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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183968
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20231221BHJP
   H10B 43/35 20230101ALI20231221BHJP
   H10B 43/40 20230101ALI20231221BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20231221BHJP
   H10B 41/44 20230101ALI20231221BHJP
【FI】
H01L29/78 371
H01L27/1157
H01L27/11573
H01L27/088 H
H01L27/088 B
H01L27/11536
H01L29/78 616L
H01L29/78 301P
H01L29/78 301S
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097814
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堰 和彦
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 祥之
【テーマコード(参考)】
5F048
5F083
5F101
5F110
5F140
【Fターム(参考)】
5F048AA01
5F048AB01
5F048AC01
5F048BA01
5F048BA16
5F048BA19
5F048BA20
5F048BB11
5F048BB12
5F048BC03
5F048BC05
5F048BC06
5F048BC18
5F048BF06
5F048BF16
5F048BF17
5F048BG13
5F048DA24
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP61
5F083EP77
5F083ER02
5F083ER13
5F083ER22
5F083GA02
5F083GA15
5F083GA27
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA35
5F083KA05
5F083KA11
5F083MA06
5F083MA19
5F083MA20
5F083NA01
5F083PR25
5F083PR43
5F083PR53
5F101BA45
5F101BB02
5F101BD03
5F101BD07
5F101BD09
5F101BD10
5F101BD22
5F101BD32
5F101BE02
5F101BE05
5F101BE06
5F101BH11
5F101BH21
5F110CC02
5F110DD05
5F110EE32
5F110FF22
5F110GG02
5F110HJ13
5F110HJ23
5F110HK02
5F110HK05
5F110HM15
5F110HM20
5F110NN23
5F110NN62
5F110QQ03
5F110QQ11
5F110QQ30
5F140AA24
5F140AB01
5F140BA01
5F140BD05
5F140BG08
5F140BH06
5F140BH15
5F140BH30
5F140BJ08
5F140BK01
5F140BK13
5F140BK21
5F140BK34
5F140CB04
5F140CC03
5F140CF04
(57)【要約】
【課題】読み出し動作において、情報が蓄積されているか否かの誤判定を抑制する。
【解決手段】メモリ領域BNRでは、せり上げエピタキシャル層が形成されていないメモリ領域第1部BNR1と、第1せり上げエピタキシャル層NELが形成されたメモリ領域第2部BNR2と、第2せり上げエピタキシャル層SELが形成されたメモリ領域第3部BNR3とが規定されている。メモリ領域第1部BNR1では、メモリトランジスタMTRの第1拡散層第1部NDR1等と、選択トランジスタSTRの第2拡散層第1部SDR1等とが形成されている。メモリトランジスタMTRの第1拡散層第2部NDR2が、第1せり上げエピタキシャル層NELに形成されている。選択トランジスタSTRの第2拡散層第2部SDR2が、第2せり上げエピタキシャル層SELに形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリトランジスタおよび選択トランジスタを含む半導体素子を有する半導体装置であって、
半導体支持基板を含む半導体基板と、
前記半導体支持基板に規定された第1素子領域を含む、前記半導体基板に規定された素子領域と、
前記第1素子領域に互いに距離を隔てて形成された、電気的に直列に接続された前記メモリトランジスタおよび前記選択トランジスタを含む、前記素子領域に形成された前記半導体素子と
を有し、
前記メモリトランジスタは、
前記第1素子領域に位置する前記半導体支持基板の表面に形成され、かつ、電荷蓄積層を含むメモリゲート絶縁膜と、
前記メモリゲート絶縁膜上に形成されたメモリゲート電極と、
第1不純物領域第1部および第1不純物領域第2部を含む第1不純物領域と
を有し、
前記選択トランジスタは、
前記第1素子領域に位置する前記半導体支持基板の前記表面に形成された選択ゲート絶縁膜と、
前記選択ゲート絶縁膜上に形成された選択ゲート電極と、
第2不純物領域第1部および第2不純物領域第2部を含む第2不純物領域と
を有し、
前記第1素子領域は、
前記メモリゲート電極と前記選択ゲート電極との間に位置する前記半導体支持基板に規定された第1素子領域第1部と、
前記メモリゲート電極に対して、前記選択ゲート電極が配置されている側とは反対側に位置する前記半導体支持基板に規定された第1素子領域第2部と、
前記選択ゲート電極に対して、前記メモリゲート電極が配置されている側とは反対側に位置する前記半導体支持基板に規定された第1素子領域第3部と
を含み、
前記第1素子領域第2部では、前記半導体支持基板の前記表面の位置から前記表面よりも高い位置にわたり第1せり上げ部が形成され、
前記第1素子領域第3部では、前記半導体支持基板の前記表面の位置から前記表面よりも高い位置にわたり第2せり上げ部が形成され、
前記素子領域では、前記第1せり上げ部および前記第2せり上げ部を含むせり上げ部が形成され、
前記第1素子領域第1部では、前記せり上げ部は形成されておらず、前記第1不純物領域第1部および前記第2不純物領域第1部は、前記せり上げ部が形成されていない前記第1素子領域第1部に形成され、
前記第1不純物領域第2部は、前記第1せり上げ部を含むように前記第1素子領域第2部に形成され、
前記第2不純物領域第2部は、前記第2せり上げ部を含むように前記第1素子領域第3部に形成され、
前記第1不純物領域第1部、前記第1不純物領域第2部、前記第2不純物領域第1部および前記第2不純物領域第2部のそれぞれにおいて、それぞれの表面に近い領域の不純物濃度は、それぞれの前記表面から遠い領域の不純物濃度よりも高い、半導体装置。
【請求項2】
前記第1せり上げ部、前記第2せり上げ部、前記せり上げ部が形成されていない前記第1素子領域第1部、前記メモリゲート電極および前記選択ゲート電極のそれぞれには、第1金属シリサイド膜が形成された、請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板は、さらに、
前記半導体支持基板の上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜の上に形成された半導体層と
を含み、
前記素子領域は、前記半導体層に規定された第2素子領域を含み、
前記半導体素子は、前記メモリトランジスタおよび前記選択トランジスタのそれぞれとは異なる、前記第2素子領域に形成されたトランジスタを含み、
前記トランジスタは、
前記第2素子領域に位置する前記半導体層の前記表面に、ゲート絶縁膜を介在させて形成されたゲート電極と、
第3不純物領域第1部および第3不純物領域第2部を含む第3不純物領域と
を有する、請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記せり上げ部は、
前記ゲート電極に対して、前記ゲート電極のゲート長方向の一方に位置する前記半導体層の前記表面に形成された第3せり上げ部と、
前記ゲート電極に対して、前記ゲート長方向の他方に位置する前記半導体層の前記表面に形成された第4せり上げ部と
を含み、
前記第3不純物領域第1部は、前記第3せり上げ部を含むように形成され、
前記第3不純物領域第2部は、前記第4せり上げ部を含むように形成された、請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3せり上げ部、前記第4せり上げ部および前記ゲート電極のそれぞれに、第2金属シリサイド膜が形成された、請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
メモリトランジスタおよび選択トランジスタを含む半導体素子を有する半導体装置の製造方法であって、
半導体支持基板を含む半導体基板を用意する工程と、
前記半導体支持基板に第1素子領域を規定する工程を含む、前記半導体基板に素子領域を規定する工程と、
前記第1素子領域に、メモリゲート電極、第1不純物領域第1部および第1不純物領域第2部を含む前記メモリトランジスタと、選択ゲート電極、第2不純物領域第1部および第2不純物領域第2部を含む前記選択トランジスタとを形成する工程を含む、前記素子領域に前記半導体素子を形成する工程と
を有し、
前記メモリトランジスタおよび前記選択トランジスタを形成する工程は、
前記第1素子領域に、互いに距離を隔てて前記メモリゲート電極と前記選択ゲート電極とを形成する工程と、
前記第1素子領域において、前記選択ゲート電極と前記メモリゲート電極との間に位置する前記半導体支持基板に規定される第1素子領域第1部を覆うように、エピタキシャル成長を阻止する阻止膜を形成する工程と、
前記阻止膜が形成された状態で、エピタキシャル成長法によって、前記メモリゲート電極に対して前記選択ゲート電極が位置する側とは反対側に位置する前記半導体支持基板に規定される第1素子領域第2部に、前記半導体支持基板の表面から前記表面よりも高い位置にわたり第1せり上げ部を形成するとともに、前記選択ゲート電極に対して前記メモリゲート電極が位置する側とは反対側に位置する前記半導体支持基板に規定される第1素子領域第3部に、前記半導体支持基板の前記表面から前記表面よりも高い位置にわたり第2せり上げ部を形成する工程と、
前記半導体支持基板の前記表面、前記第1せり上げ部の表面および前記第2せり上げ部の表面のそれぞれに不純物を注入することによって、前記第1不純物領域第1部および前記第2不純物領域第1部のそれぞれを前記第1素子領域第1部に形成し、前記第1不純物領域第2部を前記第1せり上げ部を含む前記第1素子領域第2部に形成し、前記第2不純物領域第2部を前記第2せり上げ部を含む前記第1素子領域第2部に形成する工程と
を備えた、半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記メモリトランジスタおよび前記選択トランジスタを形成する工程は、
前記第1素子領域に、互いに距離を隔てて前記選択ゲート電極と前記メモリゲート電極とを形成する工程の前に、
前記第1素子領域に位置する前記半導体支持基板の前記表面を覆うように、前記選択トランジスタの選択ゲート絶縁膜となる第1絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜のうち、前記選択トランジスタが形成されることになる選択トランジスタ領域に位置する前記第1絶縁膜を残し、前記メモリトランジスタが形成されることになるメモリトランジスタ領域に位置する前記第1絶縁膜を除去し、前記半導体支持基板の前記表面を露出する工程と、
残された前記第1絶縁膜と、露出した前記半導体支持基板の前記表面とを覆うように、前記メモリトランジスタのメモリゲート絶縁膜となる第2絶縁膜を形成する工程と、
前記第1絶縁膜を覆うように積層された前記第2絶縁膜のうち、前記選択ゲート電極と前記メモリゲート電極との間に位置することになる前記第2絶縁膜を残し、前記選択トランジスタ領域に位置する前記第2絶縁膜を除去する工程と
を含み、
前記選択ゲート電極と前記メモリゲート電極とを形成する工程は、前記メモリトランジスタ領域に、前記第2絶縁膜を介在させて前記メモリゲート電極を形成するとともに、前記選択トランジスタ領域に、前記第1絶縁膜を介在させて前記選択ゲート電極を形成する工程を含む、請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記阻止膜を形成する工程は、
前記メモリゲート電極および前記選択ゲート電極をエッチングマスクとして、前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜にエッチング処理を行うことにより、前記第1素子領域第2部および前記第1素子領域第3部における前記半導体支持基板の前記表面を露出するとともに、前記第1素子領域第1部における前記半導体支持基板の前記表面を覆う前記第1絶縁膜を残す工程と、
前記第1素子領域第1部において、互いに対向する、前記メモリゲート電極および前記選択ゲート電極のそれぞれの側壁面に、スペーサ膜を形成する工程と
を含み、
前記第1せり上げ部と前記第2せり上げ部とを形成する工程は、エピタキシャル成長法によって、前記第1素子領域第2部に露出した前記半導体支持基板の前記表面に前記第1せり上げ部を形成するとともに、前記第1素子領域第3部に露出した前記半導体支持基板の前記表面に前記第2せり上げ部を形成する工程を含む、請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記メモリトランジスタおよび前記選択トランジスタを形成する工程は、
前記第1素子領域第1部における前記半導体支持基板の前記表面を覆う前記第1絶縁膜を除去し、前記半導体支持基板の前記表面を露出する工程と、
前記第1せり上げ部、前記第2せり上げ部、前記第1素子領域第1部における前記半導体支持基板の前記表面、前記メモリゲート電極および前記選択ゲート電極のそれぞれに、第1金属シリサイド膜を形成する工程と
を含む、請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記阻止膜を形成する工程は、
前記メモリゲート電極および選択ゲート電極をエッチングマスクとして、前記第2絶縁膜および前記第1絶縁膜にエッチング処理を施すことにより、前記第1素子領域第1部、前記第1素子領域第2部および前記第1素子領域第3における前記半導体支持基板の前記表面を露出する工程と、
前記第1素子領域第1部に露出した前記半導体支持基板の前記表面を覆うように、前記阻止膜を形成する工程と
を含み、
前記第1せり上げ部と前記第2せり上げ部とを形成する工程は、エピタキシャル成長法によって、前記第1素子領域第2部に露出した前記半導体支持基板の前記表面に前記第1せり上げ部を形成するとともに、前記第1素子領域第3部に露出した前記半導体支持基板の前記表面に前記第2せり上げ部を形成する工程を含む、請求項7記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記メモリトランジスタおよび前記選択トランジスタを形成する工程は、
前記第1素子領域第1部を覆う前記阻止膜を除去し、前記半導体支持基板の前記表面を露出する工程と、
前記第1せり上げ部、前記第2せり上げ部、前記第1素子領域第1部における前記半導体支持基板の前記表面、前記メモリゲート電極および前記選択ゲート電極のそれぞれに、第2金属シリサイド膜を形成する工程と
を含む、請求項10記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記半導体基板は、さらに、
前記半導体支持基板の上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜の上に形成された半導体層と
を含み、
前記半導体基板に素子領域を規定する工程は、前記半導体層に第2素子領域を規定する工程を含み、
前記素子領域に前記半導体素子を形成する工程は、ゲート電極、第3不純物領域第1部および第3不純物領域第2部を含む、前記メモリトランジスタおよび前記選択トランジスタのそれぞれとは異なるトランジスタを形成する工程を含む、請求項6記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記トランジスタを形成する工程は、
前記第2素子領域に位置する前記半導体層の表面に、ゲート絶縁膜を介在させて前記ゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極に対して、前記ゲート電極のゲート長方向の一方に位置する前記半導体層に、前記半導体層の表面から前記表面よりも高い位置にわたり第3せり上げ部を形成するとともに、前記ゲート電極の前記ゲート長方向の他方に位置する前記半導体層に、前記半導体層の前記表面から前記表面よりも高い位置にわたり第4せり上げ部を形成する工程と、
前記第3せり上げ部の表面および前記第4せり上げ部の表面のそれぞれに他の不純物を注入することによって、前記第3不純物領域第1部を前記第3せり上げ部に形成するとともに、前記第3不純物領域第2部を前記第4せり上げ部に形成する工程と
を含む、請求項12記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記トランジスタを形成する工程は、前記第3せり上げ部、前記第4せり上げ部および前記ゲート電極のそれぞれに、第3金属シリサイド膜を形成する工程を含む、請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第3せり上げ部および前記第4せり上げ部のそれぞれを形成する工程は、前記第1せり上げ部および前記第2せり上げ部のそれぞれを形成する工程と同時に行われる、請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、たとえば、電荷蓄積層を有する不揮発性メモリを備えた半導体装置に好適に利用できるものである。
【背景技術】
【0002】
電気的な情報の書込みと情報の消去とが可能な不揮発性メモリとして、フラッシュメモリが広く使用されている。フラッシュメモリを備えた半導体装置を開示した特許文献として、特許文献1がある。
【0003】
フラッシュメモリのメモリ領域では、複数のメモリセルが配置されている。一つのメモリセルでは、たとえば、特許文献1の図20に示されているように、メモリトランジスタと選択トランジスタとが電気的に直列に接続されている。メモリトランジスタには、ビット線が電気的に接続されている。選択トランジスタには、ソース線が電気的に接続されている。
【0004】
メモリトランジスタは、メモリゲート電極と一対の拡散層とを含む。メモリゲート電極は、一対の拡散層によって挟まれた半導体基板の表面上に、電荷蓄積層を介在させて形成されている。情報としての電荷(電子)が、電荷蓄積層に蓄積されることになる。
【0005】
メモリトランジスタでは、ドレインディスターブを抑制するために、一対の拡散層は、半導体基板の表面からエピタキシャル成長させた「せり上げエピタキシャル層」を含む領域に形成されている。なお、ドレインディスターブとは、選択されたビットのメモリトランジスタへの情報の書込み動作の際に、選択されていない非選択ビットのメモリトランジスタの情報が誤って消去される現象である。
【0006】
せり上げエピタキシャル層は、メモリトランジスタに対して、ビット線が接続されることになる半導体基板の表面上に形成されている。また、せり上げエピタキシャル層は、選択トランジスタに対して、ソース線が接続されることになる半導体基板の表面上に形成されている。さらに、せり上げエピタキシャル層は、メモリトランジスタと選択トランジスタとの間に位置する半導体基板の表面上に形成されている。
【0007】
半導体装置の動作のうち、読み出し動作では、メモリゲート電極、選択ゲート電極、ソース線、ビット線および半導体基板の領域のそれぞれに対して、読み出し動作を行うための所望の電圧が印加される。このとき、ソース線からビット線に向かって、基準電流よりも高い電流が流れるか、基準電流よりも低い電流が流れるかによって、情報が蓄積されているか否かの判定が行われる。
【0008】
メモリトランジスタの電荷蓄積層に電子が注入されている場合には、メモリトランジスタのしきい値電圧が、基準電位よりも高くなる。この場合には、ソース線から、選択トランジスタとメモリトランジスタとを経てビット線へ向かって、基準電流よりも低い電流が流れる。すなわち、選択されたビットについて、ソース線からビット線へ向かって、基準電流よりも低い電流が流れる場合には、選択されたビットは、情報が書き込まれた書込みセルと判定される。
【0009】
一方、メモリトランジスタの電荷蓄積層に電子が注入されていない場合には、メモリトランジスタのしきい値電圧が、基準電位よりも低くなる。この場合には、ソース線から、選択トランジスタとメモリトランジスタとを経てビット線へ向かって、基準電流よりも高い電流が流れる。すなわち、選択されたビットについて、ソース線からビット線へ向かって、基準電流よりも高い電流が流れる場合には、選択されたビットは、情報が書き込まれていない消去セルと判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2019-4103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した半導体装置では、メモリトランジスタに対して、ビット線が接続されることになる半導体基板の表面上と、選択トランジスタに対してソース線が接続されることになる半導体基板の表面上だけでなく、メモリトランジスタと選択トランジスタとの間に位置する半導体基板の表面上にも、せり上げエピタキシャル層が形成されている。このメモリトランジスタと選択トランジスタとの間に形成されたせり上げエピタキシャル層を含む領域に、メモリトランジスタの拡散層と選択トランジスタの拡散層とが形成されている。
【0012】
拡散層を含む領域は、せり上げエピタキシャル層の表面から、たとえば、n型の不純物を注入することによって形成される。そのため、エピタキシャル層の表面から半導体基板に向かうにつれ、その不純物濃度は低くなる。
【0013】
このため、たとえば、フラッシュメモリの読み出し動作において、電流(電子)が流れる経路のうち、メモリトランジスタと選択トランジスタとの間の経路である半導体基板の抵抗値が増大し、ソース線からビット線へ向かって電流が流れにくくなる。そうすると、基準電流よりも低い電流が流れることがあり、選択されたビットが、本来、消去セルであるにもかかわらず、書込みセルであると誤って判定されるおそれがある。
【0014】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付の図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一実施の形態に係る半導体装置は、メモリトランジスタおよび選択トランジスタを含む半導体素子を有する半導体装置であって、半導体基板と、半導体基板に規定された素子領域と、素子領域に形成された前記半導体素子とを有する。半導体基板は、半導体支持基板を含む。半導体基板に規定された素子領域は、半導体支持基板に規定された第1素子領域を含む。素子領域に形成された半導体素子は、第1素子領域に互いに距離を隔てて形成された、電気的に直列に接続されたメモリトランジスタおよび選択トランジスタを含む。メモリトランジスタは、メモリゲート絶縁膜とメモリゲート電極と第1不純物領域とを有する。メモリゲート絶縁膜は、第1素子領域に位置する半導体支持基板の表面に形成され、かつ、電荷蓄積層を含む。メモリゲート電極は、メモリゲート絶縁膜上に形成されている。第1不純物領域は、第1不純物領域第1部および第1不純物領域第2部を含む。選択トランジスタは、選択ゲート絶縁膜と選択ゲート電極と第2不純物領域とを有する。選択ゲート絶縁膜は、第1素子領域に位置する半導体支持基板の表面に形成されている。選択ゲート電極は、選択ゲート絶縁膜上に形成されている。第2不純物領域は、第2不純物領域第1部および第2不純物領域第2部を含む。第1素子領域は、第1素子領域第1部と第1素子領域第2部と第1素子領域第3部とを含む。第1素子領域第1部は、メモリゲート電極と選択ゲート電極との間に位置する半導体支持基板に規定されている。第1素子領域第2部は、メモリゲート電極に対して、選択ゲート電極が配置されている側とは反対側に位置する半導体支持基板に規定されている。第1素子領域第3部は、選択ゲート電極に対して、メモリゲート電極が配置されている側とは反対側に位置する半導体支持基板に規定されている。第1素子領域第2部では、半導体支持基板の表面の位置から表面よりも高い位置にわたり第1せり上げ部が形成されている。第1素子領域第3部では、半導体支持基板の表面の位置から表面よりも高い位置にわたり第2せり上げ部が形成されている。素子領域では、第1せり上げ部および第2せり上げ部を含むせり上げ部が形成されている。第1素子領域第1部では、せり上げ部が形成されておらず、第1不純物領域第1部および第2不純物領域第1部は、せり上げ部が形成されていない第1素子領域第1部に形成されている。第1不純物領域第2部は、第1せり上げ部を含むように第1素子領域第2部に形成されている。第2不純物領域第2部は、第2せり上げ部を含むように第1素子領域第3部に形成されている。第1不純物領域第1部、第1不純物領域第2部、第2不純物領域第1部および第2不純物領域第2部のそれぞれにおいて、それぞれの表面に近い領域の不純物濃度は、それぞれの表面から遠い領域の不純物濃度よりも高い。
【0016】
他の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、メモリトランジスタおよび選択トランジスタを含む半導体素子を有する半導体装置の製造方法であって、半導体支持基板を含む半導体基板を用意する工程と、半導体基板に素子領域を規定する工程と、素子領域に前記半導体素子を形成する工程とを有する。半導体基板に素子領域を規定する工程は、半導体支持基板に第1素子領域を規定する工程を含む。素子領域に前記半導体素子を形成する工程は、第1素子領域に、メモリゲート電極、第1不純物領域第1部および第1不純物領域第2部を含むメモリトランジスタと、選択ゲート電極、第2不純物領域第1部および第2不純物領域第2部を含む選択トランジスタとを形成する工程を含む。メモリトランジスタおよび選択トランジスタを形成する工程は、以下の工程を備えている。第1素子領域に、互いに距離を隔ててメモリゲート電極と選択ゲート電極とを形成する。第1素子領域において、選択ゲート電極とメモリゲート電極との間に位置する半導体支持基板に規定される第1素子領域第1部を覆うように、エピタキシャル成長を阻止する阻止膜を形成する。阻止膜が形成された状態で、エピタキシャル成長法によって、メモリゲート電極に対して選択ゲート電極が位置する側とは反対側に位置する半導体支持基板に規定される第1素子領域第2部に、半導体支持基板の表面から表面よりも高い位置にわたり第1せり上げ部を形成するとともに、選択ゲート電極に対してメモリゲート電極が位置する側とは反対側に位置する半導体支持基板に規定される第1素子領域第3部に、半導体支持基板の表面から表面よりも高い位置にわたり第2せり上げ部を形成する。イオン注入法によって、第1不純物領域第1部および第2不純物領域第1部を、第1素子領域第1部に形成し、第1不純物領域第2部を、第1せり上げ部を含む第1素子領域第2部に形成し、第2不純物領域第2部を、第2せり上げ部を含む第1素子領域第2部に形成する。半導体支持基板の表面、第1せり上げ部の表面および第2せり上げ部の表面のそれぞれに不純物を注入することによって、第1不純物領域第1部および第2不純物領域第1部のそれぞれを第1素子領域第1部に形成し、第1不純物領域第2部を第1せり上げ部を含む第1素子領域第2部に形成し、第2不純物領域第2部を第2せり上げ部を含む第1素子領域第2部に形成する。
【発明の効果】
【0017】
一実施の形態に係る半導体装置によれば、読み出し動作において、消去セルが書込みセルであると誤って判定されるのを抑制することができる。
【0018】
他の実施の形態に係る半導体装置の製造方法によれば、読み出し動作において、消去セルが書込みセルであると誤って判定されるのを抑制することができる半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】各実施の形態に係る半導体装置の構造の一例を示す断面図である。
図2】実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
図3】同実施の形態において、図2に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図4】同実施の形態において、図3に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図5】同実施の形態において、図4に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図6】同実施の形態において、図5に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図7】同実施の形態において、図6に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図8】同実施の形態において、図7に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図9】同実施の形態において、図8に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図10】同実施の形態において、図9に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図11】同実施の形態において、図10に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図12】同実施の形態において、図11に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図13】同実施の形態において、図12に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図14】同実施の形態において、図13に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図15】同実施の形態において、図14に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図16】同実施の形態において、図15に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図17】同実施の形態において、図16に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図18】同実施の形態において、半導体装置の情報の書込み動作を説明するための図である。
図19】同実施の形態において、半導体装置の情報の消去動作を説明するための図である。
図20】同実施の形態において、半導体装置の情報の読み出し動作を説明するための第1の図である。
図21】同実施の形態において、半導体装置の情報の読み出し動作を説明するための第2の図である。
図22】比較例に係る半導体装置の構造を模式的に示す部分拡大断面図である。
図23】比較例に係る半導体装置の読み出し動作における電流の流れ方を説明するための部分拡大断面図である。
図24】同実施の形態において、半導体装置の読み出し動作における電流の流れ方を説明するための部分拡大断面図である。
図25】同実施の形態において、せり上げエピタキシャル層を形成する理由を説明するための部分拡大断面図である。
図26】実施の形態2に係る半導体装置の製造方法の一工程を示す断面図である。
図27】同実施の形態において、図26に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図28】同実施の形態において、図27に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図29】同実施の形態において、図28に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図30】同実施の形態において、図29に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図31】同実施の形態において、図30に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図32】同実施の形態において、図31に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図33】同実施の形態において、図32に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
図34】同実施の形態において、図33に示す工程の後に行われる工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る、フラッシュメモリを備えた半導体装置では、図1に示すように、SOI(Silicon On Insulator)基板SUBが使用される。SOI(半導体基板)基板SUBは、シリコン基板(半導体支持基板)BSUBと、このシリコン基板BSUBの上に形成された絶縁膜(絶縁層)BOLと、この絶縁膜BOLの上に形成されたシリコン層(半導体層)SLと、を含む。
【0021】
また、SOI基板SUBには、その内側にトランジスタが形成される素子領域が規定されている。本実施の形態1では、そのSOI基板SUB(すなわち、素子領域)に、シリコン層SLおよび絶縁膜BOLが除去された素子領域であるバルク領域BURと、シリコン層SLおよび絶縁膜BOLが残された素子領域であるSOI領域SIRとが規定されている。
【0022】
ここでは、フラッシュメモリの一つのメモリセルが、一つのメモリトランジスタと一つの選択トランジスタとによって構成され、そのメモリセルが、バルク領域におけるメモリ領域に形成された半導体装置とその製造方法の一例について説明する。まず、半導体装置について説明する。
【0023】
図1に示すように、バルク領域BURでは、素子分離絶縁膜TISによって、メモリ領域BNR(第1素子領域)と他の領域(図示せず)とが規定されている。SOI領域SIRでは、たとえば、低耐圧MOSトランジスタ領域SCR(第2素子領域)が規定されている。
【0024】
メモリ領域BNRには、シリコン基板BSUBの表面から所定の深さにわたり、p型のウェル領域PWRが形成されている。メモリ領域BNR(ウェル領域PWR)には、メモリトランジスタ領域(素子領域)NGRと選択トランジスタ領域(素子領域)SGRとが、互いに距離を隔てて設けられている。メモリトランジスタ領域NGRには、半導体素子(トランジスタ)として、メモリトランジスタMTRが形成されている。選択トランジスタ領域SGRには、半導体素子(トランジスタ)として、選択トランジスタSTRが形成されている。
【0025】
メモリトランジスタMTRは、メモリゲート絶縁膜NOX、メモリゲート電極NGEおよび第1不純物拡散層FFR(第1不純物領域)を有している。メモリゲート絶縁膜NOXは、電荷蓄積層を含む。メモリゲート絶縁膜NOXは、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜およびシリコン酸化膜を順次積層させた積層構造とされる。シリコン窒化膜が、電荷蓄積層となる。メモリゲート電極NGEは、シリコン基板BSUBの表面の上に、メモリゲート絶縁膜NOXを介在させて形成されている。
【0026】
第1不純物拡散層FFRは、比較的高濃度の不純物がそれぞれ注された第1拡散層第1部(第1不純物領域第1部)NDR1および第1拡散層第2部(第1不純物領域第2部)NDR2と、比較的低濃度の不純物がそれぞれ注入された第1LDD拡散層第1部NLR1(Lightly Doped Drain)および第1LDD拡散層第2部NLR2と、を含む。なお、ここでいう「LDD」とは、「Lightly Doped Drain」の略である。メモリゲート電極NGEの対向する両側面のそれぞれには、オフセットスペーサ膜OSFを介在させてスペーサ膜PSFが形成されている。
【0027】
選択トランジスタSTRは、選択ゲート絶縁膜SOX、選択ゲート電極SGEおよび第2不純物拡散層SFR(第2不純物領域)を有している。選択ゲート電極SGEは、シリコン基板BSUBの表面の上に、選択ゲート絶縁膜SOXを介在させて形成されている。第2不純物拡散層SFRは、比較的高濃度の不純物がそれぞれ注された第2拡散層第1部(第2不純物領域第1部)SDR1および第2拡散層第2部(第2不純物領域第2部)SDR2と、比較的低濃度の不純物がそれぞれ注入された第2LDD拡散層第1部SLR1および第2LDD拡散層第2部SLR2と、を含む。選択ゲート電極SGEの対向する両側面のそれぞれには、オフセットスペーサ膜OSFを介在させてスペーサ膜PSFが形成されている。
【0028】
メモリ領域BNRでは、メモリゲート電極NGEと選択ゲート電極SGEとの間に位置するシリコン基板BSUBに、メモリ領域第1部BNR1(第1素子領域第1部)が規定されている。メモリゲート電極NGEに対して、選択ゲート電極SGEが配置されている側とは反対側に位置するシリコン基板BSUBに、メモリ領域第2部BNR2(第1素子領域第2部)が規定されている。選択ゲート電極SGEに対して、メモリゲート電極NGEが配置されている側とは反対側に位置するシリコン基板BSUBに、メモリ領域第3部BNR3(第1素子領域第3部)が規定されている。
【0029】
メモリ領域第2部BNR2に位置するシリコン基板BSUBの表面に、第1せり上げエピタキシャル層NEL(第1せり上げ部)が形成されている。第1せり上げエピタキシャル層NELは、シリコン基板BSUBの表面からその表面よりも高い位置にわたり形成されている。メモリ領域第3部BNR3に位置するシリコン基板BSUBの表面に、第2せり上げエピタキシャル層SEL(第2せり上げ部)が形成されている。第2せり上げエピタキシャル層SELは、シリコン基板BSUBの表面からその表面よりも高い位置にわたり形成されている。
【0030】
一方、メモリ領域第1部BNR1に位置するシリコン基板BSUBの表面には、エピタキシャル層は形成されていない。すなわち、メモリ領域第1部BNR1には、エピタキシャル層が形成されていない非せり上げ部HELが位置する。そのメモリ領域第1部BNR1では、メモリトランジスタMTRの第1拡散層第1部NDR1(第1不純物領域第1部)および第1LDD拡散層第1部NLR1と、選択トランジスタSTRの第2拡散層第1部SDR1(第2不純物領域第1部)および第2LDD拡散層第1部SLR1とが形成されている。
【0031】
第1LDD拡散層第1部NLR1および第2LDD拡散層第1部SLR1は、シリコン基板BSUBの表面(金属シリサイド膜MSFの表面)から所定の深さにわたり形成されている。第1拡散層第1部NDR1および第2拡散層第1部SDR1は、シリコン基板BSUBの表面(金属シリサイド膜MSFの表面)から第1LDD拡散層第1部NLR1および第2LDD拡散層第1部SLR1よりも深い位置にわたり形成されている。
【0032】
第1せり上げエピタキシャル層NELの表面、第2せり上げエピタキシャル層SELの表面、メモリゲート電極NGEの上面および選択ゲート電極SGEの上面のそれぞれには、たとえば、ニッケルシリサイド膜等の金属シリサイド膜MSFが形成されている。また、非せり上げ部HELに位置するシリコン基板BSUBの表面にも、金属シリサイド膜MSFが形成されている。
【0033】
メモリ領域第2部BNR2では、第1拡散層第2部NDR2が、主として第1せり上げエピタキシャル層NELに形成されている。第1LDD拡散層第2部NLR2は、シリコン基板BSUBの表面から所定の深さにわたり形成されている。メモリ領域第3部BNR3では、第2拡散層第2部SDR2が、主として第2せり上げエピタキシャル層SELに形成されている。第2LDD拡散層第2部SLR2は、シリコン基板BSUBの表面から所定の深さにわたり形成されている。
【0034】
低耐圧MOSトランジスタ領域SCR(第2素子領域)には、半導体素子として、低耐圧MOSトランジスタLTRが形成されている。低耐圧MOSトランジスタLTRは、ゲート絶縁膜COX、ゲート電極CGEおよび第3不純物拡散層TFR(第3不純物領域)を有している。ゲート電極CGEは、シリコン層SLの表面の上にゲート絶縁膜COXを介在させて形成されている。第3不純物拡散層TFRは、比較的高濃度の不純物がそれぞれ注された第3拡散層第1部(第3不純物領域第1部)CDR1および第3拡散層第2部(第3不純物領域第2部)CDR2と、比較的低濃度の不純物がそれぞれ注入された第3LDD拡散層第1部CLR1および第3LDD拡散層第2部CLR2と、を含む。ゲート電極CGEの対向する両側面のそれぞれには、オフセットスペーサ膜OSFを介在させてスペーサ膜PSFが形成されている。
【0035】
ゲート電極CGEに対して、ゲート電極CGEのゲート長方向の一方に位置するシリコン層SLに第3せり上げエピタキシャル層CEL1(第3せり上げ部)が形成されている。第3せり上げエピタキシャル層CEL1は、シリコン層SLの表面からその表面よりも高い位置にわたり形成されている。ゲート電極CGEに対して、ゲート長方向の他方に位置するシリコン層SLに、第4せり上げエピタキシャル層CEL2(第4せり上げ部)が形成されている。第4せり上げエピタキシャル層CEL2は、シリコン層SLの表面からその表面よりも高い位置にわたり形成されている。
【0036】
第3LDD拡散層第1部CLR1および第3LDD拡散層第2部CLR2は、シリコン層SLの表面から絶縁膜BOLに達するように形成されている。第3拡散層第1部CDR1は、主として第3せり上げエピタキシャル層CEL1に形成されている。第3拡散層第2部CDR2は、主として第4せり上げエピタキシャル層CEL2に形成されている。第3せり上げエピタキシャル層CEL1の表面、第4せり上げエピタキシャル層CEL2の表面およびゲート電極CGEの上面のそれぞれに、金属シリサイド膜MSFが形成されている。
【0037】
メモリトランジスタMTR、選択トランジスタSTRおよび低耐圧MOSトランジスタLTR等を覆うように、層間絶縁膜ILFが形成されている。層間絶縁膜ILFを覆うように、絶縁膜ZOFが形成されている。絶縁膜ZOFに、配線WB、配線WSおよび配線WCが形成されている。配線WBは、プラグPLGを介して、メモリトランジスタMTRの第1拡散層第2部等に電気的に接続されている。配線WSは、プラグPLGを介して、選択トランジスタSTRの第2拡散層第2部等に電気的に接続されている。
【0038】
配線WCのうち、一方の配線WCは、プラグPLGを介して、第3拡散層第1部CDR1等に電気的に接続されている。他方の配線WCは、プラグPLGを介して、第3拡散層第2部CDR2等に電気的に接続されている。配線WB、配線WSおよび配線WCを覆うように、層間絶縁膜が形成されている。その層間絶縁膜に、上層の配線(図示せず)が形成されている。
【0039】
実施の形態1に係る半導体装置は、上記のように構成される。この半導体装置では、特に、メモリ領域BNRのうち、メモリ領域第1部BNR1に、エピタキシャル層が形成されていない非せり上げ部HELが位置する構造が採用されている。
【0040】
次に、メモリ領域第1部BNR1に、エピタキシャル層を形成させない半導体装置の製造方法の第1例について説明する。まず、SOI基板SUBが用意される。SOI基板SUBでは、シリコン基板BSUB上に絶縁膜BOLを介在させてシリコン層SLが形成されている(図2参照)。次に、所定の写真製版処理を行うことにより、SOI領域SIRとなる領域を覆い、バルク領域BURとなる領域を露出するフォトレジストパターンPR1が形成される(図2参照)。
【0041】
次に、図2に示すように、フォトレジストパターンPR1をエッチングマスクとして、露出しているシリコン層SLを除去することにより、バルク領域BURとなる領域に位置する絶縁膜BOLが露出する。その後、フォトレジストパターンPR1が除去される。
【0042】
次に、所定の写真製版処理、エッチング処理および成膜処理等を行うことにより、素子分離絶縁膜TISが形成される(図3参照)。バルク領域BURとなる領域では、素子分離絶縁膜TISによって、メモリ領域BNR等が規定される。SOI領域SIRでは、低耐圧MOSトランジスタ領域SCR等が規定される。
【0043】
次に、図3に示すように、バルク領域BURとなる領域に位置する絶縁膜BOLが除去されて、バルク領域BURが規定される。次に、所定の写真製版処理およびイオン注入処理を行うことにより、バルク領域BURに位置するシリコン基板BSUBに、p型のウェル領域PWRが形成される。
【0044】
次に、所定の写真製版処理およびイオン注入処理を行うことにより、メモリ領域BNRにおいて選択トランジスタが形成される領域に位置するシリコン基板BSUBの表面(すなわち、ウェル領域PWRの表面)に、チャネル注入領域SCIが形成される。チャネル注入領域SCIによって、選択トランジスタのしきい値電圧が調整される。
【0045】
また、所定の写真製版処理およびイオン注入処理を行うことにより、SOI領域SIRでは、絶縁膜BOLの直下に位置するシリコン基板BSUBの表面に、グランドプレイン領域GPRが形成される。グランドプレイン領域GPRによって、低耐圧MOSトランジスタのしきい値電圧が調整される。
【0046】
次に、図4に示すように、熱酸化処理を行うことにより、シリコン層SLの表面(具体的には、シリコン層SLの表面上と、この表面の一部)およびシリコン基板BSUBの表面(具体的には、シリコン基板BSUBの表面上と、この表面の一部)に、シリコン酸化膜OXF1が形成される。シリコン酸化膜OXF1は、選択トランジスタの選択ゲート絶縁膜となる。
【0047】
次に、所定の写真製版処理を行うことにより、メモリトランジスタ領域NGRを露出し、他の領域を覆うフォトレジストパターンPR2が形成される(図5参照)。次に、フォトレジストパターンPR2を注入マスクとして、イオン注入処理を行うことにより、露出したシリコン基板BSUBの表面(すなわち、メモリトランジスタ領域NGRに位置するウェル領域PWRの表面)にチャネル注入領域NCIが形成される。チャネル注入領域NCIによって、メモリトランジスタのしきい値電圧が調整される。
【0048】
次に、図5に示すように、フォトレジストパターンPR2をエッチングマスクとして、エッチング処理を行うことにより、メモリトランジスタ領域NGRに位置するシリコン酸化膜OXF1が除去される。その後、フォトレジストパターンPR2が除去される。
【0049】
次に、図6に示すように、たとえば、熱酸化法およびCVD法(Chemical Vapor Deposition)によって、シリコン酸化膜OX1、シリコン窒化膜NIおよびシリコン酸化膜OX2を順次積層させたONO膜NXFが形成される。ONO膜NXFは、メモリトランジスタのメモリゲート絶縁膜となる。ONO膜NXFのうち、シリコン窒化膜NIは、電荷蓄積層となる。
【0050】
次に、図7に示すように、所定の写真製版処理を行うことにより、メモリトランジスタ領域NGRを含む領域を覆い、他の領域を露出するフォトレジストパターンPR3が形成される。このとき、フォトレジストパターンPR3は、シリコン酸化膜OXF1を覆うようにONO膜NXFが積層された部分のうち、第1素子領域第1部BNR1(図1参照)に対応する領域に積層されているシリコン酸化膜OXF1およびONO膜NXFの部分を覆うように形成される。
【0051】
次に、フォトレジストパターンPR3をエッチングマスクとしてエッチング処理を行うことにより、露出しているONO膜NXFが除去される。その後、フォトレジストパターンPR3が除去される。次に、所定の写真製版処理を行うことにより、バルク領域BURを覆い、SOI領域SIRを露出するフォトレジストパターン(図示せず)が形成される。次に、そのフォトレジストパターンをエッチングマスクとして、エッチング処理を行うことにより、SOI領域SIRに位置するシリコン酸化膜OXF1等が除去される。その後、そのフォトレジストパターンが除去される。
【0052】
次に、図8に示すように、熱酸化処理を行うことにより、シリコン層SLの表面にシリコン酸化膜OXF2が形成される。シリコン酸化膜OXF2は、低耐圧MOSトランジスタのゲート絶縁膜となる。次に、シリコン酸化膜OXF1、シリコン酸化膜OXF2およびONO膜NXF等を覆うように、たとえば、CVD法により、ポリシリコン膜(図示せず)が形成される。そのポリシリコン膜を覆うように、ハードマスクHM(図9参照)となる、たとえば、シリコン窒化膜(図示せず)が形成される。
【0053】
次に、所定の写真製版処理およびエッチング処理を行うことにより、メモリゲート電極NGE、選択ゲート電極SGEおよびゲート電極CGEがパターニングされる(図9参照)。次に、図9に示すように、メモリゲート電極NGE、選択ゲート電極SGEおよびゲート電極CGEを覆うように、オフセットスペーサ膜OSFが形成される。
【0054】
次に、図10に示すように、所定の写真製版処理を行うことにより、SOI領域SIRを覆い、バルク領域BURを露出するフォトレジストパターンPR4が形成される。次に、フォトレジストパターンPR4をエッチングマスクとしてエッチング処理が施される。このとき、メモリ領域第1部BNR1では、シリコン酸化膜OXF1が残される態様で、エッチング処理が行われる。
【0055】
メモリ領域第2部BNR2では、オフセットスペーサ膜OXF、ONO膜NXFおよびシリコン酸化膜OXF1が除去されて、シリコン基板BSUBの表面が露出する。メモリ領域第3部BNR3では、オフセットスペーサ膜OXFおよびシリコン酸化膜OXF1が除去されて、シリコン基板BSUBの表面が露出する。一方、メモリ領域第1部BNR1では、シリコン酸化膜OXF1が残される態様で、オフセットスペーサ膜OXF、ONO膜NXFおよびシリコン酸化膜OXF1の一部が除去される。
【0056】
次に、メモリゲート電極NGE、選択ゲート電極SGEおよびフォトレジストパターンPR4を注入マスクとして、露出したシリコン基板BSUBの表面に、たとえば、n型の不純物が注入される。そして、熱処理がほどこされることにより、注入された不純物が拡散する。この結果、メモリ領域第1部BNR1に位置するシリコン基板BSUBの表面(すなわち、ウェル領域PWRの表面)に、比較的低濃度の不純物領域が形成される。なお、この不純物領域(低濃度領域)には、メモリトランジスタMTRを構成する第1LDD拡散層第1部NLR1と、選択トランジスタSTRを構成する第2LDD拡散層第1部SLR1とが含まれる。メモリ領域第2部BNR2では、第1LDD拡散層第2部NLR2が形成される。メモリ領域第3部BNR3では、第2LDD拡散層第2部SLR2が形成される。その後、フォトレジストパターンPR4が除去される。
【0057】
次に、図11に示すように、メモリゲート電極NGE、選択ゲート電極SGEおよびゲート電極CGE等のそれぞれの側面に、スペーサ膜TSFが形成される。これにより、メモリ領域第1部BNR1は、シリコン酸化膜OXF1およびスペーサ膜TSF(阻止膜)によってシリコン基板BSUBの表面が覆われた状態になる。
【0058】
次に、図12に示すように、エピタキシャル成長法によって、露出したシリコン基板BSUB等の表面にシリコンのエピタキシャル成長が行われる。バルク領域BURにおけるメモリ領域BNRのうちのメモリ領域第2部BNR2では、シリコン基板BSUBの表面に第1せり上げエピタキシャル層NELが形成される。また、バルク領域BURにおけるメモリ領域BNRのうちのメモリ領域第3部BNR3でも、シリコン基板BSUBの表面に第2せり上げエピタキシャル層SELが形成される。さらに、SOI領域SIRにおいても、シリコン層SLの表面に、第3せり上げエピタキシャル層CEL1と第4せり上げエピタキシャル層CEL2とが形成される。
【0059】
一方、バルク領域BURにおけるメモリ領域BNRのうちのメモリ領域第1部BNR1では、シリコン基板BSUBの表面が、シリコン酸化膜OXF1およびスペーサ膜TSFによって覆われていることで、シリコンのエピタキシャル成長は行われない。
【0060】
ここで、近年では、半導体装置の更なる低コスト化も要求されている。そして、半導体装置の製造コストを低減するためには、たとえば、図10に示すエッチング処理を行う工程では、シリコン酸化膜OXF1が残らないようにエッチング処理を行う。図12に示す、各せり上げエピタキシャル層を形成する工程では、SOI領域SIRとメモリ領域第2部BNR2とメモリ領域第3部BNR3だけでなく、メモリ領域第1部BNR1にもせり上げエピタキシャル層を形成することで、その一連の製造プロセスを簡略化(削減)することが考えられる。
【0061】
しかしながら、上述したように、メモリトランジスタと選択トランジスタとの間に位置する半導体基板の表面上にもせり上げエピタキシャル層を形成してしまうと、電流(電子)が流れる経路のうち、メモリトランジスタと選択トランジスタとの間の経路である半導体基板の抵抗値が増大する。そのため、半導体装置の更なる低消費電力化を考慮した場合は、本実施の形態のように、SOI領域SIRにおける低耐圧MOSトランジスタ領域SCRにせり上げエピタキシャル層を形成する工程において、バルク領域BURにおけるメモリ領域BNRのうちのメモリ領域第2部BNR2とメモリ領域第3部BNR3とにもせり上げエピタキシャル層を形成するが、バルク領域BURにおけるメモリ領域BNRのうちのメモリ領域第1部BNR1には、せり上げエピタキシャル層を形成しないことが好ましい。
【0062】
次に、たとえば、ウェットエッチング処理を行うことにより、スペーサ膜TSFおよびハードマスクHM等が除去される。次に、図13に示すように、所定の写真製版処理を行うことにより、バルク領域BURを覆い、SOI領域SIRを露出するフォトレジストパターンPR5が形成される。次に、ゲート電極CGEおよびフォトレジストパターンPR5を注入マスクとして、露出したシリコン層SL(すなわち、第3せり上げエピタキシャル層CEL1とゲート電極CGEとの間に位置するシリコン層SL、および、第4せり上げエピタキシャル層CEL2とゲート電極CGEとの間に位置するシリコン層SL)と、第3せり上げエピタキシャル層CEL1および第4せり上げエピタキシャル層CEL2のそれぞれの表面に、たとえば、n型の不純物を注入する。そして、熱処理が施されることにより、注入された不純物が拡散する。この結果、露出したシリコン層SLと、第3せり上げエピタキシャル層CEL1および第4せり上げエピタキシャル層CEL2のそれぞれの表面に、第3LDD拡散層第1部CLR1と第3LDD拡散層第2部CLR2とが形成される。その後、フォトレジストパターンPR5が除去される。
【0063】
次に、図14に示すように、メモリゲート電極NGE、選択ゲート電極SGEおよびゲート電極CGE等のそれぞれの側面に、スペーサ膜PSFが形成される。次に、所定の写真製版処理を行うことにより、SOI領域SIRを覆い、バルク領域BURを露出するフォトレジストパターン(図示せず)が形成される。次に、そのフォトレジストパターン、メモリゲート電極NGEおよび選択ゲート電極SGE等を注入マスとして、露出したシリコン基板BSUBの表面と、露出した第1せり上げエピタキシャル層NELの表面と、露出した第2せり上げエピタキシャル層SELの表面とに、たとえば、n型の不純物が注入される。
【0064】
そして、熱処理が施されることにより、注入された不純物が拡散する。この結果、メモリ領域第1部BNR1に位置するシリコン基板BSUBの表面(すなわち、第1LDD拡散層第1部NLR1の一部、第2LDD拡散層第1部SLR1の一部、および、ウェル領域PWRの一部)に、比較的高濃度の不純物領域が形成される。なお、この不純物領域(高濃度領域)には、メモリトランジスタMTRを構成する第1拡散層第1部NDR1と、選択トランジスタSTRを構成する第2拡散層第1部SDR1とが含まれる。
【0065】
メモリ領域第2部BNR2では、第1せり上げエピタキシャル層NELと、この第1せり上げエピタキシャル層NELの直下に位置するシリコン基板BSUBの表面(すなわち、第1LDD拡散層第2部NLR2の一部)とに、第1拡散層第2部NDR2が形成される。メモリ領域第3部BNR3では、第2せり上げエピタキシャル層SELと、この第2せり上げエピタキシャル層SELの直下に位置するシリコン基板BSUBの表面(すなわち、第2LDD拡散層第2部SLR2の一部)とに、第2拡散層第2部SDR2が形成される。その後、フォトレジストパターンが除去される。
【0066】
次に、所定の写真製版処理を行うことにより、バルク領域BURを覆い、SOI領域SIRを露出するフォトレジストパターン(図示せず)が形成される。次に、そのフォトレジストパターンおよびゲート電極CGE等を注入マスとして、露出した第3せり上げエピタキシャル層CEL1の表面と、露出した第4せり上げエピタキシャル層CEL2の表面とに、たとえば、n型の不純物が注入される。
【0067】
そして、熱処理が施されることにより、注入された不純物が拡散する。この結果、第3せり上げエピタキシャル層CEL1と、この第3せり上げエピタキシャル層CEL1の直下に位置するシリコン層SL(すなわち、第3LDD拡散層第1部CLR1の一部)とに、第3拡散層第1部CDR1が形成される。また、第4せり上げエピタキシャル層CEL2と、この第4せり上げエピタキシャル層CEL2の直下に位置するシリコン層SL(すなわち、第3LDD拡散層第2部CLR2の一部)とに、第3拡散層第2部CDR2が形成される。その後、フォトレジストパターンが除去される。
【0068】
次に、図15に示すように、たとえば、ウェットエッチング処理を行うことにより、シリコン酸化膜OXF1が除去される。特に、メモリ領域第1部BNR1では、シリコン酸化膜OXF1が除去されることで、シリコン基板BSUBの表面が露出する。
【0069】
次に、図16に示すように、サリサイド法によって、たとえば、ニッケルシリサイド等の金属シリサイド膜MSFが形成される。メモリ領域第1部BNR1では、シリコン基板BSUB(第1拡散層第1部NDR1および第2拡散層第1部SDR1)の表面に、金属シリサイド膜MSFが形成される。メモリ領域第2部BNR2では、第1せり上げエピタキシャル層NELの表面に金属シリサイド膜MSFが形成される。メモリ領域第3部BNR3では、第2せり上げエピタキシャル層SELの表面に金属シリサイド膜MSFが形成される。また、メモリゲート電極NGEの上面に金属シリサイド膜MSFが形成される。選択ゲート電極SGEの上面に金属シリサイド膜MSFが形成される。
【0070】
SOI領域SIRでは、第3せり上げエピタキシャル層CEL1の表面に金属シリサイド膜MSFが形成される。第4せり上げエピタキシャル層CEL2の表面に金属シリサイド膜MSFが形成される。また、ゲート電極CGEの上面に金属シリサイド膜MSFが形成される。
【0071】
次に、図17に示すように、メモリトランジスタMTR、選択トランジスタSTRおよび低耐圧MOSトランジスタLTR等を覆うように、たとえば、シリコン酸化膜等の層間絶縁膜ILFが形成される。次に、層間絶縁膜ILFを貫通して金属シリサイド膜MSFのそれぞれに達するプラグPLGが形成される。次に、層間絶縁膜ILFを覆うように絶縁膜ZOFが形成される。その絶縁膜ZOFに、たとえば、ダマシン法によって、配線WB、配線WCおよび配線WCが形成される。その後、上層の配線(図示せず)を形成することにより、図1に示す半導体装置が完成する。
【0072】
次に、上述した半導体装置の動作について説明する。まず、書込み動作について説明する。図18に示すように、選択されたビットにおけるメモリトランジスタMTRのメモリゲート電極NGEに8.0V、選択トランジスタSTRの選択ゲート電極SGEに-2.5V、配線WB(ビット線)に-2.5V、配線WS(ソース線)に0V、ウェル領域PWRに-2.5Vが、それぞれ印加される。
【0073】
これにより、メモリトランジスタMTRのメモリゲート電極NGEには正バイアスが印加されて、負バイアスが印加されているウェル領域PWRからメモリゲート絶縁膜NOXにおける電荷蓄積層(シリコン窒化膜NI)に向かって、情報としての電子が注入される。こうして、選択されたビットに対して、情報の書込みが行われる。
【0074】
次に、消去動作について説明する。図19に示すように、選択されたビットにおけるメモリトランジスタMTRのメモリゲート電極NGEに-3.5V、選択トランジスタSTRの選択ゲート電極SGEに3.3V、ウェル領域PWRに6.5Vが、がそれぞれ印加される。また、配線WB(ビット線)および配線WS(ソース線)を、ハイインピーダンス(Hi-Z)の状態にする。ハイインピーダンスの状態とは、フローティングの状態である。
【0075】
これにより、メモリトランジスタMTRのメモリゲート電極NGEには負バイアスが印加されて、メモリゲート絶縁膜NOXの電荷蓄積層に印加されている情報としての電子が、正バイアスが印加されているウェル領域PWRに向かって引き抜かれる。こうして、選択されたビットに対して、情報の消去が行われる。
【0076】
次に、読み出し動作について説明する。まず、選択されたビットに情報が書き込まれている場合について説明する。図20に示すように、選択されたビットにおけるメモリトランジスタMTRのメモリゲート電極NGEに0V、選択トランジスタSTRの選択ゲート電極SGEに3V、配線WB(ビット線)に0.8V、配線WS(ソース線)に0V、ウェル領域PWRに0Vが、それぞれ印加される。
【0077】
この場合、メモリトランジスタMTRの電荷蓄積層に情報としての電子が注入されていることで、メモリトランジスタMTRのしきい値電圧が基準電位よりも高くなる。このため、配線WS(ソース線)側から配線WB(ビット線)側に向かって、基準電流よりも低い電流が流れるか、電流が流れないことになる。すなわち、基準電流よりも低い電流が流れる場合には、選択されたビットは、情報が書き込まれている書込みセルと判定される。
【0078】
次に、選択されたビットに情報が書き込まれていない場合について説明する。図21に示すように、選択されたビットにおけるメモリトランジスタMTRのメモリゲート電極NGEに0V、選択トランジスタSTRの選択ゲート電極SGEに3V、配線WB(ビット線)に0.8V、配線WS(ソース線)に0V、ウェル領域PWRに0Vが、それぞれ印加される。
【0079】
この場合、メモリトランジスタMTRの電荷蓄積層に情報としての電子が注入されていないことで、メモリトランジスタMTRのしきい値電圧が基準電位よりも低くなる。このため、配線WS(ソース線)側から配線WB(ビット線)側に向かって、基準電流よりも高い電流が流れることになる。すなわち、基準電流よりも高い電流が流れる場合には、選択されたビットは、情報が書き込まれていない消去セルと判定される。
【0080】
このように、情報の読み出し動作の際には、配線WS(ソース線)側から配線WB(ビット線)側に向かって電流が流れることになるが、その際には、メモリトランジスタMTRと選択トランジスタSTRとの間を流れることになる。
【0081】
上述した半導体装置では、メモリトランジスタMTRと選択トランジスタSTRとの間のメモリ領域第1部BNR1には、せり上げエピタキシャル層が形成されていない非せり上げ部HELが位置する。これにより、せり上げエピタキシャル層が形成されている場合と比べて、消去セルを書込みセルと判定してしまう誤判定を抑制することができる。このことについて、説明する。
【0082】
まず、比較例に係る半導体装置について説明する。図22に示すように、比較例に係る半導体装置では、メモリトランジスタMTRと選択トランジスタSTRとの間に、せり上げエピタキシャル層EELが形成されている。そのせり上げエピタキシャル層EELには、メモリトランジスタの第1拡散層NDRと選択トランジスタSTRの第2拡散層SDRとが形成されている。
【0083】
第1拡散層NDRと第2拡散層SDRとは、せり上げエピタキシャル層EELの表面から、n型の不純物を注入することによって形成される。n型の不純物は、せり上げエピタキシャル層EELの表面から、たとえば、約50nm程度の深さまで拡散されるが、n型の不純物濃度が比較的高い領域は、せり上げエピタキシャル層EELの表面から、たとえば、約30nm程度の深さまでと考えられる。
【0084】
せり上げエピタキシャル層EELの表面に金属シリサイド膜MSFが形成されることを考慮すると、せり上げエピタキシャル層EEL内において、n型の不純物濃度が比較的高い領域の深さDHは、約20nm程度と考えられる。そうすると、せり上げエピタキシャル層EEL内において、シリコン基板BSUBの表面に対応する位置(深さ)では、n型の不純物濃度は低くなる。
【0085】
図23に示すように、この比較例に係る半導体装置の場合、情報の読み出し動作の際に、メモリトランジスタMTRと選択トランジスタSTRとの間を流れる電流の経路としては、電流経路RAと電流経路RBとが形成される。
【0086】
電流経路RAは、シリコン基板BSUBの表面から金属シリサイド膜MSFへ流れる経路DK1と、金属シリサイド膜MSFを流れる経路DK2と、金属シリサイド膜MSFからシリコン基板BSUBの表面へ流れる経路DK3とからなる。電流経路RBは、せり上げエピタキシャル層EEL内の、シリコン基板BSUBの表面とほぼ同じ高さに位置する部分を流れる経路DK4からなる。
【0087】
ここで、経路DK1が抵抗RT1を有し、経路DK2が抵抗RT2を有し、経路DK3が抵抗RT3を有しているとすると、電流経路RAの抵抗は、抵抗RT1と抵抗RT2と抵抗RT3との和になる。電流経路RBの抵抗は、経路DK4が有する抵抗RT4になる。前述したように、低濃度領域および高濃度領域のそれぞれを形成する工程では、シリコン基板やせり上げエピタキシャル層などの対象物の表面に不純物を注入している。すなわち、せり上げエピタキシャル層EELの表面からシリコン基板BSUBの表面に向かう方向に不純物を注入している。
【0088】
そのため、せり上げエピタキシャル層EELの厚さ方向においては、せり上げエピタキシャル層EELの表面に近い領域の不純物濃度は比較的高くなる一方、せり上げエピタキシャル層EELの表面から遠い領域の不純物濃度は比較的低くなる。これにより、せり上げエピタキシャル層EELの表面から遠い領域の抵抗RT4は、抵抗RT1~抵抗RT4のうちで最も高くなる。メモリトランジスタMTRと選択トランジスタSTRとの間を流れる電流経路の抵抗は、電流経路RAの抵抗と電流経路RBの抵抗とを並列接続させた合成抵抗となる。
【0089】
このため、せり上げエピタキシャル層EELが形成されておらず、電流経路としては実質的に経路DK2だけの場合(図24参照)に比べて、メモリトランジスタMTRと選択トランジスタSTRとの間の電流経路の抵抗は高くなる。そうすると、比較例に係る半導体装置では、読み出し動作の際に、メモリトランジスタMTRと選択トランジスタSTRとの間を、電流が流れにくくなる。
【0090】
上述したように、読み出し動作では、基準電流よりも高い電流が流れる場合には、選択されたビットは、情報が書き込まれていない消去セルと判定される。一方、基準電流よりも低い電流が流れる場合には、選択されたビットは、情報が書き込まれている書込みセルと判定される。
【0091】
メモリトランジスタMTRと選択トランジスタSTRとの間を電流が流れにくくなると、配線WS(ソース線)から配線WB(ビット線)へ向かって、本来、流れるべき電流が流れにくくなるおそれがある。このため、特に、基準電流よりも低い電流が流れてしまうような場合には、選択されたビットが、本来、消去セルであるにもかかわらず、書込みセルであると誤って判定されるおそれがある。
【0092】
比較例に係る半導体装置に対して実施の形態1に係る半導体装置では、メモリトランジスタMTRと選択トランジスタSTRとの間のメモリ領域第1部BNR1には、せり上げエピタキシャル層が形成されていない非せり上げ部HELが位置する。
【0093】
図24に示すように、実施の形態1に係る半導体装置の場合、情報の読み出し動作の際に、メモリトランジスタMTRと選択トランジスタSTRとの間を流れる電流の経路としては、電流経路RRが形成される。電流経路RRは、主として、シリコン基板BSUBの表面に形成された金属シリサイド膜MSFを流れる経路DKからなる。
【0094】
また、何れも高濃度領域であるメモリトランジスタの第1拡散層第1部NDR1および第1拡散層第2部NDR2、ならびに、選択トランジスタSTRの第2拡散層第1部SDR1および第2拡散層第2部SDR2のうち、金属シリサイド膜MSFに近い領域(すなわち、電流経路RRの一部となり得る領域)の不純物濃度は、この金属シリサイド膜MSFから遠い領域の不純物濃度よりも高い。そのため、経路DKが有する抵抗RTは、比較例(図23参照)に係る経路DKが有する抵抗RT2に相当する。
【0095】
このため、実施の形態1に係る半導体装置では、比較例に係る半導体装置と比べて、メモリトランジスタMTRと選択トランジスタSTRとの間の電流経路RR(経路DK)の抵抗RTが低くなる。発明者らの評価によれば、抵抗RTは、比較例に係る場合の抵抗よりも半分以下になることが見積もられた。
【0096】
これにより、読み出し動作では、配線WS(ソース線)から配線WB(ビット線)へ向かって、本来、流れるべき電流が流れやすくなる。このため、基準電流よりも低い電流が流れる場合において、選択されたビットが、本来、消去セルであるにもかかわらず、書込みセルであると誤って判定されるのを抑制することができる。
【0097】
次に、メモリ領域第1部BNR1には、せり上げエピタキシャル層が形成されていない非せり上げ部HELが位置する一方で、メモリ領域第2部BNR2では、第1せり上げエピタキシャル層NELが形成されている理由について簡単に説明する。
【0098】
図25に示すように、メモリ領域第2部BNR2に第1せり上げエピタキシャル層NELが形成されていない場合には、第1拡散層第2部NDR2は、シリコン基板BSUBの表面から、n型の不純物を注入することによって形成されることになる。注入された不純物は、その周囲、すなわち、厚さ方向だけでなく、横方向にも拡散する。このため、注入された第1拡散層第2部NDR2のn型の不純物が、メモリゲート電極NGEの直下の領域にまで拡散しやすくなる。そうすると、メモリトランジスタMTRの実効ゲート長が短くなるおそれがある。実効ゲート長が短くなると、半導体装置の微細化に際して、短チャネル特性が悪化するおそれがある。また、誤って書込みが行われる誤動作が発生するおそれがある。
【0099】
実施の形態1に係る半導体装置では、図14に示すように、メモリ領域第2部BNR2に第1せり上げエピタキシャル層NELを形成し、さらに、この第1せり上げエピタキシャル層NELの表面から、n型の不純物を注入することによって、第1拡散層第2部NDR2を形成する。これにより、第1拡散層第2部NDR2のn型の不純物が、メモリゲート電極NGEの直下の領域にまで拡散するのを抑制することができ、短チャネル特性の悪化または誤動作を抑制することができる。
【0100】
(実施の形態2)
ここでは、前述した半導体装置の製造方法の第2例について説明する。なお、実施の形態1に係る半導体装置と同一部材については同一符号を付し、必要である場合を除きその説明を繰り返さないこととする。
【0101】
前述した図2図9に示す工程と同様の工程を経て、図26に示すように、メモリゲート電極NGE、選択ゲート電極SGEおよびゲート電極CGEを覆うように、オフセットスペーサ膜OSFが形成される。
【0102】
次に、図27に示すように、所定の写真製版処理を行うことにより、SOI領域SIRを覆い、バルク領域BURを露出するフォトレジストパターンPR4が形成される。次に、フォトレジストパターンPR4をエッチングマスクとしてエッチング処理が施される。このとき、メモリ領域第1部BNR1に位置するシリコン基板BSUBの表面も露出するように、エッチング処理が行われる。
【0103】
次に、図10に示す工程と同様に、イオン注入処理が行われる。これにより、メモリ領域第1部BNR1では、第1LDD拡散層第1部NLR1と第2LDD拡散層第1部SLR1とが形成される。メモリ領域第2部BNR2では、第1LDD拡散層第2部NLR2が形成される。メモリ領域第3部BNR3では、第2LDD拡散層第2部SLR2が形成される。その後、フォトレジストパターンPR4が除去される。
【0104】
次に、メモリゲート電極NGE、選択ゲート電極SGEおよびゲート電極CGEを覆うように、シリコン酸化膜TSFF(図28参照)が形成される。次に、所定の写真製版処理を行うことにより、メモリ領域第1部BNR1に位置するシリコン酸化膜TSFFを覆い、他の領域を露出するフォトレジストパターンPR6(図28参照)が形成される。
【0105】
次に、図28に示すように、フォトレジストパターンPR6をエッチングマスクとして、シリコン酸化膜TSFFにエッチング処理が行われる。これにより、メモリゲート電極NGEの一方の側面にスペーサ膜TSFが形成される。選択ゲート電極SGEの一方の側面にスペーサ膜TSFが形成される。ゲート電極CGEの両側面のそれぞれに、スペーサ膜TSFが形成される。メモリ領域第1部BNR1では、シリコン基板BSUBがシリコン酸化膜TSFFによって覆われた状態にある。その後、フォトレジストパターンPR6が除去される。
【0106】
次に、図29に示すように、エピタキシャル成長法によって、露出したシリコン基板BSUB等の表面にシリコンのエピタキシャル成長が行われる。メモリ領域第2部BNR2では、シリコン基板BSUBの表面に第1せり上げエピタキシャル層NELが形成される。メモリ領域第3部BNR3では、シリコン基板BSUBの表面に第2せり上げエピタキシャル層SELが形成される。
【0107】
SOI領域SIRでは、シリコン層SLの表面に、第3せり上げエピタキシャル層CEL1と第4せり上げエピタキシャル層CEL2とが形成される。一方、メモリ領域第1部BNR1では、シリコン基板BSUBの表面がシリコン酸化膜TSFFによって覆われていることで、シリコンのエピタキシャル成長は行われない。
【0108】
次に、所定の写真製版処理を行うことにより、メモリ領域第1部BNR1を露出し、他の領域を覆うフォトレジストパターンPR7(図30参照)が形成される。次に、図30に示すように、フォトレジストパターンPR7をエッチングマスクとして、シリコン酸化膜TSFFにエッチング処理を行うことにより、シリコン酸化膜TSFFが除去されてメモリ領域第1部BNR1に位置するシリコン基板BSUBの表面が露出する。
【0109】
このとき、メモリゲート電極NGEおよび選択ゲート電極SGEのそれぞれにスペーサ膜TSFが形成される。その後、フォトレジストパターンPR7が除去される。次に、たとえば、ウェットエッチング処理を行うことにより、スペーサ膜TSF等が除去される。
【0110】
次に、図31に示すように、所定の写真製版処理を行うことにより、バルク領域BURを覆い、SOI領域SIRを露出するフォトレジストパターンPR8が形成される。次に、ゲート電極CGEおよびフォトレジストパターンPR8を注入マスクとして、たとえば、n型の不純物を注入することにより、シリコン層SLに、第3LDD拡散層第1部CLR1と第3LDD拡散層第2部CLR2とが形成される。その後、フォトレジストパターンPR8が除去される。
【0111】
次に、図32に示すように、メモリゲート電極NGE、選択ゲート電極SGEおよびゲート電極CGE等のそれぞれの側面に、スペーサ膜PSFが形成される。次に、所定の写真製版処理を行うことにより、SOI領域SIRを覆い、バルク領域BURを露出するフォトレジストパターン(図示せず)が形成される。
【0112】
次に、そのフォトレジストパターン、メモリゲート電極NGEおよび選択ゲート電極SGE等を注入マスとして、たとえば、n型の不純物が注入される。この注入処理により、メモリ領域第1部BNR1では、第1拡散層第1部NDR1と第2拡散層第1部SDR1とが形成される。メモリ領域第2部BNR2では、第1拡散層第2部NDR2が形成される。メモリ領域第3部BNR3では、第2拡散層第2部SDR2が形成される。その後、フォトレジストパターンが除去される。
【0113】
次に、所定の写真製版処理を行うことにより、バルク領域BURを覆い、SOI領域SIRを露出するフォトレジストパターン(図示せず)が形成される。次に、そのフォトレジストパターンおよび電極CGE等を注入マスとして、たとえば、n型の不純物が注入される。この注入処理により、第3せり上げエピタキシャル層CEL1等に、第3拡散層第1部CDR1が形成される。第4せり上げエピタキシャル層CEL2等に、第3拡散層第2部CDR2が形成される。その後、フォトレジストパターンが除去される。
【0114】
次に、図33に示すように、サリサイド法によって、たとえば、ニッケルシリサイド等の金属シリサイド膜MSFが形成される。メモリ領域第1部BNR1では、シリコン基板BSUB(第1拡散層第1部NDR1および第2拡散層第1部SDR1)の表面に、金属シリサイド膜MSFが形成される。メモリ領域第2部BNR2では、第1せり上げエピタキシャル層NELの表面に金属シリサイド膜MSFが形成される。メモリ領域第3部BNR3では、第2せり上げエピタキシャル層SELの表面に金属シリサイド膜MSFが形成される。また、メモリゲート電極NGEの上面に金属シリサイド膜MSFが形成される。選択ゲート電極SGEの上面に金属シリサイド膜MSFが形成される。
【0115】
次に、図17に示す工程と同様に、層間絶縁膜ILFが形成される。次に、層間絶縁膜ILFを貫通して金属シリサイド膜MSFのそれぞれに達するプラグPLGが形成される。次に、層間絶縁膜ILFを覆うように絶縁膜ZOFが形成される。その絶縁膜ZOFに、たとえば、ダマシン法によって、配線WB、配線WCおよび配線WCが形成される。その後、上層の配線(図示せず)を形成することにより、図34に示すように、半導体装置が完成する。半導体装置は、図1に示され半導体装置と同様の半導体装置が形成される。
【0116】
上述した半導体装置では、前述した半導体装置と同様に、メモリ領域BNRのうち、メモリ領域第1部BNR1に、エピタキシャル層が形成されていない非せり上げ部HELが位置する構造が採用されている。これにより、実施の形態1において説明したように、読み出し動作において、配線WS(ソース線)から配線WB(ビット線)へ向かって、本来、流れるべき電流が流れやすくなる。このため、基準電流よりも低い電流が流れる場合において、選択されたビットが、本来、消去セルであるにもかかわらず、書込みセルであると誤って判定されるのを抑制することができる。
【0117】
なお、上述した各実施の形態では、バルク領域BURにおけるメモリ領域BNRに、半導体素子としてのメモリトランジスタMTRと、半導体素子としての選択トランジスタSTRとが形成された構造について説明したが、バルク領域BURにおけるメモリ領域BNR以外の領域に、半導体素子として、さらに、高耐圧MOSトランジスタが形成されていてもよい。
【0118】
各実施の形態において説明した半導体装置については、必要に応じて種々組み合わせることが可能である。
【0119】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0120】
SUB SOI基板、BSUB シリコン基板、BOL 絶縁膜、SL シリコン層、BUR バルク領域、BNR メモリ領域、BNR1 メモリ領域第1部、BNR2 メモリ領域第2部、BNR3 メモリ領域第3部、NGR メモリトランジスタ領域、SGR 選択トランジスタ領域、SIR SOI領域、SCR 低耐圧MOSトランジスタ領域、TIS 素子分離絶縁膜、PWR ウェル領域、NCI チャネル注入領域、SCI チャネル注入領域、GPR グランドプレイン領域、OSF オフセットスペーサ膜、TSF、PSF スペーサ膜、MTR メモリトランジスタ、NOX メモリゲート絶縁膜、NGE メモリゲート電極、FFR 第1不純物拡散層、NDR1 第1拡散層第1部、NDR2 第1拡散層第2部、NLR1 第1LDD拡散層第1部、NLR2 第1LDD拡散層第2部、NEL 第1せり上げエピタキシャル層、STR 選択トランジスタ、SOX 選択ゲート絶縁膜、SGE 選択ゲート電極、SFR 第2不純物拡散層、SDR1 第2拡散層第1部、SDR2 第2拡散層第2部、SLR1 第2LDD拡散層第1部、SLR2 第2LDD拡散層第2部、SEL 第2せり上げエピタキシャル層、HEL 非せり上げ部、LTR 低耐圧MOSトランジスタ、COX ゲート絶縁膜、CGE ゲート電極、TFR 第3不純物拡散層、CDR1 第3拡散層第1部、CDR2 第3拡散層第2部、CLR1 第3LDD拡散層第1部、CLR2 第3LDD拡散層第2部、CEL1 第3せり上げエピタキシャル層、CEL2 第4せり上げエピタキシャル層、MSF 金属シリサイド膜、ILF 層間絶縁膜、PLG プラグ、ZOF 絶縁膜、WB、WS、WC 配線、RA 電流経路、DK1、DK2、DK3 経路、RT1、RT2、RT3 抵抗、RB 電流経路、DK4 経路、RT4 抵抗、RR 電流経路、DK 経路、RT 抵抗、DH 深さ、OXF1 シリコン酸化膜、NXF ONO膜、OX1、OX2 シリコン酸化膜、NI シリコン窒化膜、OXF2 シリコン酸化膜、PR1、PR2、PR3、PR4、PR5、PR6、PR7、PR8 フォトレジストパターン、TSFF シリコン酸化膜、EEL せり上げエピタキシャル層。
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