(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023183995
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60K 1/02 20060101AFI20231221BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20231221BHJP
B60L 50/10 20190101ALI20231221BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20231221BHJP
B60L 53/80 20190101ALI20231221BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20231221BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20231221BHJP
B62K 5/027 20130101ALI20231221BHJP
B62J 43/23 20200101ALI20231221BHJP
B62J 25/04 20200101ALI20231221BHJP
B62K 5/01 20130101ALI20231221BHJP
B62M 7/12 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B60K1/02
B60L15/20 J
B60L50/10
B60L50/60
B60L53/80
B60L58/10
B60K1/04 A
B62K5/027
B62J43/23
B62J25/04
B62K5/01
B62M7/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097865
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】小山 博史
(72)【発明者】
【氏名】松岡 庸介
【テーマコード(参考)】
3D011
3D235
5H125
【Fターム(参考)】
3D011AA03
3D011AA07
3D011AB00
3D011AD19
3D235AA21
3D235BB24
3D235BB42
3D235CC12
3D235CC15
3D235DD13
3D235DD36
3D235EE63
3D235FF01
3D235HH16
3D235HH61
5H125AA01
5H125AA20
5H125AC06
5H125AC13
5H125BA00
5H125EE41
5H125FF01
5H125FF07
(57)【要約】
【課題】可搬式の給電装置を容易に目的地まで運搬することが可能な車両を提供する。
【解決手段】車両100は、前輪1および後輪2と、前後方向に延在し、乗員の荷重を受ける足置き34を有するプレート31と、後輪2を駆動する走行モータと、を備える。プレート31には、蓄電部としてのバッテリとバッテリからの電力が出力される出力端子とを有する給電装置200を、着脱可能に保持する支持面31cが形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪および後輪と、
前後方向に延在し、乗員の荷重を受ける荷重部を有する基部と、
前記前輪および前記後輪の少なくとも一方を駆動する電動機と、
蓄電部または発電部と該蓄電部または該発電部からの電力が出力される出力部とを有する給電装置を、着脱可能に保持する保持部と、を備えることを特徴とする車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両において、
前記保持部は、前記基部の前記荷重部よりも前記前後方向における後方に配置されることを特徴とする車両。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両において、
前記荷重部は、前記保持部と略同一高さに設けられることを特徴とする車両。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の車両において、
前記荷重部は、左右方向に亘って略平面状に設けられることを特徴とする車両。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の車両において、
前記荷重部は、乗員の足が載置されるように設けられることを特徴とする車両。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の車両において、
前記後輪は、左右方向に互いに離間して配置される右後輪および左後輪を有することを特徴とする車両。
【請求項7】
請求項6に記載の車両において、
前記保持部は、前記右後輪および前記左後輪の間に配置され、
該保持部に保持された前記給電装置は、前記左右方向から視て前記右後輪および前記左後輪と重なる位置となるように配置されることを特徴とする車両。
【請求項8】
請求項6または7に記載の車両において、
前記前輪は、前記左右方向に互いに離間して配置される右前輪および左前輪を有し、
前記基部は、前記前輪と前記後輪との間において、前記前輪の前記左右方向の内側端面および前記後輪の前記左右方向の内側端面よりも前記左右方向の外側に突設されることを特徴とする車両。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の車両において、
前記前輪は、左右方向に延びる第1軸に対して回転可能に設けられるとともに、前記第1軸に対する円周方向に互いに離間して複数配置され、前記円周方向に延びる第2軸に対して回転可能に設けられる副車輪を有することを特徴とする車両。
【請求項10】
請求項9に記載の車両において、
前記前輪は、前記副車輪を前記第2軸に対して回転駆動する他の電動機を有することを特徴とする車両。
【請求項11】
請求項9または10に記載の車両において、
前記後輪は、前記電動機により駆動される駆動輪であり、前記前輪は、従動輪であることを特徴とする車両。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか1項に記載の車両において、
前記前輪は、操向不能に設けられることを特徴とする車両。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の車両において、
前記保持部に保持された前記給電装置と前記電動機とを電気的に接続する電力線を、巻き取り可能に収納する収納部をさらに備えることを特徴とする車両。
【請求項14】
請求項13に記載の車両において、
前記収納部は、前記基部の下面側に配置されることを特徴とする車両。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の車両において、
前記乗員の進行方向の意思を360度の範囲で受ける車両操縦部をさらに備えることを特徴とする車両。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の車両において、
前記基部から立設され、前記乗員によって把持される把持部が設けられる柱部材をさらに備え、
前記柱部材は、前記前輪の回転中心よりも前方から立設されることを特徴とする車両。
【請求項17】
請求項16に記載の車両において、
前記柱部材を、立設状態である第1位置から後方に倒された第2位置まで回動可能に支持する支持部をさらに備え、
前記把持部の左右方向の長さは、前記基部の左右方向長さ以下であることを特徴とする車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、前輪と後輪とを有する電動式の車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、前輪と後輪とを有する立ち乗り式の電動車両が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1では、車両に搭載されたバッテリからの電力により電動機を駆動して車両を走行させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の車両は、ユーザが乗車するためだけの車両であり、バッテリが収容された装置を目的地まで運搬するために用いることは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様である車両は、前輪および後輪と、前後方向に延在し、乗員の荷重を受ける荷重部を有する基部と、前輪および後輪の少なくとも一方を駆動する電動機と、蓄電部または発電部と該蓄電部または発電部からの電力が出力される出力部とを有する給電装置を、着脱可能に保持する保持部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、可搬式の給電装置を容易に目的地まで運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る車両の全体構成を示す斜視図であり、斜め前方から見た図。
【
図2】本発明の実施形態に係る車両の全体構成を示す斜視図であり、斜め後方から見た図。
【
図3】本発明の実施形態に係る車両の全体構成を示す平面図。
【
図4A】本発明の実施形態に係る車両に搭載される給電装置の一例を示す斜視図。
【
図5】本発明の実施形態に係る車両に搭載される給電装置の別の例を示す斜視図。
【
図6A】本発明の実施形態に係る車両の底部を斜め前方から見た斜視図。
【
図7】本発明の実施形態に係る車両へのユーザの乗車姿勢を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図8を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る車両は、給電装置を運搬可能な電動車両、特にユーザが立位姿勢で乗車する電動スクーターとして構成される。
図1,2は、それぞれ本発明の実施形態に係る車両100の全体構成を示す斜視図である。特に
図1は、車両100を斜め前方から見た図を、
図2は、斜め後方から見た図を示す。
図3は、車両100を上方から見た平面図である。以下では、図示のように車両100の前後方向(長さ方向)、左右方向(幅方向)および上下方向(高さ方向)を定義し、この定義に従い各部の構成を説明する。
【0009】
図1~3に示すように、車両100は、左右方向の中心を通って前後方向に延在する中心線CL0に関し、左右対称に構成される。車両100は、左右方向に延在する軸線CL1を中心にして回転する前輪1と、左右方向に延在する軸線CL2を中心にして回転する後輪2とを有する。前輪1は、左右方向に離間して配置された2つの車輪によって構成され、後輪2も、左右方向に離間して配置された2つの車輪によって構成される。すなわち、車両100は、前輪2輪、後輪2輪の4輪車両として構成され、これにより安定して自立することができる。前輪1の径と後輪2の径は互いに等しく、したがって、前輪1と後輪2とが接地する接地面から軸線CL1,CL2までの高さも互いに等しい。
【0010】
車両100は全長が1m程度、全高が1~1.5m程度に構成され、標準的な自転車よりも長さが短く、高さも低い。車両100の全幅も自転車よりも短い。したがって、自転車に比べ小型かつ軽量であり、取り扱い性が容易である。なお、車両100を標準的な自転車と同程度の大きさに構成してもよく、それより大型に構成してもよい。
【0011】
車両100は、前後方向に延在する基部3と、基部3の前端部から上方に延在するポール4とを有する。基部3はプレート31を有する。
図3に示すように、プレート31は、前後方向に細長の平面視略矩形状を呈し、その上面31aは、接地面(地面)に対して略平行に、すなわち略水平に形成される。より詳しくは、プレート31の前後両端部には、それぞれ左右両端部が切り欠かれた切り欠き部31bが設けられ、切り欠き部31bに面して前輪1と後輪2とが配置される。
【0012】
換言すると、プレート31は、切り欠き部31bを除いて左右方向に幅が拡大され、プレート31の左右両端部は、前輪1および後輪2の左右方向内側の端面よりも左右方向外側に位置する。一方、プレート31の左右両端部は、前輪1および後輪2の左右方向外側の端面よりも左右方向内側に位置し、左右の前輪1または後輪2によって車両100の全幅が規定される。中心線CL0から前輪1までの距離は、中心線CL0から後輪2まの距離とほぼ等しく、前輪1と後輪2とは、中心線CL0と略平行に配置される。なお、プレート31の左右両端部が、前輪1および後輪2の左右方向外側の端面と左右方向略同一位置にあってもよい。
【0013】
図1,2に示すように、プレート31の上面31aは、軸線CL1,CL2よりも上方に、かつ、前輪1および後輪2の最上部よりも下方に位置する。
図3に示すように、プレート31の前端部は、前輪1よりも前方に突設され、この前端部に、ポール4を支持するための支持部40が設けられる。したがって、ポール4は、軸線CL1よりも前方において、支持部40を介してプレート31の上面31aから立設する。
【0014】
プレート31の後端部は、後輪2の後端部と前後方向において略同一位置に位置する。プレート31の上面31aには、左右の後輪2の間に給電装置200が搭載される。より詳しくは、プレート31の上面31aの後端部には、略矩形状の支持面31cが設けられ、支持面31c上に、着脱可能に給電装置200が搭載される。給電装置200は、人力により持ち運び可能な重量(例えば10~20kg程度)を有する。
【0015】
給電装置200には種々のものを用いることができる。給電装置200について説明する。
図4A、4Bは、それぞれ給電装置200の一例を示す斜視図である。なお、
図4A、4Bには、
図1の姿勢を基準にして前後方向、左右方向および上下方向が示される。
図4A,4Bに示すように、給電装置200は、筐体201と、筐体201内に収容されるバッテリパック210と、を有する。なお、バッテリパック210を以下では単にバッテリと呼ぶ。
【0016】
筐体201は、その外形形状が、上面201a、底面201b、左面201c、右面201d、前面201eおよび後面201fを有する略直方体形状を呈する。筐体201内には、上面の開口203を介してバッテリ210を収容するための収容部202が設けられる。上面201aには左右方向に延在するヒンジ部204を支点にして回動可能な蓋205が設けられ、蓋205により平面視略矩形の開口203が開閉される。後面201fには、後面視略矩形の後壁206が設けられる。
【0017】
上面201aと後面201fとが交差する筐体201の角部には、取っ手部207が設けられる。取っ手部207は左右方向に延在し、その両端部は左面201cの側壁と右面201dの側壁とに固定される。蓋205のヒンジ部204は、取っ手部207よりも空隙を介して前方に位置し、後面201fの後壁206の上端部は、取っ手部207よりも空隙を介して下方に位置する。左面201c(側壁)と右面201d(側壁)との間には、ヒンジ部204から後壁206の上端部にかけて傾斜面201gが形成される。取っ手部207と傾斜面201gとの間は隙間SPであり、ユーザは隙間SPに手を挿入することで取っ手部207を把持することができる。なお、図示は省略するが、筐体201の他の角部(例えば後面201fと底面201bとが交差する角部)にも、取っ手部207と同様の取っ手部が設けられる。
【0018】
図4Aに示すように、バッテリ210は、全体が略直方体形状を呈し、その上端部に取っ手部211が設けられる。より詳しくは、バッテリ210は、前後方向の長さが左右方向の長さよりも長く、かつ、上下方向の長さが前後方向の長さよりも長い。バッテリ210は、例えばリチウムイオン電池などの蓄電池、すなわち二次電池である。筐体201にはバッテリ210の形状に対応した単一の収容部202が設けられ、単一のバッテリ210が収容される。筐体201に、複数のバッテリ210を収容可能な単一または複数の収容部202を設けてもよい。
【0019】
ユーザPSは、取っ手部211を把持し、開口203を介してバッテリ210を収容部202に容易に挿脱することができる。したがって、現在挿入中のバッテリ210を、残容量の異なる他のバッテリ210に容易に交換することができる。現在挿入中のバッテリ210を、他の電気機器の電力源として用いることもでき、多様なバッテリ使用態様に即座に切り換えることができる。
【0020】
バッテリ210の底面には不図示のレセプタクルが設けられる。収容部202の底部には、バッテリ210のレセプタクルが嵌合する不図示のプラグが設けられる。収容部202の底部にレセプタクルが、バッテリ210の底面にプラグが設けられてもよい。プラグがレセプタクルに嵌合すると、プラグとレセプタクルとにそれぞれ設けられた接点同士が接続される。図示は省略するが、給電装置200には、収容部202(プラグ)の接点に接続された電力変換回路と降圧回路とが設けられる。電力変換回路は、収容部202に収容されたバッテリ210からの電力を交流に変換する。例えば100Vないし200Vの所定周波数の交流に変換する。降圧回路は、バッテリ210からの電力を所定電圧に降圧する。
【0021】
図4Bに示すように、取っ手部207に面した筐体201の傾斜面201gには、外部機器に電力を供給するための複数の出力端子220が設けられる。出力端子220は、電力変換部により変換された交流電力を出力する単一または複数の交流出力端子と、降圧回路により所定電圧に降圧された直流電力を出力する単一または複数の直流出力端子とを有する。交流出力端子は、例えば家庭用電気機器のプラグが挿脱可能に接続されるアウトレット(コンセント)である。直流出力端子は、例えばUSBポートを有するUSB出力端子である。
【0022】
給電装置200の構成は上述したものに限らない。
図5は、給電装置200の他の例を示す図である。
図5では、バッテリ210からの電力が出力される出力部、すなわち交流電力出力用および直流電力出力用の複数の出力端子220が筐体の後面201fに設けられる。さらに後面201fには、給電装置200の状態を表示する表示部とユーザが各種指令を入力する入力部とを有する操作パネル221が設けられる。
図1,2の給電装置200は、
図5に示したものに相当する。なお、出力端子220は、筐体の後面201fではなく前面201eに設けられてもよく、単一の面ではなく複数の面に設けられてもよい。
【0023】
図1に示すように、プレート31の支持面31cの左右両側には、プレート31を貫通して前後方向に延在するスリット32が設けられる。スリット32には、長さ調整可能な前後一対のバンド33が取り付けられ、バンド33により給電装置200の左右側面から上面にかけての領域が拘束され、これにより給電装置200が保持される。バンド33は、スリット32に沿って前後方向に移動可能であり、これにより種々の大きさの給電装置200を容易に保持できる。なお、バンド33の一端部を、スリット32に前後方向に移動可能に取り付けるとともに、バンド33の他端部にバックルを設け、バックルを介して給電装置200の周囲をバンド33で保持するようにしてもよい。バンド33を、スリット32から取り外し可能に設けてもよい。
【0024】
図4A,5に示すように、給電装置200の底面201bには複数本(例えば4本)の脚部208が下方に向けて突設される。脚部208は、底面201bと一体に形成される。なお、脚部208を底面201bと別体に形成するとともに、底面201bにねじ孔を設け、ねじ孔に螺合するボルトにより、脚部208を底面201bに固定するようにしてもよい。
図1のプレート31の支持面31cに、脚部208の位置に対応して凹部を設け、脚部208が凹部に嵌合した状態で給電装置200を支持するようにしてもよい。これにより給電装置200を支持面31cに位置決めした状態で、安定して支持することができる。
【0025】
図1~3に示すように、プレート31の上面31aには、ポール4の支持部40と給電装置200の支持面31cとの間に、左右一対の足置き34が設けられる。足置き34は、プレート31の上面31aに装着された滑り止め機能を有する部材(例えばラバー部材)によって構成される。足置き34には、乗車時にユーザの足裏が載置される。なお、プレート31の上面31aを凹凸状に加工することによって足置き34を形成してもよい。足置き34を、左右に分割せずに、支持面31cを除く上面31a全体に形成してもよい。支持面31cを、足置き34と同様に構成してもよい。
【0026】
図1,2に示すように、ポール4は、左右方向に離間した左右一対の棒部材401を有する。ポール4の上端部には、略ボックス形状の操作ユニット41が固定される。操作ユニット41の前端部には、乗車時にユーザが把持するハンドル42が固定される。ハンドル42は、操作ユニット41の左右側端部から左右方向外側に延在する下側把持部421と、下側把持部421の左右両端部から上方に延在する垂直把持部422と、下側把持部421と略平行に延在し、左右の垂直把持部422の上端部を互いに接続する上側把持部423と、を有し、全体が正面視矩形枠形状を呈する。ハンドル42の左右方向長さは、左右の後輪間の距離、すなわち左側の後輪2の右端面から右側の後輪2の左端面までの距離よりも短く、例えばプレート31の後端部の左右方向長さまたは支持面31cの左右方向長さとほぼ等しい。
【0027】
操作ユニット41の上面には、操作レバー43が設けられ、操作レバー43の操作により車両100の走行指令が入力される。操作レバー43は、鉛直方向に立設した初期位置を基準として、全方向に傾動可能なジョイスティックレバーである。操作レバー43は、非操作時には初期位置に保持され、停止指令を出力する。その状態から操作レバー43が傾動されると、傾動方向に応じて車両100の走行方向が指令され、傾動量に応じて走行速度が指令される。例えば、操作レバー43が前方に傾動されると前進が、左方に傾動されると左旋回が、左斜め方向へ傾動されると左折走行が、それぞれ指令される。また、傾動量が多いほど、速度指令値が上昇する。なお、傾動量に拘わらず、速度指令値を一定としてもよい。
【0028】
図示は省略するが、操作ユニット41には、車両100を起動する電源スイッチや、車速やバッテリ210の充電量等の車両100の状態を表示する表示部などが設けられる。操作ユニット41に、走行モードを切り換えるモード切換スイッチを設けることもでき、モード切換スイッチの操作に応じて、通常走行モードと、牽引しながら走行する牽引モードのいずれかに走行モードを切り換えることができる。電源スイッチがモード切換スイッチとしての機能を有するようにしてもよい。例えば電源スイッチの操作時間に応じて走行モードを切り換えるようにしてもよい。すなわち、電源スイッチがオンされた後、所定時間以上長押し操作されると牽引モードに、所定時間未満の長押し操作のときは通常走行モードに切り換えるようにしてもよい。
【0029】
車両100は、電動車いすと同様、歩道や路側帯を走行可能なように、最高速度が法令で定められた所定速度(例えば10km/h)に制限される。なお、操作ユニット41に、車両100の最高速度を切り換えるスイッチを設け、最高速度を複数段階に切り換えるようにしてもよい。ポール4の上端部には、左右の棒部材401の間に前照灯44が設けられる。図示は省略するが、車両100の後端部には尾灯が設けられる。
【0030】
ポール4(棒部材401)の下端部は、左右方向に延在する回動軸(不図示)を支点にして、支持部40に前後方向に回動可能に支持される。
図1に示すように、支持部40には、左右方向に挿抜可能に固定ピン402が設けられる。図示のように、支持部40に固定ピン402が挿入された状態では、ポール4の回動が阻止されて、ポール4が立設状態で固定される。このとき車両100は走行姿勢となる。走行姿勢では、ポール4は、プレート31に対して垂直に立設するのではなく、鉛直線に対する傾斜角が所定角度(例えば10度を超えない範囲で設定される角度)だけ後方に傾斜して立設する。なお、ポール4は、プレート31に対し垂直に立設してもよい。すなわち、ポール4は、プレート31の上面31aに対し略垂直に立設していればよい。
【0031】
車両100が走行姿勢であるとき、支持部40から固定ピン402を抜くと、支持部40を支点にしてポール4が後方へ回動可能となる。この状態で給電装置200が車両100から降ろされると、ポール4を、操作ユニット41の端部がプレート31の上面31aに当接するまで、後方へ回動することができる。このとき、プレート31とポール4とは略水平となり、車両100は折り畳み姿勢となる。折り畳み姿勢では、左右の後輪2の内側にハンドル42が配置され、車両100をコンパクトに折り畳むことができる。なお、車両100が走行姿勢であるときのポール4の位置を立設位置、折り畳み姿勢であるときのポール4の位置を倒回位置と呼ぶ。
【0032】
ポール4を立設位置で保持する機構は上述したものに限らない。例えば、支持部40にばねを内蔵し、ばねの付勢力によりポール4を立設位置に保持するようにしてもよい。この場合、支持部40の側壁に上下方向にスリットを形成するとともに、このスリットに沿って固定ピン402を上下動可能に構成し、ばねの付勢力に抗して固定ピン402を移動させることで、ポール4が後方に回動可能となるようにしてもよい。この構成によれば、固定ピン402を支持部40から取り外す必要がない。
【0033】
車両100の走行系の構成について説明する。
図6Aは、車両100(基部3)の底部を左斜め前方から見た斜視図である。
図6Aに示すように、プレート31の下方は、左右の前輪1と左右の後輪2の間の領域が、ケース35により覆われる。より詳しくは、プレート31の前端部から後端部にかけて、前後方向に細長のケース35により覆われる。プレート31の前端部および後端部には、それぞれ前方および後方に突設された略コ字状ないしC字状のブラケット36が設けられる。ブラケット36は、折り畳み姿勢の車両100を運搬する際にユーザによって把持される持ち手として用いられる。ブラケット36を、牽引時のフックとして用いることもできる。
【0034】
図6Bは、
図6Aからケース35を取り外した状態を示す斜視図である。
図6Bに示すように、プレート31の底部には、左右の前輪1および左右の後輪2の左右方向内側に、ブラケット51が固定され、ブラケット51により前輪1および後輪2がそれぞれ軸線CL1,CL2を中心に回転可能に支持される。より詳しくは、後輪側の左右のブラケット51には、左右一対の走行モータ52がそれぞれ取り付けられる。後輪2の回転軸は走行モータ52の出力軸に接続され、後輪2は走行モータ52により駆動される。走行モータ52は、直流電力によって駆動するDCモータである。なお、走行モータ52を単相交流や三相交流によって駆動するACモータにより構成することもできる。左右の走行モータ52の間には、左右方向に空隙がある。
【0035】
プレート31の底面には、中心線CL0(
図3)に沿ってコードリール53と、モータドライバ54と、AC/DCコンバータ55と、DC/DCコンバータ56などの電装部品が取り付けられる。コードリール53は走行モータ52の前方に配置され、モータドライバ54はコードリール53の前方に配置され、AC/DCコンバータ55はモータドライバ54の前方に配置される。これらコードリール53とモータドライバ54とAC/DCコンバータ55とは、それぞれ前輪1と後輪2との間に配置される。一方、DC/DCコンバータ56は、前輪1の前方に配置される。
【0036】
コードリール53には、送電用のケーブル57が巻回される。ケーブル57は、左右の走行モータ52の間の空隙および後端部のブラケット36の内側を通ってプレート31の後端部から上方に引き回され、
図2に示すように、給電装置200の後面の出力端子(AC出力端子)220に接続される。ケーブル57の他端部は、
図6BのAC/DCコンバータ55に接続され、給電装置200から出力された交流がケーブル57を介してAC/DCコンバータ55に入力される。
【0037】
AC/DCコンバータ55は、入力された交流を直流に変換する。AC/DCコンバータ55には、モータドライバ54が接続され、AC/DCコンバータ55からモータドライバ54に直流電力が出力される。モータドライバ54は、操作レバー43の操作による走行指令に応じて走行モータ52に直流電力を供給し、これにより走行モータ52が駆動される。AC/DCコンバータ55には、さらにDC/DCコンバータ56が接続される。DC/DCコンバータ56は、AC/DCコンバータ55から出力された直流を所定電圧に降圧または昇圧し、ポール4の上端部に配置された各種電装品(電源スイッチ等)に直流電力を供給する。
【0038】
左右の前輪1は、オムニホイールにより構成される。オムニホイールは、
図1に示すように、軸線CL1を中心とした周方向に、等間隔に配置された複数の副車輪1aを有する。複数の副車輪1aはそれぞれ、軸線CL1を中心とした円の接線方向に延在する回転軸(副回転軸)に、回転可能に支持される。このため、前輪1は、軸線CL1を中心として前後方向に回転可能であるとともに、副車輪1aの回転に伴い左右方向に移動可能である。換言すると、複数の副車輪1aは、軸線CL1を中心として公転可能であり、かつ、副回転軸を中心として自転可能である。このような副車輪1aの公転と自転との組み合わせにより、車両100は、前進走行や後進走行を行うだけでなく、前輪1が前後方向に向けられたまま、右左折走行および旋回走行することができる。
【0039】
図示は省略するが、左右の前輪1の内部には、それぞれDCモータ(オムニモータと呼ぶ)が配置される。オムニモータには、AC/DCコンバータ55(
図6B)から直流電力が供給される。オムニモータの回転は、不図示の動力伝達機構を介して複数の副車輪1aにそれぞれ伝達される。これによりオムニモータの動力により副車輪1aを自転させることができ、車両100の進行方向を容易に変更することができる。なお、オムニモータを、前輪1の内部ではなく外部に配置し、オムニモータの動力を、例えば前輪1の回転軸の内部を軸方向に通過する動力伝達機構を介して複数の副車輪1aに伝達するようにしてもよい。オムニモータを省略し、前輪1を単に自由回転可能なオムニホイールとして構成することもできる。この場合、左右の後輪2(走行モータ52)の回転数を異ならせ、その回転数差に応じて車両100の進行方向を変更することができる。
【0040】
本実施形態では、前輪1にオムニホイールを用いるので、前輪1の向きを一定としたまま車両100の進行方向を変更することができる。このため、プレート31を前輪1の近傍に至るまで延設することができ、ユーザの足置きのスペースを拡大することができる。すなわち、仮に前輪1を左右方向に転舵可能に設ける場合、前輪1を転舵させた際の前輪1とプレート31との干渉を避けるために、プレート31に切り欠きなどの逃げ部を設ける必要がある。これに対し、本実施形態では逃げ部が不要であり、その分、プレート31を大型化することができる。
【0041】
給電装置200は、例えばキャンプ場などで用いる電気機器に電力を供給するために用いることができる。以下、本実施形態に係る車両100の使用例として、キャンプ場、特に駐車場から所定距離以上離れたキャンプ場で、給電装置200を使用する場合について説明する。駐車場からキャンプ場までは歩道が整備されており、通常の車両(以下の運搬車両)は走行不可能であるが、車両100は、最高速度が所定速度に制限された状態で走行可能である。
【0042】
この場合、まず車両100は、ポール4を後方に回動した折り畳み姿勢で運搬車両(例えばミニバンや乗用車)に搭載され、キャンプ場の駐車場まで運搬される。このとき、給電装置200も運搬車両に搭載され、運搬車両によって駐車場まで運搬される。運搬車両が駐車場に到着した後、キャンプ場で電気機器を使用するために、給電装置200を駐車場からキャンプ場まで運ぶ必要がある。但し、駐車場とキャンプ場とは所定距離以上離れているため、重量物である給電装置200を人力で運搬するには多大な労力を要する。
【0043】
このような状況で、ユーザはポール4を前方に回動して車両100の姿勢を折り畳み姿勢から走行姿勢(
図1)へ変更し、さらに車両100に給電装置200を搭載する。具体的には、プレート31の支持面31cに給電装置200を搭載した後、前後一対のバンド33を給電装置200の周囲に掛け回し、バンド33を介して給電装置200をプレート31に保持する。次いで、コードリール53に巻回されたケーブル57を後方に引き出して、
図2に示すように、ケーブル57の先端部を給電装置200の後面の出力端子220に接続する。これによりケーブル57を介して、バッテリ210からAC/DCコンバータ55に電力が供給される。このため、AC/DCコンバータ55で変換された直流電力により左右一対の走行モータ52を駆動することができ、その結果、後輪2を回転させることができる。このとき、左右の前輪1の内部に配置されたオムニモータにも、それぞれ直流電力を供給することができる
【0044】
このため、車両100が走行可能となり、オムニモータの駆動により、前輪1(オムニホイール)の副車輪1aを回転させることで、前輪1の向きを変更することなく、車両100の進行方向を変更することができる。これにより、給電装置200をキャンプ場まで容易に運搬することができる。前輪と後輪とを有する電動式の車両においては、電力源をどのように確保するかについて改善の余地があったが、本実施形態の車両100では、別途のバッテリ等を搭載することなく給電装置200が着脱可能に搭載されるので、走行モータ52とオムニモータとに容易に電力を供給することができる。
【0045】
図7は、ユーザPSの乗車姿勢の一例を示す図である。
図7に示すように、ユーザPSは、給電装置200の前方における左右一対の足置き34に左右両足を置いて、立位姿勢で乗車する。足置き34(上面31a)は、給電装置200よりも左右外側に延在しており、また、前輪1および後輪2の最高部よりも低い。このため、ユーザPSは、左右方向に足を広げ、重心の低い安定した姿勢で乗車できる。このとき、ユーザPSは、一方の手でハンドル42を把持するとともに、他方の手で操作レバー43を操作して走行指令を入力する。操作レバー43はジョイスティックレバーであるため、操作方向と車両の進行方向とが一致しており、ユーザPSは進行方向の指令を直感的に理解しやすい。
【0046】
車両100がキャンプ場に到着すると、バンド33が取り外され、給電装置200が車両100から降ろされて使用される。例えば家庭用の電気機器の電源プラグが交流出力用の出力端子220に接続され、電気機器に交流電力が供給される。給電装置200が車両100から降ろされた状態では、ユーザPSは、車両100を手押しして使用することができ、地面をけって推進するいわゆるキックボードとして使用することもできる。このように給電装置200からの電力供給がない場合であっても、車両100の利用が可能である。なお、車両100は、四つの車輪によって安定して起立するため、給電装置200を車両100に搭載したまま、電気機器に電力を供給することもできる。プレート31の上面31aを荷物置き場として用いることもできる。
【0047】
なお、給電装置200に、バッテリ210に電力を供給するための入力端子部を設けるようにしてもよい。例えば交流電力を供給するための交流入力端子と、直流電力を供給するための直流入力端子とを設けるようにしてもよい。これにより入力端子を介して入力された電力によりバッテリ210を充電することができる。すなわち、給電装置200を充電装置として、あるいは充電機能を有する給電装置として用いることもできる。
【0048】
給電装置200は、出力端子220として交流出力端子を有するとともに、車両100から容易に取り外すことができる。このため、給電装置200を、車両100から取り外した状態で家庭内に持ち込み、家庭内の電気機器に電力を供給する給電部として用いることができる。したがって、給電装置200を、例えば家屋の電力アウトレットのない場所の電源として用いることができ、停電時に非常用電源として用いることも可能である。降り畳み姿勢の車両100は、前後一方の車輪を接地状態で転がすことで容易に運搬できる。例えば前側のブラケット36を把持して車両100を起立させるとともに、後輪2を接地状態で転がすことで、ユーザは車両100を容易に運搬することができる。
【0049】
上記実施形態では、車両100を、前輪2輪および後輪2輪の四輪車両として構成したが、車両100は、前輪1輪、後輪1輪の2輪車両、前輪1輪、後輪2輪の3輪車両等、4輪車両以外であってもよい。
図8は、車両100を3輪車両として構成した場合の一例を示す斜視図である。
図8に示すように、前輪1は一輪であり、車両100の左右方向中央部、すなわち中心線CL0(
図3)上に位置する。プレート31の前端部には、前後方向に延在するスリット状の貫通孔37が設けられ、前輪1の上部は、貫通孔37を貫通してプレート31の上面31aよりも上方に突出する。なお、貫通孔37の代わりに、プレート31の前端部から後方に延在するスリット状の切り欠きを設け、切り欠きを介して前輪1の上部が突出するようにしてもよい。
【0050】
プレート31の上面31aには、前輪1の左右両側に、ポール4を支持する支持部40が設けられ、ポール4の左右一対の棒部材401は、前輪1の左右両側において立設される。ポール4の上端部には、
図1と同様、操作ユニット41と、ハンドル42と、操作レバー43と、前照灯44とが設けられる。なお、貫通孔37の左右両側に左右一対の支持部40を設けるのではなく、貫通孔37の前側に、
図1と同様、単一の支持部40を設けてもよい。
図8の例では、前輪1が車両100の左右中央部に配置されるため、プレート31の前部の左右両端部に切り欠き部31b(
図3)を設ける必要がなく、その分、プレート31の前部の幅が拡大する。その結果、足置き34の領域を拡大することができ、乗車時のユーザの足の配置の自由度が向上する。
【0051】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)車両100としての電動スクーターは、前輪1および後輪2と、前後方向に延在し、乗員の荷重を受けるプレート31(足置き34)を有する基部3と、後輪2を駆動する走行モータ52と、バッテリ210とバッテリ210からの電力が出力される出力端子220とを有する給電装置200を、着脱可能に保持する保持部としてのプレート31(支持面31c)と、を備える(
図1~3)。
【0052】
この構成により、給電装置200をキャンプ場等の目的地まで運搬する場合で、駐車場と目的地との間が離れている場合であっても、多大な労力を要さずに給電装置200を容易に目的地まで運搬することができる。また、車両走行用の電力を供給する給電装置200を、車両100から離れた位置で、各種の外部機器(電気機器)に電力を供給するために用いることができる。したがって、車両100を外部機器の近傍まで移動させる必要がなく、給電装置200を利用する際の制約が小さい。
【0053】
(2)給電装置200を保持する支持面31cは、基部3の足置き34よりも後方に設けられる(
図1~3)。これにより車両100の乗車時において、ユーザの後方に給電装置200が配置されるため、給電装置200によって前方の視界が遮られることを抑制することができ、進行方向(前方)の視認性が高まる。
【0054】
(3)足置き34は、支持面31cと略同一高さに設けられる(
図1)。これにより給電装置200の非搭載時に、プレート31の上面31aは平坦面となるので、ユーザは足の位置を支持面31c側にずらして利用することができる。その結果、例えば車両100を、片足で地面をけって進むキックボードとして好適に利用することができる。
【0055】
(4)足置き34は、乗員の足が載置されるように左右方向に亘って略平面状に設けられる(
図1~3)。これによりユーザは、左右方向に足を広げた安定した立位姿勢で車両100に乗車することができる。
【0056】
(5)後輪2は、左右方向に互いに離間して配置される左右一対の後輪2、すなわち右後輪および左後輪を有する。これにより、車両100の後部で、重量物である給電装置200を安定して支持することができる。
【0057】
(6)プレート31の支持面31cは、左右の後輪2の間に配置される(
図1~
図3)。支持面31cで保持された給電装置200は、左右方向から視て左右の後輪2と重なる位置となるように配置される。換言すると、給電装置200と後輪2とは前後方向に互いに重なる位置に配置されるとともに、後輪2の上端部はプレート31の上面31aよりも上方に突出する(
図1,2)。これにより給電装置200を低位置に保持することができ、車両100は低重心の安定した姿勢で走行できる。
【0058】
(7)前輪1は、左右方向に互いに離間して配置される右前輪および左前輪を有する(
図3)。基部3(プレート31)は、前輪1と後輪2との間において、前輪1の左右方向の内側端面および後輪2の左右方向の内側端面よりも左右方向の外側に突設される(
図3)。これにより車両100の全幅を拡大することなく、足置き34のスペースを拡大することができる。
【0059】
(8)前輪1はオムニホイールであり、左右方向に延びる軸線CL1(第1軸)に対して回転可能に設けられるとともに、軸線CL1を中心とした円周方向に互いに離間して配置され、円周方向に延びる副回転軸(第2軸)を中心に回転可能に設けられる複数の副車輪1aを有する(
図1)。これにより、前輪1の向きを一定としたまま、車両100の進行方向を変更することができる。
【0060】
(9)前輪1は、副車輪1aを回転駆動するオムニモータを有する。これにより車両100の進行方向を容易に変更することができ、その場で旋回することも容易に実現できる。
【0061】
(10)走行モータ52により駆動される駆動輪として後輪2を構成するとともに、従動輪として前輪1を構成することもできる。この場合には、左右の後輪2に速度差を生じさせることで、車両100の進行方向を変更することができる。
【0062】
(11)前輪1は、操向不能(転舵不能)に設けられる(
図1)。これにより、プレート31に、前輪1とプレート31との干渉を防止するための逃げ部を設ける必要がなく、その分、足置き34のスペースを拡大できる。また、ハンドル42を左右方向に回動可能に設ける必要がないため、部品点数を削減でき、車両100を安価に構成できる。
【0063】
(12)車両100は、支持面31cに保持された給電装置200と走行モータ52とを電気的に接続するケーブル57を、巻き取り可能に収納するコードリール53をさらに備える(
図6B)。これにより、ケーブル57をたるみなく給電装置200に接続することができ、走行時にケーブル57が障害物に引っかかることを防止できる。また、車両100は給電装置200からの電力により走行するため、車両走行用の電力源を別途設ける必要がなく、効率的である。すなわち、車両100に搭載された給電装置200から電動機5に電力が供給されるため、車両100が別途のバッテリなどの電力源を備える必要がない。したがって、車両100を小型化および簡素化することができる。
【0064】
(13)コードリール53は、プレート31の底面、すなわち基部3の下面側に配置される(
図6B)。このため、プレート31の上面側の構成を簡素化でき、立ち乗り車両として好適である。
【0065】
(14)車両100は、ユーザによる走行指令を受け付ける操作レバー43、より詳しくはユーザによる進行方向の意思を360度の範囲で受けるジョイスティックレバーをさらに備える(
図1,2)。これにより、ユーザは、進行方向を含む走行指令を、立位姿勢で乗車しながら容易に入力することができる。
【0066】
(15)車両100は、基部3(プレート31)から立設され、乗車時にユーザによって把持されるハンドル42が設けられるポール4をさらに備える(
図1)。ポール4は、前輪1の回転中心(軸線CL1)よりも前方においてプレート31から立設される(
図3)。プレート31の上面31aに給電装置200を搭載すると、足置き34のスペース狭くなりがちであるが、ポール4は軸線CL1よりも前方に配置されるので、プレート31の上面31aの足置き34のスペースを前方に拡大することができ、ユーザは安定した立位姿勢で乗車できる。
【0067】
(16)車両100は、ポール4を前後方向に回動可能に、すなわち立設位置から倒回位置まで回動可能に支持する支持部40をさらに備える(
図1)。ハンドル42の左右方向の長さは、基部3(プレート31)の後端部の左右方向長さ以下である。これにより、車両100の折り畳み姿勢で、左右の後輪2の内側にハンドル42を配置することができ、車両100をコンパクトに折り畳むことができる。
【0068】
上記実施形態は、種々の形態に変形することができる。以下、いくつかの変形例について説明する。上記実施形態では、車両100の後輪2に走行モータ52を設けたが、電動機を車両100の前輪1に設けるようにしてもよい。すなわち、駆動輪は前輪1と後輪2のいずれであってもよい。走行モータ52を、車両100の減速時に回生エネルギを発生させるモータジェネレータとして構成してもよい。上記実施形態では、基部3の下面側に配置されたコードリール53に巻回されたケーブル57を、バッテリ210からの電力が出力される出力端子220に接続するようにしたが、電力線が巻き取り可能に収納される収納部の配置は上述したものに限らない。
【0069】
上記実施形態では、前輪1と後輪2との間に前後方向に延在する基部3を設けるとともに、基部3に、ユーザの荷重を受ける荷重部としてプレート31(足置き34)を設けたが、荷重部の構成はこれに限らない。例えばプレート31の上面31aからフレームを立設し、このフレームの上端部に着座部を設けるようにしてもよい。すなわち、車両100にユーザが着座する椅子を設けるようにしてもよい。この場合、着座したユーザの足が、足置き34に載置されればよい。
【0070】
上記実施形態では、給電装置200を略直方体形状、すなわち六面体により構成したが、蓄電部(バッテリ210)と蓄電部からの電力が出力される出力部(出力端子220)とを有するのであれば、給電装置200の構成(形状)はいかなるものでもよい。蓄電池の代わりにキャパシタを、蓄電部として用いてもよい。給電装置200は放電機能を有するのみでなく、充電機能を有するものでもよい。上記実施形態では、プレート31の上面31aの支持面31cで給電装置200を保持するようにしたが、給電装置を着脱可能に保持するのであれば、保持部の構成はいかなるものでもよい。ラバーマウント等の緩衝材を保持部に設けるようにしてもよい。上記実施形態では、給電装置200の多くの部分が露出するように給電装置200を保持するようにしたが、給電装置200の全体を収容して保持部で保持するようにしてもよい。
【0071】
上記実施形態では、足置き34(荷重部)と支持面31c(保持部)とをプレート31の同一面上に設けたが、荷重部と保持部とを互いに異なる高さの面に設けてもよい。上記実施形態では、前輪1を複数の副車輪1aを有するオムニホイールにより構成し、軸線CL1に沿った回転軸(第1軸)に対し副車輪1aを回転可能(公転可能)に設けるとともに、円周方向に延びる副回転軸(第2軸)に対し副車輪1aを回転可能(自転可能)に設けるようにしたが、前輪1の構成はこれ限らない。前輪1を、オムニホイールとせずに転舵可能に構成してもよい。
【0072】
上記実施形態では、車両100に走行指令を入力する操作レバー43を、360度の範囲で乗員の進行方向の位置を受けるジョイスティックレバーにより構成したが、車両操縦部の構成はこれに限らない。上記実施形態では、ポール4の上端部に、略矩形枠形状のハンドル42を設けたが、乗員によって把持される把持部の構成は上述したものに限らない。上記実施形態では、支持部40を介してポール4(柱部材)を前後方向に回動可能に支持した。すなわち立設位置(第1位置)から倒回位置(第2位置)まで回動可能に設けたが、支持部の上方において柱部材を前後方向に折り曲げ可能に設けてもよい。
【0073】
上記実施形態では、車両100を電動スクーターとして構成したが、本発明の車両は電動スクーターに限らず、種々のタイプの車両として用いることができる。上記実施形態は、バッテリ210を挿脱可能な給電装置200に適用したが、製造時や故障、劣化などによる整備、交換時、あるいはリサイクルや廃棄時等以外に、バッテリを挿脱しないような給電装置にも、本発明を同様に適用することができる。上記実施形態では、バッテリ210を有する給電装置200を用いたが、給電装置の構成はこれに限らない。例えば液体または気体の燃料を燃焼させて電力を発生するような発電部を有する給電装置であってもよい。燃料電池を用いて電力を発生させるものでもよい。太陽光などの自然エネルギを用いて電力を発生させるものでもよい。無線でバッテリに電力が供給されるようにしてもよい。すなわち、車両に着脱可能に設けられる給電装置の態様はいかなるものでもよい。
【0074】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 前輪、1a 副車輪、2 後輪、3 基部、4 ポール、31 プレート、31a 上面、31c 支持面、34 足置き、40 支持部、42 ハンドル、43 操作レバー、52 走行モータ、53 コードリール、57 ケーブル、100 車両、200 給電装置、210 バッテリ、220 出力端子