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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183947
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   F04B 41/02 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
F04B41/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097771
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池上 哲生
(72)【発明者】
【氏名】横田 伴義
(72)【発明者】
【氏名】野田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】海老沢 なつ美
(72)【発明者】
【氏名】圷 康輔
【テーマコード(参考)】
3H076
【Fターム(参考)】
3H076AA03
3H076AA35
3H076BB28
3H076BB38
3H076BB50
3H076CC07
3H076CC24
3H076CC31
3H076CC47
3H076CC99
(57)【要約】
【課題】製品全体の軽量化を図ることができ、かつ製造コストを低減することが可能な作業機を提供する。
【解決手段】空気を圧縮して排出する圧縮部と、圧縮部から排出された圧縮空気が流入する金属製の第1空気タンク11,第2空気タンク12,第3空気タンクおよび第4空気タンクと、第1空気タンク11,第2空気タンク12,第3空気タンクおよび第4空気タンク同士を連結する樹脂製の上側フレーム部材25,ハンドル,バッテリ保持部材および下側フレーム部材26と、を備える。樹脂製の上側フレーム部材25,ハンドル,バッテリ保持部材および下側フレーム部材26で第1空気タンク11,第2空気タンク12,第3空気タンクおよび第4空気タンク同士を連結するので、製品全体の軽量化を図ることができる。また、溶接工数を減らすことができるので、製造コストを低減することが可能となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を圧縮して排出する圧縮部と、
前記圧縮部から排出された気体が流入する複数の金属製のタンクと、
複数の前記タンク同士を連結する樹脂製のフレーム部材と、
を備えている、
作業機。
【請求項2】
複数の前記タンクの全てが、単一の部品からなる前記フレーム部材に固定されており、
前記圧縮部は、前記フレーム部材に固定されている、
請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
複数の前記タンクは、3つ以上設けられ、
前記圧縮部が、複数の前記タンクに囲まれており、
前記フレーム部材が、前記圧縮部を部分的に覆い隠している、
請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
複数の前記タンクのそれぞれが、第1方向に延びる円筒状の形状を有し、
前記フレーム部材が、それぞれの前記タンクの前記第1方向における端部に取り付けられている、
請求項2に記載の作業機。
【請求項5】
複数の前記タンクは、前記第1方向が上下方向となるように配置され、
前記フレーム部材は、それぞれの前記タンクの下端を覆うように取り付けられている、
請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
複数の前記タンクが、樹脂製の配管により互いに接続されている、
請求項1に記載の作業機。
【請求項7】
複数の前記タンクが、前記フレーム部材の撓みに応じて相対移動可能である、
請求項6に記載の作業機。
【請求項8】
複数の前記タンクのうちの一部の前記タンク同士の間に、金属製の補強部材が設けられている、
請求項1に記載の作業機。
【請求項9】
複数の前記タンクのそれぞれに、金属製の取付部材が溶接され、
前記取付部材に、前記フレーム部材が固定されている、
請求項1に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体を圧縮して排出する圧縮部と、当該圧縮部から排出された気体が流入するタンクと、を備えた作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
気体を圧縮して排出する圧縮部と、当該圧縮部から排出された気体が流入するタンクと、を備えた作業機の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された空気圧縮機(作業機)は、圧縮空気を生成する駆動部(圧縮部)と、駆動部からの圧縮空気が流入する第一タンクおよび第二タンクと、を備えている。そして、空気圧縮機のカプラには、圧縮空気を動力として駆動される釘打機等の工具が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-155620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に記載された技術では、第一タンクおよび第二タンクの間に、両者間を跨ぐように合計4つのフレームを設け、これらのフレームをそれぞれのタンクに溶接により固定している。よって、フレームが金属製でありかつ溶接肉を有する分、製品全体の重量が嵩み、さらには溶接工数が多いために、製造コストが増大するという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、製品全体の軽量化を図ることができ、かつ製造コストを低減することが可能な作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様では、気体を圧縮して排出する圧縮部と、前記圧縮部から排出された気体が流入する複数の金属製のタンクと、複数の前記タンク同士を連結する樹脂製のフレーム部材と、を備えている。
【0007】
本発明の他の態様では、複数の前記タンクの全てが、単一の部品からなる前記フレーム部材に固定されており、前記圧縮部は、前記フレーム部材に固定されている。
【0008】
本発明の他の態様では、複数の前記タンクは、3つ以上設けられ、前記圧縮部が、複数の前記タンクに囲まれており、前記フレーム部材が、前記圧縮部の前記フレーム部材に対する固定部分を覆い隠している。
【0009】
本発明の他の態様では、複数の前記タンクのそれぞれが、第1方向に延びる円筒状の形状を有し、前記フレーム部材が、それぞれの前記タンクの前記第1方向における端部に取り付けられている。
【0010】
本発明の他の態様では、複数の前記タンクは、前記第1方向が上下方向となるように配置され、前記フレーム部材は、それぞれの前記タンクの下端を覆うように取り付けられている。
【0011】
本発明の他の態様では、複数の前記タンクが、樹脂製の配管により互いに接続されている。
【0012】
本発明の他の態様では、複数の前記タンクが、前記フレーム部材の撓みに応じて相対移動可能である。
【0013】
本発明の他の態様では、複数の前記タンクのうちの一部の前記タンク同士の間に、金属製の補強部材が設けられている。
【0014】
本発明の他の態様では、複数の前記タンクのそれぞれに、金属製の取付部材が溶接され、前記取付部材に、前記フレーム部材が固定されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、樹脂製のフレーム部材で複数のタンク同士を連結するので、製品全体の軽量化を図ることができる。また、溶接工数を減らすことができるので、製造コストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】空気圧縮機を正面から見た図である。
図2図1の空気圧縮機を背面から見た図である。
図3図1のA矢視図である。
図4図1のB矢視図である。
図5図1のC矢視図である。
図6図4のD-D線に沿う断面図である。
図7図1のE-E線に沿う断面図である。
図8図3のF-F線に沿う部分拡大断面図である。
図9図1の空気圧縮機の分解斜視図(正面側)である。
図10図1の空気圧縮機の分解斜視図(背面側)である。
図11】ハンドルおよび下側フレーム部材のみを装着した空気圧縮機を正面から見た図である。
図12図11のG矢視図である。
図13図11のH矢視図である。
図14図11のK-K線に沿う断面図である。
図15図11のL-L線に沿う断面図である。
図16】実施の形態2の空気圧縮機を示す図12に対応した図である。
図17】実施の形態3の空気圧縮機を示す図15に対応した図である。
図18】実施の形態4の空気圧縮機を示す図15に対応した図である。
図19】実施の形態5の空気圧縮機を示す図15に対応した図である。
図20】実施の形態6の空気圧縮機を側方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0018】
<実施の形態1>
図1は空気圧縮機を正面から見た図を、図2図1の空気圧縮機を背面から見た図を、図3図1のA矢視図を、図4図1のB矢視図を、図5図1のC矢視図を、図6図4のD-D線に沿う断面図を、図7図1のE-E線に沿う断面図を、図8図3のF-F線に沿う部分拡大断面図を、図9図1の空気圧縮機の分解斜視図(正面側)をそれぞれ示している。
【0019】
また、図10図1の空気圧縮機の分解斜視図(背面側)を、図11はハンドルおよび下側フレーム部材のみを装着した空気圧縮機を正面から見た図を、図12図11のG矢視図を、図13図11のH矢視図を、図14図11のK-K線に沿う断面図を、図15図11のL-L線に沿う断面図をそれぞれ示している。
【0020】
<空気圧縮機の概要>
図1図15に示される空気圧縮機(作業機)AC1は、建築現場等で使用される可搬式の空気圧縮機である。空気圧縮機AC1には、一対のハンドルHDが設けられ、作業者が一対のハンドルHDを把持して空気圧縮機AC1を持ち上げることで、当該空気圧縮機AC1を任意の設置面SF上に移動することができる。
【0021】
空気圧縮機AC1は、その外観が略直方体形状に形成され、第1空気タンク11,第2空気タンク12,第3空気タンク13および第4空気タンク14を備えている。第1空気タンク11,第2空気タンク12,第3空気タンク13および第4空気タンク14は、本発明におけるタンクに相当する。これら4つの第1~第4空気タンク11~14は、空気圧縮機AC1を設置面SF上に設置した状態において、それぞれ設置面SFに対して起立した状態となる。よって、複数の空気タンクを横に寝かせた状態で設置面上に設置される従前の空気圧縮機に比して、空気圧縮機AC1の設置面積を小さくできる。
【0022】
空気圧縮機AC1は、外部の大気圧の空気(気体)を圧縮して排出する圧縮部30(図6図14参照)を備えている。そして、圧縮部30から排出された圧縮空気(気体)は、第1~第4空気タンク11~14に流入する。すなわち、第1~第4空気タンク11~14は、圧縮部30から送られてくる圧縮空気を貯留する機能を有する。
【0023】
また、空気圧縮機AC1には、合計4つのカプラ15(図1図11および図13参照)が設けられている。これら4つのカプラ15には、圧縮空気を動力として作動する釘打機等のエアーツールが接続可能となっている。なお、4つのカプラ15のうちの2つが「高圧用」で、例えば、2.5MPa程度の圧力で作動するエアーツールが接続可能である。これに対し、4つのカプラ15のうちの他の2つが「低圧用」で、例えば、0.8MPa程度の圧力で作動するエアーツールが接続可能である。
【0024】
空気圧縮機AC1におけるカプラ15の近傍には、調圧弁16(図1図4図7図11図13および図14参照)が設けられている。調圧弁16は、作業者により操作されるダイヤルであり、当該調圧弁16を操作することで、カプラ15から出力される圧縮空気の圧力が調整可能である。これにより、カプラ15に接続されたエアーツールを、その仕様に合わせて適正な空気圧で作動させることができる。
【0025】
なお、圧縮部30は、一対のバッテリパック17(図3および図6では片側のみを示す)により駆動可能であり、これらのバッテリパック17は、充電可能な二次電池である。具体的には、バッテリパック17は、商用電源に接続される電源プラグ18からの電力供給により充電可能である。なお、一対のバッテリパック17は、空気圧縮機AC1の左右側(図1図2図4および図5の左右側)に、互いに対向するように配置される。
【0026】
圧縮部30は、バッテリパック17からの電力供給や、電源プラグ18からの電力供給、さらにはバッテリパック17および電源プラグ18の双方からの電力供給により駆動される。また、圧縮部30は、空気圧縮機AC1に設けられた操作パネル19の操作により、その運転状態を任意に切り替えることができる。これに加えて、操作パネル19には、バッテリパック17の残存容量(SOC)や、第1~第4空気タンク11~14の内部圧力(MPa)等を表示可能なディスプレイも設けられている。
【0027】
図1図6図7および図11に示されるように、空気圧縮機AC1におけるカプラ15の近傍には、一対の空圧機器接続部20が設けられている。これらの空圧機器接続部20には、他の空気圧縮機(図示せず)を接続することができる。例えば、それぞれの空圧機器接続部20に、同じ空気圧縮機AC1を接続すると、圧縮空気の容量を3倍に増やすことができる。よって、作業時間が長時間に亘る作業であっても、圧縮部30の過負荷が抑えられ、かつ所定圧の圧縮空気を安定して供給することが可能となる。
【0028】
<圧縮部の詳細>
図13に示されるように、圧縮部30は、第1~第4空気タンク11~14に囲まれるようにして、第1~第4空気タンク11~14の内側に配置されている。圧縮部30は、外部の大気圧の空気を2段階で高圧に圧縮する構造を採用し、低圧側に第1圧縮空気生成部31が設けられ、高圧側に第2圧縮空気生成部32が設けられている。
【0029】
第1,第2圧縮空気生成部31,32は、互いに対向するように配置され、第1圧縮空気生成部31と第2圧縮空気生成部32との間には、扁平モータ33により回転される偏心軸SH(図14参照)が回転自在に設けられている。これにより、偏心軸SHの回転に伴い、第1,第2圧縮空気生成部31,32に設けられた揺動ピストンPS(図8において片側のみを示す)が作動して圧縮空気が生成される。
【0030】
第1,第2圧縮空気生成部31,32により生成された圧縮空気は、まず、第2空気タンク12に流入し、その後、第1,第3,第4空気タンク11,13,14に流入される。そして、第1~第4空気タンク11~14は互いに連通しており、第1~第4空気タンク11~14の内部圧力は、それぞれ同じ圧力に保持される。このようにして、第1~第4空気タンク11~14の内部に、同圧の圧縮空気が貯留される。
【0031】
圧縮部30を形成する偏心軸SHは、ブラシレスモータからなる扁平モータ33により回転される。扁平モータ33は、第1圧縮空気生成部31と第2圧縮空気生成部32との間において偏心軸SHの軸線上に配置され、一対のバッテリパック17や電源プラグ18(図3参照)からの電力供給により回転される。なお、扁平モータ33は、当該扁平モータ33の近傍に配置された一対の制御回路部34(図8参照)により、所定の回転方向に所定の回転速度で回転される。
【0032】
また、圧縮部30は、扁平モータ33により回転される冷却ファン35を備えている。冷却ファン35は、運転時間が長くなるに連れて高温となる第1,第2圧縮空気生成部31,32,一対のバッテリパック17および一対の制御回路部34等を冷却する機能を有する。具体的には、冷却ファン35は遠心ファンであり、冷却ファン35に吸い込まれた風は、その遠心力により吸い込み方向に対して90度折り曲げられた方向に排出される。
【0033】
<空気タンクの配管>
第1~第4空気タンク11~14は、例えば、ナイロン(登録商標)製の可撓性を有する樹脂配管により互いに接続されている。これにより、第1~第4空気タンク11~14の間において、圧縮空気が行き来可能となっている。具体的には、図13に示されるように、第1空気タンク11と第2空気タンク12との間には、第1樹脂配管(配管)41が設けられている。
【0034】
また、図15に示されるように、第2空気タンク12と第3空気タンク13との間には第2樹脂配管(配管)42が設けられ、第3空気タンク13と第1空気タンク11との間には第3樹脂配管(配管)43が設けられ、第4空気タンク14と第1空気タンク11との間には第4樹脂配管(配管)44が設けられている。
【0035】
このように、第1~第4空気タンク11~14を、互いに可撓性を有する樹脂配管で接続することで、空気圧縮機AC1の作動時における振動や、空気圧縮機AC1に対する外力(衝撃等)の付加を原因として、第1~第4空気タンク11~14が相対移動しても、圧縮空気が漏れ出ることが防止される。すなわち、第1~第4樹脂配管41~44が柔軟に変形して、第1~第4空気タンク11~14の相対移動を許容する。
【0036】
さらに、図13に示されるように、圧縮部30の第2圧縮空気生成部32と第2空気タンク12との間には、第5樹脂配管45が設けられている。このように、第2空気タンク12は、圧縮空気の入口側に配置されている。また、第1空気タンク11と調圧弁16との間には、第6樹脂配管46が設けられている。このように、第1空気タンク11は、圧縮空気の出口側に配置されている。
【0037】
なお、圧縮部30の第1圧縮空気生成部31と第2圧縮空気生成部32との間には、アルミニウム製の第1金属配管47が設けられている。第1金属配管47には、第1圧縮空気生成部31から第2圧縮空気生成部32に向けて圧縮空気が流通する。また、調圧弁16とカプラ15との間には、アルミニウム製の第2金属配管48(図6および図7参照)が設けられている。これにより、カプラ15から排出される圧縮空気の圧力が調整される。
【0038】
なお、圧縮部30の第1圧縮空気生成部31と第2圧縮空気生成部32との間の配管をアルミニウム製としたが、これは、第1,第2圧縮空気生成部31,32が、圧縮部30に一体に設けられるためである。つまり、空気圧縮機AC1の作動時等に圧縮部30が振動したとしても、第1,第2圧縮空気生成部31,32はそれぞれ一緒に振動する。そのため、第1金属配管47に対して空気漏れが起こるような負荷は掛からない。また、調圧弁16とカプラ15との間の第2金属配管48においても同じことが言える。すなわち、調圧弁16およびカプラ15は、それぞれ金属製のブロック部材(図示せず)により一体化されている。
【0039】
さらに、図1図6図7および図11に示されるように、空気圧縮機AC1の設置面SF寄りの部分には、ドレンコックDCが設けられている。ドレンコックDCは、第1~第4空気タンク11~14に対して、ドレン配管DL(図6図8および図14参照)を介して接続されている。なお、ドレン配管DLにおいても、ナイロン製の可撓性を有する樹脂配管となっている。
【0040】
これにより、ドレンコックDCを操作することで、第1~第4空気タンク11~14の内部に溜まった水を、外部に排出することができる。ここで、第1~第4空気タンク11~14の内部に溜まった水は、排水部DP(図1図5図7図11および図15参照)から外部に排出される。
【0041】
<空気タンクの詳細>
図11図15に示されるように、第1~第4空気タンク11~14は、それぞれ鋼板を筒状に形成してなるタンク本体11a~14aと、鋼板を皿状に形成してなる第1蓋体11b~14bおよび第2蓋体11c~14cと、を備えている。つまり、第1~第4空気タンク11~14は、それぞれ金属製となっている。そして、これらのタンク本体11a~14aと、第1蓋体11b~14bおよび第2蓋体11c~14cとを、それぞれ溶接して一体化することで、第1~第4空気タンク11~14は密閉されている。なお、第1~第4空気タンク11~14の外観形状は、タンク本体11a~14aの軸線方向に延びる円筒状であって、軸線方向の両端部が半球状の形状を有している。
【0042】
ここで、空気圧縮機AC1を設置面SF上に設置した状態において、第1~第4空気タンク11~14は、それぞれの軸線が上下方向(第1方向)に沿うように設置面SFに対して起立した状態となる。その際に、第1蓋体11b~14bは、設置面SF側とは反対側の「上側」に配置され、第2蓋体11c~14cは、設置面SF側の「下側」に配置される。
【0043】
<第1ブラケット>
図8図12および図13に示されるように、第1~第4空気タンク11~14の第1蓋体11b~14b側(上側)には、それぞれ第1ブラケット21が設けられている。第1ブラケット21は、本発明における取付部材に相当し、鋼板を屈曲させることで所定形状に形成された第1部材21Aと第2部材21Bとが、図示しないねじで結合されることで形成されている。このように、第1ブラケット21は金属製であり、かつ第1部材21Aが第1~第4空気タンク11~14の上側に溶接により固定されている。なお、空気圧縮機AC1を組み立てた状態において、合計4つの第1ブラケット21は、圧縮部30側(第1~第4空気タンク11~14の内側)に配置される。
【0044】
図13に示されるように、第1ブラケット21には、第1ねじ穴21aが設けられている。つまり、第1ねじ穴21aは、空気圧縮機AC1の上下方向に穿設されている。そして、これらの第1ねじ穴21aには、上側フレーム部材25を、第1~第4空気タンク11~14の上側にそれぞれに固定するための、第1固定ねじS1(図4図6および図8参照)がねじ結合される。
【0045】
また、図14に示されるように、第1ブラケット21には、第2ねじ穴21bおよび第3ねじ穴21cが設けられている。つまり、これらの第2,第3ねじ穴21b,21cは、空気圧縮機AC1の左右方向に穿設されている。そして、左右側の第2ねじ穴21bのそれぞれには、左右側のハンドルHDのねじ穴HDH2(図3参照)と係合した第2固定ねじS2(図3図7図8および図12参照)がねじ結合され、左右側のハンドルHDが第2,第3空気タンク12,13および第1,第4空気タンク11,14の上側に固定される。さらに、左右側の第3ねじ穴21cのそれぞれには、左右側のバッテリ保持部材27を、第2,第3空気タンク12,13および第1,第4空気タンク11,14の上側に固定するための、第3固定ねじS3(図3および図7参照)がねじ結合される。
【0046】
<第2ブラケット>
図6図13および図15に示されるように、第1~第4空気タンク11~14の第2蓋体11c~14c側(下側)には、それぞれ第2ブラケット22が設けられている。第2ブラケット22は、本発明における取付部材に相当し、鋼板を屈曲させることで所定形状に形成されている。このように、第2ブラケット22は金属製であり、かつ第1~第4空気タンク11~14の下側に溶接により固定されている。なお、空気圧縮機AC1を組み立てた状態において、合計4つの第2ブラケット22は、圧縮部30側(第1~第4空気タンク11~14の内側)に配置される。
【0047】
図13に示されるように、第2ブラケット22には、一対の第4ねじ穴22a(図示では1つのみを示す)が設けられている。つまり、第4ねじ穴22aは、空気圧縮機AC1の上下方向に穿設されている。そして、これらの第4ねじ穴22aには、下側フレーム部材26を、第1~第4空気タンク11~14の下側にそれぞれに固定するための、第4固定ねじS4(図6および図15参照)がねじ結合される。
【0048】
ここで、上側フレーム部材25,ハンドルHDおよびバッテリ保持部材27は、それぞれ第1~第4空気タンク11~14の上側において、これらを跨ぐようにそれぞれの第1ブラケット21に固定されている。さらに、下側フレーム部材26は、第1~第4空気タンク11~14の下側において、これらを跨ぐようにそれぞれの第2ブラケット22に固定されている。
【0049】
すなわち、上側フレーム部材25,ハンドルHD,バッテリ保持部材27および下側フレーム部材26は、第1~第4空気タンク11~14同士を連結する役割を果たしている。言い換えれば、上側フレーム部材25,ハンドルHD,バッテリ保持部材27および下側フレーム部材26は、第1~第4空気タンク11~14を、図13および図15に示されるように、空気圧縮機AC1の前後方向および左右方向に、それぞれ2列となるように並べて保持する機能を有している。
【0050】
なお、本実施の形態では、上側フレーム部材25,ハンドルHD,バッテリ保持部材27および下側フレーム部材26による第1~第4空気タンク11~14の支持(保持)に対し、金属製の前側,後側補強部材23,24(図13および図14参照)により補強している。ただし、一対の補強部材23,24は、空気圧縮機AC1の仕様(タンク容量や重量等)により省略することもできる。すなわち、上側フレーム部材25,ハンドルHD,バッテリ保持部材27および下側フレーム部材26により十分な支持強度が得られるのであれば、一対の補強部材23,24は不要となる。
【0051】
<補強部材>
図13および図14に示されるように、第1空気タンク11と第2空気タンク12との間には、前側補強部材(補強部材)23が設けられている。前側補強部材23は、鋼板を屈曲させることで棒状に形成され、その長手方向両側が、第1,第2空気タンク11,12に、ねじ止めにより固定されている。具体的には、前側補強部材23は、第1,第2空気タンク11,12の長手方向中央寄りの部分に配置されている。
【0052】
そして、図11に示されるように、前側補強部材23には、一対のねじ穴23H5が設けられている。つまり、これらのねじ穴23H5は、空気圧縮機AC1の前後方向に穿設されている。一対のねじ穴23H5には、前側カバー28を前側補強部材23に固定するための、第5固定ねじS5(図1および図7参照)がねじ結合される。
【0053】
また、図13および図14に示されるように、第3空気タンク13と第4空気タンク14との間には、後側補強部材(補強部材)24が設けられている。後側補強部材24は、鋼板を屈曲させることで棒状に形成され、その長手方向両側が、第3,第4空気タンク13,14に、ねじ止めにより固定されている。具体的には、後側補強部材24は、第3,第4空気タンク13,14の長手方向中央寄りの部分に配置されている。
【0054】
そして、図11に示されるように、後側補強部材24には、一対のねじ穴24H6が設けられている。つまり、これらのねじ穴24H6は、空気圧縮機AC1の前後方向に穿設されている。一対のねじ穴24H6には、後側カバー29を後側補強部材24に固定するための、第6固定ねじS6(図2および図7参照)がねじ結合される。
【0055】
このように、第1空気タンク11と第2空気タンク12との間および第3空気タンク13と第4空気タンク14との間に、前側補強部材23および後側補強部材24をそれぞれ設け、第1空気タンク11と第4空気タンク14との間および第2空気タンク12と第3空気タンク13との間には、補強部材を設けていない。つまり、第1~第4空気タンク11~14のうちの一部のタンク同士の間に、金属製の前側,後側補強部材23,24が設けられている。
【0056】
<上側フレーム部材>
図1図4および図6図8に示されるように、第1~第4空気タンク11~14の第1蓋体11b~14b側、つまり空気圧縮機AC1の上側の端部には、ポリプロピレン製(PP樹脂製)の上側フレーム部材25が取り付けられている。上側フレーム部材25は、本発明におけるフレーム部材に相当し、略正方形の板状に形成されている。
【0057】
上側フレーム部材25は、上側本体部25aと、4つの上側タンク覆い部25bと、操作パネル装着部25cと、を備えている。なお、操作パネル装着部25cは、空気圧縮機AC1の前側のみに設けられている。
【0058】
上側本体部25aは、空気圧縮機AC1を上方から見たときに、圧縮部30を覆い隠しており(図6図10参照)、これにより、空気圧縮機AC1の見栄えを向上させている。つまり、上側フレーム部材25は、圧縮部30を部分的に覆い隠している。そして、上側本体部25aは、合計4つのねじ穴25H1(図4図9および図10参照)と係合する第1固定ねじS1が第1ブラケット21の第1ねじ穴21aに係合することにより、第1~第4空気タンク11~14にそれぞれ設けられた第1ブラケット21に取り付けられている。つまり、単一の部品からなる上側フレーム部材25は、第1~第4空気タンク11~14の全てに対して固定されることで、第1~第4空気タンク11~14同士を連結している。
【0059】
また、4つの上側タンク覆い部25bは、第1~第4空気タンク11~14の第1蓋体11b~14b側(上側)の端部を、第1蓋体11b~14bに対してそれぞれ非接触の状態で、覆い隠しており、これにより、空気圧縮機AC1の見栄えを向上させている。ここで、仮に、上側フレーム部材25が外力により撓んで(歪んで)、第1~第4空気タンク11~14が相対移動したとしても、第1蓋体11b~14bは、上側タンク覆い部25bに対して接触することがなく、金属製の第1~第4空気タンク11~14が、樹脂製の上側フレーム部材25を傷付けることはない。言い換えれば、第1~第4空気タンク11~14は、上側フレーム部材25の撓みに応じて、相対移動可能となっている。
【0060】
<下側フレーム部材>
図1図3図5図12図14および図15に示されるように、第1~第4空気タンク11~14の第2蓋体11c~14c側、つまり空気圧縮機AC1の下側の端部には、ポリプロピレン製(PP樹脂製)の下側フレーム部材26が取り付けられている。下側フレーム部材26は、本発明におけるフレーム部材に相当し、略正方形の板状に形成されている。
【0061】
下側フレーム部材26は、下側本体部26aと、4つの下側タンク覆い部26bと、を備えている。
【0062】
下側本体部26aは、空気圧縮機AC1を下方から見たときに、圧縮部30を覆い隠している(図6図12および図14参照)。つまり、下側フレーム部材26は、圧縮部30を部分的に覆い隠している。また、下側本体部26aには、圧縮部30が固定されている。具体的には、下側本体部26aには、合計8つのねじ穴26H4(図5参照)に第4固定ねじS4を係合させることで、第1~第4空気タンク11~14にそれぞれ設けられた第2ブラケット22が取り付けられている。つまり、単一の部品からなる下側フレーム部材26は、第1~第4空気タンク11~14および圧縮部30の全てに対して固定され、これにより第1~第4空気タンク11~14および圧縮部30同士を連結している。
【0063】
ここで、下側本体部26aには、上側に突出する4つの台座部26d(図9および図10参照)が設けられ、圧縮部30には、台座部26dと対応するように下側に突出する4つの脚部36が設けられている。そして、脚部36が台座部26dに載置された状態で、脚部36を上下方向に貫通したボルト(図示せず)を台座部26dにねじ結合することで、脚部36が台座部26dに対して固定され、ひいては圧縮部30が下側フレーム部材26に対して固定される。なお、脚部36は、部分的にゴム等の弾性材料からなり、圧縮部30に生じる振動が下側フレーム部材26に伝達されることを抑制する。
【0064】
また、4つの下側タンク覆い部26bは、第1~第4空気タンク11~14の第2蓋体11c~14c側(下側)の端部を、第2蓋体11c~14cに対してそれぞれ非接触の状態で、覆い隠している。これにより、仮に、下側フレーム部材26が外力により撓んで(歪んで)、第1~第4空気タンク11~14が相対移動したとしても、第2蓋体11c~14cは、下側タンク覆い部26bに対して接触することがなく、金属製の第1~第4空気タンク11~14が、樹脂製の下側フレーム部材26を傷付けることはない。言い換えれば、第1~第4空気タンク11~14は、下側フレーム部材26の撓みに応じて、相対移動可能となっている。
【0065】
ここで、4つの下側タンク覆い部26bには、それぞれゴム等の弾性材料製の調整脚部FTが設けられている。これらの調整脚部FTは、下側タンク覆い部26bに対して、それぞれ個別に高さ調整が可能となっている。これにより、例えば、凹凸のある設置面SFの上であっても、空気圧縮機AC1をがたつくことなく確りと設置可能となっている。また、それぞれの調整脚部FTは弾性材料製であるので、空気圧縮機AC1の作動時における振動が、設置面SFに伝達されることを効果的に抑えることができる。
【0066】
<バッテリ保持部材>
図3および図8図10に示されるように、空気圧縮機AC1の左右側には、ポリプロピレン製(PP製)のバッテリ保持部材27がそれぞれ設けられている。ここで、空気圧縮機AC1の左右側は、同じ形状(鏡像対称形状)となっている。バッテリ保持部材27は、本発明におけるフレーム部材に相当し、バッテリパック17を保持するようになっている。なお、図8図10は、バッテリパック17を外した状態(バッテリパック17の記載を省略した状態)を示している。
【0067】
バッテリ保持部材27は、空気圧縮機AC1の左右側から見たときに、略正方形形状に形成されており、空気圧縮機AC1の右側のバッテリ保持部材27は、第1空気タンク11と第4空気タンク14との間に設けられている。これに対し、空気圧縮機AC1の左側のバッテリ保持部材27は、第2空気タンク12と第3空気タンク13との間に設けられている。そして、それぞれのバッテリ保持部材27は、一対のねじ穴27H3(図3図9および図10参照)と係合する第3固定ねじS3が第1ブラケット21の第3ねじ穴21cに係合することで、第1ブラケット21に取り付けられている。
【0068】
つまり、一方のバッテリ保持部材27は、第1空気タンク11と第4空気タンク14とを所定間隔で保持する機能を有し、他方のバッテリ保持部材27は、第2空気タンク12と第3空気タンク13とを所定間隔で保持する機能を有している。言い換えれば、一方のバッテリ保持部材27は、第1空気タンク11および第4空気タンク14同士を連結し、他方のバッテリ保持部材27は、第2空気タンク12および第3空気タンク13同士を連結している。
【0069】
また、一対のバッテリ保持部材27は、空気圧縮機AC1の左右側から、圧縮部30の一部を覆い隠している。つまり、一対のバッテリ保持部材27は、圧縮部30を部分的に覆い隠している。これにより、空気圧縮機AC1の見栄えを向上させている。
【0070】
なお、一対のバッテリ保持部材27と一緒に第1ブラケット21に取り付けられる一対のハンドルHDにおいても、ポリプロピレン製(PP製)であり、本発明におけるフレーム部材に相当する。すなわち、一方のハンドルHDは、第1空気タンク11および第4空気タンク14同士を連結し、他方のハンドルHDは、第2空気タンク12および第3空気タンク13同士を連結している。
【0071】
<前側カバー>
図1図6図7および図9に示されるように、空気圧縮機AC1の前側には、ポリプロピレン製(PP製)の前側カバー28が設けられている。前側カバー28は、略平板状に形成され、第1空気タンク11と第2空気タンク12との間に配置されている。これにより、第1~第4空気タンク11~14の内側に配置された圧縮部30が部分的に覆い隠されて、空気圧縮機AC1の見栄えが向上する。
【0072】
前側カバー28には、4つのカプラ15を外部に露出させる第1開口部28aと、一対の空圧機器接続部20を外部に露出させる第2開口部28bと、を備えている。これにより、釘打機等のエアーツールや、他の空気圧縮機を容易に接続可能としている。
【0073】
そして、図1および図9に示されるように、前側カバー28の長手方向における中央寄りの部分は、一対のねじ穴28H5と係合する第5固定ねじS5が前側補強部材23のねじ穴23H5(図9および図11参照)と係合することで、前側補強部材23に固定されている。また、前側カバー28の上側は、一対の第7固定ねじS7(図4および図6参照)が、ねじ穴28H7(図6参照)と、上側フレーム部材25に設けられるねじ穴25H7(図4参照)とに係合することで、上側フレーム部材25に固定されている。一方、前側カバー28の下側は、一対のねじ穴28H8(図1および図9参照)と係合する第8固定ねじS8が下側フレーム部材26のねじ穴26H8(図9参照)に係合することで、下側フレーム部材26に固定されている。
【0074】
なお、前側カバー28の長手方向中央寄りの部分が、金属製の前側補強部材23に固定されているので、空気圧縮機AC1の作動中における前側カバー28のがたつきが効果的に抑えられる。
【0075】
<後側カバー>
図2図7および図10に示されるように、空気圧縮機AC1の後側には、ポリプロピレン製(PP製)の後側カバー29が設けられている。後側カバー29は、略平板状に形成され、第3空気タンク13と第4空気タンク14との間に配置されている。これにより、第1~第4空気タンク11~14の内側に配置された圧縮部30が部分的に覆い隠されて、空気圧縮機AC1の見栄えが向上する。
【0076】
後側カバー29には、空気圧縮機AC1の内外を連通する第1連通窓29aが設けられている。これにより、第1連通窓29aを介して空気圧縮機AC1の内外を空気が流通可能となっている。すなわち、第1連通窓29aには、冷却ファン35の回転に伴い、圧縮部30等を冷却する冷却風が流通するようになっている。
【0077】
そして、図2および図10に示されるように、後側カバー29の長手方向における中央寄りの部分は、一対のねじ穴29H6と係合する第6固定ねじS6が後側補強部材24のねじ穴24H6(図10および図11参照)に係合することで、後側補強部材24に固定されている。また、後側カバー29の上側は、一対のねじ穴29H9(図2および図10参照)に係合する第9固定ねじS9が上側フレーム部材25のねじ穴25H9(図10参照)に係合することで、上側フレーム部材25に固定されている。一方、後側カバー29の下側は、一対のねじ穴29H10(図2および図10参照)に係合する第10固定ねじS10が下側フレーム部材26のねじ穴26H10(図10参照)に係合することで、下側フレーム部材26に固定されている。
【0078】
なお、後側カバー29の長手方向中央寄りの部分が、金属製の後側補強部材24に固定されているので、空気圧縮機AC1の作動中における後側カバー29のがたつきが効果的に抑えられる。
【0079】
<左右側カバー>
図3図5および図8図10に示されるように、空気圧縮機AC1の左右側には、ポリプロピレン製(PP製)の側面カバー40がそれぞれ設けられている。なお、左右側の側面カバー40は、いずれも同じ形状(鏡像対称形状)となっている。
【0080】
側面カバー40には、空気圧縮機AC1の内外を連通する第2連通窓40aが設けられている。これにより、第2連通窓40aを介して空気圧縮機AC1の内外を空気が流通可能となっている。すなわち、第2連通窓40aには、冷却ファン35の回転に伴い、圧縮部30等を冷却する冷却風が流通するようになっている。
【0081】
そして、図3および図8図10に示されるように、側面カバー40の上側は、一対のねじ穴40H11(図3図9および図10参照)に係合する第11固定ねじS11がバッテリ保持部材27のねじ穴27H11(図9および図10参照)に係合することで、バッテリ保持部材27に固定されている。一方、側面カバー40の下側は、一対のねじ穴40H12(図3図9および図10参照)に係合する第12固定ねじS12が下側フレーム部材26のねじ穴26H12(図9および図10参照)に係合することで、下側フレーム部材26に固定されている。
【0082】
このように、一対の側面カバー40は、空気圧縮機AC1の左右側から、圧縮部30の一部を覆い隠している。これにより、空気圧縮機AC1の見栄えを向上させている。
【0083】
以上詳述したように、本実施の形態に係る空気圧縮機AC1によれば、樹脂製の上側フレーム部材25,ハンドルHD,バッテリ保持部材27および下側フレーム部材26で第1~第4空気タンク11~14同士を連結するので、製品全体の軽量化を図ることができる。また、溶接工数を減らすことができるので、製造コストを低減することが可能となる。
【0084】
また、本実施の形態に係る空気圧縮機AC1によれば、第1~第4空気タンク11~14に、それぞれ第1,第2ブラケット21,22が設けられ、第1,第2ブラケット21,22に、上側フレーム部材25,ハンドルHD,バッテリ保持部材27および下側フレーム部材26が取り付けられている。
【0085】
これにより、上側フレーム部材25,ハンドルHD,バッテリ保持部材27および下側フレーム部材26を、第1~第4空気タンク11~14に対して、容易に固定することができ、ひいては空気圧縮機AC1の組み立て性を向上させることができる。
【0086】
さらに、本実施の形態に係る空気圧縮機AC1によれば、圧縮部30が、第1~第4空気タンク11~14に囲まれており、上側フレーム部材25,バッテリ保持部材27および下側フレーム部材26が、それぞれ圧縮部30を部分的に覆い隠している。
【0087】
これにより、空気圧縮機AC1の見栄え(デザイン性)を向上させることが可能となる。
【0088】
なお、空気タンク(タンク)が3つ以上あれば、空気タンクによって圧縮部30を取り囲むことができる。このため、フレーム部材(上側,下側フレーム部材25,26)の形状を簡素なものにすることができ、それぞれのフレーム部材の大型化を抑制して、空気圧縮機AC1の耐久性を向上できる。もっとも、空気タンクが2つの場合においては、空気タンクによって圧縮部30を取り囲むことはできないが、フレーム部材の形状を単体で圧縮部30を取り囲むような形状とすれば、フレーム部材により圧縮部30を覆うことも可能である(実施の形態6を参照)。
【0089】
また、本実施の形態に係る空気圧縮機AC1によれば、上側フレーム部材25および下側フレーム部材26が、第1~第4空気タンク11~14の上側の端部および下側の端部に取り付けられている。
【0090】
これにより、例えば、空気圧縮機AC1を設置面SF上に設置する際の衝撃等から、第1~第4空気タンク11~14および圧縮部30等を保護することができ、ひいては耐久性を向上させることが可能となる。
【0091】
さらに、本実施の形態に係る空気圧縮機AC1によれば、第1~第4空気タンク11~14が、第1~第4樹脂配管41~44により互いに接続されている。
【0092】
これにより、上側フレーム部材25,ハンドルHD,バッテリ保持部材27および下側フレーム部材26が撓む等して、第1~第4空気タンク11~14が相対移動しても、第1~第4樹脂配管41~44は柔軟に変形可能である。したがって、圧縮空気が漏れるような損傷を無くして、空気圧縮機AC1の耐久性を向上させることができる。
【0093】
また、本実施の形態に係る空気圧縮機AC1によれば、第1~第4空気タンク11~14が、上側フレーム部材25,ハンドルHD,バッテリ保持部材27および下側フレーム部材26の撓みに応じて相対移動可能である。
【0094】
これにより、上側フレーム部材25,ハンドルHD,バッテリ保持部材27および下側フレーム部材26が、空気圧縮機AC1に対する外力(衝撃等)を吸収して、第1~第4空気タンク11~14や圧縮部30等を保護することができ、ひいては耐久性を向上させることが可能となる。
【0095】
さらに、本実施の形態に係る空気圧縮機AC1によれば、第1~第4空気タンク11~14のうちの一部のタンク同士の間に、金属製の前側,後側補強部材23,24が設けられている。
【0096】
これにより、空気圧縮機AC1に対する外力(衝撃等)が大きい場合でも、上側フレーム部材25,ハンドルHD,バッテリ保持部材27および下側フレーム部材26の撓みを抑制することが可能となる。
【0097】
<実施の形態2>
図16は実施の形態2の空気圧縮機を示す図12に対応した図である。
【0098】
なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分には同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0099】
図16に示されるように、実施の形態2の空気圧縮機AC2では、実施の形態1の空気圧縮機AC1に比して、第4空気タンク14と第1空気タンク11とを接続する第4樹脂配管44が「2本」設けられている点のみが異なっている。具体的には、一対の第4樹脂配管44が、空気圧縮機AC2の上下方向において、下側寄りの部分と上側寄りの部分に配置されている。なお、実施の形態2において追加した上側寄りの部分の第4樹脂配管44は、空気圧縮機AC2の内側のデッドスペース(図示せず)に配置される。よって、組み立て性が低下するようなことはない。
【0100】
なお、上記に加えて、第1空気タンク11と第2空気タンク12との間,第2空気タンク12と第3空気タンク13との間,第3空気タンク13と第1空気タンク11との間にも、第1~第3樹脂配管41~43(図13および図15参照)を、任意に追加することもできる。さらには、追加する配管の本数を、2本以上とすることもできる。
【0101】
以上のように形成した実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2では、圧縮空気の流路面積を拡大できるので、圧縮空気の排出時の膨張により配管が凍結することを未然に防げる。また、流路面積の拡大により、空気圧縮機AC2の吐出能力を向上させることができる。
【0102】
なお、実施の形態2の空気圧縮機AC2では、実施の形態1の空気圧縮機AC1(図12参照)と同じ太さの第4樹脂配管44を1本増やして流路面積を拡大したが、第4樹脂配管44に換えて1本の太い樹脂配管に変更することでも、同様に対応することが可能である。
【0103】
<実施の形態3,4,5>
図17は実施の形態3の空気圧縮機を示す図15に対応した図を、図18は実施の形態4の空気圧縮機を示す図15に対応した図を、図19は実施の形態5の空気圧縮機を示す図15に対応した図をそれぞれ示している。
【0104】
なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分には同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0105】
ここで、複数の空気タンクをそれぞれ同様に機能させ、空気圧縮機の性能を十分に発揮させるには、それぞれの空気タンクの間を接続する配管を、それぞれできる限り短くし、かつそれぞれを近い長さとするのが望ましい。これにより、それぞれの空気タンクに同様に圧縮空気が流入し、それぞれの空気タンクは互いに同じ内圧に保持される。
【0106】
実施の形態1の空気圧縮機AC1では、図15に示されるように、特に、第3空気タンク13と第4空気タンク14との間の配管が他の配管に比して長かった。具体的には、第3空気タンク13は、第3,第4樹脂配管43,44を介して第4空気タンク14に接続され、かつ、これらの第3,第4空気タンク13,14の間に、圧縮空気の出口側となる第1空気タンク11が配置されている。そのため、圧縮部30の駆動中において、圧縮空気が第4空気タンク14を介さずに第1空気タンク11から外部に排出されることがある。
【0107】
そこで、実施の形態3,4,5では、第1~第4空気タンク11~14を接続する複数の配管の長さを、それぞれ可能な限り短くし、かつそれぞれを近い長さとなるように工夫している。なお、複数の空気タンク同士を接続する複数の配管は、可撓性を有する樹脂配管であり、図17図19に示されるようにレイアウトするのは容易である。
【0108】
なお、図17図19では、第1空気タンク11と第2空気タンク12との間の第1樹脂配管41(図13参照)は、実施の形態1の空気圧縮機AC1と同じであるため、その図示を省略している。
【0109】
図17に示されるように、実施の形態3の空気圧縮機AC3では、第2空気タンク12と第3空気タンク13との間の第2樹脂配管42と、第4空気タンク14と第1空気タンク11との間の第4樹脂配管44と、をそれぞれ略真っ直ぐにレイアウトし、かつ同じ長さとしている。そして、第3空気タンク13と第4空気タンク14との間には、第3,第4空気タンク13,14同士を最短距離で接続する第7樹脂配管(配管)49を設けている。
【0110】
これにより、圧縮部30(図11参照)で生成された圧縮空気は、第2空気タンク12から第3空気タンク13および第4空気タンク14を介して、第1空気タンク11に向けて流通する。したがって、実施の形態1に比して、第4空気タンク14を十分に機能させることができ、空気圧縮機AC3の性能を十分に発揮させることが可能となる。
【0111】
図18に示されるように、実施の形態4の空気圧縮機AC4では、実施の形態3の空気圧縮機AC3に比して、第2樹脂配管42,第4樹脂配管44および第7樹脂配管49を、空気圧縮機AC4の内側の構造物(圧縮部30等)を避けつつ、それぞれ同じ長さとなるように、略クランク形状に屈曲させた点が異なっている。
【0112】
これによっても、実施の形態3の空気圧縮機AC3と同様に、第4空気タンク14を十分に機能させることができ、空気圧縮機AC4の性能を十分に発揮させることが可能となる。
【0113】
図19に示されるように、実施の形態5の空気圧縮機AC5では、実施の形態3の空気圧縮機AC3に比して、第7樹脂配管49を、空気圧縮機AC5の中央寄りの部分にレイアウトし、略U字形状に屈曲させた点が異なっている。また、第2樹脂配管42および第4樹脂配管44を、第7樹脂配管49の長さに近づけるように、略円弧形状に湾曲させている。
【0114】
これによっても、実施の形態3の空気圧縮機AC3と同様に、第4空気タンク14を十分に機能させることができ、空気圧縮機AC5の性能を十分に発揮させることが可能となる。
【0115】
なお、実施の形態3,4,5のいずれにおいても、実施の形態2と同様に、第2樹脂配管42,第4樹脂配管44および第7樹脂配管49のうちの少なくとも1つを、2本(あるいはそれ以上)としても良いし、1本の太い樹脂配管に置き換えることもできる。
【0116】
<実施の形態6>
図20は実施の形態6の空気圧縮機を側方から見た図である。
【0117】
なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分には同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0118】
図20に示されるように、実施の形態6の空気圧縮機AC6は、実施の形態1の空気圧縮機AC1(図1参照)に比して、一対の第1,第2空気タンク11,12のみを備えており、かつ、これらの第1,第2空気タンク11,12を、設置面SFに対して、横に寝かせた状態で設置するようにした点が異なっている。
【0119】
一対の第1,第2空気タンク11,12には、それぞれ2つずつの金属製ブラケット(取付部材)50が、溶接により固定されている。具体的には、第1,第2空気タンク11,12の長手方向両側に、それぞれ金属製ブラケット50が固定されている(図示では片方の空気タンクに1つのみを示す)。
【0120】
そして、合計4つの金属製ブラケット50には、それぞれねじ部材51により、樹脂製フレーム部材(フレーム部材)52が取り付けられている。具体的には、樹脂製フレーム部材52は、ポリプロピレン製(PP樹脂製)であって、略板状に形成されている。すなわち、樹脂製フレーム部材52は、一対の第1,第2空気タンク11,12同士を連結している。
【0121】
また、樹脂製フレーム部材52は、空気圧縮機AC6を下方から見たときに、一対の第1,第2空気タンク11,12の側方を覆い隠すとともに、圧縮部30を部分的に覆い隠している。
【0122】
さらに、樹脂製フレーム部材52には、複数の取り付けねじ53を介して、樹脂製カバー54が固定されている。具体的には、樹脂製カバー54は、ポリプロピレン製(PP製)であって、空気圧縮機AC6を上方および側方から見たときに、一対の第1,第2空気タンク11,12の側方を覆い隠すとともに、圧縮部30を部分的に覆い隠している。
【0123】
また、第1空気タンク11および第2空気タンク12は、互いに第1樹脂配管41によって接続されている。空気圧縮機AC6の第1樹脂配管41は、他の実施の形態(実施の形態1~5)に比して短くなっており、略V字形状に屈曲されている。よって、圧力損失等が少なく、第1,第2空気タンク11,12は、互いに正確に同じ圧力に保持される。ただし、上述した実施の形態2の空気圧縮機AC2(図16参照)のように、第1樹脂配管41を、2本(あるいはそれ以上)としても良いし、1本の太い樹脂配管に置き換えることもできる。
【0124】
このように、第1,第2空気タンク11,12同士を樹脂製フレーム部材52で連結した空気圧縮機AC6においても、樹脂製フレーム部材52の撓みに応じて、第1,第2空気タンク11,12が相対移動可能であるとともに、第1樹脂配管41が柔軟に変形自在となっている。したがって、実施の形態6においても、実施の形態1と略同様の作用効果を奏することができる。
【0125】
本発明は上述の各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上述の各実施の形態では、圧縮部30が、揺動ピストンPSを有する所謂「レシプロ型」であるものを例に説明したが、本発明はこれに限らず、一対の渦巻き部材を噛み合わせた所謂「スクロール型」の圧縮部であっても構わない。
【0126】
また、上述の各実施の形態では、4つの空気タンクあるいは2つの空気タンクを備えた空気圧縮機AC1~AC6を示したが、本発明はこれに限らず、3つの空気タンクを備えた空気圧縮機や、5つ以上の空気タンクを備えた空気圧縮機にも適用することができる。
【0127】
その他、上述の各実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上述の各実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0128】
11~14…第1~第4空気タンク(タンク)、11a~14a…タンク本体、11b~14b…第1蓋体、11c~14c…第2蓋体、15…カプラ、16…調圧弁、17…バッテリパック、18…電源プラグ、19…操作パネル、20…空圧機器接続部、21…第1ブラケット(取付部材)、21A…第1部材、21B…第2部材、21a…第1ねじ穴、21b…第2ねじ穴、21c…第3ねじ穴、22…第2ブラケット(取付部材)、22a…第4ねじ穴、23…前側補強部材(補強部材)、23H5…ねじ穴、24…後側補強部材(補強部材)、24H6…ねじ穴、25…上側フレーム部材(フレーム部材)、25a…上側本体部、25b…上側タンク覆い部、25c…操作パネル装着部、25H1…ねじ穴、25H7…ねじ穴、25H9…ねじ穴、26…下側フレーム部材(フレーム部材)、26a…下側本体部、26b…下側タンク覆い部、26d…台座部、26H4…ねじ穴、26H8…ねじ穴、26H10…ねじ穴、26H12…ねじ穴、27…バッテリ保持部材(フレーム部材)、27H3…ねじ穴、27H11…ねじ穴、28…前側カバー、28a…第1開口部、28b…第2開口部、28H5…ねじ穴、28H7…ねじ穴、28H8…ねじ穴、29…後側カバー、29a…第1連通窓、29H6…ねじ穴、29H9…ねじ穴、29H10…ねじ穴、30…圧縮部、31…第1圧縮空気生成部、32…第2圧縮空気生成部、33…扁平モータ、34…制御回路部、35…冷却ファン、36…脚部、40…側面カバー、40H11…ねじ穴、40H12…ねじ穴、40a…第2連通窓、41~44…第1~第4樹脂配管(配管)、45,46…第5,第6樹脂配管、47,48…第1,第2金属配管、49…第7樹脂配管(配管)、50…金属製ブラケット(取付部材)、51…ねじ部材、52…樹脂製フレーム部材(フレーム部材)、53…取り付けねじ、54…樹脂製カバー、AC1~AC6…空気圧縮機(作業機)、DC…ドレンコック、DL…ドレン配管、DP…排水部、FT…調整脚部、HD…ハンドル(フレーム部材)、HDH2…ねじ穴、PS…揺動ピストン、S1~S12…第1~第12固定ねじ、SF…設置面、SH…偏心軸
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