(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183934
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】暖房機
(51)【国際特許分類】
F24H 15/18 20220101AFI20231221BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20231221BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20231221BHJP
F24H 3/04 20220101ALI20231221BHJP
F24H 15/265 20220101ALI20231221BHJP
F24H 15/281 20220101ALI20231221BHJP
F24H 15/128 20220101ALI20231221BHJP
F24H 15/45 20220101ALI20231221BHJP
【FI】
F24H15/18
H04Q9/00 301D
F24C3/12 Y
F24H3/04 301
F24H15/265
F24H15/281
F24H15/128
F24H15/45 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097750
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】丸田 さやか
【テーマコード(参考)】
3L028
5K048
【Fターム(参考)】
3L028AA02
3L028AC01
5K048AA15
5K048BA08
5K048DA01
5K048DB04
5K048DC01
5K048EB02
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA21
(57)【要約】
【課題】通信手段により遠隔操作される暖房機本体からの熱が人や物に不用意に当たることを抑制することができる暖房機を提供する。
【解決手段】暖房機本体1と、暖房機本体1に制御信号を送信可能な通信装置2とを備える。暖房機本体1は、暖房運転を制御する制御装置5と、検知対象物である人や物の存否を検知する存否検知手段22とを有する。制御装置5は、通信装置2から制御信号が送信されたとき、暖房機本体1を起点とする暖房機本体1の周囲に予め設定された第1監視領域Aに、存否検知手段22によって人または物からなる第1検知対象物の存在が検知されている場合には、通信装置2の制御信号を無効とする、または、通信装置2から送信された制御信号に応じて運転を抑制する抑制制御を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
暖房機本体と、前記暖房機本体に制御信号を送信可能な通信装置とを備えた暖房機であって、
前記暖房機本体は、暖房運転を制御する制御装置と、検知対象物である人や物の存否を検知する存否検知手段とを有し、
前記制御装置は、前記通信装置から前記制御信号が送信されたとき、前記暖房機本体を起点とする前記暖房機本体の周囲に予め設定された第1監視領域に、前記存否検知手段によって人または物からなる第1検知対象物の存在が検知されている場合には、前記通信装置の前記制御信号を無効とする、または、前記通信装置から送信された前記制御信号に応じて運転を抑制する抑制制御を実行することを特徴とする暖房機。
【請求項2】
請求項1記載の暖房機において、
前記存否検知手段は、前記暖房機本体と前記第1検知対象物との距離を検出可能とされており、
前記制御装置は、前記抑制制御を実行するとき、前記暖房機本体と前記第1検知対象物との距離に応じた暖房強度で運転することを特徴とする暖房機。
【請求項3】
請求項1記載の暖房機において、
前記存否検知手段は、前記第1監視領域より外方に隣接して予め設定された第2監視領域における人からなる第2検知対象物の存在を検知可能とされており、
前記制御装置は、前記通信装置から前記制御信号が送信されたとき、前記存否検知手段によって前記第1監視領域に前記第1検知対象物の存在が検知されておらず、且つ、前記第2監視領域に前記第2検知対象物の存在が検知されている場合には、前記通信装置から受信した前記制御信号に応じた運転制御を実行することを特徴とする暖房機。
【請求項4】
請求項1記載の暖房機において、
前記暖房機本体は、前記第1監視領域の温度を検出する温度検出手段を有し、
前記制御装置は、前記暖房機本体による運転制御中に、前記温度検出手段によって所定温度以上の温度が検出されたとき、前記暖房機の運転を停止させることをを特徴とする暖房機。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項記載の暖房機において、
前記暖房機本体は、前記暖房機本体を起点とする前記暖房機本体の周囲に予め設定された通信装置監視領域の通信装置を検出する通信装置検出手段を備え、
前記制御装置は、前記通信装置から前記制御信号が送信されたとき、前記存否検知手段によって前記第1監視領域に前記第1検知対象物の存在が検知され、且つ、前記通信装置検出手段によって前記通信装置が検出された場合には、前記通信装置から受信した前記制御信号に応じた運転制御を実行することを特徴とする暖房機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作が可能な暖房機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リモコン等の通信装置による遠隔操作が可能な暖房機が知られている。更に、この種の暖房機においては、暖房機本体に人の存否を検知する存否検知手段が設けられており、存否検知手段による人の存在が検知されている時にのみ、通信装置から送信される運転開始等の制御信号を受信可能としたものも知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
このものでは、通信装置を操作するユーザーが暖房機本体の近くにいるときにのみ、通信装置による遠隔操作を行えるようにしている。これにより、通信装置を操作するユーザーは、通信装置の操作に先立ち、暖房機本体の近くに高温に適さない物品等の存在を確認することができ、当該物品等が加熱により悪影響を受けることを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の暖房機は、通信装置を操作するユーザーと異なる人の存在が存否検知手段によって検知された場合であっても、通信装置から受信した制御信号に基づく制御が行われる。このため、通信装置から制御信号を送信されたときに、通信装置を操作したユーザーと異なる人が暖房機本体から近い位置に居ると、暖房機から生じる比較的高温の熱が通信装置を操作したユーザーと異なる人に当たり、暖房を不快に感じてしまうおそれがある。
【0006】
上記の点に鑑み、本発明は、通信手段により遠隔操作される暖房機本体からの熱が人や物に不用意に当たることを抑制することができる暖房機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明は、暖房機本体と、前記暖房機本体に制御信号を送信可能な通信装置とを備えた暖房機であって、前記暖房機本体は、暖房運転を制御する制御装置と、検知対象物である人や物の存否を検知する存否検知手段とを有し、前記制御装置は、前記通信装置から前記制御信号が送信されたとき、前記暖房機本体を起点とする前記暖房機本体の周囲に予め設定された第1監視領域に、前記存否検知手段によって人または物からなる第1検知対象物の存在が検知されている場合には、前記通信装置の前記制御信号を無効とする、または、前記通信装置から送信された前記制御信号に応じて運転を抑制する抑制制御を実行することを特徴とする(第1発明)。
【0008】
本発明における第1監視領域は、暖房機本体を起点としてその周囲に広がる領域であって、具体的には、例えば、暖房機から直接受ける熱の影響が比較的大きい領域であり、暖房機の暖房能力(暖房機が暖房のために発生させることができる最高出力の熱)に応じて設定される。
【0009】
本発明における通信装置は、具体的には、リモコンが挙げられるが、それ以外には、暖房機の遠隔操作に関するアプリケーションソフトをインストールしたスマートフォンやタブレット等を挙げることができる。
【0010】
上記第1発明により、存否検知手段が、第1監視領域に存在する人または物からなる第1検知対象物を検知した場合、暖房機本体の制御装置は、通信装置の制御信号を無効とする、または、抑制制御を実行する。制御装置が通信装置の制御信号を無効とする処理として、例えば、通信装置からの制御信号を受信しない、または、通信装置から受信した制御信号に応じた制御を実行しない等が挙げられる。
【0011】
これによって、第1監視領域に存在する第1検知対象物が、不用意に暖房機からの熱を受けることが防止でき、或いは、暖房機からの熱による影響を抑制することができる。
【0012】
第1発明において、前記存否検知手段は、前記暖房機本体と前記第1検知対象物との距離を検出可能とされており、前記制御装置は、前記抑制制御を実行するとき、前記暖房機本体と前記第1検知対象物との距離に応じた暖房強度で運転することを特徴とする(第2発明)。
【0013】
上記第2発明により、暖房機本体から第1検知対象物までの距離に適した暖房強度で運転が行われるため、第1検知対象物が暖房機本体からの熱によって悪影響を受けることを防止できる。
【0014】
更に、第1発明又は第2発明における前記存否検知手段は、前記第1監視領域より外方に隣接して予め設定された第2監視領域における人からなる第2検知対象物の存在を検知可能とされており、前記制御装置は、前記通信装置から前記制御信号が送信されたとき、前記存否検知手段によって前記第1監視領域に前記第1検知対象物の存在が検知されておらず、且つ、前記第2監視領域に前記第2検知対象物の存在が検知されている場合には、前記通信装置から受信した前記制御信号に応じた運転制御を実行することを特徴とする(第3発明)。
【0015】
上記第3発明により、暖房機の制御装置は、第1監視領域に人または物(第1検知対象物)が存在せず、第1監視領域の外側の第2監視領域に人(第2検知対象物)が存在しているときに、通信装置の操作により送信される制御信号に基づく運転が行われる。
【0016】
これにより、暖房機本体に比較的近い第1監視領域に人または物が存在しないことが確認され、第1監視領域を監視可能な人が第2監視領域に存在することが確認されない限り、通信装置による遠隔操作が可能とならないので、暖房機本体からの熱が不用意に第1検知対象物に当たることを防止できる。
【0017】
また、第1~第3発明の何れかの発明において、前記暖房機本体は、前記第1監視領域の温度を検出する温度検出手段を有し、前記制御装置は、前記暖房機本体による運転制御中に、前記温度検出手段によって所定温度以上の温度が検出されたとき、前記暖房機本体の運転を停止させることを特徴とする(第4発明)。
【0018】
上記第4発明によれば、第1監視領域において、異常過熱となるおそれのある温度上昇を検出して暖房機本体の運転を停止することができる。これにより、例えば、暖房機本体からの熱による床面の異常過熱や、万一の存否検知手段の検知漏れが生じた場合の物品等の異常過熱を、暖房機本体の運転停止によって未然に防ぐことができる。
【0019】
また、第1~第4発明の何れかの発明において、前記暖房機本体は、前記暖房機本体を起点とする前記暖房機本体の周囲に予め設定された通信装置監視領域の通信装置を検出する通信装置検出手段を備え、前記制御装置は、前記通信装置から前記制御信号が送信されたとき、前記存否検知手段によって前記第1監視領域に前記第1検知対象物の存在が検知され、且つ、前記通信装置検出手段によって前記通信装置が検出された場合には、前記通信装置から受信した前記制御信号に応じた運転制御を実行する(第5発明)。
【0020】
第5発明によれば、存否検知手段が、第1監視領域において人または物からなる第1検知対象物を検知し、通信装置検出手段によって通信装置監視領域において通信装置が検出された場合には、通信装置を操作しているユーザーが暖房機本体の周囲に存在すると推定できる。よって、通信装置を操作しているユーザーが暖房機本体の周囲の状況を容易に把握することができると考えられるので、通信装置から受信した制御信号に応じた運転制御を支障なく実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図3】第1監視領域および第2監視領域を平面視して模式的に示す説明図。
【
図4】制御装置の作動の第1の例を示すフローチャート。
【
図5】制御装置の作動の第2の例を示すフローチャート。
【
図6】制御装置の作動の第3の例を示すフローチャート。
【
図7】制御装置の作動の第4の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の暖房機は、所謂ガスファンヒータであり、
図1に示すように、暖房機本体1と、暖房機本体1を遠隔操作する通信装置であるリモコン2とを備えている。
【0023】
暖房機本体1は、
図2に示すように、家屋の室内等の被暖房空間に床置きされ、その内部に、ガスバーナ3と、ガスバーナ3で加熱された空気を強制的に送り出す対流ファン4と、暖房運転を制御する制御装置5とを備えている。
【0024】
暖房機本体1の上面部には、後述する本体側操作パネル6が設けられている。暖房機本体1の背面部には、対流ファン4の作動により吸引される空気を暖房機本体1の内部に取り入れる空気取入れ口7が形成されている。空気取入れ口7の近傍には室温を検出するサーミスタ等の室温センサ8が取り付けられている。
【0025】
また、暖房機本体1の前面下部には、対流ファン4により送り出される空気(温風)を前方に導出する温風吹出し口9が形成されている。温風吹出し口9には、風向を定めるためのルーバ10が設けられている。
【0026】
ガスバーナ3には、対流ファン4の作動により空気取入れ口7から取り入れられた空気の一部が燃焼用空気として供給される。燃料ガスは、図示を省略するガス供給路からガスバーナ3へ供給される。
【0027】
ガスバーナ3によって生成された燃焼排気は、空気取入れ口7から取り入れられた他の空気と混合され、暖房用の温風として温風吹出し口9から室内に送出される。
【0028】
なお、ガスバーナ3に供給する燃料ガスの量は、図示しないガス供給路に備えられるガス比例弁等の流量調整弁を介して制御装置5により制御される。ガスバーナ3に供給する燃料ガスの量は、ガスバーナ3の燃焼量に比例する。
【0029】
また、ガスバーナ3に供給する燃焼用空気の量は、対流ファン4の回転数によって増減させることがでる。対流ファン4は、図示しない電動モータにより回転駆動され、対流ファン4の回転数は、電動モータを介して制御装置5により制御される。
【0030】
制御装置5は、CPU、RAM、ROM、インターフェース回路等を備える電子回路ユニットにより構成されている。制御装置5は、本体側操作パネル6による操作に基づき、ガスバーナ3の燃焼及び対流ファン4の作動を制御する。
【0031】
図1に示すように、本体側操作パネル6には、暖房機本体1の運転開始と運転停止とを操作する本体側運転スイッチ11と、暖房温度の調整を行う本体側アップスイッチ12及び本体側ダウンスイッチ13とが設けられている。本体側アップスイッチ12及び本体側ダウンスイッチ13は、暖房温度の調整を行う以外にタイマー時間の変更等を行う際にも用いられる。
【0032】
また、本体側操作パネル6には、表示部14が設けられている。表示部14には、設定された暖房温度、現在の室温、エラー等の各種情報を状況に応じて表示する。
【0033】
なお、本体側操作パネル6は、これ以外に、暖房機本体1の運転モードの設定及び変更操作を行うための多数のスイッチを備えているが、その説明は省略する。
【0034】
図1に示すように、リモコン2は、暖房機本体1に対し、無線通信で通信可能に構成されている。本実施形態においては、リモコン2と暖房機本体1との通信方式として、赤外線通信方式が採用されている。
【0035】
リモコン2は、複数のスイッチを備えるリモコン側操作パネル15を備えている。リモコン側操作パネル15には、主に、リモコン側運転ONスイッチ16、リモコン側運転OFFスイッチ17、リモコン側アップスイッチ18及びリモコン側ダウンスイッチ19が設けられている。
【0036】
リモコン側運転ONスイッチ16は、暖房機本体1の運転を開始させるときに押し操作し、リモコン側運転OFFスイッチ17は、暖房機本体1の運転を停止させるときに押し操作する。リモコン側アップスイッチ18及びリモコン側ダウンスイッチ19は暖房温度の調整を行う。
【0037】
制御装置5には、操作部6が電気的に接続されていると共に、リモコン2の赤外線送信部20から送信された信号を受信するための赤外線受信部21が電気的に接続されている。赤外線受信部21は、暖房機本体1の前面上部に露出して配設されている。
【0038】
また、
図1に示すように、暖房機本体1の前面には、存否検知手段として赤外線温度センサ22と超音波距離センサ23とが設けられている。赤外線温度センサ22は、人感センサや非接触温度センサとして用いられるもので、本発明の温度検出手段も兼用する。超音波距離センサ23は人や物までの距離を検出する。そして、制御装置5には、赤外線温度センサ22と超音波距離センサ23とが電気的に接続されている。
【0039】
制御装置5は、赤外線温度センサ22が出力する信号と超音波距離センサ23が出力する信号とに基づいて、
図3において平面示するように、第1監視領域Aの人または物(第1検知対象物)の存否、及び、第2監視領域Bの人(第2検知対象物)の存否を検出する。
【0040】
第1監視領域Aは、暖房機本体1を起点として暖房機本体1の周囲(近傍)に予め設定された領域であり、暖房機本体1から吹き出す温風が直接当たることにより温風の熱の影響が比較的大きい領域である。第1監視領域Aは、暖房機の能力(暖房機の最高出力)に応じて設定され、暖房機本体1から前方に広がる平面視略扇形に設定されている。
【0041】
第2監視領域Bは、第1監視領域Aに隣接する外側の領域であり、赤外線温度センサ22により人が検知可能となる領域に設定されている。よって、第2監視領域Bは、第1監視領域Aよりも暖房機本体1よりも遠く、暖房機本体1から吹き出す温風の熱の影響が第1監視領域Aよりも小さい領域である。
【0042】
また、制御装置5は、通信装置検出手段を機能として備えている。制御装置5による通信装置検出手段としての機能は、赤外線受信部21により受信したリモコン2の赤外線送信部20からの信号の強度に基づいて、リモコン2がリモコン監視領域Cに存在するか否かを検出する。リモコン監視領域Cは、本実施形態においては、第1監視領域Aと同じ領域に設定されている。
【0043】
次に、上記構成の暖房機による本発明の要旨にかかるの制御装置5の作動について説明する。先ず、制御装置5の作動の第1の例を説明すると、
図4に示すように、リモコン2により、STEP1で運転開始操作が行われ(リモコン側運転ONスイッチ16が押下され)(STEP1で「YES」)、STEP2で運転開始信号(制御信号)が送信されると、STEP3で運転停止中だった暖房機本体1の制御装置5は、STEP4へ進んでリモコン2の運転開始信号を受信してSTEP5へ進む。
【0044】
制御装置5は、STEP5へ進むと、赤外線温度センサ22と超音波距離センサ23とから得られる信号に基づいて、第1監視領域Aにおける第1検知対象物(人または物)の存否を判断し、第1監視領域Aにおいて第1検知対象物(人または物)が検知された場合(STEP5で「YES」)にはSTEP6へ進み、第1監視領域Aにおいて第1検知対象物(人または物)が検知されなかった場合(STEP5で「NO」)にはSTEP7へ進む。第1検知対象物は人または物であるが、ここで物として、クッションやペット等を挙げることができる。
【0045】
制御装置5は、STEP6へ進むと、リモコン2から送信された信号の強度に基づいて、リモコン監視領域Cにおけるリモコン2の存否を判断し、リモコン監視領域Cのリモコン2が検知された場合(STEP6で「YES」)には、STEP7へ進む。STEP6でリモコン監視領域Cのリモコン2が検知されれば、リモコン2を操作しているユーザーが暖房機本体1の近傍にいるため、ユーザーによって暖房機本体1の周囲の状況が把握されているとみなすことができる。
【0046】
そして、制御装置5は、STEP7へ進むと暖房運転を開始する。この時の暖房強度は、ユーザーが前回の暖房運転の際に設定した設定温度に基づくものであり、当該設定温度は制御装置5の図示しないメモリに記憶されているものが用いられる。
【0047】
一方、制御装置5は、STEP6でリモコン監視領域Cのリモコン2が検知されなかった場合(STEP6で「NO」)、STEP8へ進み、暖房機本体1の運転停止を継続する(リモコン2からの運転開始信号を無効とする)。または、STEP8では暖房強度を「弱」として運転を開始(抑制制御)してもよい。暖房機本体1の運転停止を継続する場合には、この時点でリモコン2から受信した運転開始信号を破棄する。本実施形態においては、温風吹出し口9から吹き出す風量の強弱により暖房強度が調整される。
【0048】
以上のように、第1監視領域Aに第1検知対象物(人または物)が存在し、その第1検知対象物がリモコン2を操作しているユーザーでないときには、暖房機本体1の運転停止が継続され、または、暖房運転を開始しても「弱」運転に制限されるので、第1検知対象物が暖房機本体1の温風の熱によって悪影響を受けることを防止することができる。
【0049】
次に、制御装置5の作動の第2の例について、
図5を参照して説明する。第2の例では
図5に示すように、STEP1~STEP7が前述の第1の例(
図4参照))と同じであるので、STEP1~STEP7についての説明を省略する。
【0050】
制御装置5は、
図5に示すように、STEP6でリモコン監視領域Cのリモコン2が検知されなかった場合(STEP6で「NO」)、STEP9へ進む。STEP9では、STEP5で検知された第1検知対象物(人または物)までの距離を超音波距離センサ23により測定し、測定結果が予め設定された距離(本実施形態では1m)より小さいとき(STEP9で「YES」)、STEP10へ進んで暖房強度を「弱」として運転を開始する。また、STEP9で測定結果が予め設定された距離以上であるとき(STEP9で「NO」)、STEP11へ進んで暖房強度を「中」として運転を開始する。なお、STEP11に進んだときに、制御装置5が記憶している前回運転時の暖房強度が「弱」であった場合には、暖房強度を「弱」として運転を開始する。
【0051】
このように、STEP9~STEP11を設けることで、第1監視領域Aに存在している第1検知対象物(人または物)に対して、暖房機本体1からの距離に応じた暖房強度で運転され、暖房を行いながら、第1検知対象物の過剰な加熱を防止することができる。
【0052】
次に、制御装置5の作動の第3の例について、
図6を参照して説明する。第3の例では
図6に示すように、STEP1~STEP8が前述の第1の例(
図4参照))と同じであるが、STEP5とSTEP7との間にSTEP12及びSTEP13を設けた点が異なっている。
【0053】
即ち、制御装置5は、
図6に示すように、STEP5で第1監視領域Aにおいて第1検知対象物(人または物)が検知されなかった場合(STEP5で「NO」)、STEP12へ進む。
【0054】
制御装置5は、STEP12へ進むと、赤外線温度センサ22と超音波距離センサ23とから得られる信号に基づいて、第2監視領域Bにおける第2検知対象物(人)の存否を判断し、第2監視領域Bにおいて第2検知対象物(人)が検知された場合(STEP12で「YES」)には、STEP7へ進み、第2監視領域Bにおいて第2検知対象物(人)が検知されなかった場合(STEP12で「NO」)には、STEP13へ進む。STEP13へ進むと、制御装置5は、暖房機本体1の運転停止を継続し、リモコン2から受信した運転開始信号を破棄する。
【0055】
これによれば、少なくとも暖房機本体1を監視することが可能な場所(例えば暖房機本体1と同室内)に人が居るときに、暖房運転が可能となるので、万一の不測の事態に対して適切な対処をすることができ、遠隔操作による利便性が向上する。
【0056】
次に、制御装置5の作動の第4の例について、
図7を参照して説明する。第4の例では
図7に示すように、前述の第2の例(
図5参照))の下流に、STEP14及びSTEP15を設けたものである。STEP1~STEP11については、第2の例(
図5参照)と同様であるので、その説明を省略する。
【0057】
図7に示すように、制御装置5は、STEP7、STEP10、STEP11の何れかに進んだ後、STEP14へ進む。STEP14に進んだ後、赤外線温度センサ22が検出する検出温度が40℃以上となったとき(SETP14で「YES」)、制御装置5は、STEP15へ進んで暖房機本体1の暖房運転を強制的に停止させる(エラー停止)。
【0058】
これによれば、暖房機本体1前方の人や物が、暖房機本体1からの温風の熱により過剰に加熱される事態が回避でき、例えば、床面や物品等の過剰な温度上昇、及び、STEP5において万一の検知漏れが生じた場合の第1検知対象物の過剰な加熱を防止することができる。
【0059】
また、制御装置5の作動のその他の例として、図示しないが、暖房機本体1の制御装置5は、暖房運転の停止中であっても、所定時間毎に(例えば数分毎に)赤外線温度センサ22による第1監視領域Aにおける第1検知対象物の検出動作を行い、第1検知対象物が第1監視領域Aに存在する場合には、リモコン2から送信される運転開始信号(制御信号)を受信しない(リモコン2からの運転開始信号を無効とする)ようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態においては、存否検知手段として赤外線温度センサ22と超音波距離センサ23とを採用した例を示したが、これに限るものではなく、図示しないが、例えば、存否検知手段としてカメラ及び画像処理装置を採用してもよい。この場合には、画像処理装置により、カメラが撮影した画像から人や物の検知情報を抽出し、制御装置5に向かって出力する。画像処理装置による人や物の検知情報には、人や物までの距離情報及び人や物の温度情報を含むことができる。また、温度検出手段としての赤外線温度センサ22は、例えば、サーモグラフィなどを採用してもよい。さらに、超音波距離センサ23は、光学式、電波式、赤外線式の距離センサなどを採用してもよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、暖房機としてガスファンヒータを挙げて説明したが、これに限るものではなく、ストーブや電気ファンヒータ、灯油ファンヒータ等であってもよい。或いは、冷房機能や空気清浄機能などの付加機能を備えている暖房機でもよい。
【0062】
また、上記実施形態においては、リモコン2から送信される制御信号として運転開始信号を例として説明したが、制御信号はこれに限るものではなく、暖房強度の強弱の変更や設定温度の変更等の制御信号でもよい。
【0063】
また、上記実施形態においては、通信装置としてリモコン2を挙げたが、スマートフォンたタブレット等の携帯端末を用いてもよい。更に、上記実施形態においては、リモコン2と暖房機本体1との間の通信に赤外線を採用した例を示したが、Bluetooth(登録商標)やその他の電波による通信等を採用してもよい。
【0064】
また、上記実施形態においては、温風吹出し口9から吹き出す風量の強弱により暖房強度が調整される例を示したが、ガスバーナ3の火力の強弱により暖房強度を調整する者であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…暖房機本体、2…リモコン(通信装置)、5…制御装置、22…赤外線温度センサ(存否検知手段、温度検出手段)、23…超音波距離センサ(存否検知手段)、A…第1監視領域、B…第2監視領域、C…リモコン監視領域(通信装置監視領域)。