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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023018397
(43)【公開日】2023-02-08
(54)【発明の名称】地盤改良装置と地盤改良工法
(51)【国際特許分類】
   E02D 3/08 20060101AFI20230201BHJP
【FI】
E02D3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122496
(22)【出願日】2021-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】521219224
【氏名又は名称】忠平 美好
(71)【出願人】
【識別番号】505186740
【氏名又は名称】宮越 美由紀
(71)【出願人】
【識別番号】521328803
【氏名又は名称】忠平 直哉
(71)【出願人】
【識別番号】505186762
【氏名又は名称】関口 明子
(71)【出願人】
【識別番号】521330585
【氏名又は名称】中林 彩乃
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】忠平 美好
【テーマコード(参考)】
2D043
【Fターム(参考)】
2D043DA07
2D043DB02
2D043DB09
2D043DB10
2D043DB25
(57)【要約】
【課題】中詰め材が形状凹凸でかみ合い塊状になることを防止し、中詰め材をケーシングパイプ内に落下供給する地盤改良装置を提供する。
【解決手段】回転駆動装置7により回転して地盤内に挿入されるロッド9と、このロッド9に外装され地盤内に挿入されるケーシングパイプ10とを備え、ケーシングパイプ10の外周に設けた砕石投入口41と、地上に配置され底部にケーシングパイプ10の挿通孔を有するホッパー本体56と、このホッパー本体56に設けられ内部の砕石を撹拌する撹拌手段とを備える。撹拌手段71によりホッパー本体56内の砕石を撹拌することにより、砕石投入口41から砕石を円滑にケーシングパイプ10内に落下供給することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動装置により回転して地盤内に挿入されるロッドと、このロッドに外装され前記地盤内に挿入されるケーシングパイプとを備え、
前記ケーシングパイプの外周に設けた砕石投入口と、地上に配置され底部に前記ケーシングパイプを挿通する挿通孔を有するホッパー本体と、このホッパー本体に設けられ内部の中詰め材を撹拌する撹拌手段とを備えることを特徴とする地盤改良装置。
【請求項2】
前記撹拌手段は、前記ケーシングパイプの回転により回転する回転体と、この回転体に設けた撹拌部とを備えることを特徴とする請求項1記載の地盤改良装置。
【請求項3】
前記ロッドの先端に掘削ビットを設け、前記ロッドの先端側に同一螺旋方向の先端側螺旋翼と基端側螺旋翼とを設けると共に、これら先端側螺旋翼と基端側螺旋翼との間に前記ロッドの長さ方向の間隙を設けたことを特徴とする請求項1記載の地盤改良装置。
【請求項4】
前記回転駆動装置により前記ロッドと共に前記ケーシングパイプを回転する回転モードと、前記ロッドを回転すると共に前記ケーシングパイプを回転しない非回転モードに切り換え可能な切換手段を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の地盤改良装置。
【請求項5】
螺旋翼を有するロッドと、このロッドに外装されるケーシングパイプとを用い、前記ロッドと前記ケーシングパイプを地盤内に所定深さまで挿入し、前記ロッドを反掘削方向に回転してケーシングパイプ内の中詰め材により地盤内に圧密杭を形成する地盤改良工法において、
前記ロッドの先端側に同一螺旋方向の先端側螺旋翼と基端側螺旋翼とが設けられていると共に、これら先端側螺旋翼と基端側螺旋翼との間に前記ロッドの長さ方向の間隙が設けられており、
前記ケーシングパイプの先端から前記先端側螺旋翼を突出した状態で、前記ケーシングパイプと共に前記ロッドを反掘削方向に回転しながら前記所定深さまで挿入することを特徴とする地盤改良工法。
【請求項6】
前記先端側螺旋翼が軟弱地盤では前記ケーシングパイプと共に前記ロッドを反掘削方向に回転しながら挿入し、前記先端側螺旋翼が前記軟弱地盤より固く反掘削方向の回転では挿入不可能な地盤では前記ロッドを掘削方向に回転しながら挿入することを特徴とする請求項5記載の地盤改良工法。
【請求項7】
リーダーに回転駆動装置を昇降可能に設け、前記回転駆動装置により前記ロッドを回転して地盤内に挿入し、
側面の全長に直径方向から前記ロッドを挿通可能なロッド挿通部を有する延長用ケーシングパイプを用い、この延長用ケーシングパイプの先端を前記ケーシングパイプの基端に連結することを特徴とする請求項5記載の地盤改良工法。
【請求項8】
硬性の高い中詰め材の内部摩擦角度により押し込む圧力伝播を利用して広い原地盤の締固めで施工域全体の免振性を向上することを特徴とする請求項5~7のいずれか1項に記載の地盤改良工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤の免振と液状化抑制の複合技術で防災貢献する免振と液状化抑制などの地盤改良工法と地盤改良装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大型機械を利用する地盤の液状化抑制工法として、地震動による土粒子間隙水圧を透水効果の高い砂杭や砕石杭で吸収消散する方法が用いられ、この概念を戸建て住宅地等の液状化対策に活用した工法として、液状化抑止工法(例えば特許文献1)がある。
【0003】
前記液状化抑止工法による砕石柱は高い透水性を有し、地震時には、地盤内で発生する水圧を砕石柱内の間隙で消散して地盤における液状化現象を防止することができ、施工性に優れ、中詰め材を効率良く締め固めて高い支持力が得られるが、施工時に掘削孔壁の安定保持を目的に下端螺旋翼周辺から圧縮水と圧縮空気を噴射する必要があった。
【0004】
これに対して、先細り円錐ビットに中込め材放出口と圧密カム面との複数ずつが交互に配分形成されたパイプケーシングと、先細り円錐ビットに上記中込め材放出口の開閉弁となる先細り円錐面が対応形成されたパイプロッドとを備えた地盤改良用ドレーン杭の埋設装置(例えば特許文献2)があり、埋設装置では、圧縮水と圧縮空気を用いることなく、掘削孔に中込め材から成るドレーン杭を設けることができる。
【0005】
上記埋設装置では、掘削過程で中込め材投入用ホッパーからパイプケーシングの中込め材受け入れ口を通じて、その内部へ砕石や砂利、礫などの中込め材を供給するようにしているが、砕石などの内部摩擦角の大きなものでは、中込め材がホッパー内で砕石形状の凹凸でかみ合い塊状になるためそのままでは受け入れ口に落下せず、砕石をスムーズに供給できない場合がある。
【0006】
また、上記埋設装置では、パイプケーシングの外周面にスクリューオーガーとして機能する螺旋羽根を設けているため、地盤内挿入や引き抜き時にパイプケーシング本体の直径より大径の掘削孔が構築されるためパイプケーシング外周面と掘削孔壁面に空洞ができるため、砕石充填までの間に掘削孔壁の崩壊により原地盤を緩める要因となる。
【0007】
更に、パイプケーシングの外周側面下部から軸方向上部までパイプケーシング内部に砕石の投入用シューターを挿入する長手開口部があるため、パイプケーシングを無回転で引き抜く必要があり、パイプケーシング外周螺旋羽根の間に土砂が付着し地表に排土される。仮に、パイプケーシング外周がフラットな状態であっても無回転引抜時には粘性土質が外周面に粘土が貼りつき排土されるため原地盤を緩める要因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3669288号公報
【特許文献2】特開2009-62762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
解決しようとする課題は、中詰め材の凹凸でかみ合い塊状になることを防止し、中詰め材をケーシングパイプ内に落下供給することができる地盤改良装置と地盤改良工法を提供することを目的とし、加えて、ロッドの反掘削方向の回転により軟弱地盤を圧密する地盤改良装置と免振、液状化抑制の地盤改良工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、回転駆動装置により回転して地盤内に挿入されるロッドと、このロッドに外装され前記地盤内に挿入される外周面がフラットなケーシングパイプとを備え、前記ケーシングパイプの外周に設けた砕石投入口と、地上に配置され底部に前記ケーシングパイプの挿通孔を有するホッパー本体と、このホッパー本体に設けられ内部の中詰め材を撹拌する撹拌手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、前記撹拌手段は、前記ケーシングパイプの回転を利用して回転する回転体と、この回転体に設けた撹拌部とを備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、前記ロッドの先端に掘削ビットを設け、前記ロッドの先端側に同一螺旋方向の先端側螺旋翼と基端側螺旋翼とを設けると共に、これら先端側螺旋翼と基端側螺旋翼との間に前記ロッドの長さ方向の間隙を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、前記回転駆動装置により前記ロッドと共に前記ケーシングパイプを回転する回転モードと、前記ロッドを回転すると共に前記ケーシングパイプを回転しない非回転モードに切り換え可能な切換手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、螺旋翼を有するロッドと、このロッドに外装されるケーシングパイプとを用い、前記ロッドと前記ケーシングパイプを地盤内に所定深さまで挿入し、前記ロッドを反掘削方向に回転してケーシングパイプ内の中詰め材により地盤内に圧密杭を形成する地盤改良工法において、前記ロッドの先端側に同一螺旋方向の先端側螺旋翼と基端側螺旋翼とが設けられていると共に、これら先端側螺旋翼と基端側螺旋翼との間に前記ロッドの長さ方向の間隙が設けられており、前記ケーシングパイプの先端から前記先端側螺旋翼を突出した状態で、前記ケーシングパイプと共に前記ロッドを反掘削方向に回転しながら前記所定深さまで挿入することを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、前記先端側螺旋翼が軟弱地盤では前記ケーシングパイプと共に前記ロッドを反掘削方向に回転しながら挿入し、前記先端側螺旋翼が前記軟弱地盤より固く反掘削方向の回転では挿入不可能な地盤では前記ロッドを掘削方向に回転しながら挿入することを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、リーダーに回転駆動装置を昇降可能に設け、前記回転駆動装置により前記ロッドを回転して地盤内に挿入し、側面の全長に直径方向から前記ロッドを挿通可能なロッド挿通部を有する延長用ケーシングパイプを用い、この延長用ケーシングパイプの先端を前記ケーシングパイプの基端に連結することを特徴とする。
【0017】
請求項8の発明は、硬性の高い中詰め材の内部摩擦角度により押し込み圧力伝播を利用してより広い原地盤の締固めで施工域全体の免振性を向上することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の構成によれば、撹拌手段によりポッパー本体内の中詰め材を撹拌することにより、砕石投入口から中詰め材を円滑にケーシングパイプ内に落下供給することができる。
【0019】
請求項2の構成によれば、ケーシングパイプの回転を利用して撹拌部を回転して中詰め材を撹拌することができる。
【0020】
請求項3の構成によれば、間隙に中詰め材を充填してケーシングパイプを地中に挿入することにより、中詰め材が蓋となって掘削土砂のケーシングパイプ内への侵入を防止することができる。
【0021】
請求項4の構成によれば、回転モードにおいてロッドとケーシングパイプを一体に同一回転方向に回転して地中に挿脱し、ケーシングパイプ内に投入した中詰め材が固まった場合、非回転モードに切り換え、ケーシングパイプが回転しない状態でロッドを回転することにより、固まった中詰め材を撹拌してほぐすことができる。
【0022】
請求項5の構成によれば、間隙に中詰め材を充填することにより掘削土砂のケーシングパイプ内への侵入を防止した状態で、ケーシングパイプと共にロッドを反掘削方向に回転しながら挿入することにより、地盤を圧密しながら所定深さまでケーシングパイプを挿入することができ、ケーシングパイプ内部に砕石投入用の柱状円筒空間を確保することができる。
【0023】
請求項6の構成によれば、ロッドとケーシングパイプを反掘削方向の回転では挿入不可能な地盤では、ロッドを掘削方向の回転に切り替え、掘削しながら地中土砂をほぐし攪拌を行った後、反掘削方向の回転に戻してロッドとケーシングパイプを地盤に挿入することができる。
【0024】
請求項7の構成によれば、ケーシングロッドを地中に挿入した後、ロッド挿通部にロッドを側方から挿通するようにして延長用ケーシングパイプをロッドに外装し、その延長用ケーシングパイプを地中に挿入したケーシングパイプに連結し、一体となったケーシングパイプと延長用ケーシングパイプを地中に挿入することができ、このようにしてリーダーの長さより長いケーシングパイプと延長用ケーシングパイプを地中に挿入することができる。
【0025】
請求項8の構成によれば、互層地盤の中間層に位置する軟弱土質層に対し、水平方向に中詰め材を押し込み杭の直径を拡大して中詰め材体積分で軟弱地層の土粒子圧密度を高め軟弱地層の締固めを行い、免振性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施例1を示す全体側面図である。
図2】同上、切換手段の断面図である。
図3】同上、切換手段の要部の平面図である。
図4】同上、ホッパー装置の断面図である。
図5】同上、ホッパー装置の平面説明図である。
図6】同上、ホッパー装置の要部の拡大断面図である。
図7】同上、ロッドとケーシングパイプの平断面図である。
図8】同上、掘削開始時の断面説明図である。
図9】同上、先端ビットが規定の掘削深度に達した状態の断面説明図である。
図10】同上、堆積した中詰め材を水平方向に押し広げる工程を説明する断面説明図である。
図11】同上、砕石圧密部分の施工を説明する断面説明図である。
図12】同上、柱状砕石杭の施工を説明する断面説明図である。
図13】同上、柱状砕石杭の施工が完了した状態の断面説明図である。
図14】同上、砕石杭構築の工程を示すフローチャート図である。
図15】本発明の実施例2を示す砕石杭拡径部の施工を説明する断面説明図である。
図16】同上、柱状砕石杭の施工が完了した状態の断面説明図である。
図17】本発明の実施例3を示す切換手段の断面図である。
図18】同上、切換手段の要部の平面図である。
図19】本発明の実施例4を示す全体側面図である。
図20】本発明の実施例5を示すロッドとケーシングパイプの先端側の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例0028】
本発明の実施例1を図1図16を参照して説明する。同図に示すように、地盤改良装置1は、本体たる自走式の車体2の下部に走行手段たる無限軌道3を有し、この無限軌道3は車体2に搭載した原動機(図示せず)により駆動する。また、車体2の前部にはリーダー5が起伏可能に設けられ、このリーダー5は前後方向の起伏装置(図示せず)により起伏可能になっている。
【0029】
前記リーダー5の前部には案内レール6を設け、この案内レール6に回転駆動装置7を昇降可能に設け、この回転駆動装置7を昇降する昇降駆動装置8を備える。前記回転駆動装置7はロッド9を挿通する挿通部11と、前記ロッド9をロック及びロック解除可能なロッドロック12とを備える。そして、このロッドロック12によりロッド9をロックした状態で、前記ロッドロック12が回転することにより前記ロッド9を回転駆動する。
【0030】
図2に示すように、前記ロッドロック12の下端には、回転伝達手段たるカムクラッチ15が設けられ、このカムクラッチ15は、回転駆動装置7によりロッド9と共にケーシングパイプ10を回転する回転モードと、ロッド9を回転すると共にケーシングパイプ10を回転しない非回転モードに切り換え可能な切換手段である。
【0031】
前記カムクラッチ15は前記ロッドロック12に固定され、該ロッドロック12と一体的に回転する本体16と、この本体16に複数設けた連結部たる連結アーム17とを備え、この連結アーム17は平行な上片18Uの基端と下片18Sの基端を縦片18Tにより連結した略コ字形をなす。
【0032】
そして、前記本体16に前記連結アーム17の上片18Uの先端側を枢軸19により回動可能に連結し、前記ケーシングパイプ10の基端側(上端側)には、前記連結アーム17の下片18Sが挿脱可能な連結孔21が穿設されており、図示しない連結駆動手段により、図2の実線に示すように下片18Sが前記連結孔21に挿入された連結位置と、図2の破線に示すように両連結アーム17,17が開くようにして下片18S,18Sが連結孔21,21から外れた連結解除位置に回動する。
【0033】
尚、前記本体16には、外周面に開口するスリット状の溝部22が形成され、この溝部22に前記枢軸19が設けられ、前記溝部22内に前記上片18Uが遊挿される。また、前記連結位置では、前記カムクラッチ15は回転駆動装置7の回転をケーシングパイプ10に伝達する伝達状態であり、前記連結解除位置では、前記カムクラッチ15は回転駆動装置7の回転がケーシングパイプ10に伝わらない伝達解除状態である。
【0034】
また、前記本体16には、前記ロッド9が回転可能で軸方向移動可能な透孔16Tが穿設されており、この透孔16Tにロッド9が遊挿され、このロッド9に前記ケーシングパイプ10が外装される。
【0035】
図2などに示すように、前記ロッド9の下端には、ロッド9の先端に向かって先鋭な三角錐形状の掘削ビットたる先端ビット31が設けられ、この先端ビット31の基端は前記ロッド9より大きく形成されている。
【0036】
前記ビット31の基端側でケーシングパイプ10の外部には、先端側螺旋翼たる下部螺旋翼32が設けられ、この下部螺旋翼32とロッド長さ方向の間隙33を置いて、基端側螺旋翼たる上部螺旋翼34が前記ロッド9に設けられている。前記間隙33は、螺旋翼32,34の間に設けられた螺旋翼の無い部分である。前記下部螺旋翼32と前記上部螺旋翼34とは同一螺旋方向をなし、下部螺旋翼32を2巻程度の螺旋とし、上部螺旋翼34は下部螺旋翼32より少ない1巻程度の螺旋とした。
【0037】
また、下部螺旋翼32の外径は前記ケーシングパイプ10の外径と同一に形成されている。
【0038】
尚、前記ロッドロック12は、前記回転モードでは、前記ロッドロック12に本体16が連結され、昇降駆動装置8により回転駆動装置7と共にロッド9が軸方向に移動すると、前記ケーシングパイプ10がロッド9と供に軸方向に移動する。また、前記非回転モードでは、ケーシングパイプ10の上端が本体16を介してロッドロック12に押され、ロッド9と供にケーシングパイプ10が軸方向先端側(図1中下方)に移動する。また、ロッド9の軸方向基端側への移動時には、下部螺旋翼32の外径が前記ケーシングパイプ10の外径と同一に形成されているため、前記非回転モードにおいて、ロッド9を軸方向基端側に引き上げると、下部螺旋翼32が前記ケーシングパイプ10の先端に係止してケーシングパイプ10が軸方向基端側に移動する。
【0039】
前記ケーシングパイプ10には、その長さ方向に間隔を置いて複数の砕石投入口41が開口して設けられており、砕石投入口41が中詰め材投入口である。また、ケーシングパイプ10の基端側の砕石投入口41は、他の砕石投入口41より大きいから、比較的多量の砕石42を使う砕石圧密部分102の施工時に、基端側の大きな砕石投入口41から砕石42を効率よく供給することができる。
【0040】
また、外部から前記砕石投入口41に中詰め材たる砕石42を投入するために、ホッパー装置51を備える。図4に示すように、前記ホッパー装置51は、支持部たる支持体52を備え、この支持体52は、支柱部53と、この支柱部53を複数立設した底面に設けた底面部54とを備え、この底面部54に前記ケーシングパイプ10を遊挿する底面挿通孔55を穿設している。そして、前記底面部54が掘削場所の地面Gに直接又は間接的に載置して使用される。
【0041】
前記ホッパー装置51は、下方に向かって縮小する側面を有するホッパー本体56を備え、このホッパー本体56の底部に円形の挿通孔57を設け、この挿通孔57は前記底面挿通孔55より径大に形成されている。さらに、複数の前記支柱部53の上端に、前記ホッパー本体56の外周が載置され、又は固定されており、前記支持体52によるホッパー本体56が支持されている。
【0042】
前記底面部54に、略円筒状の回転体58を設け、この回転体58の中央には貫通孔59が穿設されており、この貫通孔59に前記ケーシングパイプ10が挿通される。そして、前記貫通孔59の貫通孔上部59Aに前記ケーシングパイプ10が遊挿される。
【0043】
また、前記貫通孔59の貫通孔下部59Bは、上部より径大に形成され、それら貫通孔上部59Aと貫通孔下部59Bとの間には、下向きの貫通孔段差面59Cが設けられている。そして、前記回転体58のリング状の上面部58Jが、前記ホッパー本体56の挿通孔57を塞ぐように配置され、ホッパー本体56の挿通孔57内において、前記回転体58が回動可能に設けられている。
【0044】
前記回転体58の下面には、前記貫通孔下部59Bの外側に下面側回転支持部材60が設けられている。この下面側回転支持部材60は、板状のリング本体61に複数の球体61Aを遊転可能に保持したものである。尚、前記下面側回転支持部材60は、前記回転体58の下面と前記底面部54の上面の一方に固定して設けることができる。
【0045】
また、前記貫通孔下部59B内には、回転伝達部材62が設けられ、この回転伝達部材62は、複数(4個)の球体63をリング形の収納ケース64により位置決め状態で回転可能に保持し、それら球体63が前記ケーシングパイプ10の外周に当接すると共に、それら球体63が前記回転体58の貫通孔下部59Bの内周面に当接する。尚、前記球体63はゴムボールなどからなる。
【0046】
前記収納ケース64は、複数の前記球体63を回動可能に保持するベアリングであって、前記球体63を挟んで上下に配置した上,下リング部65,66を備え、その下リング部66を前記底面部54に一体に設けている。また、図6に示すように、前記収納ケース64の外周側と内周側には、それぞれ前記球体63を回動可能に保持する外周側保持体67と内周側保持体68が各球体63に対応して設けられ、これら保持体67,68の上下は、前記上リング部65の下面と前記下リング部66の上面に固定されている。
【0047】
また、前記外周側保持体67の内側には、前記球体63の直径より小さい球面状の開口部67Aを設けると共に、前記内周側保持体68の外側には、前記球体63の直径より小さい球面状の開口部68Aを設け、それら球面状の開口部67A,68Aにそれぞれ複数のボール69を回動可能に保持して設け、これら複数のボール69は周方向に等間隔で配置されている。そして、前記球面状開口部67A,68Aに設けた複数のボール69により球体63が抜け止め状態で外周側保持体67と内周側保持体68に回動自在に保持される。尚、前記開口部67A,68Aとして、球面状に湾曲したものを示したが、裁頭円錐形のテーパー状のものでもよい。
【0048】
また、前記収納ケース64と前記貫通孔段差面59Cの間には、上面側回転支持部材60Aが配置され、この上面側回転支持部材60Aは、前記上リング部65の上面と前記貫通孔段差面59Cの一方に固定して設けることができる。
【0049】
図4及び図5に示すように、前記回転体58の前記上面部58Jには、複数の板状撹拌翼70,70・・・が縦設され、これら撹拌翼70,70・・・は、ホッパー本体56の中心側の基端から先端が斜めに設けられている。そして、前記回転体58,球体63と撹拌部たる撹拌翼70などにより、中詰め材たる砕石42を撹拌する撹拌手段71を構成している。
【0050】
従って、図5に示すように、ケーシングパイプ10を反時計回り方向に回転すると、ケーシングパイプ10の外周に接する球体63が時計回り方向に自転し、この球体63に接する回転体58が時計回り方向に回転し、複数の撹拌翼70,70・・・がホッパー本体56内の砕石42を撹拌し、これにより砕石42がホッパー本体56内で固まることなく、前記砕石投入口41からケーシングパイプ10内に落下供給される。
【0051】
尚、ケーシングパイプ10を下方に押し込むと、球体63の回転により回転体58を上方に持ち上げる力が発生するから、底面部54に回転体58に係合して該回転体58の浮き上がりを防止すると共に、係合状態で回転体58の回転を許容する部材(図示せず)を設けたり、球体63に縦方向の回転中心軸を設け、この回転中心軸の上下を上,下リング部65,66に回転可能に軸支して球体63が縦方向の前記回転中心軸を中心に回動し、水平方向の軸に対して回転しないように構成したりしてもよい。
【0052】
また、図6などに示すように、前記底面部54の下面には、前記底面挿通孔55の周囲に泥剥ぎ用の剥離部材75が周設され、この剥離部材75はゴムなどをリング状に形成し、内周面76の下端に先鋭部77が形成されている。従って、ケーシングパイプ10を引き抜くと、図4に示すように、剥離部材75の内周面76がケーシングパイプ10の外面の圧接し、先端が先鋭な先鋭部77によりケーシングパイプ10の外周に付着する土砂などを剥ぎ落すことができる。
【0053】
また、前記車体2上にはホッパー状の収納部81が設けられ、この収納部81に前記砕石42が収納され、前記収納部81の底部には送り装置たるベルトコンベア82が設けられ、このベルトコンベア82は砕石42を後から前に送るものである。前記ベルトコンベア82の終端側で前記収納部81には投入路83が設けられ、この投入路83は先端側の投入口84が低くなる傾斜をなし、その投入口84は、前記ホッパー本体56の上部まで延設されている。また、前記投入路83の両側には壁部が設けられている。そして、前記ベルトコンベア82と投入路83により、砕石42を投入すると投入装置85を構成している。
【0054】
また、ケーシングパイプ10内に地下水が侵入すると、ケーシングパイプ10の上部から投入した砕石42に浮力が働き、砕石42の沈降遅延が発生する。これを解決するため、図7に示すように、ケーシングパイプ10に内装したロッド9の軸方向の中心部には下端部から上端部に通じる吸水孔91が設けられ、図2に示すように、吸水孔91の下端91Sは螺旋翼32,34の間で前記ケーシングパイプ10に開口している。また、前記吸水孔91はロッド9の上端部において水平回転自在のスイベルジョイント92に連結され、このスイベルジョイント92の側部には吸水口93が設けられ、この吸水口93に管路たるサクションホース94の一端を接続し、このサクションホース94の他端を車体2もしくは地上に設置したバキュームポンプ(図示せず)に接続し、このバキュームポンプによりケーシングパイプ10の地下水を吸引する。また、吸引した地下水は、施工済み砕石杭103の頭部から地下に還元したり、地上の側溝に放水したりすることにより処理することができる。
【0055】
次に、地盤改良装置1による施工例を図8図13を参照して説明する。車体2を施工位置まで移動し、リーダー5を施工位置に合わせ、掘削孔101の位置にロッド9の軸心を合せる。ケーシングパイプ10の下端をホッパー装置51の底面部54の下面に合わせ、図示しない持上げ手段によりホッパー装置51を所定寸法だけ地面Gから持ち上げ、ケーシングパイプ10の先端から突出した先端ビット31の先端高さを地面Gに合わせ、掘削前の準備をする。
【0056】
尚、掘削を開始する前にカムクラッチ15を回転モードにしてロッド9と供にケーシングパイプ10が回動及び軸方向に移動するように設定しておく。
【0057】
掘削時には、ロッド9とケーシングパイプ10を螺旋翼32,34の反掘削方向に回転させながら、上下反復運動を繰返し、ケーシングパイプ10の外形体積分の原地盤を圧密しながら地盤内にケーシングパイプ10を挿入する。地盤が固く、反掘削方向の回転ではケーシングパイプ10を地中に挿入不可能な場合は、掘削方向の回転である右回転に切り替え、地盤のほぐし攪拌を行った後、左回転の上下反復によりほぐした掘削土を地盤内に転圧挿入する。尚、この例では、螺旋翼32,34の反掘削方向の回転は、上から見て反時計回り方向の左回転である。
【0058】
掘削開始時の地面Gの地盤が固く、螺旋翼32,34の反時計回り方向の回転ではロッド9とケーシングパイプ10を地中に挿入できない場合は、ロッド9とケーシングパイプ10を掘削方向に回転し、昇降駆動装置8によりロッド9とケーシングパイプ10を押し下げ、ケーシングパイプ10と供にホッパー装置51を降下し、図8に示すようにホッパー装置51の支持体52の底面部54を地面Gに接地する。尚、地面Gの地盤が軟らかく、後述するように、ロッド9と供にケーシングパイプ10を螺旋翼32,34の反掘削方向に回転しながら、ロッド9とケーシングパイプ10を地中に押し込むことができる場合は、掘削開始から螺旋翼32,34の反掘削方向に回転して掘削孔101を形成する。
【0059】
螺旋翼32,34を掘削方向に回転して掘削孔101を形成する場合、図8に示したように、ケーシングパイプ10内には下部螺旋翼32と上部螺旋翼34との間隙33に砕石42を充填した状態で、ロッド9を掘削方向に回転しながら地盤を掘削することにより地盤をほぐして掘削孔101を形成する。このように下部螺旋翼32を掘削方向に回転すると、下部螺旋翼32の掘削方向の回転により掘削土が上方に移動し、ケーシングパイプ10内に入り込もうとするが、間隙33の砕石42がケーシングパイプ10の下端の蓋として作用し、掘削土砂の侵入を抑制し、これにより掘削土砂の上昇を防ぐことができる。
【0060】
尚、実験の結果では、軟らかい地盤では間隙33の高さを10cm、硬い地盤では間隙33の高さを30cm程度にすることにより、掘削土砂のケーシングパイプ10内への上昇を防止することができた。結果、地盤では軟らかい地盤に比べて間隙33を大きく設定する必要があることが判った。
【0061】
また、上部から投入した砕石42が詰まる虞があるため、上部螺旋翼34は1巻~1.5巻でもよい。そして、反掘削方向の回転により砕石42を間隙33に落とすために、上部螺旋翼34は最低1巻きが必要となり。1.5巻きでは上からの砕石42が詰まり易い。尚、掘削用の下部螺旋翼32は2巻きとした。
【0062】
図8に示したように、地面Gの硬い地盤を掘削方向の回転により掘削して掘削孔101を形成し、下部螺旋翼32が軟らかい地盤に達したら、ケーシングパイプ10と回転連動するロッド9を、反掘削方向に回転させながら、上下反復運動を繰返し、ケーシングパイプ10の外形体積分の原地盤を圧密しながら、地盤内に挿入する。途中で地盤が固く、ロッド9とケーシングパイプ10が挿入不可能な場合は、螺旋翼32,34を掘削方向の回転に切り替え、掘削しながら地中土砂をほぐし攪拌を行った後、反掘削方向の回転に戻し、反掘削方向の回転をしながら、ロッド9とケーシングパイプ10の上下反復により、前記ほぐした地中土砂を地盤内に転圧挿入する。尚、先端ビット31が規定の掘削深度に達するまで、ケーシングパイプ10内の前記間隙33のみに砕石42を充填しておき、砕石42の追加は行わない。
【0063】
ロッド9とケーシングパイプ10の反掘削回転方向での上下動の繰返し作業と、必要に応じて行うロッド9とケーシングパイプ10の掘削回転方向でのほぐし撹拌作業とにより、図9に示すように、規定の掘削深度に達したら、カムクラッチ15を非回転モードに切り替え、ケーシングパイプ10の回転を停止して、ロッド9のみ反時計回り方向に回転させ、ケーシングパイプ10内の上部螺旋翼34によりケーシングパイプ10の下端から掘削土砂を地中に排出し、ケーシングパイプ10内の砕石投入用の柱状円筒空間を確保する。また、ケーシングパイプ10の直径や長さは柱状砕石杭103に求める性能に応じて変更できる。
【0064】
ケーシングパイプ10内の上部螺旋翼34によりケーシングパイプ10内の掘削土砂を地盤中に排出し、ケーシングパイプ10内の砕石投入用の柱状円筒空間を確保したら、ホッパー本体56に砕石42を投入し、カムクラッチ15を回転モードに切り換え、ロッド9とケーシングパイプ10を反掘削方向(反時計回り方向)に回転する。するとケーシングパイプ10の外周面に接した複数の球体63,63,63,63が時計回り方向に自転し、これら球体63,63,63,63の外側に貫通孔下部59Bが接する回転体58が、時計回り方向に回転し、回転体58の上面部58Jに設けた複数の撹拌翼70,70,70,70が回転する。これら回転する撹拌翼70,70,70,70により、ホッパー本体56内の砕石42がケーシングパイプ10の中心部に誘導され、砕石投入口41からケーシングパイプ10内に落下供給される。
【0065】
ケーシングパイプ10内に供給された砕石42は、図10に示すように、反掘削方向に回転している上部螺旋翼34及び下部螺旋翼32により掘削孔101の底辺部に堆積する。砕石42の転圧作業における回転するロッド9とケーシングパイプ10による突き込みとして、掘削孔101の底辺部に堆積した砕石42に対して、反掘削方向に回転するロッド9とケーシングパイプ10を上下動することにより、設定した圧入力で下部螺旋翼32と先端ビット31を堆積した砕石42を突き込み、堆積した砕石42を水平方向に押し広げた後、一旦、堆積した砕石42中から先端ビット31を引き上げ、押し広げた空隙に更に砕石42を追加投入する。
【0066】
前記突き込みを複数回行い、堆積した砕石42が水平方向に押し広げられることにより押し広げた空隙に更に砕石42を追加投入して設定圧入力が支持されるまでこの繰返し転圧作業を行う。即ち、堆積した砕石42が水平方向に押し広げられることにより、図11に示すように、堆積した砕石42の上面位置が突き込み前より下がり、その上面位置とケーシングパイプ10の下端との間に、地中の土砂は存在するが、砕石42の無い又は下部に比べて砕石42の密度が小さい追加供給可能な部分(前記押し広げた空隙)が形成され、砕石42に転圧作業における追加供給作業として、前記追加供給可能な部分に砕石42を螺旋翼32,34により追加供給し、前記突き込み作業を行い、設定圧入力が支持されるまで繰返し転圧作業を行う。
【0067】
突き込み時にロッド9に加わる反力を測定することにより、設定圧入力(支持力)の確保を確認した後、ロッド9を同位置で左回転のまま砕石42を投入すると、下部には既に締め固まって支持力を満たした砕石魂が有るため、下部螺旋翼32の左回転圧力により水平方向に砕石42は拡底を始める。砕石42の断続投入と下部螺旋翼32の回転により拡底した砕石42は水平方向の原地盤土粒子を圧密し、やがて回転駆動装置7の駆動手段たるモーターの回転トルクが設定した回転トルクを満たした押し込み抵抗反力に達して、掘削孔101の底部に、砕石42が拡底して形成されると共に所定の支持力を有する圧密された砕石42が掘削孔101の周方向に拡大し、このように圧密された砕石42が掘削孔101の周方向に拡大し、球根形状をなす砕石圧密部分102が形成される(砕石圧密部分形成)。
【0068】
前記回転トルクが設定数値に達したところで、ケーシングパイプ10と連動するロッド9を所定高さ寸法である10cm程度引上げて、圧密杭たる柱状砕石杭103の構築作業を開始する。
【0069】
上述した圧密部分形成の後、図12に示すように前記砕石圧密部分102上に、ロッド9を内装したケーシングパイプ10の下部より下部螺旋翼32と先端ビット31が突出した状態で、軸方向の位置関係をロックしたロッド9は、あらかじめ数値設定した締固め圧入力と前記回転トルクとで砕石投入と上下反復転圧を繰り返すことにより、地盤軟弱度環境に適した外形寸法の柱状砕石杭103を地面Gの高さまで形成する(図13)。この際、砕石42の内部摩擦角度(例えば30度以上)の大きさを利用して原地盤の土粒子圧密を促進することができる。尚、砕石杭103は、例えば所定高さである10cm程度ケーシングパイプ10とロッド9を引き上げ(所定高さ引上げ)、砕石42を地中に追加排出し、反掘削方向で上下動を繰り返して(砕石追加・反掘削方向での上下動)砕石42により所定高さ分の砕石杭103を構築した後(所定高さ分の砕石杭の構築)、再び所定高さだけケーシングパイプ10とロッド9を引き上げ(所定高さ引上げ)、砕石42を地中に追加排出して反掘削方向で上下動きを繰り返し(砕石追加・反掘削方向での上下動)、このように所定高さ毎にケーシングパイプ10から砕石42を掘削孔101に排出し、排出した砕石42の圧密を繰り返し、設計高さの砕石杭103が構築される(砕石杭構築完了)。
【0070】
このように地中の所定深さに挿入したケーシングパイプ10により柱状空間を形成し、掘削孔101の最下端部に砕石42を適量投入し、その砕石塊を鉛直加重で締固める過程に於いて砕石42の内部摩擦角度による押し込み圧力の伝播を利用してより広い原地盤の締固めを行うことができる。また、砕石杭103の構築時の砕石転圧過程で掘削孔101の内壁を介して原地盤の土粒子圧密を促進し、掘削孔101の周囲の地盤を締め固めることにより施工域全体の免振性を向上させることができる。
【0071】
尚、内部摩擦角の大きな砕石42を用いると地盤の締固めに有利であるが、内部摩擦角が30度以上の砕石42を用いると、ホッパー本体56内で砕石42が固まり、砕石投入口41から砕石42が落下供給できなくなる以外にも、ケーシングパイプ10内に供給された砕石42が、該ケーシングパイプ10内で固まり、砕石42が固まったままロッド9及びケーシングパイプ10と供に回転し、掘削孔101内に落下供給できなくなる。この場合、カムクラッチ15を非回転モードにしてケーシングパイプ10が回転しない状態で、ロッド9を反時計回り方向に回転すれば、上部螺旋翼34によりケーシングパイプ10の先端側の砕石42が撹拌され、ケーシングパイプ10の先端から砕石42を掘削孔101内に供給できるようになる。
【0072】
上述したように、地盤内にケーシングパイプ10を圧入した場合、ケーシングパイプ10の外周面に土圧抵抗が発生する。公知技術でこれを回避する方法としてケーシングパイプの下端部のみ外径を大きくして挿入する方法などが用いられている。しかし、下端部のみ外径が大きいと、大きさの差により掘削孔101の内壁とケーシングパイプ10の外周面との間に空洞が発生するため挿入と同時に原地盤を緩めてしまう。また、粘性土でのケーシングパイプ10を引抜時には、ケーシングパイプ10の外周部に粘土が付着するため、ケーシングパイプ10の直径以上の掘削孔空間が形成される可能性もある。一旦、緩んだ地山を中詰め材等の締固めで復元することは困難であり本来の地盤強化の観点から不合理と言える。これに対して、本実施例は、同じ外径で外周面がフラットなケーシングパイプ10と下部螺旋翼32を同時に回転してフリクションカットしながら圧入引抜することで原地盤を緩めることなく施工を行うことができる。
【0073】
また、公知の液状化対策手法として地盤締固め、固化(地盤全体を固める)、置換(土の入替)、地下水位低下(人為的に地下水位を下げる)、間隙水消散(砂杭や砕石杭で水圧吸収)、せん断抵抗力増加(外力に抵抗する力)等が存在するが全て大型機械による大規模工事工法であり戸建て住宅地盤の液状化対策としての使用は現実的に不可能又は困難である。これに対して、本実施例では、上述した施工方法を採用することにより、地盤締固め、置換、土粒子間隙水圧消散、せん断抵抗力強化等を施工工程の中に取り入れ複合的相乗効果により施工域全体の免振と液状化抑制の地盤を構築することでき、この施工方法は液状化抑制工事の施工規模に応じた大きさの施工機械を選択でき、各工種の長所を施工方法の中で取り入れ免振と液状化の相乗効果により抑制性能を高めた結果、施工機械の小型化を可能にした防災技術です。
【0074】
このように本実施例では、請求項1に対応して、地盤内に回転圧入して柱状空間を設けるケーシングパイプ10と、このケーシングパイプ10内に配置された回転ロッド9とを備え、回転駆動装置7により回転して地盤内に挿入されるロッド9と、このロッド9に外装され地盤内に挿入されるケーシングパイプ10とを備え、ケーシングパイプ10の外周に設けた砕石投入口41と、地上に配置され底部にケーシングパイプ10の挿通孔57を有するホッパー本体56と、このホッパー本体56に設けられ内部の中詰め材たる砕石42を撹拌する撹拌手段71とを備えるから、撹拌手段71によりホッパー本体56内の砕石42を撹拌することにより、砕石投入口41から砕石42を円滑にケーシングパイプ10内に落下供給することができる。
【0075】
このように本実施例では、請求項2に対応して、撹拌手段71は、ケーシングパイプ10の回転により回転する回転体58と、この回転体58に設けた撹拌部たる撹拌翼70とを備えるから、ケーシングパイプ10の回転を利用して撹拌翼70を回転して砕石42を撹拌することができる。
【0076】
このように本実施例では、請求項3に対応して、ロッド9の先端に掘削ビットたる先端ビット31を設け、ロッド9の先端側に同一螺旋方向の先端側螺旋翼たる下部螺旋翼32と基端側螺旋翼たる上部螺旋翼34とを設けると共に、これら下部螺旋翼32と上部螺旋翼34との間にロッド9の長さ方向の間隙33を設けたから、間隙33に中詰め材たる砕石42を充填してケーシングパイプ10を地中に挿入することにより、砕石42が蓋となって掘削土砂のケーシングパイプ10内への侵入を防止することができる。
【0077】
このように本実施例では、請求項4に対応して、回転駆動装置7によりロッド9と共にケーシングパイプ10を回転する回転モードと、ロッド9を回転すると共にケーシングパイプ10を回転しない非回転モードに切り換え可能な切換手段たるカムクラッチ15を備えるから、回転モードにおいてロッド9とケーシングパイプ10を一体に同一回転方向に回転して地中に挿脱し、ケーシングパイプ10内に投入した中詰め材たる砕石42が固まった場合、非回転モードに切り換え、ケーシングパイプ10が回転しない状態でロッド9を回転することにより、固まった砕石42を撹拌してほぐすことができる。
【0078】
このように本実施例では、請求項5に対応して、螺旋翼32,34を有するロッド9と、このロッド9に外装されるケーシングパイプ10とを用い、ロッド9とケーシングパイプ10を地盤内に所定深さまで挿入し、ロッド9を反掘削方向に回転してケーシングパイプ10内の中詰め材たる砕石42により地盤内に圧密杭たる砕石杭103を形成する地盤改良工法において、ロッド9の先端側に同一螺旋方向の先端側螺旋翼たる下部螺旋翼32と基端側螺旋翼たる上部螺旋翼34とが設けられていると共に、これら下部螺旋翼32と上部螺旋翼34との間にロッド9の長さ方向の間隙33が設けられており、ケーシングパイプ10の先端から下部螺旋翼32を突出した状態で、ケーシングパイプ10と共にロッド9を反掘削方向に回転しながら前記所定深さまで挿入するから、間隙33に中詰め材たる砕石42を充填することにより掘削土砂のケーシングパイプ10内への侵入を防止した状態で、ケーシングパイプ10と共にロッド9を反掘削方向に回転しながら挿入することにより、地盤を圧密しながら所定深さまでケーシングパイプ10を挿入することができ、ケーシングパイプ10内部に砕石投入用の柱状円筒空間を確保することができる。
【0079】
このように本実施例では、請求項6に対応して、先端側螺旋翼たる下部螺旋翼32が軟弱地盤ではケーシングパイプ10と共にロッド9を反掘削方向に回転しながら挿入し、下部螺旋翼32が軟弱地盤より固く反掘削方向の回転では挿入不可能な地盤ではロッド9を掘削方向に回転しながら挿入するから、ロッド9とケーシングパイプ10を反掘削方向の回転では挿入不可能な地盤では、ロッド9を掘削方向の回転に切り替え、掘削しながら地中土砂をほぐし攪拌を行った後、反掘削方向の回転に戻してロッド9とケーシングパイプ10を地盤に挿入することができる。
【0080】
以下、実施例上の効果として、上部螺旋翼34は下部螺旋翼32より螺旋の巻き数少ないから、巻き数の多い下部螺旋翼32の反掘削方向の回転により地盤や砕石42を圧密し、上部螺旋翼34は螺旋の巻き数を少なくすることにより、上部から供給された砕石42が上部螺旋翼34の上で詰まり難くなる。また、下部螺旋翼32の外径は前記ケーシングパイプ10の外径と同一に形成されているため、前記非回転モードにおいて、ロッド9を軸方向基端側に引き上げると、下部螺旋翼32が前記ケーシングパイプ10の先端に係止してケーシングパイプ10が軸方向基端側に移動することができる。さらに、ケーシングパイプ10の基端側の砕石投入口41が、他の砕石投入口41より大きいから、比較的多量の砕石42を使う砕石圧密部分102の施工時に砕石42を効率よく供給することができる。
【0081】
また、撹拌手段71は、ケーシングパイプ10の外周面と回転体58の内周面に接する複数の球体63を備えるから、ケーシングパイプ10の回転を自転する球体63により回転体58に伝達し、この回転体58に設けた複数の撹拌翼70によりホッパー本体56内の砕石42を固まらせることなく、撹拌することができる。さらに、球体63はゴムボールなどの表面が弾性材料からなるから、金属などの硬質材料からなるケーシングパイプ10の回転を円滑に伝達することができる。また、図5に示すように、撹拌翼70はロッド9が反掘削方向に回転(左回転)することにより、右回転し、この右回転時に撹拌翼70の外端70Gが回転方向向きに斜めに設けられているから、右回転する斜めの撹拌翼70により砕石42を中央にケーシングパイプ10内に誘導することができ、砕石42をケーシングパイプ10の先端から外側に押し出し、反掘削方向に回転する下部螺旋翼32により砕石42を下方に圧密することができる。
【0082】
また、中詰め材には、内部摩擦角の大きな砕石42を用い、内部摩擦角が30度以上であるから、内部摩擦角度による押し込み圧力の伝播を利用してより広い原地盤の締固めを行うことができる。さらに、撹拌手段71を用いることにより、内部摩擦角の大きな砕石42を用いながら、ホッパー本体56内で砕石42が砕石形状の凹凸でかみ合い塊状になることを防止できる。
【0083】
さらに、本実施例では、以下の特徴構成を備える。地盤内に回転圧入して柱状空間を設けるケーシングパイプ10内にロッド9を内装し、ロッド9の最下端部には砕石42と原地盤を押し広げる逆円錐ビットたる先端ビット31を装着し、この先端ビット31の上部に2回転巻き程度の砕石供給及び転圧用の下部螺旋翼32を装備し、さらにロッド9の20cm程度上方には2回転巻き程度の砕石供給用の上部螺旋翼34を装備している。
【0084】
また、ケーシングパイプ10の軸方向に間隔を置いて複数の砕石投入口41を設けている。
【0085】
また、地盤内に圧入した外周面がフラットなケーシングパイプ10を引き抜く際、ケーシングパイプ10の外周面の土圧抵抗を軽減のためケーシングパイプ10を回転させることによりフリクションカットを行っている。
【0086】
また、ロッド9を内装するケーシングパイプ10の上端部にはケーシングパイプ10とロッド9の同時回転と、ロッド9のみの回転を選択するカムクラッチ15を装備している。
【0087】
また、ケーシングパイプ10の外周体積分の原地盤を圧密しながら砕石投入用円筒空間を確保する方法として、ケーシングパイプ10の下端部から下部螺旋翼32と先端ビット31を突出させ、ロッド9とケーシングパイプ10を左回転(反掘削方向回転)で上下反復運動にて原地盤の圧密を行いつつ地盤内に砕石投入用円筒空間のケーシングパイプ10を圧入する。
【0088】
また、地面Gの杭芯部に設置した漏斗状砕石投入用のホッパー装置51を備え、そのホッパー本体56は、上端が広く、下端部はケーシングパイプ10の直径より若干広く、ホッパー本体56にケーシングパイプ10が貫通して地盤内に挿入できるように成形されている。また、ケーシングパイプ10の砕石投入口41から砕石42を効率的に投入するためケーシングパイプ10の回転力を利用して砕石攪拌翼70を回転し、ケーシングパイプ10の砕石投入口41に砕石42を誘導する砕石攪拌翼70を装備している。
【0089】
また、地盤内に砕石杭を構築する過程で構築杭の最下端部から砕石42の内部摩擦角度の大きさを利用して原地盤の締固めを行い、内部摩擦角度の大きな砕石42を用いながら、ホッパー装置51を備えることにより、砕石42をケーシングパイプ10に円滑に落下供給することができる。
【0090】
また、地盤内に構築する柱状砕石杭103の先端部を拡底して支持圧力球根たる砕石圧密部分102を形成することができる。
【0091】
また、支持層の深い軟弱地盤層に事前に検討した任意深度までケーシングパイプ10を挿入し、そのケーシングパイプ10内の円筒空間に砂,砂利若しくは砕石42などの中詰め材を投入しながら突き固め、投入材料の体積で原地盤土粒子の圧密度を高めると同時に軟弱地盤内に支持圧力球根たる砕石圧密部分102を構築する。
【0092】
また、地盤強度の異なる互層地盤に於いて中間に位置する軟弱層に砂又は/及び砕石42を挿入して原地盤の圧密度を高めることができる。
【0093】
また、砕石杭の構築とケーシングパイプ10の引抜工程で、ケーシングパイプ10の回転と上下反復により形成された柱状砕石杭の外周部の転圧とケーシングパイプ10の外周面摩擦の軽減を図ることができる。
【0094】
また、液状化抑制対策として公知の地盤締固め、間隙水消散、せん断抵抗力増加の各特性を実施工の中で全て取り入れ液状化抑制工法として再構築した技術の地盤改良装置と地盤改良工法を提供することができ、また、この工法は液状化抑制工事の施工規模に応じた大きさの施工機械を選択することができる。
【0095】
また、透水性の高い地盤内にケーシングパイプ10を挿入した場合、ケーシングパイプ10内の水位が上昇する。この水位上昇は投入砕石42に浮力が生じ沈降速度が遅くなるため、本実施例ではケーシングパイプ10内の排水を行いながら砕石杭103の構築を行うことができる。
【実施例0096】
図15及び図16は本発明の実施例2を示し、上記実施例1と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述する。同図に示すように、この例では軟弱層においての施工例を示す。
【0097】
本実施例は、支持層の深い軟弱地盤層に於いて原地盤の土粒子を水平、鉛直方向に突き込み、土粒子密度を高めて任意深度で砕石42を拡底した砕石圧密部分102を構築し、その砕石圧密部分102上に柱状砕石杭103を構築する。
【0098】
事前に検討した設定深度まで、上記実施例1と同様に、ケーシングパイプ10を挿入し、砕石投入を行ってロッド9を左回転しながら断続的に砕石投入と転圧作業を繰り返すことにより鉛直方方向の支持力を確保する。その状態で更に砕石42を投入すると、砕石42は下部螺旋翼32の回転により水平方向に回転トルクの範囲内で放射線状に拡底を始め、球根状の砕石圧密部分102を構築される。この砕石圧密部分102に鉛直加重を掛け、支持力性能を確認して、上方に柱状砕石杭103を構築する。
【0099】
さらに、地盤強度の異なる互層地盤において、中間に位置する中間軟弱層105において、回転するロッド9とケーシングパイプ10による突き込みと砕石投入作業を行うと、図15及び図16に示すように砕石杭103に他より大きく拡径した砕石杭拡径部103Kが形成され、この砕石杭拡径部103Kは中間軟弱層105がこの上下の軟弱層より軟弱なため形成され、中間軟弱層105の原地盤の圧密を行うことができる。
【0100】
このように地盤中間地層の軟弱層105を圧密強化する方法として、柱状砕石杭103の構築過程において砕石42を一定荷重と一定モータートルクで挿入するため、軟弱度合いの違う地層環境に適合した砕石投入量となる。また、下部螺旋翼32の反掘削方向の回転により軟弱層に砕石42を押し込み原地盤の土粒子密度を向上させることにより中間軟弱層の強度を向上させることができる。
【0101】
このように本実施例では、上記実施例1と同様な作用・効果を奏する。また、このように砕石圧密部分102の上方の砕石杭103に砕石杭拡径部103Kを形成することができる。
【実施例0102】
図17及び図18は本発明の実施例3を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述する。同図はカムクラッチの変形例を示している。
【0103】
この例はカムクラッチ15Aは、連結部たる連結アーム17Aは縦片18Tと下片18Sとを備えた略L字形をなし、前記縦片18Tが枢軸19により前記本体16に回動可能に設けられ、図示しない連結部駆動手段により、図17の実線に示すように下片18Sが連結孔21に挿入された連結位置と、図17の破線に示すように、両連結アーム17A,17Aが閉まるようにして下片18Sが連結孔21から外れた連結解除位置に回動する。尚、前記本体16には、外周面に開口するスリット状の溝部22が形成され、この溝部22に前記枢軸19が設けられ、前記溝部22内に前記縦片18Tの上端側が遊挿される。
【0104】
また、図17に示すように、前記非回転モードにおいて、ロッド9を軸方向基端側に引き上げると、下部螺旋翼32の図中左側が前記ケーシングパイプ10の先端に係止してケーシングパイプ10が軸方向基端側に移動するから、下部螺旋翼32の図中右側と前記ケーシングパイプ10の先端との間に支持体たるステー108を設け、このステー121は下部が下部螺旋翼32の上面に固定され、上部が前記ケーシングパイプ10の先端縁部に当接する。
【0105】
このように本実施例では、上記各実施例と同様な作用・効果を奏する。
【実施例0106】
図19は本発明の実施例4を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述する。同図に示すように、この例では掘削の開始に用いるケーシングパイプ10に、延長用ケーシングパイプ10Aを接続して施工を行う例を示している。
【0107】
一般的に地盤改良装置1の本体たる車体2にはリーダー5が装着されている。そのリーダー5に電動又は油圧の駆動モーターを備えた回転駆動装置7が取り付けられ、その駆動モーターの上下ストロークにより打ち込み杭長が決まるが、小型の地盤改良装置では長尺のリーダーを装着することができない。
【0108】
そこで、本実施例では、図19に示すように、リーダー5よりも長いロッド9を貫通型の前記回転駆動装置7とこの回転駆動装置7を昇降する昇降駆動装置8により、リーダー5のストロークの下限までケーシングパイプ10を打ち込んだ後、カムクラッチ15を非回転モードに切り換えると共にロッドロック12によるロックを解除し、ロッド9とケーシングパイプ10を地中に残し、回転駆動装置7を上方に移動させる。
【0109】
前記延長用ケーシングパイプ10Aは、先端に径小な差し口部111を有し、この差し口部111は前記ケーシングパイプ10内に挿入され、挿入した状態でケーシングパイプ10と差し口部111に螺合した平ネジなどの連結手段112により連結される。尚、延長用ケーシングパイプ10Aの基端には、ケーシングパイプ10と同様に連結孔21が形成されている。
【0110】
また、延長用ケーシングパイプ10Aは、前記差し口部111を含む全長にロッド挿通部113が開口して設けられている。尚、前記ロッド挿通部113は砕石投入口を兼用するものである。
【0111】
前記リーダー5の長さより長いロッド9を貫通型駆動モーターを備えた前記回転駆動装置7によりリーダーストローク下限までケーシングパイプ10を打ち込んだ後、ロッドロック12を解除すると共に、カムクラッチ15を非回転モードに切り換え、図19に示すように、前記回転駆動装置7を昇降駆動装置8により上方に移動させる。
【0112】
地上のロッド9をロッド挿通部113に挿通するようにして、地上のロッド9に延長用ケーシングパイプ10Aを外装し、この延長用ケーシングパイプ10Aの差し口部111をケーシングパイプ10の上端に挿入し、連結手段112により両者を連結する。また、延長用ケーシングパイプ10Aの上端にカムクラッチ15を連結する。
【0113】
このように打ち込み済みケーシングパイプ10と同径の前記延長用ケーシングパイプ10Aを接続した後、ケーシングパイプ10の場合と同様に、設定深度まで回転圧入する。延長用ケーシングパイプ10Aは水平断面C型にロッド幅を通過す切幅で軸方向に切開されたロッド挿通部113を有する。この延長用ケーシングパイプ10Aを接続することでリーダー5のストロークより長い砕石杭103の施工が可能になる。
【0114】
既存の他工法の地盤改良機械において油圧モーター若しくは電動モーターの昇降によりまた左右水平方向に回転する機能と一定のモータートルクと圧入力と引抜力を有する全ての機械装置に異形プラグを介して共有でき液状化抑制と免振対策の地盤を構築することができる。例えば、ロッド9を貫通して駆動する貫通型駆動モーターを、リーダー5に昇降可能に設けた装置であれば、例えば貫通型駆動モーターとカムクラッチ15の本体16を連結する異形プラグを用いることにより、各種の機械に使用可能となる。
【0115】
このように本実施例では、請求項7に対応して、リーダー5に回転駆動装置7を昇降可能に設け、回転駆動装置7によりロッド9を回転して地盤内に挿入し、側面の全長に直径方向からロッド9を挿通可能なロッド挿通部113を有する延長用ケーシングパイプ10Aを用い、この延長用ケーシングパイプ10Aの先端をケーシングパイプ10の基端に連結するから、ケーシングパイプ10を地中に挿入した後、ロッド挿通部113にロッド9を側方から挿通するようにして延長用ケーシングパイプ10Aをロッド9に外装し、その延長用ケーシングパイプ10Aを地中に挿入したケーシングパイプ10に連結し、一体となったケーシングパイプ10と延長用ケーシングパイプ10Aを地中に挿入することができ、このようにしてリーダー5の長さより長いケーシングパイプ10と延長用ケーシングパイプ10Aを地中に挿入することができる。
【実施例0116】
図20は本発明の実施例5を示し、上記各実施例と同一部分に同一符号を付し、その説明を省略して詳述する。同図は上部螺旋翼と下部螺旋翼の変形例を示している。
【0117】
同図に示すように、上部螺旋翼34は、下部の外径が前記ケーシングパイプ10の内径より僅かに小さい最大径で、上方に向けって外径が小さくなるように形成されている。言い換えると、ロッド9の中心と上部螺旋翼34の外縁との間の半径方向の寸法が下端から上端に向かって縮小するように形成されている。具体的には、図20の平断面図に示すように、上部螺旋翼34は、先端(下端)の外周縁35Sがケーシングパイプ10に内面に近接する半径を有し、基端(上端)の外周縁35に向かって次第に半径寸法が縮小するように形成されている。
【0118】
このように本実施例では、上部螺旋翼34は、上方に向けって外径が小さくなるように形成されているから、砕石42や掘削土砂が上部螺旋翼34の下からは上がり難くなり、上からは砕石42が下に送られ易くなる。
【0119】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では、先端ビットは三角錐形状のものを示したが、四角錐形状や五角錐形状など角数は四以上でもよい。また、実施例及び請求項2では、撹拌手段はケーシングパイプの回転を利用するものを示したが、請求項1では電動などの動力源を用いるものなどでも良い。さらに、実施例では板状の撹拌部たる撹拌翼を示したが、板状以外でも複数の棒からなるなど各種形状の撹拌部を用いることができる。
【符号の説明】
【0120】
1 地盤改良装置
5 リーダー
7 回転駆動装置
8 昇降駆動装置
9 ロッド
10 ケーシングパイプ
15,15A カムクラッチ(切換手段)
31 先端ビット(掘削ビット)
32 下部螺旋翼(先端側螺旋翼)
33 間隙
34 上部螺旋翼(先端側螺旋翼)
41 砕石投入口
42 砕石(中詰め材)
51 ホッパー装置(撹拌手段)
56 ホッパー本体
57 挿通孔
70 板状の撹拌翼(撹拌部)
71 撹拌手段
101 掘削孔
102 砕石圧密部分
103 砕石杭(圧密杭)
113 ロッド挿通部
図1
図2
図3
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