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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183915
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】アダプタ及びアダプタ付きシリンジ
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
A61J1/20 314C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097722
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】沖原 等
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047CC04
4C047HH02
4C047HH03
4C047HH10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】使用者が薬剤の混合を忘れ誤投与するおそれをなくすアダプタを提供する。
【解決手段】シリンジ12とバイアルとを接続するアダプタ14は、両頭針を有し、バイアルの口部と接続可能な針部材38と、針部材38を軸線方向に移動可能に保持する保持部材と、バレル16の先端部に連結される連結部と、を有する接続部材34と、連結部に当接して連結部のシリンジ12からの離脱を阻止するロック部材と、を備え、ロック部材は、シリンジ12のプランジャ22の前進に伴い、解除ロッド22aに押されて接続部材34の連結部から外れて接続部材34のシリンジ12からの離脱を可能とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンジとバイアルとを接続するアダプタであって、
両頭針を有し、前記バイアルの口部と接続可能な針部材と、
前記針部材を軸線方向に移動可能に保持する保持部材と、前記シリンジのバレルの先端部に連結される連結部と、を有する接続部材と、
前記連結部に当接して前記連結部の前記シリンジからの離脱を阻止するロック部材と、を備え、
前記ロック部材は、前記シリンジのプランジャの前進に伴い、前記プランジャから延び出た解除ロッドに押されて前記接続部材の前記連結部から外れて前記接続部材の前記シリンジからの離脱を可能とする、アダプタ。
【請求項2】
請求項1記載のアダプタであって、前記連結部は、内方に突出し、前記シリンジの連結溝に係合する連結突起を有し、前記連結突起は、前記シリンジに対して周方向に回転することで前記シリンジと前記接続部材との連結状態を解除する、アダプタ。
【請求項3】
請求項2記載のアダプタであって、前記ロック部材は、前記連結突起の周方向に隣接して配置され、前記接続部材の周方向の回転を妨げるロック片を有する、アダプタ。
【請求項4】
請求項3記載のアダプタであって、前記ロック片は、前記連結部の内周面と、前記先端部の外周面との間に挿入され、前記連結突起と周方向から当接して前記接続部材の回動を阻止する、アダプタ。
【請求項5】
請求項3又は4記載のアダプタであって、前記接続部材は、軸線方向に延在し、前記ロック片及び前記解除ロッドが挿通する挿通溝を有する、アダプタ。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のアダプタであって、前記針部材は、前記ロック部材と係合する第1爪部材を有し、前記解除ロッドにより前記ロック部材を先端側に移動させると前記針部材と前記ロック部材とが前記第1爪部材を介して連結される、アダプタ。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のアダプタであって、前記針部材は、前記先端部を封止するキャップに係合する第2爪部材を有し、前記バイアルが前記針部材に押し込まれると前記第2爪部材が前記キャップに係合し、前記バイアルが前記シリンジから離れる方向に変位すると、前記キャップは、前記針部材とともに前記シリンジから外れる、アダプタ。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のアダプタと、
内部に医療用液体を収容したシリンジと、
前記医療用液体を封止するガスケットを有するプランジャと、
前記プランジャの基端から先端側に向けて延在し、前記シリンジの外側に配置された解除ロッドと、を備え、
前記シリンジの前記先端部に前記アダプタが接続された、アダプタ付きシリンジ。
【請求項9】
請求項8記載のアダプタ付きシリンジであって、前記ロック部材を前記シリンジに仮固定する凹凸構造を有する、アダプタ付きシリンジ。
【請求項10】
請求項8又は9記載のアダプタ付きシリンジであって、前記シリンジは、前記解除ロッドを前記ロック部材に向けて案内する外筒をさらに有する、アダプタ付きシリンジ。
【請求項11】
請求項10記載のアダプタ付きシリンジであって、前記シリンジは、外周部にリブ状突起を有し、前記外筒は前記リブ状突起に係合する係合溝を有する、アダプタ付きシリンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジとバイアルとを接続するアダプタ及びアダプタ付きシリンジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、2種類の薬剤(例えば、粉剤及び溶解液)を分離して保存し、使用直前にこれらの薬剤を混合して使用する注射剤が使用されている。このような注射剤は、例えば、一方の薬剤が粉剤としてバイアル容器に封入され、他方の薬剤が注射用水又は生理食塩水等の溶解液としてシリンジに封入されて提供される。
【0003】
注射剤の調整は、粉剤入りのバイアルと溶解液を含んだシリンジとをアダプタで接続して行われる。その後、シリンジの溶解液は、バイアルの粉剤に導入されて、注射剤の混合及び調整が行われる。調整した注射剤は、シリンジに移送される。その後、シリンジからバイアルが取り外され、注射針がシリンジに取り付けられ、シリンジが注射剤の投与に使用される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007-525264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
注射剤を調整する作業を行う際に、使用者(例えば、医療従事者又は患者)が薬剤の混合を忘れる場合がある。この場合には、使用者は、シリンジに封入されている溶解液(例えば、注射溶液や生理食塩水等)を調整済みの薬剤と誤認識し、混合操作を行なわずにシリンジに注射針を取り付けて誤投与するおそれがある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下の開示の一観点は、シリンジとバイアルとを接続するアダプタであって、両頭針を有し、前記バイアルの口部と接続可能な針部材と、前記針部材を軸線方向に移動可能に保持する保持部材と、前記シリンジのバレルの先端部に連結される連結部と、を有する接続部材と、前記連結部に当接して前記連結部の前記シリンジからの離脱を阻止するロック部材と、を備え、前記ロック部材は、前記シリンジのプランジャの前進に伴い、前記プランジャから延び出た解除ロッドに押されて前記接続部材の前記連結部から外れて前記接続部材の前記シリンジからの離脱を可能とする、アダプタにある。
【0008】
別の一観点は、上述のアダプタと、内部に医療用液体を収容したシリンジと、前記医療用液体を封止するガスケットを有するプランジャと、前記プランジャの基端から先端側に向けて延在し、前記シリンジの外側に配置された解除ロッドと、を備え、前記シリンジの前記先端部に前記アダプタが接続された、アダプタ付きシリンジにある。
【発明の効果】
【0009】
上述のアダプタ及びアダプタ付きシリンジは、プランジャを前進させてバイアルに薬液(溶解液)を移送することで、アダプタがシリンジから取り外し可能となる。したがって、使用者は、薬液をバイアルに移送する前にシリンジからアダプタを取り外すことができない。そのため、上述のアダプタ及びアダプタ付きシリンジにより、薬剤の混合忘れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るアダプタ付きシリンジの斜視図である。
図2図2は、図1のアダプタ付きシリンジの分解状態での断面図である。
図3図3は、図1のシリンジ(キャップ付き)の分解状態での斜視図である。
図4図4Aは、図1のシリンジの先端付近の拡大斜視図であり、図4B図4AのIVB-IVB線に沿った断面図である。
図5図5Aは、図1のアダプタの接続部材を基端側から示す斜視図であり、図5B図5Aの接続部材を先端側から示す斜視図である。
図6図6Aは、図1のアダプタのロック部材を基端側から示す斜視図であり、図6B図6Aのロック部材を先端側から示す斜視図である。
図7図7Aは、図1のアダプタの針部材を基端側から示す斜視図であり、図7B図7Aの針部材を先端側から示す斜視図である。
図8図8は、シリンジとロック部材と接続部材との接続構造を、針部材を省いて示す透視図である。
図9図9は、図8のIX―IX線に沿った断面図である。
図10図10Aは、図1のアダプタ付きシリンジのアダプタにバイアルを挿入する直前の断面図であり、図10Bは、図10Aのバイアルにアダプタを接続した状態の断面図である。
図11図11Aは、プランジャを先端側に前進させた状態の断面図であり、図11Bは、針部材とロック部材との連結構造を示す断面図である。
図12図12Aは、プランジャを基端側に後退させた状態の断面図であり、図12Bはプランジャを基端側に後退させた状態での解除ロッドの位置を示す断面図である。
図13図13Aは、アダプタをシリンジから離間させた状態の斜視図であり、図13Bはアダプタを取り外した状態のシリンジの斜視図である。
図14図14Aは、実施形態の変形例1に係るアダプタを含むアダプタ付きシリンジの断面図であり、図14Bは、実施形態の変形例2に係るアダプタを含むアダプタ付きシリンジの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係るアダプタ付きシリンジ10は、シリンジ12とアダプタ14とを有する。シリンジ12は、薬剤である溶解液として、医療用液体を予め収容したプレフィルドシリンジである。医療用液体は、他の薬剤(例えば、粉剤)と混合して注射剤の調整に供される液体であり、例えば、生理食塩水や希釈用水等が挙げられる。図10Aに示すように、シリンジ12は、使用前に、アダプタ14を介して薬剤を収容したバイアル90が接続される。シリンジ12内の医療用液体は、バイアル90に移された後、バイアル90の内部の薬剤と混合される。バイアル90の内部の注射薬は、シリンジ12の内部に移されて投与に供される。
【0012】
このようなアダプタ付きシリンジ10において、アダプタ14は、シリンジ12のキャップ24を覆うことで、バイアル90の接続前の注射針の装着を阻止して、シリンジ12の生理食塩水等の誤投与を防止する。アダプタ14は、初期状態においてシリンジ12から取り外しができないように、ロックされている。アダプタ14は、プランジャ22を先端側(ノズル18が位置する方向)に前進させることでロックを解除し、シリンジ12から取り外し可能となる。アダプタ付きシリンジ10は、さらに以下の構成を有する。
【0013】
図2に示すように、シリンジ12は、バレル16と、ガスケット20と、プランジャ22と、外筒23と、キャップ24と、を有する。バレル16は、円筒状の胴体部17と、胴体部17の先端から先端方向に突出したノズル18と、ノズル18を囲むロック筒19とを有する。胴体部17は、内部に軸線方向(シリンジ12の中心軸線に沿う方向であり、先端側及び基端側の方向)に延在する空洞部17aを有する。ガスケット20は、空洞部17aに軸線方向に摺動可能に配置される。
【0014】
図3に示すように、バレル16は胴体部17から外方に突出したリブ状突起17bを有する。リブ状突起17bは軸線方向に延在する。リブ状突起17bは、周方向に等間隔に離間して2つ設けられる。リブ状突起17bは、外筒23の係合溝23aと係合することで、バレル16と外筒23とを連結する。バレル16は、基端にフランジ17cを有する。フランジ17cには、解除ロッド22aが挿通可能な切欠部17dが形成されている。切欠部17dは、リブ状突起17bと周方向に90°離れて位置する。
【0015】
図4Bに示すように、外筒23は、軸線方向に垂直な断面が楕円形状の筒状部材である。外筒23は、内周部に一対の係合溝23aと、一対のスライド溝23bと、を有する。係合溝23aは、短径方向の内周面に位置し、リブ状突起17bと係合する。スライド溝23bは、長径方向の内周面に位置する。スライド溝23bは、軸線方向に延在する。スライド溝23bは、プランジャ22の解除ロッド22aを軸線方向に摺動可能に収容する。
【0016】
図2に示すように、ノズル18及びロック筒19は、バレル16の先端部16aを構成する。ノズル18は、内部に収容室26に連通する流路18aを有する。ロック筒19は、ノズル18の外側方を囲む円筒状の部分である。ロック筒19は、注射針を保持する部材であり、内周部19bに注射針を螺合するためのネジ構造を有してもよい。図3に示すように、ロック筒19は、外周部19aに、アダプタ14を保持するための連結溝28を有する。
【0017】
連結溝28は、図4Aに示すように、第1連結溝28aと、第2連結溝28bと、係合凹部28cとを有する。第1連結溝28aは、ロック筒19を肉薄にした軸線方向に延在する溝である。第2連結溝28bは、ロック筒19の周方向に短く延在する溝である。第2連結溝28bの周方向の一端は、第1連結溝28aの軸線方向の途中で第1連結溝28aに接続する。係合凹部28cは、第1連結溝28aの内部に位置する。係合凹部28cは、第1連結溝28aよりも内方に凹んでいる。係合凹部28cは、ロック部材36(図2参照)をロック筒19に仮固定する凹凸構造29の一部を構成する。特に図示しないが、連結溝28は、図4Aのロック筒19の周方向の反対側にも形成されている。
【0018】
図2に示すように、ガスケット20は、バレル16の内部に配置され、収容室26の基端を液密及び気密に封止する。ガスケット20の基端には、プランジャ22が接続されている。プランジャ22は、使用者の操作入力部であり、ガスケット20を前進又は後退させる。
【0019】
本実施形態のプランジャ22は、解除ロッド22aと、プランジャ本体22bを有する。プランジャ本体22bは、ガスケット20の基端側に延び、バレル16の内部に挿入される部分である。解除ロッド22aは、バレル16の外側に配置される軸線方向に延びる棒状の部材である。解除ロッド22aは、プランジャ22の基端付近において、プランジャ本体22bと繋がっている。解除ロッド22aは、軸線方向の先端側に向けて延在する。図4Bに示すように、解除ロッド22aの外側の一部は、スライド溝23bに収容され、スライド溝23bに沿って軸線方向に移動する。
【0020】
図2に示すように、解除ロッド22aは、先端に押出部22cを有する。押出部22cは、ガスケット20よりも先端側に突出する。押出部22cは、バレル16の外周面に隣接して配置される。シリンジ12の周方向において、押出部22cは、第1連結溝28aと同じ方向に配置される。プランジャ22を先端側に変位させると押出部22cは、第1連結溝28aの外側に重なる位置に突出する。押出部22cは、解除ロッド22aにおいて他の部分よりも径方向の内方に突出しており、押出部22cの基端に段部22dを形成する。段部22dは、後述するように、プランジャ22を基端側に引いた際に、バレル16のフランジ17cに引っ掛かることで、プランジャ22のバレル16からの引き抜けを阻止する。
【0021】
図4Aに示すように、キャップ24は、シリンジ12の先端に装着され、シリンジ12の収容室26を封止する。図2に示すように、キャップ24は、栓体30とケース32とを有する。栓体30は、ゴム等の弾性素材によって形成され、ノズル18の先端及び外周に当接する封止部30aと、先端凹部30bとを有する。先端凹部30bは、先端側が凹んだ形状を有する。先端凹部30bは、後述する基端針66(図7A参照)を収容する。先端凹部30bと封止部30aとは、封止壁30cにより隔てられている。
【0022】
ケース32は、筒状に形成される。ケース32は、栓体30よりも硬質な樹脂素材等によって形成されている。ケース32は、内部に栓体30を保持する。ケース32は、アダプタ付きシリンジ10の初期状態において、栓体30の基端部とともに、ノズル18とロック筒19との間の隙間に挿入されている。キャップ24は、主に摩擦力によってバレル16の先端部16aに保持される。ケース32は、先端にフランジ状に突出したリブ32aを有する。
【0023】
図2に示すように、アダプタ14は、接続部材34と、ロック部材36と、針部材38と、を有する。アダプタ14は、図1に示す初期状態において、接続部材34がシリンジ12に接続されている。接続部材34は、筒状の形状を有する。図5Aに示すように、接続部材34は、連結部40と、中間部42と、保持筒44(保持部材の一例)とを有する。
【0024】
連結部40は、接続部材34の基端側に位置し、接続部材34の中で最も小さな外径寸法を有する。連結部40の内径寸法は、ロック筒19の外径寸法よりも大きい。連結部40の内周面40aは、ロック筒19の外周部19aよりも外方に離間した状態で、ロック筒19を周方向の全周に亘って囲むように取り付けられる。図9に示すように、初期状態において、連結部40の内周面40aとロック筒19の外周部19aとの隙間には、ロック部材36の挿入部36aが収容される。
【0025】
連結部40は、図5Aに示すように、連結突起46と、挿通溝47と、を有する。連結突起46は、内周面40aから内方に向けて突出した線状の突起であり、周方向に短く延びる。連結突起46は、ロック筒19の外周部19aに形成された第2連結溝28b(図4A参照)に係合可能な寸法を有する。初期状態において、連結突起46は、第2連結溝28bに係合して、接続部材34のシリンジ12からの離脱を阻止する。連結突起46は、連結部40の周方向に180°の角度を開けて2つ配置されている。
【0026】
挿通溝47は、連結部40から外方に向けて膨出する溝状の部分である。挿通溝47は、連結突起46と周方向にずれた位置に配置される。軸線方向に延在する挿通溝47は、解除ロッド22a(押出部22c)及びロック片36dの挿通を許容する。図8に示すように、初期状態において、挿通溝47は、第1連結溝28aと重なる位置に配置され、ロック部材36のロック片36dを収容する。挿通溝47は、周方向に180°離れて2つ設けられる。
【0027】
中間部42は、軸線方向において連結部40と保持筒44との間に位置し、段差部を介して連結部40及び保持筒44と一体的に繋がる。中間部42は、連結部40よりも大きな外径を有し、且つ保持筒44よりも小さな外径を有する筒状の形状を有する。図9に示すように、初期状態において、中間部42は、ロック部材36の筒状の本体部36cを軸線方向に摺動可能に収容する。中間部42の内周面42aは、ロック部材36の本体部36cよりも僅かに大きな内径寸法を有する。なお、中間部42の内周面42aは、本体部36cから離間してもよい。
【0028】
図5Aに示すように、中間部42は、周方向に180°の間隔をあけて2つの膨出部50を有する。膨出部50は、中間部42から外方に膨出した部分であり、軸線方向に延在する。図5Bに示すように、膨出部50は、内部に軸線方向に延びる収容凹部50aを形成する。膨出部50は、挿通溝47に対して周方向に90°ずれた部分に位置する。図8に示すように、初期状態において、中間部42は、収容凹部50aの内部でロック部材36の嵌合部58を収容する。
【0029】
図5Aに示すように、保持筒44は、接続部材34の先端側に位置する。保持筒44は、連結部40及び中間部42よりも大きな外径寸法を有する円筒形状に形成される。図5Bに示すように、保持筒44は、内部に収容空間44aを有する。収容空間44aは、針部材38を軸線方向に移動可能に収容する。保持筒44は、さらに案内部52と、離脱防止爪54とを有する。保持筒44は、周方向に180°の角度間隔をあけて2つの案内部52を有する。
【0030】
案内部52は、内部に案内溝52aを形成する。各々の案内溝52aは、保持筒44の内周面44bに対して外周側に向けて凹んだ溝であり、軸線方向に延在する。案内溝52aの先端部は、保持筒44の先端において開口する。案内溝52aは、挿通溝47と周方向の同じ位置に配置されている。図9に示すように、案内溝52aは、針部材38の案内凸部56を軸線方向に摺動可能に収容する。案内溝52aは、針部材38の周方向の回転を阻止する。
【0031】
図5Bに示すように、離脱防止爪54は、保持筒44の内周面から内方に突出する。離脱防止爪54は、保持筒44の先端の開口部44cの近傍に位置する。離脱防止爪54は、針部材38の外周爪57(図7A参照)と当接可能な周方向の位置に配置される。特に限定されるものではないが、図示の例では、離脱防止爪54は、各々の案内溝52aに隣接して2つ、合計4個設けられている。離脱防止爪54は、針部材38の外周爪57(図7A参照)に当接することで、針部材38の保持筒44からの離脱を阻止する。
【0032】
図2に示すように、アダプタ14のロック部材36は、接続部材34と針部材38との間に配置される。図6Aに示すように、ロック部材36は、基端側に位置する挿入部36aと、先端側に位置する本体部36cをと有する。挿入部36aは、図8に示されるように、初期状態において、バレル16の先端部16aの外周と、接続部材34との隙間に挿入される部分である。図6Aに示すように、挿入部36aは、さらに円周壁36bと、ロック片36dと、仮止部36eとを有する。円周壁36bは、本体部36cの基端壁36c1から基端側に向けて軸線方向に短く延び出た円筒形状の部分である。円周壁36bは、初期状態において、図8に示すように、ロック筒19よりも先端側に位置し、キャップ24と接続部材34との隙間に配置される。
【0033】
図6Aに示すように、ロック片36dは、円周壁36bの基端から軸線方向に延び出た板状の部分である。ロック片36dは、周方向に180°離れて2つ配置されている。ロック片36dは、円周壁36bと同じ半径の円周に沿って湾曲する。ロック片36dの周方向の寸法は、図4Aに示すロック筒19の第1連結溝28aの周方向の寸法よりも僅かに小さい。図8に示すように、初期状態において、ロック片36dは、内周側の一部がロック筒19の第1連結溝28aに収容される。ロック片36dは、第2連結溝28bに収容された連結突起46の周方向の変位を阻止し、連結突起46の第2連結溝28bからの離脱を阻止するロック機構を構成する。ロック片36dは、外方に突出する当接リブ36gを有する。
【0034】
図6Aに示すように、仮止部36eは、ロック片36dの内周面から内方に向けて突出する。仮止部36eは、図4Aに示すロック筒19の係合凹部28cに係合可能な部位に位置する。初期状態において、図9に示すように、仮止部36eは、係合凹部28cに係合する。仮止部36eは、係合凹部28cと係合することで、摩擦抵抗を増加させ、ロック筒19を先端側に変位させる力に対して、適度な抵抗を発生させる。仮止部36eは、解除ロッド22aにより所定以上の力で先端側に押圧されると、係合凹部28cから離脱する。仮止部36e及び係合凹部28cは、ロック部材36をシリンジ12のロック筒19に仮固定する凹凸構造29を構成する。
【0035】
図6Aに示すように、本体部36cは、挿入部36aの先端側に位置する円筒状の部分である。本体部36cは、挿入部36aよりも大きな外径寸法を有する。本体部36cは、基端壁36c1を介して挿入部36aと接続されている。本体部36cは、内部に空洞部36fを有する。空洞部36fの基端は基端壁36c1によって部分的に塞がれ、空洞部36fは先端側に向けて開口する。空洞部36fは、針部材38の基端筒68(図7A参照)を収容する。本体部36cは、針部材38に連結される嵌合部58を有する。嵌合部58は、周方向に180°離れて2つ設けられている。各々の嵌合部58は、本体部36cよりも外方に僅かに膨出する。嵌合部58は、ロック片36dに対して周方向に90°離れて位置する。嵌合部58は、先端側が軸線方向に延びる一対の分離溝58aを介して本体部36cから分離されている。分離溝58aは、本体部36cの先端部から基端壁36c1にまで延在する。そのため、嵌合部58は、円周壁36bを介して本体部36cに繋がっている。このような分離溝58aは、嵌合部58の径方向への弾性変形を容易にする。嵌合部58は、接続部材34の収容凹部50a(図5B参照)に挿入される。嵌合部58及び収容凹部50aは、ロック部材36の周方向の回転を規制し、ロック部材36の軸線方向への移動を許容する。
【0036】
嵌合部58は、さらに、窓部58bと、嵌合突起58cとを有する、窓部58bは、嵌合部58を厚さ方向(径方向)に貫通する矩形状の孔である。窓部58bには、針部材38を基端側に向けて押し込んだ際に、針部材38の第1爪部材60(図7A参照)が内方から入り込む。嵌合突起58cは、窓部58bの先端側に隣接して形成される。嵌合突起58cは、基端部に軸線方向に対して垂直に切り立った端面58c1を有する。端面58c1は、針部材38の第1爪部材60と引っ掛かることで、針部材38とロック部材36とを連結する。以上のようなロック部材36は、図9に示すように、初期状態においてロック片36dが接続部材34の内周面と、バレル16の先端部16a(ロック筒19)の外周面との間に挿入される。図8に示されるように、初期状態において、ロック片36dは、連結突起46の周方向から当接することで、接続部材34の回動を阻止する。
【0037】
図2に示すように、アダプタ14の針部材38は、ロック部材36の先端側に位置する。図9に示すように、針部材38は、接続部材34の保持筒44に、軸線方向に移動可能に収容される。針部材38は、図7A及び図7Bに示すように、キャップ接続部62と、両頭針63と、バイアル接続部64と、を有する。キャップ接続部62は、基端側に位置し、キャップ24に接続される部分である。バイアル接続部64は、キャップ接続部62の先端側に位置し、バイアル90が接続される部分である。両頭針63は、基端針66と先端針70とにより構成される。
【0038】
キャップ接続部62は、基端針66と、基端筒68とを有する。基端針66は、中心軸線に沿って軸線方向に基端側に向けて突出する。基端針66の端部には、キャップ24の栓体30を貫通可能な鋭利な針先66aが形成される。基端針66の内部には流路66bが形成される。流路66bは、先端針70の流路70bに連通する。基端筒68は、基端針66の周囲を囲むようにして基端側に向けて突出した円筒状の壁よりなる。基端筒68は、キャップ24のケース32の先端部を収容可能な内径寸法を有する。基端筒68は、内周部68aに複数の第2爪部材71を有する。第2爪部材71は、基端から先端側に向けて徐々に中心軸線に向けて接近するように傾斜して突出した板状部材である。第2爪部材71の先端71aは、針部材38が、キャップ24に穿刺されると、ケース32の先端のフランジ状のリブ32aに係合し、針部材38とキャップ24とを離脱不能に接続する。
【0039】
また、基端筒68は、外周部に第1爪部材60を有する。第1爪部材60は、基端筒68の外周部から外方に突出する。第1爪部材60は、周方向に線状に延びる。第1爪部材60は、先端に軸線方向に対して垂直に切り立った先端面を有する。第1爪部材60は、針部材38がキャップ24に穿刺されると、嵌合部58の窓部58b(図6A参照)に挿入され、嵌合突起58cと嵌合する。第1爪部材60は、嵌合部58と嵌合することで、ロック部材36と針部材38とを強固に接続する。
【0040】
針部材38のバイアル接続部64は、先端針70と、先端筒72と、を有する。先端針70は、図7Bに示すように、中心軸線に沿って先端側に向けて突出する針部である。先端針70は、バイアル90の栓体94を貫通可能な長さを有し、先端に鋭利な針先70aを有する。先端針70は、内部に軸線方向に貫通する流路70bを有する。流路70bは、基端針66の流路66bに連通する。
【0041】
先端筒72は、先端針70の外方を囲む円筒状の壁を有する。先端筒72は、基端筒68よりも大きな外径の円筒形状を有する。先端筒72は、基端壁72aを介して基端筒68と接続されている。先端筒72は、内側にバイアル90の口部92(図10A参照)を収容する接続凹部74を有する。接続凹部74は、図7A及び図7Bに示すように基端側が先端筒72の基端壁72aによって閉塞されてよいが、接続凹部74の基端側が閉塞されない態様で先端筒72と基端筒68とが接続されてもよい。接続凹部74は、先端側が開口する。先端筒72は、バイアル90の口部92を保持する保持片76を有する。保持片76は、バイアル90の口部92に嵌合する突起76aを有する。保持片76は、周方向の両側部に一対の分離溝76bを有する。分離溝76bは、保持片76の径方向に弾性変形しやすくすることで、針部材38への口部92の接続を容易にする。
【0042】
先端筒72は、外周部に案内凸部56と、外周爪57と、を有する。案内凸部56は、先端筒72の外周部に2つ設けられる。各々の案内凸部56は、第1爪部材60の中心に対して周方向に90°離れた位置に形成される。案内凸部56は、先端筒72から外周に向けて突出した板状の突起である。案内凸部56は、軸線方向に長く延びる。案内凸部56は、接続部材34の案内溝52aに挿入されて、針部材38の接続部材34に対する周方向の回転を規制する。外周爪57は、接続部材34の離脱防止爪54に係合する。外周爪57は、案内凸部56に隣接して2つ配置されている。
【0043】
図8に示すように、アダプタ14は、初期状態において、接続部材34がシリンジ12のノズル18に接続される。図9に示すように、ロック部材36及び針部材38は、接続部材34の内部に収容されている。ロック部材36の挿入部36aは、接続部材34とバレル16の先端部16a(ロック筒19)の外周部との間に挿入される。図8に示すように、ロック部材36のロック片36dは、第1連結溝28aに挿入されて、接続部材34の連結突起46に、周方向から当接する。ロック片36dは、連結突起46の周方向の回動を阻止することで、連結突起46の第2連結溝28bからの離脱を阻止し、接続部材34がシリンジ12に連結された状態を保持する。図9に示すように、ロック部材36は、仮止部36eを通じてロック筒19に仮固定される。ロック部材36は、プランジャ22の解除ロッド22aによって先端側に押し出されるまで、仮固定された状態に保たれ、接続部材34とシリンジ12との連結状態を保持する。
【0044】
図9に示すように、初期状態において、針部材38は、ロック部材36の先端側に位置した状態で、保持筒44の内部に収容される。基端針66の一部は、栓体30の先端凹部30bに配置される。
【0045】
アダプタ付きシリンジ10は、以下のように使用される。
【0046】
アダプタ付きシリンジ10は、初期状態において、アダプタ14がシリンジ12から離脱不能に連結されている。したがって、アダプタ付きシリンジ10は、使用者が注射液の調製を行う前に、シリンジ12からアダプタ14を取り外して注射針を付けるといった、誤使用の発生を防止する。
【0047】
図10Aに示すように、アダプタ付きシリンジ10は、アダプタ14にバイアル90を挿入して使用される。バイアル90は、栓体94を有する口部92が針部材38の先端筒72に挿入される。バイアル90の内部には、例えば粉状又は液体状の薬剤が封入されている。
【0048】
図10Bに示すように、バイアル90がシリンジ12に向けて押し込まれると、針部材38の基端針66がキャップ24の栓体30を貫通し、針部材38の先端針70がバイアル90の栓体94を貫通する。シリンジ12の収容室26と、バイアル90の内部とは、針部材38の流路66b、70bを介して連通する。バイアル90がシリンジ12に接続されると、針部材38が基端側に変位する。針部材38の基端筒68は、キャップ24の先端側を収容する。その結果、針部材38の第2爪部材71がキャップ24のリブ32aと係合する。針部材38とキャップ24が強固に接続され、キャップ24は、針部材38と一体的に変位する。ロック部材36は、ロック筒19に仮固定された状態に保たれ、アダプタ14の離脱を阻止する。すなわち、本実施形態のアダプタ14は、バイアル90をシリンジ12に接続しただけでは、シリンジ12から外すことができない。
【0049】
図11Aに示すように、その後、プランジャ22を先端側に向けて押圧する操作が行われる。この操作により、ガスケット20がバレル16の内壁先端に当接するまで、プランジャ22が先端側に変位する。プランジャ22が先端側に変位すると、解除ロッド22aの押出部22cが挿通溝47に挿入される。押出部22cは、ロック部材36のロック片36dを先端側に押し出すことで、ロック部材36とロック筒19との仮固定を解除する。ロック片36dは、押出部22cによって、第1連結溝28aから押し出される。ロック部材36が押し出されることに伴って、図11Bに示すように、嵌合部58が針部材38の第1爪部材60に嵌合する。以後、ロック部材36は、針部材38と一体的に変位する。
【0050】
また、ガスケット20が先端側に変位することにより、収容室26の医療用液体がバイアル90の内部に導入される。そして、バイアル90の内部で薬剤と医療用液体とが混合されて、注射薬の調整が行われる。
【0051】
次に、図12Aに示すように、プランジャ22を基端側に引き込む操作が行われる。これにより、バイアル90の注射薬が、シリンジ12の収容室26に導入される。図12Bに示すように、プランジャ22を基端側に変位すると、段部22dがフランジ17cに突き当たる。段部22dは、フランジ17cと当接してプランジャ22の基端側への変位を阻止することで、プランジャ22のバレル16からの引き抜けを阻止する。
【0052】
次に、図12Bに示すようにバイアル90がアダプタ14から取り外される。このとき、プランジャ22が基端側に変位すると、第1連結溝28aには、押出部22cも、ロック片36dも存在しない状態となり、連結突起46を第1連結溝28aに移動させることができる。使用者の操作により、接続部材34を回動されることで、連結突起46が第1連結溝28aへと移動する。これにより、接続部材34とバレル16の先端部16aとの連結が解除可能となる。
【0053】
その後、図13Aに示すように、使用者の操作により、アダプタ14が軸線方向の先端側に引き抜かれることで、アダプタ14はシリンジ12から外れる。なお、アダプタ14の取り外しは、プランジャ22を基端側に引いた時点で可能となっており、使用者は、バイアル90を接続したままアダプタ14を取り外すこともできる。また、図13Bに示すように、アダプタ14が外されたシリンジ12からは、ノズル18が露出する。シリンジ12は、ノズル18に注射針が取り付けられて、注射薬の投与に供される。
【0054】
以上のように、本実施形態のアダプタ付きシリンジ10は、バイアル90を接続しただけでは、アダプタ14をシリンジ12から取り外せない構造となっている。プランジャ22を押圧して、シリンジ12の医療用液体をバイアル90に移送することで、アダプタ14が取り外し可能となる。したがって、アダプタ付きシリンジ10は、使用者に、注射薬の調整作業を確実に行わせることができ、未調整の注射液の誤投与を防止できる。
【0055】
(変形例1)
本変形例のアダプタ付きシリンジ10Aは、図14Aに示すように、ロック部材36A及び針部材38Aを有するアダプタ14Aにおいて、上述の実施形態と異なる。本変形例は、ロック部材36Aは、嵌合部58を有さない。また、本変形例の針部材38Aは、第1爪部材60を有さない。すなわち、本変形例では、ロック部材36Aと針部材38Aとの連結機能が省かれている。本変形例であっても、図1図13Bを参照しつつ説明した実施形態と同様の効果を得られる。
【0056】
(変形例2)
本変形例のアダプタ付きシリンジ10Bは、図14Bに示すように、針部材38Bを有するアダプタ14Bにおいて、変形例1のアダプタ付きシリンジ10A(図14A)と異なる。針部材38Bは、第2爪部材71を有さない。すなわち、本変形例では、さらに、キャップ24と針部材38Bとの連結機能が省かれている。本変形例であっても、図1図13Bを参照しつつ説明した実施形態と同様の効果を得られる。
【0057】
上述の開示は、以下にまとめられる。
【0058】
一観点は、シリンジ(12)とバイアル(90)とを接続するアダプタ(14)であって、両頭針(63)を有し、前記バイアルの口部(92)と接続可能な針部材(38、38A、38B)と、前記針部材を軸線方向に移動可能に保持する保持部材(44)と、前記シリンジのバレル(16)の先端部(16a)に連結される連結部(40)と、を有する接続部材(34)と、前記連結部に当接して前記連結部の前記シリンジからの離脱を阻止するロック部材(36、36A)と、を備え、前記ロック部材は、前記シリンジのプランジャ(22)の前進に伴い、前記プランジャから延び出た解除ロッド(22a)に押されて前記接続部材の前記連結部から外れて前記接続部材の前記シリンジからの離脱を可能とする。
【0059】
上述のアダプタは、プランジャを先端側に変位させてシリンジの医療用液体をバイアルに移送するまで、シリンジに離脱可能に連結される。したがって、アダプタは、バイアルに医療用液体が導入されるまえにシリンジに注射針を取り付けることを防止し、未調整の注射液の誤投与を防止する。
【0060】
上述のアダプタにおいて、 前記連結部は、内方に突出し、前記シリンジの連結溝(28)に係合する連結突起(46)を有し、前記連結突起は、前記シリンジに対して周方向に回転することで前記シリンジと前記接続部材との連結状態を解除してもよい。このアダプタは、簡素な構造で、解除可能にシリンジに連結できる。
【0061】
上述のアダプタにおいて、前記ロック部材は、前記連結突起の周方向に隣接して配置され、前記接続部材の周方向の回転を妨げるロック片(36d)を有してもよい。このアダプタは、ロック片により、接続部材がシリンジから離脱するのを防止できる。
【0062】
上述のアダプタにおいて、前記ロック片は、前記連結部の内周面と、前記先端部の外周面との間に挿入され、前記連結突起と周方向から当接して前記接続部材の回動を阻止してもよい。このアダプタは、簡素な構成で、接続部材の離脱を防止できる。
【0063】
上述のアダプタにおいて、前記接続部材は、軸線方向に延在し、前記ロック片及び前記解除ロッドが挿通する挿通溝(47)を有してもよい。このアダプタは、解除ロッドで直接ロック片を押し出すことができ、構造が簡素化される。
【0064】
上述のアダプタにおいて、前記針部材は、前記ロック部材と係合する第1爪部材(60)を有し、前記解除ロッドにより前記ロック部材を先端側に移動させると前記針部材と前記ロック部材とが前記第1爪部材を介して連結されてもよい。このアダプタは、バイアルの引き抜き動作を通じて針部材とともにロック部材の離脱を可能とすることができ、操作性に優れる。
【0065】
上述のアダプタにおいて、前記針部材は、前記先端部を封止するキャップ(24)に係合する第2爪部材(71)を有し、前記バイアルが前記針部材に押し込まれると前記第2爪部材が前記キャップに係合し、前記バイアルが前記シリンジから離れる方向に変位すると、前記キャップは、前記針部材とともに前記シリンジから外れてもよい。このアダプタは、アダプタとともにキャップを取り外すことができるため、取り扱い性に優れる。
【0066】
別の一観点は、上述のアダプタと、内部に医療用液体を収容したシリンジと、前記医療用液体を封止するガスケット(20)を有するプランジャ(22)と、前記プランジャの基端から先端側に向けて延在し、前記シリンジの外側に配置された解除ロッド(22a)と、を備え、前記シリンジの前記先端部に前記アダプタが接続された、アダプタ付きシリンジ(10、10A、10B)にある。このアダプタ付きシリンジは、未調整の注射液の誤投与を防止できる。
【0067】
上述のアダプタ付きシリンジは、前記ロック部材を前記シリンジに仮固定する凹凸構造(29)を有してもよい。このアダプタ付きシリンジは、ロック部材の離脱を防止することで、接続部材の離脱を防止できる。
【0068】
上述のアダプタ付きシリンジにおいて、前記シリンジは、前記解除ロッドを前記ロック部材に向けて案内する外筒(23)をさらに有してもよい。このアダプタ付きシリンジは、解除ロッドがロック部材に当接するように案内されるため、操作性に優れる。
【0069】
上述のアダプタ付きシリンジは、前記シリンジは、外周部にリブ状突起(17b)を有し、前記外筒は前記リブ状突起に係合する係合溝(23a)を有してもよい。このアダプタ付きシリンジは、簡単な構成で外筒とシリンジに固定できる。
【0070】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0071】
10、10A、10B…アダプタ付きシリンジ
12…シリンジ 14、14A、14B…アダプタ
16…バレル 16a…先端部
22…プランジャ 22a…解除ロッド
23…外筒 24…キャップ
28…連結溝 29…凹凸構造
34…接続部材 36、36A…ロック部材
36d…ロック片 38、38A、38B…針部材
40…連結部 44…保持筒(保持部材)
46…連結突起 47…挿通溝
63…両頭針
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14