(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183899
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
D06F58/02 A
D06F58/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097700
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】竹川 正訓
(72)【発明者】
【氏名】谷口 光徳
(72)【発明者】
【氏名】上野 聖一
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA05
3B166AA12
3B166AA24
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA13
3B166CA01
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3B166CB13
3B166DC45
3B166DC47
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3B166EC02
3B166EC12
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3B166EC22
3B166EC40
3B166EC42
3B166EE01
3B166EE02
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3B166GA02
3B166GA14
3B166GA22
3B166JM01
3B166JM02
3B166JM03
(57)【要約】
【課題】本開示は、加熱手段の周囲の部品への類焼を抑制する衣類処理装置を提供する。
【解決手段】本開示における衣類処理装置は、筐体と、前記筐体内に設けられ、洗濯物が収容される収容槽と、前記収容槽に流入する空気が通過する経路と、前記経路と接続され、記経路を通過する空気を加熱する加熱手段と、を備え、前記加熱手段は、通電により発熱する電熱線と、難燃部材により形成され、前記電熱線の周囲を覆う外側ケースと、を有し、前記外側ケースは、略水平方向に開口している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に設けられ、洗濯物が収容される収容槽と、
前記収容槽に流入する空気が通過する経路と、
前記経路と接続され、前記経路を通過する空気を加熱する加熱手段と、
を備え、
前記加熱手段は、
通電により発熱する電熱線と、
難燃部材により形成され、前記電熱線の周囲を覆う外側ケースと、
を有し、
前記外側ケースは、略水平方向に開口している、
衣類処理装置。
【請求項2】
前記電熱線は、前記加熱手段内において、加熱手段における空気の流れの上流側から下流側になるにつれて、前記電熱線に囲まれた断面積が大きくなるように略螺旋状に巻かれている、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記加熱手段は、前記電熱線を巻くための基板を有し、
前記加熱手段内において、前記基板に前記電熱線が巻き付けられる巻回部が複数形成され、
前記巻回部は、
前記加熱手段の最も前記下流側に位置する巻回部である第1の巻回部と、
前記第1の巻回部の前記上流側において、前記第1の巻回部と隣接する第2の巻回部と、前記第2の巻回部の前記上流側において、前記第2の巻回部と隣接する第3の巻回部と、を含み、
前記第1の巻回部と前記第2の巻回部との間の長さは、前記第2の巻回部と前記第3の巻回部との間の長さよりも長い、
請求項2に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記加熱手段は、前記電熱線を巻くための基板を有し、
前記基板には、
前記電熱線の一端と電気的に接続される第1の端子と、
前記電熱線の他端と電気的に接続される第2の端子と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間において、表裏を貫通させる孔部と、
が設けられている、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記基板は、水平に対して傾斜して設けられている、
請求項4に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記加熱手段は、
略水平方向に延伸して設けられている基板と、
前記基板に配設されている復帰型のサーモスタットと、
を有し、
前記サーモスタットは、
前記基板に固定されるサーモスタット基板と、
前記サーモスタット基板に接続された動作部と、
前記動作部に接続され、熱膨張率の異なる2種類の金属が貼り合わされたバイメタルと、
前記サーモスタット基板に設けられた第1の接点と、
前記動作部に設けられた第2の接点と、
を有し、
前記第1の接点および前記第2の接点は、前記基板の下面側に設けられている、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項7】
前記動作部は、前記サーモスタット基板のうち、前記加熱手段における空気の流れの上流側において前記サーモスタット基板と接続され、
前記第2の接点は、前記動作部のうち、前記加熱手段における空気の流れの下流側に設けられている、
請求項6に記載の衣類処理装置。
【請求項8】
前記外側ケースの端部には、前記外側ケースから外方に向かって突出したフランジおよび舌部が設けられ、
前記経路には、前記フランジが挿入される溝部と、ビスによって前記舌部と固定されるボスと、が設けられている、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気を加熱する加熱手段を備えた衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、乾燥用空気を加熱する加熱部を備える衣類乾燥装置を開示する。この衣類乾燥装置は、本体と、本体内に回転自在に設けられた回転ドラムと、本体外の空気を乾燥用空気として取り入れる吸気口と、吸気口から回転ドラムへ前記乾燥用空気を送給する吸気経路と、乾燥用空気を加熱する加熱部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、加熱手段の周囲の部品への類焼を抑制する衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における衣類処理装置は、筐体と、前記筐体内に設けられ、洗濯物が収容される収容槽と、前記収容槽に流入する空気が通過する経路と、前記経路と接続され、記経路を通過する空気を加熱する加熱手段と、を備え、前記加熱手段は、通電により発熱する電熱線と、難燃部材により形成され、前記電熱線の周囲を覆う外側ケースと、を有し、前記外側ケースは、略水平方向に開口している。
【発明の効果】
【0006】
本開示における洗濯機は、加熱手段の周囲の部品への類焼を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1における衣類処理装置の概略縦断面図
【
図2】実施の形態1における衣類処理装置の吸気経路の吸気経路入口近傍の縦断面図
【
図3】実施の形態1における衣類処理装置の加熱手段の前面図
【
図4】実施の形態1における衣類処理装置の加熱手段の縦断面図
【
図5】実施の形態1における衣類処理装置の第2の基板の上面図
【
図6】実施の形態1における衣類処理装置の第2の基板の下面図
【
図7】実施の形態1における衣類処理装置の第1の接点および第2の接点が接触している状態のサーモスタットの側面図
【
図8】実施の形態1における衣類処理装置の第1の接点および第2の接点が離隔している状態のサーモスタットの側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0009】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していな
い。
【0010】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図7を用いて、実施の形態1を説明する。
【0011】
[1-1.構成]
[1-1-1.衣類処理装置の構成]
(衣類処理装置100)
図1に示すように、衣類処理装置100は、筐体101と、水槽102と、回転ドラム103と、を備える。水槽102は、筐体101内に有底円筒状に形成され、貯水可能に設けられている。回転ドラム103は、水槽102内に回転可能に設けられ、背面側を回転軸103aによって軸支されている。回転軸103aは、モータ110と接続され、モータ110が回転することにより、回転ドラム103が回転する。回転ドラム103の周壁には、多数の通水孔103bが設けられており、水槽102と回転ドラム103とを通水可能にしている。
【0012】
筐体101の前面には、筐体開口部101aと、筐体側通気孔101bと、が設けられている。筐体開口部101aは、外部と、水槽102の内部と、を連通する開口である。筐体側通気孔101bは、筐体101の内外を連通する通気孔である。
【0013】
筐体101の前面には、蓋体104が設けられている。蓋体104は、筐体101に対して回動可能に設けられており、筐体開口部101aおよび筐体側通気孔101bを開閉可能に覆う。蓋体104の上部には、外部と蓋体104内とを連通する蓋体側通気孔104aが設けられている。筐体側通気孔101bおよび蓋体側通気孔104aにより、衣類処理装置100の内外が連通する。
【0014】
筐体101の内方上部には、給水弁(図示せず)および給水経路(図示せず)が設けられている。給水弁は、開閉可能に設けられた電磁弁であり、給水弁が開かれると、外部から筐体101内に水が導入される。給水経路は、給水弁と水槽102との間に設けられた経路であり、給水経路の途中には、洗剤ケース(図示せず)が設けられている。
【0015】
筐体101の内方下部には、排水弁(図示せず)および排水経路(図示せず)が設けられている。排水弁が開かれると、水槽102内の水が筐体101の外部に放出される。
【0016】
(吸気経路200)
筐体101の内方には、吸気経路200が設けられている。吸気経路200は、筐体101の内方に開口している吸気経路入口201と、水槽102の前部の周壁に設けられた吸気経路出口202と、を結ぶ経路である。吸気経路入口201の上流には、加熱手段300が脱着可能に設けられている。加熱手段300は、筐体101および筐体側通気孔101bから離隔して設けられている。なお、加熱手段300については、後ほど詳述する。
【0017】
図1、
図2に示すように、吸気経路200内には、吸気弁210が設けられている。吸気弁210は、吸気経路入口201から吸気経路出口202に向かって空気が流れる時に開状態となり、無風時、および、吸気経路出口202から吸気経路入口201に向かって空気が流れようとする時に、閉状態となる。つまり、吸気弁210は、吸気経路200における空気の流れの向きを、吸気経路入口201から吸気経路出口202に向かう向きに制限している。
【0018】
図2に示すように、吸気経路入口201および吸気経路入口201の上流側には、吸気
経路溝部220と、ボス221と、吸気経路支持部222と、が設けられている。吸気経路溝部220は、吸気経路入口201の内側の側部および下部に設けられており、後述する加熱手段300のフランジ312(
図3、
図4)が挿入される溝である。ボス221は、吸気経路200の、吸気経路入口201の上方に設けられている、ビス止め用の孔である。吸気経路支持部222は、水平から3度上向きに傾斜して、吸気経路入口201の下部から上流に向かって延伸している。吸気経路支持部222は、加熱手段300が吸気経路200に装着されると、加熱手段300の下部を支える。
【0019】
(排気経路400)
図1に示すように、筐体101の内方には、排気経路400が設けられている。排気経路400は、水槽102の後部の周壁に設けられた排気経路入口401と、筐体101の外面に設けられた排気経路出口402と、の間の経路である。
【0020】
排気経路400には、排気経路入口401と排気経路出口402との間に、排気弁410が設けられている。排気弁410は、排気経路400を開閉可能に設けられている。排気弁410が開状態となると、水槽102内の空気が、排気経路400を通過して筐体101の外部に排出可能となる。
【0021】
(制御装置)
筐体101の内方には、制御装置(図示せず)が設けられている。制御装置は、モータ110、排気弁410、給水弁および排水弁を制御する。また、制御装置は、後述する発熱線390(
図3~
図6)への通電のON/OFFを制御することにより、電熱線390よる発熱のON/OFFを制御する。
【0022】
[1-1-2.加熱手段]
(加熱手段300)
図3および
図4に示すように、加熱手段300は、ケース310と、加熱手段基板305と、電熱線390と、を含む。
【0023】
(ケース310)
ケース310は、両端が開口した略箱形状に形成されている。加熱手段300が吸気経路200に取り付けられた状態で、ケース310は前後に略水平方向に開口している。本実施の形態において、加熱手段300が吸気経路200に取り付けられた状態における、ケース310の後側の開口を加熱手段入口301、ケース310の前側の開口を加熱手段出口302と定義し、加熱手段入口301から加熱手段出口302に向かう空気の流れを、空気の流れYと定義する。本実施の形態において、加熱手段300は水平に対して3度傾斜して設けられており、加熱手段入口301が加熱手段出口302よりも高く位置している。
【0024】
ケース310は、加熱手段300の外郭を形成する外側ケース311と、外側ケース311の内側に設けられた内側ケース315と、を含む。外側ケース311は、板金などの難燃部材で形成されている。内側ケース315は、マイカ板などの絶縁部材で形成されている。
【0025】
加熱手段300は、加熱手段入口301および加熱手段出口302が略水平に開口しており、電熱線390を板金で形成された外側ケース311が囲んでいる。これにより、加熱手段入口301から流入する空気によって埃などの異物が電熱線390に付着し、異物が燃焼した場合においても、加熱手段300から上方へと類焼せず、加熱手段300内で燃え尽きる。
【0026】
加熱手段300は、筐体101から離隔して設けられており、加熱手段入口301と筐体側通気孔101bとは、経路等で結ばれず、離隔して設けられている。さらに、加熱手段300の内側ケース315は絶縁部材により構成されているので、電熱線390と筐体101とは絶縁して設けられている。
【0027】
外側ケース311の、加熱手段出口302側端部には、フランジ312および舌部313が設けられている。フランジ312は、外側ケース311の下部および側部から、外方に向かって延伸するように突出している。フランジ312は、吸気経路200の吸気経路溝部220(
図2)に挿入される。舌部313は、外側ケース311の上部に設けられ、ビス(図示せず)を挿入するための舌部孔313aが設けられている。ボス221(
図2)と舌部313とをビス(図示せず)で固定することで、加熱手段300が吸気経路200に固定される。加熱手段300が吸気経路200に固定された状態で、加熱手段出口302と吸気経路入口201とが連通する(
図1)。
【0028】
(加熱手段基板305、第1の基板320、第2の基板330、電熱線390)
図3および
図4に示すように、加熱手段基板305は、第1の基板320および第2の基板330を含む。第1の基板320は、ケース310内において、鉛直方向に延伸するように設けられており、第2の基板330は、第1の基板320と直交するように設けられている。本実施の形態において、第2の基板330は、加熱手段出口302側に対して加熱手段入口301側が高くなるように設けられている。
【0029】
図3~
図6に示すように、電熱線390は、第1の基板320と第2の基板330との周囲に巻き付けられて設けられている。図示はしないが、電熱線390は、ニクロム線により形成された渦巻き状のコイル線である。なお、電熱線390は、通電により発熱する発熱素子であればよく、素材はニクロムに限定されず、安価に製造できる鉄クロムであってもよい。
【0030】
図4に示すように、第1の基板320の上下には、電熱線390を巻くための第1の溝部321が複数形成されている。第1の基板320の上部に設けられた第1の溝部321を結んだ仮想線と、第1の基板320の下部に設けられた第1の溝部321を結んだ仮想線と、の間の長さを長さh1とすると、長さh1は、空気の流れYの上流側から下流側になるに従って、長くなるように設けられている。言い換えると、長さh1は、加熱手段入口301側から加熱手段出口302側になるに従って、長くなるように設けられている。
【0031】
図5および
図6に示すように、第2の基板330の左右には、電熱線390を巻くための第2の溝部331が複数形成されている。第2の基板330の上部に設けられた第2の溝部331を結んだ仮想線と、第2の基板330の下部に設けられた第2の溝部331を結んだ仮想線と、の間の長さを長さh2とすると、長さh2は、空気の流れYの上流側から下流側になるに従って、広くなるように設けられている。言い換えると、長さh2は、加熱手段入口301側から加熱手段出口302側になるに従って、長くなるように設けられている。
【0032】
以上をまとめると、電熱線390は、第1の基板320および第2の基板330の周囲において、空気の流れYの上流側から下流側になるにつれて、長さh1および長さh2が長くなるような略螺旋形状に巻き付けられている。言い換えると、電熱線390は、第1の基板320および第2の基板330の周囲において、空気の流れYの上流側から下流側になるにつれて、断面積S(
図3)が大きくなるように巻き付けられている。なお、断面積Sとは、空気の流れYに対して垂直な向きの断面積であり、加熱手段入口301および加熱手段出口302に平行な向きの断面積である。
【0033】
(第2の基板330)
図5および
図6に示すように、第2の基板330において、第2の溝部331に電熱線390が巻き付けられている箇所を、巻回部332と定義する。巻回部332のうち、空気の流れYの最も下流側に設けられているものから順に、第1の巻回部332a、第2の巻回部332b、第3の巻回部332c、第4の巻回部332dと定義する。なお、第2の巻回部332b、第3の巻回部332cおよび第4の巻回部332dは、第2の基板330において、第1の巻回部332aが設けられている側と同じ側(本実施の形態の形態では、正面視における製品右側)に設けられている巻回部332である。
【0034】
第1の巻回部332aと第2の巻回部332bとの間の長さを長さh3、第2の巻回部332bと第3の巻回部332cとの間の長さを長さh4とする。本実施の形態においては、第3の巻回部332cと第4の巻回部332dとの間の長さも、第2の巻回部332bと第3の巻回部332cとの間の長さに等しく、長さh4である。このとき、長さh3は、長さh4よりも長く設けられている。
【0035】
第2の基板330には、基板孔部333と、第1の基板端子336と、第2の基板端子337と、第3の基板端子338と、サーモスタット340と、温度ヒューズ350と、が設けられている。サーモスタット340および温度ヒューズ350は、加熱手段300内の温度が極度に高くなった場合に、電熱線390への通電を切断する素子である。
【0036】
第2の基板330には、制御装置から延伸した第1のリード線361および第2のリード線362が、電気的に接続されている。第2の基板330において、第1のリード線361、温度ヒューズ350、第1の基板端子336、サーモスタット340、第2の基板端子337、電熱線390、第3の基板端子338、第2のリード線362、の順で電気が流れるように各部品が接続されている。なお、電気が流れる順番は、上記の逆の順番でもよい。
【0037】
基板孔部333は、第2の基板330において表裏に貫通する孔であり、第1の基板端子336と第3の基板端子338との間に設けられている。基板孔部333は、第2の基板330に結露水が発生した場合に、表面張力による結露水の水膜が、第1の基板端子336と第3の基板端子338とを短絡させることを抑制している。なお、基板孔部333は、電熱線390の両端と電気的に接続されている端子の間に設けられればよいため、第2の基板端子337と第3の基板端子338との間に設けられてもよい。
【0038】
本実施の形態では、電熱線390のうち、第1の巻回部332aから第3の基板端子338までの間の部分と、第1の基板端子336と、が近接して設けられている。第2の基板330においては、第1の基板端子336と第3の基板端子338との間に基板孔部333が設けられ、さらに、第1の巻回部332aから第3の基板端子338までの間の部分と、第1の基板端子336と、が第2の基板330の下面に設けられている。これにより、加熱手段300の上面に結露水が発生した場合にも、結露水が、第1の巻回部332aから第3の基板端子338までの間の部分と第1の基板端子336との間を短絡することを抑制できる。
【0039】
(サーモスタット340)
図7および
図8に示すように、サーモスタット340は、第2の基板330の下面に配設されている。サーモスタット340は、サーモスタット基板341と、動作部342と、熱膨張率の異なる2種類の金属が貼り合わされたバイメタル343と、サーモスタット基板341に設けられた第1の接点345と、動作部342に設けられた第2の接点346と、を有する。サーモスタット基板341は、第2の基板330に固定されており、第1の接点345は、サーモスタット基板341のうち、空気の流れYの下流側に設けられ
ている。動作部342は、空気の流れYの上流側で、サーモスタット基板341と接続されており(接続部342aとする)、第2の接点346は、動作部342のうち、空気の流れYの下流側に設けられている。バイメタル343は、動作部342に接続されている。
【0040】
加熱手段300内が通常の温度範囲である場合には、
図7に示すように、第1の接点345と第2の接点346とは接触しており、第2の基板端子337と第3の基板端子338とを電気的に接続している。一方で、加熱手段300内の温度が高温となると、
図8に示すように、バイメタル343が変形し、動作部342が、第1の接点345と第2の接点346とが離隔する。これにより、第2の基板端子337と第3の基板端子338との電気的接続を解除され、電熱線390に対する通電が切断されるので、加熱手段300内の温度を冷やすことができる。なお、加熱手段300内の温度が低下し、バイメタル343が元の状態(
図7の状態)に戻ると、第1の接点345と第2の接点346とが接触し、第2の基板端子337と第3の基板端子338とが電気的に接続される。
【0041】
[1-2.動作]
□以上のように構成された衣類処理装置100について、以下その動作、作用を説明する。
【0042】
[1-2-1.加熱手段の脱着]
筐体101から筐体101の上面である天板が取り外されると、吸気経路200の外郭および加熱手段300が露出する。
【0043】
加熱手段300を吸気経路200から取り外す時は、ボス221と舌部313とを固定しているビスを取り外し、加熱手段300を上方に持ち上げることで、吸気経路溝部220に挿入されていたフランジ312が引き抜かれる。これにより、加熱手段300を取り外すことができる。
【0044】
反対に、加熱手段300を吸気経路200に装着するときは、吸気経路200の側部に設けられた吸気経路溝部220に、上方からフランジ312を沿わせて挿入し、加熱手段300の下面と吸気経路支持部222とを当接させる。その後、舌部313とボス221とをビスによって固定することで、加熱手段300が吸気経路200に装着される。
【0045】
これにより、加熱手段300が故障などにより交換が必要となった場合に、加熱手段300が吸気経路200に対して容易に脱着可能となっているので、加熱手段300を交換することができる。
【0046】
[1-2-2.乾燥行程における空気の流れ]
乾燥行程が開始すると、回転ドラム103が回転する。これにより、筐体101の外の空気が、蓋体側通気孔104a、筐体側通気孔101bを順に通過して筐体101内に流入する。筐体101内に流入した空気は、加熱手段入口301、加熱手段出口302、吸気経路入口201、吸気経路出口202、を順に流れる。なお、吸気弁210は、上述の空気の流れにより、開状態となっている。吸気経路200を通過した空気は、吸気経路出口202から、回転ドラム103内に流入する。
【0047】
回転ドラム103内で衣類の水分を含んだ空気は、通水孔103bを通って水槽102に流出し、排気経路入口401から排気経路400を通過して、排気経路出口402から筐体101外に排出される。なお、このとき、排気弁410は開状態となっている。
【0048】
[1-2-3.加熱手段における電熱線の動き]
通電により加熱手段300内の電熱線390が発熱すると、熱膨張により、電熱線390が伸びる。使用者によって長い期間にわたって衣類処理装置100が使用されると、経年的な熱膨張により、電熱線390が伸びて弛む。乾燥行程において、加熱手段300内には、空気の流れYで表される向きに空気が流れる。
【0049】
このとき、加熱手段300内において、電熱線390が空気の流れYの上流側から下流側になるにつれて断面積Sが小さくなるように設けられていると、電熱線390の、上流側における弛みの大きい箇所が、空気により空気の流れYの方向に押され、下流側における弛みの小さい箇所に接触する虞がある。電熱線390どうしが接触すると、電熱線390における抵抗値が減少し、電熱線390に流れる電流の大きさが大きくなるため、電熱線390による発熱量が増大する。それにより、加熱手段300内の温度が非常に高くなることで、サーモスタット340、温度ヒューズ350が作動する虞がある。
【0050】
そこで、本実施の形態においては、
図4~
図6に示すように、電熱線390が空気の流れYの上流側から下流側になるにつれて断面積S(
図3)が大きくなるように設けられている。これにより、電熱線390が経年的に伸びて弛んだ場合にも、上流側の電熱線390が下流側の電熱線390に接触することを抑制できる。
【0051】
さらに、第1の巻回部332aと第2の巻回部332bとの間の長さ(長さh3)は、第2の巻回部332bと第3の巻回部332cとの間の長さ(長さh4)よりも長く設けられている。これにより、加熱手段300の空気の流れYの最下流の箇所において、上流側の電熱線390が下流側の電熱線390に接触することを抑制できる。
【0052】
図7および
図8に示すように、サーモスタット340において、第1の接点345および第2の接点346は、サーモスタット基板341と動作部342とを接続する接続部342aよりも空気の流れYの下流側に設けられている。これにより、加熱手段300内の温度が高く、
図8に示すようなサーモスタット340の第1の接点345と第2の接点346とが離隔した場合において、加熱手段入口301から、埃などの異物を含んだ空気が流入した場合においても、サーモスタット基板341と動作部342とが、第1の接点345と第2の接点346との間を遮蔽する。そのため、第1の接点345と第2の接点346との間に異物が堆積して、サーモスタット340が正常に動作しなくなることを抑制できる。
【0053】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、衣類処理装置100は、筐体101と、筐体101内に設けられ、洗濯物が収容される回転ドラム103と、回転ドラム103に流入する空気が通過する吸気経路200と、吸気経路200と接続され、吸気経路200を通過する空気を加熱する加熱手段300と、を備える。加熱手段300は、通電により発熱する電熱線390と、難燃部材である板金により形成され、電熱線390の周囲を覆う外側ケース311と、を有する。外側ケース311は、略水平方向に開口している。
【0054】
これにより、加熱手段300内に異物が流入することを抑制するとともに、異物が電熱線390に触れて燃焼した場合にも、加熱手段300から外に出火することを抑制できる。そのため、加熱手段300の周辺の部品への類焼を抑制できるので、信頼性を向上できる。
【0055】
本実施の形態のように、電熱線390は、加熱手段300内において、加熱手段300における空気の流れYの上流側から下流側になるにつれて、電熱線390に囲まれた断面積Sが大きくなるように略螺旋状に巻かれてもよい。
【0056】
これにより、電熱線390が熱膨張して伸びた場合にも、上流側の電熱線390が下流側の電熱線390に接触することを抑制できる。そのため、電熱線390どうしが接触し、加熱手段300内の温度が極端に上昇することを抑制できる。
【0057】
本実施の形態のように、加熱手段300は、電熱線390を巻くための第2の基板330を有し、加熱手段300内において、第2の基板330に電熱線390が巻き付けられる巻回部332が複数形成され、巻回部332は、加熱手段300の最も下流側に位置する巻回部332である第1の巻回部332aと、第1の巻回部332aの上流側において、第1の巻回部332aと隣接する第2の巻回部332bと、第2の巻回部332bの上流側において、第2の巻回部332bと隣接する第3の巻回部332cと、を含み、第1の巻回部332aと第2の巻回部332bとの間の長さである長さh3は、第2の巻回部332bと第3の巻回部332cとの間の長さである長さh4よりも長くてもよい。
【0058】
これにより、熱膨張により電熱線390が最も伸びやすい、加熱手段300の最も下流側において、電熱線390が隣接する電熱線390と接触することを抑制できる。
【0059】
本実施の形態のように、加熱手段300は、電熱線390を巻くための第2の基板330を有し、第2の基板330には、電熱線390の一端と電気的に接続される第1の基板端子336と、電熱線390の他端と電気的に接続される第3の基板端子338と、第1の基板端子336と第3の基板端子338との間において、表裏を貫通させる基板孔部333と、が設けられていてもよい。
【0060】
これにより、加熱手段300内に結露水が発生した場合に、第2の基板330に残存する結露水の、表面張力により発生した水膜が、第1の基板端子336と第3の基板端子338とが短絡することを抑制できる。そのため、トラッキング現象による発火を抑制できる。
【0061】
本実施の形態のように、第2の基板330の下面は、水平に対して傾斜して設けられていてもよい。
【0062】
これにより、第2の基板330の下面に表面張力により付着した結露水を、第2の基板330から移動させることができる。
【0063】
本実施の形態のように、加熱手段300は、略水平方向に延伸して設けられている第2の基板330と、第2の基板330に配設されている復帰型のサーモスタット340と、を有し、サーモスタット340は、第2の基板330に固定されるサーモスタット基板341と、サーモスタット基板341に接続された動作部342と、動作部342に接続され、熱膨張率の異なる2種類の金属が貼り合わされたバイメタル343と、サーモスタット基板341に設けられた第1の接点345と、動作部342に設けられた第2の接点346と、を有し、第1の接点345および第2の接点346は、第2の基板330の下面側に設けられていてもよい。
【0064】
これにより、サーモスタット340の第1の接点345および第2の接点346に埃等の異物が堆積することを抑制できる。そのため、サーモスタット340が故障することを抑制できる。
【0065】
本実施の形態のように、動作部342は、サーモスタット基板341のうち、加熱手段300における空気の流れYの上流側においてサーモスタット基板341と接続され、第2の接点346は、動作部342のうち、加熱手段300における空気の流れYの下流側に設けられていてもよい。
【0066】
これにより、第1の接点345と第2の接点346とが離隔している状態で、加熱手段300内を流れる空気が埃等の異物を運んだ場合にも、動作部342が第1の接点345および第2の接点346を遮蔽し、第1の接点345と第2の接点346との間に異物が付着することを抑制できる。
【0067】
本実施の形態のように、外側ケース311の加熱手段出口302側の端部には、外側ケース311から加熱手段出口302の外方に向かって突出したフランジ312および舌部313が設けられ、吸気経路200には、フランジ312が挿入される吸気経路溝部220と、ビスによって舌部313と固定されるボス221と、が設けられてもよい。
【0068】
これにより、吸気経路200に対して、加熱手段300を容易に脱着できる。そのため、加熱手段300が故障した際に、加熱手段300を容易に交換することができる。
【0069】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。
【0070】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0071】
実施の形態1では、加熱手段の一例として、水平方向から3度傾斜して設けられた加熱手段300を説明した。加熱手段300は、略水平方向に開口するように設けられていればよいので、加熱手段300に限定されない。略水平方向とは、水平から0度~5度程度傾斜しているものであればよい。
【0072】
実施の形態1では、基板の一例として、水平方向から3度傾斜して設けられた第2の基板330を説明した。基板は、略水平方向に延伸するように設けられていればよいので、第2の基板330に限定されない。略水平方向とは、水平から0度~5度程度傾斜しているものであればよい。
【0073】
実施の形態1では、巻回部の一例として、第2の基板330に設けられた巻回部332を説明した。巻回部は、基板に対して電熱線が巻き付けられている箇所であればよいので、巻回部332に限定されない。巻回部は、略鉛直方向に延伸して設けられた基板(第1の基板331)に設けられていてもよい。
【0074】
実施の形態1では、衣類処理装置の一例として、ドラム式洗濯乾燥機である衣類処理装置100を説明した。衣類処理装置は、空気を加熱する加熱手段を備えるものであればよい。したがって、衣類処理装置は、ドラム式洗濯乾燥機に限定されず、ドラム式乾燥機、ドラム式洗濯機、縦型洗濯乾燥機、縦型洗濯機であってもよい。
【0075】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
【0076】
(技術1)
筐体と、筐体内に設けられ、洗濯物が収容される収容槽と、収容槽に流入する空気が通過する経路と、経路と接続され、経路を通過する空気を加熱する加熱手段と、を備え、加熱手段は、通電により発熱する電熱線と、難燃部材により形成され、電熱線の周囲を覆う外側ケースと、を有し、外側ケースは、略水平方向に開口している、衣類処理装置。
【0077】
(技術2)
電熱線は、加熱手段内において、加熱手段における空気の流れの上流側から下流側になるにつれて、電熱線に囲まれた断面積が大きくなるように略螺旋状に巻かれている、技術1に記載の衣類処理装置。
【0078】
(技術3)
加熱手段は、電熱線を巻くための基板を有し、加熱手段内において、基板に電熱線が巻き付けられる巻回部が複数形成され、巻回部は、加熱手段の最も下流側に位置する巻回部である第1の巻回部と、第1の巻回部の上流側において、第1の巻回部と隣接する第2の巻回部と、第2の巻回部の上流側において、第2の巻回部と隣接する第3の巻回部と、を含み、第1の巻回部と第2の巻回部との間の長さは、第2の巻回部と第3の巻回部との間の長さよりも長い、技術1または2に記載の衣類処理装置。
【0079】
(技術4)
加熱手段は、電熱線を巻くための基板を有し、基板には、電熱線の一端と電気的に接続される第1の端子と、電熱線の他端と電気的に接続される第2の端子と、第1の端子と第2の端子との間において、表裏を貫通させる孔部と、が設けられている、技術1~3のいずれか1項に記載の衣類処理装置。
【0080】
(技術5)
基板は、水平に対して傾斜して設けられている、技術1~4のいずれか1項に記載の衣類処理装置。
【0081】
(技術6)
加熱手段は、略水平方向に延伸して設けられている基板と、基板に配設されている復帰型のサーモスタットと、を有し、サーモスタットは、基板に固定されるサーモスタット基板と、サーモスタット基板に接続された動作部と、動作部に接続され、熱膨張率の異なる2種類の金属が貼り合わされたバイメタルと、サーモスタット基板に設けられた第1の接点と、動作部に設けられた第2の接点と、を有し、第1の接点および第2の接点は、基板の下面側に設けられている、技術1~5のいずれか1項に記載の衣類処理装置。
【0082】
(技術7)
動作部は、サーモスタット基板のうち、加熱手段における空気の流れの上流側においてサーモスタット基板と接続され、第2の接点は、動作部のうち、加熱手段における空気の流れの下流側に設けられている、技術6に記載の衣類処理装置。
【0083】
(技術8)
外側ケースの端部には、外側ケースから外方に向かって突出したフランジおよび舌部が設けられ、経路には、フランジが挿入される溝部と、ビスによって舌部と固定されるボスと、が設けられている、技術1~7のいずれか1項に記載の衣類処理装置。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本開示は、洗濯機に適用可能である。具体的には、縦型洗濯機、縦型洗濯乾燥機、ドラム式洗濯機、ドラム式洗濯乾燥機などに、本開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
100 衣類処理装置
101 筐体
102 水槽
103 回転ドラム(収容槽)
104 蓋体
110 モータ
200 吸気経路(経路)
201 吸気経路入口
202 吸気経路出口
210 吸気弁
220 吸気経路溝部
221 ボス
222 吸気経路支持部
300 加熱手段
301 加熱手段入口
302 加熱手段出口
305 加熱手段基板
310 ケース
311 外側ケース
312 フランジ
313 舌部
315 内側ケース
320 第1の基板
321 第1の溝部
330 第2の基板
331 第2の溝部
332 巻回部
332a 第1の巻回部
332b 第2の巻回部
332c 第3の巻回部
332d 第4の巻回部
333 基板孔部
336 第1の基板端子
337 第2の基板端子
338 第3の基板端子
340 サーモスタット
341 サーモスタット基板
342 動作部
343 バイメタル
345 第1の接点
346 第2の接点
350 温度ヒューズ
361 第1のリード線
362 第2のリード線
390 電熱線
400 排気経路
401 排気経路入口
402 排気経路出口
410 排気弁