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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183891
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】組立装置及び組立方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/012 20060101AFI20231221BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20231221BHJP
   H02G 3/30 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01B13/012 Z
B60R16/02 620S
H02G3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097688
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】秋田 武男
(72)【発明者】
【氏名】目黒 賢一
(72)【発明者】
【氏名】田口 朋孝
(72)【発明者】
【氏名】花岡 克成
【テーマコード(参考)】
5G363
【Fターム(参考)】
5G363AA07
5G363AA12
5G363AA16
5G363BA02
5G363DA13
5G363DA15
5G363DC02
(57)【要約】
【課題】ハーネスを湾曲させるケーブルの巻き癖を低減してハーネスを組み立てることができる組立装置及び組立方法を提供する。
【解決手段】車両に固定される固定具(22)が組み付けられるケーブル(21)を備えるハーネス(20)を組み立てる組立装置は、ケーブルの延在方向を軸線(X1)として該軸線回り方向(D3)に捻じられた状態の当該ケーブル(21)を保持する保持部(12、13)と、固定具をケーブルに組み付ける組付部(17)と、を備え、組付部は、軸線回り方向に捻じられた状態で保持部に保持されているケーブルに固定具を組み付ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に固定される固定具(22)が組み付けられるケーブル(21)を備えるハーネス(20)を組み立てる組立装置であって、
前記ケーブルの延在方向を軸線(X1)として該軸線回り方向(D3)に捻じられた状態の当該ケーブル(21)を保持する保持部(12、13)と、
前記固定具を前記ケーブルに組み付ける組付部(17)と、
を備え、
前記組付部は、前記軸線回り方向に捻じられた状態で前記保持部に保持されている前記ケーブルに前記固定具を組み付ける、
組立装置。
【請求項2】
前記保持部は、
前記固定具(21)が取り付けられる取付位置より一端側で前記ケーブル(21)を保持する第1保持部(12)と、前記取付位置よりも前記一端側とは異なる他端側で前記ケーブルを保持する第2保持部(13)と、
を含み、
前記第1保持部は、前記軸線(X1)と交差する第1方向(X2)に前記ケーブルを把持し、
前記第2保持部は、前記軸線と交差し、前記第1方向とは異なる第2方向(X3)に前記ケーブルを把持する、
請求項1に記載の組立装置。
【請求項3】
前記組立装置は、前記ケーブル(21)の外周面に視認可能なマーク(18b)を形成する形成部(18)を備え、
前記マークは、前記ケーブル(21)が前記軸線回り方向(D3)に捻じられた状態で、前記軸線(X1)を通る平面(S)が交差する前記外周面上の線(18c)に沿う形状に形成される、
請求項1または2に記載の組立装置。
【請求項4】
前記組立装置は、前記固定具(22)が載置されて当該固定具(22)の前記ケーブル(21)に対する取付位置を決める位置決め部(16)を備える、
請求項1または2に記載の組立装置。
【請求項5】
前記組立装置は、前記固定具(22)が載置されて当該固定具(22)の前記ケーブル(21)に対する取付位置を決める位置決め部(16)を備える、
請求項3に記載の組立装置。
【請求項6】
前記組立装置は、前記第1保持部(12)より前記ケーブル(21)の前記一端側に取り付けられたセンサ装置(23)を把持する第1把持部(14)を備える、
請求項2に記載の組立装置。
【請求項7】
前記組立装置は、該第2保持部(14)より第1保持部(12)側とは反対側に配置され、前記第2保持部(13)より前記第1保持部(12)側とは反対側の前記ケーブル(21)に組み付けられた前記固定具とは異なる第2の固定具(24)を把持する第2把持部(15)を備え、
前記組付部は、前記第1保持部(12)および前記第2保持部(13)の間の前記ケーブルに前記固定具を組み付ける、
請求項2に記載の組立装置。
【請求項8】
車両に固定される固定具(22)が組み付けられるケーブル(21)を備えるハーネス(20)を組み立てる組立装置により前記ハーネスを組み立てる組立方法であって、
前記組立装置が、
前記ケーブルの延在方向を軸線(X1)として該軸線回り方向(D3)に捻じられた状態の当該ケーブル(21)を保持する保持ステップ(S2)と、
前記固定具を前記ケーブルに組み付ける組付ステップ(S3)と、
を含み、
前記組付ステップでは、前記軸線回り方向に捻じられた状態で保持されている前記ケーブルに前記固定具を組み付ける、
組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に設置されるハーネスを組み立てる組立装置及び組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される各種電気部品間を接続して電源供給や信号通信に用いられるハーネスとして、部分的にハーネスを保持するとともに車両に固定される固定具が組み付けられて構成されるものがある。このようなハーネスは、当該ハーネスに組み付けられた固定具が車両に固定され、車両内の所定経路上に設置される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-304829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているようなハーネスは、電気部品間を接続するケーブルを備え、例えば、工場においてドラムに巻き付けられた状態のケーブルが所定の長さに切断され、当該所定の長さのケーブルに固定具が組み付けられて組み立てられる。ドラムに巻き付けられていたケーブルには、ケーブルを湾曲させる巻き癖が生じていることがある。ケーブルに巻き癖の生じているままハーネスに組み立てられることにより、組み立てられたハーネスに巻き癖が生じる。このような巻き癖が生じているハーネスが車両に設置される場合には、ハーネスを所定経路上に沿わせるためにハーネスや固定具に設計値よりも大きな負荷が生じたり、ハーネスが所定経路上からずれて車両の部材に接触してハーネスや固定具に設計値よりも大きな負荷が生じる虞がある。
【0005】
本発明は、前述の課題を背景としてなされたものであり、ハーネスを湾曲させるケーブルの巻き癖を低減してハーネスを組み立てることができる組立装置及び組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る組立装置は、車両に固定される固定具(22)が組み付けられるケーブル(21)を備えるハーネス(20)を組み立てる組立装置であって、ケーブルの延在方向を軸線(X1)として該軸線回り方向(D3)に捻じられた状態の当該ケーブル(21)を保持する保持部(12、13)と、固定具をケーブルに組み付ける組付部(17)と、を備え、組付部は、軸線回り方向に捻じられた状態で保持部に保持されているケーブルに固定具を組み付ける、構成である。
【0007】
このような構成によれば、組立装置は、ケーブルの延在方向を軸線として該軸線回り方向に捻じられた状態の当該ケーブルを保持する保持部を備えるので、ケーブルを軸線回り方向に捻じられた状態で保持することにより、当該ケーブルを捻じられた形状に変形させてハーネス(ケーブル)を湾曲させるように生じる巻き癖を低減させた状態で固定具を組付部により組み付けることができ、ハーネスに生じる巻き癖を低減してハーネスを組み立てることができる。
【0008】
本発明に係る組立方法は、車両に固定される固定具(22)が組み付けられるケーブル(21)を備えるハーネス(20)を組み立てる組立装置によりハーネスを組み立てる組立方法であって、組立装置が、ケーブルの延在方向を軸線(X1)として該軸線回り方向(D3)に捻じられた状態の当該ケーブル(21)を保持する保持ステップ(S2)と、前記固定具を前記ケーブルに組み付ける組付ステップ(S3)と、を含み、組付ステップでは、軸線回り方向に捻じられた状態で保持されているケーブルに固定具を組み付ける、構成である。
【0009】
このような構成によれば、組立方法は、ケーブルの延在方向を軸線として該軸線回り方向に捻じられた状態の当該ケーブルを保持する保持ステップを含むので、ケーブルを軸線回り方向に捻じられた状態で保持することにより、当該ケーブルを捻じられた形状に変形させてハーネス(ケーブル)を湾曲させるように生じる巻き癖を低減させた状態で固定具を組付具により組み付けることができ、ハーネスに生じる巻き癖を低減して当該ハーネス周囲の車両の部品等との干渉を押さえて車両に当該ハーネスを組み付けることができる。
【0010】
なお、本発明は、本発明の請求項に記載された発明特定事項のみを有するものであって良いし、本発明の請求項に記載された発明特定事項とともに該発明特定事項以外の構成を有するものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】ハーネスの組立装置の構成について説明するための図である。
図2】ハーネスに組み付けられるブラケットについて説明するための図である。
図3】ハーネスの外周面に形成されるマークについて説明するための図である。
図4】ハーネスの組立方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る組立装置および組立方法の実施形態の例について図面を用いて説明する。以下では、同一のまたは類似する説明を適宜簡略化または省略する場合がある。また、各図面において同一のまたは類似する部材または部分について同一の符号を付す、または符号を付することを省略する場合がる。また、部材または部分の詳細な構造について図示および説明を簡略化または省略する場合がある。
【0013】
なお、以下で説明する実施形態の構成、動作等は、一例であり、本発明は、そのような構成、動作等である場合に限定されず、本発明の範囲内で適宜変更することができる。本実施形態の組立装置10および組立方法により組立てられるハーネス20は、センサ装置として車両(例えば、自動車等)の車輪の回転速度を検出する車輪速センサを備える構成であるが、例えば、ハーネス20は、センサ装置23として車輪速センサとは異なるセンサ類を備える構成でも良い。また、例えば、ハーネス20は、端部にセンサ類を備えず、電子制御装置に接続されるコネクタ類を備えるような構成でも良いし、コネクタ類を備えず、電子制御装置に直接接続されるような構成でも良い。
【0014】
[組立装置について]
本実施形態に係る組立装置10について図1図3に基づいて説明する。組立装置10は、部分的にハーネス20を保持するとともに車両(図示略、例えば、自動車、自動二輪車等)に固定される固定具をハーネス20のケーブル21に組み付けて当該ハーネス20を組み立てる装置である。組立装置10は、固定具としてブラケット22をケーブル21に組み付けてハーネス20を組み立てる構成であるが、組立装置10は、固定具として例えばブラケット、クリップ、クランプ等のうちの複数個をケーブル21に組み付ける構成でも良いし、ケーブル21に固定具とともに当該固定具以外の部品(例えば、センサ装置23、コネクタ等)を組み付ける構成でも良い。
【0015】
図1に示すように、組立装置10は、ハーネス20のケーブル21を保持する各保持部12、13、14、15と、ケーブル21に組み付けられるブラケット22を位置決めする位置決め部16と、ブラケット22をケーブル21に組み付ける組付部17と、ケーブル21の外周面にマークを形成するマーク形成部18と、保持部12、13、14、15等が設置される設置台11と、を備える。
【0016】
設置台11には、各保持部12、13、14、15、位置決め部16、マーク形成部18等が設置される設置面11aが設けられている。また、設置面11aには、マーク形成部18の移動を所定方向D2に案内する直線状の溝11bが設けられている。
【0017】
各保持部12、13、14、15は、ケーブル21の延在方向を軸線X1として該軸線回り方向D3に捻じられた状態で当該ケーブル21を保持する治具である。
【0018】
第1保持部12は、固定具としてブラケット22が取り付けられるケーブル21の取付範囲より一端側(後述するセンサ装置23が取り付けられる側)でケーブル21を保持する。第1保持部12は、ケーブル21の軸線X1と交差する第1方向X2において互いに対向して配置される第1対向面12aおよび第2対向面12bを有する。第1対向面12aおよび第2対向面12bにより形成される隙間にケーブル21がはめ込まれ、各対向面がケーブル21の外周面を挟持することにより、第1保持部12は、ケーブル21を第1方向X2で把持するようになっている(図1図2参照)。
【0019】
第2保持部13は、ケーブル21上のブラケット22の取付範囲より上述のケーブル21の一端側とは反対側であり、ケーブル21の一端側とは異なる他端側(後述するクリップ24が取り付けられている側)でケーブル21を保持する。第2保持部13は、ケーブル21の軸線X1と交差し、上述の第1方向X2とは異なる第2方向X3において互いに対向して配置される第3対向面13aおよび第4対向面13bを有する。第3対向面13aおよび第4対向面13bにより形成される隙間にケーブル21がはめ込まれて各対向面がケーブル21の外周面を挟持することにより、第2保持部13は、ケーブル21を第2方向X3で把持するようになっている(図1図2参照)。
【0020】
第3保持部14は、上述の第1保持部12と同様にケーブル21の取付範囲より一端側(センサ装置23が取り付けられている側)であり、第1保持部12よりケーブル21の一端側で当該ケーブル21を保持する。また、第3保持部14は、ケーブル21の軸線X1と交差する第3方向X4において互いに対向して配置される第5対向面14aおよび第6対向面14bを有する。第3対向面13aおよび第4対向面13bにより形成される隙間にケーブル21がはめ込まれて各対向面がケーブル21の外周面を挟持することで、第3保持部14は、ケーブル21を第3方向X4で把持するようになっている(図1図2参照)。なお、ケーブル21の軸線X1と交差する第3方向X4は、第1方向X2または第2方向X3と同じ方向でも良し異なる方向でも良い。
【0021】
また、第3保持部14は、ケーブル21の端部に接続されるセンサ装置23を保持するセンサ保持部14cを備える。センサ保持部14cは、第3方向X4において互いに対向して配置される第7対向面14dおよび第8対向面14eを有しており、第6対向面14dおよび第7対向面14eにより形成される隙間にセンサ装置23がはめ込まれて各対向面がセンサ装置23の外周面を挟持することで、センサ保持部14cは、センサ装置23を第3方向X4で把持するようになっている(図1参照)。
【0022】
第4保持部15は、ケーブル21の途中に取り付けられるクリップ24を介してケーブル21を保持する。第4保持部15は、第2方向X3において互いに対向して配置される第9対向面15a、15bおよび第10対向面15cを有する。第9対向面15a、15bおよび第10対向面15cにより形成される隙間にクリップ24がはめ込まれて各対向面によりクリップ24の外周面を挟持することで、第4保持部15は、クリップ24を第2方向X3で把持するようになっている(図1参照)。
【0023】
位置決め部16は、後述する固定具としてのブラケット22が載置される載置面16a、16bを備える。載置面16a、16bは、ブラケット22の段部22dに対応する形状に予め形成されており、当該段部22dに当接される被当接部16cを含む。被当接部16cにブラケット22の段部22dが当接するように当該ブラケット22が載置面16a、16bに載置されることにより、ケーブル21の延設方向におけるブラケット22の取付位置、先にケーブル21に取り付けられているセンサ装置23およびクリップ24に対するブラケット22の取付角度が決定されるようになっている。
【0024】
組付部17は、ハーネス20のケーブル21に固定具であるブラケット22を変形させて組み付ける治具および機構(図示略)を含む。組付部17は、ブラケット22が位置決め部16に配置された状態で、治具および機構を作動させることで、後述するブラケット22の第1面22fと第2面22gとが対向するようにブラケット22のクランプ部22b、22cを変形させて(図3参照)、当該第1面22fと第2面22gとでケーブル21および当該ケーブル21を保護する保護部材22eを把持させるように、ケーブル21にブラケット22を組み付けるようになっている。なお、本実施形態の組立装置10は、固定具としてブラケット22をケーブル21に組み付ける組付部17を備える構成であるが、組付部17は、ブラケット以外の固定具(例えば、クランプ、クリップ等)をケーブル21に組み付ける構成でも良い。
【0025】
マーク形成部18は、ケーブル21の外周面に視認可能なインクを出力する出力部18aと、設置台11の溝11b上を移動する移動機構(図示略)とを含み、マーク形成部18は、上述の設置台11の溝11bにより案内されて設置面11a上を移動可能に構成されている。マーク形成部18を溝11bに沿って設置面11a上を移動させつつ、出力部18aからケーブル21の外周面にインクを出力させることで、軸線回り方向D3に捻じられた状態のケーブル21の外周面に直線状のマーク18bが形成されるようになっている。マーク18bは、ケーブル21が軸線回り方向D3に捻じられた状態で、軸線X1を通る平面Sが交差する外周面上の線18cに沿う形状かつ視認可能に形成される(図1図2参照)。
【0026】
なお、例えば、第2保持部13または第4保持部15は、ケーブル21を保持した状態で軸線方向3Dに回転させる回転機構を備え、当該回転機構が電力等の動力源を用いて回転駆動させれることでケーブル21が当該軸線方向に回転されて自動的に捻じられる構成でも良い。回転機構により自動的に捻じられる構成とすることで、ケーブル21に回転機構による所定の力を作用させて捻じることができ、ハーネスの巻き癖を予め定められた範囲内に軽減することができる。
【0027】
[ハーネスについて]
本実施形態に係るハーネス20について図1図3に基づいて説明する。本実施形態のハーネス20は、センサ装置23として車両の車輪の回転速度を検出する車輪速センサを備える車輪速センサハーネスである。センサ装置23により検出される車輪の回転速度に関する情報は、車両のブレーキ装置によるABS(Antilock Brake System)制御あるいはESC(Electronic Stability Contorol)制御等に用いられる。
【0028】
図1に示すように、ハーネス20は、センサ装置23と、当該センサ装置23と車両のブレーキ制御装置(図示略)との間を接続して電源供給および信号通信に用いられるケーブル21と、当該ケーブル21の所定位置に組み付けられる固定具と、ケーブル21の外周面に形成されるマーク18bと、を備える。
【0029】
ハーネス20の備えるケーブル21は、例えば、ニ芯ケーブルがドラムに巻かれた状態でアッセンブリー工場に入荷されて、ドラムに巻かれた状態から切断され伸ばされたものが用いられる。巻かれた状態から切断されたケーブル21には巻き癖(負荷のかけられていないフリーの状態で生じる湾曲等)が生じていることがある。また、ケーブル21として、例えば、ツイストペア線が用いられる場合には、当該ツイストペア線の巻き方向に応じた巻き癖がケーブル21に生じることがある。
【0030】
固定具は、部分的にハーネス20を保持するとともに車両(図示略)に固定される。本実施形態のハーネス20は、固定具としてブラケット22を備える。ブラケット22は、例えば、金属板材をプレス加工することにより形成され、平板状に形成されたベース部22a、と、当該ベース部22aから延出されたクランプ部22b、22cと、を有する。
【0031】
ベース部22aには、ブラケット22が組立装置10の位置決め部16に配置された際に、位置決め部16の被当接部16cに当接してブラケット22と位置決め部16の位置関係を決める段部22dが予め形成されている。
【0032】
クランプ部22b、22cは、上述のように組付部17により、ブラケット22の第1面22fと第2面22gとが対向するように変形させられて(図3参照)、当該第1面22fと第2面22gとでケーブル21および保護部材22eを把持するようになっている。
【0033】
また、ブラケット22の所定位置には、当該ブラケット22を用いて車両にハーネス20が配索される際にブラケット22を車両に固定するための固定手段(例えば、ボルト、当該ボルトを挿通する挿通孔等)が設けられている。
【0034】
マーク18bは、上述のようにマーク形成部18により、ケーブル21が軸線回り方向D3に捻じられた状態で、軸線X1を通る平面Sが交差する外周面上の線18cに沿う形状かつ視認可能に形成される(図1図2参照)。マーク18bは、ケーブル21の外周面上の径方向のどの位置に形成されていても良い。マーク18bがケーブル21の軸線方向に直線状となるように、ケーブル21が軸線回り方向D3に捻じられた状態でハーネス20を車両に設置することで、ケーブル21自体の巻き癖が抑制してハーネス20を車両に設置することができ、ハーネス20毎の巻き癖の違いによる当該ハーネス20の設置経路のばらつきを軽減することができる。
【0035】
なお、本実施形態のハーネス20は、センサ装置23とブレーキ制御装置とを電気的に接続するケーブル21を備える構成であるが、ハーネス20が備えるケーブルは、各種電気部品(例えば、センサ、バッテリ、モータ、制御装置等)間を接続して電源供給や信号通信に用いられる構成でも良い。
【0036】
[組立方法について]
本実施形態に係る組立装置10によるハーネス20の組立方法について、図4に基づいて説明する。
【0037】
図4に示すように、ハーネス20の組立方法は、ケーブル21をその延在方向を軸線X1として該軸線回り方向D3に捻じる捻じりステップ(S1)と、軸線回り方向D3に捻じられた状態のケーブル21を保持する保持ステップ(S2)と、固定具であるブラケット22をケーブル21に組み付ける組付ステップ(S3)と、ケーブル21の外周面にマーク18bを形成するマークステップ(S4)と、を含む。
【0038】
捻じりステップ(S1)では、例えば、工場においてドラムに巻き付けられた状態のケーブルが所定の長さに切断され、当該所定の長さのケーブル21が所定角度(ケーブル21を捻じられた形状に変形させる角度、例えば、180度等)軸線回り方向D3に捻じられる。当該ステップは、ケーブル21は、所定の治具(図示略)により捻じられる構成でも良いし、工場の作業者の手作業等により捻じられる構成でも良い。なお、捻じりステップ(S1)において、ケーブル21を捻じる方向は、上述の軸線回り方向D3と反対方向でも良い(図示略)。また、ケーブル21を捻じる位置は、当該ケーブル21の全体でも良いし、ケーブル21の所定の一部分でも良い。また、捻じりステップ(S1)において、ケーブル21は、作業者による人力で捻じられる構成でも良いし、例えば第2保持部13を第1保持部12に対して軸線回り方向D3に電力などの動力源を用いて回転駆動させる機構を有する装置等により自動的に捻じられる構成でも良い。
【0039】
保持ステップ(S2)では、上述の捻じりステップS1により軸線回り方向D3に捻じられた状態のケーブル21を第1保持部12~第4保持部15により保持する(S2)。第1保持部12~第4保持部15により保持させることで、ケーブル21は、捻じられた形状に応じて変形させられ、ドラムに巻き付けられていたことによる巻き癖が低減される。
【0040】
組付ステップ(S3)では、上述のステップS2により捻じられた状態で保持されているケーブル21に、位置決め部16により所定位置に位置決めされてブラケット22が組み付けられる。
【0041】
マークステップ(S3)では、捻じられた状態で保持されているケーブル21の外周面に、上述の組立装置10のマーク形成部18によりマーク18bを形成する。なお、マークステップは、上述の捻じりステップ(S1)の後、組付ステップ(S3)の前に実行される構成でも良い。
【0042】
[作用効果について]
従来、車両(例えば、自動車等)に搭載される各種電気部品(例えば、センサ、バッテリ、モータ、制御装置等)間を接続して電源供給や信号通信に用いられるハーネスが車両に設置される。このようなハーネスは、例えば、工場においてドラムに巻き付けられた状態のケーブルが所定の長さに切断され、当該所定の長さのケーブルに固定具が組み付けられて組み立てられる。ドラムに巻き付けられていたケーブルには、ケーブルを湾曲させる巻き癖が生じていることがある。ケーブルが巻き癖の生じているままハーネスに組み立てられることにより、組み立てられたハーネスに巻き癖が生じる。このような巻き癖が生じているハーネスが車両に設置される場合には、ハーネスを所定経路上に沿わせるためにハーネスや固定具に設計値よりも大きな負荷が生じたり、ハーネスが所定経路上からずれて車両の部材(例えば、ショックアブソーバ、タイヤハウスのパネル等)に接触してハーネスや固定具に設計値よりも大きな負荷が生じる虞がある。
【0043】
これに対して、本実施形態の組立装置10は、車両に固定される固定具(例えば、ブラケット22)が組み付けられるケーブル21を備えるハーネス20を組み立てる組立装置であって、ケーブル21の延在方向を軸線X1として該軸線回り方向D3に捻じられた状態の当該ケーブル21を保持する第1保持部12、第2保持部13(保持部)と、固定具であるブラケット22をケーブル21に組み付ける組付部17と、を備え、組付部17は、軸線回り方向D3に捻じられた状態で保持部に保持されているケーブル21にブラケット22を組み付ける構成である。
【0044】
このような構成では、組立装置10では、ケーブル21の延在方向を軸線X1として該軸線回り方向D3に捻じられた状態の当該ケーブル21を保持する第1保持部12および第2保持部13(保持部)を備えるので、ケーブル21を軸線回り方向D3に捻じられた状態で保持することにより、当該ケーブル21を捻じられた形状に変形させてハーネス20を湾曲させるように生じるケーブル21の巻き癖を低減させた状態でブラケット22を組付部17により組み付けることができ、ハーネス20に生じる巻き癖を低減して組み立てることができる。
【0045】
なお、本実施形態の組立装置10では、ケーブル21は、捻じられた後に第1保持部12、第2保持部13により保持され、当該第1保持部12および第2保持部13(保持部)は、捻じられた状態のケーブル21を保持する構成であるが、ケーブル21が第1保持部12および第2保持部13(保持部)に保持された後に軸線方向に捻じられて、その捻じられた状態で当該第1保持部12および第2保持部13(保持部)に保持される構成でも良い。また、また、ケーブル21を捻じる作業は、作業者の人力作業により行われる構成でも良いし、電力などの動力により駆動される装置等により自動的に行われる構成でも良い。
【0046】
本実施形態の組立装置10は、ハーネス20のケーブル21を保持する第1保持部12および第2保持部13(保持部)を備え、第1保持部12は、第1対向面12aおよび第2対向面12bによりケーブル21を第1方向X2で把持して、第2保持部13は、第3対向面13aおよび第4対向面13bによりケーブル21を第1方向X2とは異なる第2方向X3で把持する構成である。
【0047】
このような構成では、第1保持部12および第2保持部13の各対向面12a、12b、13a、13bにおいてケーブル21が捻じられる方向D3に摩擦力を作用させることができるので、第1保持部12および第2保持部13によりケーブル21を軸線回り方向D3に捻じられた状態に保持する能力を高めることができる。
【0048】
また、このような構成では、第1対向面12aおよび第2対向面12bの対向方向と、第3対向面13aおよび第4対向面13bの対向方向を異ならせることで、第1対向面12aおよび第2対向面12bの隙間の開口方向と、第3対向面13aおよび第4対向面13bの隙間の開口方向とを異ならせることができ、各隙間にケーブル21をはめ込む際の作業性を向上させることができる。
【0049】
本実施形態の組立装置10は、ケーブル21の外周面に視認可能なマーク18bを形成するマーク形成部18を備え、マーク18bは、ケーブル21が軸線回り方向D3に捻じられた状態で、軸線X1を通る平面Sが交差する外周面上の線18cに沿う形状に形成される、構成である。このような構成では、マーク形成部18により、ケーブル21に固定具(ブラケット22)が組み付けられる際に、軸線回り方向D3に捻じられた状態のケーブル21の外周面に視認可能な直線状のマーク18bが形成されるので、ケーブル21を車両に設置する際にマーク18bが直線状になるようにケーブル21を捻じることで、固定具を組み付ける際のケーブル21の捻じれ状態を容易に再現することができ、ハーネス20を車両に設置する際の作業性を向上させることができる。
【0050】
本実施形態の組立装置10は、固定具としてブラケット22が載置されて当該ブラケット22のケーブル21に対する取付位置を決める位置決め部16を備える構成である。このような構成では、位置決め部16を用いて、ブラケット22のケーブル21に対する取付位置を定めて、組付部17により、ブラケット22をケーブル21に組み付けることができる。
【0051】
本実施形態の組立装置10は、ハーネス20のケーブル21を保持する第3保持部14を備え、第3保持部14は、第1保持部12よりケーブル21の一端側に取り付けられたセンサ装置23を把持する第1把持部としてセンサ保持部14cを備える。第3保持部14は、第5対向面14aおよび第6対向面14bによりケーブル21を第3方向X4で把持して、センサ保持部14cは、第7対向面14dおよび第8対向面14eによりセンサ装置23を第3方向X4で把持する構成である。このような構成では、第3保持部14の第5~第8対向面14a、14b、14d、14eによりケーブル21とセンサ装置23とを同じ第3方向X4に把持することで、ケーブル21とセンサ装置23が相対的に回転移動することを低減することができ、ケーブル21とセンサ装置23の接続部分に生じる回転力による負荷を低減することができる。
【0052】
本実施形態の組立装置10は、軸線回り方向D3に捻じられた状態のケーブル21を保持する第1保持部12および第2保持部13と、該第2保持部13より第1保持部12側とは反対側に配置され、ケーブル21に組み付けられる固定具であるブラケット22とは異なる第2の固定具(例えば、クリップ24等)を把持する第2把持部として第4保持部15と、を備え、第2保持部13と第4保持部15との間のケーブル21にブラケット22を組み付ける構成である。このような構成では、第1保持部12および第2保持部13により捻じられた状態でケーブル21を保持させつつ、第4保持部15により保持されているクリップ24に対して位置決めして、ブラケット22をケーブル21に組み付けることができる。
【0053】
本実施形態の組立方法は、車両に固定される固定具(例えば、ブラケット22)が組み付けられるケーブル21を備えるハーネス20を組み立てる組立装置10によりハーネス20を組立方法であって、ケーブル21の延在方向を軸線X1として該軸線回り方向D3に捻じられた状態の当該ケーブル21を保持する保持ステップ(S2)と、固定具であるブラケット22をケーブル21に組み付ける組付ステップ(S3)と、を含み、組付ステップでは、軸線回り方向D3に捻じられた状態で保持部に保持されているケーブル21にブラケット22を組み付ける構成である。
【0054】
このような構成では、組立方法では、ケーブル21の延在方向を軸線X1として該軸線回り方向D3に捻じられた状態の当該ケーブル21を保持する保持ステップ(S2)を含むので、ケーブル21を軸線回り方向D3に捻じられた状態で保持することにより、当該ケーブル21を捻じられた形状に変形させてハーネス20を湾曲させるように生じる巻き癖を低減させた状態で固定具としてブラケット22を組付部17により組み付けることができ、ハーネス20に生じる巻き癖を低減してハーネス20を組み立てることができる。
【0055】
なお、本実施形態の組立装置10は、固定具としてブラケット22をケーブル21に組み付ける組付部17を備える構成であるが、組付部17は、ブラケット以外の固定具(例えば、クランプ、クリップ等)をケーブル21に組み付ける構成でも良い。
【0056】
また、本実施形態の組立方法では、ケーブル21は、捻じりステップ(S1)において所定角度軸線回り方向に捻じられた後、保持ステップ(S2)において第1保持部12~第4保持部15により保持される構成であるが、ケーブル21は、第1保持部12~第4保持部15により保持された後に、軸線回り方向に捻じられる構成でも良い。このような構成として、例えば、組立方法では、ケーブル21は、第1保持部12~第4保持部15により保持された後に軸線回り方向に捻じられて捻じられた状態とされ、当該捻じられた状態のケーブル21が保持ステップ(S2)で保持され、その後、組付ステップ(S3)により固定具がケーブル21に組み付ける構成等でも良い。また、ケーブル21を捻じる作業は、作業者の人力作業により行われる構成でも良いし、電力などの動力により駆動される装置等により自動的に行われる構成でも良い。
【0057】
以上、本発明の実施形態の例を説明してきたが、本発明はこの実施形態の例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0058】
10 組立装置
12 第1保持部(保持部)
13 第2保持部(保持部)
14 第1把持部(保持部)
15 第2把持部(保持部)
16 位置決め部
17 組付部
18 マーク形成部(形成部)
20 ハーネス
21 ケーブル
22 ブラケット(固定具)
23 車輪速センサ(センサ装置)
24 クリップ(第2の固定具)
図1
図2
図3
図4