(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184017
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
B62D 57/02 20060101AFI20231221BHJP
F15B 11/08 20060101ALI20231221BHJP
F15B 11/16 20060101ALI20231221BHJP
F15B 11/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B62D57/02 Z
F15B11/08 B
F15B11/16 Z
F15B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097902
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳一
(72)【発明者】
【氏名】平岡 実
(72)【発明者】
【氏名】山中 之史
(72)【発明者】
【氏名】吉井 嘉一郎
(72)【発明者】
【氏名】井田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】羽澤 悠平
(72)【発明者】
【氏名】仁木 亮太
(72)【発明者】
【氏名】山岸 亮太
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA59
3H089AA74
3H089BB30
3H089CC01
3H089CC09
3H089CC11
3H089DA02
3H089DA13
3H089DB03
3H089DB34
3H089DB45
3H089DB46
3H089DB48
3H089DB49
3H089GG02
3H089JJ01
(57)【要約】
【課題】複数の屈伸機構により走行用の車輪を支持した作業車において、機体の姿勢変化を抑制する。
【解決手段】作動油を貯留する貯留部13と、貯留部13の作動油を吸引して吐出する油圧ポンプ11と、油圧ポンプ11を駆動する駆動部10とが備えられる。油圧ポンプ11の作動油をシリンダ制御弁に供給する供給油路29と、油圧シリンダからシリンダ制御弁を介して排出される作動油を貯留部13に戻す戻り油路30とが備えられる。シリンダ制御弁から貯留部13への作動油の戻りを阻止する戻り油路チェック弁35が戻り油路30に設けられ、駆動部10により油圧ポンプ11が駆動されると、供給油路29から分岐したパイロット作動油により、戻り油路チェック弁35が開操作される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体と、
前記機体の複数箇所に取り付けられ、前記機体から延出された屈伸機構と、
前記屈伸機構の延出端部に支持された走行用の車輪と、
前記屈伸機構を屈伸操作可能な油圧シリンダと、
作動油を貯留する貯留部と、
前記貯留部の作動油を吸引して吐出する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプを駆動する駆動部と、
前記油圧シリンダに作動油を給排操作するシリンダ制御弁と、
前記油圧ポンプの作動油を前記シリンダ制御弁に供給する供給油路と、
前記油圧シリンダから前記シリンダ制御弁を介して排出される作動油を、前記貯留部に戻す戻り油路とが備えられ、
前記シリンダ制御弁から前記貯留部への作動油の戻りを阻止する戻り油路チェック弁が、前記戻り油路に設けられ、
前記駆動部により前記油圧ポンプが駆動されると、前記供給油路から分岐したパイロット作動油により、前記戻り油路チェック弁が開操作される作業車。
【請求項2】
前記車輪を回転駆動可能な油圧モータと、
前記油圧モータに作動油を給排操作するモータ制御弁と、
前記油圧ポンプの作動油を前記シリンダ制御弁及び前記モータ制御弁に供給する前記供給油路と、
前記油圧シリンダ及び前記油圧モータから前記シリンダ制御弁及び前記モータ制御弁を介して排出される作動油を、前記貯留部に戻す前記戻り油路と、
前記シリンダ制御弁及び前記モータ制御弁から前記貯留部への作動油の戻りを阻止する前記戻り油路チェック弁とが備えられている請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記油圧ポンプから前記シリンダ制御弁及び前記モータ制御弁への作動油の供給を許容し、前記シリンダ制御弁及び前記モータ制御弁から前記油圧ポンプへの作動油の戻りを阻止する供給油路チェック弁が、前記供給油路に設けられている請求項2に記載の作業車。
【請求項4】
前記供給油路を前記貯留部に接続する連通位置、及び前記供給油路の前記貯留部への接続を遮断する遮断位置に操作可能なアンロード弁が備えられている請求項3に記載の作業車。
【請求項5】
前記戻り油路を連通させる開位置、及び前記戻り油路を遮断する閉位置に操作可能な開閉弁が備えられている請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸の多い作業地や傾斜した作業地の走行に適した作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
前述のような作業車の一例が、特許文献1に開示されている。
特許文献1では、屈伸機構が、機体の複数箇所に取り付けられて機体から延出され、走行用の車輪が、屈伸機構の延出端部に支持されている。屈伸機構を屈伸操作する油圧シリンダ、及び油圧シリンダに作動油を給排操作するシリンダ制御弁が設けられている。
油圧シリンダにより屈伸機構を屈伸操作することによって、作業地の凹凸や傾斜の影響を受けることなく、機体を水平に維持しながら走行することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の作業車において、例えば油圧シリンダの停止状態が長時間に亘って維持されると、機体の重量が油圧シリンダに掛かることによって、油圧シリンダから作動油がリークして機体の姿勢が変化する可能性がある。
【0005】
本発明は、複数の屈伸機構により走行用の車輪を支持した作業車において、機体の姿勢変化を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の作業車は、機体と、前記機体の複数箇所に取り付けられ、前記機体から延出された屈伸機構と、前記屈伸機構の延出端部に支持された走行用の車輪と、前記屈伸機構を屈伸操作可能な油圧シリンダと、作動油を貯留する貯留部と、前記貯留部の作動油を吸引して吐出する油圧ポンプと、前記油圧ポンプを駆動する駆動部と、前記油圧シリンダに作動油を給排操作するシリンダ制御弁と、前記油圧ポンプの作動油を前記シリンダ制御弁に供給する供給油路と、前記油圧シリンダから前記シリンダ制御弁を介して排出される作動油を、前記貯留部に戻す戻り油路とが備えられ、前記シリンダ制御弁から前記貯留部への作動油の戻りを阻止する戻り油路チェック弁が、前記戻り油路に設けられ、前記駆動部により前記油圧ポンプが駆動されると、前記供給油路から分岐したパイロット作動油により、前記戻り油路チェック弁が開操作される。
【0007】
本発明によると、複数の屈伸機構により走行用の車輪を支持した作業車において、屈伸機構を屈伸操作する油圧シリンダからシリンダ制御弁を介して排出される作動油を貯留部に戻す戻り油路に、戻り油路チェック弁が設けられている。
【0008】
駆動部により油圧ポンプが駆動され、油圧ポンプの作動油が供給油路に供給されると、作動油は供給油路を通ってシリンダ制御弁に供給され、油圧シリンダに供給されて、油圧シリンダが作動する。
駆動部により油圧ポンプが駆動されると、供給油路から分岐したパイロット作動油より戻り油路チェック弁が開操作されるので、油圧シリンダから排出される作動油は、シリンダ制御弁から戻り油路及び戻り油路チェック弁を通って、貯留部に戻る。
【0009】
本発明によると、駆動部が停止し油圧ポンプが停止している状態では、戻り油路チェック弁が閉状態になって、シリンダ制御弁から戻り油路を通り貯留部に至る作動油の戻りが阻止される。従って、駆動部を停止させた状態でも、油圧シリンダからの作動油のリークにより油圧シリンダが作動することはなく、機体の姿勢変化が抑えられる。
【0010】
本発明において、前記車輪を回転駆動可能な油圧モータと、前記油圧モータに作動油を給排操作するモータ制御弁と、前記油圧ポンプの作動油を前記シリンダ制御弁及び前記モータ制御弁に供給する前記供給油路と、前記油圧シリンダ及び前記油圧モータから前記シリンダ制御弁及び前記モータ制御弁を介して排出される作動油を、前記貯留部に戻す前記戻り油路と、前記シリンダ制御弁及び前記モータ制御弁から前記貯留部への作動油の戻りを阻止する前記戻り油路チェック弁とが備えられていると好適である。
【0011】
本発明によると、駆動部が停止し油圧ポンプが停止している状態では、戻り油路チェック弁が閉状態になって、モータ制御弁から戻り油路を通り貯留部に至る作動油の戻りが阻止される。従って、駆動部を停止させた状態でも、作動油のリークにより油圧モータが作動することはなく、機体の移動が防止される。
【0012】
本発明において、前記油圧ポンプから前記シリンダ制御弁及び前記モータ制御弁への作動油の供給を許容し、前記シリンダ制御弁及び前記モータ制御弁から前記油圧ポンプへの作動油の戻りを阻止する供給油路チェック弁が、前記供給油路に設けられていると好適である。
【0013】
本発明によると、戻り油路に戻り油路チェック弁が設けられることに加えて、供給油路にも供給油路チェック弁が設けられている。
駆動部により油圧ポンプが駆動され、油圧ポンプの作動油が供給油路に供給されると、作動油は供給油路及び供給油路チェック弁を通ってシリンダ制御弁及びモータ制御弁に供給される。
【0014】
駆動部が停止し油圧ポンプが停止して、油圧シリンダ及び油圧モータが停止した場合、油圧シリンダからリークしようとした作動油は、戻り油路を通って貯留部に戻ろうとすることに加えて、供給油路を逆流して油圧ポンプに向けて流れようとすることがある。
【0015】
本発明によると、戻り油路に戻り油路チェック弁が設けられ、供給油路に供給油路チェック弁が設けられている。
これにより、油圧シリンダ及び油圧モータからリークしようとした作動油が、戻り油路を通って貯留部に戻ろうとしても、これが戻り油路チェック弁により阻止され、供給油路を逆流して油圧ポンプに向けて流れようとしても、これが供給油路チェック弁により阻止されるので、作動油のリークにより油圧シリンダ及び油圧モータが作動することはなく、機体の姿勢変化や機体の移動が防止される。
【0016】
本発明において、前記供給油路を前記貯留部に接続する連通位置、及び前記供給油路の前記貯留部への接続を遮断する遮断位置に操作可能なアンロード弁が備えられていると好適である。
【0017】
駆動部により油圧ポンプが駆動され、供給油路から分岐したパイロット作動油より戻り油路チェック弁が開操作されている状態において、駆動部が停止し油圧ポンプが停止して機体が停止した場合、供給油路から分岐したパイロット作動油に圧力が残っていると、戻り油路チェック弁が閉位置に操作されずに開操作された状態に維持される可能性がある。
【0018】
本発明によると、供給油路に対してアンロード弁が設けられているので、駆動部が停止し油圧ポンプが停止した場合、アンロード弁を連通位置に操作することにより、供給油路から分岐したパイロット作動油を貯留部に戻すことができ、戻り油路チェック弁が開操作された状態に維持されないようにすることができる。
これにより、作動油のリークによる油圧シリンダ及び油圧モータの作動を抑えるという面で有利であり、機体の姿勢変化及び機体の移動防止の面で有利である。
【0019】
本発明において、前記戻り油路を連通させる開位置、及び前記戻り油路を遮断する閉位置に操作可能な開閉弁が備えられていると好適である。
【0020】
駆動部により油圧ポンプが駆動され、供給油路から分岐したパイロット作動油より戻り油路チェック弁が開操作されている状態において、シリンダ制御弁(シリンダ制御弁及びモータ制御弁)が中立位置に操作されて、油圧シリンダ(油圧シリンダ及び油圧モータ)が停止したとする。
この状態では、供給油路から分岐したパイロット作動油より、戻り油路チェック弁は開操作されている。
【0021】
本発明によると、戻り油路に開閉弁が設けられているので、前述の状態において開閉弁を閉位置に操作することにより、作動油が油圧シリンダ(油圧シリンダ及び油圧モータ)からリークしようとし、戻り油路及び開操作された戻り油路チェック弁を通って貯留部に戻ろうとしても、油圧シリンダ(油圧シリンダ及び油圧モータ)からの作動油のリークが開閉弁により阻止される。
これにより、作動油のリークにより油圧シリンダ(油圧シリンダ及び油圧モータ)が作動することはなく、機体の姿勢変化が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図8】供給油路及び戻り油路の付近を示す油圧回路図である。
【
図9】発明の実施の第1別形態において、油圧ユニットの油圧回路図である。
【
図10】発明の実施の第2別形態において、供給油路及び戻り油路の付近を示す油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1~
図10に、遠隔操作型及び自律走行型の作業車が示されており、
図1~
図10において、Fは前方向を示し、Bは後方向を示し、Uは上方向を示し、Dは下方向を示し、Rは右方向を示し、Lは左方向を示している。
【0024】
(作業車の全体構成)
図1,2,3に示すように、4個の屈伸機構4が、機体1の右前部、左前部、右後部、左後部に取り付けられ、機体1から延出されており、右前、左前、右後、左後の走行用の車輪5が、屈伸機構4の延出端部に支持されている。4個の屈伸機構4及び車輪5により機体1が支持されて、作業車が構成されている。
【0025】
(機体の構成)
図1,2,3に示すように、前後方向に沿った右及び左のフレーム6と、左右方向に沿った複数のフレーム7とが連結されて、平面視で長方形状の枠体が構成されている。正面視でチャンネル状のフレーム8が、フレーム6の前部及び後部に連結され、前後方向に沿ったフレーム9が、前及び後のフレーム8に亘って連結されている。
【0026】
荷物等を搭載可能な平板状の載置部2が、フレーム6,7の上部に取り付けられ、右及び左のサイドカバー3が、右及び左のフレーム6の横外方に設けられている。
以上のように、機体1は、フレーム6~9及び載置部2等を有している。
【0027】
機体1において、エンジン10(原動部に相当)、油圧ポンプ11、オイルクーラー12、作動油タンク13(貯留部に相当)及びバッテリ14が、フレーム8,9に支持されている。フレーム19が後のフレーム8に連結されて後方上方に向けて延出されており、燃料タンク20がフレーム19に支持されている。
【0028】
(屈伸機構の構成)
図1,2,3に示すように、右前の屈伸機構4と左前の屈伸機構4とは左右対称の構成を有し、右後の屈伸機構4と左後の屈伸機構4とは左右対称の構成を有している。右前の屈伸機構4と右後の屈伸機構4とは前後対称の構成を有し、左前の屈伸機構4と左後の屈伸機構4とは前後対称の構成を有している。
【0029】
図2及び
図3に示すように、機体1において、右のフレーム6の前部及び後部、左のフレーム6の前部及び後部の4箇所に、支持ブラケット15が連結されている。
図4,5,6に示すように、支持軸16が、支持ブラケット15の下部に連結されて、横外方に延出されている。
図1及び
図3に示すように、屈伸機構4は、第1リンク21及び第2リンク22を有している。右前の屈伸機構4を、
図4,5,6に基づいて以下に説明する。
【0030】
図4,5,6に示すように、第1リンク21は、平板状に構成されて、2枚設けられており、2枚の第1リンク21の上部に亘ってボス部21aが連結され、2枚の第1リンク21の下部に亘ってボス部21bが連結されている。第1リンク21のボス部21aが、左右方向に沿った軸芯P1(第1軸芯に相当)周りに前後揺動可能に、支持軸16(機体1)に取り付けられている。
【0031】
これにより、第1リンク21は、一端側が左右方向に沿った軸芯P1周りに前後揺動可能に支持ブラケット15及び支持軸16(機体1)に取り付けられており、他端側が支持ブラケット15及び支持軸16(機体1)から下方に向けて延出されている。
【0032】
第2リンク22は、平板状の第1部分22aと、丸棒材がクランク状に曲げられた2本の第2部分22bと、ボス部22c、支点軸22dとを有している。第1部分22aの前部と第2部分22bの前部とが連結され、ボス部22cが第1部分22aの前部及び第2部分22bの前部に上下向きに連結されている。
【0033】
第2リンク22の第1部分22aの後部が、支点軸22dの一方の端部に連結され、第2リンク22の第2部分22bの後部が、支点軸22dの他方の端部に連結されている。第2リンク22の支点軸22dが第1リンク21のボス部21bに挿入されており、第2リンク22の支点軸22dが、左右方向に沿った軸芯P2(第2軸芯に相当)周りに上下揺動可能に、第1リンク21のボス部21bに取り付けられている。補助車輪17が、軸芯P2回りに自由回転可能に、第2リンク22の支点軸22dの横外側の端部に支持されている。
【0034】
これにより、右前及び左前の屈伸機構4において、第2リンク22は、一端側が左右方向に沿った軸芯P2周りに上下揺動可能に第1リンク21の下部に取り付けられ、他端側が第1リンク21の下部から前後方向に沿って機体1から離れる方向である前方に向けて延出されている。
右後及び左後の屈伸機構4において、第2リンク22は、一端側が左右方向に沿った軸芯P2周りに上下揺動可能に第1リンク21の下部に取り付けられ、他端側が第1リンク21の下部から前後方向に沿って機体1から離れる方向である後方に向けて延出されている。
【0035】
(屈伸機構の屈伸操作の構成)
図4,5,6に示すように、リング状の取付部材23が、支持軸16の端部に回転不能に連結されており、支持軸16において支持ブラケット15と第1リンク21との間の部分に、回転不能に連結されている。支持ブラケット24が、2個の取付部材23に亘って連結されている。
【0036】
複動型の油圧シリンダ31(第1の油圧シリンダに相当)が、支持ブラケット24と第1リンク21の下部とに亘って接続されている。油圧シリンダ31が伸縮操作されることにより、第1リンク21が支持ブラケット15(機体1)に対して軸芯P1周りに前後に揺動操作される。
【0037】
支点軸25が、第2リンク22に第1部分22aと第2部分22bとに亘って連結されており、複動型の油圧シリンダ32(第2の油圧シリンダに相当)が、第1リンク21の上部と支点軸25とに亘って接続されている。油圧シリンダ32が伸縮操作されることにより、第2リンク22が第1リンク21に対して軸芯P2周りに上下に揺動操作される。
【0038】
これにより、油圧シリンダ31により第1リンク21が軸芯P1(第1軸芯)周りに揺動操作され、油圧シリンダ32により第2リンク22が軸芯P2(第2軸芯)周りに揺動操作されることによって、屈伸機構4が屈伸操作される。
【0039】
屈伸機構4が各々独立に屈伸操作されることにより、作業地の凹凸や傾斜等に応じて、機体1の姿勢を任意に設定することができる。屈伸機構4が屈伸操作されることにより、第1リンク21と第2リンク22との接続部分が作業地に接近しても、補助車輪17が作業地に接地することにより、第1リンク21と第2リンク22との接続部分が作業地に接触することが防止される。
【0040】
(車輪の支持及び駆動の構成)
図4,5,6に示すように、4個の車輪支持部材26が設けられており、車輪支持部材26が、上下方向に沿った軸芯P3周りに左右に向き変更可能に、第2リンク22のボス部22cに取り付けられている。
【0041】
車輪5が、右前の車輪支持部材26の右の横側部に回転可能に支持され、左前の車輪支持部材26の左の横側部に回転可能に支持されている。車輪5が、右後の車輪支持部材26の右の横側部に回転可能に支持され、左後の車輪支持部材26の左の横側部に回転可能に支持されている。丸棒材が折り曲げられて構成されたガード部材27が、車輪支持部材26に取り付けられ、車輪5の上方を覆うように配置されている。
【0042】
油圧モータ34が、右前の車輪支持部材26の左の横側部に取り付けられ、左前の車輪支持部材26の右の横側部に取り付けられている。油圧モータ34が、右後の車輪支持部材26の左の横側部に取り付けられ、左後の車輪支持部材26の右の横側部に取り付けられている。
油圧モータ34により車輪5が各々独立に正転駆動及び逆転駆動されるのであり、作業車の前進及び後進、停止が行われる。
【0043】
(車輪の操向操作の構成)
図4,5,6に示すように、車輪支持部材26にブラケット26aが設けられ、第2リンク22の第1部分22aにブラケット22eが設けられている。複動型の油圧シリンダ33が、車輪支持部材26のブラケット26aと第2リンク22のブラケット22eとに亘って接続されており、油圧シリンダ33が伸縮操作されることによって、4組の車輪支持部材26、車輪5及び油圧モータ34が、各々独立に軸芯P3周りに左右に向き変更操作される。
【0044】
車輪5が各々独立に正転駆動及び逆転駆動されることに加えて、車輪5が各々独立に左右に向き変更されることにより、作業車において前進及び後進しながらの右旋回及び左旋回、右斜め前及び左斜め前への横移動、右斜め後及び左斜め後への横移動、右回り及び左回りの超信地旋回が行われる。
【0045】
(油圧シリンダ及び油圧モータへの作動油の給排構成の概要及び油圧ユニットの構成の概要)
図1及び
図3に示すように、エンジン10の出力プーリー10aと油圧ポンプ11の入力プーリー11aとに亘って、伝動ベルト18が取り付けられており、エンジン10の動力により油圧ポンプ11が駆動されている。
【0046】
図2に示すように、4個の屈伸機構4の油圧シリンダ31,32,33及び油圧モータ34に対して、油圧ユニット28が設けられている。機体1において、2個の油圧ユニット28が右のフレーム6に支持され、2個の油圧ユニット28が左のフレーム6に支持されている。
【0047】
図7に示すように、油圧ユニット28に、シリンダ制御弁41(第1のシリンダ制御弁に相当)、シリンダ制御弁42(第2のシリンダ制御弁に相当)、シリンダ制御弁43及びモータ制御弁44が設けられている。
【0048】
図7及び
図8に示すように、作動油が作動油タンク13に貯留されており、油圧ポンプ11により作動油タンク13の作動油が吸引され、油圧ポンプ11から作動油が吐出される。油圧ポンプ11と4個の油圧ユニット28の各々とに亘って供給油路29が接続されている。油圧ユニット28において、供給油路29から分岐した油路45が、シリンダ制御弁41,42,43及びモータ制御弁44に接続されている。
【0049】
油圧ポンプ11の作動油が、供給油路29を介して油圧ユニット28(シリンダ制御弁41,42,43及びモータ制御弁44)に供給され、油圧ユニット28(シリンダ制御弁41,42,43及びモータ制御弁44)から、油圧シリンダ31,32,33及び油圧モータ34に供給される。
【0050】
作動油タンク13と4個の油圧ユニット28(シリンダ制御弁41,42,43及びモータ制御弁44)の各々とに亘って、戻り油路30が接続されており、オイルクーラー12が戻り油路30に設けられている。油圧ユニット28において、シリンダ制御弁41,42,43及びモータ制御弁44からの油路46が、戻り油路30に接続されている。
【0051】
油圧シリンダ31,32,33及び油圧モータ34の作動油が、油圧ユニット28(シリンダ制御弁41,42,43及びモータ制御弁44)に排出され、油圧ユニット28(シリンダ制御弁41,42,43及びモータ制御弁44)を介して排出されて、戻り油路30及びオイルクーラー12を通って作動油タンク13に戻る。
【0052】
以上のように、シリンダ制御弁41,42,43は、油圧シリンダ31,32,33に作動油を給排操作するのであり、供給油路29の作動油を油圧シリンダ31,32,33に供給し、油圧シリンダ31,32,33の作動油を戻り油路30に排出する。モータ制御弁44は、油圧モータ34に作動油を給排操作するのであり、供給油路29の作動油を油圧モータ34に供給し、油圧モータ34の作動油を戻り油路30に排出する。
【0053】
(供給油路チェック弁及び戻り油路チェック弁に関する構成)
図8に示すように、パイロット操作式の戻り油路チェック弁35が、戻り油路30においてオイルクーラー12に対して油圧ユニット28側の部分に設けられている。戻り油路チェック弁35は、油圧ユニット28(シリンダ制御弁41,42,43及びモータ制御弁44)から作動油タンク13への作動油の戻りを阻止する。
【0054】
供給油路チェック弁36が、供給油路29に設けられている。供給油路チェック弁36は、油圧ポンプ11から油圧ユニット28(シリンダ制御弁41,42,43及びモータ制御弁44)への作動油の供給を許容する。供給油路チェック弁36は、エンジン10が停止し油圧ポンプ11が停止すると、油圧ユニット28(シリンダ制御弁41,42,43及びモータ制御弁44)から油圧ポンプ11への作動油の戻りを阻止する。
【0055】
パイロット油路68が、戻り油路30において供給油路チェック弁36に対して油圧ユニット28側の部分と、戻り油路チェック弁35とに亘って接続されている。
エンジン10により油圧ポンプ11が駆動されると、供給油路29から分岐したパイロット作動油が、パイロット油路68を介して戻り油路チェック弁35に供給され、戻り油路チェック弁35が開操作される。
【0056】
これにより、油圧シリンダ31,32,33及び油圧モータ34の作動油が、油圧ユニット28(シリンダ制御弁41,42,43及びモータ制御弁44)を介して排出され、開操作された戻り油路チェック弁35、戻り油路30及びオイルクーラー12を通って作動油タンク13に戻る。
【0057】
エンジン10が停止し油圧ポンプ11が停止すると、パイロット油路68のパイロット作動油の圧力が低下するので、戻り油路チェック弁35は、閉状態となって、油圧ユニット28(シリンダ制御弁41,42,43及びモータ制御弁44)から作動油タンク13への作動油の戻りを阻止する。
【0058】
(アンロード弁に関する構成)
図8に示すように、アンロード油路37が、供給油路29における油圧ポンプ11と供給油路チェック弁36との間の部分と、戻り油路30におけるオイルクーラー12と戻り油路チェック弁35との間の部分とに亘って接続されている。
【0059】
油路39が、供給油路29における油圧ポンプ11とアンロード油路37の接続部分との間の部分と、戻り油路30におけるオイルクーラー12とアンロード油路37の接続部分との間の部分とに亘って接続されており、リリーフ弁40が、油路39に設けられている。
【0060】
アンロード弁38が、アンロード油路37に設けられている。アンロード弁38は、連通位置38a及び遮断位置38bを有して、電磁操作式に構成されてり、バネにより連通位置38aに付勢されている。
【0061】
アンロード弁38の連通位置38aにおいて、アンロード油路37が連通状態となり、供給油路29がアンロード油路37及びアンロード弁38(連通位置38a)、戻り油路30を介して作動油タンク13に接続される。アンロード弁38の遮断位置38bにおいて、アンロード油路37が遮断状態となり、供給油路29の作動油タンク13への接続が遮断される。
【0062】
エンジン10が作動している状態で、アンロード弁38への通電が行われ、アンロード弁38は遮断位置38bに操作されている。エンジン10が停止すると、アンロード弁38への通電が消失して、アンロード弁38はバネにより連通位置38aに操作されるのであり、パイロット油路68のパイロット作動油が作動油タンク13に排出される。
【0063】
(第1リンクを前後に揺動操作する第1の油圧シリンダに作動油を給排操作する第1のシリンダ制御弁に関する構成)
図7に示すように、油圧シリンダ31とシリンダ制御弁41とに亘って、離間油路47と接近油路48とが接続されている。シリンダ制御弁41は、中立位置41a、離間位置41b及び接近位置41cの3位置を有しており、電磁操作式に構成されている。
【0064】
パイロット操作式のシリンダチェック弁49,50が、離間油路47及び接近油路48に設けられている。シリンダチェック弁49,50は、シリンダ制御弁41から油圧シリンダ31への作動油の供給を許容し、油圧シリンダ31からの作動油の排出を阻止する。
【0065】
接近油路48と離間油路47のシリンダチェック弁49とに亘って、パイロット油路51が接続され、離間油路47と接近油路48のシリンダチェック弁50とに亘って、パイロット油路52が接続されている。
【0066】
(第1リンクを前後に揺動操作する第1の油圧シリンダに作動油を給排操作する第1のシリンダ制御弁の作動状態)
図7に示すように、シリンダ制御弁41が離間位置41bに操作されると、供給油路29の作動油が離間油路47に供給され、離間油路47のシリンダチェック弁49を通って油圧シリンダ31のボトム側の油室に供給されて、油圧シリンダ31が伸長作動する。油圧シリンダ31が伸長作動することにより、第1リンク21の他端側が機体1から離れる側に揺動操作される。
【0067】
図1~
図6に示すように、第2リンク22が第1リンク21の下部から前後方向に沿って機体1から離れる方向に向けて延出されているので、油圧シリンダ31により第1リンク21の他端側が機体1から離れる側に揺動操作されると、第2リンク22の他端側及び車輪5が、機体1から離れると同時に機体1に対して上昇操作されて、機体1が下降操作される。
【0068】
図7に示すように、シリンダ制御弁41(離間位置41b)から離間油路47に作動油が供給されると、離間油路47から分岐したパイロット作動油が、パイロット油路52を介して接近油路48のシリンダチェック弁50に供給されて、接近油路48のシリンダチェック弁50が開操作される。これにより、油圧シリンダ31のロッド側の油室の作動油が、接近油路48、開操作された接近油路48のシリンダチェック弁50、及びシリンダ制御弁41(離間位置41b)を通って、戻り油路30に排出される。
【0069】
シリンダ制御弁41が接近位置41cに操作されると、供給油路29の作動油が接近油路48に供給され、接近油路48のシリンダチェック弁50を通って油圧シリンダ31のロッド側の油室に供給されて、油圧シリンダ31が収縮作動する。油圧シリンダ31が収縮作動することにより、第1リンク21の他端側が機体1に接近する側に揺動操作される。
【0070】
図1~
図6に示すように、第2リンク22が第1リンク21の下部から前後方向に沿って機体1から離れる方向に向けて延出されているので、油圧シリンダ31により第1リンク21の他端側が機体1に接近する側に揺動操作されると、第2リンク22の他端側及び車輪5が、機体1に接近すると同時に機体1に対して下降操作されて、機体1が上昇操作される。
【0071】
図7に示すように、シリンダ制御弁41(接近位置41c)から接近油路48に作動油が供給されると、接近油路48から分岐したパイロット作動油が、パイロット油路51を介して離間油路47のシリンダチェック弁49に供給されて、離間油路47のシリンダチェック弁49が開操作される。これにより、油圧シリンダ31のボトム側の油室の作動油が、離間油路47、開操作された離間油路47のシリンダチェック弁49、及びシリンダ制御弁41(接近位置41c)を通って、戻り油路30に排出される。
【0072】
シリンダ制御弁41が中立位置41aに操作されると、パイロット油路51,52のパイロット作動油の圧力が低下するので、離間油路47及び接近油路48のシリンダチェック弁49,50は開操作されず、油圧シリンダ31からの作動油の排出が離間油路47及び接近油路48のシリンダチェック弁49,50により阻止される。
【0073】
以上のように、第1リンク21の他端側が機体1から離れる側に操作(屈伸機構4により機体1が下降操作)されるように油圧シリンダ31(第1の油圧シリンダ)を作動させる作動油が、シリンダ制御弁41(第1のシリンダ制御弁)から離間油路47を介して、油圧シリンダ31(第1の油圧シリンダ)に供給される。
【0074】
第1リンク21の他端側が機体1に接近する側に操作(屈伸機構4により機体1が上昇操作)されるように油圧シリンダ31(第1の油圧シリンダ)を作動させる作動油が、シリンダ制御弁41(第1のシリンダ制御弁)から接近油路48を介して、油圧シリンダ31(第1の油圧シリンダ)に供給される。
【0075】
離間油路47及び接近油路48のシリンダチェック弁49,50は、シリンダ制御弁41(第1のシリンダ制御弁)から油圧シリンダ31(第1の油圧シリンダ)への作動油の供給を許容し、シリンダ制御弁41(第1のシリンダ制御弁)が中立位置41aに操作された状態での油圧シリンダ31(第1の油圧シリンダ)からの作動油の排出(リーク)を阻止する。
【0076】
(第2リンクを上下に揺動操作する第2の油圧シリンダに作動油を給排操作する第2のシリンダ制御弁に関する構成)
図7に示すように、油圧シリンダ32とシリンダ制御弁42とに亘って、上昇油路53と下降油路54とが接続されている。シリンダ制御弁42は、中立位置42a、上昇位置42b及び下降位置42cの3位置を有しており、電磁操作式に構成されている。
【0077】
パイロット操作式のシリンダチェック弁55,56が、上昇油路53及び下降油路54に設けられている。シリンダチェック弁55,56は、シリンダ制御弁42から油圧シリンダ32への作動油の供給を許容し、油圧シリンダ32からの作動油の排出を阻止する。
【0078】
下降油路54と上昇油路53のシリンダチェック弁55とに亘って、パイロット油路57が接続され、上昇油路53と下降油路54のシリンダチェック弁56とに亘って、パイロット油路58が接続されている。
【0079】
(第2リンクを上下に揺動操作する第2の油圧シリンダに作動油を給排操作する第2のシリンダ制御弁の作動状態)
図7に示すように、シリンダ制御弁42が上昇位置42bに操作されると、供給油路29の作動油が上昇油路53に供給され、上昇油路53のシリンダチェック弁55を通って油圧シリンダ32のボトム側の油室に供給されて、油圧シリンダ32が伸長作動する。油圧シリンダ32が伸長作動することにより、第2リンク22の他端側が第1リンク21に対して下降操作されて、機体1が上昇操作される。
【0080】
シリンダ制御弁42(上昇位置42b)から上昇油路53に作動油が供給されると、上昇油路53から分岐したパイロット作動油が、パイロット油路58を介して下降油路54のシリンダチェック弁56に供給されて、下降油路54のシリンダチェック弁56が開操作される。これにより、油圧シリンダ32のロッド側の油室の作動油が、下降油路54、開操作された下降油路54のシリンダチェック弁56、及びシリンダ制御弁42(上昇位置42b)を通って、戻り油路30に排出される。
【0081】
シリンダ制御弁42が下降位置42cに操作されると、供給油路29の作動油が下降油路54に供給され、下降油路54のシリンダチェック弁56を通って油圧シリンダ32のロッド側の油室に供給されて、油圧シリンダ32が収縮作動する。油圧シリンダ32が収縮作動することにより、第2リンク22の他端側が第1リンク21に対して上昇操作されて、機体1が下降操作される。
【0082】
シリンダ制御弁42(下降位置42c)から下降油路54に作動油が供給されると、下降油路54から分岐したパイロット作動油が、パイロット油路57を介して上昇油路53のシリンダチェック弁55に供給されて、上昇油路53のシリンダチェック弁55が開操作される。これにより、油圧シリンダ32のボトム側の油室の作動油が、上昇油路53、開操作された上昇油路53のシリンダチェック弁55、及びシリンダ制御弁42(下降位置42c)を通って、戻り油路30に排出される。
【0083】
シリンダ制御弁42が中立位置42aに操作されると、パイロット油路57,58のパイロット作動油の圧力が低下するので、上昇油路53及び下降油路54のシリンダチェック弁55,56は開操作されず、油圧シリンダ32からの作動油の排出が上昇油路53及び下降油路54のシリンダチェック弁55,56により阻止される。
【0084】
以上のように、第2リンク22の他端側が第1リンク21に対して下降操作(屈伸機構4により機体1が上昇操作)されるように油圧シリンダ32(第2の油圧シリンダ)を作動させる作動油が、シリンダ制御弁42(第2のシリンダ制御弁)から上昇油路53を介して、油圧シリンダ32(第2の油圧シリンダ)に供給される。
【0085】
第2リンク22の他端側が第1リンク21に対して上昇操作(屈伸機構4により機体1が下降操作)されるように油圧シリンダ32(第2の油圧シリンダ)を作動させる作動油が、シリンダ制御弁42(第2のシリンダ制御弁)から下降油路54を介して、油圧シリンダ32(第2の油圧シリンダ)に供給される。
【0086】
上昇油路53及び下降油路54のシリンダチェック弁55,56は、シリンダ制御弁42(第2のシリンダ制御弁)から油圧シリンダ32(第2の油圧シリンダ)への作動油の供給を許容し、シリンダ制御弁42(第2のシリンダ制御弁)が中立位置42aに操作された状態での油圧シリンダ32(第2の油圧シリンダ)からの作動油の排出(リーク)を阻止する。
【0087】
(車輪を左右に向き変更操作する油圧シリンダに作動油を給排操作するシリンダ制御弁に関する構成)
図7に示すように、油圧シリンダ33とシリンダ制御弁43とに亘って、油路59,60が接続されている。シリンダ制御弁43は、中立位置43a、第1位置43b及び第2位置43cの3位置を有しており、電磁操作式に構成されている。
【0088】
機体1から前方を視た場合、右前の車輪5に対応する油圧ユニット28(シリンダ制御弁43)において、シリンダ制御弁43が第1位置43bに操作されると、供給油路29の作動油が油圧シリンダ33のボトム側の油室に供給され、油圧シリンダ33のロッド側の油室の作動油が戻り油路30に排出される。これにより、油圧シリンダ33が伸長作動して、右前の車輪5が右に操向操作される。
【0089】
シリンダ制御弁43が第2位置43cに操作されると、供給油路29の作動油が油圧シリンダ33のロッド側の油室に供給され、油圧シリンダ33のボトム側の油室の作動油が戻り油路30に排出される。これにより、油圧シリンダ33が収縮作動して、右前の車輪5が左に操向操作される。
【0090】
機体1から前方を視た場合、左前の車輪5に対応する油圧ユニット28(シリンダ制御弁43)において、シリンダ制御弁43が第1位置43bに操作されると、左前の車輪5が左に操向操作され、シリンダ制御弁43が第2位置43cに操作されると、左前の車輪5が右に操向操作される。
【0091】
機体1から後方を視た場合、右後の車輪5に対応する油圧ユニット28(シリンダ制御弁43)において、シリンダ制御弁43が第1位置43bに操作されると、右後の車輪5が右に操向操作され、シリンダ制御弁43が第2位置43cに操作されると、右後の車輪5が左に操向操作される。
【0092】
機体1から後方を視た場合、左後の車輪5に対応する油圧ユニット28(シリンダ制御弁43)において、シリンダ制御弁43が第1位置43bに操作されると、左後の車輪5が左に操向操作され、シリンダ制御弁43が第2位置43cに操作されると、左後の車輪5が右に操向操作される。
【0093】
(油圧モータに作動油を給排操作するモータ制御弁に関する構成)
図7に示すように、油圧モータ34とモータ制御弁44とに亘って、正転油路61と逆転油路62とが接続されている。モータ制御弁44は、中立位置44a、正転位置44b及び逆転位置44cの3位置を有しており、電磁操作式に構成されている。
【0094】
パイロット操作式のモータチェック弁63,64が、正転油路61及び逆転油路62に設けられている。モータチェック弁63,64は、モータ制御弁44から油圧モータ34への作動油の供給を許容し、油圧モータ34からの作動油の排出を阻止する。
【0095】
逆転油路62と正転油路61のモータチェック弁63とに亘って、パイロット油路65が接続され、正転油路61と逆転油路62のモータチェック弁64とに亘って、パイロット油路66が接続されている。
【0096】
(油圧モータに作動油を給排操作するモータ制御弁の作動状態)
図7に示すように、モータ制御弁44が正転位置44bに操作されると、供給油路29の作動油が正転油路61に供給され、正転油路61のモータチェック弁63を通って油圧モータ34に供給されて、油圧モータ34が正転作動するのであり、車輪5が正転駆動される。
【0097】
モータ制御弁44(正転位置44b)から正転油路61に作動油が供給されると、正転油路61から分岐したパイロット作動油が、パイロット油路66を介して逆転油路62のモータチェック弁64に供給されて、逆転油路62のモータチェック弁64が開操作される。これにより、油圧モータ34の作動油が、逆転油路62、開操作された逆転油路62のモータチェック弁64、及びモータ制御弁44(正転位置44b)を通って、戻り油路30に排出される。
【0098】
モータ制御弁44が逆転位置44cに操作されると、供給油路29の作動油が逆転油路62に供給され、逆転油路62のモータチェック弁64を通って油圧モータ34に供給されて、油圧モータ34が逆転作動するのであり、車輪5が逆転駆動される。
【0099】
モータ制御弁44(逆転位置44c)から逆転油路62に作動油が供給されると、逆転油路62から分岐したパイロット作動油が、パイロット油路65を介して正転油路61のモータチェック弁63に供給されて、正転油路61のモータチェック弁63が開操作される。これにより、油圧モータ34の作動油が、正転油路61、開操作された正転油路61のモータチェック弁63、及びモータ制御弁44(逆転位置44c)を通って、戻り油路30に排出される。
【0100】
モータ制御弁44が中立位置44aに操作されると、パイロット油路65,66のパイロット作動油の圧力が低下するので、正転油路61及び逆転油路62のモータチェック弁63,64は開操作されず、油圧モータ34からの作動油の排出が正転油路61及び逆転油路62のモータチェック弁63,64により阻止される。
【0101】
以上のように、油圧モータ34を正転作動させる作動油が、モータ制御弁44から正転油路61を介して、油圧モータ34に供給される。油圧モータ34を逆転作動させる作動油が、モータ制御弁44から逆転油路62を介して、油圧モータ34に供給される。
【0102】
正転油路61及び逆転油路62のモータチェック弁63,64は、モータ制御弁44から油圧モータ34への作動油の供給を許容し、モータ制御弁44が中立位置44aに操作された状態での油圧モータ34からの作動油の排出(リーク)を阻止する。
【0103】
(発明の実施の第1別形態)
油圧ユニット28において、
図9に示すように構成してもよい。
図9に示すように、パイロット操作式のシリンダチェック弁50が接近油路48に設けられており、離間油路47と接近油路48のシリンダチェック弁50とに亘って、パイロット油路52が接続されている。
図7に示すシリンダチェック弁49は離間油路47に設けられておらず、パイロット油路51は設けられていない。
【0104】
図1~
図6に示すように、第2リンク22の他端側が第1リンク21の下部から前後方向に沿って機体1から離れる方向に向けて延出されているので、シリンダ制御弁41が中立位置41aに操作されて油圧シリンダ31が停止した状態において、機体1の重量により第1リンク21の他端側が機体1から離れる側に揺動しようとする。
【0105】
これにより
図9に示すように、油圧シリンダ31が伸長作動しようとして、油圧シリンダ31のロッド側の油室の作動油が接近油路48を通ってリークしようとするのであり、油圧シリンダ31の作動油のリークが接近油路48のシリンダチェック弁50により阻止される。
【0106】
図9に示すように、パイロット操作式のシリンダチェック弁55が上昇油路53に設けられており、下降油路54と上昇油路53のシリンダチェック弁55とに亘って、パイロット油路57が接続されている。
図7に示すシリンダチェック弁56は下降油路54に設けられておらず、パイロット油路58は設けられていない。
【0107】
図1~
図6に示すように、第2リンク22の他端側が第1リンク21の下部から前後方向に沿って機体1から離れる方向に向けて延出されているので、シリンダ制御弁42が中立位置42aに操作されて油圧シリンダ32が停止した状態において、機体1の重量により第2リンク22の他端側が第1リンク21に対して上昇側(機体1の下降側)に揺動しようとする。
【0108】
これにより
図9に示すように、油圧シリンダ32が収縮作動しようとして、油圧シリンダ32のボトム側の油室の作動油が上昇油路53を通ってリークしようとするのであり、油圧シリンダ32の作動油のリークが上昇油路53のシリンダチェック弁55により阻止される。
【0109】
(発明の実施の第2別形態)
図10に示すように、手動操作式の開閉弁67を、戻り油路30における戻り油路チェック弁35と、アンロード油路37の接続部分との間の部分に設けてもよい。開閉弁67は、戻り油路30を連通させる開位置67a、及び戻り油路30を遮断する閉位置67bに操作可能である。
【0110】
通常の作業状態では、開閉弁67を開位置67aに操作しておく。エンジン10により油圧ポンプ11が駆動されている状態(供給油路29から分岐したパイロット作動油より戻り油路チェック弁35が開操作されている状態)において、全ての油圧ユニット28のシリンダ制御弁41,42,43及びモータ制御弁44が中立位置41a~44aに操作され、全ての油圧シリンダ31,32,33及び油圧モータ34が停止したとする。この状態を維持する場合、開閉弁67を閉位置67bに操作しておけばよい。
【0111】
開閉弁67を電磁操作式に構成してもよい。この場合、全ての油圧ユニット28のシリンダ制御弁41,42,43及びモータ制御弁44が中立位置41a~44aに操作されると、開閉弁67が閉位置67bに自動的に操作されるように構成すればよい。
全ての油圧ユニット28のシリンダ制御弁41,42,43及びモータ制御弁44のうちの少なくとも1個が、中立位置41a~44a以外の位置に操作されると、開閉弁67が開位置67aに自動的に操作されるように構成すればよい。
【0112】
(発明の実施の第3別形態)
図7に示すように、油圧シリンダ31に対して、離間油路47及び接近油路48のシリンダチェック弁49,50とパイロット油路51,52とを設けた場合、油圧シリンダ32に対して、
図9に示すように、上昇油路53のシリンダチェック弁55及びパイロット油路57を設け、下降油路54のシリンダチェック弁56及びパイロット油路58を設けないように構成してもよい。
【0113】
(発明の実施の第4別形態)
図7に示すように、油圧シリンダ32に対して、上昇油路53及び下降油路54のシリンダチェック弁55,56とパイロット油路57,58とを設けた場合、油圧シリンダ31に対して、
図9に示すように、接近油路48のシリンダチェック弁50及びパイロット油路52を設け、離間油路47のシリンダチェック弁49及びパイロット油路51を設けないように構成してもよい。
【0114】
(発明の実施の第5別形態)
油圧ユニット28において、油圧シリンダ33に対する油路59,60に、油圧モータ34に対する正転油路61及び逆転油路62のモータチェック弁63,64(
図7参照)と同様なシリンダチェック弁(図示せず)を設け、パイロット油路65,66(
図7参照)と同様なパイロット油路(図示せず)を設けてもよい。
【0115】
(発明の実施の第6別形態)
屈伸機構4を3個設けてもよく、屈伸機構4を6個設けてもよい。
屈伸機構4において、油圧シリンダ31及び第1リンク21を廃止してもよい。この構成によると、第2リンク22が機体1に上下に揺動可能に支持され、油圧シリンダ32が機体1と第2リンク22とに亘って接続される。
エンジン10を廃止して、電動モータ(駆動部に相当)(図示せず)により油圧ポンプ11が駆動されるように構成してもよい。
【0116】
(発明の実施の第7別形態)
全ての油圧ユニット28において、全てのシリンダチェック弁49,50,55,56及びモータチェック弁63,64を廃止し、全てのパイロット油路51,52,57,58,65,66を廃止してもよい。
供給油路チェック弁36を廃止し、戻り油路チェック弁35を設けておいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、凹凸の多い作業地や傾斜した作業地の走行に適した作業車に適用できるのであり、作業者が搭乗可能な作業車にも適用できる。
【符号の説明】
【0118】
1 機体
4 屈伸機構
5 車輪
10 エンジン(駆動部)
11 油圧ポンプ
13 作動油タンク(貯留部)
29 供給油路
30 戻り油路
31 油圧シリンダ
32 油圧シリンダ
34 油圧モータ
35 戻り油路チェック弁
36 供給油路チェック弁
38 アンロード弁
38a 連通位置
38b 遮断位置
41 シリンダ制御弁
42 シリンダ制御弁
44 モータ制御弁
67 開閉弁
67a 開位置
67b 閉位置