(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183938
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
A61B8/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097757
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠原 英司
(72)【発明者】
【氏名】脇 康治
(72)【発明者】
【氏名】日下部 彰
(72)【発明者】
【氏名】石黒 俊
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE10
4C601KK35
4C601LL20
4C601LL21
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、情報端末に超音波画像情報を送信する超音波診断装置につき、情報端末によって不正に超音波画像情報が取得されることを防止することである。
【解決手段】超音波診断装置10は、通信回線16に無線中継機12を介して接続され、通信回線16を介して情報端末14との間で通信を行う無線通信部34と、無線通信部34を制御する制御部30とを備える。制御部30は、患者を特定する患者IDを読み込む処理を実行し、患者IDを無線中継機12に送信する処理を無線通信部34と共に実行する。無線中継機12は、情報端末14から照合信号を受信し、照合信号に患者IDが含まれる場合に情報端末14との間の無線通信を確立する。制御部30は、情報端末14から無線中継機12に送信された照合信号に患者IDが含まれる場合に、通信回線16を介して情報端末14に超音波画像情報を送信する画像送信処理を、無線通信部34と共に実行する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線に無線中継機を介して接続され、前記通信回線を介して情報端末との間で通信を行う無線通信部と、
前記無線通信部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
患者を特定する患者IDを読み込む処理を実行し、
前記患者IDを前記無線中継機に送信する処理を前記無線通信部と共に実行し、
前記無線中継機は、
前記情報端末から照合信号を受信し、当該照合信号に前記患者IDが含まれる場合に前記情報端末との間の無線通信を確立し、
前記制御部は、
前記情報端末から前記無線中継機に送信された前記照合信号に前記患者IDが含まれる場合に、前記通信回線を介して前記情報端末に超音波画像情報を送信する画像送信処理を、前記無線通信部と共に実行することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波診断装置であって、
情報を表示する表示部を備え、
前記制御部は、
前記患者IDが含まれる照合信号を前記無線中継機に送信した前記情報端末から、前記患者についての関連情報を前記通信回線を介して受信する処理を、前記無線通信部と共に実行し、
前記関連情報を前記表示部に表示させることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項1に記載の超音波診断装置であって、
前記制御部は、
前記患者IDが含まれる照合信号を前記無線中継機に送信した前記情報端末から、前記患者についての関連情報を前記通信回線を介して受信する処理を前記無線通信部と共に実行し、
前記超音波診断装置で予め記憶されたデータベースに前記関連情報が関連付けられた場合に、前記制御部は、前記画像送信処理を実行することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
情報端末との間で無線通信を実行する認証無線部と、
前記認証無線部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
患者を特定する患者IDを読み込む処理を実行し、
前記情報端末から前記認証無線部に送信された照合信号に前記患者IDが含まれる場合に、前記情報端末に超音波画像情報を送信する画像送信処理を、前記認証無線部と共に実行することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波診断装置であって、
情報を表示する表示部を備え、
前記制御部は、
前記患者IDが含まれる照合信号を前記認証無線部に送信した前記情報端末から、前記患者についての関連情報を受信する処理を前記認証無線部と共に実行し、
前記関連情報を前記表示部に表示させることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
請求項2または請求項5に記載の超音波診断装置において、
前記表示部に前記関連情報が表示されているときに、前記情報端末への前記超音波画像情報の送信を許可する操作がユーザによってなされた場合に、前記制御部は、前記画像送信処理を実行することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
請求項4に記載の超音波診断装置であって、
前記制御部は、
前記患者IDが含まれる照合信号を前記認証無線部に送信した前記情報端末から、前記患者についての関連情報を受信する処理を前記認証無線部と共に実行し、
前記超音波診断装置で予め記憶されたデータベースに前記関連情報が関連付けられた場合に、前記制御部は、前記画像送信処理を実行することを特徴とする超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関し、特に、情報端末に超音波画像情報を送信する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置で生成された超音波画像情報を、無線LAN(Local Area Network)を介してタブレット、スマートフォン等の情報端末に送信し、超音波画像を情報端末に表示させる超音波診断システムにつき研究開発が行われている。超音波診断システムには、情報端末が超音波診断装置に対してセキュリティ情報を照合することで、超音波診断装置と情報端末との間の通信のセキュリティが確保されるものがある。例えば、情報端末は、特定のセキュリティ情報を含む照合信号を無線LANのアクセスポイントに送信し、照合信号に含まれているセキュリティ情報がアクセスポイントに登録されている場合に、アクセスポイントは情報端末と超音波診断装置との間の通信を確立する。
【0003】
以下の特許文献1には、本発明に関連する技術として、超音波プローブと超音波観測器との間で無線通信が行われる超音波診断システムが記載されている。超音波観測器は、超音波プローブから送信された認証情報に基づいて、超音波プローブとの無線通信の確立可否を判断する。特許文献2には、超音波プローブと、複数の超音波診断装置の各本体とが無線接続される医用画像診断システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-72583号公報
【特許文献2】特開2008-104595号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の超音波診断システムでは、無線LANに不変のセキュリティ情報が登録されていたため、超音波診断装置に不正アクセスされる可能性があった。例えば、患者とは無関係な者が所有する情報端末が超音波診断装置にアクセスし、超音波画像を取得してしまう可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、情報端末に超音波画像情報を送信する超音波診断装置につき、情報端末によって不正に超音波画像情報が取得されることを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、通信回線に無線中継機を介して接続され、前記通信回線を介して情報端末との間で通信を行う無線通信部と、前記無線通信部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、患者を特定する患者IDを読み込む処理を実行し、前記患者IDを前記無線中継機に送信する処理を前記無線通信部と共に実行し、前記無線中継機は、前記情報端末から照合信号を受信し、当該照合信号に前記患者IDが含まれる場合に前記情報端末との間の無線通信を確立し、前記制御部は、前記情報端末から前記無線中継機に送信された前記照合信号に前記患者IDが含まれる場合に、前記通信回線を介して前記情報端末に超音波画像情報を送信する画像送信処理を、前記無線通信部と共に実行することを特徴とする。
【0008】
望ましくは、情報を表示する表示部を備え、前記制御部は、前記患者IDが含まれる照合信号を前記無線中継機に送信した前記情報端末から、前記患者についての関連情報を前記通信回線を介して受信する処理を、前記無線通信部と共に実行し、前記関連情報を前記表示部に表示させる。
【0009】
望ましくは、前記制御部は、前記患者IDが含まれる照合信号を前記無線中継機に送信した前記情報端末から、前記患者についての関連情報を前記通信回線を介して受信する処理を前記無線通信部と共に実行し、前記超音波診断装置で予め記憶されたデータベースに前記関連情報が関連付けられた場合に、前記制御部は、前記画像送信処理を実行する。
【0010】
本発明は、情報端末との間で無線通信を実行する認証無線部と、前記認証無線部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、患者を特定する患者IDを読み込む処理を実行し、前記情報端末から前記認証無線部に送信された照合信号に前記患者IDが含まれる場合に、前記情報端末に超音波画像情報を送信する画像送信処理を、前記認証無線部と共に実行することを特徴とする。
【0011】
望ましくは、情報を表示する表示部を備え、前記制御部は、前記患者IDが含まれる照合信号を前記認証無線部に送信した前記情報端末から、前記患者についての関連情報を受信する処理を前記認証無線部と共に実行し、前記関連情報を前記表示部に表示させる。
【0012】
望ましくは、前記表示部に前記関連情報が表示されているときに、前記情報端末への前記超音波画像情報の送信を許可する操作がユーザによってなされた場合に、前記制御部は、前記画像送信処理を実行する。
【0013】
望ましくは、前記制御部は、前記患者IDが含まれる照合信号を前記認証無線部に送信した前記情報端末から、前記患者についての関連情報を受信する処理を前記認証無線部と共に実行し、前記超音波診断装置で予め記憶されたデータベースに前記関連情報が関連付けられた場合に、前記制御部は、前記画像送信処理を実行する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、情報端末に超音波画像情報を送信する超音波診断装置につき、情報端末によって不正な超音波画像情報の取得を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態に係る超音波診断システムの構成を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す図である。
【
図3】第1実施形態に係る超音波診断装置が実行する処理のフローチャートである。
【
図4】第1実施形態に係る超音波診断装置が実行する処理のフローチャートである。
【
図5】第2実施形態に係る超音波診断システムの構成を示す図である。
【
図6】第2実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す図である。
【
図7】第2実施形態に係る超音波診断装置が実行する処理のフローチャートである。
【
図8】第2実施形態に係る超音波診断装置が実行する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
各図を参照して本発明の実施形態について説明する。複数の図面に示された同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0017】
図1には、本発明の第1実施形態に係る超音波診断システム100の構成が示されている。超音波診断システム100は、超音波診断装置10、無線中継機12および情報端末14-1~14-n(nは1以上の整数)を備えている。無線中継機12は、インターネット等の通信回線16に接続されている。このような無線中継機としては、Wi-Fi(登録商標)等の規格に従うアクセスポイントがある。情報端末14-1~14-nのそれぞれは、無線通信機能を有するパーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、スマートフォン等であってよい。なお、以下の説明では、情報端末14-1~14-nのいずれかを示す符号として符号「14」が用いられる。
【0018】
超音波診断装置10および各情報端末14は、無線中継機12との間の無線通信によって通信回線16に接続される。超音波診断装置10と各情報端末14との間では、無線中継機12および通信回線16を介して情報の送信および受信が行われる。例えば、超音波診断装置10は、被検体に対する超音波の送受信によって得られた画像を示す超音波画像データを、無線中継機12から通信回線16に至り、通信回線16から無線中継機12を経由する通信経路を介して各情報端末14に送信する。各情報端末14は、超音波画像データに基づく画像を表示する。なお、以下の説明では、無線中継機12から通信回線16に至り、通信回線16から無線中継機12を経由する通信経路を介することを、単に、通信回線16を介すると表現することがある。
【0019】
図2には、超音波診断装置10の構成が示されている。超音波診断装置10は、超音波プローブ20、送受信部22、信号処理部24、画像生成部26、表示部28、制御部30、操作部32、無線通信部34、無線セキュリティ設定部36、患者データ記憶部38および接続情報記憶部40を備えている。
【0020】
信号処理部24、画像生成部26、制御部30および無線セキュリティ設定部36は、プログラムを実行することで、これらの構成要素(信号処理部24、画像生成部26、制御部30および無線セキュリティ設定部36)の機能を実現するプロセッサおよび電子回路を含んでよい。無線通信部34は、無線通信機能を実現する電子回路を含んでいる。
【0021】
制御部30は、超音波診断装置10の全体的な制御を実行する。操作部32は、ボタン、レバー、キーボード、マウス等を備えてもよい。操作部32は、表示部28に設けられるタッチパネルであってもよい。制御部30は、超音波診断装置10のユーザ(以下、診断装置ユーザという)による操作に基づいて、超音波診断装置10の制御を実行してもよい。患者データ記憶部38は、患者の情報に関するデータベースを記憶し、接続情報記憶部40は、無線通信部34が通信を行うためのデータベースを記憶する。
【0022】
超音波プローブ20は複数の超音波振動子を備えている。送受信部22は、複数の超音波振動子に電気信号である送信信号を出力する。各超音波振動子は送信信号を超音波に変換し、被検体に向けて送信する。送受信部22が、各超音波振動子に出力する送信信号の遅延時間を調整することで、特定の方向に超音波ビームが形成される。
【0023】
各超音波振動子は、被検体内で反射した超音波を受信し、電気信号である受信信号に変換して信号処理部24に出力する。信号処理部24は、超音波ビームが向けられた方向から到来する超音波による受信信号が互いに強め合うように、各超音波振動子から出力された受信信号の遅延時間を調整し、遅延時間調整後の各受信信号を加算合計する。信号処理部24は、このようにして生成された整相加算信号を、画像生成部26に出力する。
【0024】
なお、送受信部22は、被検体における特定の観測断面内で超音波ビームが走査されるように、各超音波振動子に出力する送信信号の遅延時間を変化させる。また、信号処理部24は、被検体内で走査された超音波ビームの方向に対応する整相加算信号を生成するように、各超音波振動子から出力された受信信号の遅延時間を変化させ、遅延時間調整後の各受信信号を加算合計する。
【0025】
画像生成部26は、観測断面内の各方向について取得された整相加算信号に基づいて、Bモード画像データを生成する。送受信部22、信号処理部24および画像生成部26は、所定のフレームレートで、時間経過と共に順次、Bモード画像データを生成する。ここで、フレームレートとは、単位時間当たりに生成されるBモード画像の枚数をいう。
【0026】
画像生成部26は、時間経過と共に順次生成されたBモード画像データに基づいて、映像信号を生成し、表示部28に出力する。表示部28は、画像やテキストデータ等の情報を表示するディスプレイ装置であってよい。表示部28は、映像信号に基づいて、時間経過と共に順次生成されたBモード画像データに基づく画像、すなわち、Bモード画像のリアルタイム画像を表示する。
【0027】
上記では、超音波ビームを被検体内で走査し、各方向の超音波ビームに対応する整相加算信号に基づいて、Bモード画像を生成する処理が示された。超音波診断装置10は、送信信号の周波数に対する整相加算信号の周波数の相違(ドプラシフト)に基づいて、血流の速度を求めるドプラモードの動作を実行してもよい。信号処理部24は、例えば、各方向の超音波ビーム上に定められた所定範囲(ドプラゲート)における血流の速度を表すドプラデータを生成し、画像生成部26に出力する。画像生成部26は、血流速度を示す画像をBモード画像上に重ねたドプラ画像を示す映像信号を生成し、表示部28に出力してよい。表示部28はドプラ画像を表示する。
【0028】
無線通信部34は、無線中継機12との間で無線通信を行い、無線中継機12を介して通信回線16に通信接続される。無線通信部34は、情報端末14との間で通信回線16を介した通信を行う。無線通信部34が情報端末14との間で通信を開始する前に、次に示されるような通信接続処理が行われる。
【0029】
無線通信部34は、無線中継機12との無線通信によって、通信機IDおよびセキュリティ情報を設定する。通信機IDは、無線中継機12を識別するためのID(Identification)であり、セキュリティ情報は、無線中継機12との間で無線通信を確立するための暗号である。ここで、無線通信が確立した状態とは、例えば、複数の通信装置が同一の通信プロトコルに従って通信可能となっている状態をいう。
【0030】
無線中継機12がWi-Fiのアクセスポイントである場合、通信機IDおよびセキュリティ情報は、それぞれ、SSID(Service Set Identifier)およびセキュリティキーである。無線セキュリティ設定部36は、例えば、通信機IDを接続情報記憶部40から読み込み、操作部32から制御部30に読みまれたセキュリティ情報を制御部30から取得する。無線セキュリティ設定部36は、通信機IDおよびセキュリティ情報を無線通信部34に出力する。無線通信部34は、通信機IDおよびセキュリティ情報を含む設定信号を無線中継機12に送信し、無線中継機12の通信機IDおよびセキュリティ情報を設定する。無線通信部34は、自らが無線中継機12に対して設定した通信機IDおよびセキュリティ情報を用いて、無線中継機12との間の無線通信を確立する。これによって、無線通信部34が通信回線16に通信接続される。
【0031】
超音波診断装置10の動作例について説明する。
図3には、本実施形態に係る超音波診断装置10が実行する処理のフローチャートが示されている。最初の状態において、超音波診断装置10の電源はオンであるものの、無線通信部34の電源はオフにされている。また、無線中継機12には、ある符号が通信機IDとして設定されている。
【0032】
診断装置ユーザによる操作部32の操作に従って、制御部30は操作部32から患者IDを読み込む(S102)。制御部30は、無線通信部34の電源をオンにし(S104)、患者IDを無線セキュリティ設定部36に出力する。無線セキュリティ設定部36は、セキュリティ情報として患者IDを無線通信部34に出力する。無線通信部34は、制御部30の制御に従って、患者IDを含む設定信号を無線中継機12に送信し、無線中継機12のセキュリティ情報を患者IDとする(S106)。これによって、無線通信部34は、情報端末14との間で通信回線16を介した通信の確立を待機する状態となる(S108)。
【0033】
ここで、情報端末14が実行する処理について説明する。患者の家族等の患者関係者である端末ユーザは、無線中継機12の通信機IDと、患者を特定する患者IDを医師、病院の職員等から知らされる。端末ユーザは、通信機IDおよび患者IDを情報端末14に入力する。情報端末14は、端末ユーザの操作に応じて通信機IDおよび患者IDを読み込み、それぞれを照合通信機IDおよび照合セキュリティ情報とする。情報端末14は、照合通信機IDおよび照合セキュリティ情報を含む照合信号を無線中継機12に送信する。
【0034】
無線中継機12は、照合信号を受信し、照合通信機IDおよび照合セキュリティ情報を照合信号から抽出する。無線中継機12は、照合通信機IDおよび照合セキュリティ情報が、それぞれ、自らに設定された通信機IDおよびセキュリティ情報(患者ID)と一致するか否かを判定する。照合通信機IDおよび照合セキュリティ情報が、それぞれ、通信機IDおよびセキュリティ情報(患者ID)と一致するときは、無線中継機12は、情報端末14との間の無線通信を確立すると共に、通信回線16を介した情報端末14と超音波診断装置10との間の通信を確立する。
【0035】
照合通信機IDが通信機IDに一致せず、または、照合セキュリティ情報がセキュリティ情報(患者ID)と一致しないときは、無線中継機12は、情報端末14との間の無線通信を確立しない。これによって、通信回線16を介した情報端末14と超音波診断装置10との間の通信は確立しない。
【0036】
端末ユーザの操作に応じて、情報端末14は、患者の関連情報を読み込む。関連情報は、患者の名前、性別、生年月日、身体的特徴等、患者の関係者および診断装置ユーザが患者を特定し得る情報であってよい。情報端末14は、通信回線16を介した超音波診断装置10との間の通信が確立した後、超音波診断装置10に関連情報を送信する。
【0037】
図3のステップS110以降の処理について説明する。制御部30は、無線通信部34と情報端末14との間の通信が確立したか否かを判定し(S110)、無線通信部34と情報端末14との間の通信が確立していないときは、通信の確立を待機する(S108)。無線通信部34は、無線通信部34と情報端末14との間の通信が確立したと判定したときは、情報端末14から送信された関連情報を受信する(S112)。制御部30は、無線通信部34で受信された関連情報を取得し、関連情報を表示部28に出力する。表示部28は関連情報を表示する(S114)。
【0038】
診断装置ユーザは、表示部28に表示された関連情報を参照し、関連情報が、診断下の患者を特定するのに十分である情報であると判断したときは、操作部32において診断開始の操作をしてよい。すなわち、制御部30は、表示部28に関連情報が表示されているときに診断開始の操作がされたか否かを判定する(S116)。
【0039】
制御部30は、診断開始の操作がされたときは、診断動作を開始する(S118)。診断動作は、上記のように、Bモード画像データ、ドプラデータ等を信号処理部24で生成し、Bモード画像、ドプラ画像等の超音波画像を表示部28が表示する動作をいう。一方、診断開始の操作がされなかったときは、制御部30は、後述するステップS120の処理に進む。
【0040】
制御部30は、診断動作と共に画像送信処理を実行する(S118)。画像送信処理は、超音波画像情報を情報端末14に送信する処理をいう。超音波画像情報は、画像生成部26で生成された超音波画像データまたは超音波画像データに基づく映像信号を含む情報であってよい。
【0041】
情報端末14は、無線通信部34から通信回線16を介して送信された超音波画像情報を受信し、超音波画像情報に基づく超音波画像を表示する。
【0042】
このように、制御部30は、患者を特定する患者IDを読み込む処理を実行し(S102)、情報端末14から無線中継機12に送信された照合信号に患者IDが含まれる場合に、無線通信部34と共に画像送信処理を実行する(S118)。画像送信処理は、通信回線16を介して情報端末14に超音波画像情報を送信する処理である。
【0043】
制御部30は、患者IDが含まれる照合信号を無線中継機12に送信した情報端末14から、患者についての関連情報を通信回線16を介して受信する処理を(S112)、無線通信部34と共に実行する。制御部30は関連情報を表示部28に表示し(S114)、表示部28に関連情報が表示されているときに、情報端末14への超音波画像情報の送信を実行するための操作が診断装置ユーザによってなされた場合に、制御部30は、画像送信処理を実行する(S118)。
【0044】
診断動作が終了し、画像送信処理を実行した後、制御部30は、無線通信部34の電源をオフにする(S120)。制御部30は、超音波診断装置10の電源(装置電源)がオフにされる操作がされたか否かを判定する(S122)。制御部30は、装置電源がオフにされる操作がされなかったときは、ステップS102の処理に戻る。制御部30は、装置電源がオフにされる操作がされたときは、処理を終了する。
【0045】
ステップS102において、診断装置ユーザは、操作部32の操作によって次の患者についての患者IDを入力する。制御部30は、操作部32から患者IDを読み込む。ステップS102以降の処理では、先の患者に対して実行された処理と同様の動作が、次の患者に対しても実行される。
【0046】
なお、ステップS112~S116の処理は省略されてもよい。この場合、無線通信部34と情報端末14との間の通信が確立したとの判定をした後に、制御部30は、診断動作と共に画像送信処理を実行する(S118)。
【0047】
ステップS106の処理によれば、無線中継機12のセキュリティ情報として患者IDが設定される。したがって、無線中継機12は、照合セキュリティ情報として患者IDを含む照合信号を送信した情報端末14との間で、無線通信を確立する。照合セキュリティ情報は、端末ユーザの操作によって情報端末14に読み込まれた患者IDである。したがって、ステップS102で制御部30に読み込まれた患者IDと同一の患者IDを知っている端末ユーザが所持する情報端末14に対して、超音波画像情報が送信される。さらに、ステップS102で制御部30に読み込まれた患者IDは、診断対象の患者が入れ替わるごとに更新される。したがって、制御部30に読み込まれた患者IDと同一の患者IDを知らない者による不正なアクセスが回避され、超音波診断装置10から情報端末14に超音波画像情報を送信する際の秘匿性が高まる。
【0048】
また、ステップS114では関連情報が表示部28に表示され、ステップS116において、その関連情報によって患者を特定した診断装置ユーザによる診断開始の操作がされたときに、ステップS118において画像送信処理が実行される。したがって、関連情報を知らない者による不正なアクセスが回避され、超音波診断装置10から情報端末14に超音波画像情報を送信する際の秘匿性が高まる。例えば、端末ユーザの傍らに居合わせた第三者が患者IDを知った場合であっても、その第三者が関連情報を知らなければ、第三者の所持する情報端末14に超音波画像情報が送信されることが回避される。
【0049】
また、無線通信部34の電源は、1人の患者に対する処理(S106~S118)が実行される間にオンにされ、1人の患者に対する処理が終了し、次の患者に対する処理が開始されるまでの間はオフにされる。これによって、超音波診断装置10に対して不正アクセスがされる機会が減少する。
【0050】
図3には、関連情報を表示部28に表示し、その関連情報によって患者を特定した診断装置ユーザによる診断開始の操作に応じて画像送信処理を実行する実施形態が示された。このような処理の他、関連情報が患者データ記憶部38に記憶されているか否かを制御部30が判定し、関連情報が患者データ記憶部38に記憶されているときに、診断開始の操作がされた場合に画像送信処理が実行されてもよい。
【0051】
図4には、そのような処理のフローチャートが示されている。
図3に示されている処理と同様の処理については同一の符号を付してその説明を省略する。表示部28が関連情報を表示した後(S114)、制御部30は、関連情報が患者データ記憶部38に記憶されているか否かを判定する(S202)。制御部30は、関連情報が患者データ記憶部38に記憶されていないと判定したときは、ステップS120の処理に進み、無線通信部34の電源をオフにする。一方、制御部30は、関連情報が患者データ記憶部38に記憶されていると判定したときは、診断開始の操作がされたか否かを判定する(S116)。
【0052】
制御部30は、診断開始の操作がされたときは、診断動作と共に画像送信処理を実行する(S118)。一方、診断開始の操作がされなかったときは、制御部30は、ステップS120の処理に進み、無線通信部34の電源をオフにする。無線通信部34の電源をオフにした後の処理は、
図3に示される処理と同様である。
【0053】
このように、制御部30は、患者IDが含まれる照合信号を無線中継機12に送信した情報端末14から、患者についての関連情報を通信回線16を介して受信する処理を無線通信部34と共に実行する。超音波診断装置10(患者データ記憶部38)で予め記憶されたデータベースに関連情報が関連付けられた場合に、制御部30は、画像送信処理を実行する。
【0054】
このような処理によれば、関連情報が患者データ記憶部38に記憶されているか否か、すなわち、予め記憶されたデータベースに関連情報が関連付けられたか否かに基づいて、診断動作が実行されるか否かが判断される。したがって、診断装置ユーザが診断操作する際の負担が軽減される。
【0055】
なお、
図3に示された処理では、診断装置ユーザの操作によって、無線中継機12のセキュリティ情報が患者IDに設定される。このような処理に加えて、超音波診断装置10が、診断装置ユーザの操作によって無線中継機12の通信機IDを設定する処理を実行してもよい。この場合、制御部30は、診断装置ユーザの操作に応じて、操作部32から通信機IDおよび患者IDを読み込む。制御部30は、通信機IDおよび患者IDを無線セキュリティ設定部36に出力する。無線セキュリティ設定部36は、通信機IDおよび患者IDを無線通信部34に出力する。無線通信部34は、制御部30の制御に従って、通信機IDおよび患者IDを含む設定信号を無線中継機12に送信し、無線中継機12の通信機IDを設定すると共に、セキュリティ情報を患者IDとする。
【0056】
端末ユーザは、通信機IDと患者IDを病院の職員等から知らされる。端末ユーザは、通信機IDおよび患者IDを情報端末14に入力する。情報端末14は、端末ユーザの操作に応じて通信機IDおよび患者IDを読み込み、それぞれを照合通信機IDおよび照合セキュリティ情報とする。
【0057】
情報端末14は、照合通信機IDおよび照合セキュリティ情報を含む照合信号を無線中継機12に送信する。無線中継機12は、照合通信機IDおよび照合セキュリティ情報が、それぞれ、超音波診断装置10によって設定された通信機IDおよびセキュリティ情報(患者ID)に一致したときに、情報端末14との間の無線通信を確立する。無線中継機12と情報端末14との間の無線通信が確立することで、情報端末14が通信回線16に通信接続される。
【0058】
このような処理によれば、患者IDの他、通信機IDも、不変の情報ではなく随時変更される。これによって、超音波画像情報を情報端末14に送信する際の秘匿性が高まる。
【0059】
図5には、本発明の第2実施形態に係る超音波診断システム102の構成が示されている。超音波診断システム102では、
図1に示された超音波診断システム100のように無線中継機12が用いられず、超音波診断装置10Aが情報端末14-1~14-nのそれぞれとの間で直接無線通信を行う。
【0060】
図6には、超音波診断装置10Aの構成が示されている。
図2に示されている超音波診断装置10が備える無線通信部34が、超音波診断装置10Aでは、認証無線部50に置き換えられている。認証無線部50は、
図1および
図2に示された無線中継機12を超音波診断装置10Aに組み込んだものに相当し、通信機IDおよびセキュリティ情報についての認証機能を有している。
【0061】
認証無線部50が情報端末14との間で通信を開始する前に、次に示されるような通信接続処理が行われる。無線セキュリティ設定部36は、例えば、通信機IDを接続情報記憶部40から読み込み、操作部32から制御部30に読みまれたセキュリティ情報を制御部30から取得する。無線セキュリティ設定部36は、認証無線部50に対して通信機IDおよびセキュリティ情報を設定する。
【0062】
次に、認証無線部50に対して情報端末14が実行する処理について説明する。端末ユーザは、超音波診断装置10A(認証無線部50)の通信機IDと、患者を特定する患者IDを医師、病院の職員等から知らされる。端末ユーザは、通信機IDおよび患者IDを情報端末14に入力する。情報端末14は、端末ユーザの操作に応じて通信機IDおよび患者IDを読み込み、それぞれを照合通信機IDおよび照合セキュリティ情報とする。情報端末14は、照合通信機IDおよび照合セキュリティ情報を含む照合信号を認証無線部50に送信する。
【0063】
認証無線部50は、照合信号を受信し、照合通信機IDおよび照合セキュリティ情報を照合信号から抽出する。認証無線部50は、照合通信機IDおよび照合セキュリティ情報が、それぞれ、自らに設定された通信機IDおよびセキュリティ情報と一致するか否かを判定する。照合通信機IDおよび照合セキュリティ情報が、それぞれ、通信機IDおよびセキュリティ情報と一致するときは、認証無線部50は、情報端末14との間の無線通信を確立する。
【0064】
照合通信機IDが通信機IDに一致せず、または、照合セキュリティ情報がセキュリティ情報と一致しないときは、認証無線部50は、情報端末14との間の無線通信を確立しない。端末ユーザの操作に応じて、情報端末14は、患者の関連情報を読み込む。情報端末14は、認証無線部50との間の通信が確立した後、認証無線部50に関連情報を送信する。
【0065】
超音波診断装置10Aの動作例について説明する。
図7には、本実施形態に係る超音波診断装置10Aが実行する処理のフローチャートが示されている。最初の状態において、超音波診断装置10Aの電源はオンであるものの、認証無線部50の電源はオフにされている。また、認証無線部50には、ある符号が通信機IDとして設定されている。
【0066】
診断装置ユーザによる操作部32の操作に従って、制御部30は操作部32から患者IDを読み込む(S202)。制御部30は、認証無線部50の電源をオンにし(S204)、患者IDを無線セキュリティ設定部36に出力する。無線セキュリティ設定部36は、認証無線部50のセキュリティ情報を患者IDとする(S206)。これによって、認証無線部50は、情報端末14との通信の確立を待機する状態となる(S208)。
【0067】
制御部30は、認証無線部50と情報端末14との間の通信が確立したか否かを判定し(S210)、認証無線部50と情報端末14との間の通信が確立していないときは、通信の確立を待機する(S208)。認証無線部50は、認証無線部50と情報端末14との間の通信が確立したと判定したときは、情報端末14から送信された関連情報を受信する(S212)。制御部30は、認証無線部50で受信された関連情報を取得し、関連情報を表示部28に出力する。表示部28は関連情報を表示する(S214)。ステップS216およびS218の処理は、
図3に示されたステップS116およびS118の処理と同様である。
【0068】
このように、制御部30は、患者を特定する患者IDを読み込む処理を実行し(S202)、情報端末14から認証無線部50に送信された照合信号に患者IDが含まれる場合に、認証無線部50と共に画像送信処理を実行する(S218)。画像送信処理は、情報端末14に超音波画像情報を送信する処理である。
【0069】
制御部30は、患者IDが含まれる照合信号を認証無線部50に送信した情報端末14から、患者についての関連情報を受信する処理を(S212)、認証無線部50と共に実行する。制御部30は関連情報を表示部28に表示し(S214)、表示部28に関連情報が表示されているときに、情報端末14への超音波画像情報の送信を実行するための操作が診断装置ユーザによってなされた場合に、制御部30は、画像送信処理を実行する(S218)。
【0070】
診断動作が終了し、画像送信処理を実行した後、制御部30は、認証無線部50の電源をオフにする(S220)。制御部30は、超音波診断装置10Aの電源(装置電源)がオフにされる操作がされたか否かを判定する(S222)。制御部30は、装置電源がオフにされる操作がされなかったときは、ステップS202の処理に戻る。制御部30は、装置電源がオフにされる操作がされたときは、処理を終了する。
【0071】
ステップS202において、診断装置ユーザは、操作部32の操作によって次の患者についての患者IDを入力する。制御部30は、操作部32から患者IDを読み込む。ステップS202以降の処理では、先の患者に対して実行された処理と同様の動作が、次の患者に対しても実行される。
【0072】
図3のステップS112~S116と同様、ステップS212~S216の処理は省略されてもよい。この場合、認証無線部50と情報端末14との間の通信が確立したとの判定をした後に、制御部30は、診断動作と共に画像送信処理を実行する(S218)。
【0073】
ステップS206の処理によれば、認証無線部50のセキュリティ情報として患者IDが設定される。したがって、認証無線部50は、照合セキュリティ情報として患者IDを含む照合信号を送信した情報端末14との間で、無線通信を確立する。照合セキュリティ情報は、端末ユーザの操作によって情報端末14に読み込まれた患者IDである。したがって、ステップS202で制御部30に読み込まれた患者IDと同一の患者IDを知っている端末ユーザが所持する情報端末14に対して、超音波画像情報が送信される。さらに、ステップS202で制御部30に読み込まれた患者IDは、診断対象の患者が入れ替わるごとに更新される。したがって、制御部30に読み込まれた患者IDと同一の患者IDを知らない者による不正なアクセスが回避され、超音波診断装置10Aから情報端末14に超音波画像情報を送信する際の秘匿性が高まる。
【0074】
また、ステップS214では関連情報が表示部28に表示され、ステップS216において、その関連情報によって患者を特定した診断装置ユーザによる診断開始の操作がされたときに、ステップS218において画像送信処理が実行される。したがって、関連情報を知らない者による不正なアクセスが回避され、超音波診断装置10Aから情報端末14に超音波画像情報を送信する際の秘匿性が高まる。例えば、端末ユーザの傍らに居合わせた第三者が患者IDを知った場合であっても、その第三者が関連情報を知らなければ、第三者の所持する情報端末14に超音波画像情報が送信されることが回避される。
【0075】
また、認証無線部50の電源は、1人の患者に対する処理(S206~S218)が実行される間にオンにされ、1人の患者に対する処理が終了し、次の患者に対する処理が開始されるまでの間はオフにされる。これによって、超音波診断装置10Aに対して不正アクセスがされる機会が減少する。
【0076】
図7には、関連情報を表示部28に表示し、その関連情報によって患者を特定した診断装置ユーザによる診断開始の操作に応じて画像送信処理を実行する実施形態が示された。このような処理の他、
図4に示された処理と同様、関連情報が患者データ記憶部38に記憶されているか否かを制御部30が判定し、関連情報が患者データ記憶部38に記憶されているときに、診断開始の操作がされた場合に画像送信処理が実行されてもよい。
【0077】
図8には、そのような処理のフローチャートが示されている。
図7に示されている処理と同様の処理については同一の符号を付してその説明を省略する。表示部28が関連情報を表示した後(S214)、制御部30は、関連情報が患者データ記憶部38に記憶されているか否かを判定する(S202)。制御部30は、関連情報が患者データ記憶部38に記憶されていないと判定したときは、ステップS220の処理に進み、認証無線部50の電源をオフにする。一方、制御部30は、関連情報が患者データ記憶部38に記憶されていると判定したときは、診断開始の操作がされたか否かを判定する(S216)。
【0078】
制御部30は、診断開始の操作がされたときは、診断動作と共に画像送信処理を実行する(S218)。一方、診断開始の操作がされなかったときは、制御部30は、ステップS220の処理に進み、認証無線部50の電源をオフにする。認証無線部50の電源をオフにした後の処理は、
図7に示される処理と同様である。
【0079】
このように、制御部30は、患者IDが含まれる照合信号を認証無線部50に送信した情報端末14から、患者についての関連情報を受信する処理を認証無線部50と共に実行する。超音波診断装置10A(患者データ記憶部38)で予め記憶されたデータベースに関連情報が関連付けられた場合に、制御部30は、画像送信処理を実行する。
【0080】
このような処理によれば、関連情報が患者データ記憶部38に記憶されているか否か、すなわち、予め記憶されたデータベースに関連情報が関連付けられたか否かに基づいて、診断動作が実行されるか否かが判断される。したがって、診断装置ユーザが診断操作する際の負担が軽減される。
【0081】
なお、
図7に示された処理では、診断装置ユーザの操作によって、認証無線部50のセキュリティ情報が患者IDに設定される。このような処理に加えて、超音波診断装置10Aが、診断装置ユーザの操作によって認証無線部50の通信機IDを設定する処理を実行してもよい。この場合、制御部30は、診断装置ユーザの操作に応じて、操作部32から通信機IDおよび患者IDを読み込む。制御部30は、通信機IDおよび患者IDを無線セキュリティ設定部36に出力する。無線セキュリティ設定部36は、認証無線部50の通信機IDを設定すると共に、セキュリティ情報を患者IDとする。
【0082】
端末ユーザは、通信機IDと患者IDを病院の職員等から知らされる。端末ユーザは、通信機IDおよび患者IDを情報端末14に入力する。情報端末14は、端末ユーザの操作に応じて通信機IDおよび患者IDを読み込み、それぞれを照合通信機IDおよび照合セキュリティ情報とする。
【0083】
情報端末14は、照合通信機IDおよび照合セキュリティ情報を含む照合信号を認証無線部50に送信する。認証無線部50は、照合通信機IDおよび照合セキュリティ情報が、それぞれ、超音波診断装置10Aによって設定された通信機IDおよびセキュリティ情報(患者ID)に一致したときに、情報端末14との間の無線通信を確立する。
【0084】
このような処理によれば、患者IDの他、通信機IDも、不変の情報ではなく随時変更される。これによって、超音波画像情報を情報端末14に送信する際の秘匿性が高まる。
【0085】
上記では、超音波診断装置10Aが情報端末14と直接無線通信を行う実施形態が示された。超音波診断装置10Aと情報端末14との間の通信は、認証を行わない無線中継機、あるいは、上記の通信機IDおよびセキュリティ情報を用いた認証とは別の認証を行う無線中継機を介して行われてもよい。
【符号の説明】
【0086】
10 超音波診断装置、12 無線中継機、14,14-1~14-n 情報端末、16 通信回線、20 超音波プローブ、22 送受信部、24 信号処理部、26 画像生成部、28 表示部、30 制御部、32 操作部、34 無線通信部、36 無線セキュリティ設定部、38 患者データ記憶部、40 接続情報記憶部、50 認証無線部、100,102 超音波診断システム。