切り替えると、切替回路400を流れる電流が急激に変化する。レギュレータ100はこのような急激な電流の変化に追従できず、安定した電源電圧を供給することができなくなる可能性がある。本実施形態において、安定した電源電圧は、変動量が閾値内の電圧を表す。一方で、スイッチPSWのオンとオフとを切り替える時間が短いほど半導体装置1の動作時間をより短くすることできる。すなわち、半導体装置1のスタンバイ状態とアクティブ状態とを切り替える時間(状態切替時間とも称する)が短いほど、半導体装置1の動作時間を短縮することが可能である。本実施形態に係る半導体装置1は、スタンバイ状態からアクティブ状態に切り替える場合、複数のW-PSWを順にオンにし、複数のW-PSWを全てオンに切り替えた後、複数のS-PSWを順にオンに切り替える。
【0016】
レギュレータ100が安定した電源電圧を供給しつつ、同時に切り替えることが可能なスイッチPSWの数はスイッチPSWの性能に依存する。例えば、スイッチPSWがトランジスタの場合、スイッチの性能は、ゲート絶縁膜の厚さやゲート長によってばらつきが生じる可能性がある。また、スイッチPSWの動作環境によってもばらつきが生じる可能性がある。そこで、本実施形態では、例えば、出荷前に半導体装置1毎にレギュレータ100が安定した電源電圧を供給しつつ、同時に切り替えることが可能なS-PSWの数を測定する。測定結果は、パラメータとして設定される。なお、パラメータは、例えば、半導体装置1の設計時又は製造時に設定される。切替制御回路240の制御に関するファームウェアとパラメータは、一体に又は別々に記憶されていても良い。
【0017】
パラメータは、第1パラメータと第2パラメータとを含む。第1パラメータは、例えば、初期値である。本実施形態において、初期値は1とする。第2パラメータは、例えば、出荷前の測定結果に基づいた値である。本実施形態の半導体装置1において、レギュレータ100が安定した電源電圧を供給しつつ、同時に切り替えることが可能なS-PSWが2つであった場合、第2のパラメータを例えば2とする。つまり、第2のパラメータは、スイッチPSWの性能に基づいて設定される。なお、第1又は第2のパラメータは、半導体装置1の設計時又は製造時の測定結果に基づいて設定されても良い。
【0018】
図2から
図6を用いて切替制御回路240及び切替回路400の構成及び動作を説明する。
図2は、第1実施形態に係る切替制御回路と切替回路との接続例を表すブロック図である。
【0019】
切替制御回路240は、レジスタ241、加減算回路243、及びデコーダ回路245を含む。
【0020】
レジスタ241は、切替制御回路240の制御に関するファームウェアに従った処理によってパラメータを記憶する。レジスタ241は、記憶したパラメータを加減算回路243に提供可能である。
【0021】
加減算回路243は、レジスタ241に記憶されたパラメータを取得可能である。加減算回路243は、レジスタ241から取得したパラメータに基づいてカウンタ値を算出する。半導体装置1をスタンバイ状態からアクティブ状態にする場合、加減算回路243は、記憶されたパラメータの値を加算する。半導体装置1をアクティブ状態からスタンバイ状態にする場合、加減算回路243は、記憶されたパラメータの値を減算する。加減算回路243は、カウンタ値を出力する。本実施形態では、半導体装置1をスタンバイ状態からアクティブ状態にする場合を説明する。
【0022】
加減算回路243とデコーダ回路245の間は、信号線244で接続されている。ここで、加減算回路243とデコーダ回路245との接続の一例を説明する。
図3は、第1実施形態に係る加減算回路とデコーダ回路との接続例を表すブロック図である。
図3に示すように、信号線244は、複数の信号線244-0~244-6を含む。加減算回路243は、レジスタ241に記憶されたパラメータに基づいて算出されたカウンタ値を信号線244-0~244-6に出力する。本実施形態において、スイッチPSWは80個であり、スイッチPSWの個数は二進数の7桁で全て表すことができる。したがって、信号線244は、信号線244-0~244-6の7本必要である。加減算回路243とデコーダ回路245との間には、複数のフリップフロップ回路FFが設けられている。
【0023】
各フリップフロップ回路FFは、加減算回路243から出力されたカウンタ値、及びクロックCLKを受ける。各フリップフロップ回路FFは、受けたカウンタ値をクロックCLKと同期し、クロックCLKに同期したカウンタ値を出力する。クロックCLKに同期したカウンタ値は、デコーダ回路245に入力される。また、クロックCLKに同期したカウンタ値は、加減算回路243にフィードバックされる。加減算回路243は、クロックCLKに同期したカウント値がフィードバックされたことに応じて再びカウンタ値の計算を行う。すなわち、本実施形態において、フィードバックされたカウンタ値にパラメータの値を加算した値が次のカウンタ値となる。これにより、カウンタ値は更新される。なお、本実施形態において、カウンタ値の初期値は0とする。例えば、パラメータとして第1パラメータ(ここでは1)が用いられた場合、カウンタ値は0、1、2、…、79と更新される。なお、加減算回路243及び加減算回路243とデコーダ回路245との間に設けられた複数のフリップフロップ回路FFをまとめて、カウンタ回路と称しても良い。
【0024】
デコーダ回路245は、加減算回路243から複数のフリップフロップ回路FFを介して入力されたカウンタ値を各スイッチPSWに対応する値にデコードする。デコーダ回路245は、デコードした値を出力する。
図2に示すように、デコーダ回路245と切替回路400の間は、切替制御線246で接続されている。ここで、デコーダ回路245と切替回路400との接続の一例を説明する。
図4は、第1実施形態に係るデコーダ回路と切替回路との接続例を表すブロック図である。
図4に示すように、切替制御線246は、切替制御線246-0~246-79を含む。デコーダ回路245は、デコードした値を切替制御線246-0~246-79に出力する。各切替制御線246-0~246-79は、後述するように、それぞれ対応するスイッチPSWと接続されている。本実施形態において、スイッチPSWは80個であるため、切替制御線246は、切替制御線246-0~246-79の80本必要である。デコーダ回路245と切替回路400との間には、複数のフリップフロップ回路FFが設けられている。各フリップフロップ回路FFは、デコーダ回路245から出力された値、及びクロックCLKを受ける。各フリップフロップ回路FFは、デコーダ回路245から受けた値をクロックCLKと同期し、クロックCLKに同期した値を出力する。
【0025】
デコーダ回路245がデコードした値は、切替制御線246への入力値である。カウンタ値と切替制御線246への入力値とは、例えば、
図5に示すような対応関係がある。
図5は、第1実施形態に係るカウンタ値と切替制御線への入力値との対応表である。例えば、カウンタ値の初期値である0が入力された場合、デコーダ回路245はカウンタ値の0をデコードし、全ての切替制御線246に0を出力する。続いて更新されたカウンタ値が1である場合、デコーダ回路245はカウンタ値の1をデコードし、切替制御線246-0に1を出力し、切替制御線246-1~246-79に0を出力する。デコーダ回路245から出力された切替制御線246への入力値は複数のフリップフロップ回路FFによってクロックCLKと同期され、切替回路400に入力される。
【0026】
図6は、第1実施形態に係る切替回路の一例を表す回路図である。切替回路400は、
図6に示すように、インバータゲート410と、複数のスイッチPSWと、インバータゲート420とを含む。W-PSWは、W-PSW1からW-PSWnのn個を含む。S-PSWは、S-PSW1からW-PSWmのm個を含む。各スイッチPSWの一端は、レギュレータ100に接続される。各スイッチPSWの他端は、第2電源ドメイン300に接続される。切替制御線246-0~246-79は、インバータゲート410を介して、それぞれ対応するスイッチPSW及びインバータゲート420に接続される。
【0027】
複数のスイッチPSWのそれぞれは、例えばトランジスタである。本実施形態において、スイッチPSWはPMOSトランジスタである。各スイッチPSWであるトランジスタのゲートは、対応する切替制御線246に接続される。各スイッチPSWであるトランジスタのソースは、レギュレータ100に接続される。各スイッチPSWであるトランジスタのドレインは、第2電源ドメイン300に接続される。具体的には、W-PSW1のゲートは切替制御線246-0に接続される。W-PSW2のゲートは切替制御線246-1に接続される。W-PSWnのゲートは切替制御線246-(n-1)に接続される。S-PSW1のゲートは切替制御線246-nに接続される。S-PSWmのゲートは切替制御線246-79に接続される。また、各インバータゲート410の出力は、対応する切替制御線246を介してインバータゲート420に入力される。第2電源ドメイン300とは異なる電源ドメインのために、切替回路400と同様の構成の回路(図示しない)が切替回路400と並列に接続されている場合、切替回路400の各インバータゲート420の出力は、切替回路400と同様の構成の回路の各インバータゲートへ入力されても良い。
【0028】
切替制御線246に出力された値が0の場合、対応するスイッチPSWはオフとなる。スイッチPSWがオフのとき、レギュレータ100から第2電源ドメイン300に電源電圧が供給されない。切替制御線246に出力された値が1の場合、対応するスイッチPSWはオンとなる。スイッチPSWがオンのとき、レギュレータ100から第2電源ドメイン300に電源電圧が供給される。すなわち、デコーダ回路245から出力された切替制御線246への入力値によって、スイッチPSWのオンとオフを切り替えることが可能である。すなわち、切替制御回路240は、パラメータに基づいて、スイッチPSWを制御することが可能である。
【0029】
図7は、第1実施形態に係る半導体集積回路の状態切替制御のフローチャートである。
図7を用いて、半導体装置1をスタンバイ状態からアクティブ状態に切り替える状態切替制御を説明する。
【0030】
制御回路210は、RAM230に記憶している切替制御回路240の制御に関するファームウェアを実行する。制御回路210は、切替制御回路240の制御に関するファームウェアに従って、複数のパラメータのうち第1パラメータをレジスタ241に設定する(S110)。なお、既に第1パラメータがレジスタ241に設定されている場合は、S110を行わなくても良い。
【0031】
制御回路210は、第1パラメータを設定したことに応じて切替制御回路240を動作させる(S120)。切替制御回路240は、第1パラメータに基づいて、例えば第1パラメータが1である場合はW-PSWを1つずつオンに切り替える。すなわち、切替制御回路240は、第1パラメータとして設定された個数単位でW-PSWをオフからオンに切り替える。
【0032】
制御回路210は、切替回路400のn個全てのW-PSW(第1スイッチ)がオンであるか確認する(S130)。全てのW-PSWがオンではない場合(S130;NO)、処理はS120に戻る。
【0033】
全てのW-PSWがオンである場合(S130;YES)、制御回路210は、切替制御回路240の制御に関するファームウェアに従って、パラメータのうち第2パラメータをレジスタ241に設定する(S140)。すなわち、スイッチPSWをオフからオンに順次切り替えていく期間中に、パラメータの変更が行われる。
【0034】
制御回路210は、第2パラメータを設定したことに応じて切替制御回路240を動作させる(S150)。切替制御回路240は、第2パラメータに基づいて、例えば第2パラメータが2である場合はS-PSWを2つずつオンに切り替える。すなわち、切替制御回路240は、第2パラメータとして設定された個数単位でS-PSWをオフからオンに切り替える。
【0035】
制御回路210は、切替回路400のm個全てのS-PSW(第2スイッチ)がオンであるか確認する(S160)。全てのS-PSWがオンではない場合(S160;NO)、処理はS150に戻る。全てのS-PSWがオンである場合(S160;YES)、全てのスイッチPSWがオンに切り替わり、半導体装置1はアクティブ状態となる。以上で半導体装置1をスタンバイ状態からアクティブ状態に切り替える状態切替制御が完了する。
【0036】
なお、本実施形態において、全てのW-PSWがオンである場合(S130;YES)、制御回路210は、切替制御回路240の制御に関するファームウェアに従って、パラメータのうち第2パラメータをレジスタ241に設定した(S140)が、これに限定されない。例えば、制御回路210が、切替制御回路240の制御に関するファームウェアに従って、複数のパラメータのうち第1パラメータをレジスタ241に設定(S110)した後に、第2パラメータをレジスタ241に設定(S140)しても良い。
【0037】
図8は、第1実施形態に係るスイッチ制御段数と時間の関係を表したグラフである。スイッチ制御段数は、オンであるスイッチPSWの数である。実線は、本実施形態の状態切替制御を表している。
【0038】
T0において、半導体装置1はスタンバイ状態からアクティブ状態への切り替えが開始される。まず第1パラメータである1に基づいて、W-PSWが1つずつオンに切り替えられる。T11において、W-PSWは全てオンに切り替わる。そして、第2パラメータである2に基づいて、S-PSWが2つずつオンに切り替えられる。T12において、S-PSWは全てオンに切り替わる。
【0039】
(効果)
図8に示す点線は比較例の状態切替制御を行った場合を表している。比較例は、出荷前に切替回路400のS-PSWの性能を測定しない例である。このような比較例は、レギュレータ100から安定した電源電圧が供給可能なように、例えば一つずつS-PSWをオンに切り替える。比較例の状態切替制御の場合、T13において、全てのスイッチPSWはオンに切り替わる。したがって、本実施形態は比較例よりΔTだけ速くスタンバイ状態からアクティブ状態に切り替えることが可能となる。
【0040】
以上のように、本実施形態によれば、S-PSWの性能を測定し、測定結果に基づいて、電源電圧の供給に関するパラメータを設定することで、レギュレータ100から安定した電源電圧を供給し続けることが可能である。加えて、S-PSWの性能に合わせてパラメータを設定することで、同時に複数のS-PSWをオンに切り替えることが可能となる。つまり、レギュレータ100から安定した電源電圧を供給しつつ、半導体装置1の状態切替時間をより短縮することが可能である。
【0041】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る半導体集積回路1について、
図9を参照して説明する。第2実施形態は、S-PSWに加えて、W-PSWについても測定結果に基づいてパラメータを設定している点が、第1実施形態とは異なる。以下、主に、第1実施形態と異なる点について記載する。
【0042】
本実施形態では、例えば、出荷前に半導体装置1毎にレギュレータ100が安定した電源電圧を供給しつつ、同時に切り替えることが可能なW-PSW及びS-PSWの数をそれぞれ測定する。測定結果は、切替制御回路240の制御に関するファームウェアが処理するパラメータとして設定される。本実施形態において、第1パラメータは、第2パラメータと同様にスイッチPSWの性能に基づいた値である。
【0043】
本実施形態の半導体装置1において、レギュレータ100が安定した電源電圧を供給しつつ、同時に切り替えることが可能なW-PSWが2つであった場合、第1パラメータを例えば2とする。また、レギュレータ100が安定した電源電圧を供給しつつ、同時に切り替えることが可能なS-PSWが3つであった場合、第2パラメータを例えば3とする。
【0044】
図9は、第2実施形態に係るスイッチ制御段数と時間の関係を表したグラフである。実線は、本実施形態の状態切替制御を行った場合を表している。点線は、比較例の状態切替制御を行った場合を表している。
【0045】
比較例は、出荷前に切替回路400のスイッチPSWの性能を測定しない。そのためレギュレータ100から安定した電源電圧が供給可能なように、例えば1つずつスイッチPSWがオンに切り替えられる。比較例の状態切替制御の場合、T13において、全てのスイッチPSWはオンに切り替わる。
【0046】
一方、本実施形態では、まず第1パラメータである2に基づいて、W-PSWが2つずつオンに切り替えられる。T21において、W-PSWは全てオンに切り替わる。そして、第2パラメータである3に基づいて、S-PSWが3つずつオンに切り替えられる。T22において、S-PSWは全てオンに切り替わる。したがって、本実施形態は比較例よりΔTaだけ速くスタンバイ状態からアクティブ状態に切り替えることが可能である。本実施形態におけるΔTaは、第1実施形態におけるΔTより長い時間である。
【0047】
(効果)
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、S-PSWだけでなく、W-PSWについても測定結果に基づいた第1パラメータに基づいてオンにすることにより、第1実施形態と比較して、半導体装置1の状態切替時間をより短縮することが可能である。
【0048】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る半導体集積回路1について、
図10及び
図11を参照して説明する。第3実施形態は、任意のスイッチPSWの数によってパラメータを変更している点が、第1実施形態とは異なる。以下、主に、第1実施形態と異なる点について記載する。
【0049】
本実施形態では、例えば、出荷前に半導体装置1毎にレギュレータ100が安定した電源電圧を供給しつつ、同時に切り替えることが可能なスイッチPSWの数を測定する。測定結果は、切替制御回路240の制御に関するファームウェアが処理するパラメータとして設定される。本実施形態において、第1パラメータ及び第2パラメータは測定結果に基づいた値である。
【0050】
本実施形態において、n個のW-PSWのうち、W-PSW1からW-PSWxのx個(xは1≦x<nである自然数)のW-PSWは、レギュレータ100が安定した電源電圧を供給しつつ、3つずつ同時に切り替えることが可能である。また、本実施形態において、PSWは80個であるため、W-PSW(x+1)からS-PSWmの80-x個のスイッチPSWは、レギュレータ100が安定した電源電圧を供給しつつ、2つずつ同時に切り替えることが可能である。この場合、第1パラメータを例えば3とし、第2パラメータを例えば2とする。
【0051】
図10は、第3実施形態に係る半導体集積回路の状態切替制御のフローチャートである。
図10を用いて、半導体装置1をスタンバイ状態からアクティブ状態に切り替える状態切替制御を説明する。
【0052】
S110及びS120は第1実施形態と同様である。制御回路210は、切替回路400の設定された任意の数のスイッチPSWがオンになっているか確認する(S135)。
本実施形態においては、制御回路210は、x個のW-PSWがオンになっているか確認する。設定された任意の数のスイッチPSWがオンではない場合(S135;NO)、処理はS120に戻る。
【0053】
設定された任意の数のスイッチPSWがオンである場合(S135;YES)、処理はS140に進む。S140及びS150は第1実施形態と同様である。なお、本実施形態では、S150において、W-PSW(x+1)からS-PSWmの80-x個のスイッチPSWをオンにする。
【0054】
制御回路210は、切替回路400の全てのスイッチPSWがオンであるか確認する(S165)。全てのスイッチPSWがオンではない場合(S165;NO)、処理はS150に戻る。全てのスイッチPSWがオンである場合(S165;YES)、全てのスイッチPSWがオンに切り替わり、半導体装置1はアクティブ状態となる。以上で半導体装置1をスタンバイ状態からアクティブ状態に切り替える状態切替制御が完了する。
【0055】
図11は、第3実施形態に係るスイッチ制御段数と時間の関係を表したグラフである。実線は、本実施形態の状態切替制御を行った場合を表している。点線は、比較例の状態切替制御を行った場合を表している。
【0056】
比較例は、出荷前に切替回路400のスイッチPSWの性能を測定しない。そのためレギュレータ100から安定した電源電圧が供給可能なように、例えば1つずつスイッチPSWがオンに切り替えられる。比較例の状態切替制御の場合、T13において、全てのスイッチPSWはオンに切り替わる。
【0057】
一方、本実施形態では、まず第1パラメータである3に基づいて、W-PSWが3つずつオンに切り替えられる。T31において、設定された任意の数のスイッチPSWは全てオンに切り替わる。そして、第2パラメータである2に基づいて、まだオンに切り替えられていないスイッチPSWが2つずつオンに切り替えられる。T32において、スイッチPSWは全てオンに切り替わる。したがって、本実施形態は比較例よりΔTbだけ速くアクティブ状態に切り替えることが可能である。本実施形態におけるΔTbは、第1実施形態におけるΔTより長い時間である。
【0058】
(効果)
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、S-PSWとW-PSWとでパラメータを変更するのではなく、スイッチPSWの数でパラメータを変更することが可能である。つまり、スイッチPSWの性能に合わせてパラメータを変更するタイミングを最適化することができる。したがって、第1実施形態と比較して、より半導体装置1に合わせた状態切替制御を行うことが可能である。
【0059】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る半導体集積回路1について、
図12及び
図13を参照して説明する。第4実施形態は、半導体装置1をアクティブ状態からスタンバイ状態に切り替える点が、第1実施形態とは異なる。以下、主に、第1実施形態と異なる点について記載する。
【0060】
半導体装置1をアクティブ状態からスタンバイ状態に切り替える場合、本実施形態に係る半導体装置1は、複数のS-PSWを順にオフにし、複数のS-PSWを全てオフにした後、複数のW-PSWを順にオフにする。
【0061】
本実施形態では、パラメータは、第3パラメータと第4パラメータとを含む。第3パラメータは、例えば、出荷前の測定結果に基づいた値である。本実施形態の半導体装置1において、レギュレータ100が安定した電源電圧を供給しつつ、同時に切り替えることが可能なS-PSWが2つであった場合、第3のパラメータを例えば2とする。つまり、第3のパラメータは、スイッチPSWの性能に基づいて設定される。第4パラメータは、例えば、初期値である。本実施形態において、初期値は1とする。なお、スタンバイ状態からアクティブ状態にする場合と、アクティブ状態からスタンバイ状態にする際のパラメータは同じであっても良い。
【0062】
本実施形態では、半導体装置1をアクティブ状態からスタンバイ状態にするため、カウンタ値の初期値は、例えば79である。加減算回路243は、レジスタ241に記憶されたパラメータの値を減算する。
【0063】
図12は、第4実施形態に係る半導体集積回路の状態切替制御のフローチャートである。
図12を用いて、半導体装置1をアクティブ状態からスタンバイ状態に切り替える状態切替制御を説明する。
【0064】
制御回路210は、RAM230に記憶している切替制御回路240の制御に関するファームウェアを実行する。制御回路210は、切替制御回路240の制御に関するファームウェアに従って、複数のパラメータのうち第3パラメータをレジスタ241に設定する(S210)。
【0065】
制御回路210は、第3パラメータを設定したことに応じて切替制御回路240を動作させる(S220)。切替制御回路240は、第3パラメータに基づいて、S-PSWを2つずつオフに切り替える。すなわち、切替制御回路240は、第3パラメータとして設定された個数単位でS-PSWをオンからオフに切り替える。
【0066】
制御回路210は、切替回路400のm個全てのS-PSW(第2スイッチ)がオフであるか確認する(S230)。全てのS-PSWがオフではない場合(S230;NO)、処理はS220に戻る。
【0067】
全てのS-PSWがオフである場合(S230;YES)、制御回路210は、切替制御回路240の制御に関するファームウェアに従って、パラメータのうち第4パラメータをレジスタ241に設定する(S240)。すなわち、スイッチPSWをオンからオフに順次切り替えていく期間中に、パラメータの変更が行われる。
【0068】
制御回路210は、第4パラメータを設定したことに応じて切替制御回路240を動作させる(S250)。切替制御回路240は、第4パラメータに基づいて、W-PSWを1つずつオフに切り替える。すなわち、切替制御回路240は、第4パラメータとして設定された個数単位でW-PSWをオンからオフに切り替える。
【0069】
制御回路210は、切替回路400のn個全てのW-PSW(第1スイッチ)がオフであるか確認する(S260)。全てのW-PSWがオフではない場合(S260;NO)、処理はS250に戻る。全てのW-PSWがオフである場合(S260;YES)、全てのスイッチPSWがオフに切り替わり、半導体装置1はスタンバイ状態となる。以上で半導体装置1をアクティブ状態からスタンバイ状態に切り替える状態切替制御が完了する。
【0070】
なお、本実施形態において、全てのS-PSWがオフである場合(S230;YES)、制御回路210は、切替制御回路240の制御に関するファームウェアに従って、パラメータのうち第3パラメータをレジスタ241に設定した(S240)が、これに限定されない。例えば、制御回路210が、切替制御回路240の制御に関するファームウェアに従って、複数のパラメータのうち第3パラメータをレジスタ241に設定(S210)した後に、第4パラメータをレジスタ241に設定(S240)しても良い。
【0071】
図13は、第4実施形態に係るスイッチ制御段数と時間の関係を表したグラフである。スイッチ制御段数は、オンであるスイッチPSWの数である。実線は、本実施形態の状態切替制御を行った場合を表している。
【0072】
T100において、半導体装置1はアクティブ状態からスタンバイ状態への切り替えが開始される。まず第3パラメータである2に基づいて、S-PSWは2つずつオフに切り替えられる。T41において、S-PSWは全てオフに切り替わる。そして、第4パラメータである1に基づいて、W-PSWは1つずつオフに切り替えられる。T42において、W-PSWは全てオフに切り替わる。
【0073】
(効果)
図13に示す点線は比較例の状態切替制御を行った場合を表している。比較例は、出荷前に切替回路400のS-PSWの性能を測定しない例である。このような比較例は、レギュレータ100から安定した電源電圧が供給可能なように、例えば1つずつS-PSWがオフに切り替えられる。比較例の状態切替制御の場合、T43において全てのスイッチPSWはオフに切り替わる。したがって、本実施形態は比較例よりΔT1だけ速くアクティブ状態からスタンバイ状態に切り替えることが可能となる。
【0074】
以上のように、本実施形態によれば、半導体装置1をアクティブ状態からスタンバイ状態に切り替える場合も、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態は比較例と比較してΔT1だけ速くスタンバイ状態に切り替えることができるため、半導体装置1の消費電力をより抑えることが可能である。
【0075】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態に係る半導体集積回路1について、
図14を参照して説明する。第5実施形態は、S-PSWに加えて、W-PSWについても測定結果に基づいてパラメータを設定している点が、第4実施形態とは異なる。以下、主に、第4実施形態と異なる点について記載する。
【0076】
本実施形態では、例えば、出荷前に半導体装置1毎にレギュレータ100が安定した電源電圧を供給しつつ、同時に切り替えることが可能なW-PSW及びS-PSWの数をそれぞれ測定する。測定結果は、パラメータとして設定される。本実施形態において、第4パラメータは、第3パラメータと同様にスイッチPSWの性能に基づいた値である。
【0077】
本実施形態の半導体装置1において、レギュレータ100が安定した電源電圧を供給しつつ、同時に切り替えることが可能なS-PSWが3つであった場合、第3パラメータを例えば3とする。また、レギュレータ100が安定した電源電圧を供給しつつ、同時に切り替えることが可能なW-PSWが2つであった場合、第4パラメータを例えば2とする。
【0078】
図14は、第5実施形態に係るスイッチ制御段数と時間の関係を表したグラフである。実線は、本実施形態の状態切替制御を行った場合を表している。点線は、比較例の状態切替制御を行った場合を表している。
【0079】
比較例は、出荷前に切替回路400のスイッチPSWの性能を測定しない。そのためレギュレータ100から安定した電源電圧が供給可能なように、例えば1つずつスイッチPSWがオフに切り替えられる。比較例の状態切替制御の場合、T43において、全てのスイッチPSWはオフに切り替わる。
【0080】
一方、本実施形態では、まず第3パラメータである3に基づいて、S-PSWが3つずつオフに切り替えられる。T51において、S-PSWは全てオフに切り替わる。そして、第4パラメータである2に基づいて、W-PSWが2つずつオフに切り替えられる。T52において、W-PSWは全てオフに切り替わる。したがって、本実施形態は比較例よりΔT1aだけ速くアクティブ状態からスタンバイ状態に切り替えることが可能である。
本実施形態におけるΔT1aは、第4実施形態におけるΔT1より長い時間である。
【0081】
(効果)
本実施形態によれば、第4実施形態と同様の効果を得ることができる。また、S-PSWだけでなく、W-PSWについても測定結果に基づいた第4パラメータに基づいてオフにすることにより、第4実施形態と比較して、半導体装置1の消費電力をより抑えることが可能である。
【0082】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態に係る半導体集積回路1について、
図15及び
図16を参照して説明する。第6実施形態は、任意のスイッチPSWの数によってパラメータを変更している点が、第4実施形態とは異なる。以下、主に、第4実施形態と異なる点について記載する。
【0083】
本実施形態では、例えば、出荷前に半導体装置1毎にレギュレータ100が安定した電源電圧を供給しつつ、同時に切り替えることが可能なスイッチPSWの数を測定する。測定結果は、パラメータとして設定される。本実施形態において、第3パラメータ及び第4パラメータは測定結果に基づいた値である。
【0084】
本実施形態において、S-PSWmからS-PSWyのy個(yは1≦y<mである自然数)のS-PSWは、レギュレータ100が安定した電源電圧を供給しつつ、2つずつ同時に切り替えることが可能である。また、本実施形態において、PSWは80個であるため、S-PSW(y-1)からW-PSW1の80-y個のスイッチPSWは、レギュレータ100が安定した電源電圧を供給しつつ、3つずつ同時に切り替えることが可能である。この場合、第3パラメータを例えば2とし、第4パラメータを例えば3とする。
【0085】
図15は、第6実施形態に係る半導体集積回路の状態切替制御のフローチャートである。
図15を用いて、半導体装置1をアクティブ状態からスタンバイ状態に切り替える状態切替制御を説明する。
【0086】
S210及びS220は第4実施形態と同様である。制御回路210は、切替回路400の設定された任意の数のスイッチPSWがオフになっているか確認する(S235)。
本実施形態においては、制御回路210は、y個のS-PSWがオフであるか確認する。
設定された任意の数のスイッチPSWがオフではない場合(S235;NO)、処理はS220に戻る。
【0087】
設定された任意の数のスイッチPSWがオフである場合(S235;YES)、処理はS240に進む。S240及びS250は第4実施形態と同様である。
【0088】
制御回路210は、切替回路400の全てのスイッチPSWがオフであるか確認する(S265)。全てのスイッチPSWがオフではない場合(S265;NO)、処理はS250に戻る。全てのスイッチPSWがオフである場合(S265;YES)、全てのスイッチPSWがオフに切り替わり、半導体装置1はスタンバイ状態となる。以上で半導体装置1をアクティブ状態からスタンバイ状態に切り替える状態切替制御が完了する。
【0089】
図16は、第6実施形態に係るスイッチ制御段数と時間の関係を表したグラフである。実線は、本実施形態の状態切替制御を行った場合を表している。点線は、比較例の状態切替制御を行った場合を表している。
【0090】
比較例は、出荷前に切替回路400のスイッチPSWの性能を測定しない。そのためレギュレータ100から安定した電源電圧が供給可能なように、例えば1つずつスイッチPSWがオフに切り替えられる。比較例の状態切替制御の場合、T43において、全てのスイッチPSWはオフに切り替わる。
【0091】
一方、本実施形態では、まず第3パラメータである2に基づいて、S-PSWが2つずつオフに切り替えられる。T61において、設定された任意の数のスイッチPSWは全てオフに切り替わる。そして、第4パラメータである3に基づいて、まだオフに切り替えられていないスイッチPSWが3つずつオフに切り替えられる。T62において、スイッチPSWは全てオフに切り替わる。したがって、本実施形態は比較例よりΔT1bだけ速くスタンバイ状態に切り替えることが可能である。本実施形態におけるΔT1bは、第4実施形態におけるΔT1より長い時間である。
【0092】
(効果)
本実施形態によれば、第4実施形態と同様の効果を得ることができる。また、S-PSWとW-PSWとでパラメータを変更するのではなく、スイッチPSWの数でパラメータを変更することが可能である。つまり、スイッチPSWの性能に合わせてパラメータを変更するタイミングを最適化ことができる。したがって、第4実施形態と比較して、より半導体装置1に合わせた状態切替制御を行うことが可能である。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0094】
1・・・半導体装置、100・・・レギュレータ、200・・・第1電源ドメイン、210・・・制御回路、220・・・ROM、230・・・RAM、240・・・切替制御回路、241・・・レジスタ、243・・・加減算回路、244・・・信号線、245・・・デコーダ回路、246・・・切替制御線、300・・・第2電源ドメイン、400・・・切替回路、410・・・インバータゲート、420・・・インバータゲート。