(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183923
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】収集装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/61 20180101AFI20231221BHJP
【FI】
G06F8/61
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097730
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100118474
【弁理士】
【氏名又は名称】寺脇 秀▲徳▼
(74)【代理人】
【識別番号】100141911
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 譲
(72)【発明者】
【氏名】中野 健治
(72)【発明者】
【氏名】米山 清二郎
【テーマコード(参考)】
5B376
【Fターム(参考)】
5B376AB04
5B376AB11
5B376AB40
(57)【要約】 (修正有)
【課題】所望の通信量の範囲内でソフトウェアを配信するように、配信対象の通信端末を選択する収集装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】通信システム1において、収集装置10は、複数の通信端末と通信経路を介して通信する通信部11と、通信端末の通信状態情報、設置場所情報及びソフトウェアバージョン情報のうち少なくともひとつを含む通信端末情報を取得する通信端末情報管理部13と、通信端末情報に基づいて、通信端末のうちソフトウェアの配信対象の通信端末を選択する配信対象作成部17と、通信部11から配信対象の通信端末に対してソフトウェアを配信させるソフトウェア配信制御部18と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信端末と通信経路を介して通信する通信部と、
前記通信端末の通信状態情報、設置場所情報、およびソフトウェアバージョン情報のうち少なくともひとつを含む通信端末情報を取得する通信端末情報管理部と、
前記通信端末情報に基づいて、前記通信端末のうちソフトウェアの配信対象の通信端末を選択する配信対象作成部と、
前記通信部から前記配信対象の通信端末に対して前記ソフトウェアを配信させるソフトウェア配信制御部と、
を備える収集装置。
【請求項2】
前記配信対象作成部は、前記設置場所情報に基づいて、前記通信端末のうち所定の地域に設置された通信端末を選択する請求項1に記載の収集装置。
【請求項3】
前記配信対象作成部は、前記ソフトウェアバージョン情報に基づいて、前記通信端末のうち所定よりも古いソフトウェアバージョン情報を有する通信端末を選択する請求項1に記載の収集装置。
【請求項4】
前記配信対象作成部は、前記配信対象の通信端末に対して前記ソフトウェアを配信する配信期間を設け、
前記ソフトウェア配信制御部は、前記配信期間に前記通信部から前記配信対象の通信端末に対して前記ソフトウェアを配信させる請求項1に記載の収集装置。
【請求項5】
前記ソフトウェアの分割数および前記ソフトウェアの送信間隔に基づいて、前記通信端末1台に対する前記ソフトウェアの配信にかかる時間あたりの通信量を算出し、前記通信経路のスループットを超えない範囲で前記ソフトウェアを同時配信できる前記通信端末の数量である同時配信数量を判定する同時配信判定部をさらに備え、
前記ソフトウェア配信制御部は、前記同時配信数量を超えない範囲で、前記通信部から前記配信対象の通信端末に対して前記ソフトウェアを同時配信させる請求項1に記載の収集装置。
【請求項6】
所定の期間において使用可能な通信量の上限に基づいて、前記所定の期間における前記通信量の上限を超えない範囲で前記ソフトウェアを配信できる前記通信端末の数量である配信上限を判定する配信上限判定部をさらに備え、
前記ソフトウェア配信制御部は、前記配信上限を超えない範囲で、前記通信部から前記配信対象の通信端末に対して前記ソフトウェアを配信させる請求項1に記載の収集装置。
【請求項7】
前記配信上限判定部は、所定の期間における前記配信上限を判定し、前記所定の期間が終了した場合に次の所定の期間における配信上限をさらに判定する請求項6に記載の収集装置。
【請求項8】
コンピュータに、
通信端末の通信状態情報、設置場所情報、およびソフトウェアバージョン情報のうち少なくともひとつを含む通信端末情報を取得する手段と、
前記通信端末情報に基づいて、前記通信端末のうちソフトウェアの配信対象の通信端末を選択する手段と、
通信部から前記配信対象の通信端末に対して前記ソフトウェアを配信させる手段と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、収集装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワークを介して上位の収集装置が下位の通信端末と接続する通信システムが普及している。このような通信システムでは、通信端末のソフトウェアを更新するために、収集装置から通信端末に対してソフトウェアを配信する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
収集装置1台あたりに接続される通信端末の数量は膨大であることが多い。したがって、収集装置から通信端末に対して一斉にソフトウェアを配信する場合は、一時的に通信量が増加することによるパケット損失や、所定期間ごとの通信量が制御できないことなどがあり、効率的にソフトウェアを配信できなかった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、所望の通信量の範囲内でソフトウェアを配信するように、配信対象の通信端末を選択する収集装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、実施形態の収集装置は、複数の通信端末と通信経路を介して通信する通信部と、前記通信端末の通信状態情報、設置場所情報、およびソフトウェアバージョン情報のうち少なくともひとつを含む通信端末情報を取得する通信端末情報管理部と、前記通信端末情報に基づいて、前記通信端末のうちソフトウェアの配信対象の通信端末を選択する配信対象作成部と、前記通信部から前記配信対象の通信端末に対して前記ソフトウェアを配信させるソフトウェア配信制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る通信システムの構成の例を示すブロック図。
【
図2】第1実施形態に係る通信端末情報の例を示す図。
【
図3】第1実施形態に係る収集装置の処理例を示すフローチャート。
【
図4】第2実施形態に係る通信システムの構成の例を示すブロック図。
【
図5】第2実施形態に係る収集装置の処理例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明を実施するための実施形態について説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る通信システムの構成の例を示すブロック図である。通信システム1は、収集装置10と、通信端末20とを備える。収集装置10は、通信部11と、記憶部12と、通信端末情報管理部13と、ソフトウェアダウンロード部14とを備える。収集装置10と通信端末20とは、例えば、920MHz帯マルチホップ無線、PLC(Power Line Communication)、および4G(4th Generation)/LTE(Long Term Evolution)無線等のうち少なくとも1つからなる通信経路30を介して互いに通信する。
【0010】
通信端末20は、例えば通信機能付きの電力メーターやガスメーター等(スマートメーター等)であり、例えば設置場所における電力メーターに無線通信手段を付与し、無線通信が可能に構成されている。1台の収集装置10に対して複数の通信端末20が接続されている。通信端末20は、定常通信として、電力量等の検針結果と、後述する通信端末情報13Aとを含む通信パケットを、所定の期間ごとに収集装置10に送信する。所定の期間は、例えば30分間であるが、それに限らない。
【0011】
以下では、通信端末20は複数の通信端末を含んだものとする。また、通信端末20のうち一部の通信端末を意味することもある。例えば、個別の通信端末20と記載した場合には1台の通信端末を意味し、配信対象の通信端末20と記載した場合には、通信端末20のうち配信対象である通信端末を意味する。
【0012】
収集装置10は、通信端末20を管理・制御、または通信端末20に配信する情報を管理する装置である。配信する情報は、例えばファームウェア等のソフトウェアの他、画像、動画、制御コマンド、暗号鍵、または認証鍵等でもよい。収集装置10は、図示しないCPU(Central Processing Unit )、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等から構成されるマイクロコンピュータを備える。
【0013】
通信部11は、通信経路30を介して通信端末20と通信するための通信インターフェースである。通信部11は、通信端末20からの通信パケットを受信したり、通信端末20へソフトウェア等の情報を配信したりする。
【0014】
記憶部12は、例えばRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク等により実現される。この記憶部12は、後述する各種の情報および収集装置10が実行する各種の処理プログラムを記録する。
【0015】
通信端末情報管理部13は、通信部11が通信端末20から通信パケットを受信したときに、通信パケットに含まれる個別の通信端末20それぞれの識別情報、通信状態情報、設置場所情報、またはソフトウェアバージョン情報等を含む通信端末情報13Aを取得する。取得した通信端末情報13Aは、記憶部12に記録または更新される。
図2は、通信端末情報管理部13が取得する通信端末情報13Aの例を示している。
【0016】
識別情報は、個別の通信端末20を識別する固有の情報であり、例えば製造番号等である。通信状態情報は、個別の通信端末20の通信状態を示す情報であり、個別の通信端末20から通信パケットを受信した最新日時と現在日時との差の大きさに基づいて、例えば差が所定未満の場合は通信可状態、差が所定以上の場合は通信不可状態、または長期通信不可状態等に区別する。また、個別の通信端末20を倉庫等に保管している保管状態を付与してもよい。設置場所情報は、個別の通信端末20が設置されている位置情報または管轄している営業所情報等であり、個別の通信端末20に具備した位置情報システムまたは設置記録等から取得する。ソフトウェアバージョン情報は、個別の通信端末20に適用されているソフトウェアのバージョンを示す情報である。なお、通信端末情報管理部13は、これらの通信端末情報13Aを運営管理者の手入力によって取得してもよい。
【0017】
ソフトウェアダウンロード部14は、ソフトウェア登録部15と、同時配信判定部16と、配信対象作成部17と、ソフトウェア配信制御部18とを備える。例えば、ハードウェアで構成する場合は、これらソフトウェア登録部15と、同時配信判定部16と、配信対象作成部17と、ソフトウェア配信制御部18とは、有線通信または無線通信等により相互に各種の情報等を通信可能となっている。
【0018】
ソフトウェア登録部15は、通信端末20に配信するソフトウェアを登録し、登録したソフトウェアを記憶部12に記録する。ソフトウェア登録部15には、運営管理者によって入力されるインターフェース等を介してソフトウェアを登録してもよいし、ネットワーク等を介してソフトウェアを登録してもよい。
【0019】
同時配信判定部16は、複数の通信端末20に対して同時にソフトウェアを配信できる通信端末20の数量である同時配信数量を判定し、記憶部12に記録する。収集装置10および通信端末20が互いに通信する通信経路30には、通信可能な処理能力であるスループットが決められている。したがって、ソフトウェアを配信する場合には、ソフトウェアを配信可能なサイズに分割し、かつスループットに適した通信端末20の数量だけ同時に配信する。
【0020】
ここで、同時配信判定部16の判定について、ソフトウェアが10MB(メガバイト)、スループットが10Mbps(メガビット毎秒)であるときを例に説明する。ここでは、ソフトウェアを2KB(キロバイト)に分割し、500ms(ミリ秒)の送信間隔で通信端末20に配信し、通信端末20の定常通信に影響を与えないようにスループットの50%を使用することとする。このとき、使用できるスループットが5Mbps、配信するソフトウェアが4KB/s(32Kbps)なので、同時配信判定部16は約156台の通信端末20にソフトウェアを同時配信できると判定する。
【0021】
配信対象作成部17は、通信端末情報管理部13が取得した通信端末情報13Aに基づいて、ソフトウェアを配信する対象となる通信端末20のリストである配信対象リストを作成し記憶部12に記録する。
【0022】
例えば、通信端末20に適用されているソフトウェアのバージョン情報と、配信するソフトウェアのバージョン情報とを比較し、配信するソフトウェアとは異なるバージョンのソフトウェアが適用されている通信端末20を配信対象として選択する。または、適用されているソフトウェアのバージョン情報が複数の通信端末20間で異なる場合には、不具合がある等の優先度が高いバージョンのソフトウェアが適用されている通信端末20を配信対象として選択する。
【0023】
具体的には、例えば通信端末20のソフトウェアバージョンが古い順でVer0001、Ver0002、およびVer0003の3種類あり、配信するソフトウェアバージョンがVer0004であるとする。このうち、Ver0002に不具合がある場合には、Ver0001およびVer0002のソフトウェアが適用されている通信端末20を配信対象としてもよい。結果として、ソフトウェアの不具合を効率的に解消することができる。
【0024】
また、通信端末20の設置場所情報に基づいて配信対象となる通信端末20を選択してもよい。例えば、所定の地域に設置された通信端末20にソフトウェアを配信することで、最新のソフトウェアを小規模にテスト導入し、不具合があるか等を確かめることができる。つまり、不具合等があった場合の影響を限定的にすることができる。また、ソフトウェアが配信された通信端末20が近くに設置されていることで、テスト導入の結果収集やテスト導入後の対応を効率的に行うことができる。
【0025】
また、通信端末20の通信状態情報に基づいて配信対象となる通信端末20を選択してもよい。例えば、通信可状態の通信端末20を配信対象とすることで、ソフトウェアを受信可能な通信端末20に対して効率的にソフトウェアを配信できる。
【0026】
なお、配信対象作成部17は、通信端末情報13Aのうちソフトウェアバージョン情報、設置場所情報、および通信状態情報のうち1つに関する条件を満たすように(条件に基づいて)配信対象リストを作成してもよいし、これらを組み合わせて複数の条件を満たすように配信対象リストを作成してもよい。
【0027】
例えば、上記のようにVer0001およびVer0002のソフトウェアが適用されている通信端末20のうち、通信可状態の通信端末20を配信対象として選択してよい。また、所定の地域に設置された通信端末20のうち、通信可状態の通信端末20を配信対象に選択してよい。さらに、Ver0001およびVer0002のソフトウェアが適用されている通信端末20のうち、通信可状態で、所定の地域に設置された通信端末20を配信対象に選択してもよい。
【0028】
このように、ソフトウェアバージョン情報、設置場所情報、および通信状態情報を任意に組み合わせて配信対象の通信端末20を選択してよい。
【0029】
なお、配信対象作成部17は、配信日時や配信期間などのパラメータを設けてもよい。例えば、配信対象の通信端末20に対して所定の日時にソフトウェアを配信してもよく、配信対象リストを作成してから所定の配信期間内にソフトウェアを配信してもよい。その結果として、所定の期間におけるソフトウェアの配信にかかる通信量を制御したり、所定の日時において通信端末20に適用されているソフトウェアのバージョンを管理したりすることができる。
【0030】
また、配信対象作成部17は、所定の期間が終了したり、全ての配信対象の通信端末20にソフトウェアを配信したりした場合に、新しい配信対象リストを作成してもよい。所定の期間は例えば1か月であるが、それに限らない。
【0031】
ソフトウェア配信制御部18は、配信対象作成部17において作成した配信対象リストに基づき、通信部11を介して配信対象の通信端末20にソフトウェアを配信する。また、ソフトウェア配信制御部は、同時配信判定部16において判定した同時配信数量に基づき、通信部11を介してソフトウェアを配信対象の通信端末20に同時配信する。
【0032】
例えば、同時配信数量が156台の場合は、まず配信対象の通信端末20のうち156台にソフトウェアを同時配信し、配信が完了した後に次の156台にソフトウェアを配信する。このようにソフトウェアの同時配信を繰り返し、すべての配信対象の通信端末20にソフトウェアを配信する。
【0033】
次に、本実施形態に係る収集装置10がソフトウェアを配信する処理例について
図3に示すフローチャートを参照して説明する。なお、処理の開始に先立ち、通信端末情報管理部13は、通信端末20からの定常通信により通信端末情報13Aを取得しているものとする。
【0034】
まず、運営管理者が、ソフトウェア登録部15に最新のソフトウェアを登録する(ステップS100)。このとき、運営管理者は、入力するインターフェース等を介して登録してもよいし、インターネット等を介して登録してもよい。
【0035】
次に、同時配信判定部16が、同時配信可能な通信端末20の数量を判定する(ステップS101)。このとき、同時配信判定部16は、ソフトウェアの分割数、ソフトウェアの送信間隔、または通信経路30のスループット等に基づいて同時配信可能な通信端末20の数量を判定する。
【0036】
次に、配信対象作成部17が、ソフトウェアを配信する対象の通信端末20のリストである配信対象リストを作成する(ステップS102)。このとき、配信対象作成部17は、通信端末情報13Aに基づいて、例えば優先度の高いソフトウェアバージョン情報の通信端末20、所定の設置場所情報の通信端末20、または通信可状態の通信端末20等を配信対象として選択し、配信対象リストを作成する。
【0037】
次に、ソフトウェア配信制御部18が、通信部11を介して記憶部に記録されているソフトウェアを配信対象の通信端末20に配信する(ステップS103)。このとき、ステップS101において判定した同時配信数量に基づいて、ステップS102において選択された配信対象の通信端末20に対してソフトウェアを同時配信する。そして、全ての配信対象の通信端末20に対してソフトウェアを配信した場合、処理を終了する。
【0038】
上述のように、本実施形態に係る収集装置10は、通信端末情報13Aに基づいて、ソフトウェアを配信する通信端末20の配信対象リストを作成する。そして、配信対象リストおよび同時配信数量に基づいて、通信端末20にソフトウェアを同時配信する。
【0039】
このような構成を備えることにより、ソフトウェアの配信が必要な通信端末に対して選択的にソフトウェアを配信できる。また、通信経路30のスループット等をはじめとする通信量の制約に適した所望の通信量の範囲でソフトウェアの配信をするので、一時的に通信量が増加することによるパケット損失の抑制ができる結果として、効率的なソフトウェアの配信が可能となる。
【0040】
(第2実施形態)
第2実施形態について、第1実施形態と異なる点を主に説明し、同様な点については詳細な説明を省略する。第2実施形態と第1実施形態の主な相違点は、
図4に示すように、収集装置10が、所定期間内のソフトウェア配信数の上限を判定する配信上限判定部19をさらに備える点である。
【0041】
配信上限判定部19は、所定の期間内に使用可能な通信量の上限に基づいて、その期間内にソフトウェアを配信できる通信端末20の数量の上限である配信上限を判定し、記憶部12に記録する。通信量の上限は、運営管理者による手入力で取得してもよいし、通信端末20の1台あたりに定められた通信量の上限と通信端末20の数量とから算出して取得してもよい。そして、取得した通信量の上限と、通信端末20の1台あたりにかかるソフトウェア配信の通信量とから、所定の期間内にソフトウェアを配信できる配信上限を判定する。
【0042】
なお、配信上限判定部19は、所定の期間ごとに配信上限を判定する。所定の期間は例えば1か月間等であり、所定の期間が終了した場合は次の所定の期間における配信上限を判定する。
【0043】
例えば、通信経路30の全部または一部についての通信会社との契約において、定常通信にかかる通信量を除いた1か月あたりの通信量が20GB(ギガバイト)までの場合は月額料金が定額で、それを超える通信には従量課金がかかるとする。このとき、通信端末20の1台に対してソフトウェアを配信したときの通信量が10MBの場合、定額料金の範囲内で1か月あたりにソフトウェアを配信できる通信端末20の数量は2000台となる。
【0044】
なお、通信端末20の1台あたりの上限通信量について、その通信端末20にのみ使用可能な場合は、通信端末20ごとにソフトウェアの配信にかかる通信量が上限を超えないかに基づいてソフトウェアの配信可否を判定し、上限を超えない通信端末20にソフトウェアを配信してもよい。
【0045】
また、定額料金で使用できる通信量のうち当月に使用しなかった分について、翌月以降に繰り越される場合もあり、そのときは繰り越された通信量も加えた通信量を上限として算出してもよい。
【0046】
なお、配信上限判定部19は、定額料金を超えて従量課金となっても所定の金額の範囲内であれば許容する場合、その金額までの通信量に基づいて配信上限を判定してもよい。
【0047】
ソフトウェア配信制御部18は、配信上限判定部19が判定した配信上限に基づいて、通信部11を介して配信対象の通信端末20にソフトウェアを配信する。つまり、配信上限よりも多くの通信端末20が配信対象であった場合は、当期間において配信上限を超える分の通信端末20にはソフトウェアが配信されない。上述の例の場合は、配信対象の通信端末20が2000台を超えていても、2000台のみにソフトウェアを配信する。
【0048】
なお、配信対象作成部17は、配信対象であったが配信上限によりソフトウェアを配信されなかった通信端末20を、次の期間の配信対象に加えてもよい。また、配信対象作成部17は、所定の期間が終了したり、全ての配信対象の通信端末20にソフトウェアを配信したりした場合に、新しい配信対象リストを作成してもよい。所定の期間は例えば1か月であるが、それに限らない。
【0049】
次に、本実施形態に係る収集装置10がソフトウェアを配信する処理例について
図5に示すフローチャートを参照して説明する。なお、本実施形態では、第1実施形態のステップS102およびステップS103それぞれに相当するステップS202およびステップS204の間に、ステップS203が追加されている。ステップS203およびステップS204以外については第1実施形態と同様なため、ここではステップS203およびステップS204について説明する。
【0050】
ステップS203では、配信上限判定部19が、所定の期間にソフトウェアを配信できる通信端末20の数量である配信上限を判定する。このとき、配信上限判定部19は、所定の期間内に使用可能な通信量の上限と、例えば通信端末20の1台あたりにかかるソフトウェア配信の通信量等とから、所定の期間内にソフトウェアを配信できる通信端末20の数量を判定する。
【0051】
次に、ステップS204では、ソフトウェア配信制御部18が、ステップS203において判定した配信上限の範囲内で、通信部11を介して配信対象の通信端末20にソフトウェアを配信する。そして、配信上限の範囲内において全ての配信対象の通信端末20に対してソフトウェアを配信した場合、処理を終了する。
【0052】
上述のように、本実施形態に係る収集装置10は、通信端末情報13Aに基づいて、ソフトウェアを配信する通信端末20の配信対象リストを作成する。また、所定の期間内にソフトウェアを配信できる通信端末20の数量である配信上限を判定する。そして、配信対象リスト、同時配信可能な通信端末20の数量、および配信上限に基づいて、通信端末20にソフトウェアを同時配信する。
【0053】
このような構成を備えることにより、第1実施形態と同様な効果に加え、所定期間ごとの通信量の制御ができるため、所望の通信量の範囲内で効率的なソフトウェアの配信が可能となる。また、所定期間ごとの通信量を制御することで、通信会社との契約に基づいた通信料金を制御することができる。
【0054】
なお、各実施形態において、例えば通信量、期間、金額等の基準値(閾値)を用いた任意の値の判定は、「任意の値が基準値以上か否か」の判定でも良いし、「任意の値が基準値を超えているか否か」の判定でも良い。或いは、「任意の値が基準値以下か否か」の判定でも良いし、「任意の値が基準値未満か否か」の判定でも良い。また、基準値が固定されるものでなく、変化するものであっても良い。従って、基準値の代わりに所定範囲の値を用い、任意の値が所定範囲に収まるか否かの判定を行っても良い。また、予め装置に生じる誤差を解析し、基準値を中心として誤差範囲を含めた所定範囲を判定に用いても良い。
【0055】
なお、各実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わっても良い。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されても良い。
【0056】
上述した各実施形態で説明した収集装置10の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、収集装置10の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク部やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0057】
また、収集装置10の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1…通信システム、10…収集装置、11…通信部、12…記憶部、13…通信端末情報管理部、13A…通信端末情報、14…ソフトウェアダウンロード部、15…ソフトウェア登録部、16…同時配信判定部、17…配信対象作成部、18…ソフトウェア配信制御部、19…配信上限判定部、20…通信端末、30…通信経路。