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特開2023-18391スクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018391
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】スクリーン印刷装置及びスクリーン印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/08 20060101AFI20230201BHJP
   B41M 1/12 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
B41F15/08 302Z
B41M1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122483
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】593039856
【氏名又は名称】マイクロ・テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002491
【氏名又は名称】弁理士法人クロスボーダー特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 泰市
【テーマコード(参考)】
2C035
2H113
【Fターム(参考)】
2C035AA06
2C035FA24
2C035FB27
2C035FD01
2C035FD19
2C035FD42
2H113AA01
2H113AA05
2H113BA10
2H113BB22
(57)【要約】
【課題】間隔があいた複数の平面を有するワークに対するスクリーン印刷装置を提供する。
【解決手段】交わる2面であって間隔があいた2面(第1面41と第3面43)を有するワーク199を印刷するスクリーン印刷装置100であって、前記2面(第1面41と第3面43)の交線44と平行に配置されたシャフト102を有するテーブル101と、前記シャフト102を中心にして前記テーブル101をスイングさせるスイング部210とを備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交わる2面であって間隔があいた2面を有するワークを印刷するスクリーン印刷装置であって、
前記2面の交線と平行に配置されたシャフトを有するテーブルと、
前記シャフトを中心にして前記テーブルをスイングさせるスイング部と、
を備えたスクリーン印刷装置。
【請求項2】
前記ワークと前記テーブルとは、それぞれ、
第1面と、
第3面と、
第1面と第3面との間の第2面と
を有する請求項1に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項3】
前記第1面と前記第2面との交線と、前記第2面と前記第3面との交線とは、平行ではない請求項2に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項4】
前記第1面と前記第2面との交差角度と、前記第2面と前記第3面との交差角度とは、異なる角度である請求項2又は3に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項5】
前記第1面と前記第2面との交差角度をK度(0度<K度<90度)とし、
前記第1面と前記第2面との交線と前記シャフトとを結ぶ線分と、前記第1面と前記第3面との交線とシャフトとを結ぶ線分との角度をM度(0度<M度<90度)とした場合、
M度≧K度である請求項2から4のいずれか1項に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項6】
前記シャフトは、前記テーブルがスイングして第1面が水平になった場合の第1面の高さT1と、前記テーブルがスイングして第3面が水平になった場合の第3面の高さT2とが同じ高さになる位置に配置されている請求項2から5のいずれか1項に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項7】
前記第1面と前記第2面との交差角度をK1(0度<K1度<90度)とし、
前記第2面と前記第3面との交差角度をK2(0度<K2度<90度)とし、
前記シャフトから前記第1面までの水平線の長さをR1とし、
前記シャフトから前記第3面までの水平線の長さをR2とした場合、
前記シャフトは、R1cosK1=R2cosK2を満足する位置に配置されている請求項2から6のいずれか1項に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項8】
筐体と、
前記筐体に対して、前記テーブルと前記スイング部とを上下方向に移動させる昇降部と
を有し、
前記昇降部は、前記第1面と前記第3面との印刷の間に、前記テーブルと前記スイング部との高さを変更する請求項2から5のいずれか1項に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項9】
前記第1面に印刷する印刷パターンと前記第3面に印刷する印刷パターンとが、第1面と第3面との物理距離よりも近い位置に形成されているスクリーン版を用いて印刷をする請求項2から8のいずれか1項に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項10】
前記スイング部は、
前記シャフトを間にして前記テーブルの両側に配置された1対のアクチュエータと、
前記シャフトを回転可能に保持する1対の保持部と、
1対のアクチュエータと1対の保持部とを固定したベースと
を有する請求項1から9のいずれか1項に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項11】
前記1対のアクチュエータの各々のアクチュエータは、シリンダと、ロッドとを有し、
前記シリンダは、前記ベースに鉛直方向に固定されており、
前記ロッドは、鉛直方向のみに延びて前記テーブルの底面をスライドしながら前記テーブルの底面を押し上げる請求項10に記載のスクリーン印刷装置。
【請求項12】
第1面と、第3面と、第1面と第3面との間の第2面とを有するワークを印刷するスクリーン印刷方法であって、
シャフトを有するテーブルを、前記シャフトを中心にして、前記テーブルの両側に配置された1対のアクチュエータによりスイング可能に取り付け、
前記第1面を水平に固定して印刷し、
前記第1面の印刷後に、前記テーブルを前記1対のアクチュエータによりスイングさせ、
前記テーブルのスイング後に、前記第3面を水平に固定して印刷するスクリーン印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリーン印刷をするスクリーン印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の平面を有するワークに対するスクリーン印刷装置が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61-41548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、間隔があいた複数の面を有するワークに対するスクリーン印刷装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のスクリーン印刷装置は、
交わる2面であって間隔があいた2面を有するワークを印刷するスクリーン印刷装置であって、
前記2面の交線と平行に配置されたシャフトを有するテーブルと、
前記シャフトを中心にして前記テーブルをスイングさせるスイング部と、
を備えた。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、間隔があいた複数の面に印刷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の正面図。
図2】実施の形態1におけるスクリーン印刷装置100の右側面図。
図3】実施の形態1におけるワーク199とテーブル101との図。
図4】実施の形態1におけるスクリーン印刷方法のフローチャート。
図5】実施の形態1におけるスクリーン印刷方法の動作説明図。
図6】実施の形態1におけるスクリーン印刷方法の動作説明図。
図7】実施の形態1におけるスクリーン印刷方法の動作説明図。
図8】実施の形態1における印刷パターンの位置説明図。
図9】実施の形態1におけるシャフト102の位置説明図。
図10】実施の形態1におけるワーク199とテーブル101の変形例1を示す図。
図11】実施の形態1におけるワーク199とテーブル101の変形例1を示す図。
図12】実施の形態1におけるワーク199とテーブル101の変形例2を示す図。
図13】実施の形態1におけるワーク199とテーブル101の変形例3を示す図。
図14】実施の形態1におけるオーバラップ印刷を示す図。
図15】実施の形態1におけるオーバラップ印刷を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以上、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
なお、各実施の形態の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「表」、「裏」、「奥」、「高さ」、「幅」、「手前」、「縦」、「横」といった方向は、説明の便宜上、そのように記しているだけであって、装置、器具、部品等の配置又は向き等を限定するものではない。
【0009】
実施の形態1.
***構成の説明***
図1図2図3に基づいて、スクリーン印刷装置100の構成について説明する。
図1において、紙面に向かって左右方向を横方向ともいう。
図1において、紙面に向かって上下方向を縦方向ともいう。
図1において、紙面に向かって奥行方向を幅方向ともいう。
図1において、スクリーン印刷装置100の印刷方向は、左方向である。
【0010】
スクリーン印刷装置100は、テーブル101に載置されたワーク199に対してスクリーン印刷をする。
スクリーン印刷装置100は、スクリーン192が張られたスクリーン版190を用いてスキージ191を用いてスクリーン印刷をする。
【0011】
●スイングテーブル200
スクリーン印刷装置100は、スイングテーブル200を有する。
スイングとは、揺り動かすこと、又は、揺れ動くことをいう。
より具体的には、スイングとは、シーソーのように、中央を支点にして両端が交互に上下することをいい、一端が上昇すると他端が下降し、一端が下降すると他端が上昇することをいう。
スイングテーブル200は、テーブル101を有する。
スイングテーブル200は、スイング部210と昇降部220と制御部230とを有する。
スイング部210は、シャフト102を中心にしてテーブル101をスイングさせる。
昇降部220は、筐体50に対して、テーブル101とスイング部210とを上下方向に移動させる。
制御部230は、スイング部210と昇降部220とを同期をとって動作させる。
【0012】
●テーブル101
テーブル101は、左右方向に平行な垂直面による断面が台形形状の凸面103を有する。
テーブル101は、左右方向に平行な垂直面による断面が直線形状の底面104を有する。
テーブル101は、幅方向に長尺の円柱状のシャフト102を有する。
シャフト102は、テーブル101の底面104の左右方向の中央に配置されている。
テーブル101は、シャフト102を回転軸にしてスイングする。
【0013】
●筐体50
スクリーン印刷装置100は、筐体50を有する。
筐体50は、矩形の金属板又は金属枠である。
筐体50は、水平に配置されている。
【0014】
●スイング部210
スイング部210は、右アクチュエータ70と左アクチュエータ80からなる1対のアクチュエータを有する。
1対のアクチュエータは、シャフト102を中間にしてテーブル101の底面104の下側に配置されている。
1対のアクチュエータは、テーブル101の幅方向中央に配置されている。
スイング部210は、1対の保持部90を有する。
保持部90は、鉛直方向に立てられた柱である。
保持部90は、シャフト102を回転可能に保持する。
保持部90は、テーブル101の幅方向の両側に配置されている。
【0015】
●昇降部220
昇降部220は、テーブル101とスイング部210とを上下方向に移動させる機構である。
昇降部220は、テーブル101とスイング部210を筐体50に対して平行に昇降させる。
昇降部220は、ベース60と昇降アクチュエータ69を有する。
【0016】
●昇降アクチュエータ69
昇降アクチュエータ69は、筐体50に対して取り付けられている。
昇降アクチュエータ69は、ベース60を上下に移動させる電動アクチュエータ機構である。
【0017】
●ベース60
ベース60は、昇降アクチュエータ69により上下に移動する。
ベース60は、矩形の金属板又は金属枠である。
ベース60は、保持部90と右アクチュエータ70のシリンダと左アクチュエータ80のシリンダを鉛直方向に取り付けている。
【0018】
●右アクチュエータ70と左アクチュエータ80
スイング部210は、右アクチュエータ70と左アクチュエータ80とを有する。
右アクチュエータ70と左アクチュエータ80は、棒状の電動アクチュエータである。
右アクチュエータ70と左アクチュエータ80とで1対のアクチュエータを構成している。
右アクチュエータ70と左アクチュエータ80とは、シャフト102を間にしてテーブル101の左右方向に配置されている。
図1に示すように、右アクチュエータ70と左アクチュエータ80とは、平行に鉛直方向になるように取り付けられている。
【0019】
●右アクチュエータ70
右アクチュエータ70は、ロッド71とシリンダ72とを有する。
ロッド71は、シリンダ72に対して進退することが可能である。
ロッド71は、制御部230からの指示により、シリンダ72に対して指示された位置で位置決めされる。
ロッド71の先端は、テーブル101に接触している。
ロッド71の上部は、テーブル101の底面104に対してスライド可能になっている。
【0020】
●左アクチュエータ80
左アクチュエータ80は、ロッド81とシリンダ82とを有する。
左アクチュエータ80の取り付け構造は、前述した右アクチュエータ70の取り付け構造と同じである。
【0021】
●保持部90
スイング部210は、保持部90を有する。
保持部90は、先端にシャフト102を回転可能に保持する軸受け91を有する。
軸受け91は、テーブル101の幅方向の両端部に2個存在する。
軸受け91は、シャフト102のベアリング機構であり、シャフト102の両端を回転可能に保持する。
【0022】
●制御部230
制御部230は、装置全体を制御するものである。
制御部230は、中央処理装置、プログラム、メモリ、及び、記憶装置により実現できる。
制御部230は、スクリーン印刷装置100とスイングテーブル200とを制御し、後述するテーブルスイング動作とスクリーン印刷動作を制御する。
制御部230からの制御信号は、電気信号として信号線231により各部に伝達される。
以下に述べる各動作は、制御部230が信号線231により命令及び信号を送受信することにより実現できる。
【0023】
●ワーク199とテーブル101
図3に、(a)、(b)、(c)、(d)に示すタイプAと、(e)、(f)、(g)に示すタイプBとの2種類のワーク199とテーブル101を示す。
図3のように、ワーク199とテーブル101とは、同じ形状の山形形状をしている。
ワーク199とテーブル101とは、第1面41と、第2面42と、第3面43とを有する。
第1面41と第3面43との間の第2面42がある。
第1面41と、第2面42と、第3面43とは、ワーク199とテーブル101とのいずれも有しており、以下の第1面41と、第2面42と、第3面43との説明は、ワーク199とテーブル101とのいずれにも適用される。
第1面41と、第2面42と、第3面43とは、平面であり、第1平面41と、第2平面42と、第3平面43ともいう。
【0024】
●タイプAのワーク199とテーブル101
(a)、(b)、(c)、(d)のワーク199とテーブル101について説明する。
ワーク199とテーブル101は、中央の鉛直面に対して左右面対称である。
第1面41と、第2面42と、第3面43とは、1枚の板を、交線45と交線46とで折り曲げたものである。
第2面42は、矩形である。
第1面41と、第3面43とは、矩形でもよいし、平行四辺形でもよいし、三角形でもよいし、半円形でもよい。
第1面41と第2面42との交線45と、第2面42と第3面43との交線46とは、平行である。
第1面41と第3面43とは、第2面42に対して、交差角度K(0度<K度<90度)で下方に折り曲げられている。
第1面41と第2面42との交差角度Kと、第2面42と第3面43との交差角度Kとは、同じ角度である。
第1面41と第3面43とは、平行ではないので、第1面41と第3面43とは、交線44で交わる2面である。
第1面41と第3面43とは、間隔があいた2面である。
第2面42は、三角柱を水平に倒した状態で、三角柱を水平面47で切断した面である。
シャフト102は、交線44と平行である。
シャフト102は、交線44の鉛直方向の真下に配置されている。
シャフト102は、左右中央の鉛直面に配置されている。
シャフト102を通る水平線のシャフト102と第1面41との長さRと、シャフト102を通る水平線のシャフト102と第3面43との長さRとは等しい。
ワーク199とテーブル101が、シャフト102を中心にして半径Rで角度K度だけ正逆方向(反時計回りと時計回り)に回転すると、第1面41と第3面43とは、同一の水平面(印刷面)に配置される。
【0025】
●タイプBのワーク199とテーブル101
(e)、(f)、(g)のワーク199とテーブル101について、(a)、(b)、(c)、(d)のワーク199とテーブル101と異なる点について説明する。
第1面41と第2面42との交線45と、第2面42と第3面43との交線46とは、平行ではない。
第2面42は、台形である。
第2面42は、三角柱を水平に倒した状態で、三角柱を水平から傾斜した傾斜面48で切断した面である。
(e)、(f)、(g)のワーク199とテーブル101の場合も、ワーク199とテーブル101が、シャフト102を中心にして半径Rで角度K度だけ正逆方向に回転すると、第1面41と第3面43とは、同一の水平面(印刷面)に配置される。
【0026】
***動作の説明***
図4から図7を用いて、スクリーン印刷方法について説明する。
ここでは、スクリーン印刷装置100の左方向への印刷動作について説明する。
【0027】
*ワーク設置・初期設定工程S1*
スクリーン印刷装置100の電源がオンになると、制御部230は、初期動作を開始し、初期設定をする。
制御部230は、スキージ191を右側の印刷開始位置に移動させる。
制御部230は、右アクチュエータ70と左アクチュエータ80とにより、テーブル101を水平に設定する。
制御部230は、図示していない搬出入装置により、ワーク199をテーブル101に載せ、スクリーン192の下に搬送する。
制御部230は、昇降部220の昇降アクチュエータ69により、テーブル101とスイング部210を上昇させる。
【0028】
*アクチュエータと昇降部とによるテーブル設定工程S2*
図5は、印刷開始状態を示す図である。
制御部230は、右アクチュエータ70のロッド71を左アクチュエータ80のロッド81よりも上昇させることにより、テーブル101の右端部をスクリーン192に接近させる。
右アクチュエータ70のロッド71の先端は、テーブル101の底面104を左から右にスライドしながらテーブル101の底面104を押し上げる。
同時に、左アクチュエータ80のロッド81は、テーブル101の左回転を邪魔しないように下降する。
図5に示すように、印刷開始状態では、テーブル101の右側が上昇し左側が下降した右肩上がりの状態となる。
この傾斜状態は、制御部230がロッド71をロッド81よりも上昇させることにより実現できる。
制御部230は、ワーク199とテーブル101を、シャフト102を中心にして角度K度だけ正方向に回転させ、第1面41を、水平面(印刷面)に配置する。
【0029】
*第1面41の印刷工程S3*
制御部230は、スキージ191を下降させスキージ191に印圧をかけ、第1面41を印刷する。
制御部230は、印刷中、ワーク199とテーブル101を固定し、動かさない。
【0030】
*アクチュエータによるテーブルのスイング工程S4*
印刷後、図6のように、制御部230は、右アクチュエータ70のロッド71の下降を開始し、左アクチュエータ80のロッド81の上昇を開始する。この動作により、テーブル101の右回転のスイングが開始する。
左アクチュエータ80のロッド81の先端は、テーブル101の底面104を右から左にスライドしながらテーブル101の底面104を押し上げる。
同時に、右アクチュエータ70のロッド71は、テーブル101の右回転を邪魔しないように下降する。
シャフト102を中心にして角度K度以上逆方向に回転させると、テーブル101の左側が上昇し右側が下降した状態となる。
制御部230は、ワーク199とテーブル101を、シャフト102を中心にして角度2K度だけ逆方向に回転させ、第3面43を、水平面(印刷面)に配置する。
制御部230は、スキージ191の印圧を解除し、スキージ191をスクリーン192の表面から離れない状態まで上昇させる。
制御部230は、スキージ191を印刷方向に移動させる。
スキージ191は、スクリーン192の表面にあるインク溜まりを印刷方向に移動させる。
【0031】
*第3面43の印刷工程S5*
制御部230は、スキージ191を下降させスキージ191に印圧をかけ、第3面43を印刷する。
制御部230は、印刷中、ワーク199とテーブル101を固定し、動かさない。
【0032】
*ワークの搬出工程S6*
印刷後、制御部230は、昇降部220の昇降アクチュエータ69を動作させ、テーブル101とスイング部210を下降させる。
制御部230は、右アクチュエータ70と左アクチュエータ80とにより、テーブル101を水平に戻す。
制御部230は、図示していない搬出入装置により、印刷が終了したワーク199を搬出する。
制御部230は、印刷が終了したワーク199の搬出後、次の印刷があるか判断し、次の印刷がある場合、ワーク設置・初期設定工程S1に戻る。
制御部230は、次の印刷がなければ、印刷を終了する。
【0033】
●スクリーン192の印刷パターンPR、PL
図8に、シャフト102の上下位置を変更した場合のスクリーン192の印刷パターンPR、PLを示す。
印刷パターンPRは、第1面41の印刷パターンである。
印刷パターンPLは、第3面43の印刷パターンである。
P0は、第1面41と第3面43との物理距離であり、第2面42の左右の長さである。
P1,P2,P3は、印刷パターンPRと印刷パターンPLとのパターン距離である。
(a)は、シャフト102が、底面104の左右中央にある。
(b)は、シャフト102が、第2面42の左右中央にある。
(c)は、シャフト102が、交線44にある。
(a)、(b)、(c)の印刷パターンのパターン距離(第1面41と第3面43の印刷時における距離)をP1、P2、P3とすると、P0<P1<P2<P3となる。
いずれの場合も、印刷パターンPRとPLとの印刷距離は、第1面41と第3面43との物理距離P0よりも小さい。
したがって、物理距離P0だけ離れた2つの平面に印刷する場合でも、スクリーン192の印刷パターンPRとPLとのパターン距離は物理距離P0より小さくできる。
【0034】
●スクリーン版190
スクリーン版190は、第1面41と、第3面43と、第1面41と第3面43との間の第2面42とを有するワーク199の印刷に用いられる。
スクリーン版190は、第1面41に印刷する印刷パターンPRと第3面43に印刷する印刷パターンPLとが形成されたスクリーン192を有する。
第1面41に印刷する印刷パターンPRと第3面43に印刷する印刷パターンPLとは、第1面41と第3面43との物理距離よりも近い位置に形成されている。
【0035】
●シャフト102の位置
図9に、シャフト102の上下位置を変更した図を示す。
(a)から(e)の場合は、いずれも+K度と-K度だけ回転した状態を示している。
(a)は、シャフト102が、交線44より離れ、交線44より上の位置にある。
(b)は、シャフト102が、交線44にある。
(c)は、シャフト102が、第2面42の左右中央にある。
(d)は、シャフト102が、底面104の左右中央にある。
(e)は、シャフト102が、底面104より下にある。
(f)は、シャフト102が底面104より下にある(e)の場合の水平状態を示している。
【0036】
●シャフト102の下限位置
(a)から(e)に向けて、印刷パターンのパターン距離(第1面41と第3面43の印刷時における距離)は短くなっている。
(e)では、正方向回転の場合、シャフト102と交線45を結ぶ線分が鉛直方向になり、逆方向回転の場合、シャフト102と交線46を結ぶ線分が鉛直方向になり、第1面41と第3面43の印刷時における距離がゼロになる。
(e)の場合は、印刷パターンPRとPLとの距離もゼロになる。
(f)のように、シャフト102と交線44を結ぶ線分とシャフト102と交線45を結ぶ線分との角度をM度(0度<M度<90度)とする。
M度=K度の場合に、シャフト102と交線45を結ぶ線分が鉛直方向になり、シャフト102と交線46を結ぶ線分が鉛直方向になる。
したがって、シャフト102の下限位置は、M度=K度となる位置である。
シャフト102の位置は、M度≧K度であり、M度<K度となる位置であってはならない。
【0037】
●シャフト102の上限位置
(a)のようにシャフト102が、交線44より離れた位置にあると、印刷パターンのパターン距離(第1面41と第3面43の印刷時における距離)P1は長くなっている。
印刷時における第1面41と第3面43の距離P1が、第1面41と第3面43との物理距離P0よりも長い場合は、大きなスクリーン版を使用しなければならない。
したがって、シャフト102の上限位置は、印刷時における第1面41と第3面43の距離P1が、第1面41と第3面43との距離P0よりも短くなる位置にすることが好ましい。
このためシャフト102は、交線44より下にあることが望ましく、テーブル101を避けるためテーブル101の下にあることが望ましい。
【0038】
●シャフト102の配置
シャフト102の配置をまとめると以下のとおりである。
1.シャフト102は、交線44と平行であること。
2.シャフト102は、交線44と同じ鉛直面にあること。
3.シャフト102下限位置が、M度=K度であること。
4.シャフト102上限位置は、交線44より下であり、テーブル101の下が望ましい。
【0039】
***実施の形態1の特徴***
実施の形態1のスクリーン印刷装置100は、交わる2面であって間隔があいた2面を有するワークを印刷する印刷装置である。
テーブル101は、2面(第1面41と第3面43)の交線44と平行に配置されたシャフト102を有する。
スイング部210は、シャフト102を中心にしてテーブル101をスイングさせる。
【0040】
スイング部210は、シャフト102を間にしてテーブル101の両側に配置された1対のアクチュエータ70、80を有する。
スイング部210は、シャフト102を回転可能に保持する1対の保持部90を有する。
スイング部210は、1対のアクチュエータ70、80と1対の保持部90を固定したベース60を有する。
【0041】
1対のアクチュエータ70、80の各々のアクチュエータは、シリンダと、ロッドとを有する。
シリンダは、ベース60に鉛直方向に固定されている。
ロッドは、鉛直方向のみに延びてテーブル101の底面104をスライドしながらテーブル101の底面104を押し上げる。
【0042】
スクリーン印刷装置100は、筐体50に対して、テーブル101とスイング部210とを上下方向に移動させる昇降部220を有する。
昇降部220は、筐体50に対して取り付けられた昇降アクチュエータ69を有する。
【0043】
実施の形態1のスクリーン印刷方法は、第1面41と、第3面43と、第1面41と第3面43との間の第2面42とを有するワークを印刷する方法である。
スクリーン印刷方法は、シャフト102を有するテーブル101を、シャフト102を中心にして、テーブル101の両側に配置された1対のアクチュエータ70、80によりスイング可能に取り付ける。
スクリーン印刷方法は、第1面41を水平に固定して印刷し、第1面41の印刷後に、テーブル101を1対のアクチュエータ70、80によりスイングさせ、テーブル101のスイング後に、第3面43を水平に固定して印刷する。
【0044】
***実施の形態1の効果の説明***
実施の形態1によれば、交差する離れた2面を1回で印刷することができる。
実施の形態1によれば、スキージ駆動部に何ら変更を加えることなく、テーブル機構のみを変更するだけで交差する離れた2面の印刷が可能になる。
【0045】
***実施の形態1の変形例1***
●ワーク199とテーブル101の曲げ角度変更(図10
図10は、ワーク199とテーブル101の変形例を示している。
第1面41と第2面42との交線45と、第2面42と第3面43との交線46とは、平行である。
第1面41と第2面42との交差角度K1と、第2面42と第3面43との交差角度K2とは、異なる角度である。
【0046】
第1面41と第2面42との交差角度をK1とする。
第2面42と第3面43との交差角度をK2とする。
シャフト102から第1面41までのシャフト102を通る水平線の長さをR1とする。
シャフト102から第3面43までのシャフト102を通る水平線の長さをR2とする。
(c)のように、シャフト102がK1度だけ左回転すると、シャフト102から第1面41までの高さT1は、T1=R1cosK1となる。
(d)のように、シャフト102がK2度だけ右回転すると、シャフト102から第3面43までの高さT2は、T2=R2cosK2となる。
【0047】
●高さ調整(図11
図11は、高さT1と高さT2の調整方法を示している。
*昇降部220による調整
(a)は、T1>T2の図である。
(a)の場合は、第3面43の印刷時に、昇降部220によりテーブル101とスイング部210とを上方向に高さT3=T1-T2だけ移動させる。
制御部230は、アクチュエータによるテーブルのスイング工程S4において、テーブル101の右回転のスイングと同時に、昇降部220によりテーブル101とスイング部210とを上方向に押し上げる。
図示していないが、T1<T2の場合、制御部230は、アクチュエータによるテーブルのスイング工程S4において、テーブル101の右回転のスイングと同時に、昇降部220によりテーブル101とスイング部210とを下方向にT3=T2-T1だけ下げる。
昇降部220は、第1面41と第3面43との印刷の間に、テーブル101とスイング部210との高さを変更する。
【0048】
*シャフト102の位置による調整
(b)は、T1=T2の図である。
(b)の場合は、シャフト102の位置を、T1=R1cosK1=T2=R2cosK2を満足する位置に配置する。
【0049】
(b)の場合、シャフト102は、テーブル101がスイングして第1面41が水平になった場合の第1面41の高さT1と、テーブルがスイングして第3面43が水平になった場合の第3面43の高さT2とが同じ高さになる位置に配置されている。
【0050】
***実施の形態1の変形例2***
●ワーク199とテーブル101の形状変更(図12
図12に、ワーク199を変更した図を示す。
(a)は、ワーク199の第2面42が、2本の連結線のみの場合を示している。
(b)は、ワーク199の第2面42の中央に開口がある場合を示している。
(c)は、ワーク199の第2面42が、2枚の傾斜した平面から構成されている場合を示している。
(d)は、ワーク199の第2面42が、曲面の場合を示している。
第2面42は、凸曲面でもよいし、凹曲面でもよいし、ねじれた曲面でもよい。
(e)は、ワーク199が、5つの平面を有している場合を示している。
(f)は、ワーク199は、第1面41と第2面42との交差角度と、第2面42と第3面43との交差角度が異なり、交線45と交線46とが平行でない場合を示している。
図示しないが、交線45と交線46とが同一平面になくてもよい。
【0051】
(a)から(f)は、交線45と交線46とが平行なタイプAのワーク199でもよいし、交線45と交線46とが平行でないタイプBのワーク199でもよい。
【0052】
テーブル101の形状は、(a)から(f)のワーク199の第1面41と第3面43とを支持するものであればよい。
テーブル101の第2面42の形状は、ワーク199に第2面42の形状に対応していてもよいし、対応していなくてもよい。
【0053】
***実施の形態1の変形例3***
●ワーク199とテーブル101の形状変更(図13
図13に、ワーク199を変更した図を示す。
(a)は、ワーク199の第2面42が、第1面41と第3面43を上下方向の中央で連結した場合を示している。
(b)は、ワーク199の第2面42が、第1面41の上辺と第3面43の下辺とを連結した場合を示している。
(c)は、ワーク199の第2面42が、第1面41の下辺と第3面43の下辺とを連結した場合を示している。
(d)は、ワーク199の第2面42が物理的に存在しない場合を示している。
(d)の第1面41と第3面43とが分離しており、それぞれ個別に、テーブル101の第1面41と第3面43とに吸着されて固定される。
【0054】
(a)から(d)は、交線45と交線46とが平行なタイプAのワーク199とテーブル101でもよいし、交線45と交線46とが平行でないタイプBのワーク199とテーブル101でもよい。
テーブル101の形状は、第1面41と第3面43とを支持するものであればよい。
テーブル101の第2面42の形状は、ワーク199に第2面42の形状に対応していてもよいし、対応していなくてもよい。
スクリーン印刷装置100が曲面印刷機能を有している場合、ワーク199とテーブル101の第1面41と第3面43との少なくともいずれか又は両方とも曲面であってもよい。
【0055】
***実施の形態1の変形例4***
●版離れ角度の変更(図なし)
第1面41と第3面43とは、距離が離れているため、スクリーン192とワーク199の版離れ角度が異なってくる。
制御部230は、版離れ角度を均等にする以下の少なくともいずれかの版離れ処理又はすべての版離れ処理をする。
*版離れ処理1:
制御部230は、第1面41の印刷工程S5において、スキージ191の移動に同期させて、昇降部220によりテーブル101とスイング部210とを徐々に下げる。
*版離れ処理2:
制御部230は、アクチュエータによるテーブルのスイング工程S4において、テーブル101の右回転のスイングと同時に、昇降部220によりテーブル101とスイング部210とを下方向に下げる。
制御部230は、印刷パターンのパターン距離(第1面41と第3面43の印刷時における距離)に見合うだけテーブル101とスイング部210とを下げる。
*版離れ処理3:
制御部230は、第3面43の印刷工程S5において、スキージ191の移動に同期させて、昇降部220によりテーブル101とスイング部210とを徐々に下げる。
【0056】
***実施の形態1の変形例5***
●オーバラップ印刷(図14、15)
第1面41と第3面43との印刷後に、後から、第2面42を印刷する場合がある。
第1面41と第2面42と第3面43との3面を印刷する場合は、各面の間の印刷パターンをオーバラップさせて印刷する。
図14において、L1は交線45を通る鉛直線であり、L2は、交線45の左側の鉛直線であり、L1とL2との間にワーク199の折り曲げ曲面198が存在するものとする。
図14において、L4は交線46を通る鉛直線であり、L3は、交線45の右側の鉛直線であり、L4とL3との間にワーク199の折り曲げ曲面197が存在するものとする。
【0057】
●第1面41の印刷(図14
第1面41の印刷終了時に、第1面41から第2面42にかけて折り曲げ曲面198を印刷する。
スキージ191が、交線45まで印刷した後、制御部230は、印刷圧力を上げ、スキージ191のアタック角度が折り曲げ曲面198の表面に対して一定になるようにスキージ191の鉛直面に対する傾斜を増加させながら折り曲げ曲面198を印刷する。
傾斜角度K度が大きい場合は、折り曲げ曲面198をすべて印刷することができないが、少なくとも折り曲げ曲面198の一部を印刷する。
【0058】
●第3面43の印刷(図14
第3面43の印刷開始時に、第2面42から第3面43にかけて折り曲げ曲面197を印刷する。
制御部230は、印刷圧力を上げ、スキージ191のアタック角度が折り曲げ曲面197の表面に対して一定になるようにスキージ191の鉛直面に対する傾斜を減少させながら折り曲げ曲面197を印刷する。
スキージ191は、交線46まで印刷した後、通常の平面印刷をする。
【0059】
●第2面42の印刷(図15
第2面42の印刷開始前に、第1面41から第2面42にかけて折り曲げ曲面198の印刷をする。
制御部230は、印刷圧力を上げ、スキージ191のアタック角度が折り曲げ曲面198の表面に対して一定になるようにスキージ191の鉛直面に対する傾斜を減少させながら折り曲げ曲面198を印刷する。
第2面42の印刷終了前に、第2面42から第3面43にかけて折り曲げ曲面197の印刷をする。
制御部230は、印刷圧力を上げ、スキージ191のアタック角度が折り曲げ曲面198の表面に対して一定になるようにスキージ191の鉛直面に対する傾斜を増加させながら折り曲げ曲面197を印刷する。
【0060】
●オーバラップ印刷の効果
折り曲げ曲面198、197において、同じ印刷パターンをオーバラップさせて印刷するので、印刷パターンが途切れることがない。
また、折り曲げ曲面198、197は凸曲面であり、凸曲面に印刷パターンが2重印刷されるので、ワーク199の使用中に凸曲面における印刷パターンのカスレ、擦り切れが防止できる。
【0061】
以上、本発明の実施の形態と変形例について説明したが、これらの実施の形態と変形例のうち、2つ以上を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態と変形例のうち、1つを部分的に実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態と変形例のうち、2つ以上を部分的に組み合わせて実施しても構わない。なお、本発明は、これらの実施の形態と変形例に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
41 第1面、42 第2面、43 第3面、44 交線、45 交線、46 交線、47 水平面、48 傾斜面、50 筐体、60 ベース、69 昇降アクチュエータ、70 右アクチュエータ、71 ロッド、72 シリンダ、80 左アクチュエータ、81 ロッド、82 シリンダ、90 保持部、91 軸受け、100 スクリーン印刷装置、101 テーブル、102 シャフト、103 凸面、104 底面、190 スクリーン版、191 スキージ、192 スクリーン、197 折り曲げ曲面、198 折り曲げ曲面、199 ワーク、200 スイングテーブル、210 スイング部、220 昇降部、230 制御部、231 信号線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15