(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023001839
(43)【公開日】2023-01-06
(54)【発明の名称】納豆のニオイを軽減する調味法を含む納豆
(51)【国際特許分類】
A23L 11/50 20210101AFI20221226BHJP
【FI】
A23L11/50 209
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021124824
(22)【出願日】2021-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】300038310
【氏名又は名称】渡辺 充将
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 充将
【テーマコード(参考)】
4B020
【Fターム(参考)】
4B020LB13
4B020LB22
4B020LC02
4B020LP27
4B020LP30
4B020LY05
4B020LY10
(57)【要約】
【課題】 納豆から発生するニオイを軽減し、ニオイが原因で納豆を嫌っている人の納豆に対する悪いイメージを払拭する。
【解決手段】 納豆の調味に黄な粉を介在させることによって、課題の解決にあてる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
黄な粉を介在する調味法を包含することを特徴とする納豆。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は納豆のニオイを軽減する調味法を含む納豆に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ここ数十年の間に、納豆にはさまざまな改良が加えられて来た。大昔のように納豆の豆そのものだけを販売し、各家庭で醤油などで調味して食べている頃の課題は、納豆の豆そのものの味を良くすることで、これは原料の大豆や納豆菌の選定、温度管理を含めた熟成のさせかたなどにより、驚くほど改良が進んだ。
【0003】
これらの改良とともに、納豆の豆に混ぜ合わせる調味タレの研究が進み、現在では納豆のパッケージに調味タレが添付されているものが主流となった。調味タレには複数のウマミ成分が含まれており、複数のウマミ成分は、納豆の豆のウマミと相乗効果をもってウマミを増すことが知られている。
【0004】
味の改良が進むにつれて、納豆のニオイが問題になってきた。もともと納豆は納豆のニオイがあって当然だが、これが原因で納豆が嫌われている事実があるとすれば、その改良に取り組まなければならない。
【0005】
現在、一般に流通している多くの納豆の豆は、調味タレと混ぜる前に限って言えばわずかなニオイがあるだけだ。しかし、これに調味タレを加えて混ぜると、時間とともにニオイが強くなる。薬味としてワケギやカラシなどを加えると、さらにニオイは強くなる。
【0006】
ニオイも2種類以上のものが混ざると、相乗効果が現れる。つまり、美味しさを得るための調味が、同時に、ニオイを活性化してしまう。このように、ウマミの相乗効果が得られる調味をすると、ニオイの相乗効果も起こってしまうのが現在の状況である。
【0007】
納豆のニオイには、口臭も関係する。納豆を掻き混ぜて調味した容器に残ったニオイよりも、納豆を食べるのに使った箸やスプーンのニオイの方が強いのは、このためであることが多い。しかし、納豆を調味した時点でニオイを抑えておければ、口臭を原因として拡大するニオイも相応に抑えることができる。
【0008】
現在、納豆のニオイを軽減するために使われている方法は、大きく分ければ次の二通りある。ひとつは製造過程で納豆菌の働きを抑制してしまう方法。これは本来の納豆が持つ力強い味にならない。
【0009】
もうひとつは、調味する時に別の強いニオイを加えて納豆のニオイを抑えてしまう方法。例えばコーヒー味やココア味やカレー味にしてしまう。この方法は、ニオイを抑えることには成功するが、複数のウマミ成分による、ウマミの相乗効果を生かす納豆本来の味とは異なったものになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで本発明は、長年引き継がれて来た、複数のウマミ成分による、ウマミの相乗効果を生かす納豆の味を維持しつつ、納豆が嫌われる原因のニオイを軽減しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
納豆の豆にタレを加えて調味すると、時間とともにニオイが活性化することはすでに述べた。しかしながら、調味しなければ、ウマミ成分の相乗効果による納豆の味は期待できない。そこで、タレ調味によるウマミ成分の相乗効果を得た納豆の味は維持しつつ、これに加えることで納豆のニオイを軽減できる素材があるかも知れないと考え、この可能性を探った。その結果、黄な粉が有効に作用することを見いだした。
【発明の効果】
【0012】
納豆の豆に調味タレや薬味を加えて掻き混ぜる。このままだと、ニオイは時間経過と共に強くなる。そこで、これに黄な粉を加えて掻き混ぜる。加える黄な粉が適量の場合、納豆のニオイは黄な粉の香りに抑えられて、殆ど知覚されない。味は誰もが気づく程に変化するが、納豆のウマミは依然としてウマミとして感じることができる。
【0013】
つまり、この味の変化は、もともと黄な粉が嫌いではない人が、納豆のニオイを抑えたいという明確な目的を持ってこれを使用するのであれば、許容される範囲にあると言える。
【0014】
加える黄な粉の量が少なすぎると、納豆のニオイは抑えきれない。加える黄な粉の量が多すぎる場合、納豆のニオイは完全に抑えられるが、味や食感の変化が大きすぎる。黄な粉自体の味や香りも一定ではないことを考慮すると、納豆のニオイを抑えることができて、且つ、味の変化を最小に保つための黄な粉の適量は微妙である。納豆のニオイとこれを抑えるのに必要な黄な粉の量はこうした関係にある。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態としては、黄な粉を調味タレの中に混ぜておく方法もあるし、黄な粉の香りだけを抽出して調味タレに含ませることも可能である。また、納豆の豆に黄な粉をまぶしておくことも可能である。必要とする黄な粉の量が変化したりするが、それぞれが納豆のニオイを軽減する効果がある。
【0016】
しかしながら、納豆のニオイを抑えるという目的からすると、黄な粉を最後に混ぜ合わせることには、調味した納豆から水分を奪うことによるニオイ減少効果もあり、黄な粉の香りを最大に生かす効果もある。さらに、消費者が原材料と効果を明確に理解して使うという安心感もある。
【実施例0017】
現在、ほとんどの納豆は、納豆の豆と調味タレが一緒にパッケージされたかたちで流通販売されている。そこで、ここでは一番簡単で効果的な実施の形態を示すことにする。
【0018】
一番簡単で効果的な実施の形態は、納豆のパッケージの中に、納豆の豆、調味タレ、防湿包装された黄な粉を一緒に包装したものである。黄な粉の量は、50グラムの納豆のパッケージに、おおよそティースプーン半分(2グラム前後)程で、ニオイを抑えるのにほぼ適正である。ベストの量は、納豆の豆の状態、調味タレ、使用する黄な粉の品質などによって異なる。
【0019】
本実施形態は以上のようなものなので、実際に使用するには、納豆の豆に調味タレをかけて掻き混ぜる。薬味などを使用する場合は、この時点で投入する。ほぼ平均に混ざったら、パッケージ中の黄な粉を投入して均一になるまで掻き混ぜる。すると、納豆のウマミは維持したまま、一般に嫌がられている納豆のニオイが大幅に軽減された納豆ができあがる。
以上が、この納豆のニオイを軽減する調味法を含む納豆の詳細な説明である。