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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184018
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
   B62D 57/04 20060101AFI20231221BHJP
   B60P 3/073 20060101ALI20231221BHJP
   B60S 9/12 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B62D57/04
B60P3/073
B60S9/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097903
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】石川 淳一
(72)【発明者】
【氏名】平岡 実
(72)【発明者】
【氏名】山中 之史
(72)【発明者】
【氏名】吉井 嘉一郎
(72)【発明者】
【氏名】井田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】羽澤 悠平
(72)【発明者】
【氏名】仁木 亮太
(72)【発明者】
【氏名】山岸 亮太
【テーマコード(参考)】
3D026
【Fターム(参考)】
3D026EA26
3D026EA38
3D026EA40
(57)【要約】
【課題】車体の左右両側における前後夫々に、油圧アクチュエータにより昇降可能に車体に支持する複数の支持機構が備えられた作業車において、油圧ポンプを停止させていても圧油漏れによる姿勢変化が生じることを防止する。
【解決手段】車体2に支持された接地体30が備えられている。接地体30は、下方に突出して接地する状態で車体2を支持する接地支持状態と、上方に引退して地面Gに対して離間する非接地状態とに切り換え可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の左右両側における前後夫々に設けられ、前記車体を各別に昇降可能に支持する複数の支持機構と、
前記複数の支持機構を各別に上昇側および下降側に作動させる油圧アクチュエータと、
前記油圧アクチュエータに圧油を供給する油圧ポンプと、
前記車体に支持された接地体と、が備えられ、
前記接地体は、下方に突出して接地する状態で前記車体を支持する接地支持状態と、上方に引退して地面に対して離間する非接地状態とに切り換え可能である作業車。
【請求項2】
前記接地体は、前記車体に固定され、前記支持機構の作動によって前記車体が設定対地高さ位置よりも低い位置に下降されることによって前記接地支持状態に切り換わり、前記支持機構の作動によって前記車体が前記設定対地高さ位置以上に上昇されることによって前記非接地状態に切り換わる請求項1に記載の作業車。
【請求項3】
前記油圧ポンプを駆動するエンジンと、
前記エンジンの停止状態において前記接地体を前記非接地状態から前記接地支持状態に切り換える制御装置と、を備えている請求項1記載の作業車。
【請求項4】
前記各支持機構の一端側にそれぞれ備えられ、前記エンジンによって駆動される走行装置と、
前記車体に設けられ、前記接地体を昇降可能に支持する支持部と、
前記接地体を前記非接地状態にする走行用固定位置で前記支持部に対して固定する走行用固定状態と、前記接地体を前記接地支持状態にする停止用固定位置で前記支持部に固定する停止用固定状態とに切り換え可能な固定機構と、を備えている請求項3に記載の作業車。
【請求項5】
前記固定機構に、前記接地体を前記支持部に対して下降付勢するスプリングと、前記接地体に連結され、前記接地体を前記スプリングに抗して前記支持部に対して上昇操作する油圧ピストンとが備えられ、
前記固定機構は、前記接地体が前記スプリングによって下降操作されることによって前記停止用固定状態になり、前記接地体が前記油圧ピストンによって上昇操作されることによって前記走行用固定状態になり、
前記制御装置は、前記油圧ピストンを操作するように構成されている請求項4に記載の作業車。
【請求項6】
前記固定機構に、前記接地体の上下複数段箇所に設けられた係止部と、前記上下複数段箇所の係止部に対して係脱可能な状態で前記支持部に設けられたストッパーとが備えられ、
前記固定機構は、前記上下複数段箇所の係止部のうちの下段側の係止部に前記ストッパーが係合されることによって前記走行用固定状態になり、前記ストッパーが前記下段側の係止部に対して離脱操作されると、前記接地体が重力によって前記支持部に対して下降して前記上下複数段箇所の係止部のうちの上段側の係止部と前記ストッパーとが符合し、前記上段側の係止部に前記ストッパーが係合されることによって前記停止用固定状態になり、
前記制御装置は、前記ストッパーを前記係止部に対して係脱操作するように構成されている請求項4に記載の作業車。
【請求項7】
前記固定機構に、前記接地体に設けられた係止部および位置決め部と、前記係止部に係脱可能な状態で前記支持部に設けられたストッパーと、前記支持部の上下複数段箇所に前記位置決め部が係脱可能な状態で設けられた位置設定部と、前記位置決め部を前記上下複数段箇所の位置設定部に向けて移動するように案内するガイド部と、前記接地体を前記支持部に対して下降操作するスプリングと、が備えられ、
前記固定機構は、前記ストッパーが前記係止部に係合されることによって前記停止用固定状態になり、前記ストッパーが前記係止部に対して離脱されると、前記接地体が前記スプリングによって前記支持部に対して下降操作されて前記位置決め部が前記ガイド部によって前記上下複数段箇所の位置設定部のうちの一つの位置設定部に案内されて係合されることによって前記停止用固定状態になり、
前記制御装置は、前記ストッパーを係脱操作するように構成されている請求項4に記載の作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、車体(車両本体)の左右両側における前後夫々に設けられ、車体を各別に昇降可能に支持する複数の支持機構(屈折リンク機構)と、複数の支持機構を各別に上昇側および下降側に作動させる油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)と、油圧アクチュエータに圧油を供給する油圧ポンプと、が備えられた作業車がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-111985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、油圧アクチュエータを操作する油圧回路に圧油漏れが発生した場合、圧油漏れによる油圧アクチュエータの作動によって車体の姿勢が変化してしまう。車体の姿勢が大きく変化すると、車体がずれ動いてしまう。殊に傾斜地では、車体がずれ動き易い。圧油漏れによる車体の姿勢変化を防止するのには、油圧回路に圧油が供給されるように、油圧ポンプを駆動されたままにする必要がある。
【0005】
本発明は、油圧ポンプを停止させていても圧油漏れによる姿勢変化が生じることを防止することが可能な作業車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による作業車は、
車体の左右両側における前後夫々に設けられ、前記車体を各別に昇降可能に支持する複数の支持機構と、前記複数の支持機構を各別に上昇側および下降側に作動させる油圧アクチュエータと、前記油圧アクチュエータに圧油を供給する油圧ポンプと、前記車体に支持された接地体と、が備えられ、前記接地体は、下方に突出して接地する状態で前記車体を支持する接地支持状態と、上方に引退して地面に対して離間する非接地状態とに切り換え可能である。
【0007】
本構成によると、接地体が接地支持状態に切り換わると、車体の姿勢変化が接地体の支持によって止まるので、油圧ポンプを停止したままにしても、車体の姿勢変化が生じることを防止することが可能である。
【0008】
本発明においては、
前記接地体は、前記車体に固定され、前記支持機構の作動によって前記車体が設定対地高さ位置よりも低い位置に下降されることによって前記接地支持状態に切り換わり、前記支持機構の作動によって前記車体が前記設定対地高さ位置以上に上昇されることによって前記非接地状態に切り換わると好適である。
【0009】
本構成によると、接地体を車体に固定するだけの簡素な支持構造で接地体を車体に支持することができ、接地体による車体のずれ動きを安価に防止できる。
【0010】
本発明においては、
前記油圧ポンプを駆動するエンジンと、前記エンジンの停止状態において前記接地体を前記非接地状態から前記接地支持状態に切り換える制御装置とを備えていると好適である。
【0011】
本構成によると、エンジンが停止されると、制御装置によって接地体が非接地状態から接地支持状態に切り換えられるので、接地体を接地支持状態に切り換える特別な手間を掛けずに済む。
【0012】
本発明においては、
前記各支持機構の一端側にそれぞれ備えられ、前記エンジンによって駆動される走行装置と、前記車体に設けられ、前記接地体を昇降可能に支持する支持部と、前記接地体を前記非接地状態にする走行用固定位置で前記支持部に対して固定する走行用固定状態と、前記接地体を前記接地支持状態にする停止用固定位置で前記支持部に固定する停止用固定状態とに切り換え可能な固定機構と、を備えていると好適である。
【0013】
本構成によると、エンジンが停止されると、制御装置によって固定機構が停止用固定状態切り換えられ、接地体が接地支持状態になるので、接地体を接地支持状態に切り換える特別な手間を掛けずに済む。
【0014】
本発明においては、
前記固定機構に、前記接地体を前記支持部に対して下降付勢するスプリングと、前記接地体に連結され、前記接地体を前記スプリングに抗して前記支持部に対して上昇操作する油圧ピストンとが備えられ、前記固定機構は、前記接地体が前記スプリングによって下降操作されることによって前記停止用固定状態になり、前記接地体が前記油圧ピストンによって上昇操作されることによって前記走行用固定状態になり、前記制御装置は、前記油圧ピストンを操作するように構成されていると好適である。
【0015】
本構成によると、油圧ピストンが操作されることによって、固定機構が接地体を非接地状態と接地支持状態とに切り換えるので、油圧ピストンを操作するだけの簡単な制御によって接地体を非接地状態と接地支持状態とに切り換えることができる。
【0016】
本発明においては、
前記固定機構に、前記接地体の上下複数段箇所に設けられた係止部と、前記上下複数段箇所の係止部に対して係脱可能な状態で前記支持部に設けられたストッパーとが備えられ、前記固定機構は、前記上下複数段箇所の係止部のうちの下段側の係止部に前記ストッパーが係合されることによって前記走行用固定状態になり、前記ストッパーが前記下段側の係止部に対して離脱操作されると、前記接地体が重力によって前記支持部に対して下降して前記上下複数段箇所の係止部のうちの上段側の係止部と前記ストッパーとが符合し、前記上段側の係止部に前記ストッパーが係合されることによって前記停止用固定状態になり、前記制御装置は、前記ストッパーを前記係止部に対して係脱操作するように構成されていると好適である。
【0017】
本構成によると、固定機構は、ストッパーが係止部に対して離脱されると、接地体を重力によって支持部に対して下降させ、ストッパーが係止部に対して係脱操作されることによって接地体を非接地状態と接地支持状態とに切り換えるので、ストッパーを操作するだけの簡単な制御によって接地体を非接地状態と接地支持状態とに切り換えることができる。
【0018】
本発明においては、
前記固定機構に、前記接地体に設けられた係止部および位置決め部と、前記係止部に係脱可能な状態で前記支持部に設けられたストッパーと、前記支持部の上下複数段箇所に前記位置決め部が係脱可能な状態で設けられた位置設定部と、前記位置決め部を前記上下複数段箇所の位置設定部に向けて移動するように案内するガイド部と、前記接地体を前記支持部に対して下降操作するスプリングと、が備えられ、前記固定機構は、前記ストッパーが前記係止部に係合されることによって前記停止用固定状態になり、前記ストッパーが前記係止部に対して離脱されると、前記接地体が前記スプリングによって前記支持部に対して下降操作されて前記位置決め部が前記ガイド部によって前記上下複数段箇所の位置設定部のうちの一つの位置設定部に案内されて係合されることによって前記停止用固定状態になり、前記制御装置は、前記ストッパーを係脱操作するように構成されていると好適である。
【0019】
本構成によると、固定機構は、ストッパーが係止部に対して離脱されると、スプリングが接地体を支持部に対して下降させて位置決め部が位置設定部に係合し、ストッパーが係止部に対して係脱操作されることによって接地体を非接地状態と接地支持状態とに切り換えるので、ストッパーを操作するだけの簡単な制御によって接地体を非接地状態と接地支持状態とに切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】作業車の側面図である。
図2】作業車の平面図である。
図3】支持機構の側面図である。
図4】接地体の側面図である。
図5】接地体の正面視構造および作用状態を示す説明図である。
図6】油圧回路図である。
図7】第1別実施形態の接地体の非接地状態での側面図である。
図8】第1別実施形態の接地体の接地支持状態での側面図である。
図9】第2別実施形態の接地体の非接地状態での側面図である。
図10】第2別実施形態の接地体の接地支持状態での側面図である。
図11】第3別実施形態の接地体の非接地状態での側面図である。
図12】第3別実施形態の接地体の非接地状態での側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一例である実施形態を図面に基づいて説明する。
図1,2に、コンテナなどを移送する作業車が示されている。以下の説明では、作業車の車体に関し、図1,2,3などに示される矢印Fの方向を「車体前側」、図1,2,3などに示される矢印Bの方向を「車体後側」、図1,3,5などに示される矢印Uの方向を「車体上側」、図1,3,5などに示される矢印Dの方向を「車体下側」、図2,5などに示される矢印Lの方向を「車体左側」、図2,5などに示される矢印Rの方向を「車体右側」とする。左右方向が車体横幅方向に対応する。
【0022】
図1,2に示されるように、作業車は、鋼管材、鋼板などによって構成された車体フレーム1が備えられた車体2を有している。車体2は、車体2の左右側における前後の夫々に設けられた支持機構10によって支持され、かつ、支持機構10に備えられた車輪3によって走行するように構成されている。車体2の上部に、コンテナなどを載置する荷台4が設けられている。車体2のうちの荷台4の下方に位置する箇所に、車輪3を駆動するエンジン5が設けられている。車体2の両横側部に、荷台4の下方に設けられた制御弁装置6などを横外側方から覆う上横カバー7、上横カバー7よりも下側においてエンジン5などを横外側方から覆う下横カバー8が設けられている。
【0023】
図1,2に示されるように、4箇所の支持機構10のそれぞれは、走行用の車輪3を備えている。4箇所の車輪3は、4箇所の車輪3それぞれに連結された油圧モータ9によって各別に駆動されるように構成されている。油圧モータ9は、車輪3の内側に設けられている。
【0024】
4箇所の支持機構10それぞれは、車体2を昇降可能に支持するように構成されている。図3に示される支持機構10は、車体前左側の支持機構10を示す側面図である。具体的には、図1,3に示されるように、4箇所の支持機構10のそれぞれは、車体フレーム1の上部に備えられた支持部11に上端部が支持された上部リンク12と、上部リンク12の下端部に一端部が支持され、他端部に車輪3が支持された下部リンク13と、を備えている。上部リンク12の支持部11に対する支持は、上部リンク12を車体横幅方向に沿った第1連結軸芯P1を揺動支点にして前後揺動可能な状態で支持部11に連結することによって行われる。下部リンク13の上部リンク12に対する支持は、下部リンク13の一端部を車体横幅方向に沿った第2連結軸芯P2を揺動支点にして上下揺動可能な状態で上部リンク12の下端部に連結することによって行われる。4箇所の支持機構10は、屈折リンク機構に構成されている。
【0025】
図3に示されるように、4箇所の支持機構10には、支持部11と上部リンク12とにわたって設けた油圧アクチュエータとしての第1油圧シリンダ14、上部リンク12と下部リンク13とにわたって設けた油圧アクチュエータとしての第2油圧シリンダ15が備えられている。
【0026】
4箇所の支持機構10は、上部リンク12が第1油圧シリンダ14の短縮作動によって支持部11に対して上昇側に揺動操作され、下部リンク13が第2油圧シリンダ15の短縮作動によって上部リンク12に対して上昇側に揺動操作されることによって車体2を対地下降させる側(下降側)に作動し、車輪3を車体2に対して上昇操作する。
【0027】
4箇所の支持機構10は、上部リンク12が第1油圧シリンダ14の伸長作動によって支持部11に対して下降側に揺動操作され、下部リンク13が第2油圧シリンダ15の伸長作動によって上部リンク12に対して下降側に揺動操作されることによって車体2を対地上昇させる側(上昇側)に作動し、車輪3を車体2に対して下降操作する。
【0028】
図2,3に示されるように、4箇所の車輪3それぞれは、車体上下向きの操向支点軸16を介して下部リンク13に支持され、操向支点軸16から延びる操向部材17と下部リンク13とにわたって操向シリンダ18が設けられている。操向シリンダ18の操向部材17への連結は、操向シリンダ18と、操向部材17に備えられたシリンダ支持部17aとを連結することによって行われる。操向シリンダ18の下部リンク13への連結は、操向シリンダ18と、下部リンク13に備えられたシリンダ支持部13aとを連結することによって行われる。4箇所の車輪3それぞれは、操向シリンダ18の伸縮作動によって操向支点軸16の軸芯P3を操向軸芯として操向操作される。
【0029】
図1,3に示されるように、4箇所の支持機構10に補助輪19が備えられている。補助輪19は、第2連結軸芯P2と同一の軸芯を回転軸芯にして回転可能な状態で下部リンク13と上部リンク12との連結箇所に支持されている。補助輪19は、上部リンク12の支持部11に対する揺動角、および、下部リンク13の上部リンク12に対する揺動角のそれぞれが設定揺動角になったとき、車輪3と共に接地して車体2を支持する。
【0030】
〔油圧回路〕
4箇所の支持機構10それぞれに対応する第1油圧シリンダ14、第2油圧シリンダ15、操向シリンダ18および油圧モータ9の駆動を可能にする油圧回路20が図6に示される如く構成されている。
【0031】
図6には、4箇所の支持機構10のうちの1箇所の支持機構10に対応する第1油圧シリンダ14、第2油圧シリンダ15、操向シリンダ18および油圧モータ9のみが記載され、他の3箇所の支持機構10に対応する第1油圧シリンダ14、第2油圧シリンダ15、操向シリンダ18および油圧モータ9の記載が省略されている。
【0032】
図6に示されるように、油圧回路20は、エンジン5によって駆動され、作動油タンク21から作動油を取り出し、取り出した作動油を圧油として吐出する油圧ポンプ22、油圧ポンプ22から延ばされた操作油路23、作動油タンク21から延ばされた排油路24を備えている。
【0033】
操作油路23は、第1油圧シリンダ14の第1制御弁14aに第1分岐操作油路23aを介して接続されて油圧ポンプ22からの圧油を第1分岐操作油路23aから第1制御弁14aに供給し、第2油圧シリンダ15の第2制御弁15aに第2分岐操作油路23bを介して接続されて油圧ポンプ22からの圧油を第2分岐操作油路23bから第2制御弁15aに供給する。操作油路23は、操向シリンダ18の操向制御弁18aに第3分岐操作油路23cを介して接続されて油圧ポンプ22からの圧油を第3分岐操作油路23cから操向制御弁18aに供給し、油圧モータ9の走行制御弁9aに第4分岐操作油路23dを介して接続されて油圧ポンプ22からの圧油を第4分岐操作油路23dから走行制御弁9aに供給する。第1制御弁14a、第2制御弁15a、操向制御弁18aおよび走行制御弁9aは、操作油路23に対して並列接続されている。
【0034】
排油路24は、第1制御弁14aに第1分岐排油路24aを介して接続されて第1制御弁14aから排出された圧油を第1分岐排油路24aから導入して作動油タンク21に戻し、第2制御弁15aに第2分岐排油路24bを介して接続されて第2制御弁15aから排出された圧油を第2分岐排油路24bから導入して作動油タンク21に戻す。排油路24は、操向制御弁18aに第3分岐排油路24cを介して接続されて操向制御弁18aから排出された圧油を第3分岐排油路24cから導入して作動油タンク21に戻し、走行制御弁9aに第4分岐排油路24dを介して接続されて走行制御弁9aから排出された圧油を第4分岐排油路24dから導入して作動油タンク21に戻す。
【0035】
図6に示されていない3箇所の支持機構10それぞれに対応する第1油圧シリンダ14の第1制御弁14a、第2油圧シリンダ15の第2制御弁15a、操向シリンダ18の操向制御弁18aおよび油圧モータ9の走行制御弁9aは、図6に示された第1制御弁14a、第2制御弁15a、操向制御弁18a、走行制御弁9aと同様に、操作油路23に並列接続されている。
【0036】
〔接地体〕
油圧回路20に圧油漏れが発生した場合、第1油圧シリンダ14あるいは第2油圧シリンダ15が作動して車体2が下降することによって車体2の対地姿勢が変化することがある。傾斜地では、この車体2の姿勢の変化によって車体2がずれ動き易くなる場合もある。このため、車体2のずれ動きを防止する接地体30が備えられている。
【0037】
図4,5に示されるように、接地体30は、車体2のうちの車体フレーム1の前部1aにおける左右2箇所、および、車体フレーム1の後部1bにおける左右2箇所に設けられている。4箇所の接地体30それぞれは、車体フレーム1の下端部よりも下方に突出する状態で車体フレーム1に固定されている。
【0038】
図4に示されるように、接地体30は、車体2が地面Gに対して上昇され、車体2の地面Gに対する高さ位置(対地高さ位置)が設定対地高さ位置よりも高くされることにより、車輪3の下端部3aよりも上方に引退して地面Gに対して離間する非接地状態に切り換わる。設定対地高さ位置は、走行時に車体2が地面Gに対して昇降調節される昇降範囲における下限で車体2を車輪3および支持機構10に支持させ、かつ、接地体30が接地しない状態となる対地高さ位置として設定したものである。
【0039】
図5に車体左側の接地体30で示されるように、車体2の対地高さ位置が設定対地高さ位置以下になると、接地体30は、車輪3の下端部3aよりも下方に突出して地面Gに接地して車体2を支持する接地支持状態に切り換わる。接地体30が接地支持状態に切り換わると、車体2が接地体30によって支持されるので、油圧の漏れに起因する車体2の姿勢変化が止まり、かつ、接地体30が車体2のずれ動きを防止するブレーキになり、車体2のずれ動きが接地体30によって防止される。
【0040】
第1油圧シリンダ14の第1制御弁14aおよび第2油圧シリンダ15の第2制御弁15aの一方あるいは両方の人為操作によって第1油圧シリンダ14および第2油圧シリンダ15の一方あるいは両方を車体2の下降側に操作し、車体2の対地高さ位置を設定対地高さ位置以下にすることによっても、接地体30を接地支持状態に切り換えることができ、車体2のずれ動きを防止するブレーキを接地体30によって掛けることができる。
【0041】
本実施形態では、接地体30を車体フレーム1に固定しているが、接地体30を、傾斜地や不整地では取付け、傾斜地でないとか整地では取り外すことができるように脱着可能に構成することが可能である。
【0042】
〔別実施形態〕
(1)図7は、第1別実施形態の接地体31の非接地状態での側面図である。図8は、第1別実施形態の接地体31の接地支持状態での側面図である。第1別実施形態では、接地体31は、車体2のうちの車体フレーム1に設けられた支持部32に昇降可能に支持されている。接地体31の支持部32に対する固定が可能な固定機構33が備えられている。固定機構33に、エンジン5の状態に基づいて固定機構33を制御する制御装置37が連係されている。
【0043】
接地体31の支持部32に対する昇降可能な支持は、支持部32を筒状に構成し、接地体31の上部に連結された油圧ピストン34を支持部32にスライド可能に内嵌することによって行われる。支持部32は、油圧シリンダに構成されている。
【0044】
固定機構33は、図7に示される如く接地体31を非接地状態にする走行用固定位置で支持部32に対して固定する走行用固定状態と、図8に示される如く接地体31を接地支持状態にする停止用固定位置で支持部32に対して固定する停止用固定状態と、に切り換え可能に構成されている。
【0045】
具体的には、図7,8に示されるように、固定機構33には、接地体31を支持部32に対して下降側に付勢するスプリング35、接地体31をスプリング35に抗して支持部32に対して上昇操作する油圧ピストン34が備えられている。支持部32の下部に、油圧ピストン34に対する圧油の給排を行う圧油給排部36が形成されている。
【0046】
固定機構33においては、図7に示されるように、圧油給排部36に圧油が供給されると、圧油が支持部32の内部に導入されて油圧ピストン34に供給され、油圧ピストン34が圧油によってスプリング35に抗して上昇操作されて設定上昇位置に保持され、接地体31が油圧ピストン34によって上昇操作されて走行用固定位置で支持部32に固定される。これにより、固定機構33は、接地体31を車輪3の下端部3aよりも上昇した非接地状態するように走行用固定状態になる。
【0047】
固定機構33においては、図8に示されるように、圧油給排部36から圧油が排出されると、支持部32の内部から圧油が排出されて油圧ピストン34から圧油が排出され、油圧ピストン34がスプリング35によって下降操作されて設定下降位置に保持され、接地体31がスプリング35によって下降操作されて停止用固定位置で支持部32に固定される。これにより、固定機構33は、接地体31を車輪3の下端部3aよりも下方に突出した接地支持状態にするように停止用固定状態になる。
【0048】
制御装置37は、エンジン5の駆動状態において固定機構33を走行用固定状態に切り換え、エンジン5の停止状態において固定機構33を停止用固定状態に切り換えるように構成されている。
【0049】
具体的には、図7,8に示されるように、圧油給排部36が給排油路38を介して操作油路23に接続されている。操作油路23の圧油を排油路24に排出可能なドレン油路39を設けると共にドレン油路39を開閉するアンロード弁40が設けられている。制御装置37は、アンロード弁40に連係されることによって固定機構33に連係されている。制御装置37は、エンジン5の始動装置41を作動させる操作を行い、かつ、エンジン5の停止操作を行うキースイッチ42に連係されている。
【0050】
図7に示されるように、制御装置37は、キースイッチ42がエンジン始動位置に操作されると、キースイッチ42からの情報を基にエンジン5が駆動状態にあると判断してアンロード弁40を閉じ操作する。すると、油圧ポンプ22からの圧油が操作油路23から給排油路38に供給され、給排油路38から圧油給排部36に供給される。これにより、制御装置37は、エンジン5の駆動状態において固定機構33を走行用固定状態に切り換える。
【0051】
図8に示されるように、制御装置37は、キースイッチ42がエンジン停止位置に操作されると、キースイッチ42からの情報を基にエンジン5が停止状態にあると判断してアンロード弁40を開き操作する。すると、油圧ポンプ22から操作油路23に供給された圧油がドレン油路39から排油路24に排出され、かつ、油圧ピストン34に供給されていた圧油が圧油給排部36から給排油路38に排出され、給排油路38からドレン油路39に排出されてドレン油路39から排油路24に排出される。これにより、制御装置37は、エンジン5の停止状態において固定機構33を停止用固定状態に切り換える。
【0052】
走行時には、エンジン5が駆動される。すると、図7に示されるように、固定機構33が制御装置37によって走行用固定状態に切り換えられ、接地体31が走行に対する障害にならないように非接地状態に保持される。停車時には、エンジン5が停止されると、図8に示されるように、固定機構33が制御装置37によって停止用固定状態に切り換えられ、接地体31が接地支持状態に切り換えられる。これにより、接地体31によって車体2のずれ動きを防止するブレーキが掛けられる。
【0053】
(2)図9は、第2別実施形態の接地体51の非接地状態での側面図である。図10は、第2別実施形態の接地体51の接地支持状態での側面図である。第2別実施形態では、図9,10に示されるように、接地体51は、車体フレーム1に備えられた支持部52に昇降可能に支持されている。接地体51を支持部52に固定する固定機構53が設けられている。固定機構53に、エンジン5の状態に基づいて固定機構53を制御する制御装置54が連係されている。
【0054】
支持部52に対する接地体51の昇降可能な支持は、接地体51の上部に取付け部51aが備えられ、取付け部51aが支持部52の上下向きの支持穴52aにスライド可能に内嵌されることによって行われる。
【0055】
固定機構53は、接地体51の取付け部51aの上下複数段箇所に設けられた係止部55と、支持部52に支持されたストッパー56と、を備えている。本実施形態では、係止部55は、取付け部51aの周壁部を貫通する貫通穴によって構成されている。接地体51の下部に、係止部55から接地体51の内部に入り込んだ水を排出する水抜き穴57が設けられている。
【0056】
ストッパー56は、支持部52のステー部52bに支軸58を介して支持され、支軸58を揺動支点にして揺動可能な状態で支持部52に支持されている。ストッパー56は、揺動操作されることにより、先端部56aが支持部52の貫通穴52cを挿通して係止部55に係合して接地体51を支持部52に固定するロック姿勢と、先端部56aが係止部55から離脱して接地体51の支持部52に対する固定を解除する解除姿勢とに姿勢変更する。
【0057】
ストッパー56は、支持部52に支持された電磁ソレノイド59がオンに操作されると、電磁ソレノイド59による押し操作と、解除スプリング60aによる押し操作とによって解除姿勢に姿勢変更され、電磁ソレノイド59がオフに操作されると、ロックスプリング60bによってロック姿勢に姿勢変更されるように構成されている。
【0058】
固定機構53においては、図9に示されるように、ストッパー56が上下複数段の係止部55のうち最下段の係止部55に係合したロック姿勢に操作されると、接地体51が支持部52に対して走行用固定位置でストッパー56によって固定される。これにより、固定機構53は、接地体51を車輪3の下端部3aよりも上方に引退した非接地状態にするように走行用固定状態になる。
【0059】
ストッパー56が最下段の係止部55に係合したロック姿勢から解除姿勢に姿勢変更されると、接地体51が重力によって支持部52に対して下降する。図10に示されるように、固定機構53においては、接地体51が重力によって下降して車輪3の下端部3aよりも下方に突出して接地する。接地体51が接地すると、上下複数段の係止部55のうちの最下段の係止部55よりも上側に位置する係止部55のうち、車輪3の車体2に対する支持位置によって決まる係止部55とストッパー56が符合する。ストッパー56が符合した係止部55に係合されると、接地体51が支持部52に対して停止用固定位置でストッパー56によって固定される。これにより、固定機構53は、接地体51を車輪3の下端部3aよりも下方に突出した接地支持状態にするように停止用固定状態になる。
【0060】
接地体51が接地支持状態になった場合、電磁ソレノイド59をオンに操作してストッパー56を解除姿勢に維持しながら接地体51を人為操作によって上昇操作し、接地体51が走行用固定位置になると、電磁ソレノイド59をオフに操作することにより、最下段の係止部55にストッパー56が係合し、接地体51を非接地状態に戻すことができる。
【0061】
制御装置54は、電磁ソレノイド59に連係されることによって固定機構53に連係されている。制御装置54は、キースイッチ42がエンジン始動位置に操作されると、キースイッチ42からの情報を基にエンジン5が駆動状態にあると判断して電磁ソレノイド59をオフに操作するように構成されている。電磁ソレノイド59がオフに操作されると、ストッパー56が最下段の係止部55に係合したロック姿勢に操作される。これにより、制御装置54は、エンジン5の駆動状態において、ストッパー56を操作することによって固定機構33を走行用固定状態に切り換える。
【0062】
制御装置54は、キースイッチ42がエンジン停止位置に操作されると、キースイッチ42からの情報を基にエンジン5が停止状態にあると判断して電磁ソレノイド59をオンに操作し、電磁ソレノイド59をオンに操作して設定経過時間が経過すると、電磁ソレノイド59をオフに切換え操作するように構成されている。設定経過時間としては、走行用固定位置にあった接地体51が重力によって下降して停止用固定位置に切り換わるのに必要な時間が設定されている。これにより、制御装置54は、エンジン5の停止状態において、ストッパー56を操作することによって固定機構33を停止用固定状態に切り換える。
【0063】
走行時には、エンジン5が駆動される。すると、図9に示されるように、固定機構53が制御装置54によって走行用固定状態にされ、接地体51が走行に対する障害にならないように非接地状態に保持される。停車時には、エンジン5が停止されると、図10に示されるように、固定機構53が制御装置54によって停止用固定状態に切り換えられ、接地体51が接地支持状態に切り換えられる。これにより、接地体51によって車体2のずれ動きを防止するブレーキが掛けられる。
【0064】
(3)図11は、第3別実施形態の接地体61の非接地状態での側面図である。図12は、第3別実施形態の接地体61の接地支持状態での側面図である。図11に示されるように、第3別実施形態では、接地体61は、車体フレーム1に備えられた支持部62に昇降可能かつ回転可能に支持され、接地体61を支持部62に固定する固定機構63が設けられている。固定機構63に、エンジン5の状態に基づいて固定機構63を制御する制御装置74が連係されている。
【0065】
支持部62に対する接地体61の昇降可能かつ回転可能な支持は、接地体61の上部に取付け筒部61aが備えられ、取付け筒部61aが支持部62の下部に備えられた支軸部62aにスライド可能かつ回転可能に外嵌されることによって行われる。
【0066】
接地体61を支持部62に固定する固定機構63は、接地体61の取付け筒部61aの上部における外部に取付け筒部61aの全周にわたって設けられた係止部64と、取付け筒部61aの上部における内部に設けられた位置決め部65と、支持部62の支軸部62aよりも上側の部位に支持されたストッパー66と、支軸部62aの外周部の上下複数段箇所に設けられた位置設定部67と、上下複数段箇所の位置設定部67に連通する状態で支軸部62aの外周部に設けられガイド部68と、接地体61を支持部62に対して下降操作するスプリング69と、を備えている。上下複数段箇所の位置設定部67を有する位置設定部群、および、ガイド部68は、支軸部62aの周方向での2箇所に設けられている。位置決め部65は、2箇所の位置設定部群それぞれに対応させて設けられている。位置決め部65は、取付け筒部61aを貫通する軸部材によって構成されている。
【0067】
ストッパー66は、支持部62のステー部62bに支軸70を介して支持され、支軸70を揺動支点にして揺動可能な状態で支持部62に支持されている。ストッパー66は、揺動操作されることにより、先端部66aが係止部64に係合して接地体61を支持部62に固定するロック姿勢と、先端部66aが係止部64から離脱して接地体61の支持部62に対する固定を解除する解除姿勢とに姿勢変更する。
【0068】
ストッパー66は、支持部62に支持された電磁ソレノイド71がオンに操作されると、電磁ソレノイド71による押し操作と、解除スプリング72による押し操作とによって解除姿勢に姿勢変更され、電磁ソレノイド71がオフに操作されると、ロックスプリング73によってロック姿勢に姿勢変更されるように構成されている。
【0069】
上下複数段箇所の位置設定部67は、支軸部62aの内部に向けて窪む凹入形に形成され、かつ、支軸部62aの周方向に並べられている。ガイド部68は、上下複数段箇所の位置設定部67に連通する状態、かつ、支軸部62aの内部に向けて窪む溝状に構成されている。位置決め部65は、位置設定部67に対して係脱可能、かつ、ガイド部68にスライド可能に係入可能に構成されている。位置決め部65は、接地体61がスプリング69によって支持部62に対して下降される際、ガイド部68の傾斜、および、位置設定部67のガイド部68に対する係合によって支軸部62aに対して回転しながら下降する。
【0070】
図11に示されるように、固定機構63においては、電磁ソレノイド71がオフに操作されると、ストッパー66がロックスプリング73によってロック姿勢に揺動操作されて係止部64に係合すると、接地体61が走行用固定位置で支持部62にストッパー66によって固定される。これにより、固定機構63は、接地体61を車輪3の下端部3aよりも上方に引退して地面Gに対して離間する非接地状態にするように走行用固定状態になる。
【0071】
図12に示されるように、固定機構63においては、電磁ソレノイド71がオンに操作されると、ストッパー66が電磁ソレノイド71の操作力と解除スプリング72の操作力とによって解除姿勢に揺動操作されて係止部64に対して離脱する。すると、接地体61がスプリング69によって支持部62に対して下降操作されて接地体61の下部が接地する。接地体61が走行用固定位置から接地するまでの下降ストロークは、車輪3の車体2に対する支持位置によって決まり、車輪3の車体2に対する支持位置が低いほど、接地体61の下降ストロークが長くなる。接地体61は、下降する際、位置決め部65とガイド部68との係合によって支持部62に対して回転しながら下降する。接地体61が下降する際、位置決め部65は、ガイド部68によって案内されて上下複数段箇所の位置設定部67に向かって移動する。接地体61の下部が接地すると、上下複数段箇所の位置設定部67のうち、接地体61の下降ストロークによって決まる位置設定部67に位置決め部65が接地反力によって係合し、位置設定部67と位置決め部65との係合によって接地体61が停止用固定位置で支持部62に固定される。これにより、固定機構63は、接地体61を車輪3の下端部3aよりも下方に突出して接地する接地支持状態にするように停止用固定状態になる。
【0072】
接地体61が接地支持状態になった場合、電磁ソレノイド79をオンに操作してストッパー66を解除姿勢に維持しながら接地体61を人為操作によってスプリング69に抗して上昇操作し、接地体61が走行用固定位置になると、電磁ソレノイド71をオフに操作することにより、ストッパー66が係止部64に係合し、接地体61を非接地状態に戻すことができる。
【0073】
制御装置74は、電磁ソレノイド71に連係されていることによって固定機構63に連係されている。制御装置74は、エンジン5の始動装置41を作動操作し、かつ、エンジン5の停止操作を行うキースイッチ42に連係されている。
【0074】
制御装置74は、キースイッチ42がエンジン始動位置に操作されると、キースイッチ42からの情報を基にエンジン5が駆動状態にあると判断し、電磁ソレノイド71をオフに操作してストッパー66をロック姿勢にする。これにより、制御装置74は、エンジン5の駆動状態において固定機構63を走行用固定状態に操作する。
【0075】
制御装置74は、キースイッチ42がエンジン停止位置に操作されると、キースイッチ42からの情報を基にエンジン5が停止状態にあると判断して電磁ソレノイド71をオンに操作してストッパー66を解除姿勢に姿勢変更する。ストッパー66が解除姿勢になると、接地体61がスプリング69によって下降操作されて接地し、上下複数段箇所の位置設定部67のうちの接地体61の接地によって決まる位置設定部67と、位置決め部65とが係合する。これにより、制御装置74は、エンジン5の停止状態において、固定機構63を走行用固定状態から停止用固定状態に切り換える。
【0076】
制御装置74は、電磁ソレノイド71のオフ操作によってストッパー66を係止部64に係合操作し、電磁ソレノイド71のオフ操作によってストッパー66を係止部64に対して離脱操作することによって固定機構63を走行用固定状態と停止用固定状態とに切換え操作する。
【0077】
走行時には、エンジン5が駆動される。すると、図11に示されるように、固定機構63が制御装置74によって走行用固定状態にされ、接地体61が走行に対する障害にならないように非接地状態に保持される。停車時には、エンジン5が停止されると、図12に示されるように、固定機構63が制御装置74によって停止用固定状態に切り換えられ、接地体61が接地支持状態に切り換えられる。これにより、接地体61によって車体2のずれ動きを防止するブレーキが掛けられる。
【0078】
(4)上記した実施形態では、車体前部の左右2箇所、車体後部の左右2箇所に接地体を設けた例を示したが、これに限らず、車体の前部および後部に車体横幅方向に沿って延びる一つの接地体を設けたもの、あるいは、車体の左側部および右側部に車体前後方向に沿って延びる一つの接地体を設けたものであってもよい。
【0079】
(5)上記した実施形態では、支持機構10を第1油圧シリンダ14および第2油圧シリンダ15によって作動させる例を示したが、上部リンク12の車体2に対する連結部に上部リンク12を揺動操作する油圧モータを設け、上部リンク12と下部リンク13の連結部に下部リンク13を揺動操作する油圧モータを設け、油圧モータによって支持機構10を作動させるものであってもよい。
【0080】
(6)上記した実施形態では、支持機構10を屈折リンク機構によって構成する例を示したが、これに限らず、支持機構としては、任意の方向に折れ曲がり可能なロボットアーム、伸縮可能な支持アーム等を採用するものであってもよい。
【0081】
(7)上記実施形態では、制御装置37,54,74は、キースイッチ42の操作位置に基づいてエンジン5の駆動状態および停止状態を判断する例を示したが、これに限らず、エンジンの回転検出機構を設け、回転検出機構の検出情報を基にエンジン5の駆動状態および停止状態を判断するものであってもよい。
【0082】
(8)上記した実施形態では、車輪3を備えた例を示したが、走行装置としては、ミニクローラなどを採用したものであってもよい。
【0083】
(9)上記した実施形態では、荷台4を備えた作業車を示したが、薬剤の散布作業など、荷物の運搬作業以外の作業を行う作業車であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、車体を各別に昇降可能に支持する複数の支持機構と、複数の支持機構を各別に作動させる油圧アクチュエータと、を備える作業車に適用できる。
【符号の説明】
【0085】
2 車体
3 車輪(走行装置)
3a 下端部
5 エンジン
9 油圧モータ
10 支持機構
14 第1油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)
15 第2油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)
30 接地体
31 接地体
32 支持部
33 固定機構
34 油圧ピストン
35 スプリング
37 制御装置
51 接地体
52 支持部
53 固定機構
54 制御装置
55 係止部
56 ストッパー
61 接地体
62 支持部
63 固定機構
65 位置決め部
66 ストッパー
67 位置設定部
68 ガイド部
69 スプリング
74 制御装置
G 地面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12