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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183944
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20231221BHJP
   F24H 4/02 20220101ALI20231221BHJP
   F24H 15/124 20220101ALI20231221BHJP
   F24H 15/375 20220101ALI20231221BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20231221BHJP
【FI】
H02M7/48 M
F24H4/02 A
F24H15/124
F24H15/375
H01G13/00 361Z
F24H4/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097767
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 友範
(72)【発明者】
【氏名】内倉 政治
【テーマコード(参考)】
3L122
5E082
5H770
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA23
3L122DA21
3L122EA21
3L122GA09
5E082AB09
5E082BC01
5E082MM31
5H770BA04
5H770BA05
5H770CA02
5H770DA03
5H770DA21
5H770FA04
5H770FA13
5H770HA03W
5H770HA14W
5H770JA17Z
5H770LA01W
5H770LA10Z
(57)【要約】
【課題】 作業者がより安全にメンテナンス作業を行うことができる給湯装置を提供する。
【解決手段】 貯湯タンクとヒートポンプとを有する給湯装置であって、交流電圧の電源ライン11を開閉するリレー31と、整流部34と、平滑用の電解コンデンサ35と、電解コンデンサ35に接続されたコンプレッサ駆動用インバータ36と、電解コンデンサ35に接続されたファンモータ駆動用インバータ37と、電解コンデンサ35の電圧を検出する電圧検出部38と、ヒートポンプ制御部23と、を備え、ヒートポンプ制御部23は、ヒートポンプの運転を停止する場合、ファンモータ駆動用インバータ37の作動を継続させた状態でコンプレッサ駆動用インバータ36を停止させるとともにメインリレー31を開路状態に制御し、この状態で電解コンデンサ35の検出電圧が基準電圧以下に低下すると、ファンモータ駆動用インバータ37を停止させるように構成されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、コンプレッサ、凝縮器、膨張弁及び蒸発器が冷媒配管により接続されており、前記凝縮器において前記貯湯タンクとの間で流通する湯水を冷媒との熱交換により加熱するヒートポンプと、を有する給湯装置であって、
外部交流電源から交流電圧が供給される電源ラインを開閉するリレーと、
前記リレーより下流側の電源ラインに接続された整流部と、
前記整流部の出力電圧を平滑する電解コンデンサと、
前記電解コンデンサの電圧を交流電圧に変換して前記コンプレッサへ供給することにより前記コンプレッサを駆動するコンプレッサ駆動用インバータと、
前記電解コンデンサの電圧を交流電圧に変換して前記蒸発器に備えられたファンモータへ供給することにより前記ファンモータを駆動するファンモータ駆動用インバータと、
前記電解コンデンサの電圧を検出する電圧検出部と、
前記電圧検出部から前記電解コンデンサの検出電圧を入力し、前記リレー、前記コンプレッサ駆動用インバータ及び前記ファンモータ駆動用インバータを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記ヒートポンプの運転を停止する場合、前記ファンモータ駆動用インバータの作動を継続させた状態で前記コンプレッサ駆動用インバータを停止させるとともに前記リレーを開路状態に制御し、この状態で前記電解コンデンサの検出電圧が基準電圧以下に低下すると、前記ファンモータ駆動用インバータを停止させるように構成された、
給湯装置。
【請求項2】
前記コンプレッサの異常を検出するコンプレッサ異常検出部と、
前記ファンモータの異常を検出するファンモータ異常検出部と、
をさらに備え、
前記制御部は、
前記コンプレッサ異常検出部及び前記ファンモータ異常検出部で異常が検出されていないときに前記ヒートポンプの運転を停止する場合、前記ファンモータ駆動用インバータの作動を継続させた状態で前記コンプレッサ駆動用インバータを停止させるとともに前記リレーを開路状態に制御し、この状態で第1の基準時間が経過しても前記電解コンデンサの検出電圧が前記基準電圧以下に低下しなかった場合、前記ファンモータ駆動用インバータを停止させた後、前記コンプレッサ駆動用インバータを作動させ、この状態で第2の基準時間が経過しても前記電解コンデンサの検出電圧が前記基準電圧以下に低下しなかった場合、前記コンプレッサ駆動用インバータを停止させ、前記リレーが異常であると判定するよう構成された、
請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記リレーより上流側の前記電源ラインから電力供給を受けるように構成された、
請求項1または2に記載の給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプを備えた給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒートポンプによって湯水を加熱し、貯湯タンクに貯湯する給湯装置がある。ヒートポンプは、コンプレッサ、凝縮器、膨張弁及び蒸発器が冷媒配管により接続されており、凝縮器において貯湯タンクとの間で流通する湯水を冷媒との熱交換により加熱するように構成されている。蒸発器にはファンモータが備えられている。そして、コンプレッサを駆動するコンプレッサ駆動用インバータおよびファンモータを駆動するファンモータ駆動用インバータへ直流電圧を供給するために、外部交流電源からの交流電圧を整流する整流部と、この整流部の出力電圧を平滑する電解コンデンサとが備えられている。また、整流部の上流側には電源ラインを開閉するリレーが設けられている。
【0003】
上記電解コンデンサは比較的高電圧で使用されるため、メンテンナンスを行う作業者が作業時に電解コンデンサに触れて感電しないよう対策が講じられている。
【0004】
具体的には、ヒートポンプの運転を停止させる際に、コンプレッサとファンモータを停止させた後、リレーを開路し、コンプレッサを作動して電力消費させることで電解コンデンサを放電させ、電解コンデンサの電圧を低下させている。ここで、リレーを開路した後に、一旦停止させたファンモータを作動させると、ヒートポンプの運転が停止したと判断した作業者がファン(羽根)と接触する可能性があるため、コンプレッサを作動させるようにしている。
【0005】
特許文献1には、直流回路にコンデンサを有する電圧型インバータにおいて、インバータ運転停止後に、主開路リレーの開放状態で、インバータを短時間駆動し、コンデンサの充電エネルギーをインバータの負荷を通して放電させることが記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、室外ユニットと室内ユニットが接続されたヒートポンプ式空気調和装置において、室外ユニットの圧縮機モータに2次電力を供給するための蓄電池を収容した蓄電ユニットを備えた蓄電式空気調和装置が記載されている。ここで、蓄電池はチョッパ部等を介して商用電源に接続されており、蓄電池の充放電を停止した際に、チョッパ部のコンデンサに残留する電力を蓄電池に放電させてコンデンサの電圧を蓄電池の電圧まで低下させた後、さらに、コンデンサの両端に接続された放電抵抗によってコンデンサの放電を行わせるようにした構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平2-60119号公報
【特許文献2】特開平11-332248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述の給湯装置において、ヒートポンプの運転を停止させる際、ヒートポンプの運転を停止させる要因がコンプレッサの異常であった場合には、コンプレッサの作動による2次被害を防ぐため、コンプレッサの作動による電解コンデンサの放電を行わないようにしており、電解コンデンサに高電圧がかかった状態が発生していた。
【0009】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、作業者がより安全にメンテナンス作業を行うことができる給湯装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のある態様に係る給湯装置は、湯水を貯湯する貯湯タンクと、コンプレッサ、凝縮器、膨張弁及び蒸発器が冷媒配管により接続されており、前記凝縮器において前記貯湯タンクとの間で流通する湯水を冷媒との熱交換により加熱するヒートポンプと、を有する給湯装置であって、外部交流電源から交流電圧が供給される電源ラインを開閉するリレーと、前記リレーより下流側の電源ラインに接続された整流部と、前記整流部の出力電圧を平滑する電解コンデンサと、前記電解コンデンサの電圧を交流電圧に変換して前記コンプレッサへ供給することにより前記コンプレッサを駆動するコンプレッサ駆動用インバータと、前記電解コンデンサの電圧を交流電圧に変換して前記蒸発器に備えられたファンモータへ供給することにより前記ファンモータを駆動するファンモータ駆動用インバータと、前記電解コンデンサの電圧を検出する電圧検出部と、前記電圧検出部から前記電解コンデンサの検出電圧を入力し、前記リレー、前記コンプレッサ駆動用インバータ及び前記ファンモータ駆動用インバータを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ヒートポンプの運転を停止する場合、前記ファンモータ駆動用インバータの作動を継続させた状態で前記コンプレッサ駆動用インバータを停止させるとともに前記リレーを開路状態に制御し、この状態で前記電解コンデンサの検出電圧が基準電圧以下に低下すると、前記ファンモータ駆動用インバータを停止させるように構成されている。
【0011】
この構成によれば、制御部が、例えば、運転停止指令を受けて、または、ファンモータ以外のヒートポンプの異常によって、ヒートポンプの運転を停止する場合に、ファンモータ駆動用インバータの作動を継続させた状態でコンプレッサ駆動用インバータを停止させるとともにリレーを開路状態に制御し、この状態で電解コンデンサの検出電圧が基準電圧以下に低下すると、ファンモータ駆動用インバータを停止させるようにしている。これにより、ヒートポンプの運転を停止させる要因がコンプレッサの異常であった場合でも、ファンモータ駆動用インバータの作動を継続させることによりファンモータの駆動によって電解コンデンサを放電させることができるので、作業者がより安全にメンテナンス作業を行うことができる。また、ファンモータ駆動用インバータの作動を継続させることによりファンモータの駆動が継続するので、作業者がヒートポンプの運転が停止したと判断してファンと接触することを防止できる。
【0012】
前記コンプレッサの異常を検出するコンプレッサ異常検出部と、前記ファンモータの異常を検出するファンモータ異常検出部と、をさらに備え、前記制御部は、前記コンプレッサ異常検出部及び前記ファンモータ異常検出部で異常が検出されていないときに前記ヒートポンプの運転を停止する場合、前記ファンモータ駆動用インバータの作動を継続させた状態で前記コンプレッサ駆動用インバータを停止させるとともに前記リレーを開路状態に制御し、この状態で第1の基準時間が経過しても前記電解コンデンサの検出電圧が前記基準電圧以下に低下しなかった場合、前記ファンモータ駆動用インバータを停止させた後、前記コンプレッサ駆動用インバータを作動させ、この状態で第2の基準時間が経過しても前記電解コンデンサの検出電圧が前記基準電圧以下に低下しなかった場合、前記コンプレッサ駆動用インバータを停止させ、前記リレーが異常であると判定するよう構成されていてもよい。
【0013】
この構成によれば、リレーを開路状態に制御し、ファンモータ駆動用インバータの作動を継続させることによりファンモータの駆動によって電解コンデンサを放電できず、その後、コンプレッサ駆動用インバータを作動させることによりコンプレッサの駆動によっても電解コンデンサを放電できない場合に、リレーが閉路状態で固着した異常を検出することができる。
【0014】
前記制御部は、前記リレーより上流側の前記電源ラインから電力供給を受けるように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上に説明した構成を有し、作業者がより安全にメンテナンス作業を行うことができる給湯装置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本実施形態の一例の給湯装置の概略構成を示す図である。
図2図2は、図1のヒートポンプ駆動部の一例の詳細を示す図である。
図3図3は、図1のヒートポンプ制御部の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
【0018】
(実施形態)
図1は、本実施形態の一例の給湯装置の概略構成を示す図である。この給湯装置1は、ヒートポンプユニット2と、貯湯ユニット3Aと、リモコン(リモートコントローラ)6とを備え、貯湯ユニット3Aに燃焼式給湯機4を内蔵したハイブリッド給湯装置である。給湯装置1には、商用電源等の外部交流電源10から交流電圧ACが供給される。
【0019】
リモコン6は、給湯装置1に各種動作の開始及び停止等を行わせるためにユーザ等が操作する操作ボタン等の操作部61や、制御装置5の制御によって給湯装置1の動作状態及び異常等を画面に表示する表示部62等を備えている。リモコン6は複数設けられていてもよい。
【0020】
貯湯ユニット3Aは、湯水を貯留する貯湯タンク3、例えば瞬間式ガス給湯機などからなる燃焼式給湯機4、及び制御装置5等を有している。
【0021】
貯湯タンク3には、その下部に上水が供給される入水通路が接続されるとともに、その上部には給湯するための給湯通路が接続されている。また、給湯通路には、給湯通路の湯水を燃焼式給湯機4で適宜加熱可能なように、燃焼式給湯機4との間に通路が設けられている。また、貯湯タンク3の下部にはヒートポンプ21の凝縮器27へ貯湯タンク3の湯水を供給する通路が接続されるとともに、凝縮器27で加熱された湯水を貯湯タンク3の上部へ供給する通路が設けられている。なお、貯湯ユニット3A内に設けられる湯水の通路等には適宜、電磁弁、ポンプ及び各種センサ等が設けられるが、各通路等を含めてこれらの構成は周知の構成を用いることができ、詳細は省略する。また、給湯通路は、外部の給湯栓に接続されるだけでなく、風呂の浴槽へ接続されて湯張り可能に構成されていてもよい。また、風呂の追い焚き用の熱交換器等が設けられて風呂の追い焚きが可能に構成されていてもよい。また、暖房用の熱交換器等が設けられて暖房端末(例えば浴室乾燥機、床暖房用温水マット等)に接続されていてもよい。
【0022】
この給湯装置1では、貯湯タンク3の下部から低温の湯水をヒートポンプ21に供給し、ヒートポンプ21によって加熱された湯水が貯湯タンク3の上部に送られて貯留される。また、外部の給湯栓等が開栓されると、給湯温度が設定温度となるように貯湯タンク3の上部から出湯される湯水と入水される上水とが混合されて給湯される。また、高温給湯時など、貯湯タンク3の蓄熱量の不足時には燃焼式給湯機4で補助加熱した上で給湯するよう構成されている。このように、燃焼式給湯機4は補助的に使用され、燃焼式給湯機4を備えていない構成とすることも可能である。
【0023】
制御装置5は、電源部と、この電源部から供給される電圧によって動作する制御部とを備えている。制御部は、CPUおよびメモリ等を備え、例えば、マイクロコントローラ等で構成されている。制御部では、リモコン6等からの操作信号、及び、温度センサ等の各種センサ(図示せず)からの信号を入力し、CPUがメモリに記憶された制御プログラムを実行することで給湯装置1全体の制御を行うようになっている。電源部には、外部交流電圧ACが入力される。電源部は、外部交流電圧ACを貯湯ユニット3Aの内部の各部(制御装置5の制御部、燃焼式給湯機4の内部機器や図示しないポンプ等)で使用される電圧に変換して各部へ供給する。
【0024】
ヒートポンプユニット2は、漏電ブレーカ20、ヒートポンプ21、ヒートポンプ駆動部22、ヒートポンプ制御部23及び制御用電源部24を備えている。ヒートポンプ制御部23は、マイクロコントローラ等で構成されていてもよいし、一部が電気回路等で構成されていてもよい。
【0025】
ヒートポンプ21は、コンプレッサ26、凝縮器27、膨張弁28及び蒸発器29を備え、これらを冷媒配管により接続した周知の構成である。このヒートポンプ21では、冷媒配管に封入された冷媒をコンプレッサ26で圧縮して昇温し、凝縮器27において貯湯タンク3との間で流通する湯水を高温の冷媒との熱交換により加熱する。この熱交換後の冷媒は、膨張弁28で膨張して外気より低温になり、蒸発器29で外気から吸熱した後、再びコンプレッサ26に導入される。蒸発器29は、ファンモータ30を備えている。
【0026】
ヒートポンプ制御部23は、制御装置5に通信可能に接続され、制御装置5からの運転の開始指令、停止指令等に基づいてヒートポンプ駆動部22を制御する。
【0027】
ヒートポンプ駆動部22には、漏電ブレーカ20を介して外部交流電圧ACが入力される。ヒートポンプ駆動部22は、ヒートポンプ制御部23からの指令に基づいてヒートポンプ21を制御するために、外部交流電圧ACをコンプレッサ26、ファンモータ30の各々で使用される電圧に変換して各々へ供給する。
【0028】
図2は、ヒートポンプ駆動部22の一例の詳細を示す図である。ヒートポンプ駆動部22は、外部交流電源10から交流電圧ACが供給される電源ライン11を開閉するリレー回路部Ryと、ダイオードブリッジからなる整流部34、平滑用の電解コンデンサ35、コンプレッサ駆動用インバータ36、ファンモータ駆動用インバータ37及び電圧検出部38を備えている。
【0029】
リレー回路部Ryは、メインリレー31と、抵抗33及びサブリレー32とが並列接続された回路である。ここで、抵抗33と直列接続されたサブリレー32は、電解コンデンサ35の初期充電時に突入電流を抑制するため一時的に閉路するリレーである。メインリレー31が、ヒートポンプ21を運転中には閉路となり、運転停止時に開路となる。
【0030】
整流部34は、例えばダイオードブリッジなどにより構成される全波整流回路である。整流部34の出力電圧は電解コンデンサ35で平滑されて直流電圧として出力される。この電解コンデンサ35の端子間電圧である直流電圧は、コンプレッサ駆動用インバータ36及びファンモータ駆動用インバータ37へ入力される。コンプレッサ駆動用インバータ36が、ヒートポンプ制御部23からの指令に基づいて電解コンデンサ35から入力される直流電圧をコンプレッサ駆動用の所定の交流電圧に変換してコンプレッサ26のモータへ供給することにより、コンプレッサ26が駆動される。また、ファンモータ駆動用インバータ37が、ヒートポンプ制御部23からの指令に基づいて電解コンデンサ35から入力される直流電圧をファンモータ駆動用の所定の交流電圧に変換してファンモータ30へ供給することにより、ファンモータ30が駆動される。
【0031】
また、電圧検出部38は、電解コンデンサ35の電圧(直流電圧)の値を検出し、この検出電圧をヒートポンプ制御部23へ出力する。
【0032】
なお、制御用電源部24は、リレー回路部Ryより上流側の電源ライン11に接続され、交流電圧ACから制御用電源となる所定の直流電圧を生成し、ヒートポンプ制御部23へ供給するよう構成されている。
【0033】
また、ヒートポンプ21には、コンプレッサ26の異常を検出するコンプレッサ異常検出部41およびファンモータ30の異常を検出するファンモータ異常検出部42などの複数の異常検出部が備えられ、各異常検出部により検出された異常検出情報はヒートポンプ制御部23へ入力される。
【0034】
図3は、ヒートポンプ制御部23の動作の一例を示すフローチャートである。以下の図3の説明中において制御されるリレーは、メインリレー31のことである。なお、以下では、サブリレー32は常に開路状態である。
【0035】
図3では、ヒートポンプ21が運転中である状態、すなわち、メインリレー31が閉路状態で、コンプレッサ26及びファンモータ30が駆動中である状態からスタートする。コンプレッサ26及びファンモータ30が駆動中であるということは、コンプレッサ駆動用インバータ36及びファンモータ駆動用インバータ37を作動中であるということである。また、以下の説明において、コンプレッサ26を停止させることは、コンプレッサ駆動用インバータ36を停止(作動を停止)させることであり、ファンモータ30を停止させることは、ファンモータ駆動用インバータ37を停止(作動を停止)させることである。
【0036】
ヒートポンプ制御部23は、ヒートポンプ21の運転中のときに、制御装置5から運転停止指令を入力すると(ステップS1でYes)、コンプレッサ26を停止させて(ステップS4)、メインリレー31を開路状態に制御する(ステップS5)。これにより、ファンモータ30の駆動は継続しており、電解コンデンサ35の放電が行われる。なお、ステップS4とステップS5とは順序が入れ替わってもよいし、同時に行われてもよい。
【0037】
次に、ヒートポンプ制御部23は、電圧検出部38による電解コンデンサ35の検出電圧が所定の基準電圧以下であるか否かを判定し(ステップS6)、基準電圧以下ではない場合には、メインリレー31を開路状態に制御してから所定の基準時間(例えば10秒)が経過したか否かを判定する(ステップS11)。そして、ヒートポンプ制御部23は、電解コンデンサ35の検出電圧が基準時間以内に基準電圧以下になると(ステップS6でYes)、ファンモータ30を停止する(ステップS7)。ここで、上記のように制御装置5から運転停止指令を入力した場合には、ステップS8は実施されない。なお、基準電圧は、人が電解コンデンサ35に触れても人に危険が及ぶことのない電圧である。
【0038】
一方、制御装置5から運転停止指令を入力せずに(ステップS1でNo)、ヒートポンプ21のある異常検出部から異常検出情報を入力し(ステップS2でYes)、その異常がファンモータ30の異常ではない場合(ステップS3でNo)に、ステップS4~S7が実施された場合には、リモコン6にヒートポンプ21の異常を報知させるために、制御装置5へ異常情報を出力する(ステップS8)。この異常情報は制御装置5からリモコン6へ出力され、リモコン6では、例えばその表示部62に異常情報を表示する。
【0039】
また、上記のステップS6,S11において、ヒートポンプ制御部23は、電解コンデンサ35の検出電圧が基準電圧以下にならずに基準時間が経過すると(ステップS11でYes)、ファンモータ30を停止する(ステップS12)。
【0040】
続いて、コンプレッサ26に異常がないか否かを判定し(ステップS13)、コンプレッサ26に異常がない場合、コンプレッサ26を駆動する(ステップS16)。ここで、コンプレッサ26に異常がない場合とは、ステップS1で運転停止指令を入力してステップS4以降に進んだ場合、または、ステップS2で、ファンモータ30の異常およびコンプレッサ26の異常を検出していない場合にステップS4以降に進んだ場合である。
【0041】
一方、ステップS2でコンプレッサ26の異常を検出し、ステップS4以降に進んだ場合には、ステップS13でコンプレッサ26に異常があると判定し、所定時間(例えば1秒)経過後に(ステップS14でYes)、コンプレッサ26の異常が解除されたか否かを判定する(ステップS15)。ステップS15において、異常が解除されていれば、コンプレッサ26を駆動し(ステップS16)、異常が解除されていなければ、ステップS23へ進む。コンプレッサ26には、例えば、コンプレッサ26のモータの過電流の異常検出部があり、この過電流の異常検出部による異常が検出されたものであれば、コンプレッサ26が停止されて上記所定時間経過後には異常が解除されている。
【0042】
また、前述のステップS2で検出した異常がファンモータ30の異常である場合(ステップS3でYes)には、コンプレッサ26及びファンモータ30を停止させて(ステップS31)、メインリレー31を開路状態に制御し(ステップS32)、ステップS16へ進み、コンプレッサ26を駆動する。
【0043】
ステップS16でコンプレッサ26を駆動させることにより、電解コンデンサ35の放電が行われる。
【0044】
次に、ヒートポンプ制御部23は、電圧検出部38による電解コンデンサ35の検出電圧が所定の基準電圧以下であるか否かを判定し(ステップS17)、基準電圧以下ではない場合には、メインリレー31を開路状態にしてから所定の基準時間(例えば10秒)が経過したか否かを判定する(ステップS21)。そして、ヒートポンプ制御部23は、電解コンデンサ35の検出電圧が基準時間以内に基準電圧以下になると(ステップS17でYes)、コンプレッサ26を停止する(ステップS18)。ステップS19では、ステップS2で検出されて解消されていない異常があれば、その異常情報をリモコン6に報知させるために、その異常情報を制御装置5へ出力する。
【0045】
また、上記のステップS17,S21において、ヒートポンプ制御部23は、電解コンデンサ35の検出電圧が基準電圧以下にならずに基準時間が経過すると(ステップS21でYes)、コンプレッサ26を停止する(ステップS22)。
【0046】
次に、ステップS22からのステップS23では、電解コンデンサ35の放電不良の異常情報をリモコン6に報知させるために、その異常情報を制御装置5へ出力する。さらに、この場合には、ステップS4,S5でコンプレッサ26を停止してメインリレー31を開路制御してファンモータ30の継続駆動により、電解コンデンサ35の放電を行わせても基準時間内に電解コンデンサ35の検出電圧が基準電圧以下にならず、さらにステップS12でファンモータ30を停止させた後、ステップS16でコンプレッサ26を駆動して電解コンデンサ35の放電を行わせても基準時間内に電解コンデンサ35の検出電圧が基準電圧以下にならない。よって、ステップS23で、メインリレー31が閉路状態で固着された異常であると判定し、この異常情報をリモコン6に報知させるために制御装置5へ出力する。
【0047】
また、ステップS15でNoと判定されてからのステップS23では、コンプレッサ26の異常情報及び電解コンデンサ35の放電不良の異常情報をリモコン6に報知させるために、その異常情報を制御装置5へ出力する。
【0048】
なお、上記では、ステップS11における基準時間(第1の基準時間)と、ステップS21における基準時間(第2の基準時間)とを同一の時間に設定したが、異なる時間として設定してもよい。
【0049】
本実施形態では、ヒートポンプ制御部23が、例えば、制御装置5から運転停止指令を受けて、または、ファンモータ30以外のヒートポンプ21の異常によって、ヒートポンプ21の運転を停止する場合に、ファンモータ駆動用インバータ37の作動を継続させた状態でコンプレッサ駆動用インバータ36を停止させるとともにメインリレー31を開路状態に制御し、この状態で電解コンデンサ35の検出電圧が基準電圧以下に低下すると、ファンモータ駆動用インバータ37を停止させるようにしている。これにより、ヒートポンプ21の運転を停止させる要因がコンプレッサ26の異常であった場合でも、ファンモータ駆動用インバータ37の作動を継続させることによりファンモータ30の駆動によって電解コンデンサ35を放電させることができるので、作業者がより安全にメンテナンス作業を行うことができる。また、ファンモータ駆動用インバータ37の作動を継続させることによりファンモータ30の駆動が継続するので、作業者がヒートポンプ21の運転が停止したと判断してファン(羽根)と接触することを防止できる。
【0050】
また、コンプレッサ26及びファンモータ30の異常が検出されていないときに、ヒートポンプ制御部23が、例えば、制御装置5から運転停止指令を受けて、ヒートポンプ21の運転を停止する場合、ファンモータ駆動用インバータ37の作動を継続させた状態でコンプレッサ駆動用インバータ36を停止させるとともにメインリレー31を開路状態に制御し、この状態で基準時間が経過しても電解コンデンサ35の検出電圧が基準電圧以下に低下しなかった場合、ファンモータ駆動用インバータ37を停止させた後、コンプレッサ駆動用インバータ36を作動させ、この状態で基準時間が経過しても電解コンデンサ35の検出電圧が基準電圧以下に低下しなかった場合、ステップS22でコンプレッサ駆動用インバータ36を停止させ、ステップS23でメインリレー31が異常であると判定するようにしている。このように、メインリレー31を開路状態に制御し、ファンモータ駆動用インバータ37の作動を継続させることによりファンモータ30の駆動によって電解コンデンサ35を放電できず、その後、コンプレッサ駆動用インバータ36を作動させることによりコンプレッサ26の駆動によっても電解コンデンサ35を放電できない場合に、ステップS23でメインリレー31が閉路状態で固着した異常を検出することができる。
【0051】
また、上述のようにステップS22のあとに続くステップS23において、ヒートポンプ制御部23は、電圧検出部38の検出値(電解コンデンサ35の検出電圧)に基づいて電圧検出部38が正常であることの確認の可否を判定し、その判定結果をも考慮して、メインリレー31の異常の有無を判定するようにしてもよい。例えば、電圧検出部38が正常であることが確認できた場合には、上述のようにメインリレー31が異常であると判定し、電圧検出部38が正常であることを確認できなかった場合には、メインリレー31と電圧検出部38との少なくともいずれか1つが異常であると判定するようにしてもよい。ここで、電圧検出部38が正常であることの確認の可否は、例えば、以下のように判定することができる。メインリレー31が閉路状態で固着している場合、直流電圧(電解コンデンサ35の端子間電圧)は、交流電源10の電圧に応じた電圧(例えば交流電源10が100Vで、整流部34が倍電圧整流回路の場合、直流282V程度)となるため、ステップS23時点での電圧検出部38の検出値がその想定される電圧の範囲内(例えばαを所定値として、直流282±αVの範囲内)のものであれば電圧検出部38が正常であることを確認できたと判定し、一方、電圧検出部38の検出値がその想定される電圧の範囲外のものであれば電圧検出部38が正常であることを確認できなかったと判定することができる。
【0052】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、作業者がより安全にメンテナンス作業を行うことができる給湯装置等として有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 給湯装置
3 貯湯タンク
10 交流電源
11 電源ライン
21 ヒートポンプ
23 ヒートポンプ制御部
24 制御用電源部
26 コンプレッサ
27 凝縮器
28 膨張弁
29 蒸発器
30 ファンモータ
31 メインリレー
34 整流部
35 電解コンデンサ
36 コンプレッサ駆動用インバータ
37 ファンモータ駆動用インバータ
38 電圧検出部
41 コンプレッサ異常検出部
42 ファンモータ異常検出部
図1
図2
図3