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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183933
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】堆肥加温装置及び堆肥加温システム
(51)【国際特許分類】
   C05F 17/90 20200101AFI20231221BHJP
   C02F 11/02 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
C05F17/90
C02F11/02 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097749
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】503255936
【氏名又は名称】有限会社 岡本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100202913
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 敦史
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(72)【発明者】
【氏名】岡本 壮一
(72)【発明者】
【氏名】宮竹 史仁
【テーマコード(参考)】
4D059
4H061
【Fターム(参考)】
4D059AA01
4D059AA03
4D059AA07
4D059BA06
4D059BA08
4D059BA44
4D059BA56
4D059CC01
4D059EB06
4D059EB16
4H061GG48
4H061GG56
4H061JJ06
(57)【要約】
【課題】エネルギー消費量を抑制しながら堆肥材料を堆肥化することが可能な堆肥加温装置及び堆肥加温システムを提供する。
【解決手段】堆肥加温装置2は、フレーム21と、フレーム21に支持され、外部から空気を取り込んで温風を発生させる温風発生源と、フレーム21に支持された状態で温風発生源に接続され、温風発生源から供給された温風を外部に放出する貫通孔が設けられ、堆肥材料中に挿入可能な挿入パイプ25と、を備える。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
前記支持体に支持され、外部から空気を取り込んで温風を発生させる温風発生源と、
前記支持体に支持された状態で前記温風発生源に接続され、前記温風発生源から供給された温風を外部に放出する貫通孔が設けられ、堆肥材料中に挿入可能な挿入パイプと、
を備える堆肥加温装置。
【請求項2】
前記挿入パイプは、
前記温風発生源に接続され、前記貫通孔が形成されているパイプ本体と、
前記パイプ本体の長手方向に延び、前記パイプ本体の周壁部から外側に突出するステイと、を備える、
請求項1に記載の堆肥加温装置。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記ステイと一部が重なるように前記パイプ本体の周壁部に形成されている、
請求項2に記載の堆肥加温装置。
【請求項4】
前記挿入パイプは、
前記温風発生源に接続され、その周壁部に前記貫通孔が形成されているパイプ本体と、
前記パイプ本体の先端側の開口を塞ぐように前記パイプ本体の先端部に着脱自在に取り付けられ、先端に向かって窄まるように形成された先端部材と、
前記パイプ本体の基端側の開口を塞ぐように前記パイプ本体の基端部に着脱自在に取り付けられた基端部材と、を備える、
請求項1又は2に記載の堆肥加温装置。
【請求項5】
前記挿入パイプは、前記支持体に着脱自在に取り付けられ、前記温風発生源に可撓性のある配管を介して接続されている、
請求項1又は2に記載の堆肥加温装置。
【請求項6】
前記堆肥加温装置は、
前記支持体により支持される複数の挿入パイプと、
前記支持体により支持され、前記温風発生源からの温風を各挿入パイプに分配する分配器と、を備え、
前記分配器は、少なくとも一部が前記温風発生源からの温風により加熱された状態で堆肥材料の表面と接触するように配置されている、
請求項1又は2に記載の堆肥加温装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の堆肥加温装置と、
前記堆肥加温装置を吊り下げた状態で上下方向に移動可能に支持する吊り下げ手段と、
を備える堆肥加温システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、堆肥加温装置及び堆肥加温システムに関する。
【背景技術】
【0002】
家畜の排せつ物、食品廃棄物といった生物系廃棄物を原料とする堆肥材料を好気性微生物の働きによって分解した堆肥が知られている。堆肥材料の堆肥化には、堆肥材料に空気を供給し、堆肥材料中の微生物を活性化させることが必要であり、堆肥材料に空気を供給する装置が開発されている。例えば、特許文献1には、発酵槽の床面全体から堆肥材料に空気を供給することで堆肥材料中の微生物を活性化させ、堆肥材料の堆肥化を促進する堆肥製造装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/170581号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の堆肥製造装置は、堆肥材料に向けた送風を間欠的に制御することで、堆肥材料の堆肥化に必要な電力量を抑制でき、極めて有用である。しかしながら、寒冷地で冬期間に使用した場合、送風する空気をヒータで予め加温しておく必要があり、発酵槽の堆肥材料全体を適正な温度まで上昇させるのに多くのエネルギーが必要である。また、発酵槽に至るまでの配管が長いため熱損失が大きいという問題もある。寒冷地においても春先に品質の高い堆肥を確保したいとの要望もあり、堆肥化におけるエネルギー消費量を抑制する手法の開発が期待されている。
【0005】
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、エネルギー消費量を抑制しながら堆肥材料を堆肥化することが可能な堆肥加温装置及び堆肥加温システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る堆肥加温装置は、
支持体と、
前記支持体に支持され、外部から空気を取り込んで温風を発生させる温風発生源と、
前記支持体に支持された状態で前記温風発生源に接続され、前記温風発生源から供給された温風を外部に放出する貫通孔が設けられ、堆肥材料中に挿入可能な挿入パイプと、
を備える。
【0007】
前記挿入パイプは、
前記温風発生源に接続され、前記貫通孔が形成されているパイプ本体と、
前記パイプ本体の長手方向に延び、前記パイプ本体の周壁部から外側に突出するステイと、を備えてもよい。
【0008】
前記貫通孔は、前記ステイと一部が重なるように前記パイプ本体の周壁部に形成されてもよい。
【0009】
前記挿入パイプは、
前記温風発生源に接続され、その周壁部に前記貫通孔が形成されているパイプ本体と、
前記パイプ本体の先端側の開口を塞ぐように前記パイプ本体の先端部に着脱自在に取り付けられ、先端に向かって窄まるように形成された先端部材と、
前記パイプ本体の基端側の開口を塞ぐように前記パイプ本体の基端部に着脱自在に取り付けられた基端部材と、を備えてもよい。
【0010】
前記挿入パイプは、前記支持体に着脱自在に取り付けられ、前記温風発生源に可撓性のある配管を介して接続されてもよい。
【0011】
前記堆肥加温装置は、
前記支持体により支持される複数の挿入パイプと、
前記支持体により支持され、前記温風発生源からの温風を各挿入パイプに分配する分配器と、を備え、
前記分配器は、少なくとも一部が前記温風発生源からの温風により加熱された状態で堆肥材料の表面と接触するように配置されてもよい。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る堆肥加温システムは、
前記堆肥加温装置と、
前記堆肥加温装置を吊り下げた状態で上下方向に移動可能に支持する吊り下げ手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エネルギー消費量を抑制しながら堆肥材料を堆肥化することが可能な堆肥加温装置及び堆肥加温システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態に係る堆肥舎の構成を示す正面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る堆肥加温システムの構成を示す正面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る堆肥加温装置の構成を示す側面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る堆肥加温装置の構成を示す平面図である。
図5】(a)本発明の実施の形態に係るフレームと挿入パイプとの接続箇所を拡大した正面図であり、(b)は、(a)の接続箇所を拡大した平面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る挿入パイプの構成を示す正面図である。
図7】(a)は、本発明の実施の形態に係る挿入パイプの一部を拡大した拡大図であり、(b)は、(a)の挿入パイプをA-A線で切断した断面図である。
図8】(a)は、本発明の実施の形態に係る制御ユニットのハードウェア構成を示すブロック図であり、(b)は、本発明の実施の形態に係るパラメータ記憶部のデータテーブルの一例を示す図である。
図9】本発明の実施の形態に係る堆肥加温処理の流れを示すフローチャートである。
図10】本発明の変形例に係る堆肥加温装置の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施の形態の堆肥加温装置及び堆肥加温システムを、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面においては、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。実施の形態では、堆肥加温装置の井桁状に組まれたフレームが延びる方向をそれぞれX軸方向、Y軸方向とし、堆肥加温装置の挿入パイプの長手方向をZ軸方向とする直交座標系を使用する。
【0016】
堆肥加温システムは、堆肥材料中に局所的に温風を供給することで、堆肥材料中の好気性微生物を活性化させ、堆肥材料を生分解させる堆肥化を促進するシステムである。堆肥加温システムは、例えば、堆肥材料の堆肥化を行う堆肥舎に設置され、堆肥舎の発酵槽に堆積された堆肥材料の堆肥化を促進する。
【0017】
堆肥材料は、例えば、家畜の排せつ物、生ごみ、下水や食品の汚泥、わら、おがくず等の少なくともいずれか1つを含み、内部に含まれる好気性微生物の活動により自己発熱を引き起こす。家畜の排せつ物は、例えば、牛糞、豚糞、鶏糞、馬糞の少なくとも1つを含む。好気性微生物には、最適温度帯が40℃前後の中温菌と60℃前後の高温菌とが含まれ、微生物の代謝熱の蓄積により堆肥材料の温度を70℃以上まで上昇させる。
【0018】
堆肥加温システムでは、この堆肥材料の自己発熱現象を利用し、堆肥材料を局所的に温めることで微生物を活性化させ、次いで微生物が発する熱を周囲の堆肥材料に伝搬させ、これにより周囲の微生物を活性化させる、という過程を繰り返すことで、堆肥材料全体が微生物の働きにより持続的に発熱するように促す。
【0019】
図1に示すように、堆肥加温システム1は、堆肥加温装置2と、堆肥加温装置2を上下方向に移動可能に吊り下げる電動チェーンブロック3と、堆肥材料の温度を測定する温度計4と、温度計4による測定データを取得すると共に、堆肥加温装置2及び電動チェーンブロック3の動作を制御する制御ユニット100と、を備える。堆肥加温装置2、電動チェーンブロック3及び温度計4と制御ユニット100とは、有線又は無線の通信回路を介して通信可能に接続されている。
【0020】
堆肥加温装置2は、堆肥材料の上方から堆肥材料に差し込まれ、堆肥材料の内部に温風を供給する装置である。堆肥加温装置2は、堆肥材料が堆積される発酵槽の上方に配置されるよう電動チェーンブロック3を介して発酵槽の上方を覆う建屋の梁に吊されている。堆肥加温装置2は、堆肥材料に温風を供給する際には、電動チェーンブロック3により堆肥材料に設置されるように下向きに移動する。他方、建屋に設置されたレール上を攪拌機が移動する際には、電動チェーンブロック3により攪拌機の移動を妨げないようレール上方の待避位置まで上昇する。
【0021】
なお、攪拌機は、堆肥材料を把持して持ち上げ、他の場所に移動させることで、堆肥材料を空気に接触させる切り返しを実施する。具体的には、切り返しでは、発酵槽にある堆肥材料を攪拌機の移動方向に順次移動させる。これにより堆肥材料中の好気性微生物が酸素を取り込むことができ、堆肥材料の堆肥化が促進される。
【0022】
堆肥加温システム1では、発酵槽の大きさに応じて電動チェーンブロック3を介して吊り下げられた複数の堆肥加温装置2を並べて配置してもよい。複数の堆肥加温装置2は、例えば、攪拌機の進行方向(レールの長手方向)と垂直な向きに並べられる。各堆肥加温装置2は、制御ユニット100に通信可能に接続され、制御ユニット100により、例えば、各堆肥加温装置2が同時に上下方向に移動し、同時に温風を堆肥材料に供給するように動作が制御される。
【0023】
図2図4に示すように、堆肥加温装置2は、フレーム21と、フレーム21に支持され、外部から取り込んだ空気を放出する送風機22と、フレーム21に支持され、送風機22から取り込んだ空気を加温して放出するヒータ23と、フレーム21に支持され、ヒータ23から取り込んだ温風を4方向に分配する分配器24と、フレーム21に支持され、堆肥材料に挿入された状態で分配器24から取り込んだ温風を堆肥材料中に放出する4本の挿入パイプ25と、を備える。送風機22及びヒータ23は、外部から空気を取り込んで温風を発生させる温風発生源の一例である。堆肥加温装置2では、フレーム21にヒータ23が設置されているため、ヒータ23と挿入パイプ25とを互いに近づけることができ、長さのある配管に温風が流れることによる熱損失を低減できる。
【0024】
送風機22、ヒータ23及び挿入パイプ25は、フレーム21に対してボルトを介して着脱自在に取り付けられている。また、送風機22、ヒータ23及び分配器24は、配管を介して互いに着脱自在に接続され、分配器24及び挿入パイプ25は、互いに着脱自在に接続されている。このため、堆肥加温装置2を部品毎に分解した状態で運搬し、現地で組み立てることができる。
【0025】
フレーム21は、送風機22、ヒータ23、分配器24及び挿入パイプ25を支持する支持体の一例である。フレーム21は、互いに平行な向き(X軸方向)に延び、互いに離して配置された一対の桁状部材21aと、各桁状部材21aに垂直な方向(Y軸方向)に延び、各桁状部材21aに接続される一対の梁状部材21bと、各桁状部材21aと同一方向に延び、各梁状部材21bに接続される一対の補助部材21cと、を備える。桁状部材21a及び梁状部材21bは、例えば、いずれもH型鋼であり、補助部材21cは、例えば、断面コの字状の鋼材である。
【0026】
フレーム21の上面部には、送風機22、ヒータ23及び3つの重し26が重量バランスを考慮して取り付けられている。具体的には、桁状部材21aと梁状部材21bとの接続箇所のうち1つには、送風機22が設置され、他の3つには、それぞれ重し26が取り付けられている。また、送風機22が設置された桁状部材21aと当該桁状部材21aの近くにある補助部材21cとを跨ぎ、送風機22と重し26とに挟まれるようにヒータ23が設置されている。
【0027】
重し26は、堆肥加温装置2の重量バランスを取ると共に、堆肥加温装置2の挿入パイプ25を自重により堆肥材料に差し込むためにフレーム21に設置されている。各重し26は、例えば、1枚又は複数枚の鋼板で形成され、フレーム21の上面部にボルトにより着脱自在に取り付けられている。各重し26の重量は、堆肥加温装置2のバランスを考慮して、例えば、鋼材の枚数を加減することで調整される。各重し26の重量は、堆肥材料の種類を考慮して設定すればよく、例えば、50kg~200kgの範囲内であることが好ましい。
【0028】
フレーム21は、各梁状部材21bにそれぞれ接続され、各梁状部材21bから上方(Z軸方向)に向かって延びる一対の柱状部材21dと、各柱状部材21dに接続され、各桁状部材21aと同一方向に延びる吊り下げ部材21eと、をさらに備える。柱状部材21dは、例えば、断面コの字状の鋼材であり、吊り下げ部材21eは、例えば、断面矩形状の鋼材である。吊り下げ部材21eの上面部には、例えば、図2に示すように、電動チェーンブロック3のフック31が挿通される貫通孔を備える板状部材21fが設けられている。
【0029】
図5に示すように、桁状部材21aの各端部には、挿入パイプ25が桁状部材21aに垂直な方向(Z軸方向)に延びるようにそれぞれ着脱自在に取り付けられている。具体的には、桁状部材21aの各端部には、U字ボルト21gを挿通可能な複数の貫通孔21iを備える板状部材21hが設けられている。挿入パイプ25をU字ボルト21gに通し、U字ボルト21gを板状部材21hに形成された一対の貫通孔21iに通し、U字ボルト21gにナット21jを締め付けることで、挿入パイプ25が桁状部材21aに着脱自在に取り付けられる。
【0030】
図2図4に戻り、送風機22は、配管を介してヒータ23に接続され、外部から空気を取り込み、勢いを付けてヒータ23に供給する。
【0031】
ヒータ23は、配管を介して分配器24に接続され、送風機22から取り込んだ空気を加温して分配器24に供給する。ヒータ23は、取り込んだ空気を堆肥材料の堆肥化に好適な温度、例えば、70℃以上まで加温する。ヒータ23が送風機22の下流側に接続されているのは、ヒータ23からの温風により送風機22が破損することを防止するためである。
【0032】
送風機22及びヒータ23は、送風機22及びヒータ23の負荷が増大した際に電流の供給を停止するブレーカーに電気的に接続されている。ブレーカーは、例えば、フレーム21の上面部に取り付けられている。具体的には、堆肥加温装置2の重量バランスを取るために、ヒータ23が取り付けられた桁状部材21aに対向する他の桁状部材21aに取り付けられている。ブレーカーには、外部からケーブルを介して電気が供給され、ケーブルは、電動チェーンブロック3と共に建屋の梁に向かって上方に延びている。
【0033】
分配器24は、ヒータ23からの温風を4本の挿入パイプ25に分配する。分配器24は、ヒータ23に接続される主配管24aと、主配管24aに接続され、主配管24aからの温風を同一平面(XY平面)上の4方向に分岐する分岐ボックス24bと、分岐ボックス24bからそれぞれ異なる方向に延びる4本の分岐配管24cと、を備える。4本の分岐配管24cは、互いに等角度で、言い換えると、隣り合う分岐配管24cのなす角が90°となるように配置されている。主配管24a及び分岐配管24cは、例えば、金属製の配管、好ましくは鋼管であり、分岐ボックス24bは、例えば、金属材料、好ましくは鋼材を切削することで作成されている。
【0034】
主配管24aは、L字状に曲げられた配管であり、ヒータ23の側面から横向きに放出された温風の流れを下向きに変える。分岐配管24cは、その先端部が挿入パイプ25に接続され、挿入パイプ25に向けて温風を供給する。分岐配管24cは、フレーム21の補助部材21cに着脱自在に取り付けられている。具体的には、分岐配管24cをU字ボルト21gと同一又は同等の構成を備えるU字ボルトに通し、U字ボルトを補助部材21cに形成された一対の貫通孔に通し、U字ボルトにナットを締め付けることで着脱自在に取り付けられている。
【0035】
主配管24aの表面には、ユーザが意図せずに接触する可能性や熱損失を考慮して断熱材が被覆されているのに対し、分岐ボックス24b及び分岐配管24cは、金属製の配管が露出されたままである。これにより分岐ボックス24b及び分岐配管24cは、内部を通過する温風により温められた状態で堆肥材料表面と接触すると、堆肥材料表面を直接温めることができ、冬期間でも堆肥材料表面の凍結を防止できる。
【0036】
図6に示すように、挿入パイプ25は、その周壁部に複数の貫通孔25aを備え、堆肥材料中に挿入された状態でヒータ23から受け取った温風を各貫通孔25aから堆肥材料中に放出する。貫通孔25aの径は、温風の放出が容易になるように挿入パイプ25の径よりも少し小さな程度とする。挿入パイプ25の断面形状は、例えば、円筒形であり、挿入パイプ25の先端側の領域では、挿入パイプ25の長手方向に延び、挿入パイプ25の周方向に等間隔に配置された3つの列のそれぞれにおいて、4つの貫通孔25aが互いに等間隔に並べられている。また、隣り合う2つの列にそれぞれ形成された各貫通孔25aは、互い違いとなるように配置されている。これは、貫通孔25aが一つの箇所に集中することによるパイプ本体25bの剛性の低下や折損を避けるためである。
【0037】
挿入パイプ25は、熱伝導性の良好な材料、例えば、金属材料、好ましくは鋼材で形成されており、温風で温められた状態で堆肥材料内部に接触することで、堆肥材料を伝熱により内部から加熱することもできる。挿入パイプ25の長さは、堆肥材料中に挿入された状態で堆肥材料の中心部に到達する程度に設定する。
【0038】
挿入パイプ25は、直線状のパイプ本体25bと、パイプ本体25bの先端部に着脱自在に取り付けられた先端部材25cと、パイプ本体25bの基端部に着脱自在に取り付けられた基端部材25dと、を備える。先端部材25c及び基端部材25dを取り外すと、パイプ本体25bの先端側の開口及び基端側の開口が開放される。このため、貫通孔25aからパイプ本体25bの内部配管に入り込んだ堆肥材料を掃除するための器具、例えば、堆肥材料を一方から他方に押し出す棒を挿通できる。なお、各挿入パイプ25の基端部は、桁状部材21aの上面部よりも上方に位置するため、基端部材25dを簡単に把持することができる。
【0039】
パイプ本体25bは、先端側に配置される長尺な先端パイプ25eと、基端側に配置され、先端パイプ25eよりも短い基端パイプ25fと、先端パイプ25eと基端パイプ25fとを接続するT字管25gと、を備える。基端パイプ25fは、U字ボルト21gを介してフレーム21の桁状部材21aに取り付けられている。T字管25gは、分岐配管24cの先端部に接続されている。
【0040】
先端部材25cは、挿入パイプ25の堆肥材料への挿入が容易になるように、その先端側が徐々に窄まるように形成されている。先端部材25cは、その基端部が先端パイプ25eの先端側の開口に挿入され、先端パイプ25eの先端部に着脱自在に取り付けられている。具体的には、先端部材25c及びパイプ本体25bの先端部には、例えば、シャフトが挿通可能な貫通孔が形成されている。それぞれの貫通孔にシャフトを挿通した状態で、シャフトが抜け落ちないように割りピンが取り付けられている。
【0041】
基端部材25dは、その基端部が基端パイプ25fの基端側の開口に挿入され、基端パイプ25fの基端部に着脱自在に取り付けられている。具体的には、基端部材25dの周壁部には、例えば、雄ねじが形成され、基端部材25dの雄ねじは、パイプ本体25bの基端側の端部の開口に形成された雌ねじ孔に締め付けられる。
【0042】
図7に示すように、パイプ本体25bの表面には、パイプ本体25bの長手方向に延び、径方向に突出する板状部材である3つのステイ25hが設けられている。各ステイ25hは、パイプ本体25bの長手方向に延びる3つの列のそれぞれに並べられた貫通孔25aと一部が重なるようにパイプ本体25bに設けられている。具体的には、各ステイ25hは、円形状に形成された各貫通孔25aの中心点を横断するように設けられている。3つのステイ25hは、互いに等間隔で、すなわち隣接する2つのステイ25hのなす角が120°となるように配置されている。ステイ25hは、挿入パイプ25が堆肥材料に差し込まれる際に堆肥材料を押しのけることにより挿入パイプ25の堆肥材料への挿入をスムーズにすると共に、貫通孔25aの一部をステイ25hで覆うことにより堆肥材料が貫通孔25aに入り込むことを抑制し、貫通孔25aの詰まりを防止する。また、ステイ25hは、貫通孔25aを横断するように設けられているため、パイプ本体25bを補強することもできる。
以上が、堆肥加温装置2の構成である。
【0043】
図2に戻り、電動チェーンブロック3は、発酵槽の上方を覆う建屋の梁に吊り下げられ、堆肥加温装置2を発酵槽に対して上下方向に移動させる吊り下げ手段の一例である。電動チェーンブロック3は、板状部材21fに設けられた貫通孔に挿通されるフック31と、フック31が接続されているチェーン32と、チェーン32の巻き取り、送り出しを行うモータ33と、を備える。モータ33にはモータドライバ(図示せず)が接続され、モータドライバには制御ユニット100が接続されている。モータドライバは、制御ユニット100からの制御信号に基づいて、モータ33に供給する電流を調整し、モータ33の回転を制御する。
【0044】
図8(a)は、実施の形態に係る制御ユニット100のハードウェア構成を示すブロック図である。制御ユニット100は、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(programmable logic controller:PLC)等の制御盤を備える。制御ユニット100は、堆肥材料の温度を測定する温度計4及びヒータ23に内蔵された温度センサからの測定データを取得すると共に、電動チェーンブロック3のモータ33、送風機22及びヒータ23に制御信号を供給する。
【0045】
制御ユニット100は、操作部110と、表示部120と、通信部130と、記憶部140と、制御部150と、を備える。制御ユニット100の各部は、内部バス(図示せず)を介して互いに通信可能に接続されている。
【0046】
操作部110は、ユーザの指示を受け付け、受け付けた操作に対応する操作信号を制御部150に供給する。表示部120は、制御部150から供給される画像データに基づいて、制御ユニット100を操作するユーザに向けて各種の画像を表示する。操作部110と表示部120とは、タッチパネルによって一体に構成されている。タッチパネルは、ユーザによる操作を受け付ける操作画面を表示すると共に、操作画面においてユーザが接触操作を行った位置に対応する操作信号を制御部150に供給する。
【0047】
通信部130は、制御ユニット100が外部の機器と通信するための通信インタフェースである。通信部130は、例えば、入出力端子を介して外部の機器と通信する。入出力端子は、例えば、USB(Universal Serial Bus)である。
【0048】
記憶部140は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリを備える。記憶部140は、制御部150に実行されるプログラムや各種のデータを記憶すると共に、制御部150が処理を実行するためのワークメモリとして機能する。
【0049】
図8(b)に示すように、記憶部140は、堆肥加温装置2の運転制御に用いる各種のパラメータを記憶するパラメータ記憶部141を備える。パラメータは、運転及び停止を交互に繰り返すヒータ23の運転時間及び停止時間、ヒータ23からの温風を停止させる堆肥の温度(目標温度)、オーバーヒートを防ぐためにヒータ23の冷却を開始する温度(冷却開始温度)等を含む。
【0050】
制御部150は、プロセッサ、例えばCPU(Central Processing Unit)を備え、制御ユニット100の各部の制御を行う。制御部150は、記憶部140に記憶されているプログラムを実行することにより、図9の堆肥加温処理を実行する。制御部150は、機能的には、位置制御部151と、温風制御部152と、を備える。
【0051】
位置制御部151は、操作部110がユーザによる運転開始の指示を受け付けると、モータ33を制御して堆肥加温装置2を降下させる。また、操作部110がユーザによる運転停止の指示を受け付けるか堆肥温度が目標温度に到達した場合、モータ33を制御して堆肥加温装置2をレール上方に設定された待避位置まで上昇させる。目標温度は、例えば、70℃である。また、位置制御部151は、図1に示す攪拌機の移動を検知すると、モータ33を制御して堆肥加温装置2を待避位置まで上昇させ、攪拌機の停止を検知すると、モータ33を制御して堆肥加温装置2を降下させる。攪拌機の移動及び停止は、例えば、攪拌機を移動させる旨の制御信号の有無を制御ユニット100で検出することにより検知すればよい。
【0052】
温風制御部152は、操作部110がユーザによる運転開始の指示を受け付けると、ヒータ23の稼働停止の冷却期間中が終了するまで送風機22を継続的に稼働させる。冷却期間は、例えば、100秒である。温風制御部152は、操作部110がユーザによる運転停止の指示を受け付けると、送風機22の動作を停止させる。
【0053】
温風制御部152は、温度計4により測定された堆肥材料の温度データを取得し、堆肥温度が目標温度に到達するまで、パラメータ記憶部141に記憶された運転時間及び停止時間に基づいてヒータ23の運転と停止とを交互に繰り返すようにヒータ23のオンオフ制御を実行する。ヒータ23を間欠的に動作させることで、消費電力量の低減やオーバーヒートの防止を実現できる。ユーザは、堆肥材料の堆積量や種類、周囲環境の温度や湿度を考慮して、予めヒータ23の運転時間と停止時間とを設定しておく。運転時間は、例えば、120秒であり、それに続く停止時間は、例えば、90秒である。
【0054】
温風制御部152は、ヒータ23に内蔵された温度センサにより測定されたヒータ23内部の温度データを取得し、取得した測定温度が冷却開始温度に到達した場合にヒータ23の動作を停止させる。冷却開始温度は、例えば、190℃である。ヒータ23の停止から一定時間が経過後に再度間欠的な送風を再開させるとよい。
以上が、制御ユニット100のハードウェア構成である。
【0055】
(堆肥加温処理)
次に、図9のフローチャートを参照して、実施の形態に係る制御ユニット100が実行する堆肥加温処理を説明する。堆肥加温処理は、堆肥加温システム1を用いて堆肥材料中に局所的に温風を供給することで、堆肥材料中の好気性微生物を活性化させ、堆肥材料を生分解させる堆肥化を促進する処理である。
【0056】
堆肥加温処理は、制御ユニット100の操作部110がユーザの指示を受け付けた時点で開始される。堆肥加温処理を実行する前に堆肥舎の堆肥層に堆肥材料を堆積させる。その後、制御ユニット100の操作部110を操作して運転時間、停止時間、目標温度及び冷却開始温度のデータを入力する。制御ユニット100の制御部150は、ユーザにより入力されたデータに基づいて、以下の処理を実行する。
【0057】
まず、温風制御部152は、操作部110がユーザによる運転開始の指示を受け付けると、送風機22及びヒータ23を稼働させる(ステップS1)。送風機22は、ヒータ23に向けて常時空気を供給し、ヒータ23は、ユーザにより設定され、パラメータ記憶部141に記憶された運転時間及び停止時間に基づいて運転と停止とを交互に行う。
【0058】
次に、位置制御部151は、電動チェーンブロック3のモータ33を制御して堆肥加温装置2を降下させる(ステップS2)。堆肥加温装置2を降下させると、ある時点で堆肥材料表面に到達し、その後、堆肥加温装置2の自重により挿入パイプ25が堆肥材料の内部に次第に挿入される。既にステップS1の処理で挿入パイプ25の貫通孔25aから温風が間欠的に放出されているため、挿入パイプ25が堆肥材料の内部に挿入された時点で堆肥材料への温風の供給が開始される。
【0059】
次に、位置制御部151は、堆肥舎に設置された攪拌機が移動を開始したかどうかを判定する(ステップS3)。攪拌機が移動を開始していると判定された場合(ステップS3;Yes)、堆肥加温装置2を待避位置まで上昇させ(ステップS4)、攪拌機の移動が停止するまで待機した後、ステップS2の処理に戻る。他方、攪拌機が移動を開始していないと判定された場合(ステップS3;No)、温風制御部152は、堆肥材料の温度がパラメータ記憶部141に記憶された目標温度に到達したかどうかを判定する(ステップS5)。
【0060】
堆肥材料の温度が目標温度に到達したと判定された場合(ステップS5;Yes)、ステップS9の処理に移動する。このとき、局所的に加温された堆肥材料は好気性微生物の活性化により自己発熱を引き起こし、堆肥材料の堆肥化が促進されている。また、堆肥材料の自己発熱が周囲の堆肥材料に伝搬し、周囲の堆肥材料においても好気性微生物が活性化されている。他方、堆肥材料の温度が目標温度に到達していないと判定された場合(ステップS5;No)、温風制御部152は、ユーザによる停止の指示を受け付けたかどうかを判定する(ステップS6)。
【0061】
ユーザによる停止の指示を受け付けたと判定された場合(ステップS6;Yes)、ステップS9の処理に移動する。他方、ユーザによる停止の指示を受け付けていないと判定された場合(ステップS6;No)、温風制御部152は、ヒータ23の内部温度がパラメータ記憶部141に記憶された冷却開始温度に到達したかどうかを判定する(ステップS7)。
【0062】
ヒータ23の内部温度が冷却開始温度に到達したと判定された場合(ステップS7;Yes)、温風制御部152は、冷却期間が経過するまでヒータ23の動作を停止させ(ステップS8)、ステップS3の処理に戻る。他方、ヒータ23の内部温度が冷却開始温度に到達していないと判定された場合(ステップS7;No)、そのままステップS3の処理に戻る。
【0063】
ステップS5又はステップS6の処理でYesと判定された場合、温風制御部152は、ヒータ23の動作を停止させ(ステップS9)、次に、位置制御部151は、堆肥加温装置2を待避位置まで上昇させる(ステップS10)。ステップS10の処理により堆肥加温装置2の挿入パイプ25が堆肥材料から引き抜かれ、堆肥加温装置2が待避位置に戻る。
【0064】
次に、温風制御部152は、冷却期間が経過した後に送風機22の動作を停止させ(ステップS11)、処理を終了する。
以上が、堆肥加温処理の流れである。
【0065】
堆肥加温処理が終了すると、局所的に加温された堆肥材料は好気性微生物の活性化により自己発熱を引き起こし、堆肥材料の堆肥化が促進されている。このため、適時のタイミングで攪拌機を用いて堆肥材料の切り返しを実施するだけで、堆肥材料の堆肥化を継続させることができる。また、攪拌機を用いて堆肥材料の切り返しを行うことで、好気性微生物が活性化されていない堆肥材料を堆肥加温装置2の下方に配置することができ、堆肥材料の好気性微生物を新たに活性化させることができる。
【0066】
以上説明したように、実施の形態に係る堆肥加温装置2は、フレーム21と、フレーム21に支持され、外部から空気を取り込んで温風を発生させる送風機22及びヒータ23と、フレーム21に支持された状態でヒータ23に接続され、温風発生源から供給された温風を外部に放出する貫通孔25aが設けられ、堆肥材料中に挿入可能な挿入パイプ25と、を備える。このため、堆肥材料を局所的に加温して堆肥材料中の好気性微生物を活性化することで、堆肥材料による自己発熱を促し、エネルギー消費量を抑制しながら堆肥材料を堆肥化できる。
【0067】
本発明は上記実施の形態に限られず、以下に述べる変形も可能である。
【0068】
(変形例)
上記実施の形態では、支持体がフレーム21で構成され、フレーム21が桁状部材21a及び梁状部材21bを備えていたが、本発明はこれに限られない。送風機22、ヒータ23、分配器24及び挿入パイプ25を搭載できれば、支持体の形状や構造は任意であり、例えば、リング状の構造物であってもよい。
【0069】
上記実施の形態では、3つの重し26がフレーム21の異なる隅部にそれぞれ取り付けられていたが、本発明はこれに限られない。重し26の数や配置は、フレーム21の形状や重量、送風機22及びヒータ23の配置や重量に応じて適宜変更可能であり、例えば、フレーム21のうち送風機22及びヒータ23のそれぞれに対向する位置に2つの重し26をそれぞれ取り付けてもよい。
【0070】
上記実施の形態では、フレーム21に4本の挿入パイプ25が設けられていたが、本発明はこれに限られない。フレーム21に設けられる挿入パイプ25は、例えば、1本~3本であってもよく、5本以上であってもよい。
【0071】
上記実施の形態では、挿入パイプ25がパイプ本体25bと、パイプ本体25bに対して着脱自在に取り付けられた先端部材25c及び基端部材25dを備えていたが、本発明はこれに限られない。例えば、パイプ本体25bの先端部及び基端部が封鎖されていてもよい。この場合、パイプ本体25bの先端部は徐々に窄まるように形成されることが好ましい。
【0072】
上記実施の形態では、各ステイ25hと一部が重なるように4つの貫通孔25aが設けられていたが、本発明はこれに限られない。貫通孔25aの数は任意であり、例えば、ステイ25h毎に貫通孔25aの数が異なっていてもよい。また、貫通孔25aの位置も任意であり、例えば、隣り合うステイ25h同士の間に配置されるようにパイプ本体25bに設けてもよい。
【0073】
上記実施の形態では、同一の列上に配置された複数の貫通孔25aが等間隔に配置されていたが、本発明はこれに限られない。例えば、挿入パイプ25の先端側にいくほど密度が大きくなるように複数の貫通孔25aが配置されてもよい。挿入パイプ25の基端側は、分配器24からの伝熱により直接加熱されると共に、堆肥材料の中心を加熱した方が効率的に微生物を活性化できるため、挿入パイプ25の先端側から放出される空気量を大きくすることで、堆肥材料をより均一に温めることができる。
【0074】
上記実施の形態では、挿入パイプ25のパイプ本体25bにステイ25hが3つ設けられていたが、本発明はこれに限られない。パイプ本体25bに設けられるステイ25hは、例えば、1つ又は2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
【0075】
上記実施の形態では、挿入パイプ25は、フレーム21の桁状部材21aに固定されていたが、本発明はこれに限られない。例えば、図10に示すように、挿入パイプ25をフレーム21に対して着脱自在に取り付け、挿入パイプ25と分配器24とを可撓性のある配管24dを介して接続してもよい。これにより挿入パイプ25をフレーム21から取り外し、配管24dが届く範囲内で堆肥材料の任意の箇所に挿入できる。
【0076】
上記実施の形態では、堆肥加温装置2の運転開始時に送風機22とヒータ23とを稼働させ、その後、電動チェーンブロック3により堆肥加温装置2を降下させていたが、本発明はこれに限られない。例えば、電動チェーンブロック3により堆肥加温装置2を降下させた後に送風機22とヒータ23とを稼働させてもよい。
【0077】
上記実施の形態では、堆肥温度が目標温度に到達した場合に堆肥材料への温風の供給を自動的に停止していたが、本発明はこれに限られない。例えば、ユーザが堆肥材料の温度のようなパラメータに加えて目視した堆肥材料の状態を加味して、堆肥材料への温風の供給を手動で停止するようにしてもよい。
【0078】
上記実施の形態では、制御ユニット100の記憶部140に各種データが記憶されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、各種データは、その全部又は一部が通信ネットワークを介して外部のサーバやコンピュータ等に記憶されていてもよい。
【0079】
上記実施の形態では、制御ユニット100は、それぞれ記憶部140に記憶されたプログラムに基づいて動作していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、プログラムにより実現された機能的な構成をハードウェアにより実現してもよい。
【0080】
上記実施の形態では、制御ユニット100は、例えば、汎用コンピュータであったが、本発明はこれに限られない。例えば、制御ユニット100は、クラウド上に設けられたコンピュータで実現してもよい。
【0081】
上記実施の形態では、制御ユニット100が実行する処理は、上述の物理的な構成を備える装置が記憶部140に記憶されたプログラムを実行することによって実現されていたが、本発明は、プログラムとして実現されてもよく、そのプログラムが記録された記憶媒体として実現されてもよい。
【0082】
また、上述の処理動作を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical Disk)等のコンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理動作を実行する装置を構成してもよい。
【0083】
上記実施の形態では、電動チェーンブロック3により堆肥加温装置2を吊り下げ、発酵槽の同一箇所に向けて降下させていたが、本発明はこれに限られない。例えば、堆肥加温装置2を人手により持ち上げ、発酵槽に堆積された堆肥材料の任意の位置に設置してもよい。また、堆肥加温装置2を堆肥舎に設置されたホイスト式クレーンやロボットアームに支持させ、ホイスト式クレーンやロボットアームを操作することにより発酵槽に堆積された堆肥材料の任意の位置に設置してもよい。
【0084】
上記実施の形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな実施の形態が可能である。実施の形態や変形例で記載した構成要素は自由に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した発明と均等な発明も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1 堆肥加温システム
2 堆肥加温装置
3 電動チェーンブロック
4 温度計
21 フレーム
21a 桁状部材
21b 梁状部材
21c 補助部材
21d 柱状部材
21e 吊り下げ部材
21f,21h 板状部材
21g U字ボルト
21i 貫通孔
21j ナット
22 送風機
23 ヒータ
24 分配器
24a 主配管
24b 分岐ボックス
24c 分岐配管
24d 配管
25 挿入パイプ
25a 貫通孔
25b パイプ本体
25c 先端部材
25d 基端部材
25e 先端パイプ
25f 基端パイプ
25g T字管
25h ステイ
31 フック
32 チェーン
33 モータ
100 制御ユニット
110 操作部
120 表示部
130 通信部
140 記憶部
141 パラメータ記憶部
150 制御部
151 位置制御部
152 温風制御部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10