(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183961
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】AIエンジン処理システム、AIエンジン処理プログラム及びAIエンジン処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20231221BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097800
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】吉原 和英
(72)【発明者】
【氏名】川本 康貴
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】 より利便性の高いAIエンジンの提供環境を実現する。
【解決手段】 本発明は、AIエンジン処理システムに関する。本発明のAIエンジン処理システムは、AIエンジンの提供者と利用者との間の契約条件を複数保持する手段と、提供者からAIエンジンの登録を受け付ける際に保持している複数の契約条件を提示して了承可能な契約条件の選択を受け付ける手段と、登録を受け付けたAIエンジンに選択を受け付けた契約条件を示す提供者側契約条件選択情報を対応付けて保持する手段と、利用者にAIエンジンと共に提供者側契約条件選択情報を提示する手段とを有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AIエンジンの提供者と前記AIエンジンを利用する利用者との間で締結される契約の契約条件を複数保持する契約条件保持手段と、
前記提供者から前記AIエンジンの登録を受け付けるAIエンジン登録受付処理を行うものであって、前記AIエンジン登録受付処理の際に、前記契約条件保持手段が保持している複数の前記契約条件を提示し、了承可能な前記契約条件の選択を受け付ける提供者側契約条件選択受付処理を行うAIエンジン登録手段と、
前記AIエンジン登録手段が前記AIエンジン登録受付処理により登録を受け付けた前記AIエンジンに、前記提供者側契約条件選択受付処理で選択を受け付けた前記契約条件を示す提供者側契約条件選択情報を対応付けて保持するAIエンジン保持手段と、
前記利用者に、前記AIエンジン保持手段が保持する前記AIエンジンと共に前記提供者側契約条件選択情報を提示するAIエンジン提示手段と
を有することを特徴とするAIエンジン処理システム。
【請求項2】
前記利用者から、前記AIエンジンに入力する入力データを含む利用者提供データの登録を受け付ける利用者提供データ登録受付処理を行うものであって、前記利用者提供データ登録受付処理の際に、前記契約条件保持手段が保持している複数の前記契約条件を提示し、了承可能な前記契約条件の選択を受け付ける利用者側契約条件選択受付処理を行う利用者提供データ登録手段と、
前記利用者提供データ登録手段が前記利用者提供データ登録受付処理により登録を受け付けた前記利用者提供データに、前記利用者側契約条件選択受付処理で選択を受け付けた前記契約条件を示す利用者側契約条件選択情報を対応付けて保持する利用者提供データ保持手段と、
前記提供者に、前記利用者提供データ保持手段が保持する前記利用者提供データと共に前記利用者側契約条件選択情報を提示する利用者情報提示手段と
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のAIエンジン処理システム。
【請求項3】
前記利用者と前記提供者との間のコミュニケーション手段を提供するコミュニケーション提供手段をさらに有することを特徴とする請求項2に記載のAIエンジン処理システム。
【請求項4】
コンピュータを、
AIエンジンの提供者と前記AIエンジンを利用する利用者との間で締結される契約の契約条件を複数保持する契約条件保持手段と、
前記提供者から前記AIエンジンの登録を受け付けるAIエンジン登録受付処理を行うものであって、前記AIエンジン登録受付処理の際に、前記契約条件保持手段が保持している複数の前記契約条件を提示し、了承可能な前記契約条件の選択を受け付ける提供者側契約条件選択受付処理を行うAIエンジン登録手段と、
前記AIエンジン登録手段が前記AIエンジン登録受付処理により登録を受け付けた前記AIエンジンに、前記提供者側契約条件選択受付処理で選択を受け付けた前記契約条件を示す提供者側契約条件選択情報を対応付けて保持するAIエンジン保持手段と、
前記利用者に、前記AIエンジン保持手段が保持する前記AIエンジンと共に前記提供者側契約条件選択情報を提示するAIエンジン提示手段と
して機能させることを特徴とするAIエンジン処理プログラム。
【請求項5】
AIエンジン処理装置が行うAIエンジン処理方法において、
前記AIエンジン処理装置は、契約条件保持手段、AIエンジン登録手段、AIエンジン保持手段及びAIエンジン提示手段を備え、
前記契約条件保持手段は、AIエンジンの提供者と前記AIエンジンを利用する利用者との間で締結される契約の契約条件を複数保持し、
前記AIエンジン登録手段は、前記提供者から前記AIエンジンの登録を受け付けるAIエンジン登録受付処理を行うものであって、前記AIエンジン登録受付処理の際に、前記契約条件保持手段が保持している複数の前記契約条件を提示し、了承可能な前記契約条件の選択を受け付ける提供者側契約条件選択受付処理を行い、
前記AIエンジン保持手段は、前記AIエンジン登録手段が前記AIエンジン登録受付処理により登録を受け付けた前記AIエンジンに、前記提供者側契約条件選択受付処理で選択を受け付けた前記契約条件を示す提供者側契約条件選択情報を対応付けて保持し、
前記AIエンジン提示手段は、前記利用者に、前記AIエンジン保持手段が保持する前記AIエンジンと共に前記提供者側契約条件選択情報を提示する
ことを特徴とするAIエンジン処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、AIエンジン処理システム、AIエンジン処理プログラム及びAIエンジン処理方法に関し、例えば、ベンダからユーザへAIエンジンを提供するシステムに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
現在、AI技術が進歩してきており、AIを使ったシステム(以下「AIシステム」と呼ぶ)の実運用化が進んでいる。
【0003】
現在では、AIシステムを構築するにあたり、AIを実行するために最適化(例えば、特別なチューニング)がなされた専用のハードウェア(以下、「AI実行ハードウェア」と呼ぶ)を利用することがある。AI実行ハードウェアでAIを実行すると、通常のサーバやクラウド上でAIを実行することに比べて効率よくAIを実行できる(例えば、AI実行形態が規格化されていて扱いが容易、高速実行、低消費電力等のメリットが発生)。なお、本明細書では、AIを、AI実行ハードウェア(AI実行ハードウェアに搭載されたミドルウェア上)で実行可能な形態(例えば、Docker(登録商標)等のミドルウェア上で動作するコンテナ等)にしたものを「AIエンジン」と呼ぶものとする。
【0004】
AIシステムの導入を検討している利用者(以下、「AI導入ユーザ」と呼ぶ)には、本格的なAIシステム開発をAIエンジンベンダやAIシステムベンダに発注する前に、AI実行ハードウェアを使って現状のAIエンジンの実力を検証したいというニーズがある。これは、AIの実力を把握することで、開発を検討しているAIシステムの機能や性能を推定し、費用対効果を検討するためである。
【0005】
ハードウェアメーカが、自社ハードウェア上で動作するアプリケーションソフトウェアを提供するインフラシステム(以下、「アプリインフラシステム」と呼ぶ)はすでに存在している。
【0006】
従来のアプリインフラシステムとしては、例えば、Apple社(登録商標)が製造しているiPhone(登録商標)向けのアプリケーションソフトウェアを提供するAppStoreや、Google社(登録商標)がAndroid端末向けのアプリケーションソフトウェアを提供するGooglePlay等が存在する。上記のような従来のアプリインフラシステムでは、アプリケーション提供者(作成者)から、アプリケーションのアップロードを受けると、アプリインフラシステムの管理者により問題(例えば、セキュリティ上の問題等)の有無がチェックされ、問題がないことが確認された後にユーザ側に公開(ユーザ側でダウンロード可能な状態)とする構成となっている(非特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「App Store」、Apple Inc.、INTERNET、[2022年3月15日検索],[Online]、INTERNET、<URL:https://www.apple.com/jp/app-store/>
【非特許文献2】「Google Play」、Google(Alphabet Inc.)、INTERNET、[2022年3月15日検索],[Online]、INTERNET、<URL: https://play.google.com/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のアプリインフラシステムと同様の枠組みで、AIシステムベンダがAIエンジンを登録し、AI導入ユーザがAI実行ハードウェア上で動作するAIエンジンをダウンロードし、実行するという環境は構築可能である。また、従来のアプリインフラシステムを使ってのビジネスマッチングも可能である。すなわち、従来のアプリインフラシステムでAIエンジンをAI導入ユーザにAIエンジンを提供する場合、「ダウンロードして実行したAIエンジンの出来が良い場合に、AI導入ユーザがAIエンジンを作ったAIシステムベンダに問い合わせをすることでビジネスマッチングを実施する」ということは可能である。
【0009】
しかしながら、従来のアプリケーションソフトウェアと同様の枠組みで、AIエンジンベンダ(AIエンジンの提供者)が、AI導入ユーザ向けにAIエンジンを提供する環境を構築しようとする場合問題となる。以下その理由について説明する。
【0010】
一般論として、AIシステムのためのAIエンジンは、AI導入ユーザが提供する固有のデータ(例えば、学習用データや教師ラベル等AIに入力するデータを含むデータ;以下、「ユーザ提供データ」又は「固有データ」とも呼ぶ)を元にAI導入ユーザごとに、AIエンジンベンダが個別で作ることが望ましい。したがって、通常、AI導入ユーザは、事前検証用のAIエンジンを利用した簡単な動作検証後、次の段階であるAIシステムの概念実証(PoC(Proof of Concept))のために、AIエンジンベンダに対して固有データを提供してAIエンジンのカスタマイズを依頼することになる。しかしながら、通常、既存のアプリインフラシステムで提供されるアプリケーションについては、ユーザ側で試用して問題なければ本格導入(例えば、課金等による本格導入)されるだけであるため、上記のようなAIエンジン特有のニーズ(例えば、AI導入ユーザからAIエンジンベンダに固有データを提供して概念実証のためにカスタマイズを依頼すること等)には対応できない。特に、AIエンジンのカスタマイズに必要となる固有データは、非常に大きなサイズ(数十GB以上)となることが多いため、AI導入ユーザとAIエンジンベンダとの間で一般的なWebサービス(例えば、既存のアプリインフラシステム)を用いてやりとりすることは困難である。
【0011】
上記のような従来の状況をまとめると、従来のアプリインフラシステムの枠組みでAIエンジンを提供しようとする場合、以下の様な3つの課題がある。
【0012】
第1の課題は、AI導入ユーザ側が主体となって、自身の抱える問題を解決するAIシステムを作ってくれるAIシステムベンダを探す必要がある点である。通常システム利用者が通常システム(AIを利用しない通常のシステム)を作ってくれるシステムベンダを探す場合は「システム要求仕様を公開して、システムを作ってくれるシステムベンダからの応募を待つ」という方法を取ることができる。この方法を取ると、通常システムの良し悪しがわからない通常システム利用者でも、複数の通常システムベンダがシステム仕様を元に競争して応募してくるので、良いシステムを作ることができる。一方、作るシステムがAIシステムである場合は同様の手法を取ることは困難である。なぜなら、AI導入ユーザが提供する固有データは、AI導入ユーザの事業ノウハウ等が含まれている可能性があり、固有データを公開することでAI導入ユーザの事業ノウハウ等が第三者に漏洩してしまう可能性があるからである。よって、AI導入ユーザは、AIシステムを作ってもらうAIシステムベンダを探す際に「不特定多数のAIシステムベンダに対して、固有データを公開しAIシステムを作ってくれるAIシステムベンダを募集する」という手法を取ることは現実的ではない。
【0013】
第2の課題は、AIシステムを作る際の契約の問題である。通常システムを作る際にはシステムの所有権等について問題になることは少ない。しかし、AIシステムを作る際には、AIモデルの所有権をAIシステムのデータを提供したAI導入ユーザか、それともAIシステムを作ったAIシステムベンダか、AIエンジンを作ったAIエンジンベンダか、で問題になることが多い。AIシステムベンダやAIエンジンベンダはベンチャー企業が多いため、こういった契約業務をうまく遂行することが難しい。
【0014】
第3の課題は、固有データの受け渡し問題である。前述通り、AIシステムのためのAIエンジンは、AI導入ユーザが提供する固有データを元にAI導入ユーザごとに、AIエンジンベンダが個別で作ることが望ましい。したがって、通常、AI導入ユーザは、事前検証用のAIエンジンを利用した簡単な動作検証後、次の段階であるAIシステムの概念実証(PoC(Proof of Concept))のために、AIエンジンベンダに対して固有データを提供してAIエンジンのカスタマイズを依頼することになる。しかしながら、通常、既存のアプリインフラシステムで提供されるアプリケーションについては、ユーザ側で試用して問題なければ本格導入(例えば、課金等による本格導入)されるだけであるため、上記のようなAIエンジン特有のニーズ(例えば、AI導入ユーザからAIエンジンベンダに固有データを提供して概念実証のためにカスタマイズを依頼すること等)には通常対応することができない。特に、AIエンジンのカスタマイズに必要となる固有データは、非常に大きなサイズ(数十GB以上)となることが多いため、AI導入ユーザとAIエンジンベンダとの間で一般的なWebサービス(例えば、既存のアプリインフラシステム)を用いてやりとりすることは困難である。
【0015】
以上のような問題に鑑みて、より利便性の高いAIエンジン提供環境を実現する情報処理システム及び情報処理方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の本発明は、AIエンジンの提供者と前記AIエンジンを利用する利用者との間で締結される契約の契約条件を複数保持する契約条件保持手段と、前記提供者から前記AIエンジンの登録を受け付けるAIエンジン登録受付処理を行うものであって、前記AIエンジン登録受付処理の際に、前記契約条件保持手段が保持している複数の前記契約条件を提示し、了承可能な前記契約条件の選択を受け付ける提供者側契約条件選択受付処理を行うAIエンジン登録手段と、前記AIエンジン登録手段が前記AIエンジン登録受付処理により登録を受け付けた前記AIエンジンに、前記提供者側契約条件選択受付処理で選択を受け付けた前記契約条件を示す提供者側契約条件選択情報を対応付けて保持するAIエンジン保持手段と、前記利用者に、前記AIエンジン保持手段が保持する前記AIエンジンと共に前記提供者側契約条件選択情報を提示するAIエンジン提示手段とを有することを特徴とする。
【0017】
第2の本発明のAIエンジン処理プログラムは、コンピュータを、AIエンジンの提供者と前記AIエンジンを利用する利用者との間で締結される契約の契約条件を複数保持する契約条件保持手段と、前記提供者から前記AIエンジンの登録を受け付けるAIエンジン登録受付処理を行うものであって、前記AIエンジン登録受付処理の際に、前記契約条件保持手段が保持している複数の前記契約条件を提示し、了承可能な前記契約条件の選択を受け付ける提供者側契約条件選択受付処理を行うAIエンジン登録手段と、前記AIエンジン登録手段が前記AIエンジン登録受付処理により登録を受け付けた前記AIエンジンに、前記提供者側契約条件選択受付処理で選択を受け付けた前記契約条件を示す提供者側契約条件選択情報を対応付けて保持するAIエンジン保持手段と、前記利用者に、前記AIエンジン保持手段が保持する前記AIエンジンと共に前記提供者側契約条件選択情報を提示するAIエンジン提示手段として機能させることを特徴とする。
【0018】
第3の本発明は、AIエンジン処理装置が行うAIエンジン処理方法において、前記AIエンジン処理装置は、契約条件保持手段、AIエンジン登録手段、AIエンジン保持手段及びAIエンジン提示手段を備え、前記契約条件保持手段は、AIエンジンの提供者と前記AIエンジンを利用する利用者との間で締結される契約の契約条件を複数保持し、前記AIエンジン登録手段は、前記提供者から前記AIエンジンの登録を受け付けるAIエンジン登録受付処理を行うものであって、前記AIエンジン登録受付処理の際に、前記契約条件保持手段が保持している複数の前記契約条件を提示し、了承可能な前記契約条件の選択を受け付ける提供者側契約条件選択受付処理を行い、前記AIエンジン保持手段は、前記AIエンジン登録手段が前記AIエンジン登録受付処理により登録を受け付けた前記AIエンジンに、前記提供者側契約条件選択受付処理で選択を受け付けた前記契約条件を示す提供者側契約条件選択情報を対応付けて保持し、前記AIエンジン提示手段は、前記利用者に、前記AIエンジン保持手段が保持する前記AIエンジンと共に前記提供者側契約条件選択情報を提示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、より利便性の高いAIエンジンの提供環境を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に関係する各装置の接続構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係るAIエンジン処理システムの機能的構成について示したブロック図である。
【
図3】実施形態に係るAIエンジン処理システムを構成するデータベース部の機能的構成について示したブロック図である。
【
図4】実施形態に係るAIエンジンベンダ情報の構成例について示した図である。
【
図5】実施形態に係るAIエンジン情報の構成例について示した図である。
【
図6】実施形態に係るAI導入ユーザ情報の構成例について示した図である。
【
図7】実施形態に係る契約条件管理データの構成例について示した図である。
【
図8】実施形態に係るAI導入ユーザ情報入力画面の構成例について示した図である。
【
図9】実施形態に係るAIエンジン情報入力画面の構成例について示した図である。
【
図10】実施形態に係るAIエンジン提供画面の構成例について示した図である。
【
図11】実施形態に係るメッセージ送受信画面の構成例について示した図である。
【
図12】実施形態に係るAI導入ユーザ情報提供画面の構成例について示した図である。
【
図13】実施形態に係るAIエンジン情報編集画面の構成例について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(A)主たる実施形態
以下、本発明によるAIエンジン処理システム、AIエンジン処理プログラム及びAIエンジン処理方法の一実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0022】
(A-1)実施形態の構成
図1は、この実施形態に関係する各装置の接続構成について示したブロック図である。
【0023】
AIエンジン処理システム10は、AIエンジンベンダ(AIエンジンを提供する提供者)とからAI導入ユーザ(AIエンジンを利用する利用者)へAIエンジンを提供すると共に、AIエンジンベンダとAI導入ベンダとの間のAIエンジンに関連する取引(例えば、AIエンジンのカスタマイズの依頼やユーザ提供データの授受等;以下、「AIエンジン関連取引」と呼ぶ)の支援を行うシステムである。
【0024】
図1では、AIエンジン処理システム10と、各AI導入ユーザに所属する担当者(以下、「AI導入ユーザ担当者」と呼ぶ)が使用する端末であるユーザ端末20と、各AI導入ユーザが使用するAI実行ハードウェア30と、各AIエンジンベンダに所属する担当者(以下、「AIエンジンベンダ担当者」と呼ぶ)が使用するベンダ端末40と、AIエンジン処理システム10を管理する担当者(AIエンジン処理システム10を運営する企業の係員)が使用するシステム管理者端末50が、それぞれインターネット60に接続した構成について図示している。
【0025】
AIエンジン処理システム10が、各端末(ユーザ端末20、ベンダ端末40及びシステム管理者端末50)から接続を受ける方式については限定されないものであり種々の方式を適用することができる。ここでは、AIエンジン処理システム10は、各端末からWebブラウザを用いてアクセス(Web接続)を受け付け、各端末のWebブラウザに対して操作画面(GUI画面)を提示することにより、各端末と協同した動作を行うものとして説明する。
【0026】
各AI実行ハードウェア30は、AIエンジンによるエッジコンピューティングに最適化された専用コンピュータ(いわゆる「AIエッジコンピュータ」)であるものとする。なお、この実施形態では、AIエンジン処理システム10で提供するAIエンジンは、AI実行ハードウェア30上で動作させるものとして説明するが、一般的なコンピュータ(例えば、PC、ワークステーション、クラウド上のサーバ装置等)上で動作させるAIエンジンとしてもよい。
【0027】
図1では、N件のAI導入ユーザ(第1~第NのAI導入ユーザ;Nは1以上の整数)とM件のAIエンジンベンダ(第1~第MのAIエンジンベンダ;Mは1以上の整数)が図示されている。ここでは、
図1に示すように、第1のAI導入ユーザでは第1のユーザ端末20-1とAI実行ハードウェア30-1が使用されており、・・・、第NのAI導入ユーザでは第1のユーザ端末20-1とAI実行ハードウェア30-1が使用されているものとする。また、ここでは、
図1に示すように、第1のAIエンジンベンダではベンダ端末40-1が使用されており、・・・、第MのAIエンジンベンダではベンダ端末40-Mが使用されているものとする。なお、AI導入ユーザやAIエンジンベンダにおいて使用される端末の数については限定されないものである。なお、ユーザ端末20、ベンダ端末40及びシステム管理者端末50のハードウェアとしては、種々の情報処理端末(例えば、PC、スマートホン、タブレット等の端末)を適用することができる。
【0028】
また、この実施形態では、説明を簡易とするため、1つのAI導入ユーザが1つのAIエンジンベンダが提供する1つのAIエンジンを導入する例について説明するが、一つのAI導入ユーザが複数のAIエンジンを導入する構成としてもよいし、1つのAIエンジンベンダが複数種類のAIエンジンを提供可能としてもよい。
【0029】
次に、AIエンジン処理システム10の内部構成について
図2を用いて説明する。
【0030】
図2に示すように、AIエンジン処理システム10は、AI導入ユーザ管理部101、契約管理部102、AIエンジン管理部103、AIエンジン登録部104、コミュニケ―ション処理部105、AIエンジンベンダ管理部106、ユーザ提供データ管理部107、及びデータベース部108を有している。
【0031】
AIエンジン処理システム10は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータに、プログラム(実施形態に係るAIエンジン処理プログラム)をインストールすることにより構成してもよいが、機能的には
図2のように示すことができる。AIエンジン処理システム10は、1台のコンピュータにより構成してもよいし、複数のコンピュータを用いて構成するようにしてもよい。
【0032】
次に、データベース部108の詳細構成について説明する。
【0033】
データベース部108は、AIエンジン処理システム10におけるデータ処理に用いられる種々のデータ/情報を管理する機能(データベース機能)を担っている。
【0034】
次に、データベース部108で管理される各情報について、
図3を用いて説明する。
【0035】
図3に示すように、データベース部108では、少なくともAIエンジンベンダ情報201、AIエンジン情報202、AI導入ユーザ情報203、及び契約条件管理データ204の情報が蓄積・管理されている。
【0036】
図4は、AIエンジンベンダ情報201の構成例について示した図である。
【0037】
AIエンジンベンダ情報201には、各AIエンジンベンダに関する情報が蓄積・管理されている。
【0038】
図4に示すように、AIエンジンベンダ情報201では、各AIエンジンベンダの識別子である「AIエンジンベンダID」ごとに、各AIエンジンベンダに関する情報として、AIエンジンベンダ名(氏名又は名称)等の項目の情報が登録されているものとして説明する。以下では、第1のAIエンジンベンダのAIエンジンベンダIDをVID001、第2のAIエンジンベンダのAIエンジンベンダIDをVID002、・・・、と表すものとする。
【0039】
図5は、AIエンジン情報202の構成例について示した図である。
【0040】
AIエンジン情報202には、各AIエンジンに関する情報(AIエンジンベンダ側で入力される情報)が蓄積・管理されている。
【0041】
図5に示すように、AIエンジン情報202では、各AIエンジンの識別子である「AIエンジンID」ごとに、各AIエンジンに関する情報として、AIエンジンベンダID(当該AIエンジンを提供するAIエンジンベンダの識別子)、AIエンジン説明、了承する契約条件、AIエンジンデータ及び試用可能期間等の項目の情報が登録されているものとして説明する。以下では、第1のAIエンジンのAIエンジンIDをEID001、第2のAIエンジンのAIエンジンIDをEID002、・・・、と表すものとする。
【0042】
AIエンジン情報202「AIエンジン説明」は、当該AIエンジンの機能等の説明(AI導入ユーザ向けの説明)が記述される項目である。この実施形態では、AIエンジン説明の項目には、当該AIエンジンのタイトル(名称)と、当該AIエンジンの機能を説明するテキスト(以下、「機能説明テキスト」と呼ぶ)が設定されているものとする。なお、AIエンジン説明に記述する内容や具体的な構成については限定されないものであり、AI導入ユーザ側から見て当該AIエンジンの内容を理解可能な情報が含まれていれば良い。なお、AIエンジン説明の項目には、テキストだけでなく画像や動画を付加可能としてもよい。
【0043】
AIエンジン情報202において、「了承する契約条件」は、当該AIエンジンを提供するAIエンジンベンダにおいて、当該AIエンジンの使用やカスタマイズの要望に際して了承(許容)可能な契約条件について示す項目である。契約条件の詳細については後述する。
【0044】
AIエンジン情報202において、「AIエンジンデータ」は、AIエンジンデータの実態(例えば、Dockerコンテナのイメージや実行可能ファイル等)を示す項目である。
図5では、AIエンジンデータの項目には、例として当該AIエンジンのファイル名(tar形式の圧縮ファイルのファイル名)を図示しているが、AIエンジンデータの項目の表示形式についてはこれに限定されず種々の表示形式を適用することができる。例えば、当該AIエンジンのファイルがインターネット上にアップロードされている場合には、当該ファイルのURL(リンク先)をAIエンジンデータとして表示するようにしてもよい。
【0045】
AIエンジン情報202において、「試用可能期間」は、当該AIエンジンを試用できる期間(例えば、AI導入ユーザが無料で評価することが可能な期間)を示している。各AIエンジンの試用可能期間については各AIエンジンベンダが定めた期間となる。
【0046】
AIエンジン情報202において、「了承する契約条件」は、当該AIエンジンの使用やカスタマイズに際して、AIエンジンベンダ側で了承(許容)可能な契約条件について示す項目である。
【0047】
図6は、AI導入ユーザ情報203の構成例について示した図である。
【0048】
AI導入ユーザ情報203には、各AI導入ユーザに関する情報(AI導入ユーザ側で入力される情報)が蓄積・管理されている。
【0049】
図6に示すように、AI導入ユーザ情報203では、各AI導入ユーザの識別子である「AI導入ユーザID」ごとに、各AI導入ユーザに関する情報として、AI導入ユーザ名、了承する契約条件、ダウンロード状況、要望事項、ユーザ提供データの説明、及びアップロード状況等の項目の情報が登録されているものとして説明する。以下では、第1のAI導入ユーザのAI導入ユーザIDをUID001、第2のAI導入ユーザのAI導入ユーザIDをUID002、・・・、と表すものとする。
【0050】
AI導入ユーザ情報203において、「了承する契約条件」は、当該AI導入ユーザによるAIエンジンの使用やカスタマイズの要望に際して了承(許容)可能な契約条件について示す項目である。契約条件の詳細については後述する。
【0051】
AI導入ユーザ情報203において、「ダウンロード状況」は、当該AI導入ユーザにより過去にダウンロードされたAIエンジン(AIエンジン情報202に登録されているAIエンジン)のリスト(AIエンジンIDのリスト)を示す項目である。
【0052】
AI導入ユーザ情報203において、「要望事項」は、AIエンジンに対する要望事項を示す項目である。ここでいう要望事項とは、AIエンジンを用いて解決を要望する課題(業務上困っている事項)であるものとする。
【0053】
AI導入ユーザ情報203において、「ユーザ提供データの説明」は、AI導入ユーザからAIエンジンベンダへのユーザ提供データの内容に関する説明を示す項目である。
【0054】
AI導入ユーザ情報203において、「アップロード状況」は、AI導入ユーザによるユーザ提供データのアップロード状況について示す項目である。ここでは、「アップロード状況」の項目は、ユーザ提供データがアップロードされていることを示す「アップロード済」又は未だアップロードされていないことを示す「未アップロード」のいずれかで示されるものとする。
【0055】
AI導入ユーザ情報203において、「ユーザ提供データ」は、ユーザ提供データの実態(例えば、テキストデータや動画像データや画像データ等の各種データの集合体を圧縮したファイル等)を示す項目である。
図6では、ユーザ提供データの項目には、例として当該ユーザ提供データのファイル名(ZIP形式の圧縮ファイルのファイル名)を図示しているが、ユーザ提供データの項目の表示形式についてはこれに限定されず種々の表示形式を適用することができる。例えば、当該ユーザ提供データのファイルがインターネット上にアップロードされている場合には、当該ファイルのURL(リンク先)をユーザ提供データとして表示するようにしてもよい。なお、
図7は、契約条件管理データ204の構成例について示した図である。
【0056】
契約条件管理データ204には、AI導入ユーザとAIエンジンベンダとの間で交わされるAIエンジンに関連する契約(以下、「AIエンジン関連契約」と呼ぶ)の条件(選択肢)の情報が蓄積・管理されている。AIエンジン関連契約では、AIエンジンベンダがAI導入ユーザにAIエンジン自体とAIエンジンのカスタマイズ(カスタマイズ済のAIエンジン)を提供し、AI導入ユーザがAIエンジンベンダにユーザ提供データを提供する際の条件等が定められる。
【0057】
図7に示すように、契約条件管理データ204では、AIエンジン関連契約の契約条件の識別子である「契約条件ID」ごとに、契約条件要約、契約条件詳細、及び契約書データ等の項目の情報が登録されているものとして説明する。以下では、第1の契約条件の契約条件IDを「1」、第2の契約条件の契約条件IDを「2」、・・・、と表すものとする。
【0058】
契約条件管理データ204において、「契約条件詳細」は、AIエンジン関連契約の契約条件を構成する要素ごとの内容を示す項目である。ここでは、契約条件詳細の項目は、ユーザ提供データの対価要否、ユーザ提供データの目的外使用可否、及びカスタマイズ費用の負担条件の要素を含むものとする。なお、ここでは、契約条件詳細に設定する要素については、契約条件のうち主要な要素である上記の3つとするが、契約条件詳細に設定する要素の数や組み合わせについては上記の例に限定されず種々のパターンを適用することができる。
【0059】
契約条件管理データ204において「ユーザ提供データの対価要否」の要素は、AIエンジンベンダがユーザ提供データの提供を受ける際に対価が必要となるか否か(AI導入ユーザがユーザ提供データの提供に対してAIエンジンベンダに対価を要求するか否か)を示している。契約条件管理データ204において、「ユーザ提供データの対価要否」の要素は、ユーザ提供データについて対価が必要であることを示す「必要」、又はユーザ提供データについて対価が不要であることを示す「不要」のいずれかで示されるものとする。
【0060】
契約条件管理データ204において「ユーザ提供データの目的外使用可否」の要素は、AIエンジンベンダがAI導入ユーザから提供されたユーザ提供データについて、当該AI導入ユーザから依頼された業務(例えば、AIエンジンのカスタマイズ等)以外の目的で使用(以下、「目的外使用」と呼ぶ)することが可能であるか否か(許容されるか否か)を示している。契約条件管理データ204において「ユーザ提供データの対価要否」の要素は、AIエンジンベンダによるユーザ提供データの目的外使用が可能であることを示す「可」、又はAIエンジンベンダによるユーザ提供データの目的外使用が不可であることを示す「不可」のいずれかで示されるものとする。
【0061】
契約条件管理データ204において「カスタマイズ費用の負担」の要素は、AI導入ユーザ側におけるAIエンジンのカスタマイズにかかる費用負担に関する意思を示している。AIエンジンベンダが、AIエンジンのカスタマイズを行うには費用がかかる。しかしながら、ユーザ提供データの価値や提供条件(例えば、「ユーザ提供データの対価要否」や「ユーザ提供データの目的外使用可否」等の内容)によっては、AIエンジンベンダ側でカスタマイズ費用を要求しない(無償でカスタマイズを行う)こともあり得る。契約条件管理データ204において「カスタマイズ費用の負担」の要素は、AI導入ユーザがAIエンジンのカスタマイズ費用の負担(支払い)についてAIエンジンベンダと協議する意思があること(協議可能であること)を示す「協議可」、AI導入ユーザがAIエンジンのカスタマイズ費用の負担(支払い)についてAIエンジンベンダと協議する意思が無いことを(協議不可であること)を示す「協議不可」のいずれかで示されるものとする。
【0062】
契約条件管理データ204において「契約条件要約」は、当該契約条件の要約(契約条件詳細の内容を要約した内容)を示すテキストが登録される項目である。
【0063】
契約条件管理データ204において「契約書ひな形データ」は、当該契約条件のひな形(サンプル)のデータ(例えば、文書データ等)を示す項目である。
図7では、契約書ひな形データの項目には、例として当該契約条件に対応する契約書ひな形データの文書ファイル名(テキストファイルのファイル名)を図示しているが、契約書ひな形データの項目の表示形式についてはこれに限定されず種々の表示形式を適用することができる。例えば、当該契約書ひな形データのファイルがインターネット上にアップロードされている場合には、当該ファイルのURL(リンク先)を契約書ひな形データとして表示するようにしてもよい。
【0064】
図7に示す契約条件管理データ204では、4つの契約条件(契約条件ID1~4)について登録されている。
【0065】
図7に示す契約条件IDが1の契約条件では、ユーザ提供データの対価要否が「不要」、ユーザ提供データの目的外使用可否が「不可」、カスタマイズ費用の負担が「協議不可」、契約条件要約が「教師データ提供企業にしか使用してはいけない」、契約書ひな形データの項目が「DC001.txt」となっている。また、
図7に示す契約条件IDが2の契約条件では、ユーザ提供データの対価要否が「不要」、ユーザ提供データの目的外使用可否が「可」、カスタマイズ費用の負担が「協議不可」、契約条件要約が「教師データは自由に使っても良い」、契約書ひな形データの項目が「DC002.txt」となっている。さらに、
図7に示す契約条件IDが3の契約条件では、ユーザ提供データの対価要否が「必要」、ユーザ提供データの目的外使用可否が「可」、カスタマイズ費用の負担が「協議不可」、契約条件要約が「教師データは自由に使っても良いがライセンス費用は教師データ提供先にも支払うことを前提とする」、契約書ひな形データの項目が「DC003.txt」となっている。さらにまた、
図7に示す契約条件IDが3の契約条件では、ユーザ提供データの対価要否が「不要」、ユーザ提供データの目的外使用可否が「可」、カスタマイズ費用の負担が「協議可」、契約条件要約が「教師データの課題を解決できるなら有償でもやりたい」、契約書ひな形データの項目が「DC004.txt」となっている。
【0066】
次に、AI導入ユーザ管理部101の詳細について説明する。
【0067】
AI導入ユーザ管理部101は、AI導入ユーザ情報203の登録を受け付けて管理する機能を担っている。この実施形態では、AI導入ユーザ管理部101は、AI導入ユーザ(ユーザ端末20)からの要求に基づいて、AI導入ユーザ情報203の内容の登録・編集を受け付ける処理を行うものとする。また、AI導入ユーザ管理部101は、各AI導入ユーザに関する情報(AI導入ユーザ情報203)について、AIエンジンベンダ(ベンダ端末40)に提供する処理も行うものとする。
【0068】
次に、AIエンジンベンダ管理部106の詳細について説明する。
【0069】
AIエンジンベンダ管理部106は、AIエンジンベンダに関する情報の登録を受け付ける機能を担っている。この実施形態では、AIエンジンベンダ管理部106は、AIエンジンベンダ(ベンダ端末40)からの要求に基づいて、AIエンジンベンダ情報201の内容の登録・編集を受け付ける処理を行うものとする。
【0070】
次に、契約管理部102の詳細について説明する。
【0071】
契約管理部102は、AI導入ユーザとAIエンジンベンダとの間で交わされる契約に関する情報を管理する機能を担っている。この実施形態では、契約管理部102は、システム管理者(システム管理者端末50)からの要求に基づいて、契約条件管理データ204の内容の登録・編集を受け付ける処理を行うものとする。
【0072】
次に、AIエンジン登録部104の詳細構成について説明する。
【0073】
AIエンジン登録部104は、AIエンジンベンダからAIエンジンの登録等を受け付ける機能を担っている。この実施形態では、AIエンジン管理部103は、AIエンジンベンダ(ベンダ端末40)からの要求に基づいて、AIエンジン情報202の内容の登録・編集を受け付ける処理を行うものとする。
【0074】
次に、AIエンジン管理部103の詳細構成について説明する。
【0075】
AIエンジン管理部103は、AIエンジンベンダから提供されるAIエンジンを管理すると共に、AI導入ユーザに対して各AIエンジンの実態データ及び情報(AIエンジン情報202に登録された情報)を提供する機能を担っている。
【0076】
次に、ユーザ提供データ管理部107の詳細構成について説明する。
【0077】
ユーザ提供データ管理部107は、AI導入ユーザからユーザ提供データの供給(アップロード)を受け付けて管理する機能を担っている。具体的には、ユーザ提供データ管理部107は、AI導入ユーザ(ユーザ端末20)から、ユーザ提供データのアップロードを受け付けて保持・管理する。そして、ユーザ提供データ管理部107は、保持・管理しているユーザ提供データについて、AIエンジンベンダ(ベンダ端末40)に対して提供する(ダウンロードさせる)処理も行う。
【0078】
次に、コミュニケ―ション処理部105の詳細構成について説明する。
【0079】
コミュニケ―ション処理部105は、AI導入ユーザとAIエンジンベンダとの間コミュニケーションを支援する機能を担っている。
【0080】
コミュニケ―ション処理部105が行う支援内容の詳細については限定されないものであるが、例えば、AI導入ユーザとAIエンジンベンダとの間のメッセージ送受信サービスを提供するようにしてもよい。
【0081】
この実施形態では、コミュニケ―ション処理部105は、各AI導入ユーザ及び各AIエンジンベンダに対して付与されているID(AI導入ユーザID及びAIエンジンベンダID)を送信元/宛先の識別子としてメッセージの送受信(交換)を行うメッセージ送受信サービスを提供するものとして説明する。このように、コミュニケ―ション処理部105がメッセージ送受信サービスを提供することによって、AI導入ユーザとAIエンジンベンダとの間の商談を支援することができる。なお、上記のメッセージ送受信サービスは、外部のメッセージ送受信サービスを利用するようにしてもよい。
【0082】
コミュニケ―ション処理部105が、AI導入ユーザとAIエンジンベンダとの間のメッセージ等の送受信(交換)を中継する手段は、上記のようなメッセージ送受信サービスだけでなく、他の手段を適用するようにしてもよい。例えば、コミュニケ―ション処理部105は、電子メールの中継交換(例えば、AI導入ユーザの電子メールアドレスとAIエンジンベンダのメールアドレスとの間のメールの中継交換)により、AI導入ユーザとAIエンジンベンダとの間のコミュニケーションを支援するようにしてもよい。
【0083】
(A-2)実施形態の動作
次に、以上のような構成を有するAIエンジン処理システム10の動作を説明する。
【0084】
まず、契約管理部102の動作について説明する。
【0085】
契約管理部102は、システム管理者端末50から、複数の契約条件に関する情報入力を受け付けて契約条件管理データ204に反映させる。契約管理部102が、契約条件(契約の種類)単位で、システム管理者端末50から、情報入力を受け付ける具体的な処理については限定されないものである。契約管理部102は、例えば、システム管理者端末50から、契約条件管理データ204のデータ全体のアップロードを受けるようにしてもよいし、契約条件管理データ204の契約条件単位(契約条件ID単位)で内容の追加・削除・変更を受け付ける(例えば、図示しない操作画面(Web画面)により入力受付する)ようにしてもよい。
【0086】
次に、AIエンジン処理システム10(AI導入ユーザ管理部101)が、ユーザ端末20からAI導入ユーザ情報203の情報入力(登録)を受け付ける処理について説明する。
【0087】
ここでは、AI導入ユーザ情報203には、既に第1のAI導入ユーザのAI導入ユーザID(UID001)や会社名(C社)等の基礎的な情報(
図6でいうと了承する契約条件、ダウンロード状況、要望事項、ユーザ提供データの説明、アップロード状況、及びユーザ提供データの実態以外の情報)は入力されているものとする。AI導入ユーザ情報203における新規のAI導入ユーザの基礎的な情報を入力する処理や主体については限定されないものである。例えば、AI導入ユーザ情報203における新規のAI導入ユーザの基礎的な情報については、AI導入ユーザ管理部101が、AI導入ユーザ(ユーザ端末20)からの登録申請時の入力内容に基づいて登録するようにしてもよい。
【0088】
そして、第1のAI導入ユーザに所属するAI導入ユーザ担当者が使用するユーザ端末20-1から、AIエンジン処理システム10(AI導入ユーザ管理部101)にアクセス(例えば、AI導入ユーザ管理部101に相当するURLに対するWeb接続)があったものとする。そして、ここでは、ユーザ端末20-1が、AIエンジン処理システム10(AI導入ユーザ管理部101)にアクセスして、第1のAI導入ユーザのAI導入ユーザID(UID001)でログインしたものとする。この場合、AI導入ユーザ管理部101は、ユーザ端末20-1に対して、AI導入ユーザ情報203に情報入力する操作画面(以下「AI導入ユーザ情報入力画面」と呼ぶ)を提示する。
【0089】
図8は、AI導入ユーザ情報入力画面の構成例について示した図である。
【0090】
図8に示すAI導入ユーザ情報入力画面では、ログインユーザのAI導入ユーザID(
図8では「UID001」)及びAI導入ユーザ名(
図8では「C社」)を表示するためのフィールドF101と、「要望事項」の情報入力を受け付けるためのフィールドF102と、「ユーザ提供データの説明」の入力を受け付けるためのフィールドF103と、「了承する契約種類」の入力を受け付けるためのフィールドF104と、入力されたAI導入ユーザの情報登録を受け付けるための登録ボタンBRが配置されている。
【0091】
図8では、フィールドF103内に、ユーザ提供データのアップロードを受け付ける契機(トリガ)となるアップロードボタンBUが配置されている。AI導入ユーザ情報入力画面では、アップロードボタンBUが押下されると、アップロードするファイルを選択する操作画面が呼び出されて(例えば、ユーザ端末20-1側のOSからローカルファイルを選択可能な操作画面がポップアップ)して、ユーザ端末20-1側からユーザ提供データのファイルのアップロードを受け付けることが可能であるものとする。なお、ユーザ端末20-1側でローカルファイルを選択可能な操作画面の詳細については図示しないが、種々のOS(ユーザ端末20-1側のOS)の操作画面が適用されることになる。
【0092】
図8に示すフィールドF104では、契約条件管理データ204で登録された4つの契約条件の情報(
図7に示す契約条件ID1~4の契約条件の情報)がテーブル形式で表示されている。また、
図8に示すフィールドF104では、各契約条件(各行)の契約書ひな形データの項目(列)に、それぞれ契約書ひな形データの文書ファイル(当該当該契約条件に対応する文書ファイル)のダウンロードを受け付けることが可能なダウンロードボタンBDが配置されている。AI導入ユーザ情報入力画面では、いずれかの契約条件のダウンロードボタンBDが押下されると、当該契約条件に対応する契約書ひな形データの文書ファイルがユーザ端末20に供給(ダウンロード)される。さらに、
図8に示すフィールドF104では、4つの契約条件の行のそれぞれについて、選択(当該AI導入ユーザにおいて了承する契約条件として選択)操作を受け付けるためのオブジェクトとしてチェックボックスCBが配置されている。
図8に示す、AI導入ユーザ情報入力画面では、チェックボックスCBにチェックが入れられた契約条件(契約条件ID)が了承する契約条件として選択されていることを示しているものとする。例えば、
図8に示すAI導入ユーザ情報入力画面では、契約条件ID3、4のチェックボックスCBについてチェックが入れられているので、第1のAI導入ユーザ(C社)では、契約条件ID3、4の契約条件について了承することが選択されていることになる。
【0093】
なお、フィールドF104において、了承可能な契約条件の入力を受け付ける際のGUIの構成について限定されないものであり種々の構成を適用することができる。例えば、フィールドf104において、チェックボックス以外にも契約条件IDの選択を受け付けることが可能な種々のオブジェクト(例えば、テキストボックス、リストボックス等の他のオブジェクト)を適用するようにしてもよい。また、フィールドF104において、契約書ひな形データ自体をダウンロードさせる構成については省略するようにしてもよい。
【0094】
AI導入ユーザ情報入力画面に、
図8のような内容が入力された状態で登録ボタンBRが押下されると、AI導入ユーザ情報203において、AI導入ユーザID「UID001」の情報として、
図6に示すような内容の情報が登録されることになる。
【0095】
以上のように、AI導入ユーザ情報入力画面では、AI導入ユーザ(ユーザ端末20)に対して、契約条件管理データ204に記述された各契約条件のパターンを提示して、了承可能な契約条件(契約種類)の選択を受け付けることができる。
【0096】
次に、AIエンジン処理システム10(AIエンジン登録部104)が、ベンダ端末40からAIエンジン情報202の情報入力(登録)を受け付ける処理について説明する。
【0097】
ここでは、AIエンジン情報202には、既に第1のAIエンジンベンダのAIエンジンベンダID(VID001)や会社名(A社)等の基礎的な情報は入力されているものとする。AIエンジン情報202における新規のAIエンジンベンダの基礎的な情報を入力する処理や主体については限定されないものである。例えば、AIエンジン情報202における新規のAIエンジンベンダの基礎的な情報については、AIエンジンベンダ(ベンダ端末40)からの登録申請時の入力内容に基づいて登録するようにしてもよい。
【0098】
そして、第1のAIエンジンベンダに所属するAIエンジンベンダ担当者が使用するベンダ端末40-1から、AIエンジン処理システム10(AIエンジン登録部104)にアクセス(例えば、AIエンジン登録部104に相当するURLに対するWeb接続)があったものとする。そして、ここでは、ベンダ端末40-1が、AIエンジン処理システム10(AIエンジン登録部104)にアクセスして、第1のAIエンジンベンダのAIエンジンベンダID(VID001)でログインしたものとする。この場合、AIエンジン登録部104は、ベンダ端末40-1に対して、AIエンジン情報202に情報登録する操作画面(以下「AIエンジン情報入力画面」と呼ぶ)を提示する。
【0099】
図9は、AIエンジン情報入力画面の構成例について示した図である。
【0100】
図9に示すAIエンジン情報入力画面では、ログインユーザのAIエンジンベンダID(
図9では「VID001」)及びAIエンジンベンダ名(
図9では「A社」)を表示するためのフィールドF201と、「AIエンジン説明」の「タイトル」の情報入力を受け付けるためのフィールドF202と、「AIエンジン説明」の「機能説明テキスト」の入力を受け付けるためのフィールドF203と、「試用可能期間」の入力を受け付けるためのフィールドF204と、「了承する契約種類」の入力を受け付けるためのフィールドF205と、AIエンジンデータ(ファイル)のアップロードを受け付けるためのアップロードボタンBUと、入力されたAIエンジンベンダの情報登録を受け付けるための登録ボタンBRが配置されている。
【0101】
AIエンジン情報入力画面では、アップロードボタンBUが押下されると、アップロードするファイルを選択する操作画面が呼び出されて(例えば、ベンダ端末40-1側のOSからローカルファイルを選択可能な操作画面がポップアップ)して、ベンダ端末40-1側からAIエンジンのデータファイルのアップロードを受け付けることが可能であるものとする。なお、ベンダ端末40-1側でローカルファイルを選択可能な操作画面の詳細については図示しないが、種々のOS(ベンダ端末40-1側のOS)の操作画面が適用されることになる。
【0102】
図9に示すフィールドF205の構成は、
図8に示すフィールドF104と同様であるので詳しい説明を省略する。例えば、
図9に示すAIエンジン情報入力画面では、契約条件ID3、4のチェックボックスCBについてチェックが入れられているので、第1のAIエンジンベンダ(A社)では、契約条件ID3、4の契約条件について了承することが選択されていることになる。
【0103】
AIエンジン情報入力画面で、登録ボタンBRが押下されると、AIエンジン登録部104は、AIエンジン情報入力画面に入力された内容のAIエンジンについてAIエンジン情報202に追加登録する。その際、AIエンジン登録部104は、新たに登録されるAIエンジンについて新たなAIエンジンIDを付与する。例えば、AIエンジン情報入力画面に、
図9のような内容が入力された状態で登録ボタンBRが押下され、AIエンジン登録部104で新たにEID001というAIエンジンIDが付与されたものとする。そうすると、AIエンジン情報202において、AIエンジンID「EID001」の情報として、
図5に示すような内容の情報が登録されることになる。なお、AIエンジン登録部104は、AIエンジン情報202に新たなAIエンジン(新たなAIエンジンIDの情報)が登録される際には、すぐに反映させずにシステム管理者(システム管理者端末50)によるチェック及び承認処理受付の後反映させるようにしてもよい。
【0104】
以上のように、AIエンジン情報入力画面では、AIエンジンの登録に際して、AIエンジンベンダ(ベンダ端末40)に対して、契約条件管理データ204に記述された各契約条件を提示して、了承可能な契約条件(契約種類)の選択を受け付けることができる。
【0105】
次に、AIエンジン処理システム10(AIエンジン管理部103)が、ユーザ端末20に対してAIエンジン及びAIエンジンに関連する情報等を提供する処理について説明する。
【0106】
ここでは、第1のAI導入ユーザに所属するAI導入ユーザ担当者が使用するユーザ端末20-1から、AIエンジン処理システム10(AIエンジン管理部103)にアクセス(例えば、AIエンジン管理部103に相当するURLに対するWeb接続)があったものとする。そして、ここでは、ユーザ端末20-1が、AIエンジン処理システム10(AIエンジン管理部103)にアクセスして、第1のAI導入ユーザのAI導入ユーザID(UID001)でログインしたものとする。この場合、AIエンジン管理部103は、ユーザ端末20-1に対して、AIエンジン及びAIエンジンに関連する情報等を提供する操作画面(以下「AIエンジン提供画面」と呼ぶ)を提示する。AIエンジン管理部103は、AIエンジン情報202及びAIエンジンベンダ情報201の内容に基づいて、AIエンジン提供画面に情報等を表示する。
【0107】
図10は、AIエンジン提供画面の構成例について示した図である。
【0108】
図10に示すAIエンジン提供画面では、AIエンジンごと(AIエンジンIDごと)の情報等をテーブル形式で表示するフィールドF301が配置されている。フィールドF301では、1列で1つのAIエンジンに関する情報等が表示されている。
図10に示すフィールドF301では、AIエンジンごとに、AIエンジンID、AIエンジンベンダ名(当該AIエンジンを提供するAIエンジンベンダのAIエンジンベンダ名)、AIエンジン説明(タイトル及び機能説明テキスト)、試用可能期間、了承する契約条件等が表示されている。
【0109】
また、
図10に示すAIエンジン提供画面では、AIエンジンごとに(列ごとに)、当該AIエンジンのデータのダウンロードをするためのダウンロードボタンBDと当該AIエンジンを提供するAIエンジンベンダにコンタクトするためのコンタクトボタンBCが配置されている。さらに、AIエンジン提供画面では、いずれかのAIエンジンのダウンロードボタンBDが押下されると、当該AIエンジンに対応するAIエンジンデータのファイルがユーザ端末20に供給(ダウンロード)される。さらに、Iエンジン提供画面では、いずれかのAIエンジンのコンタクトボタンBCが押下されると、コミュニケ―ション処理部105が呼び出され、当該AIエンジンを提供するAIエンジンベンダとメッセージ送受信(コンタクト)するための操作画面(以下、「メッセージ送受信画面」と呼ぶ)がユーザ端末20に提示される。
【0110】
さらに、
図10に示すAIエンジン提供画面では、フィールドF301に表示するAIエンジンをスクロール(横方向にスクロール)させるためのスクロールバーSBと、フィールドF301に表示するAIエンジンの検索を受け付けるための検索ボタンBSと、フィールドF301に表示するAIエンジンの絞込みを受け付けるための絞込みボタンBNとが配置されている。
図10に示すAIエンジン提供画面では、この検索ボタンBSで検索条件を定めることで、AI導入ユーザ側が提示している契約条件を受け入れ可能なAIベンダのみを検索結果として表示することができる。
【0111】
以上のように、AIエンジン提供画面では、AIエンジンと共にAIエンジンベンダが了承する契約条件が提示(提供)されている。
【0112】
図11は、メッセージ送受信画面の構成例について示した図である。
【0113】
図11に示すメッセージ送受信画面では、コンタクト先の識別情報(
図11では、AIエンジンベンダ名及びAIエンジンベンダID)を表示するためのフィールドF401と、過去に当該コンタクト先と送受信したメッセージの履歴を表示するためのフィールドF402と、当該コンタクト先に送信するメッセージ入力を受け付けるためのフィールドF403とが配置されている。コミュニケ―ション処理部105において適用されるメッセージ送受信画面の構成は
図11の例に限定されず種々のメッセージ送受信の操作画面を適用することができる。
【0114】
次に、AIエンジン処理システム10(AI導入ユーザ管理部101)が、ベンダ端末40に対してAI導入ユーザに関連する情報等を提供する処理について説明する。
【0115】
ここでは、第1のAIエンジンベンダに所属するAIエンジンベンダ担当者が使用するベンダ端末40-1から、AIエンジン処理システム10(AI導入ユーザ管理部101)にアクセス(例えば、AI導入ユーザ管理部101に相当するURLに対するWeb接続)があったものとする。そして、ここでは、ベンダ端末40-1が、AIエンジン処理システム10(AI導入ユーザ管理部101)にアクセスして、第1のAIエンジンベンダのAIエンジンベンダID(VID001)でログインしたものとする。この場合、AI導入ユーザ管理部101は、ベンダ端末40-1に対して、各AI導入ユーザに関連する情報等を提供する操作画面(以下「AI導入ユーザ情報提供画面」と呼ぶ)を提示する。AI導入ユーザ管理部101は、AI導入ユーザ情報203の内容に基づいて、AI導入ユーザ情報提供画面に情報等を表示する。
【0116】
図12は、AI導入ユーザ情報提供画面の構成例について示した図である。
【0117】
図12に示すAI導入ユーザ情報提供画面では、AI導入ユーザごと(AI導入ユーザIDごと)の情報等をテーブル形式で表示するフィールドF401が配置されている。フィールドF401では、1列で1つのAI導入ユーザに関する情報等が表示されている。
図12に示すフィールドF401では、AI導入ユーザごとに、AI導入ユーザID、AI導入ユーザ名、了承する契約種類、ダウンロード状況、要望事項、及びユーザ提供データの説明等が表示されている。
【0118】
また、
図12に示すAI導入ユーザ情報提供画面では、AI導入ユーザごとに(列ごとに)、当該AI導入ユーザのユーザ提供データのダウンロードをするためのダウンロードボタンBDと、当該AI導入ユーザにコンタクトするためのコンタクトボタンBCが配置されている。なお、AI導入ユーザ情報提供画面では、ユーザ提供データがアップロードされていないAI導入ユーザの列には、ダウンロードボタンBDは表示(配置)されない(ダウンロードの対象が保持されていないためダウンロードできない)ものとする。
【0119】
AI導入ユーザ情報提供画面では、いずれかのAI導入ユーザのダウンロードボタンBDが押下されると、ユーザ提供データ管理部107から当該AI導入ユーザに対応するユーザ提供データが取得され、当該ユーザ提供データのファイルがベンダ端末40に供給(ダウンロード)される。なお、このダウンロードボタンBDの押下により、当該AIエンジンベンダの情報を当該AI導入ユーザ側に通知(当該AIエンジンベンダによりユーザ提供データがダウンロードされたことの通知)してもよい。このとき、AIエンジン処理システム10では、当該AIエンジンベンダと当該AI導入ユーザとの間で、ダウンロードされるユーザ提供データの取り扱いに関して合意したものとして管理するようにしてもよい。例えば、AI導入ユーザ情報203において、ユーザ提供データごとにダウンロード(AI導入ユーザ情報提供画面でダウンロード)したAIエンジンベンダIDを登録しておき、AIエンジンベンダとAI導入ユーザとの間の合意の状況を管理するようにしてもよい。例えば、AI導入ユーザ情報203において、「ダウンロード状況」のフィールド(行)を設け、AI導入ユーザごとにユーザ提供データをダウンロードしたAIエンジンベンダID(AIエンジンベンダIDのリスト)を登録可能とするようにしてもよい。例えば、AI導入ユーザ情報203において、C社(AI導入ユーザID=UID001)の「ダウンロード状況」のフィールド(行)に、A社AIエンジンベンダID(VID001)が登録されている場合には、A社はC社の「了承する契約条件」(ここでは「3」又は「4」)を了承したものとみなすことが可能となる。
【0120】
さらに、AI導入ユーザ情報提供画面では、いずれかのAI導入ユーザのコンタクトボタンBCが押下されると、コミュニケ―ション処理部105が呼び出され、当該AI導入ユーザとメッセージ送受信(コンタクト)するためのメッセージ送受信画面がベンダ端末40に提示される。さらに、
図12に示すAI導入ユーザ情報提供画面では、フィールドF401に表示するAI導入ユーザをスクロール(横方向にスクロール)させるためのスクロールバーSBと、フィールドF401に表示するAI導入ユーザの検索を受け付けるための検索ボタンBSと、フィールドF401に表示するAI導入ユーザの絞込みを受け付けるための絞込みボタンBNとが配置されている。なお、AI導入ユーザ情報提供画面から呼び出されるメッセージ送受信画面の構成は、上述の
図11と同様であるため詳しい説明は省略する。
【0121】
以上のように、AI導入ユーザ情報提供画面では、ユーザ提供データ及びそれに関する情報と共に、AI導入ユーザが了承する契約条件が提示されている。
【0122】
AIエンジン処理システム10では、AIエンジン提供画面(AIエンジンのマーケット)をAI導入ユーザ(ユーザ端末20)に提示することで、AI導入ユーザはAIエンジン情報202に登録されているAIエンジンをダウンロードしてAI実行ハードウェア30にインストールして動作検証(試用)することができる。そして、AI導入ユーザは、コミュニケ―ション処理部105(メッセージ送受信画面)を介して、AIエンジンベンダにコンタクトし、AIエンジンベンダに対して、自身が導入したいAIシステムの概念実証(PoC)のためのAIエンジンの作成(AIエンジンのカスタマイズ)を依頼することができる。このとき、AI導入ユーザでは、AIエンジン提供画面からAIエンジンベンダで了承可能な契約条件について予め知ることができるので、契約条件も含めて検討した上でAIエンジンベンダに依頼をすることができる。
【0123】
そして、AIエンジンベンダ側でも、依頼内容に問題がなければ、AI導入ユーザに対して、依頼を了承する旨を伝える。また、このとき、AIエンジンベンダ側では、AI導入ユーザ情報提供画面から得られる情報により、当該AI導入ユーザが了承可能な契約条件について予め知ることができるので、契約条件も含めて検討した上で、依頼内容を検討することができる。
【0124】
また、AI導入ユーザは、AIエンジンのカスタマイズ依頼に際して、AIエンジン処理システム10(ユーザ提供データ管理部107)にユーザ提供データをアップロードすることで、AIエンジンベンダに対して円滑にユーザ提供データをダウンロードさせることができる。AIエンジンベンダでは、AI導入ユーザからのユーザ提供データを利用して、概念実証用AIエンジンの開発を行うことができる。概念実証用AIエンジン開発以後のフェーズにおけるAIエンジンベンダとAI導入ユーザとの間のやりとりは、AIエンジン処理システム10(コミュニケ―ション処理部105)を利用するようにしてもよいし、別の手段(例えば、他のグループウェアやデータ共有サービスや電子メール等)を利用するようにしてもよい。
【0125】
(A-3)実施形態の効果
この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0126】
この実施形態のAIエンジン処理システム10では、AIエンジンを提示するAIエンジン提供画面だけでなく、AI導入ユーザ情報提供画面も表示する機能を備えている。つまり、AIエンジン処理システム10では、AI導入ユーザ側からのオファーだけでなく、AIエンジンベンダ側からのオファーについても募集することが可能(双方向にオファーを募集することが可能)となっている。つまり、この実施形態のAIエンジン処理システム10を用いることで、上記の第1の課題が解決されることになる。
【0127】
また、この実施形態のAIエンジン処理システム10を用いることで、AI導入ユーザ及びAIエンジンベンダ共に、了承可能な契約条件についてある程度マッチングが完了した状態でコミュニケーションが開始されるので、概念実証用AIエンジンの開発について、契約条件の主要な項目についてすり合わせを省略し、円滑(効率的)も取引(商談)が進められることになる。つまり、この実施形態のAIエンジン処理システム10を用いることで、上記の第2の課題が解決されることになる。
【0128】
さらに、この実施形態のAIエンジン処理システム10では、ユーザ提供データについてAI導入ユーザ(ユーザ端末20)からアップロードを受けて取得し、AIエンジンベンダ(ベンダ端末40)に対してダウンロード環境を提供している。これにより、この実施形態のAIエンジン処理システム10を利用するAIエンジンベンダでは、ユーザ提供データを取得して概念実証用AIエンジンを作成する工程をスムーズに開始させることができる。つまり、この実施形態のAIエンジン処理システム10を用いることで、上記の第3の課題が解決されることになる。
【0129】
さらにまた、上記の実施形態のAIエンジン処理システム10では、AI導入ユーザとAIエンジンベンダとの間のコミュニケーション手段としてメッセージ送受信サービス(メッセージ送受信画面)を提供している。また、上記の実施形態のAIエンジン処理システム10では、AI導入ユーザ(ベンダ端末40)からユーザ提供データのアップロードを受け付けているが、このときユーザ提供データについて特に宛先のAIエンジンベンダを指定できない構成としており、どのユーザ提供データについてダウンロードするかはAIエンジンベンダ側で判断可能な構成となっている。これにより、上記の実施形態のAIエンジン処理システム10を利用するAIエンジンベンダでは、AI導入ユーザ情報提供画面を見て有益と判断できるAI導入ユーザ(例えば、価値の高いユーザ提供データが得られるAI導入ユーザ)とのみコミュニケーションを取れば良いため、効率的な取引(商談)を行うことが可能となる。
【0130】
(B)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0131】
(B-1)上記の実施形態では、AIエンジン処理システム10は、AI導入ユーザ情報提供画面とAIエンジン提供画面の両方を提示可能としているが、いずれか一方を提示する処理を省略するようにしてもよい。
【0132】
(B-2)上記の実施形態のAIエンジン処理システム10では、ユーザ提供データをダウンロード可能なAIエンジンベンダについては特に制限していないが、ユーザ提供データをダウンロード可能なAIエンジンベンダについて制限を設けるようにしてもよい。例えば、AI導入ユーザ情報203で、AI導入ユーザごとにユーザ提供データのダウンロードを許可するAIエンジンベンダ(AIエンジンベンダID)の設定を可能とするようにしてもよい。これにより、AI導入ユーザでは、開示したいAIエンジンベンダにだけユーザ提供データを開示することが可能となる。
【符号の説明】
【0133】
10…AIエンジン処理システム、20、20-1~20-N…ユーザ端末、30…AI実行ハードウェア、30-1…AI実行ハードウェア、40、40-1~40-M…ベンダ端末、50…システム管理者端末、60…インターネット、101…AI導入ユーザ管理部、102…契約管理部、103…AIエンジン管理部、104…AIエンジン登録部、105…ション処理部、106…AIエンジンベンダ管理部、107…ユーザ提供データ管理部、108…データベース部、201…AIエンジンベンダ情報、202…AIエンジン情報、203…AI導入ユーザ情報、204…契約条件管理データ。