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特開2023-184019試験システム、試験用ブラウザー及び試験用端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184019
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】試験システム、試験用ブラウザー及び試験用端末
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20231221BHJP
   G06V 40/16 20220101ALI20231221BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20231221BHJP
   G06V 40/50 20220101ALI20231221BHJP
【FI】
G06Q50/20
G06V40/16 A
G06T7/00 510F
G06V40/50
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097906
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】511263943
【氏名又は名称】株式会社シー・エス・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100206195
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】武田 俊彦
【テーマコード(参考)】
5B043
5L049
【Fターム(参考)】
5B043AA09
5B043BA04
5B043CA09
5B043DA05
5B043FA02
5B043FA07
5B043GA01
5B043GA17
5L049CC34
(57)【要約】
【課題】 受験者の本人確認をより確実に行うことができる試験システム、試験用ブラウザー及び試験用端末を提供する。
【解決手段】 試験システム1は、インターネットNを介して試験を実施するサービスを提供するものであり、所定の条件を満たした試験申込者画像を本人画像として登録する登録要求を登録端末11から受け付け、本人画像を本人画像データベース51に登録する顔認証サーバー21と、受験端末12から送信される受験者画像と本人画像とを照合するように顔認証サーバー21に対して照合要求を行うと共に、試験問題作成装置53にて作成された試験問題が登録される試験データベース52を備え試験を制御する試験サーバー22と、採点装置23と、不正行為判定のための証拠画像照合装置24とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットを介して試験を実施するための試験システムであって、
顔写真が掲載された本人確認書類の正当性を判定する本人確認書類判定手段と、
前記顔写真に基づく写真画像を取得する写真画像取得手段と、
試験申込者を撮像して試験申込者画像を取得する試験申込者撮像手段と、
前記試験申込者画像が、前記写真画像と一致するかを判定する画像判定手段と、
前記本人確認書類が正当であり、かつ、前記試験申込者画像が前記写真画像と一致する場合に、前記試験申込者画像を本人画像として登録する登録手段と、
少なくとも試験開始前に、受験者を撮像して受験者画像を取得する受験者撮像手段と、
前記受験者画像と前記本人画像とを照合する照合手段と、
前記照合手段により、試験開始前に撮像された前記受験者画像と前記本人画像との一致が確認できた場合に試験を開始する試験制御手段と、
前記試験の答案の採点を可能とする採点手段とを備える、試験システム。
【請求項2】
前記受験者撮像手段は、試験中に前記受験者が特定の動作を行った際にも撮像を行い、証拠画像を取得する、請求項1記載の試験システム。
【請求項3】
前記本人画像と前記証拠画像とを照合可能とする証拠画像照合手段を更に備える、請求項1又は請求項2記載の試験システム。
【請求項4】
前記本人確認書類判定手段は、前記本人確認書類に搭載されている記憶装置から前記本人確認書類に関する情報を読み取り、読み取った情報に基づき、前記正当性を判定する、請求項1に記載の試験システム。
【請求項5】
前記本人確認書類判定手段は、前記本人確認書類に記載されている事項に基づき前記本人確認書類に関する情報を生成し、生成した情報に基づき、前記正当性を判定する、請求項1に記載の試験システム。
【請求項6】
前記登録手段は、前記本人画像の登録要求を受け付け、前記本人画像を本人画像データベースに登録する、顔認証サーバーを備え、
前記試験制御手段は、受信した前記受験者画像を前記本人画像データベースと照合するように前記顔認証サーバーに対して照合要求を行うと共に、前記試験を制御する、試験サーバーを備える、請求項1に記載の試験システム。
【請求項7】
インターネットを介して試験を実施するための試験用ブラウザーであって、
顔写真が掲載された本人確認書類の正当性を判定する本人確認書類判定部と、
前記顔写真に基づく写真画像を取得する写真画像取得部と、
試験申込者を撮像して試験申込者画像を取得する試験申込者撮像部と、
前記試験申込者画像が、前記写真画像と一致するかを判定する画像判定部と、
前記本人確認書類が正当であり、かつ、前記試験申込者画像が前記写真画像と一致する場合に、前記試験申込者画像を本人画像として登録する登録部と、
少なくとも試験開始前に、受験者を撮像して受験者画像を取得する受験者撮像部と、
前記受験者画像と、前記本人画像とを照合する照合部とを備える、試験用ブラウザー。
【請求項8】
インターネットを介して試験を実施するための試験用端末であって、
顔写真が掲載された本人確認書類の正当性を判定する本人確認書類判定部と、
前記顔写真に基づく写真画像を取得する写真画像取得部と、
試験申込者を撮像して試験申込者画像を取得する試験申込者撮像部と、
前記試験申込者画像が、前記写真画像と一致するかを判定する画像判定部と、
前記本人確認書類が正当であり、かつ、前記試験申込者画像が前記写真画像と一致する場合に、前記試験申込者画像を本人画像として登録する登録部と、
少なくとも試験開始前に、受験者を撮像して受験者画像を取得する受験者撮像部と、
前記受験者画像と、前記本人画像とを照合する照合部とを備える、試験用端末。
【請求項9】
インターネットを介して試験を実施するための試験システムであって、
顔写真が掲載された本人確認書類の正当性を判定する本人確認書類判定手段と、
前記顔写真に基づく写真画像を取得する写真画像取得手段と、
試験申込者を撮像して試験申込者画像を取得する試験申込者撮像手段と、
前記試験申込者画像が、前記写真画像と一致するかを判定する画像判定手段と、
前記本人確認書類が正当であり、かつ、前記試験申込者画像が前記写真画像と一致する場合に、前記試験申込者画像を本人画像として登録する登録手段と、
前記試験申込者に付与される受験番号及びパスワードのうち、前記受験番号を少なくとも含む情報を前記本人画像と紐づけて試験申込者情報として登録する試験申込者情報登録手段と、
コンピューターを用いて作成した問題を試験問題として登録する試験問題作成手段と、
少なくとも試験開始前に、受験者を撮像して受験者画像を取得する受験者撮像手段と、
前記受験者画像と前記本人画像とを照合する照合手段と、
前記照合手段により、試験開始前に撮像された前記受験者画像と前記本人画像との一致が確認できた場合に前記受験番号を前記受験者に提示すると共に前記パスワードの提示を前記受験者に要求するパスワード照合手段と、
前記パスワード照合手段により、前記受験者が提示する前記パスワードと前記試験申込者に付与した前記パスワードとの一致が確認できた場合に、登録済みの前記試験問題を用いた試験を開始する試験制御手段と、
前記試験の答案の採点を可能とする採点手段と、
試験中に前記受験者が特定の動作を行った際に前記受験者撮像手段が撮像を行うことにより取得する証拠画像と、前記本人画像とを照合可能とする証拠画像照合手段と、
採点終了後に前記受験者に試験結果を通知する試験結果通知手段を備える、試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は試験システム、試験用ブラウザー及び試験用端末に関し、特にインターネットを介して試験を実施するための試験システム、試験用ブラウザー及び試験用端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従前、資格試験、能力・学力測定試験といった各種試験は、基本的に、1又は複数の試験会場に受験者を集合させ、ペーパーテスト又は試験端末等による試験を実施するものであった。しかし昨今の新型コロナウイルス等の感染症の蔓延により会場での集合受験が依然として困難な状況が続いており、企業、教育機関、検定や認定試験の実施団体等の各方面より、自宅等遠隔地での受験のニーズが高まっている。
【0003】
受験者に遠隔地で受験させる場合、集合受験の場合とは異なり、試験監督を配置して、受験者を監督するわけにはいかないため、不正防止対策が必要となる。
【0004】
そこで、従来、試験中に受験者をカメラ等で撮像し、予め登録された本人確認画像と比較し、本人確認を行う技術が提案されている(特許文献1、2)。又、予め身体的特徴データを用いて試験の登録を行い、試験時に試験データを送る際、再度、身体的特徴データによる認証を行うことが開示されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-174080号公報
【特許文献2】特開2019-212002号公報
【特許文献3】特開2010-009055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、事前に受験者の本人確認画像を登録しておき、試験時に受験者を撮像した受験者画像と本人確認画像とを照合したとしても、登録時の本人確認画像がそもそも受験者本人のものでないことも考えられる。上述した特許文献1~3にはこういった課題を解決する手段は示されていない。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、受験者の本人確認をより確実に行うことができる試験システム、試験用ブラウザー及び試験用端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、インターネットを介して試験を実施するための試験システムであって、顔写真が掲載された本人確認書類の正当性を判定する本人確認書類判定手段と、顔写真に基づく写真画像を取得する写真画像取得手段と、試験申込者を撮像して試験申込者画像を取得する試験申込者撮像手段と、試験申込者画像が、写真画像と一致するかを判定する画像判定手段と、本人確認書類が正当であり、かつ、試験申込者画像が写真画像と一致する場合に、試験申込者画像を本人画像として登録する登録手段と、少なくとも試験開始前に、受験者を撮像して受験者画像を取得する受験者撮像手段と、受験者画像と本人画像とを照合する照合手段と、照合手段により、試験開始前に撮像された受験者画像と本人画像との一致が確認できた場合に試験を開始する試験制御手段と、試験の答案の採点を可能とする採点手段とを備えるものである。
【0009】
このように構成すると、本人確認書類の正当性を判定したうえで、受験者の本人確認を行うことができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、受験者撮像手段は、試験中に受験者が特定の動作を行った際にも撮像を行い、証拠画像を取得するものである。
【0011】
このように構成すると、受験者が特定の動作を行った際に撮像を行うことができる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、本人画像と証拠画像とを照合可能とする証拠画像照合手段を更に備えるものである。
【0013】
このように構成すると、試験終了後、それまでに撮像された画像を照合することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成において、本人確認書類判定手段は、本人確認書類に搭載されている記憶装置から本人確認書類に関する情報を読み取り、読み取った情報に基づき、正当性を判定するものである。
【0015】
このように構成すると、本人確認書類に搭載されている記憶装置に記憶されている情報に基づき、精度よく本人確認書類の正当性を判定することができる。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成において、本人確認書類判定手段は、本人確認書類に記載されている事項に基づき本人確認書類に関する情報を生成し、生成した情報に基づき、正当性を判定するものである。
【0017】
このように構成すると、本人確認書類に記載されている情報に基づき、本人確認書類の正当性を判定することができる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1に記載の発明の構成において、登録手段は、本人画像の登録要求を受け付け、本人画像を本人画像データベースに登録する、顔認証サーバーを備え、試験制御手段は、受信した受験者画像を本人画像データベースと照合するように顔認証サーバーに対して照合要求を行うと共に、試験を制御する、試験サーバーを備えるものである。
【0019】
このように構成すると、顔認証サーバーと、試験サーバーとが連携する試験システムとなる。
【0020】
請求項7記載の発明は、インターネットを介して試験を実施するための試験用ブラウザーであって、顔写真が掲載された本人確認書類の正当性を判定する本人確認書類判定部と、顔写真に基づく写真画像を取得する写真画像取得部と、試験申込者を撮像して試験申込者画像を取得する試験申込者撮像部と、試験申込者画像が、写真画像と一致するかを判定する画像判定部と、本人確認書類が正当であり、かつ、試験申込者画像が写真画像と一致する場合に、試験申込者画像を本人画像として登録する登録部と、少なくとも試験開始前に、受験者を撮像して受験者画像を取得する受験者撮像部と、受験者画像と、本人画像とを照合する照合部とを備えるものである。
【0021】
このように構成すると、試験用ブラウザー上で、本人確認書類の正当性を判定したうえで、受験者の本人確認を行うことができる。
【0022】
請求項8記載の発明は、インターネットを介して試験を実施するための試験用端末であって、顔写真が掲載された本人確認書類の正当性を判定する本人確認書類判定部と、顔写真に基づく写真画像を取得する写真画像取得部と、試験申込者を撮像して試験申込者画像を取得する試験申込者撮像部と、試験申込者画像が、写真画像と一致するかを判定する画像判定部と、本人確認書類が正当であり、かつ、試験申込者画像が写真画像と一致する場合に、試験申込者画像を本人画像として登録する登録部と、少なくとも試験開始前に、受験者を撮像して受験者画像を取得する受験者撮像部と、受験者画像と、本人画像とを照合する照合部とを備えるものである。
【0023】
このように構成すると、試験用端末上で、本人確認書類の正当性を判定したうえで、受験者の本人確認を行うことができる。
【0024】
請求項9記載の発明は、インターネットを介して試験を実施するための試験システムであって、顔写真が掲載された本人確認書類の正当性を判定する本人確認書類判定手段と、顔写真に基づく写真画像を取得する写真画像取得手段と、試験申込者を撮像して試験申込者画像を取得する試験申込者撮像手段と、試験申込者画像が、写真画像と一致するかを判定する画像判定手段と、本人確認書類が正当であり、かつ、試験申込者画像が写真画像と一致する場合に、試験申込者画像を本人画像として登録する登録手段と、試験申込者に付与される受験番号及びパスワードのうち、受験番号を少なくとも含む情報を本人画像と紐づけて試験申込者情報として登録する試験申込者情報登録手段と、コンピューターを用いて作成した問題を試験問題として登録する試験問題作成手段と、少なくとも試験開始前に、受験者を撮像して受験者画像を取得する受験者撮像手段と、受験者画像と本人画像とを照合する照合手段と、照合手段により、試験開始前に撮像された受験者画像と本人画像との一致が確認できた場合に受験番号を受験者に提示すると共にパスワードの提示を受験者に要求するパスワード照合手段と、パスワード照合手段により、受験者が提示するパスワードと試験申込者に付与したパスワードとの一致が確認できた場合に、登録済みの試験問題を用いた試験を開始する試験制御手段と、試験の答案の採点を可能とする採点手段と、試験中に受験者が特定の動作を行った際に受験者撮像手段が撮像を行うことにより取得する証拠画像と、本人画像とを照合可能とする証拠画像照合手段と、採点終了後に受験者に試験結果を通知する試験結果通知手段を備えるものである。
【0025】
このように構成すると、試験の申込から、試験問題の作成、試験の実施、採点及び試験結果の通知までの各手段が互いに連携したものとなる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、本人確認書類の正当性を判定したうえで、受験者の本人確認を行うことができるので、受験者の本人確認をより確実に行うことができる。
【0027】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、受験者が特定の動作を行った際に撮像を行うことができるので、連続して撮像を行う場合と比べて、撮像によるデータ量を抑えることができる。
【0028】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、試験終了後、それまでに撮像された画像を照合することができるので、試験が本人によって正当に行われたかどうかを判定することができる。
【0029】
請求項4記載の発明は、請求項1に記載の発明の効果に加えて、本人確認書類に搭載されている記憶装置に記憶されている情報に基づき、精度よく本人確認書類の正当性を判定することができるので、ユーザーフレンドリーなシステムとなる。
【0030】
請求項5記載の発明は、請求項1に記載の発明の効果に加えて、本人確認書類に記載されている情報に基づき、本人確認書類の正当性を判定することができるので、使い勝手が向上する。
【0031】
請求項6記載の発明は、請求項1に記載の発明の効果に加えて、顔認証サーバーと、試験サーバーとが連携する試験システムとなるため、サーバー間で顔認証機能と試験機能との役割分担が可能となる。
【0032】
請求項7記載の発明は、試験用ブラウザー上で、本人確認書類の正当性を判定したうえで、受験者の本人確認を行うことができるので、受験者の本人確認をより確実に行うことができる試験用ブラウザーを実現できる。
【0033】
請求項8記載の発明は、試験用端末上で、本人確認書類の正当性を判定したうえで、受験者の本人確認を行うことができるので、受験者の本人確認をより確実に行うことができる試験用端末を実現できる。
【0034】
請求項9記載の発明は、試験の申込から、試験問題の作成、試験の実施、採点及び試験結果の通知までの各手段が互いに連携したものとなるので、使い勝手の良いシステムとなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】この発明の第1の実施の形態による試験システムの概略的構成を示すシステム構成図である。
図2図1で示した試験システムを構成する登録端末及び顔認証サーバーの一例を示す機能ブロック図である。
図3図1で示した試験システムを構成する受験端末及び試験サーバーの一例を示す機能ブロック図である。
図4図1で示した試験システムにおける処理の流れを示すフローチャートであって、(1)は登録処理について示し、(2)は受験処理について示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、この発明の第1の実施の形態による試験システムの概略的構成を示すシステム構成図である。
【0037】
同図を参照して、試験システム1は、インターネットを介して試験を実施するサービスを提供するIBT(Internet Based Testing)システムであり、登録端末11から本人画像の登録要求を受け付け、本人画像を本人画像データベース51に登録する顔認証サーバー21と、受験端末12から送信される受験者画像を本人画像データベース51と照合するように顔認証サーバー21に対して照合要求を行うと共に、試験問題作成装置53にて作成された試験問題が登録される試験データベース52を備え、試験を制御する試験サーバー22と、試験結果の採点を行うための採点装置23と、不正行為判定のための証拠画像照合装置24とを備える。尚、インターネットNを介して、登録端末11と顔認証サーバー21及び試験サーバー22とは相互に通信可能に、受験端末12及び試験サーバー22は相互に通信可能に、それぞれ接続されているものである。
【0038】
尚、各端末、各サーバーでは、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置、当該処理装置上で解釈実行される各種のプログラム、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAM(Random Access Memory)等の内部メモリを備えて構成されるコンピューターが搭載されており、当該コンピューターにより各種の処理を実行する制御手段が実現されている。尚、ここでいうプログラムには、OS(Operating System)などの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムが含まれる。
【0039】
又、各端末、各サーバーには、処理される各種データ又はプログラムを一時的又は永続的に記憶するための記憶部を備えており、この記憶部は、主記憶装置や、ハードディスク(HD)、内蔵SSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置や、メモリーカードや外付けSSD、HD等の外部記憶装置等の記憶装置から構成される。
【0040】
図2は、図1で示した試験システムを構成する登録端末及び顔認証サーバーの一例を示す機能ブロック図であり、図3は、図1で示した試験システムを構成する受験端末及び試験サーバーの一例を示す機能ブロック図である。
【0041】
これらの図を参照して、各端末、各サーバーの詳細について以下説明する。
【0042】
(登録端末)
登録端末11は、本人画像を本人画像データベース51に、又、受験者リストを試験データベース52に登録する際に使用する端末であり、スマートフォンにより構成される。尚、登録端末11は、タブレット端末やその他のモバイル端末、デスクトップPC(Personal Computer)又はノートPCにより構成することも可能である。登録端末11は、撮像部111と、登録端末11にインストールされたアプリケーションソフトにより実現される試験申込者情報取得部110、本人確認書類情報取得部112、本人画像登録要求部113及び試験申込者情報登録要求部114とを備える。
【0043】
撮像部111は、登録端末11に付属の、被写体を撮像するためのカメラにより構成される。登録端末11において、撮像部111は、顔写真が掲載された本人確認書類を撮像したり、試験申込者画像を撮像したりする(試験申込者撮像手段)のに使用される。
【0044】
試験申込者情報取得部110は、まず、試験申込者の氏名及び生年月日を少なくとも含む、受験者リスト登録用の情報の提示を試験申込者に要求し、要求に応じて得た受験者リスト登録用の情報を試験サーバー22の試験制御部222を介して試験データベース52に送信する。尚、試験データベース52では、送信されてきた受験者リスト登録用の情報に基づき、受験者リストが作成される。
【0045】
又、試験申込者情報取得部110は、後述する受験者リストの検索により試験制御部222から取得した受験番号及びパスワードを試験申込者に表示(付与)すると共に、受験番号を試験申込者情報登録要求部114に送信する。
【0046】
本人確認書類情報取得部112は、撮像部111により撮像された顔写真が掲載された本人確認書類の正当性を判定する(本人確認書類判定手段)と共に、顔写真に基づく写真画像を取得する(写真画像取得手段)のに使用される。本人確認書類は、身分を証明する書類のことを指すが、具体的例としては、運転免許証、及び、個人番号カード(マイナンバーカード)が挙げられる。尚、パスポート等、顔写真が掲載された他の本人確認書類を用いてもよい。本人確認書類の正当性の判定とは、判定対象書類が身分証明書として機能するものか否かを判定することである。本人確認書類情報取得部112は、撮像部111で撮像された本人確認書類(判定対象書類)にOCR(Optical Character Reader)処理を施して記載事項を取得し、記載事項に基づく本人確認書類に関する情報を生成し、生成した情報に基づき、本人確認書類の種類に応じて、判定対象書類が所定の様式に従って作成されているかどうかを判定する。判定対象書類が所定の様式に従って作成されている場合、本人確認書類情報取得部112は、判定対象書類が正当な本人確認書類と判定する。尚、この判定は、登録端末11内で完結されるものであっても、ネットワークを介して照会された結果として得られるものであってもよい。又、この判定では、改ざん有無の判断のため判定対象書類の厚みや平坦度が判定されてもよい。
【0047】
本人確認書類情報取得部112は、取得した写真画像を顔認証サーバー21の照合要求受付部212に、又、本人確認書類の正当性の判定情報を以下に説明する本人画像登録要求部113に送信する。更に、本人確認書類の記載事項の氏名及び生年月日を試験制御部222に送信する。尚、試験制御部222は、送信されてきた氏名及び生年月日を試験データベース52の受験者リストから検索し、送信されてきた氏名及び生年月日に対応する受験番号及びパスワードを受験者リストから取得して試験申込者情報取得部110に送信する。
【0048】
本人画像登録要求部113は、撮像部111で撮像された試験申込者画像を顔認証サーバー21の照合要求受付部212に送信し、照合要求受付部212にて行われる試験申込者画像と本人確認書類に掲載された顔写真に基づく写真画像とが一致するかの判定の結果を照合要求受付部212より受信する。そして、判定結果が一致であった場合、かつ、本人確認書類の正当性の判定情報が正当であった場合に、本人確認がとれたものとして、顔認証サーバー21の登録要求受付部211に対して、試験申込者画像を本人画像として登録するよう要求する、登録要求を行う。
【0049】
試験申込者情報登録要求部114は、試験申込者情報取得部110から受信した受験番号を試験申込者情報として、本人画像に紐づけて登録するように登録要求受付部211に要求する。尚、試験申込者情報には、所定の様式に従って本人確認書類に記載されている各種の情報が含まれていてもよい。本人確認書類に記載されている各種の情報は例えば、氏名、生年月日、住所等の情報を含み、上述した本人確認書類情報取得部112が抽出してもよい。
【0050】
(顔認証サーバー)
顔認証サーバー21は、登録要求受付部211、照合要求受付部212及び照会要求受付部213を備える。
【0051】
登録要求受付部211は、登録端末11から送信される本人画像の登録要求に基づき、試験申込者画像を本人画像として、本人画像データベース51に登録する(登録手段)。又、本人画像と紐づいた受験番号を少なくとも含む、試験申込者情報を本人画像データベース51に登録する(試験申込者情報登録手段)。尚、登録要求受付部211は、登録要求に従って、受験番号以外の他の試験申込者情報も、本人画像と紐づけて登録を行ってもよい。
【0052】
照合要求受付部212は、登録端末11から送信される試験申込者画像と写真画像とを照合し、これらが一致するかを判定し(画像判定手段)、判定結果を本人画像登録要求部113に送信する。又、試験サーバー22から送信される照合要求に基づき、本人画像と後述する受験者画像とを照合して顔認証処理を行う(照合手段)。顔認証処理の詳細については後述する。
【0053】
照会要求受付部213は、試験サーバー22から送信される照会要求に基づき、本人画像を試験サーバー22に送信する(照会手段)。照会要求の詳細については後述する。
【0054】
(受験端末)
受験端末12は、受験者が試験を受けるために使用する端末であり、デスクトップPC又はノートPCにより構成される。尚、スマートフォン、タブレット端末やその他のモバイル端末により構成することも可能である。受験端末12は、撮像部121と、Web上にて実現される受験者情報送信部122、パスワード入力部123、答案作成部124及び証拠画像取得部125とを備える。
【0055】
撮像部121は、受験端末12に付属の、被写体を撮像するためのWebカメラにより構成される。受験端末12において、撮像部121は、まず、試験開始前(ログイン時)に受験者を撮像するのに使用される。又、試験中においても、後述する特定の動作を行った受験者を撮像する。更には、試験開始時及び試験終了時や、必要に応じて試験中の任意のタイミングで受験者を撮像してもよい(受験者撮像手段)。
【0056】
受験者情報送信部122は、まず、受験者の顔認証のため、試験開始前に撮像部121によって撮像された受験者画像を試験サーバー22の照合要求部221に送信する。尚、照合要求部221に送信する情報としては受験者画像以外の他の受験者情報が含まれていてもよい。
【0057】
パスワード入力部123は、後述する顔認証処理において受験者が本人認証された場合に、本人画像と紐づいた受験番号を受験者に提示すると共に、パスワードの提示を受験者に要求する。そして受験者が提示したパスワードを、照合要求部221を介して試験制御部222に送信する。
【0058】
答案作成部124は、後述する顔認証処理において受験者が本人認証され、かつ、受験番号及びパスワードの照合結果が正当である場合に、試験問題の提示、答案作成操作の受け付け、答案の送信等に使用される。例えば、答案作成部124は、試験問題を試験サーバー22から取得し、受験端末12のディスプレイ等の表示部(不図示)を通じて受験者に提示する。又、答案作成部124は、タッチパネル等の操作部(不図示)を通じて受験者からの答案作成操作を受け付け、答案を試験サーバー22の試験制御部222に送信する。尚、答案作成部124は、多肢選択問題だけでなく記述問題の答案も作成できるようになっていてもよい。試験問題に記述問題を採用することにより、多肢選択問題のみの場合よりも複雑な回答を受験者に求めることができるため、受験者の理解度の評価の精度がより向上し、又、カンニング等の不正行為を防止しやすい試験システム1となる。答案作成部124は、多肢選択問題の場合、受験者がいずれの選択肢を選んだかを示す情報を答案として作成する。又、答案作成部124は、記述問題の場合、キーボードやペンデバイス、ポインティングデバイス等を用いて入力された文字に基づき答案を作成してもよいし、別紙に手書き等で記述した文字・文章を撮像部121で撮像して読み取り、答案を作成してもよい。尚、答案作成部124での別紙に記述した内容の読み取り及び答案作成にはOCR処理を用いてもよい。OCR処理は縦書きの文書の読み取りにも対応できるため、日本語による答案作成に適した答案作成部124となる。又、答案作成部124は、読み取った文字等の画像を表示部に表示し、受験者が採点可能か見極めた上で答案として提出できるようにするものであってもよい。更には、答案作成部124は、別紙に手書き等で記述して作成した答案を別途郵送する旨の情報を試験制御部222に送信するものであってもよい。
【0059】
証拠画像取得部125は、特定の動作等があった場合に撮像部121で撮像される試験中の撮像画像(証拠画像)を取得するものである。又、証拠画像取得部125は、取得した証拠画像を試験サーバー22の試験制御部222に送信する。
【0060】
(試験サーバー)
試験サーバー22は、照合要求部221、試験制御部222及び照会要求部223を備える。
【0061】
照合要求部221は、受験端末12から受験者画像が送信されてくるのに応じて、当該受験者画像を顔認証サーバー21の照合要求受付部212に転送すると共に、受験者画像及び本人画像と、受験番号との照合要求を送信する(照合手段)。又、照合要求部221は、顔認証サーバー21からの顔認証処理の結果を受け取り、その結果において本人認証された結果、本人画像データベース51の検索によって受験番号が取得できた場合は、パスワード入力部123にて受験番号を提示すると共にパスワードの提示を受験者に要求するよう受験端末12に指示する。更に、受験端末12から送信されてくるパスワード及び受験番号を試験制御部222に転送すると共に、パスワードの照合要求を送信する(パスワード照合手段)。そして、顔認証の結果が正当、かつ、受験番号とパスワードとの照合結果が正当である場合は、試験を進行するよう試験制御部222に指示する(試験制御手段)。
【0062】
試験制御部222は、まず、照合要求部221を介して送信されてきた受験番号及びパスワードと、試験データベース52に登録されている受験者リストにある受験番号及びパスワードとを照合する(パスワード照合手段)。そして、顔認証処理の結果において本人認証されている場合、かつ、受験番号とパスワードとの照合結果が正当である場合に、試験を進行するものである(試験制御手段)。具体的には、試験制御部222は、試験の進行にあたり、事前に試験データベース52から読み出して受験者に応じて割り当てられていた試験問題を、受験端末12の答案作成部124に送信する。又、試験制御部222は、試験問題に応じて受験端末12において答案作成され、受験端末12から送信される答案を受信し、その内容を試験データベース52に保存する。更に、試験制御部222は、証拠画像取得部125から送信される証拠画像を受信し、その内容を試験データベース52に保存すると共に、証拠画像照合装置24からの問い合わせに応じて、試験データベース52に保存された証拠画像を証拠画像照合装置24に転送する(証拠画像照合手段)。
【0063】
照会要求部223は、試験制御部222を介した証拠画像照合装置24からの問い合わせに応じて、顔認証サーバー21の照会要求受付部212に本人画像の照会要求を送信すると共に、照会要求受付部212から送信されてきた本人画像を、試験制御部222を介して証拠画像照合装置24に送信する(証拠画像照合手段)。
【0064】
(試験問題作成装置)
試験問題作成装置53は、試験問題を作成して試験データベース52に登録するためのものである。試験問題作成装置53はCBT(Computer Based Testing)システムを用いて、画面入力等にて試験問題を作成する。
【0065】
(採点装置)
採点装置23は、受験者が作成した記述問題の答案を採点するためのものである(採点手段)。尚、採点装置23は、採点者に事前に付与されている教員コード及びパスワードを入力してログインする事により、使用可能となる。採点装置23は、試験サーバー22の試験制御部222に問い合わせを行い、試験データベース52に保存されている受験者の記述問題の答案を取得し、表示部(不図示)を通じて採点者に提示する。採点者は提示された記述問題の答案に基づき採点を行う。採点装置23が、採点結果を試験制御部222に送信すると、試験データベース52に採点結果が保存される。尚、採点はWeb上にて行われてもよい。又、多肢選択問題の答案の採点は、採点装置23にて行われても、図示しない別の装置等にて自動的に行われるようにしてもよい。
(証拠画像照合装置)
証拠画像照合装置24は、証拠画像及び本人画像を照合して不正行為の有無の判定を行うためのものである(証拠画像照合手段)。尚、証拠画像照合装置24は、試験制御部222に問い合わせを行い、試験データベース52に保存されている証拠画像と本人画像データベース51に保存されている本人画像との照会を要求して証拠画像と本人画像とを取得し、表示部(不図示)を通じて不正行為判定者に提示する。不正行為判定者は証拠画像照合装置24に提示された証拠画像及び本人画像を照合して、不正行為の有無の判定を行う。不正行為有無の判定結果も試験制御部222に送信され、試験データベース52に保存される。このようにして、採点が終了する。
【0066】
尚、試験結果は、採点終了後に、受験端末12を介して入力された受験番号とパスワードとの照合結果が正当である場合に、受験番号に対応した試験結果を受験端末12に表示することにより、受験者に通知される。試験結果の通知は合否のみを示してもよいし、具体的な成績(点数)を示してもよい。又、試験結果通知前の照合に、顔認証が含まれてもよい。
【0067】
以下において、試験システムにおける処理の流れを説明する。
【0068】
図4は、図1で示した試験システムにおける処理の流れを示すフローチャートであって、(1)は登録処理について示し、(2)は受験処理について示す。
(登録処理の流れ)
図1図3及び図4の(1)を参照して、試験システム1では、ユーザーの操作に応じて、登録端末11において、本人画像の登録処理(S1)が開始される。ここで、ユーザーとは、受験者となる試験申込者本人であってもよいし、試験申込者を補助して登録処理を行うオペレーターであってもかまわない。例えば、登録端末11を備えた登録ステーションを設けて、操作に不慣れな試験申込者に代わって、専属のオペレーターが登録処理の事務処理を補助的に行うことで、登録処理に関する試験申込者のハードルを下げることが実現できる。
【0069】
登録処理が開始されると、まず、登録端末11の撮像部111において、本人確認書類の読み取りを行う(S11)。この際、判定対象となる本人確認書類の種別が選択できるようになっていてもよい。次に、本人確認書類情報取得部112において、顔写真が掲載された本人確認書類の正当性が判定される。具体的には、本人確認書類情報取得部112において、判定対象書類となる本人確認書類が所定の様式に従って作成されているかどうかが判定される(S12)。判定対象書類が所定の様式に従って作成されている場合、次に、本人照合工程が行われる(S13)。本人照合工程では、顔認証サーバー21の照合要求受付部212が、まず、本人確認書類に掲載された顔写真に基づく写真画像を本人確認書類情報取得部112から取得すると共に、撮像部111において撮像された試験申込者画像を本人画像登録要求部113から取得する。こうして取得した写真画像と試験申込者画像との一致又は不一致を照合要求受付部212で判定する。この画像の一致又は不一致の判定には公知のパターン認識技術を用いることができる。
【0070】
写真画像と試験申込者画像とが一致している場合、本人画像登録要求部113は、顔認証サーバー21の登録要求受付部211に試験申込者画像を送信すると共に試験申込者画像を本人画像として登録を要求する本人画像登録要求を行う。又、試験申込者情報登録要求部114は、少なくとも受験番号を、試験申込者情報として本人画像に紐づけて登録するように登録要求受付部211に要求する。これらの登録要求に応じて、顔認証サーバー21の登録要求受付部211が本人画像データベース51に本人画像及び受験番号を紐づけ、又、これに付随する各種の情報を登録する(S14)。以上で登録処理が終了する。
【0071】
尚、登録処理と同時に試験の申込の受け付けを行ってもよいし、試験の申込の受け付けを、登録処理とは別に行ってもよい。又、試験の申込において、登録処理とは別の受験番号、パスワードによる認証処理が伴うものであってもよい。
【0072】
又、正常に登録処理が完了したら、登録要求のために収集された情報の一部又は全部が登録端末11から削除されてもよい。削除の対象は例えば、写真画像及び試験申込者画像、本人確認書類に基づきOCR処理を施して取得された記載事項、写真画像及び試験申込者画像の一致/不一致の結果等である。これにより、情報セキュリティが向上する。
(受験処理の流れ)
図1図3及び図4の(2)を参照して、試験システム1では、受験処理(S2)として、まず、受験端末12において、申し込んだ試験のオンライン上の会場に入室する操作が受け付けられる(S21)。これに応じて、受験端末12において、入室時の照合工程が実施される(S22)。まず、受験端末12の撮像部121によって撮像された受験者画像が試験サーバー22の照合要求部221に送信される。これに応じて、試験サーバー22は、受験者画像と共に照合要求を顔認証サーバー21の照合要求受付部212に送信する。顔認証サーバー21では、照合要求受付部212が、試験サーバー22から送信される照合要求に基づき本人画像と受験者画像との照合を行う。顔認証サーバー21の結果において本人認証されている場合、受験端末12はパスワードの提示を更に要求し、照合要求部221を介して試験制御部222に送信されたパスワードの照合を行う。このように照合工程を2段階とすることで、不正行為の抑止効果及び防止効果を高めることができる。試験サーバー22では、顔認証の結果が正当、かつ、パスワードの照合結果が正当である場合に、試験を進行するよう試験制御部222に指示する。これにより、まず受験端末12が入室状態となり、試験開始時間を待機する状態となる。尚、試験開始は、所定の日時に一斉に行われるものであってもよいし、ユーザーの任意のタイミングで開始可能なものであってもよい。又、この試験開始の際にも認証工程を実行してもよい。尚、試験開始の際とは試験入室受付から試験開始までの間を指す。
【0073】
試験が開始されると、試験サーバー22と受験端末12との間の通信を介して、試験問題とそれに対する答案がやり取りされる(S23)。試験実施工程中は、受験端末12では、受験者が特定の動作及び不正の可能性のある動作を行った際に、撮像部121が受験者を撮像し、証拠画像が都度証拠画像取得部125にて取得される。
【0074】
特定の動作とは、例えば、顔の部分が撮像範囲からフレームアウトした場合やフレームアウトした状態が所定時間以上続く場合などである。不正の可能性のある動作とは、カンニング等の不正を行っていると疑われる動作であり、例えば、顔の部分が撮像範囲からフレームアウトしていたり、目線が画面内から外れていたり、別の人物が写り込んだりした場合である。不正の可能性のある動作に応じて取得された証拠画像は、後ほど、不正行為の判定で用いられる。その詳細は後述する。このようにすると、特定の動作及び不正の可能性のある動作の記録を、試験を中断することなく収集することができる。
【0075】
試験時間が経過した場合又は受験者が終了動作を行った場合、試験は正常に終了する。
【0076】
正常に試験が終了すると、不正行為の判定を行う(S24)。不正行為の判定にあたってはまず、受験端末12の証拠画像取得部125が、不正の可能性のある動作に応じて取得された証拠画像を試験サーバー22の試験制御部222に送信する。試験サーバー22の試験制御部222は、この証拠画像を試験データベース52に保存する。尚、証拠画像は試験結果に紐づけられて登録されてもよい。具体的な不正行為の判定方法としては、採点の結果、合格点の受験者に関して、照会要求に応じて証拠画像照合装置24にて取得できる証拠画像及び本人画像を、不正行為判定者が照合・比較して判定する。このようにすると、本人画像及び受験端末12の撮像部121を、受験者の照合のみならず不正行為の判定にも用いることができる。又、不正行為判定者が実際に証拠画像及び本人画像を比較して判定するため、例えばハンディキャップによる身体的特徴により、特定の動作や不正の可能性のある動作を行わざるを得なかった受験者に対して、身体的特徴を考慮した判定を行うことができ、ユーザーフレンドリーなシステムとなる。
【0077】
尚、点数に関わらず証拠画像及び本人画像を不正行為判定者等が確認して不正行為の有無の判定をしてもよい。又、不正行為の検出について学習済みのAI機能を用いて証拠画像及び本人画像を照合及び解析して不正行為を検出してもよい。更に、不正行為の判定に用いる証拠画像は、試験中に撮像した画像のみならず、試験開始前、試験開始時、試験終了時に撮像した画像も用いてよい。以上により、受験処理が終了する。
(小括)
以上説明したように、試験システム1では、登録端末11において、受験者の本人の写真が掲載された本人確認書類の正当性を判定し、本人確認書類に掲載された顔写真に基づく写真画像を取得する本人確認書類情報取得部(本人確認書類判定手段、写真画像取得手段)112と、試験申込者画像を取得し、本人確認書類が正当であり、かつ、顔認証サーバー21(画像判定手段)における顔認証にて試験申込者画像が写真画像と一致した場合、本人の容貌の画像を本人画像として顔認証サーバー(登録手段)21に登録要求する本人画像登録要求部(試験申込者画像取得手段、登録手段)113とを備えている。又、受験端末12が、少なくとも試験開始前に受験者を撮像部(受験者撮像手段)121に撮像させて取得した受験者画像を試験サーバー22に送信する受験者情報送信部(受験者撮像手段、照合手段)122を備えている。更に、顔認証サーバー21において、登録端末11の本人確認書類情報取得部(写真画像取得手段)112を経由して取得した写真画像と撮像部(試験申込者撮像手段)111及び本人画像登録要求部113を経由して取得した試験申込者画像とを、又、試験サーバー22の照合要求部(照合手段)221を経由して取得した受験者画像と登録された本人画像とを照合する、照合要求受付部(照合手段)212とを備え、試験サーバー22において、顔認証サーバー21からの顔認証処理の結果を照合要求部221にて受け取り、受験者画像と本人画像との一致が確認できた場合、かつ、受験番号とパスワードとの照合結果が正当である場合は、照合要求部221の指示を受けて試験を開始する試験制御部(試験制御手段)222を備える。更に、試験の答案を採点可能とする採点装置(採点手段)23を備える。
【0078】
このようにすると、本人確認書類の正当性を判定したうえで、受験者の本人確認を行うことができるので、受験者の本人確認をより確実に行うことができる。
【0079】
更に言えば、試験システム1によれば、幅広く受験者を獲得することができる。例えば、従来の集合受験では、会場が都市部に偏る傾向があったが、試験システム1によれば、地方の受験者にも負担なく受験してもらうことができるようになる。更に、ハンディキャップをもっており移動が困難な受験者にも受験してもらえるようになる。
【0080】
又、試験システム1では、顔認証サーバーと、試験サーバーとが連携する試験システムとなるため、サーバー間で顔認証機能と試験機能との役割分担が可能となる。これにより開発効率が向上する。
【0081】
更に、撮像部121(受験者撮像手段)は、受験者が特定の動作を行った際に受験者を撮像する。
【0082】
このようにすると、受験者が特定の動作を行った際に撮像を行うことができるので、連続して撮像を行う場合と比べて、撮像によるデータ量を抑えることができる。連続して撮像を行う場合とは、例えば動画を撮像する場合などがある。
【0083】
更に、証拠画像照合装置(証拠画像照合手段)24は、本人画像と証拠画像とを照合可能とするものである。
【0084】
このようにすると、試験終了後、それまでに撮像された画像を照合することができるので、試験が本人によって正当に行われたかどうかを判定することができる。
【0085】
更に、本人確認書類判定部112は、本人確認書類に記載されている事項に基づき本人確認書類に関する情報を生成し、生成した情報に基づき、正当性を判定するものである。
【0086】
このようにすると、本人確認書類に記載されている情報に基づき、本人確認書類の正当性を判定することができるので、使い勝手が向上する。
【0087】
更に、試験システム1は、試験申込者に付与される受験番号及びパスワードのうち、試験申込者の受験番号を本人画像と紐づけて試験申込者情報として登録する試験申込者情報登録部114、登録要求受付部211、及び、本人画像データベース51と(試験申込者情報登録手段)、コンピューターを用いて作成した問題を試験問題として登録する試験問題作成装置53と(試験問題作成手段)、試験開始前に撮像された受験者画像と本人画像との一致が確認できた場合に受験番号を受験者に提示すると共にパスワードの提示を受験者に要求するパスワード入力部123、照合要求部221、及び、試験制御部222と(パスワード照合手段)、受験者が提示するパスワードと試験データベース52に登録され、試験申込者に付与されたパスワードとの一致が確認できた場合に、登録済みの試験問題を用いた試験を開始する照合要求部221、及び、試験制御部222と(試験制御手段)、試験の答案の採点を可能とする採点装置23(採点手段)と、試験中に受験者が特定の動作を行った際に撮像部121(受験者撮像手段)が撮像を行うことにより取得する証拠画像と、本人画像とを取得可能とする証拠画像照合装置24(証拠画像照合手段)と、採点終了後に受験者に試験結果を通知する受験端末12(試験結果通知手段)を備えるものである。
【0088】
このようにすると、試験の申込から、試験問題の作成、試験の実施、採点及び試験結果の通知までの各構成(各手段)が互いに連携したものとなるので、使い勝手の良い試験システム1となる。
【0089】
(変形例)
尚、上記の実施の形態では、登録端末と受験端末とを別の端末として説明したがこれに限られない。上述した登録端末及び受験端末の両方の機能を一つの端末上で実現する試験用端末を用いてもよい。このようにすると、試験用端末上で、本人確認書類の正当性を判定したうえで、受験者の本人確認を行うことができるので、受験者の本人確認をより確実に行うことができる試験用端末を実現できる。尚、試験用端末は、登録端末機能及び受験端末機能以外の機能を持たないものであればより望ましい。
【0090】
又、上記の実施の形態では、特定の構成を備える端末を登録端末又は受験端末として説明したが、上述した登録端末及び受験端末の両方の機能を備える試験用ブラウザーをインストールすることにより、登録端末、受験端末、又は、登録端末及び受験端末の両方の機能を付加した任意の端末を、登録端末、受験端末又は登録端末及び受験端末の両方の機能を兼ね備えた端末としてもよい。このようにすると、試験用ブラウザー上で、本人確認書類の正当性を判定したうえで、受験者の本人確認を行うことができるので、受験者の本人確認をより確実に行うことができる試験用ブラウザーを実現できる。尚、受験端末機能に関して、試験用ブラウザーは、申し込んだ試験のオンライン上の会場(試験サイト)にのみ接続し、他のサイトは表示できないものであればより望ましい。又、受験端末の表示部に全画面表示され、他の画面への切替えを不可とするものであればより望ましい。更に、クリップボード及びコピーを使用不可とするものであればより望ましい。
【0091】
又、上記の実施の形態では、顔認証サーバーと試験サーバーとが別々のサーバー装置である旨を説明したがこれに限られない。顔認証サーバーと試験サーバーとを一つのサーバー装置上で実装してもよいし、顔認証サーバー及び試験サーバーそれぞれを単一のサーバー装置ではなく、複数のサーバー装置により構成してもよい。
【0092】
一般的に、多数の受験者が、自宅当様々な場所から同時に一つのサーバー装置にアクセスすると、レスポンスが低下しがちであるが、一群のサーバー装置により試験システムを実装することで、ロードバランサーによるサーバー分散や、マルチスプレッド化(同時に何人もの受験を処理する)が可能となり、レスポンスが向上する。
【0093】
又、サーバー及びネットワーク設備を冗長化し、クライアントの操作をリアルタイムにログに記録する事により、万が一トラブルが発生した場合でも、直近のログの状態を再現し、直ぐに続きから受験できるレジューム機能を備えていてもよい。
【0094】
更に、上記の実施の形態では、本人確認書類判定部において、本人確認書類にOCR処理を施すことで本人確認書類に関する情報を生成していたが、これに限られない。本人確認書類にICチップ等の記憶装置が搭載されており、この記憶装置に本人確認書類に関する情報が記憶されている場合はこれを読みだしてもよい。すなわち、本人確認書類判定部は、NFC(Near field communication)により、本人確認書類に搭載されている記憶装置から本人確認書類に関する情報を読み取り、読み取った情報に基づき、正当性を判定してもよい。これにより、本人確認書類に搭載されている記憶装置に記憶されている情報に基づき、精度よく本人確認書類の正当性を判定することができるので、ユーザーフレンドリーなシステムとなる。
【0095】
更に、上記の実施の形態では、試験システムは受験処理までを行うものであったが、受験処理の終了後、試験結果の通知を行うものであってもよい。試験結果の通知は例えば、試験結果通知会場へのログインに際し受験者の受験番号とパスワードとを要求し、受験番号とパスワードとの照合結果が正当である場合に、該当する受験者の成績をWeb上に表示することで行われる。
【0096】
更に、上記の実施の形態では、試験申込者と受験者との一致を顔認証により確認していたが、顔認証に代えて指紋認証、虹彩認証、静脈認証等の生体認証を用いてもよい。
【0097】
更に、上記の実施の形態では、特定の動作や不正の可能性のある動作が検出された場合は受験者が撮像されるのみであったが、警告メッセージを受験端末の表示部に表示させたり、失敗の回数に応じて試験を強制終了させたりしてもよい。
【0098】
更に、上記の実施の形態では、証拠画像及び本人画像を不正行為判定者が確認して不正行為の有無を判定していたが、所定枚数以上の証拠画像が保存された場合に、不正行為があったとみなして自動的にその受験者を不合格としてもよい。
【0099】
更に、上記の実施の形態では、受験者撮像手段は証拠画像を撮像するものであり、又、証拠画像照合装置を備えるものであったが、受験者撮像手段は証拠画像を撮像しなくてもよく、又、証拠画像照合装置を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…試験システム
11…登録端末
12…受験端末
21…顔認証サーバー
22…試験サーバー
23…採点装置
24…証拠画像照合装置
51…本人画像データベース
52…試験データベース
53…試験問題作成装置
110…試験申込者情報取得部
111…撮像部
112…本人確認書類情報取得部
113…本人画像登録要求部
114…試験申込者情報登録要求部
121…撮像部
122…受験者情報送信部
123…パスワード入力部
125…証拠画像取得部
211…登録要求受付部
212…照合要求受付部
213…照会要求受付部
221…照合要求部
222…試験制御部
223…照会要求部
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1
図2
図3
図4