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特開2023-183918回避経路探索装置および回避経路探索プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183918
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】回避経路探索装置および回避経路探索プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/34 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
G01C21/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097725
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】福田 和馬
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129DD65
2F129FF17
2F129FF18
2F129GG17
2F129GG18
2F129HH14
2F129HH19
2F129HH20
2F129HH21
(57)【要約】
【課題】本開示は、車両が走行予定経路上の狭路で対向車両と遭遇する確率を精度よく推定し、推定結果に応じて狭路を回避する経路を提案することを目的とする。
【解決手段】回避経路探索装置101は、第1車両の目的地までの走行予定経路が予め定められた第1閾値以下の幅の道路である狭路を含む場合に、第1車両と異なる複数の第2車両が過去に狭路を通行した実績を表す通行実績情報を取得する情報取得部15と、第1車両が狭路で少なくとも1つの第2車両である予想対向車両と対向する確率である対向確率を通行実績情報に基づき算出する対向確率算出部16と、対向確率が予め定められた第2閾値以上である場合に、第1車両の狭路を回避した目的地までの経路を回避経路として探索する回避経路探索部19と、回避経路の情報を第1車両に搭載された出力装置53に出力させる出力制御部20と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1車両の目的地までの走行予定経路が予め定められた第1閾値以下の幅の道路である狭路を含む場合に、前記第1車両と異なる複数の第2車両が過去に前記狭路を通行した実績を表す通行実績情報を取得する情報取得部と、
前記第1車両が前記狭路で少なくとも1つの前記第2車両である予想対向車両と対向する確率である対向確率を前記通行実績情報に基づき算出する対向確率算出部と、
前記対向確率が予め定められた第2閾値以上である場合に、前記第1車両の前記狭路を回避した前記目的地までの経路を回避経路として探索する回避経路探索部と、
前記回避経路の情報を前記第1車両に搭載された出力装置に出力させる出力制御部と、を備える、
回避経路探索装置。
【請求項2】
前記情報取得部は、前記第1車両または複数の前記第2車両を含む第3車両が過去に前記狭路で第4車両とすれ違った実績を表すすれ違い実績情報と、前記第1車両の車幅の情報とを取得し、
前記すれ違い実績情報は、前記第3車両および前記第4車両の前記狭路におけるすれ違い場所である退避候補場所の情報と、前記第3車両および前記第4車両の車幅の情報とを含み、
前記通行実績情報は、前記複数の第2車両の車幅の情報を含み、
前記第1車両、前記予想対向車両、前記第3車両および前記第4車両の車幅の情報に基づき、前記退避候補場所が前記第1車両と前記予想対向車両とのすれ違いが可能な第1退避可能場所であるか否かを判断する退避可能場所算出部をさらに備え、
前記回避経路探索部は、前記対向確率が前記第2閾値未満であり、かつ前記狭路に前記第1退避可能場所がない場合に、前記回避経路を探索する、
請求項1に記載の回避経路探索装置。
【請求項3】
前記すれ違い実績情報は、前記退避候補場所の路面状況の情報を含み、
前記路面状況の情報に基づき、前記第1車両が前記第1退避可能場所に退避する困難度を表す退避困難度を算出する退避困難度算出部をさらに備え、
前記回避経路探索部は、前記対向確率が前記第2閾値未満であり、かつ前記退避困難度が予め定められた第3閾値未満となる前記第1退避可能場所が前記狭路にない場合に、前記回避経路を探索する、
請求項2に記載の回避経路探索装置。
【請求項4】
前記路面状況は、前記第1車両が後退しながら前記第1退避可能場所へ進入する際の路面の勾配を含む、
請求項3に記載の回避経路探索装置。
【請求項5】
前記出力制御部は、前記第1車両が前記狭路から予め定められた距離以内に到達した場合に、前記走行予定経路に前記狭路がある旨の情報と、前記狭路内の前記第1退避可能場所の情報とを、前記出力装置に出力させる、
請求項2に記載の回避経路探索装置。
【請求項6】
前記第1車両が前記狭路を走行中に対向する対向車両の車幅を計測する対向車両検知部をさらに備え、
前記退避可能場所算出部は、前記第1車両、前記対向車両、前記第3車両および前記第4車両の車幅に基づき、前記退避候補場所が前記第1車両と前記対向車両とのすれ違いが可能な第2退避可能場所であるか否かを判断し、
前記出力制御部は、前記第2退避可能場所の情報を前記出力装置から出力させる、
請求項2に記載の回避経路探索装置。
【請求項7】
コンピュータを、
第1車両の目的地までの走行予定経路が予め定められた第1閾値以下の幅の道路である狭路を含む場合に、前記第1車両と異なる複数の第2車両が過去に前記狭路を通行した実績を表す通行実績情報を取得する情報取得部と、
前記第1車両が前記狭路で少なくとも1つの前記第2車両である予想対向車両と対向する確率である対向確率を前記通行実績情報に基づき算出する対向確率算出部と、
前記対向確率が予め定められた第2閾値以上である場合に、前記第1車両の前記狭路を回避した前記目的地までの経路を回避経路として探索する回避経路探索部と、
前記回避経路の情報を前記第1車両に搭載された出力装置に出力させる出力制御部
として機能させるための回避経路探索プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、対向車両とのすれ違いが困難な狭路を回避する経路探索に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、すれ違い困難区間を回避する経路を案内するすれ違い困難区間回避システムが開示されている。このすれ違い困難区間回避システムは、走行中の車両の位置情報、経路情報、およびすれ違い困難区間への到着予想時刻から、すれ違い困難区間において対向車両が有るかどうかを判断し、対向車両が有る場合にすれ違い困難区間を回避する経路を案内する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-100763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のすれ違い困難区間回避システムは、対向車両の有無を判断するために経路情報を使用するため、走行予定経路が設定されていない車両は判断対象とならず、対向車両の有無を精度よく判断することができないという問題があった。
【0005】
本開示は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、走行予定経路に含まれる狭路で対向車両と遭遇する確率を精度よく推定し、推定結果に応じて狭路を回避する経路を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の回避経路探索装置は、第1車両の目的地までの走行予定経路が予め定められた第1閾値以下の幅の道路である狭路を含む場合に、第1車両と異なる複数の第2車両が過去に狭路を通行した実績を表す通行実績情報を取得する情報取得部と、第1車両が狭路で少なくとも1つの第2車両である予想対向車両と対向する確率である対向確率を通行実績情報に基づき算出する対向確率算出部と、対向確率が予め定められた第2閾値以上である場合に、第1車両の狭路を回避した目的地までの経路を回避経路として探索する回避経路探索部と、回避経路の情報を第1車両に搭載された出力装置に出力させる出力制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の回避経路探索装置は、第1車両と異なる複数の第2車両が過去に狭路を通行した実績を表す通行実績情報に基づき、第1車両が走行予定経路上の狭路で予想対向車両と対向する対向確率を算出するため、走行予定経路が設定されていない第2車両に対しても対向確率を算出することができる。従って、本開示の回避経路探索装置は高精度に対向確率を算出し、その結果に基づき回避経路を探索することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る回避経路探索装置とその周辺装置の構成を示す図である。
図2】実施の形態1に係る回避経路探索装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態1に係る回避経路探索装置による通行実績の生成処理を示すフローチャートである。
図4】実施の形態1に係る回避経路探索装置によるすれ違い実績の生成処理を示すフローチャートである。
図5】実施の形態1に係る回避経路探索装置による回避経路の探索処理を示すフローチャートである。
図6】実施の形態2に係る回避経路探索装置による狭路報知処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<A.実施の形態1>
<A-1.構成>
図1は、実施の形態1に係る回避経路探索装置101とその周辺装置の構成を示している。回避経路探索装置101は、情報取得装置40、経路設定装置52および表示装置53と接続され、これらを利用可能に構成されている。また、回避経路探索装置101は、通信装置51を介してサーバ装置30と通信可能である。
【0010】
回避経路探索装置101は、CPU(Central Processing Unit)81およびメモリ82を備えて構成される。図2に示す回避経路探索装置101の各機能は、CPU81がメモリ82に格納されたプログラムを実行することにより実現する。すなわち、メモリ82には、回避経路探索装置101の各機能を実行するためのプログラムが格納されている。また、メモリ82には地図データが格納されている。
【0011】
図1にはCPUが示されているが、CPUはプロセッサの一例である。プロセッサは、CPUの他、例えば処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)等である。
【0012】
メモリ82は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD(Digital Versatile Disk)およびそのドライブ装置等、または、今後使用されるあらゆる記憶媒体であってもよい。
【0013】
回避経路探索装置101は、典型的には車載装置であるが、PND(Portable Navigation Device)、通信端末(例えば携帯電話、スマートフォン、およびタブレットなどの携帯端末)、およびこれらにインストールされるアプリケーションの機能、並びにサーバなどを適宜に組み合わせてシステムに適用されてもよい。この場合、図2で説明される回避経路探索装置101の各機能または各構成要素は、システムを構築する各機器に分散して配置されてもよいし、いずれかの機器に集中して配置されてもよい。
【0014】
回避経路探索装置101は、車両に走行予定経路が設定されており、その走行予定経路が狭路を含む場合には、状況に応じて狭路を回避する経路(以下、「回避経路」)を探索し、回避経路を車両の運転者に提供する。以下、回避経路探索装置101が回避経路を探索する対象の車両を第1車両と称し、それ以外の車両を第2車両と称する。
【0015】
情報取得装置40は、回避経路探索装置101の処理に必要な情報を取得し、回避経路探索装置101に提供する。情報取得装置40は、GPS(Global Positioning System)受信部41、カメラ42、およびミリ波レーダ43を備えて構成される。
【0016】
GPS受信部41、カメラ42、およびミリ波レーダ43はいずれも、第1車両に搭載されている。GPS受信部41は、GPS衛星からGPS信号を第1車両の位置情報として受信する。カメラ42は、第1車両の周辺を撮影する。ミリ波レーダ43は、第1車両の周辺物の第1車両に対する位置を測定する。カメラ42の撮影画像およびミリ波レーダ43の測定結果は、回避経路探索装置101において狭路および対向車両の検知に用いられる。
【0017】
経路設定装置52は、第1車両の走行予定経路を設定する。走行予定経路が設定されると、第1車両に搭載された図示しないナビゲーション装置などにより、走行予定経路の案内表示が行われる。
【0018】
表示装置53は、第1車両に搭載され、第1車両の搭乗者に回避経路またはその他の情報を通知するために用いられる。表示装置は、例えばCID(Center Information Display)またはHUD(Head-Up Display)である。表示装置53は通知を行う出力装置の一例である。表示装置53の他に、音声出力装置などが用いられてもよい。
【0019】
サーバ装置30には、通行実績データベース(DB)31およびすれ違い実績データベース(DB)32が格納されている。通行実績DB31は、通行実績情報を蓄積したデータベースである。通行実績情報とは、第1車両または第2車両が過去に狭路を通行した実績を表す情報である。すれ違い実績DB32は、すれ違い実績情報を蓄積したデータベースである。すれ違い実績情報とは、第1車両または第2車両が過去に狭路で対向車両とすれ違った実績を表す情報である。以下、すれ違い実績情報における「第1車両または第2車両」を「第3車両」とも称し、すれ違い実績情報における「対向車両」を「第4車両」とも称する。
【0020】
本明細書において「狭路」とは、2台の車両がすれ違うことが不可能であるか、または困難なほど道幅が狭い道路を意味する。例えば、「狭路」は、道幅が予め定められた第1閾値以下の道路として定義される。
【0021】
回避経路探索装置101は、第1車両が狭路を通行した場合に、その通行に関する通行実績情報を作成してサーバ装置30に送信する。また、回避経路探索装置101は、第1車両が狭路で第2車両とすれ違った場合に、そのすれ違いに関するすれ違い実績情報を作成してサーバ装置30に送信する。こうして送信された通行実績情報およびすれ違い実績情報は、サーバ装置30において通行実績DB31およびすれ違い実績DB32として格納される。
【0022】
第1車両に搭載された回避経路探索装置101の同様の装置が、第2車両にも搭載されているものとする。第2車両においても、第1車両と同様、狭路を通行し、または狭路で他の車両とすれ違った際に、通行実績情報またはすれ違い実績情報が作成され、サーバ装置30に作成される。従って、サーバ装置30には、第1車両および第2車両の通行実績情報およびすれ違い実績情報が蓄積される。
【0023】
図2は、回避経路探索装置101の機能を示すブロック図である。図2に示されるように、回避経路探索装置101は、狭路検知部11、通行実績生成部12、対向車両検知部13およびすれ違い実績生成部14を備えて構成される。
【0024】
狭路検知部11は、第1車両が狭路を走行している際に、その旨を検知する。具体的には、狭路検知部11は情報取得装置40からカメラ42の撮影画像、およびミリ波レーダ43の測定情報を取得し、これらの情報を用いて道路の道幅を計測する。そして、狭路検知部11は、計測した道路の道幅が第1閾値以下である場合に、車両が狭路を通行していることを検知する。
【0025】
通行実績生成部12は、第1車両が狭路を通行している際に、その狭路の通行実績を表す通行実績情報を作成し、サーバ装置30へ送信する。通行実績情報は、第1車両が狭路を通行したことを表す情報に、以下の関連情報を紐づけたものである。関連情報には、例えば、狭路の位置情報、第1車両の車幅情報、第1車両の狭路内の進行方向、もしくは第1車両が狭路を通行している時間帯、曜日、季節または天候の情報が含まれる。
【0026】
通行実績生成部12が作成した通行実績情報は、サーバ装置30において通行実績DBとして蓄積される。
【0027】
対向車両検知部13は、第1車両が狭路を通行している際に、対向車両の有無を判断する。対向車両検知部13は情報取得装置40からカメラ42の撮影画像、およびミリ波レーダ43の測定情報を取得し、これらの情報を用いて対向車両の有無を判断する。また、対向車両検知部13は、狭路に対向車両がいる場合に、第1車両が対向車両とすれ違いできるか否かを判断する。
【0028】
すれ違い実績生成部14は、第1車両が狭路で対向車両とすれ違った際に、そのすれ違いに関するすれ違い実績情報を作成する。すれ違い実績生成部14は、第1車両が狭路で対向車両とすれ違った場所を退避候補場所とし、退避候補場所の位置情報および第1車両の車幅情報を周辺情報に紐づけてすれ違い実績情報とする。周辺情報は、例えば、退避候補場所の周辺の路面の勾配または路面塗装状況を含む。また、退避候補場所の周辺情報は、退避候補場所の周辺における路肩の溝、電柱、建物、ガードレール、または歩行者道の有無の情報を含んでいてもよい。また、退避候補場所の周辺情報は対向車両の車幅の情報を含んでいてもよい。
【0029】
すれ違い実績生成部14が作成したすれ違い実績情報は、サーバ装置30においてすれ違い実績DB32として蓄積される。
【0030】
図2に示されるように、回避経路探索装置101は、情報取得部15、対向確率算出部16、退避可能場所算出部17、退避困難度算出部18、回避経路探索部19および出力制御部20を備えて構成される。
【0031】
情報取得部15は、第1車両の走行予定経路に狭路が含まれる場合に、サーバ装置30の通行実績DB31から通行実績情報を取得し、サーバ装置30のすれ違い実績DB32からすれ違い実績情報を取得する。
【0032】
対向確率算出部16は、情報取得部15が取得した通行実績情報およびすれ違い実績情報を用いて、第1車両が狭路で対向車両と遭遇する確率(以下、「対向確率」)を算出する。なお、この対向確率で第1車両と遭遇すると予想される対向車両のことを予想対向車両とも称する。
【0033】
退避可能場所算出部17は、対向確率が予め定められた第2閾値未満である場合に、狭路に退避候補場所があるか否かをすれ違い実績情報に基づき判断する。狭路に退避候補場所がある場合、第1車両がその退避候補場所で予想対向車両とすれ違うことができるか否かを、すれ違い実績情報に基づき判断する。具体的には、退避可能場所算出部17は、すれ違い実績情報に基づき、過去に退避候補場所ですれ違った実績のある2台の車両(すなわち、第3車両および第4車両)の車幅と、第1車両の車幅と、予想対向車両の車幅とを比較し、すれ違いの可否を判断する。例えば、退避可能場所算出部17は、第1車両および予想対向車両の車幅の合計が、第3車両および第4車両の車幅の合計以下であれば、第1車両が退避候補場所で予想対向車両とすれ違うことができると判断する。例えば、予想対向車両が乗用車であればすれ違い可能であっても、バスなどの大型車であればすれ違いできないかもしれない。
【0034】
退避可能場所算出部17は、第1車両が予想対向車両と退避候補場所ですれ違い可能と判断した場合に、その退避候補場所を退避可能場所とする。この退避可能場所は、第1車両が予想対向車両とすれ違うことが可能な場所であり、第1退避可能場所とも称する。
【0035】
退避困難度算出部18は、情報取得部15がサーバ装置30から取得したすれ違い実績情報に含まれる退避可能場所の路面状況に基づき、退避可能場所の退避困難度を算出する。退避困難度とは、第1車両が退避可能場所に退避する困難度を表すものである。例えば、退避可能場所の路面勾配が退避困難度に影響する。第1車両が後退して退避可能場所に退避する場合の路面勾配が上りである場合は、平坦である場合より退避困難度が高く、下りである場合はさらに退避困難度が高い。退避困難度算出部18は、狭路を通過する際の進行方向と、すれ違い実績情報に含まれる退避可能場所の路面勾配状況から、退避可能場所における後退時の勾配が上り、下り、平坦のいずれであるかを判断し、退避困難度を算出する。
【0036】
回避経路探索部19は、退避困難度が予め定められた第3閾値未満となる退避可能場所が狭路に無い場合に、その狭路を回避する経路(以下、「回避経路」)を探索する。回避経路は、以下の条件に該当する狭路を回避する経路である。
(1)対向確率が第2閾値以上である。
(2)対向確率が第2閾値未満であり、かつ退避困難度が第3閾値未満となる退避可能場所がない。
【0037】
出力制御部20は、回避経路探索部19が探索した回避経路を表示装置53に表示させる。また、回避経路探索部19が探索した回避経路が経路設定装置52により第1車両の走行予定経路として設定され、かつ走行予定経路上に狭路がある場合、出力制御部20は、その旨を表示装置53に表示させる。
【0038】
<A-2.動作>
図3は、回避経路探索装置101による通行実績作成処理を示すフローチャートである。通行実績作成処理は、回避経路探索装置101の狭路検知部11および通行実績生成部12によって実施される。
【0039】
図3に示される通行実績作成処理は、第1車両の走行開始と共に開始される。まず、ステップS101において、狭路検知部11が情報取得装置40からカメラ42の撮影画像、またはミリ波レーダ43の測定情報を取得し、これらの情報を用いて第1車両が走行中の道路の道幅を計測する。
【0040】
次に、ステップS102において、狭路検知部11は、第1車両が走行中の道路が狭路であるか否かを判断する。具体的には、狭路検知部11は、ステップS101で計測した道路の道幅が第1閾値以下である場合に、当該道路を狭路と判断する。
【0041】
ステップS102において第1車両の走行道路が狭路でなければ、通行実績作成処理は終了する。ステップS102において第1車両の走行道路が狭路である場合、ステップS103において、通行実績生成部12が狭路通行の関連情報を取得する。関連情報には、例えば、狭路の位置情報、第1車両の車幅情報、第1車両の進行方向、もしくは第1車両が狭路を通行している時間帯、曜日、季節または天候の情報が含まれる。
【0042】
ステップS103の後、ステップS104において、通行実績生成部12は狭路を通行した実績をステップS103で取得した関連情報と紐づけ、通行実績情報を作成する。本ステップで作成された通行実績情報は、通信装置51を介して回避経路探索装置101からサーバ装置30に送信され、サーバ装置30の通行実績DB31に蓄積される。以上で、通行実績作成処理は終了する。
【0043】
図4は、回避経路探索装置101によるすれ違い実績作成処理を示すフローチャートである。回避経路探索装置101は、第1車両が狭路を通行していると判断したときに、すれ違い実績作成処理を開始する。ここで、第1車両が狭路を通行しているか否かの判断は、図3のステップS102で行われるものでもよい。すれ違い実績作成処理は、回避経路探索装置101の対向車両検知部13およびすれ違い実績生成部14によって実施される。
【0044】
まず、ステップS201において、対向車両検知部13が情報取得装置40からカメラ42の撮影画像、またはミリ波レーダ43の測定情報を取得し、これらの情報を用いて対向車両の有無を判断する。
【0045】
ステップS201において対向車両がいない場合、すれ違い実績作成処理は終了する。ステップS201において対向車両がいる場合、ステップS202において対向車両検知部13は対向車とすれ違いできたかどうかを判断する。
【0046】
ステップS202において対向車とすれ違いできなかった場合、すれ違い実績作成処理は終了する。ステップS202において対向車とすれ違いできた場合、ステップS203においてすれ違い実績生成部14が、第1車両が狭路で対向車両とすれ違った場所である退避候補場所の周辺情報を取得する。周辺情報は、例えば、退避候補場所の周辺の路面の勾配または路面塗装状況を含む。また、周辺情報は、退避候補場所の周辺における路肩の溝、電柱、建物、ガードレール、または歩行者道の有無の情報を含んでいてもよい。また、周辺情報は対向車両の車幅の情報を含んでいてもよい。これらの周辺情報は、カメラ42の撮影画像、ミリ波レーダ43の測定情報、またはメモリ82に格納された地図データから得られる。
【0047】
ステップS203の後、ステップS204においてすれ違い実績生成部14は、退避候補場所の位置情報および第1車両の車幅情報を、ステップS203で取得した周辺情報に紐づけてすれ違い実績情報を作成する。これにより、すれ違い実績作成処理は終了する。すれ違い実績生成部14が作成したすれ違い実績情報は、通信装置51を介して回避経路探索装置101からサーバ装置30に送信され、サーバ装置30においてすれ違い実績DB32として蓄積される。
【0048】
図5は、回避経路探索装置101による回避経路探索処理を示すフローチャートである。回避経路探索処理は、回避経路探索装置101の情報取得部15、対向確率算出部16、退避可能場所算出部17、退避困難度算出部18および回避経路探索部19によって実施される。
【0049】
回避経路探索処理は、経路設定装置52により第1車両の走行予定経路が設定されているときに行われる。まず、ステップS301において、情報取得部15は、メモリ82に格納された地図データを用いて、走行予定経路に狭路が含まれるか否かを判断する。ステップS301において走行予定経路に狭路が含まれない場合、回避経路探索処理は終了する。
【0050】
ステップS301において走行予定経路に狭路が含まれる場合、ステップS302において情報取得部15は、第1車両が狭路を通行すると予想される時刻(以下、予想通行時刻)を算出し、予想通行時刻を基に通行実績DB31から通行実績情報を取得する。ここで、情報取得部15は、第1車両の予想通行時刻を含む時間帯に第1車両と反対方向に狭路を通行した通行実績情報を取得する。その他、情報取得部15は、第1車両が狭路を通行すると予想されるタイミングと、曜日、季節または天候などが一致する条件に該当する通行実績情報を取得してもよい。
【0051】
また、ステップS302において情報取得部15は、通信装置51を介して走行予定経路に含まれる狭路における退避候補場所および路面状況の情報をすれ違い実績DB32から取得する。
【0052】
ステップS302の後、ステップS303において対向確率算出部16は、情報取得部15がステップS302で取得した通行実績情報およびすれ違い実績情報を用いて、第1車両が走行予定経路上の狭路で対向車両と遭遇する確率、すなわち対向確率を算出する。
【0053】
ステップS303の後、ステップS304において対向確率算出部16は、対向確率が第2閾値以上であるか否かを判断する。ステップS304において対向確率が第2閾値以上である場合、回避経路探索処理はステップS310に移行する。
【0054】
ステップS304において対向確率が第2閾値未満である場合、回避経路探索処理はステップS305に移行する。ステップS305において退避可能場所算出部17は、情報取得部15がステップS302で取得したすれ違い実績情報から、狭路の退避候補場所を検索する。
【0055】
ステップS305の後ステップS306において、退避可能場所算出部17は、狭路に退避可能場所があるか否かを判断する。具体的には、退避可能場所算出部17は、すれ違い実績情報に基づき、過去に退避候補場所ですれ違った実績のある2台の車両(すなわち、第3車両および第4車両)の車幅と、第1車両および予想対向車両の車幅とを比較し、すれ違いの可否を判断する。そして、退避可能場所算出部17は、すれ違い可能と判断した退避候補場所を退避可能場所とする。
【0056】
ステップS306において退避可能場所が無い場合、回避経路探索処理はステップS310に移行する。ステップS306において退避可能場所がある場合、回避経路探索処理はステップS307に移行する。
【0057】
ステップS307において退避困難度算出部18は、すれ違い情報から退避可能場所の路面状況を取得する。この路面状況は、路面勾配を含む。
【0058】
ステップS307の後ステップS308において退避困難度算出部18は、ステップS307で取得した退避可能場所の路面状況に基づき、退避可能場所への退避困難度を算出する。
【0059】
ステップS308の後ステップS309において退避困難度算出部18は、ステップS307で算出した退避困難度が第3閾値以上であるか否かを判断する。
【0060】
ステップS309において退避可能場所の退避困難度が第3閾値未満である場合、回避経路探索処理は終了する。ステップS309において退避可能場所の退避困難度が第3閾値以上である場合、回避経路探索処理はステップS310に移行する。
【0061】
ステップS310において、回避経路探索部19は狭路を回避する回避経路を探索する。
【0062】
<A-3.効果>
実施の形態1に係る回避経路探索装置101は、情報取得部15、対向確率算出部16および出力制御部20を備えて構成される。情報取得部15は、第1車両の目的地までの走行予定経路が狭路を含む場合に、その狭路の通行実績情報を取得する。狭路とは、予め定められた第1閾値以下の幅の道路である。通行実績情報とは、第1車両と異なる複数の第2車両が過去に狭路を通行した実績を表す情報である。対向確率算出部16は、第1車両が狭路で予想対向車両と対向する確率である対向確率を通行実績情報に基づき算出する。予想対向車両は、通行実績情報に係る複数の第2車両のうちの少なくとも1つの車両である。回避経路探索部19は、対向確率が予め定められた第2閾値以上である場合に、狭路を回避した第1車両の目的地までの経路を回避経路として探索する。出力制御部20は、回避経路の情報を第1車両に搭載された出力装置に出力させる。
【0063】
以上の構成によれば、回避経路探索装置101は複数の第2車両による狭路の通行実績情報を基に、走行予定経路上の狭路における第1車両の対向確率を算出する。この通行実績情報は、第2車両に経路が設定されているか否かに関わらず取得可能であるため、過去の実績から対向確率を精度よく予測することが可能となる。
【0064】
また、回避経路探索装置101は、対向確率が高い場合に回避経路が探索する。従って、第1車両は対向車両と遭遇する確率の低い狭路を不必要に迂回することなく、迂回による到着時刻の遅れが低減される。
【0065】
また、回避経路探索装置101において、情報取得部15は、すれ違い実績情報と第1車両の車幅の情報とを取得する。すれ違い実績情報とは、第1車両または複数の第2車両を含む第3車両が過去に狭路で第4車両とすれ違った実績を表す情報である。すれ違い実績情報は、第3車両および第4車両の狭路におけるすれ違い場所の情報と、第3車両および第4車両の車幅の情報とを含む。また、情報取得部15が取得する通行実績情報は、複数の第2車両の車幅の情報を含む。また、回避経路探索装置101は、退避可能場所算出部17を備える。退避可能場所算出部17は、第1車両、前記予想対向車両、第3車両および第4車両の車幅の情報に基づき、すれ違い場所が第1車両と予想対向車両とのすれ違いが可能な第1退避可能場所であるか否かを判断する。また、回避経路探索部19は、対向確率が第2閾値未満であり、かつ狭路に第1退避可能場所がない場合に、回避経路を探索する。
【0066】
以上の構成によれば、回避経路探索装置101は、第1車両の狭路における対向確率が低い場合でも、その狭路に第1退避可能場所がない場合には回避経路を探索する。第1退避可能場所がない狭路で対向車両と遭遇すると、すれ違いが困難であり事故のリスクが高まる。また、後退して対向車両を回避するのも時間がかかる。しかし、回避経路探索装置101によれば、こうした状況を避けることができる。
【0067】
また、回避経路探索装置101において、すれ違い実績情報は、すれ違い場所の路面状況の情報を含む。回避経路探索装置101は、路面状況の情報に基づき第1退避可能場所の退避困難度を算出する退避困難度算出部18を備える。退避困難度は、第1車両が第1退避可能場所に退避する困難度を表す。回避経路探索部19は、対向確率が第2閾値未満であり、かつ退避困難度が予め定められた第3閾値未満となる第1退避可能場所が狭路にない場合に、回避経路を探索する。
【0068】
以上の構成によれば、回避経路探索装置101は、第1車両の狭路における対向確率が低い場合でも、その狭路に退避困難度の低い第1退避可能場所がない場合には回避経路を探索する。狭路に第1退避可能場所がある場合でも、その第1退避可能場所の退避困難度が高ければ、事故のリスクが高まり、また第1退避可能場所に退避するのに時間がかかる。しかし、回避経路探索装置101によれば、こうした状況を避けることができる。
【0069】
<B.実施の形態2>
<B-1.構成>
実施の形態2に係る回避経路探索装置102の構成は、図1および図2に示した通りであり、実施の形態1に係る回避経路探索装置101の構成と同様である。
【0070】
<B-2.動作>
回避経路探索装置102は、実施の形態1に係る回避経路探索装置101が行う処理に加えて、第1車両の走行予定経路上の狭路に関する情報を第1車両の搭乗者に報知する処理、すなわち狭路報知処理を行う。
【0071】
図6は、回避経路探索装置102による狭路報知処理のフローチャートである。以下、図6に沿って狭路報知処理を説明する。狭路報知処理は、第1車両に走行予定経路が設定され、実施の形態1で説明した回避経路探索処理が行われた後に行われる。
【0072】
まず、ステップS401において、情報取得部15は、メモリ82に格納された地図データを用いて、走行予定経路上に狭路があるか否かを判断する。本ステップは図4のステップS301と同様である。ステップS401において走行予定経路上に狭路がある場合、ステップS402において情報取得部15は、第1車両が狭路まで例えば1km以内に近づいているか否かを判断する。情報取得部15は、GPS受信部41から取得した第1車両の位置情報と、狭路の位置情報とに基づき、第1車両が狭路から予め定められた距離に近づいているか否かを判断する。
【0073】
ステップS402において第1車両が狭路まで1km以内に近づいていない場合、情報取得部15はステップS402を繰り返す。ステップS402において第1車両が狭路まで1km以内に近づいた場合、ステップS403において出力制御部20は表示装置53を用いて狭路予告を行う。具体的には、出力制御部20は表示装置53に、走行予定経路上に狭路がある旨、狭路における退避可能場所の有無、および退避可能場所がある場合には退避可能場所の路面状況の情報を出力させる。狭路予告が行われることにより、運転者はこのまま走行予定経路通りに走行して狭路を通過するか、あるいは狭路を回避する別の経路を走行するかを判断することができる。すなわち、回避経路探索装置102が狭路における対向確率および退避可能場所の退避困難度を基に、狭路を通過する走行予定経路を選択した場合でも、運転者自身が降雪または路面凍結といった現地状況を把握した上で、別ルートへの変更を検討することができる。
【0074】
ステップS403の後、ステップS404において狭路検知部11は、第1車両が狭路を通行中であるか否かを判断する。本ステップは、図2のステップS101およびステップS102と同様である。
【0075】
ステップS404において第1車両が狭路を通行中である場合、ステップS405において対向車両検知部13は対向車両の有無を判断する。本ステップは図3のステップS201と同様である。ステップS405において対向車両がない場合、ステップS406において狭路検知部11は第1車両が狭路を通過したか否かを判断する。ステップS406において第1車両が狭路を通過した場合、狭路報知処理は終了する。ステップS406において第1車両が狭路を通過していない場合、狭路報知処理はステップS405に戻る。
【0076】
ステップS405において対向車両がある場合、ステップS407において回避経路探索装置102は、退避可能場所通知処理を行う。
【0077】
退避可能場所通知処理において、情報取得部15は情報取得装置40から対向車両の車幅を取得する。そして、退避可能場所算出部17は、第1車両および対向車両の車幅とすれ違い実績情報とに基づき、第1車両が対向車両とすれ違うことのできる狭路内の退避可能場所を探索する。この退避可能場所は、第1車両が予想対向車両ではなく実際の対向車両とすれ違うことのできる退避可能場所であるため、これを予想対向車両に対する第1退避可能場所と区別して第2退避可能場所とも称する。例えば、第1車両および対向車両の車幅の合計が、すれ違い実績情報においてすれ違った2台の車両(すなわち、第3車両および第4車両)の車幅の合計以下である場合に、退避可能場所算出部17は、第1車両が対向車両と同じ場所ですれ違い可能であると判断し、その場所を退避可能場所とする。
【0078】
退避可能場所がある場合、出力制御部20は退避可能場所の位置を表示装置53から出力させる。また、退避可能場所が第1車両の後方にしかない場合、出力制御部20は第1車両の運転者に第1車両を後退させるよう促す通知を表示装置53から出力させる。また、退避可能場所が狭路内にない場合、出力制御部20はその旨の情報を表示装置53から出力させる。以上の処理が退避可能場所通知処理である。
【0079】
以上の処理によれば、過去に狭路内ですれ違った実績のある2台の車両の車幅と、第1車両および対向車両の車幅とに基づき、狭路内の退避可能場所を精度よく第1車両の運転者に通知することが可能となる。
【0080】
<B-3.効果>
実施の形態2に係る回避経路探索装置102において、出力制御部20は、第1車両が走行予定経路上の狭路から予め定められた距離以内に到達した場合に、走行予定経路に狭路がある旨の情報と、狭路内の第1退避可能場所の情報とを、出力装置に出力させる。これにより、第1車両の運転者は回避経路探索装置102が回避経路を探索しない場合でも、降雪または路面凍結といった現地状況を把握した上で、狭路を回避する経路への変更を検討することができる。
【0081】
実施の形態2に係る回避経路探索装置102は、第1車両が狭路を走行中に対向車両の車幅を計測する対向車両検知部13を備える。また、退避可能場所算出部17は、第1車両、対向車両、第3車両および第4車両の車幅に基づき、すれ違い実績情報において第3車両および第4車両がすれ違った退避候補場所が、第1車両と対向車両とのすれ違いが可能な第2退避可能場所であるか否かを判断する。また、出力制御部20は、第2退避可能場所の情報を出力装置から出力させる。以上の構成によれば、第1車両が実際に狭路で対向車両と遭遇してしまった場合に、狭路内の第2退避可能場所を精度よく第1車両の運転者に通知することにより、狭路におけるすれ違いを支援することができる。
【0082】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上記の実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上記の実施の形態等に種々の変形および置換を加えることができる。
【0083】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0084】
(付記1)
第1車両の目的地までの走行予定経路が予め定められた第1閾値以下の幅の道路である狭路を含む場合に、前記第1車両と異なる複数の第2車両が過去に前記狭路を通行した実績を表す通行実績情報を取得する情報取得部と、
前記第1車両が前記狭路で少なくとも1つの前記第2車両である予想対向車両と対向する確率である対向確率を前記通行実績情報に基づき算出する対向確率算出部と、
前記対向確率が予め定められた第2閾値以上である場合に、前記第1車両の前記狭路を回避した前記目的地までの経路を回避経路として探索する回避経路探索部と、
前記回避経路の情報を前記第1車両に搭載された出力装置に出力させる出力制御部と、を備える、
回避経路探索装置。
【0085】
(付記2)
前記情報取得部は、前記第1車両または複数の前記第2車両を含む第3車両が過去に前記狭路で第4車両とすれ違った実績を表すすれ違い実績情報と、前記第1車両の車幅の情報とを取得し、
前記すれ違い実績情報は、前記第3車両および前記第4車両の前記狭路におけるすれ違い場所である退避候補場所の情報と、前記第3車両および前記第4車両の車幅の情報とを含み、
前記通行実績情報は、前記複数の第2車両の車幅の情報を含み、
前記第1車両、前記予想対向車両、前記第3車両および前記第4車両の車幅の情報に基づき、前記退避候補場所が前記第1車両と前記予想対向車両とのすれ違いが可能な第1退避可能場所であるか否かを判断する退避可能場所算出部をさらに備え、
前記回避経路探索部は、前記対向確率が前記第2閾値未満であり、かつ前記狭路に前記第1退避可能場所がない場合に、前記回避経路を探索する、
付記1に記載の回避経路探索装置。
【0086】
(付記3)
前記すれ違い実績情報は、前記退避候補場所の路面状況の情報を含み、
前記路面状況の情報に基づき、前記第1車両が前記第1退避可能場所に退避する困難度を表す退避困難度を算出する退避困難度算出部をさらに備え、
前記回避経路探索部は、前記対向確率が前記第2閾値未満であり、かつ前記退避困難度が予め定められた第3閾値未満となる前記第1退避可能場所が前記狭路にない場合に、前記回避経路を探索する、
付記2に記載の回避経路探索装置。
【0087】
(付記4)
前記路面状況は、前記第1車両が後退しながら前記第1退避可能場所へ進入する際の路面の勾配を含む、
付記3に記載の回避経路探索装置。
【0088】
(付記5)
前記出力制御部は、前記第1車両が前記狭路から予め定められた距離以内に到達した場合に、前記走行予定経路に前記狭路がある旨の情報と、前記狭路内の前記第1退避可能場所の情報とを、前記出力装置に出力させる、
付記2から付記4のいずれか1項に記載の回避経路探索装置。
【0089】
(付記6)
前記第1車両が前記狭路を走行中に対向する対向車両の車幅を計測する対向車両検知部をさらに備え、
前記退避可能場所算出部は、前記第1車両、前記対向車両、前記第3車両および前記第4車両の車幅に基づき、前記退避候補場所が前記第1車両と前記対向車両とのすれ違いが可能な第2退避可能場所であるか否かを判断し、
前記出力制御部は、前記第2退避可能場所の情報を前記出力装置から出力させる、
付記2から付記5のいずれか1項に記載の回避経路探索装置。
【0090】
(付記7)
コンピュータを、
第1車両の目的地までの走行予定経路が予め定められた第1閾値以下の幅の道路である狭路を含む場合に、前記第1車両と異なる複数の第2車両が過去に前記狭路を通行した実績を表す通行実績情報を取得する情報取得部と、
前記第1車両が前記狭路で少なくとも1つの前記第2車両である予想対向車両と対向する確率である対向確率を前記通行実績情報に基づき算出する対向確率算出部と、
前記対向確率が予め定められた第2閾値以上である場合に、前記第1車両の前記狭路を回避した前記目的地までの経路を回避経路として探索する回避経路探索部と、
前記回避経路の情報を前記第1車両に搭載された出力装置に出力させる出力制御部
として機能させるための回避経路探索プログラム。
【符号の説明】
【0091】
11 狭路検知部、12 通行実績生成部、13 対向車両検知部、14 実績生成部、15 情報取得部、16 対向確率算出部、17 退避可能場所算出部、18 退避困難度算出部、19 回避経路探索部、20 出力制御部、22 表示装置、30 サーバ装置、31 通行実績DB、32 すれ違い実績DB、40 情報取得装置、41 GPS受信部、42 カメラ、43 ミリ波レーダ、51 通信装置、52 経路設定装置、53 出力装置、81 CPU、82 メモリ、101,102 回避経路探索装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6