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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184014
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097896
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 俊希
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353EE37
5E353HH25
5E353KK03
5E353KK11
5E353NN18
5E353QQ06
5E353QQ22
(57)【要約】
【課題】消費電力を好適に低減するための技術を提供する。
【解決手段】部品実装機は、電子部品を基板に実装する。部品実装機は、電子部品を基板に実装する実装処理を実行する部品実装部と、部品実装部に電力を供給する電源部と、電源部と部品実装部とを接続する電源線に配置され、部品実装部に実装処理を実行可能とする予め設定された第1設定条件が成立するときに電源部から部品実装部へ電力を供給する電源供給状態とし、第1設定条件が成立しないときに電源部から部品実装部への電力供給を遮断する電力遮断状態とする第1スイッチと、電源線に配置され、電源供給状態において特定の事象が発生したときに、電源部から部品実装部への電力の供給を遮断する第2スイッチと、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に実装する部品実装機であって、
前記電子部品を前記基板に実装する実装処理を実行する部品実装部と、
前記部品実装部に電力を供給する電源部と、
前記電源部と前記部品実装部とを接続する電源線に配置され、前記部品実装部に前記実装処理を実行可能とする予め設定された第1設定条件が成立するときに前記電源部から前記部品実装部へ電力を供給する電力供給状態とし、前記第1設定条件が成立しないときに前記電源部から前記部品実装部への電力供給を遮断する電力遮断状態とする第1スイッチと、
前記電源線に配置され、前記電力供給状態において特定の事象が発生したときに、前記電源部から前記部品実装部への電力の供給を遮断する第2スイッチと、
を備える、部品実装機。
【請求項2】
前記第2スイッチは、前記特定の事象が解消すると、前記電源部から前記部品実装部への電力の供給を再開する、請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記部品実装部で実装する電子部品を供給する供給部をさらに備えており、
前記特定の事象は、前記供給部に収容される前記電子部品の部品切れである、請求項1又は2に記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、電子部品を基板に実装する部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装する部品実装機は、電子部品を基板に実装する実装処理を実行する部品実装部と、部品実装部へ電力を供給する電源部を備えている。部品実装部と電源部とを接続する電源線には、電源部から部品実装部への電力の供給状態を切り替えるスイッチが設けられている。例えば、実装処理に必要な部材等が設置されたり、作業者の安全が確保された状態になったりする等の条件が成立すると、部品実装部が実装処理を実行可能な状態になり、スイッチは、電源部から部品実装部へ電力が供給される状態に切り替えられる。例えば、特許文献1には、電源部から部品実装部への電力の供給を切り替えるスイッチを備える部品実装機の一例が開示されている。特許文献1の部品実装機では、例えば、部品実装機の上流に設置される装置から基板が搬入可能な状態となったときに、電源部から部品実装部へ電力を供給するようにスイッチが切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-320199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品実装機の部品実装部による実装処理中においては、実装処理が実行不能となる様々な事象が発生し、部品実装部による実装処理が停止される。このような特定の事象が発生すると、その特定の事象が解消されるまで、部品実装部による部品実装処理は再開できない。しかしながら、従来の部品実装機では、特定の事象が発生した状態であっても、スイッチをオンにするための条件が成立していれば、部品実装部への電力の供給が継続される。このため、実装処理を実行できない状態であるにも関わらず、部品実装部への電力の供給が継続され、電力を無駄に消費していた。なお、このような無駄な電力消費を回避するために、スイッチをオンにするための条件に特定の事象を追加することが考えられる。しかしながら、実装処理が実行不能となる特定の事象は製造する基板の種類等に応じてユーザが任意に設定することが考えられ、スイッチをオンにするための条件に特定の事象を設定する作業が煩雑となるという問題があった。
【0005】
本明細書は、効率良く消費電力を低減するための技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する部品実装機は、電子部品を基板に実装する。部品実装機は、電子部品を基板に実装する実装処理を実行する部品実装部と、部品実装部に電力を供給する電源部と、電源部と部品実装部とを接続する電源線に配置され、部品実装部に実装処理を実行可能とする予め設定された第1設定条件が成立するときに電源部から部品実装部へ電力を供給する電力供給状態とし、第1設定条件が成立しないときに電源部から部品実装部への電力供給を遮断する電力遮断状態とする第1スイッチと、電源線に配置され、電力供給状態において特定の事象が発生したときに、電源部から部品実装部への電力の供給を遮断する第2スイッチと、を備える。
【0007】
上記の部品実装機では、第1スイッチは、第1設定条件(例えば、作業者の安全が確保される条件)が成立すると電源供給状態とし、部品実装部が部品実装処理を実行可能となる。第2スイッチは、部品実装部が部品実装処理を実行可能な場合において特定の事象が発生したときに、電源部から部品実装部への電力の供給を遮断する。このため、第1設定条件を変更することなく、特定の事象が発生したときに電源部から部品実装部への電力の供給を停止することができ、消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係る部品実装機の概略構成を示す図。
図2図1のII-II線における断面図。
図3】実施例に係る部品実装機の制御系を示すブロック図。
図4】電源部から部品実装部に電力を供給する回路の構成を示す図。
図5】電源部から部品実装部への電力供給を制御する処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
本明細書に開示する部品実装機では、第2スイッチは、特定の事象が解消すると、電源部から部品実装部への電力の供給を再開してもよい。このような構成によると、特定の事象が解消したときに、電源部から部品実装部への電力の供給を自動で再開することができる。
【0011】
本明細書に開示する部品実装機は、部品実装部で実装する電子部品を供給する供給部をさらに備えていてもよい。特定の事象は、供給部に収容される電子部品の部品切れであってもよい。このような構成によると、供給部に収容される電子部品が部品切れになると、部品実装部による実装処理が実行できなくなり、部品実装処理が停止される。部品切れが発生したときに電源部から部品実装部への電力供給を遮断することによって、実装処理が停止される間、部品実装部への電力供給を停止することができる。
【実施例0012】
図面を参照して、実施例に係る部品実装機10について説明する。部品実装機10は、回路基板2に電子部品4を実装する装置である。部品実装機10は、電子部品装着装置やチップマウンタとも称される。通常、部品実装機10は、はんだ印刷機及び基板検査機といった他の基板作業機と共に併設され、一連の実装ラインを構成する。
【0013】
図1図3に示すように、部品実装機10は、部品実装部22と、電源部32と、第1スイッチ40と、第2スイッチ42と、タッチパネル24と、制御装置26を備えている。図1に示すように、部品実装機10の外部には、部品実装機10と通信可能に構成された管理装置8が配置されている。
【0014】
図1及び図2に示すように、部品実装部22は、複数の部品フィーダ12と、フィーダ保持部14と、装着ヘッド16と、ヘッド移動装置18と、基板コンベア20と、撮像装置30を備えている。
【0015】
各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4を収容している。部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取り付けられ、装着ヘッド16へ電子部品4を供給する。本実施例では、各々の部品フィーダ12は、テープ上に収容された複数の電子部品4を供給するテープ式フィーダである。なお、部品フィーダ12は、トレイ上に収容された複数の電子部品4を供給するトレイ式フィーダ、又は、容器内にランダムに収容された複数の電子部品4を供給するバルク式フィーダであってもよい。
【0016】
フィーダ保持部14は、複数のスロットを備えており、複数のスロットのそれぞれには部品フィーダ12を着脱可能に設置することができる。本実施例では、フィーダ保持部14は、部品実装機10に固定的に装備されたものであったが、部品実装機10に対して着脱可能なものであってもよい。
【0017】
装着ヘッド16は、移動ベース18aに固定されており、移動ベース18aと一体的に移動する。装着ヘッド16は、電子部品4を吸着するノズル6を有する。ノズル6は、装着ヘッド16に着脱可能に取り付けられている。装着ヘッド16は、ノズル6をZ方向(ここでは鉛直方向)に移動可能であり、部品フィーダ12や回路基板2に対して、ノズル6を接近及び離間させる。装着ヘッド16は、部品フィーダ12から電子部品4をノズル6によって吸着すると共に、ノズル6に吸着された電子部品4を回路基板2上に装着することができる。なお、装着ヘッド16は、単一のノズル6を有するものに限られず、複数のノズル6を有するものであってもよい。
【0018】
撮像装置30は、移動ベース18aに固定されており、移動ベース18aと一体的に移動する。撮像装置30は、カメラと光源を備えている。カメラは、その撮像方向が下方に向かうように配置されており、部品フィーダ12の部品供給位置を上方から撮像する。カメラには、例えばCCDカメラが用いられる。光源は、LEDにより構成されており、部品フィーダ12の部品供給位置を照明する。撮像装置30によって撮像された画像の画像データは、制御装置26のメモリ(図示省略)に記憶される。
【0019】
ヘッド移動装置18は、部品フィーダ12と回路基板2との間で装着ヘッド16及び撮像装置30を移動させる。一例ではあるが、本実施例のヘッド移動装置18は、移動ベース18aをX方向及びY方向に移動させるXYロボットであり、移動ベース18aに対して装着ヘッド16及び撮像装置30が固定されている。ヘッド移動装置18は、ノズル6を回路基板2の表面と平行な平面(XY平面)で平行移動可能であり、XY平面内の所望の位置に位置決め可能となっている。すなわち、ヘッド移動装置18は、移動ベース18aをX方向及びY方向の所望の位置に移動させるためのサーボ機構を備えており、サーボ機構により移動ベース18aのX方向及びY方向の位置を制御することで、装着ヘッド16、撮像装置30及びノズル6をXY平面内の所望の位置に位置決めすることができる。なお、装着ヘッド16は、移動ベース18aに固定されるものに限られず、移動ベース18aに着脱可能に取り付けられるものであってもよい。
【0020】
基板コンベア20は、回路基板2の搬入、位置決め及び搬出を行う装置である。一例ではあるが、本実施例の基板コンベア20は、一対のベルトコンベアと、回路基板2を下方から支持する支持装置(図示省略)とを有する。
【0021】
電源部32は、部品実装部22に装備される種々の電装品に電力を供給する。図4に示すように、電源部32は、サーボ系電源を備えており、3つの電源線36を介して三相で部品実装部22のヘッド移動装置18に電力を供給する。すなわち、電源部32は、ヘッド移動装置18を駆動するモータ(図示省略)に電力を供給する。電源部32から部品実装部22に電力が供給されることにより、部品実装部22は、回路基板2に電子部品4を実装する実装処理が実行可能となる。
【0022】
第1スイッチ40及び第2スイッチ42は、電源部32(詳細には、電源部32のサーボ系電源)と部品実装部22(詳細には、部品実装部22のヘッド移動装置18)とを接続する電源線36に配置されている。第1スイッチ40及び第2スイッチ42は、電磁接触器であり、コイルを用いて構成されている。コイルに通電することにより、第1スイッチ40及び第2スイッチ42はオンになる。コイルへの通電をオフすることにより、第1スイッチ40及び第2スイッチ42はオフになる。第1スイッチ40及び第2スイッチ42がオンになると、電源部32から部品実装部22へ電力が供給される。なお、第1スイッチ40及び第2スイッチ42は、電源部32から部品実装部22へ電力を供給する電力供給状態(オン状態)と、電源部32から部品実装部22への電力供給を遮断する電力遮断状態(オフ状態)とに切替え可能な構成であればよく、電磁接触器以外のスイッチであってもよい。
【0023】
第1スイッチ40は、予め設定された設定条件が成立するとオンになるように構成されている。具体的には、予め設定された設定条件が成立すると、制御装置26が、第1スイッチ40に対して第1スイッチ40をオンにする指令を出力する。それにより、第1スイッチ40のコイルに電流が流れ、第1スイッチ40がオンになる。また、予め設定された設定条件が成立した状態から成立しない状態になると、制御装置26が、第1スイッチ40に対して第1スイッチ40をオフにする指令を出力する。それにより、第1スイッチ40のコイルに流れる電流が遮断され、第1スイッチ40がオフになる。
【0024】
第1スイッチ40をオンにするための設定条件は、実装処理が実行可能となるための条件であり、部品実装機の種類に関係なく、複数種類の部品実装機に共通に設定される。例えば、実装処理を実行するために必要な部材が設置された状態になると共に、作業者の安全が確保された状態になる条件を、第1スイッチ40をオンにするための設定条件とすることができる。実装処理を実行するために必要な部材が設置された状態は、例えば、適切な部品フィーダ12(すなわち、適切な種類の電子部品4を収容する部品フィーダ12)がフィーダ保持部14に設置され、適切なノズル6(すなわち、適切な種類の電子部品4を吸着可能なノズル6)が装着ヘッド16に装着された状態である。また、作業者の安全が確保された状態は、例えば、作業者が部品実装機10の内部にアクセスするための扉(図示省略)が閉じられ、部品実装機10に設けられる非常停止ボタン(図示省略)がオフになった状態である。これらの条件がすべて成立すると、部品実装機10を安全に動作させることができ、実装処理が実行可能な状態となる。すなわち、上記の設定条件が成立しない間は、実装処理が実行できない状態である。このため、第1スイッチ40はオフにされている。そして、上記の設定条件が成立すると、第1スイッチ40をオンにする。すると、部品実装部22(詳細には、部品実装部22のヘッド移動装置18)に電力が供給され、実装処理が実行可能となる。また、上記の設定条件が成立しなくなると(例えば、非常停止ボタンが押された場合)、第1スイッチ40をオンからオフに切替える。すると、部品実装部22(ヘッド移動装置18)への電力供給が遮断され、実装処理が実行不能となる。このように、上記の設定条件が成立したときに第1スイッチ40をオンにすることによって、実装処理が実行可能となったときに部品実装部22(ヘッド移動装置18)に電力が供給され、実装処理が実行不能なときに部品実装部22(ヘッド移動装置18)への電力供給が遮断される。
【0025】
第2スイッチ42は、電源線36において、第1スイッチ40とは異なる位置に配置されている。本実施例では、第2スイッチ42は、第1スイッチ40と電源部32との間に配置されている。第2スイッチ42は、特定の事象が発生するとオフになり、特定の事象が解消されるとオンになるように構成されている。具体的には、特定の事象が発生すると、制御装置26が、第2スイッチ42に対して第2スイッチ42をオフにする指令を出力する。それにより、第2スイッチ42のコイルに流れる電流が遮断され、第2スイッチ42がオフになる。また、特定の事象が解消されると、制御装置26が、第2スイッチ42に対して第2スイッチ42をオンにする指令を出力する。それにより、第2スイッチ42のコイルに電流が流れ、第2スイッチ42がオンになる。
【0026】
上記の特定の事象は、実装処理の実行中に、実装処理が実行できなくなる事象であり、部品実装機のユーザによって任意に設定することができる。本実施例では、特定の事象は、部品フィーダ12に必要な電子部品4が収容されていない状態になることであり、以下では単に「部品切れ」ともいう。部品切れが発生すると、部品フィーダ12から適切な種類の電子部品4を供給できなくなり、実装処理が実行できなくなる。制御装置26は、部品切れを検出すると、第2スイッチ42に対して第2スイッチ42をオフにする指令を出力する。これにより、電源部32から第1スイッチ40までの間の電力供給が遮断される。このため、第1スイッチ40がオンになっている場合であっても、部品実装部22(ヘッド移動装置18)への電力供給が遮断される。第2スイッチ42を設けることによって、部品切れとなり、実装処理を実行できない状態となったときに、部品実装部22(ヘッド移動装置18)への不要な電力供給を停止することができ、消費電力を低減することができる。部品切れが発生した後、適切な種類の電子部品4が収容された部品フィーダ12がフィーダ保持部14に設置されると、部品切れ(本実施例における特定の事象)が解消される。制御装置26は、適切な部品フィーダ12がフィーダ保持部14に設置されたことを検出すると、第2スイッチ42に対して第2スイッチ42をオンにする指令を出力する。これにより、電源部32から第1スイッチ40までの間の電力供給が再開される。このため、第1スイッチ40がオンになっている状態であれば、部品実装部22(ヘッド移動装置18)に電力が供給される。
【0027】
第2スイッチ42は、特定の事象が発生したときにオフにされる。すなわち、第2スイッチ42は、第1スイッチ40とは異なる条件に基づいてオンオフが制御されている。これにより、第1スイッチ40を制御するための設定条件を変更することなく、特定の事象が発生したときに部品実装部22(ヘッド移動装置18)への電力供給を遮断することができる。
【0028】
制御装置26は、CPU及び記憶装置を備えるコンピュータを用いて構成されている。制御装置26は、管理装置8から送信される生産プログラムに基づいて、部品実装機10の各部の動作を制御する。図3に示すように、制御装置26は、ヘッド移動装置18、基板コンベア20、タッチパネル24、撮像装置30、電源部32、第1スイッチ40及び第2スイッチ42と接続しており、ヘッド移動装置18、基板コンベア20、タッチパネル24、撮像装置30及び電源部32、第1スイッチ40及び第2スイッチ42の各部を制御している。タッチパネル24は、作業者に部品実装機10の各種の情報を提供する表示装置であると共に、作業者からの指示や情報を受け付ける入力装置である。
【0029】
次に、電源部32から部品実装部22(詳細には、ヘッド移動装置18)への電力供給を制御する処理について説明する。図5に示すように、まず、制御装置26は、予め設定された設定条件が成立している否かを判断する(S12)。上述したように、予め設定された設定条件は、実装処理が実行可能となるための条件であり、実装処理を実行するために必要な部材が設置された状態になると共に、作業者の安全が確保された状態になる条件である。これらの設定条件が成立していない場合(ステップS12でNO)、これらの設定条件が成立するまで待機する。
【0030】
予め設定した設定条件が全て成立すると(ステップS12でYES)、制御装置26は、第1スイッチ40に対して第1スイッチ40をオンにする指令を出力する(S14)。すると、第1スイッチ40はオンになる。なお、上記の設定条件には、実装処理を実行するために必要な部材が設置された状態になるという条件が含まれており、これには、部品フィーダ12がフィーダ保持部14に設置されるという条件が含まれる。上述したように、部品フィーダ12がフィーダ保持部14に設置されると、部品切れが解消されるため、第2スイッチ42がオンになる。したがって、図5のフローチャートでは省略しているが、第1スイッチ40をオンにするための設定条件が成立するまでの間に、部品フィーダ12がフィーダ保持部14に設置されることによって第2スイッチ42はオンになる。このため、予め設定した設定条件が全て成立すると、第1スイッチ40と第2スイッチ42の両方がオンになり、電源部32から部品実装部22へ電力が供給される。これにより、実装処理が実行可能となる。
【0031】
次いで、制御装置26は、部品フィーダ12の部品供給位置を撮像する(S16)。具体的には、制御装置26は、撮像装置30が部品フィーダ12の部品供給位置の上方に位置するように、移動ベース18aを移動させる。そして、制御装置26は、撮像装置30で部品供給位置を上方から撮像する。撮像された画像は、制御装置26のメモリ(図示省略)に記憶される。
【0032】
次いで、制御装置26は、ステップS16で撮像された画像から、部品フィーダ12に電子部品4があるか否かを判断する(S18)。具体的には、制御装置26は、撮像画像内において適切な電子部品4が検出されたときに、部品フィーダ12に電子部品4があると判断する。一方、制御装置26は、撮像画像内において電子部品4が検出されなかったときと、検出された電子部品4が適切なものではないとき(例えば、適切な電子部品4とは異なる形状の電子部品4が検出されたとき)に、部品フィーダ12に電子部品4がないと判断する。部品フィーダ12に電子部品4がある場合(ステップS18でYES)、制御装置26は、実装処理を実行する(S20)。具体的には、制御装置26は、適切な電子部品4をノズル6に吸着させ、回路基板2上の適切な位置に吸着した電子部品4を実装する。次いで、制御装置26は、実装処理を終了するか否かを判断する(S22)。全ての電子部品4を回路基板2に実装していない場合、制御装置26は、実装処理を終了しないと判断し(ステップS22でNO)、ステップS16に戻り、ステップS16~ステップS22の処理を繰り返す。一方、全ての電子部品4を回路基板2に実装した場合、制御装置26は、実装処理を終了すると判断し(ステップS22でYES)、全ての処理を終了する。
【0033】
一方、部品フィーダ12に電子部品4がない場合(ステップS18でNO)、制御装置26は、部品切れが発生したと判断する。そこで、制御装置26は、第2スイッチ42に対して第2スイッチ42をオフにする指令を出力する(S24)。すると、第2スイッチ42はオフになる。このとき、第1スイッチ40をオンにするための設定条件は成立したままであるため、第1スイッチ40はオンのままになっている。すなわち、第1スイッチ40がオンであり、第2スイッチ42がオフになった状態となる。第2スイッチ42がオフになることにより、電源部32から部品実装部22への電力供給が遮断される。部品切れが発生すると、実装する電子部品4がないため、実装処理が実行できなくなる。部品切れが発生したときに電源部32から部品実装部22への電力供給を遮断することにより、実装処理が実行不能な状態で電力を消費することを抑制することができる。
【0034】
次いで、制御装置26は、新たな部品フィーダ12を設置したか否かを判断する(S26)。部品切れとなった部品フィーダ12をフィーダ保持部14から取り外し、新たな部品フィーダ12をフィーダ保持部14に設置すると、部品切れが解消される。新たな部品フィーダ12が設置されていない場合(ステップS26でNO)、新たな部品フィーダ12が設置されるまで待機する。一方、新たな部品フィーダ12が設置されると(ステップS26でYES)、制御装置26は、第2スイッチ42に対して第2スイッチ42をオンにする指令を出力する(S28)。すると、第2スイッチ42はオンになり、第1スイッチ40と第2スイッチ42の両方がオンになる。これにより、電源部32から部品実装部22への電力供給が再開される。次いで、ステップS16に戻り、ステップS16~ステップS28の処理を繰り返す。本実施例では、第2スイッチ42を、第1スイッチ40とは別のスイッチとして設置することにより、特定の事象(本実施例では、部品切れ)が発生したときに、第1スイッチ40はオンのままで、第2スイッチ42のオンオフを切り替える。このため、第1スイッチ40の設定条件を変更することなく、第2スイッチ42により、特定の事象の有無に従い電源部32から部品実装部22への電力供給を切り替えることができる。
【0035】
なお、本実施例では、第2スイッチ42のオンオフを切り替える特定の事象は、部品フィーダ12の部品切れの発生であったが、このような構成に限定されない。第2スイッチ42のオンオフを切り替える特定の事象は、実装処理の実行中に実装処理が継続不能となる事象であればよく、例えば、回路基板2が所定の位置に検出されないという事象であってもよい。具体的には、部品実装機10は、回路基板2が部品実装機10内の所定の位置に搬入されているか否かを検出するセンサを備えており、制御装置26は、センサによって回路基板2が検出されないときに、回路基板2が所定の位置に搬入されなかったと判断する。この場合、第2スイッチ42は、センサによって回路基板2が検出されなかったときにオフにされるように構成されていてもよい。
【0036】
実施例で説明した部品実装機10に関する留意点を述べる。実施例の回路基板2は、「基板」の一例であり、部品フィーダ12は、「供給部」の一例である。
【0037】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0038】
2:回路基板
4:電子部品
6:ノズル
10:部品実装機
12:部品フィーダ
14:フィーダ保持部
16:装着ヘッド
18:ヘッド移動装置
18a:移動ベース
20:基板コンベア
24:タッチパネル
26:制御装置
30:撮像装置
32:電源部
36:電源線
40:第1スイッチ
42:第2スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5