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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183913
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231221BHJP
   H01L 21/288 20060101ALI20231221BHJP
   C25D 7/12 20060101ALI20231221BHJP
   C25D 5/02 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01L21/304 601Z
H01L21/288 E
C25D7/12
C25D5/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097720
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】橋本 孝一
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 裕也
【テーマコード(参考)】
4K024
4M104
5F057
【Fターム(参考)】
4K024BB12
4K024FA10
4M104AA01
4M104BB02
4M104BB05
4M104BB09
4M104BB14
4M104DD37
4M104DD43
4M104DD52
4M104DD53
4M104FF13
4M104GG02
4M104GG06
4M104GG09
4M104GG18
5F057AA12
5F057BA15
5F057BA21
5F057CA40
5F057DA40
5F057EC11
(57)【要約】
【課題】歩留まりを向上させることができる半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】リブ形状の半導体ウエハ10の裏面10bの全面に裏面保護テープ1を貼り付ける。次に、半導体ウエハ10の外周部12の裏面平坦部12b上における裏面保護テープ1の基材層3の表面にのみ微小な凹凸5を形成する。次に、半導体ウエハ10の外周部12におもて面10aから裏面10bにわたって外周保護テープ2を貼り付ける。外周保護テープ2の粘着剤層7が裏面保護テープ1の基材層3の表面の凹凸5に埋め込まれることによるアンカー効果により、裏面保護テープ1と外周保護テープ2との密着性が向上し、外周保護テープ2の密着性が半導体ウエハ10のおもて面10a側と裏面10b側とで概ね同じになる。その後、テープアニール、半導体ウエハ10のおもて面電極へのめっき処理、外周保護テープ2の剥離および裏面保護テープ1の剥離を順に行う。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハの第1主面側にめっき処理によってめっき膜を形成する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体ウエハの第1主面に第1電極を形成する第1工程と、
前記半導体ウエハの第2主面に第1テープを貼り付けて、前記第1テープによって前記半導体ウエハの第2主面を覆う第2工程と、
前記第1テープの表面に凹凸を形成する第3工程と、
前記半導体ウエハの外周部に前記半導体ウエハの第1主面から前記半導体ウエハの第2主面の前記第1テープ上にわたって第2テープを貼り付けて、前記第2テープによって前記半導体ウエハの側面を覆う第4工程と、
前記第1テープおよび前記第2テープを貼り付けた状態の前記半導体ウエハを加熱する第5工程と、
前記第5工程の後、前記めっき処理によって前記第1電極の表面に前記めっき膜を形成する第6工程と、
を含み、
前記第3工程では、前記第1テープのうち、前記第4工程において前記第2テープが貼り付けられる部分に前記凹凸を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第3工程では、前記第1テープのうち、前記第4工程において前記第2テープが貼り付けられる部分に所定の金型を押し付けることで前記凹凸を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第3工程では、前記第1テープの基材層の厚さ未満の高低差の前記凹凸を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第3工程では、10μm以下の高低差の前記凹凸を形成することを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記半導体ウエハは、中央部の厚さを薄くして外周部を所定幅で厚く残したリブ形状であり、
前記第3工程では、前記第1テープのうち、前記半導体ウエハの外周部を覆う部分に前記凹凸を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力用半導体素子であるIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)は、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor:金属-酸化膜-半導体の3層構造からなる絶縁ゲートを備えたMOS型電界効果トランジスタ)と、BJT(Bipolar Junction Transistor:バイポーラトランジスタ)と、を複合化したバイポーラ素子である。IGBTは、MOSFETの高速スイッチング特性および電圧駆動制御と、BJTの低オン電圧特性と、を合わせ持つ。
【0003】
IGBTの構造として、パンチスルー(PT:Punch Through)型や、ノンパンチスルー(NPT:Non Punch Through)型、フィールドストップ(FS:Field Stop)型等の構造が公知である。PT型IGBTは、p+型コレクタ領域となるp+型出発基板上にn-型ドリフト領域等をエピタキシャル成長させてなるエピタキシャルウエハを用いて作製され、p+型コレクタ領域からn-型ドリフト領域にキャリア(正孔)を高注入することで低オン電圧を実現している。NPT型IGBTやFS型IGBTは、フローティング(FZ:Floating Zone)法によって単結晶成長させた安価な半導体ウエハ(以下、FZウエハとする)を用いて作製される。
【0004】
NPT型IGBTは、p+型コレクタ領域をFZウエハの裏面の表面領域にイオン注入により形成して不純物濃度を適宜制御することでp+型コレクタ領域からn-型ドリフト領域へのキャリアの注入効率を抑制するとともに、n-型ドリフト領域(BJT構造のn-型ベース層)の厚さを薄くしてベース輸送効率を高めることで低オン電圧を実現している。FS型IGBTは、NPT型IGBTの改良構造であり、p+型コレクタ領域とn-型ドリフト領域との間にn-型ドリフト領域よりも不純物濃度の高いn型FS領域をイオン注入により形成することで、半導体チップの厚さの大部分を占めるn-型ドリフト領域の厚さを薄くしてさらなる特性改善を実現している。
【0005】
FZウエハを用いることで、半導体装置の製造途中に裏面研削等によるFZウエハの薄板化が可能である。このため、所定導電型の複数のエピタキシャル層をエピタキシャル成長させてなるエピタキシャルウエハを用いる場合と比べて製品厚さ(半導体チップの厚さ)を大幅に薄くすることができる。半導体チップの厚さを薄くすることで、半導体チップの主面(例えば金属ベースを介して冷却フィン等の冷却構造に接合される裏面)からの放熱性を高めることができる。半導体ウエハの薄板化を含む従来の半導体装置の製造方法について、図16を参照しながら説明する。
【0006】
図16は、従来の半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。まず、半導体ウエハのおもて面において各チップ領域にそれぞれ所定のおもて面素子構造を形成する(ステップS101)。チップ領域とは、半導体ウエハのダイシング(切断)後に半導体チップとなる領域である。次に、半導体ウエハを裏面側から研削していき、半導体装置として用いる製品厚さの位置まで研削(裏面研削)する(ステップS102)。ウエハサイズ(半導体ウエハの直径)が6インチを超えると、おもて面電極の形成や各製造工程での熱履歴による半導体ウエハの反りが顕著となる。
【0007】
このような半導体ウエハの反りを緩和するために、ウエハサイズが8インチの半導体ウエハ等では、ステップS102の裏面研削において、中央部のみ厚さを薄くして外周部を所定幅で厚く残したリブ形状に半導体ウエハを加工することが多い。次に、エッチングによって半導体ウエハの裏面全面を均一に除去することで、ステップS102の裏面研削によって半導体ウエハの裏面に生じた損傷を除去する(ステップS103)。次に、イオン注入により、半導体ウエハの裏面の表面領域において半導体ウエハの中央部に所定導電型の半導体領域を形成する(ステップS104)。
【0008】
次に、ステップS101,S104の処理でイオン注入した不純物を活性化させるための熱処理を行う(ステップS105)。次に、ステップS105の熱処理で半導体ウエハの裏面に生じた表(ひょう)面硬化層を除去する(ステップS106)。次に、半導体ウエハの裏面の全面に裏面電極を形成する(ステップS107)。次に、半導体ウエハの裏面全体に、裏面電極を保護する裏面保護テープを貼り付ける(ステップS108)。次に、半導体ウエハの側面(端部)を覆うように半導体ウエハのおもて面から裏面にわたって、半導体ウエハの外周部に外周保護テープを貼り付ける(ステップS109)。
【0009】
次に、裏面保護テープおよび外周保護テープを貼り付けた状態の半導体ウエハを加熱(以下、テープアニールとする)する(ステップS110)。次に、めっき処理により、半導体ウエハのおもて面電極上に例えばニッケル(Ni)めっき膜および金(Au)めっき膜を順に形成する(ステップS111)。次に、半導体ウエハの外周部から外周保護テープを剥離する(ステップS112)。次に、半導体ウエハの裏面に裏面保護テープを剥離する(ステップS113)。その後、残りの諸工程を行うことによって(ステップS114)、所定の半導体装置が完成する。
【0010】
半導体ウエハの所定箇所にめっき処理を行うにあたって、半導体ウエハを40℃以上60℃以下に加熱しながら裏面保護テープを貼り付ける方法が提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。下記特許文献1では、加熱(テープアニール)による裏面保護テープの熱収縮によって半導体ウエハにかかる応力と、めっき膜の形成によって半導体ウエハにかかる応力と、を相殺させて、裏面保護テープ剥離後の半導体ウエハの反りを低減させている。また、真空中で裏面保護テープの貼り付けを行うことで、気泡がない状態で裏面保護テープを半導体ウエハに貼り付け可能であることが開示されている。
【0011】
リブ形状の半導体ウエハでは、外周部を厚く残したことで、半導体ウエハの側面に析出しためっき膜が後の工程で異物の発生源となりやすく、さらにこの異物が裏面電極の外観不良につながる虞がある。下記特許文献2,3では、外周保護テープによって半導体ウエハの側面へのめっき膜の析出を防止している。また、半導体ウエハと外周保護テープとの間に気泡が生じると、この気泡からめっき液(薬液)が侵入しやすい。下記特許文献2では、ローラーによってある程度の圧力をかけて外周保護テープを半導体ウエハの側面に押し付けることで、半導体ウエハの側面と外周保護テープとの密着性を向上させている。
【0012】
また、半導体ウエハの所定箇所にめっき処理を行う別の方法として、裏面保護テープおよび外周保護テープとして紫外線(UV:Ultraviolet)照射により硬化して粘着力が小さくなる粘着剤層を有するUVテープを用いる方法が提案されている(例えば、下記特許文献4参照。)。下記特許文献4では、裏面保護テープおよび外周保護テープを貼り付けた状態で半導体ウエハを40℃以上の温度で加熱(テープアニール)することによって半導体ウエハと保護テープとの密着性を高くし、半導体ウエハと保護テープとの間へのめっき液の侵入を防止している。
【0013】
また、表(ひょう)面に凹凸をなす基本微細構造を有した微細構造金型を、シリコン(Si)ウエハ上に予め成膜した硬化性樹脂に繰り返し押し付けることで、シリコンウエハ上の硬化性樹脂に当該基本微細構造の凹凸を転写する方法が提案されている(例えば、下記特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2011-222898号公報
【特許文献2】特開2016-152317号公報
【特許文献3】特開2014-086667号公報
【特許文献4】特開2022-017930号公報
【特許文献5】特開2014-204068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、上述した半導体装置の製造方法(図16参照)では、裏面保護テープおよび外周保護テープを順に貼り付けた(ステップS108,S109)状態の半導体ウエハを、その後のめっき処理(ステップS111)においてめっき液に長時間晒す。例えば、ステップS111で無電解めっき処理を行う場合、半導体ウエハは70℃~80℃程度の温度のめっき液に40分間~50分間程度晒される。半導体ウエハと保護テープとの間に気泡が生じていると、当該気泡がめっき液で温められて大きくなる。
【0016】
半導体ウエハと保護テープとの間の気泡が大きくなると、めっき液の侵入経路になりやすく、めっき膜を形成しない箇所へのめっき膜の析出や、めっき液によるエッチング作用による裏面電極の外観不良の虞がある。例えば上記特許文献1,4のように半導体ウエハへの貼り付け時または貼り付け後にテープアニールを行うことで、保護テープの粘着剤層が柔らかくなり、当該粘着剤層によって半導体ウエハと保護テープとの間の微細な隙間が埋まるため、気泡がない状態で保護テープを貼り付け可能であるが、次の問題が生じる。
【0017】
図15は、従来の半導体装置の製造方法の課題を説明する説明図である。図15には、リブ形状の半導体ウエハ110の外周部112付近を示す。上述したように、リブ形状の半導体ウエハ110では、中央部111のみを薄くして外周部112を厚くするため、側面110cに析出するめっき膜が後の工程で異物の発生源となる。このため、半導体ウエハ110の裏面110bの全面にわたって裏面保護テープ101を貼り付けた後、半導体ウエハ110の側面110cに外周保護テープ102を貼り付ける。裏面保護テープ101は、基材層103および粘着剤層104で構成される。
【0018】
外周保護テープ102は、半導体ウエハ110のおもて面110aから裏面110bにわたって貼り付けられる。半導体ウエハ110の裏面110b側において、外周保護テープ102は、半導体ウエハ110の外周部112の表(ひょう)面(以下、外周部112の裏面とする)112b上で裏面保護テープ101に貼り付けられる。外周保護テープ102は、基材層105および粘着剤層106で構成され、粘着剤層106によって裏面保護テープ101の基材層103に接着されるものの、その接着は樹脂層同士の接着となるため、材料物性的に密着性が低く、めっき液の侵入やめっき処理中のテープ剥がれを防止するために、テープアニールによる密着性の向上が必要となる。
【0019】
一方、半導体ウエハ110のおもて面110a側において、外周保護テープ102は、半導体ウエハ110の外周部112の表(ひょう)面(以下、外周部112のおもて面とする)112aに直接貼り付けられる。半導体ウエハ110の外周部112のおもて面112aは、その状態によっては外周保護テープ102との密着性が高く、テープアニールを行う必要がない場合がある。この場合、半導体ウエハ110の裏面110b側での外周保護テープ102の密着性向上のためにテープアニールを行うと、半導体ウエハ110のおもて面110a側で外周保護テープ102の密着性が過剰に高くなる。
【0020】
外周保護テープ102との密着性が高い状態とは、例えば、半導体ウエハ110の外周部112のおもて面112a上に単層膜(酸化膜等の無機材料膜)のみが設けられた場合や、半導体ウエハ110の外周部112のおもて面112aに半導体ウエハ110のシリコン表(ひょう)面が露出している場合、半導体ウエハ110の外周部112のおもて面112a上に酸化膜等の無機材料膜やパッシベーション膜等の有機絶縁膜が積層されたとしてもおもて面112aに凹凸がほぼない場合などであり、半導体ウエハ110の外周部112のおもて面112aの平坦性が高い状態である。
【0021】
外周保護テープ102の密着性が半導体ウエハ110のおもて面110a側で過剰に高くなると、ステップS112において外周保護テープ102を剥離しにくくなり、外周保護テープ102の粘着剤層106の一部が半導体ウエハ110のおもて面110aに残る虞がある。その後のステップS113の処理(裏面保護テープ101の剥離)において半導体ウエハ110がおもて面110aを下(ステージ側)にしてステージ(不図示)に載置されたときに、半導体ウエハ110がおもて面110a上の粘着剤層106の残渣(糊残り)によってステージに貼り付いて当該ステージからの搬送時に破損する虞がある。
【0022】
この発明は、上述した従来技術による課題を解消するため、歩留まりを向上させることができる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、半導体ウエハの第1主面側にめっき処理によってめっき膜を形成する半導体装置の製造方法であって、次の特徴を有する。前記半導体ウエハの第1主面に第1電極を形成する第1工程を行う。前記半導体ウエハの第2主面に第1テープを貼り付けて、前記第1テープによって前記半導体ウエハの第2主面を覆う第2工程を行う。前記第1テープの表面に凹凸を形成する第3工程を行う。前記半導体ウエハの外周部に前記半導体ウエハの第1主面から前記半導体ウエハの第2主面の前記第1テープ上にわたって第2テープを貼り付けて、前記第2テープによって前記半導体ウエハの側面を覆う第4工程を行う。前記第1テープおよび前記第2テープを貼り付けた状態の前記半導体ウエハを加熱する第5工程を行う。前記第5工程の後、前記めっき処理によって前記第1電極の表面に前記めっき膜を形成する第6工程を行う。前記第3工程では、前記第1テープのうち、前記第4工程において前記第2テープが貼り付けられる部分に前記凹凸を形成する。
【0024】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第3工程では、前記第1テープのうち、前記第4工程において前記第2テープが貼り付けられる部分に所定の金型を押し付けることで前記凹凸を形成することを特徴とする。
【0025】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第3工程では、前記第1テープの基材層の厚さ未満の高低差の前記凹凸を形成することを特徴とする。
【0026】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第3工程では、10μm以下の高低差の前記凹凸を形成することを特徴とする。
【0027】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記半導体ウエハは、中央部の厚さを薄くして外周部を所定幅で厚く残したリブ形状である。前記第3工程では、前記第1テープのうち、前記半導体ウエハの外周部を覆う部分に前記凹凸を形成することを特徴とする。
【0028】
上述した発明によれば、半導体ウエハの第2主面側での第2テープの密着性が向上するため、半導体ウエハの外周部において半導体ウエハの第1主面が第2テープとの密着性の高い状態であっても、第2テープの密着性のバランスが半導体ウエハの第1主面側と第2主面側とで概ね同じとなる。したがって、半導体ウエハの第1主面側で第2テープの密着性が過剰に高くなることを防止することができ、第2テープの粘着剤層の糊残り(残渣)が生じないため、半導体ウエハの破損を抑制することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明にかかる半導体装置の製造方法によれば、歩留まりを向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】実施の形態にかかる半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。
図2】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その1)。
図3】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その2)。
図4】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その3)。
図5】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その4)。
図6】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その5)。
図7】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その6)。
図8図1のステップS8で用いる裏面保護テープの積層構造を示す断面図である。
図9】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す俯瞰図である。
図10】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す平面図である。
図11図1のステップS9で用いる金型の構造を説明する説明図である。
図12図1のステップS9で用いる金型の構造の別例を説明する説明図である。
図13図1のステップS9で用いる金型の構造の別例を説明する説明図である。
図14】テープアニール条件と外周保護テープの粘着剤層の糊残りとの関係を示す図表である。
図15】従来の半導体装置の製造方法の課題を説明する説明図である。
図16】従来の半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0032】
(実施の形態)
実施の形態にかかる半導体装置の製造方法について説明する。図1は、実施の形態にかかる半導体装置の製造方法の概要を示すフローチャートである。図2~7は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。図2,3,6には、それぞれ図1のステップS3、ステップS8およびステップS10の処理時の半導体ウエハ10を示す。図4,5には、図1のステップS9の処理時の半導体ウエハ10を示す。図7には、図6の半導体ウエハ10の外周部12付近を拡大して示す。図8は、図1のステップS8で用いる裏面保護テープの積層構造を示す断面図である。
【0033】
図9は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す俯瞰図である。図10は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す平面図である。図9,10には、図1のステップS13の処理時の半導体ウエハ10を示す。図11は、図1のステップS9で用いる金型の構造を説明する説明図である。図12,13は、図1のステップS9で用いる金型の構造の別例を説明する説明図である。図11,12には、上側に金型21の断面形状を示し、中央に金型21の平面形状を示し、下側に半導体ウエハ10の断面図を示す。図6,7,9,10では、外周保護テープ2をハッチングで示す。
【0034】
まず、図2に示すように、一般的な方法により、シリコン(Si)を材料とする半導体ウエハ10のおもて面(第1主面)10aにおいて各チップ領域(不図示)にそれぞれ所定のおもて面素子構造(不図示)を形成する(ステップS1:第1工程)。半導体ウエハ10は、例えばFZ法によって単結晶成長させたFZウエハである。チップ領域とは、半導体ウエハ10のダイシング(切断)後に半導体チップとなる領域である。所定のおもて面素子構造とは、半導体装置の諸機能を得るための機能部であり、半導体ウエハ10のおもて面10aの表面領域の各部と、半導体ウエハ10のおもて面10a上のおもて面電極(第1電極)や絶縁層(層間絶縁膜やパッシベーション膜)等と、で構成される。
【0035】
半導体ウエハ10のおもて面10aの表面領域の各部とは、例えば、バイポーラトランジスタやIGBT、MOSFETのMOSゲートの各部や、ダイオードのアノード領域である。おもて面電極とは、外部接続用端子(例えば端子ピンや銅箔板)がはんだ接合される電極パッドとなる、単層または多層の金属層で形成された表(ひょう)面電極であり、例えばバイポーラトランジスタやIGBTのエミッタ電極や、MOSFETのソース電極、ダイオードのアノード電極である。半導体ウエハ10のおもて面10aは、おもて面電極の電極パッドとなる部分を除いて絶縁層で覆われる。
【0036】
次に、ほぼ均一な厚さの半導体ウエハ10の中央部11のみを裏面10b側から研削(バックグラインド)していき、半導体装置として用いる製品厚さの位置まで研削(裏面研削)して薄くする(ステップS2)。これにより、半導体ウエハ10は、中央部11の厚さのみを薄くし、外周部12を所定幅で外周に沿って厚く残したリブ形状となる。ほぼ均一な厚さとは、プロセスばらつきによる許容誤差を含む範囲で同じ厚さであることを意味する。半導体ウエハ10の側面10cは面取りされていてもよい。
【0037】
ステップS2の裏面研削後の半導体ウエハ10の裏面10bには、中央部11と外周部12との厚さ差によって段差13が生じる。半導体ウエハ10の段差13から側面(端部)10cまでの部分が半導体ウエハ10の外周部12である。半導体ウエハ10の外周部12は、半導体装置の製造途中において半導体ウエハ10の強度を保つための補強部材として作用する。ウエハサイズ(半導体ウエハ10の直径)が6インチを超えると、おもて面電極の形成や各製造工程での熱履歴による半導体ウエハ10の反りが顕著となるため、リブ形状の半導体ウエハが有用である。
【0038】
半導体ウエハ10の外周部12には、チップ領域は形成されない。半導体ウエハ10のおもて面10a側において外周部12の表(ひょう)面(以下、外周部12のおもて面とする)12aは、平坦性が高い。半導体ウエハ10の外周部12のおもて面12aの平坦性が高いとは、おもて面12a上に単層膜(酸化膜等の無機材料膜)のみが設けられた状態か、もしくはおもて面12aに半導体ウエハ10のシリコン表(ひょう)面が露出している状態か、またはおもて面12a上に無機材料膜および有機絶縁膜(パッシベーション膜等)が積層されたとしてもおもて面12aに凹凸がほぼない状態である。
【0039】
半導体ウエハ10の裏面10bの、段差13よりも外側(側面10c側)の部分(以下、半導体ウエハ10の外周部12の裏面平坦部とする)12bは平坦面のまま残る。半導体ウエハ10の外周部12の裏面平坦部12bの幅(半導体ウエハ10の中心から外側へ向かう半径方向の幅:リング幅)d1は、例えば3mm程度である。半導体ウエハ10の裏面10bにおける中央部11と外周部12の裏面平坦部12bとの間の部分(段差13のメサエッジ)13bは、内側(中央部11側)から外側へ向かうにしたがって半導体ウエハ10の厚さが厚くなるように裏面10bに対して傾斜した傾斜面であってもよい。
【0040】
次に、エッチングによって半導体ウエハ10の裏面10b全面を均一に除去することで、ステップS2の裏面研削によって半導体ウエハ10の裏面10bに生じた損傷を除去する(ステップS3)。損傷を除去するエッチングは薬液を用いて行ってよい。次に、イオン注入により、半導体ウエハ10の裏面10bの表面領域において半導体ウエハ10の中央部11に所定導電型の半導体領域(不図示)を形成する(ステップS4)。半導体ウエハ10の裏面10bの表面領域の所定導電型の半導体領域とは、例えば、バッファ領域やFS領域、バイポーラトランジスタやIGBTのコレクタ領域、MOSFETのドレイン領域、ダイオードのカソード領域である。
【0041】
次に、ステップS1,S4の処理でイオン注入した不純物を活性化させるための熱処理を行う(ステップS5)。次に、ステップS5の熱処理で半導体ウエハ10の裏面10bに生じた表(ひょう)面硬化層を除去する(ステップS6)。次に、半導体ウエハ10の裏面10bの全面に、中央部11から段差13のメサエッジ13bおよび外周部12の裏面平坦部12bにわたって裏面電極(不図示)を形成する(ステップS7)。裏面電極とは、例えば、バイポーラトランジスタやIGBTのコレクタ電極や、MOSFETのドレイン電極、ダイオードのカソード電極である。
【0042】
裏面電極は、単層または多層の金属層で形成された表(ひょう)面電極であり、例えば化学蒸着(CVD:Chemical Vapor Deposition)法や、スパッタリング等の物理蒸着(PVD:Physical Vapor Deposition)法によりアルミニウム(Al)層、チタン(Ti)層、ニッケル(Ni)層および金(Au)層等をいずれか一つ以上積層してなる。半導体ウエハ10からダイシングされた個々の半導体チップ(不図示)をモジュール(不図示)等に実装する組立工程を考慮すると、裏面電極の最表面層はAu層であることがよい。
【0043】
次に、図3に示すように、半導体ウエハ10を、おもて面10aを下側(ステージ側)にして裏面保護テープ貼り付け用のステージ(不図示)に載置する。次に、真空(大気圧よりも低い圧力)にした真空チャンバー内において半導体ウエハ10の裏面10bの全面(裏面電極の表面全面)に、裏面保護テープ(第1テープ)1を粘着剤層4(図7参照)によって貼り付ける(ステップS8:第2工程)。次に、真空チャンバー内を大気圧に開放した状態でローラー(不図示)等によって半導体ウエハ10の裏面10bに裏面保護テープ1を機械的に押し付けることで、半導体ウエハ10と裏面保護テープ1との密着性を高くする。
【0044】
これによって、半導体ウエハ10の裏面10bにおいて、半導体ウエハ10の中央部11から段差13のメサエッジ13bおよび外周部12の裏面平坦部12bにわたって、裏面電極の表面全体に裏面保護テープ1が貼り付けられ、裏面保護テープ1によって裏面電極が覆われて保護される。ステップS8から後述するステップS14までの処理をステップS7の処理(裏面電極形成)前に行ってもよい。この場合、ステップS5の処理の後か、またはステップS6の処理の後にステップS8の処理を行うため、半導体ウエハ10の裏面10bの全面に直に裏面保護テープ1が貼り付けられる。
【0045】
裏面保護テープ1は、例えば、ウエハサイズよりもわずかに小さいサイズ(直径)の円形状の平面形状を有する。ウエハサイズよりもわずかに小さいサイズとは、例えば、半導体ウエハ10の裏面10bに貼り付けられた状態で、半導体ウエハ10の裏面10bに略平行な方向に半導体ウエハ10の側面10cから外側に飛び出さない程度に裏面平坦部12bのほぼ全体を覆う程度の直径を有することである。裏面保護テープ1の端部は、半導体ウエハ10の外周部12の裏面平坦部12bの外周に一致して重なるのが好ましいが、裏面平坦部12bの外周から側面10cの面取り部に突出してもよい。
【0046】
裏面保護テープ1は、基材層3上に粘着剤層4を積層した積層構造(図7参照、図3~6,11~13では基材層3および粘着剤層4の積層構造を不図示)を有し、粘着剤層4側の面(粘着面)で半導体ウエハ10に貼り付けられる。裏面保護テープ1として、めっき処理工程用に開発された耐熱性、耐薬品性を備えた市販のテープが使用できる。裏面保護テープ1の総厚さは、例えば56μm±5μm程度であり、比較的薄い。使用前の裏面保護テープ1は、例えば、保護フィルム8(図8参照)を挟んでロール状に巻き取られた状態で保管される。
【0047】
基材層3は、後述するステップS9の処理において表面に凹凸5が形成される程度の柔軟性と、当該凹凸5の形状を保持する可塑性と、を有する感圧テープである。また、基材層3は、後述するステップS12のめっき処理で用いるめっき液に対して耐薬品性や耐熱性を有する樹脂からなるバリアフィルムである。基材層3は、紫外線(UV)透過性を有する。具体的には、基材層3は、例えばこれらの特殊機能(耐薬品性、耐熱性、可塑性、UV透過性)を付加して加工された特殊ポリエステルフィルムである。基材層3の厚さは、例えば30μm程度(具体的には26μm±2μm程度)である。
【0048】
粘着剤層4は、UV照射により硬化して粘着力が小さくなる粘着剤(樹脂)で形成される。具体的には、粘着剤層4は、例えば、特殊機能(UV自己剥離性)を付加して加工された特殊アクリル系粘着剤で形成される。粘着剤層4の厚さは、例えば30μm±3μm程度である。保護フィルム8は、ロール状に巻き取られた使用前の裏面保護テープ1同士がロール内側で貼り付かないように粘着面(粘着剤層4の表面)を覆って隔てるセパレータであり、使用直前に裏面保護テープ1から剥離される。保護フィルム8は、例えば、離型性を有するポリエステル(PET:ポリエチレンテレフタレート)フィルムである。
【0049】
次に、図4に示すように、半導体ウエハ10を、おもて面10aを下側にして凹凸加工用のステージ25(図13参照)に載置する。そして、半導体ウエハ10の上方に、半導体ウエハ10の裏面10bに対向して金型21を配置する。図13では、図12の金型21を用いているが、図11の金型21を用いてもよい。金型21は、ウエハサイズよりもわずかに小さいサイズ(直径)の円形状の平面形状を有する(図11,12参照)。金型21は、半導体ウエハ10に対向する面に、半導体ウエハ10の外周部12の裏面平坦部12bの全周にわたって裏面平坦部12bに対向するリング状に凹凸22を有する。
【0050】
金型21は、例えば、円形状の平面形状の金属薄板の中央部を中空部23とし、凹凸22を形成した部分のみで構成されたリング状であってもよいし(図11参照)、円形状の平面形状の金属薄板の半導体ウエハ10に対向する面に凹部24を形成することで当該金属薄板の中央部のみ厚さを薄くして外周部を所定幅(金型21の中心から外側へ向かう半径方向の幅:凹凸22のリング幅)d2で厚く残したリブ形状であってもよい(図12参照)。金型21をリブ形状とすることで、例えば8インチ以上の大口径の半導体ウエハ10に適用する場合であっても金型21の強度を確保することができる。
【0051】
また、金型21の中央部に中空部23(図11)や凹部24(図12)を形成することで、半導体ウエハ10にそりが発生していたとしても後述する金型21による型押し加工時に金型21が半導体ウエハ10の厚さの薄い中央部11に接触したり応力を加えたりするのをなくすことができる。金型21が凹部24によって半導体ウエハ10の厚さの薄い中央部11に接触しない程度に凹んでいればよく、金型21の厚さが4mm~5mmである場合、金型21の中央部に例えば1.0mm以上1.5mm以下程度の深さの凹部24が形成されていればよい。金型21の中央部が中空部23(図11)の場合より、凹部24(図12)の場合の方が金型21の強度を上げやすく、金型21による型押し加工時に裏面保護テープ1の基材層3の表面により均一な凹凸5を形成しやすい。また、半導体ウエハ10にそりが発生していない場合には、金型21は、例えば、円形状の平面形状の金属薄板に、半導体ウエハ10の外周部12の裏面平坦部12bの全周にわたって裏面平坦部12bに対向するリング状に凹凸22を形成したものであってもよい(不図示)。
【0052】
凹凸22の断面形状は三角形状に限らず適宜設定可能であり、裏面保護テープ1の基材層3の表面の所定範囲を凹凸22によって所定の最大高さRyで粗くすることができればよい。凹凸22のパターンは適宜設定可能であり、金型21の位置ずれが起きても裏面保護テープ1の基材層3の表面の所定範囲に後述するアンカー効果が得られる程度に凹凸5を形成可能な規則的なパターンであることがよい。例えば、凹凸22のパターンは、金型21の中央部の周囲を囲む同心状や、マトリクス状に配置された凸部(または凹部)の周囲を囲む格子状に凹部(または凸部)を設けたパターンとしてもよい。凹凸22のリング幅d2は、半導体ウエハ10の外周部12の裏面平坦部12bの幅d1と略同じである。
【0053】
次に、図5に示すように、金型21の凹凸22を裏面保護テープ1に押し付けること(型押し加工)によって、半導体ウエハ10の外周部12の裏面平坦部12b上における裏面保護テープ1の基材層3の表面にのみ微小な凹凸5を形成する(ステップS9:第3工程)。ステップS9の処理は、例えばステップS8の処理を行った真空チャンバー内で行うことが好ましい。半導体ウエハ10の外周部12の裏面平坦部12b上における裏面保護テープ1の基材層3の表面のほぼ全面に凹凸5が形成されることがよい。裏面保護テープ1の基材層3の表面に形成される凹凸5の条件(断面形状、凸部と凹部との高低差、凸部と凹部との繰り返しピッチ等)は適宜変更可能である。
【0054】
例えば、凹凸5の凹部が基材層3を貫通すると、後述するステップS12のめっき処理時に半導体ウエハ10と裏面保護テープ1との間にめっき液が侵入する虞があるため、基材層3に形成される凹凸5の高低差は、裏面保護テープ1の基材層3の厚さ未満であることがよい。凹凸5の凹部が基材層3を貫通しない深さで形成されればよく、基材層3に形成される凹凸5の高低差は特に限定されないが、例えば基材層3に形成される凹凸5の高低差を基材層3の表面粗さRaおよび最大高さRyに基づいて設定することで、凹凸5の凹部が基材層3を貫通しない深さで基材層3に凹凸5を形成することができる。
【0055】
具体的には、例えば、基材層3の平均的な表面粗さRaが2.00μm程度である場合、この基材層3に形成される凹凸5の最大高さ(最大高低差)Ryは15.00μm程度である。基材層3の平均的な表面粗さRaが3.50μm程度である場合、この基材層3に形成される凹凸5の最大高さRyは20.00μm程度であるからである(表面粗さRaおよび最大高さRyの定義はJIS B 0601-1994を参照)。このため、基材層3の厚さが30μm程度である場合、基材層3に形成される凹凸5の高低差は例えば数μm以上10μm以下程度であってもよい。
【0056】
ステップS9の処理時に半導体ウエハ10を載置するステージ25は、半導体ウエハ10が載置される面の中央部に凹部26を形成して中央部のみ厚さを薄くし外周部を所定幅で厚く残したリブ形状とし、外周部の表面25aのみで半導体ウエハ10の外周部12のおもて面12aのみを吸着して保持する構成としてもよい(図13参照)。この場合、ステージ25は、半導体ウエハ10のおもて面素子構造に接触しない構成となる。このため、ステップS9の処理において金型21を裏面保護テープ1の基材層3に押し付けた際に、半導体ウエハ10のおもて面素子構造に圧力がかかることを防止することができる。
【0057】
次に、図6,7に示すように、半導体ウエハ10を、裏面10bを下側にして外周保護テープ貼り付け用のステージ(不図示)に載置する。次に、大気圧下において半導体ウエハ10の外周部12に、外周保護テープ(第2テープ)2を粘着剤層7によって貼り付ける(ステップS10:第4工程)。外周保護テープ2は、半導体ウエハ10の側面10cを覆うように、半導体ウエハ10のおもて面10aから裏面10bにわたって貼り付ける。このとき、ローラー(不図示)等によって半導体ウエハ10に外周保護テープ2を機械的に押し付けることで、半導体ウエハ10と外周保護テープ2との密着性を高くすることができる。
【0058】
外周保護テープ2は、半導体ウエハ10の外周(円周)よりも長い略矩形帯状の平面形状を有する。外周保護テープ2は、短手方向の一方の端部が半導体ウエハ10のおもて面10a上に位置し、短手方向の他方の端部が半導体ウエハ10の外周部12の裏面平坦部12bにおいて裏面保護テープ1上に位置して、半導体ウエハ10の側面10cや面取り部(符号不図示)を覆う。半導体ウエハ10の面取り部とは、半導体ウエハ10のおもて面10aと側面10cとの間の略円弧状の部分と、半導体ウエハ10の裏面10bと側面10cとの間の略円弧状の部分と、である。
【0059】
外周保護テープ2の短手方向の端部は、半導体ウエハ10の中央部11に達しない程度に、半導体ウエハ10の外周部12のおもて面12a上に位置する。外周保護テープ2の短手方向の他方の端部は、半導体ウエハ10の外周部12の裏面平坦部12bを完全に覆うように裏面保護テープ1の基材層3上に重なる。また、外周保護テープ2の短手方向の他方の端部が、半導体ウエハ10の外周部12の裏面平坦部12bの内側(中央部11側)の端部(裏面平坦部12bと段差13のメサエッジ13bとの境界)と一致して重なるのが好ましいが、段差13のメサエッジ13b側へ突出してもよい。
【0060】
また、外周保護テープ2は、長手方向において半導体ウエハ10の外周を少なくとも1周するように貼り付けられる。外周保護テープ2の長手方向の端部同士は、所定幅で重なり合うことがよい。これにより、外周保護テープ2の長手方向の端部同士を確実に密着させることができる。また、外周保護テープ2の長手方向の一方の端部上に重なる他方の端部(以下、出っ張り部とする:図9,10参照)2aを出っ張らせて残してもよい。外周保護テープ2の出っ張り部2aを出っ張らせて残すことで、後述するステップS13の処理時に外周保護テープ2が剥離しやすくなる。
【0061】
これによって、半導体ウエハ10のおもて面10aから裏面10bにわたって半導体ウエハ10の側面10cに外周保護テープ2が貼り付けられ、外周保護テープ2によって半導体ウエハ10の側面10cの全体が覆われて保護される。また、外周保護テープ2は、半導体ウエハ10の外周部12のおもて面12a(または外周部12のおもて面12a上の絶縁層)に直接貼り付けられ、かつ半導体ウエハ10の外周部12の裏面平坦部12b上において裏面保護テープ1の基材層3の凹凸5に貼り付けられる。
【0062】
外周保護テープ2は、基材層6上に粘着剤層7を積層した積層構造(図7参照、図6,9,10では積層構造を不図示)を有し、粘着剤層7側の面(粘着面)で半導体ウエハ10に貼り付けられる。外周保護テープ2として、めっき処理工程用に開発された柔軟性、耐熱性および耐薬品性を備えた市販のテープが使用できる。外周保護テープ2の総厚さは、裏面保護テープ1の総厚さよりも厚く、例えば130μm±10μm程度である。使用前の外周保護テープ2は、例えば、使用前の裏面保護テープ1(図8参照)と同様に、保護フィルム(離型性を有するポリエステルフィルム:不図示)を挟んでロール状に巻き取られた状態で保管される。
【0063】
基材層6は、半導体ウエハ10の外周部12の断面形状に合わせて折り曲げ可能な柔軟性と、折り曲げられた状態で形状を保持する可塑性と、を有する感圧テープである。また、基材層6は、後述するステップS12のめっき処理で用いるめっき液に対して耐薬品性や耐熱性を有する樹脂からなるバリアフィルムである。具体的には、基材層6は、例えばポリオレフィン(PO)系フィルムである。基材層6の厚さは、例えば80μm程度である。粘着剤層7は、例えば、アクリル系粘着剤(樹脂)で形成される。粘着剤層7の厚さは、例えば50μm程度である。
【0064】
粘着剤層7は、半導体ウエハ10の外周部12の裏面平坦部12b上で裏面保護テープ1の基材層3の表面の凹凸5に沿って変形して当該凹凸5の凹部に埋め込まれる(図6では凹凸5の凹部内の粘着剤層7を図示省略)。このため、裏面保護テープ1の基材層3の表面の凹凸5と外周保護テープ2の粘着剤層7とのアンカー効果(粘着剤が微細な凹凸に入り込んで硬化することで密着力が高まる効果)により、裏面保護テープ1と外周保護テープ2との密着性を向上させることができる。外周保護テープ2の保護フィルムは、ステップS10の処理直前に外周保護テープ2から剥離される。
【0065】
このように、アンカー効果によって半導体ウエハ10の裏面10b側での外周保護テープ2の密着性が向上し、外周保護テープ2の密着性のバランスが半導体ウエハ10のおもて面10a側と裏面10b側とで概ねとれている。外周保護テープ2の密着性のバランスがとれているとは、半導体ウエハ10のおもて面10a側と裏面10b側とで外周保護テープ2の密着力が略同じであることを意味する。例えば、半導体ウエハ10のおもて面10a側と裏面10b側とで外周保護テープ2の密着性のバランスが概ねとれるように、裏面保護テープ1の基材層3の表面の凹凸5のパターンが予め設定される。
【0066】
次に、裏面保護テープ1および外周保護テープ2を貼り付けた状態の半導体ウエハ10を加熱(テープアニール)する(ステップS11:第5工程)。このテープアニールによって裏面保護テープ1および外周保護テープ2が加熱されてこれらの保護テープの粘着剤層4,7が柔らかくなり、粘着剤層4,7が下地(被粘着面)との間の微小な隙間を埋めて密着することで、半導体ウエハ10と裏面保護テープ1および外周保護テープ2との密着性が高くなるとともに、裏面保護テープ1の基材層3と外周保護テープ2の粘着剤層7との密着性が高くなる。
【0067】
ステップS11のテープアニールは、赤外線ランプやランプヒーター等の加熱手段によって対象物を直接加熱するランプ加熱であってもよいし、加熱した雰囲気に対象物を晒して間接的に加熱する雰囲気熱処理であってもよい。テープアニールがランプ加熱である場合、例えば、半導体ウエハ10を加熱炉(オーブン炉:不図示)に投入することで裏面保護テープ1および外周保護テープ2を直接加熱してもよいし、半導体ウエハ10を加熱手段により加熱されたステージ(ホットプレート:不図示)上に載置することで裏面保護テープ1および外周保護テープ2を直接または間接的に加熱してもよい。
【0068】
また、ステップS11のテープアニールは、例えばウエハカセットに収容した複数枚の半導体ウエハ10をまとめて処理するバッチ式であってもよいし、半導体ウエハ10を1枚ずつ処理する枚葉式であってもよい。例えば、ステップS11のテープアニールをバッチ式の加熱炉を用いて行うことで、裏面保護テープ1および外周保護テープ2の密着性を向上するとともに、スループットを向上させることができる。特に限定しないが、ステップS11のテープアニールは、例えば80℃程度の温度で15分間程度行ってもよいし、例えば60℃程度の温度で15分間程度行ってもよい。
【0069】
従来方法(図15,16参照)では、外周保護テープ102は、半導体ウエハ110の裏面110b側において材料物性的に密着性の低い裏面保護テープ101に貼り付けられる。このため、めっき処理前に、テープアニールを比較的高温度(70℃~80℃程度)で比較的長時間(30分間程度)行って、半導体ウエハ110の外周部112の裏面112b上で重なる外周保護テープ102と裏面保護テープ101との密着性を向上させているが、このテープアニールによって外周保護テープ102と半導体ウエハ110の外周部112のおもて面112aとの密着性が過剰に高くなってしまう。
【0070】
一方、実施の形態においては、上述したようにアンカー効果によって裏面保護テープ1と外周保護テープ2との密着性を向上させていることで、テープアニールによって外周保護テープ2に与える総熱エネルギー量を小さくすることができる。このため、従来方法よりもテープアニール条件が緩和されて、テープアニールの低温度化もしくは短時間化、またはその両方が可能となる。また、上述したように半導体ウエハ10のおもて面10a側と裏面10b側とで外周保護テープ2の密着性のバランスが概ねとれているため、テープアニールによって半導体ウエハ10のおもて面10a側で外周保護テープ2の密着性が過剰に高くなることを防止することができる。
【0071】
このように外周保護テープ2の密着性が部分的に過剰に高くなることがないため、外周保護テープ2の粘着剤層7の一部が半導体ウエハ10の表(ひょう)面に残ること(糊残り)を防止することができる。ステップS11のテープアニール条件(温度、時間)は、後述するステップS12のめっき処理で用いるめっき液が半導体ウエハ10まで達しない程度に裏面保護テープ1および外周保護テープ2の密着性が向上し、かつ半導体ウエハ10の表(ひょう)面に外周保護テープ2の粘着剤層7の糊残りが生じない程度に外周保護テープ2の密着性の向上を抑制可能な条件(図14参照)となるように予め取得する。
【0072】
例えば、半導体ウエハ10への外周保護テープ2の密着性がテープアニールによって仕様の20%以上高くなると、半導体ウエハ10から外周保護テープ2を剥離しにくく、粘着剤層7の糊残りが生じやすい傾向にあることが発明者により確認されている。外周保護テープ2の密着性の仕様とは、常温(例えば25℃)で半導体ウエハ10に貼り付けたときの外周保護テープ2の剥離強度(粘着剤層7の粘着力)である。このため、外周保護テープ2の剥離強度の温度依存性や検証結果に基づいて、外周保護テープ2の粘着剤層7の糊残りが生じないテープアニール条件を予め取得すればよい。
【0073】
次に、裏面保護テープ1および外周保護テープ2を貼り付けた状態の半導体ウエハ10に例えば70℃~80℃程度の温度のめっき液(薬液)に浸して無電解めっき法または電解めっき法によるめっき処理を例えば40分間~50分間程度行うことで、半導体ウエハ10のおもて面電極(不図示)の表面に例えばNiめっき膜およびAuめっき膜を順に形成する(ステップS12:第6工程)。上述したようにテープアニールにより裏面保護テープ1および外周保護テープ2の密着性が向上しているため、ステップS12の処理中に裏面保護テープ1および外周保護テープ2が剥がれることを抑制することができる。
【0074】
次に、図9,10に示すように、半導体ウエハ10の外周部12から外周保護テープ2を剥離する(ステップS13)。具体的には、ステップS13の処理においては、半導体ウエハ10を吸着可能な円形状の平面形状のステージ(不図示)に、裏面10bを下側(ステージ側)にして載置して固定する。そして、外周保護テープ2の出っ張り部2aを引っ張るとともに、当該出っ張り部2aを引っ張る方向2bと反対方向9bに、ステージを保持する柱状の保持部9を中心軸としてステージを円周に沿って回転させることで、半導体ウエハ10から外周保護テープ2を剥離する。
【0075】
次に、半導体ウエハ10の裏面10bから裏面保護テープ1を剥離する(ステップS14)。具体的には、半導体ウエハ10を、おもて面10aを下側にしてステージ(不図示)に載置する。次に、半導体ウエハ10の裏面10b側から裏面保護テープ1にUV光(不図示)を照射して、裏面保護テープ1の粘着剤層4を硬化させることで、裏面保護テープ1の粘着剤層4の粘着力(裏面保護テープ1の剥離強度)を小さくする。そして、例えば裏面保護テープ1の端部近傍に貼り付けた別のテープ(不図示)を持ち上げて引っ張ることで裏面保護テープ1を剥離する。
【0076】
上述したように半導体ウエハ10の表(ひょう)面に外周保護テープ2の粘着剤層7の一部が残ること(糊残り)はなく、ステップS13の処理時に外周保護テープ2の粘着剤層7の糊残り(残渣)に起因する半導体ウエハ10の破損は生じないことが発明者により確認されている。また、裏面保護テープ1の粘着剤層4はUV光照射により硬化させているため、半導体ウエハ10の裏面10bに裏面保護テープ1の粘着剤層4の糊残り(残渣)があったとしても、その後の工程で裏面保護テープ1の粘着剤層4の糊残りに起因する半導体ウエハ10の破損は生じないことが発明者により確認されている。
【0077】
その後、残りの諸工程を行うことによって(ステップS15)、実施の形態にかかる半導体装置が完成する。残りの諸工程とは、半導体ウエハ10の電気特性試験や、半導体ウエハ10を個々の半導体チップに個片化するダイシング工程、半導体チップの電気特性試験である。
【0078】
以上、説明したように、実施の形態によれば、リブ形状の半導体ウエハのおもて面電極にめっき処理を行うにあたって、裏面保護テープの貼り付け後、外周保護テープの貼り付け前に、半導体ウエハの外周部の裏面平坦部上における裏面保護テープの基材層の表面にのみ微小な凹凸を形成する。外周保護テープは、半導体ウエハの外周部のおもて面(または外周部のおもて面上の絶縁層)に直接貼り付けられ、かつ半導体ウエハの外周部の裏面平坦部上において裏面保護テープの基材層の凹凸に貼り付けられる。
【0079】
裏面保護テープの基材層の表面の凹凸と外周保護テープの粘着剤層とのアンカー効果により、材料物性的に密着性の低い樹脂同士の密着性(裏面保護テープと外周保護テープとの密着性)を向上させることができる。これにより、半導体ウエハの裏面側での外周保護テープの密着性が向上するため、半導体ウエハの外周部のおもて面が外周保護テープとの密着性の高い状態であっても、外周保護テープの密着性のバランスが半導体ウエハのおもて面側と裏面側とで概ね同じとなる。
【0080】
したがって、裏面保護テープと外周保護テープとの密着性を向上させるためにテープアニールを行ったとしても、半導体ウエハのおもて面側で外周保護テープの密着性が過剰に高くなることを防止することができる。このため、外周保護テープの剥離後、半導体ウエハの表面に外周保護テープの粘着剤層の糊残り(残渣)が生じない。その後の工程において、外周保護テープの粘着剤層の糊残りに起因する半導体ウエハの破損を防止することができるため、歩留まりを向上させることができる。
【0081】
また、アンカー効果によって裏面保護テープと外周保護テープとの密着性が向上することで、従来方法と比べてテープアニールの低温度化もしくは短時間化、またはその両方が可能となる。また、実施の形態によれば、所定の金型による型押し加工によって裏面保護テープの基材層の表面の所定箇所にのみ凹凸を容易に形成することができる。当該型押し加工に用いる金型は、所定箇所に所定パターンの凹凸を有していればよく、適宜強度を確保可能であるため、例えば8インチ以上の大口径の半導体ウエハにも適用可能である。
【0082】
(実施例)
上述した実施の形態にかかる半導体装置の製造方法(図1参照:以下、実施例とする)にしたがってステップS1からステップS13までの処理を行い、外周保護テープ2の粘着剤層7の糊残り(残渣)の有無を検証した結果を図14に示す。図14は、テープアニール条件と外周保護テープの粘着剤層の糊残りとの関係を示す図表である。実施例は、ステップS11のテープアニールを80℃の温度で15分間行った試料と、ステップS11のテープアニールを60℃の温度で15分間行った試料と、を用意した。
【0083】
また、図14には、従来の半導体装置の製造方法(図15,16:以下、従来例とする)にしたがってステップS101からステップS112までの処理を行って、外周保護テープ102の粘着剤層106の糊残りの有無を検証した結果を示す。従来例が実施例と異なる点は、裏面保護テープ101の基材層103の表面に凹凸を形成していない(実施例のステップS9の処理を行っていない)点と、ステップS110のテープアニールを80℃の温度で30分間行った点と、である。
【0084】
実施例および従来例ともに、ステップS11,S110のテープアニール条件(温度、時間)は、半導体ウエハ10,110の裏面10b,110b側における裏面保護テープ101の基材層103と外周保護テープ102の粘着剤層106との密着性がその後のステップS12,S111のめっき処理中において裏面保護テープ1,101の基材層3,103と外周保護テープ2,102の粘着剤層6,106との間から半導体ウエハ10,110の表(ひょう)面へのめっき液の侵入を防止可能な程度に高くなる条件に設定した。
【0085】
図14に示す結果から、従来例では、半導体ウエハ110の外周部112のおもて面112a上に外周保護テープ102の粘着剤層106の糊残りが確認された(糊残り有)。一方、実施例においては、いずれの試料においても外周保護テープ2の粘着剤層7の糊残りが確認されなかった(糊残り無)。また、実施例においては、従来例と比べて、ステップS11のテープアニール条件が緩和されて、テープアニールの低温度化もしくは短時間化、またはその両方が可能となることが確認された。
【0086】
したがって、実施例においては、裏面保護テープ1の基材層3の表面の凹凸5と外周保護テープ2の粘着剤層7とのアンカー効果によって半導体ウエハ10の裏面10b側での外周保護テープ2の密着性が向上し、外周保護テープ2の密着性のバランスが半導体ウエハ10のおもて面10a側と裏面10b側とで概ねとれていることが確認された。これによって、裏面保護テープ1と外周保護テープ2との密着性向上に必要な熱エネルギーが小さくなり、従来例と比べてテープアニール条件を緩和可能であることが確認された。
【0087】
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、裏面保護テープの基材層表面の凹凸は金型による型押し加工に限らず様々な方法を用いて形成可能であるが、裏面保護テープの基材層の表面の限られた範囲に凹凸を形成するため、裏面保護テープの基材層の表面に金型を押し付けるだけで凹凸を形成可能な型押し加工が最も有用である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上のように、本発明にかかる半導体装置の製造方法は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用されるパワー半導体装置に有用であり、特にFZウエハを用いて作製(製造)される半導体装置に適している。
【符号の説明】
【0089】
1 裏面保護テープ
2 外周保護テープ
2a 外周保護テープの出っ張り部
2b 外周保護テープの出っ張り部を引っ張る方向
3 裏面保護テープの基材層
4 裏面保護テープの粘着剤層
5 裏面保護テープの基材層の表面の凹凸
6 外周保護テープの基材層
7 外周保護テープの粘着剤層
8 裏面保護テープの保護フィルム
9 ステージの保持部
9b ステージの回転方向
10 半導体ウエハ
10a 半導体ウエハのおもて面
10b 半導体ウエハの裏面
10c 半導体ウエハの側面
11 半導体ウエハの中央部
12 半導体ウエハの外周部
12a 半導体ウエハの外周部のおもて面
12b 半導体ウエハの外周部の裏面平坦部
13 半導体ウエハの裏面の段差
13b 半導体ウエハの裏面の段差のメサエッジ
21 金型
22 金型の凹凸
23 金型の中空部
24 金型の凹部
25 ステージ
26 ステージの凹部
d1 半導体ウエハの外周部の裏面平坦部のリング幅
d2 金型の凹凸(外周部)のリング幅
図1
図2
図3
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