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特開2023-184027半導体装置及び半導体装置の製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184027
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20231221BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01L25/08 E
H01L21/52 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097918
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100121843
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 賢郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 潤
【テーマコード(参考)】
5F047
【Fターム(参考)】
5F047AA17
5F047BA33
5F047BB03
5F047BB18
5F047CA00
(57)【要約】
【課題】適切に固定することが可能な半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、積層方向に積層された複数の第1半導体チップを含み、前記積層方向における両端の第1側及び第2側にそれぞれ第1面及び第2面を有する第1チップ積層体と、前記第1チップ積層体に対して前記積層方向と交わる方向に位置し、前記積層方向に沿って延在し、前記積層方向における両端の前記第1側及び前記第2側にそれぞれ第3面及び第4面を有するスペーサと、前記第1チップ積層体の前記第2面及び前記スペーサの前記第4面にわたって設けられる第2半導体チップ及び第1樹脂層であって、前記第1樹脂層が前記第2半導体チップと前記スペーサ及び前記第1チップ積層体との間に位置する前記第2半導体チップ及び前記第1樹脂層と、前記スペーサの前記第3面に設けられ、前記第1樹脂層の厚さより大きい厚さを有する第2樹脂層と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層方向に積層された複数の第1半導体チップを含む第1チップ積層体であって、前記積層方向における両端の第1側及び第2側にそれぞれ第1面及び第2面を有する前記第1チップ積層体と、
前記第1チップ積層体に対して前記積層方向と交わる方向に位置し、前記積層方向に沿って延在するスペーサであって、前記積層方向における両端の前記第1側及び前記第2側にそれぞれ第3面及び第4面を有する前記スペーサと、
前記第1チップ積層体の前記第2面及び前記スペーサの前記第4面にわたって設けられる第2半導体チップ及び第1樹脂層であって、前記第1樹脂層が前記第2半導体チップと前記スペーサ及び前記第1チップ積層体との間に位置する前記第2半導体チップ及び前記第1樹脂層と、
前記スペーサの前記第3面に設けられ、前記第1樹脂層の厚さより大きい厚さを有する第2樹脂層と、を備える、
半導体装置。
【請求項2】
前記積層方向における前記第1面と前記第3面との間隔は、前記積層方向における前記第2面と前記第4面との間隔より大きい、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層は、熱硬化樹脂であり、
硬化前において、前記第2樹脂層の弾性率が、前記第1樹脂層の弾性率より小さくなる温度がある、
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1チップ積層体では、前記スペーサと対向する側面において、前記第2半導体チップから離れるほど前記スペーサから離れる階段形状の第1階段部が形成されるように前記複数の第1半導体チップが積層されている、
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1チップ積層体では、前記スペーサから離れた側の側面において、前記第2半導体チップから離れるほど前記スペーサから離れる階段形状の第2階段部が形成されるように前記複数の第1半導体チップが積層されている、
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2面を前記積層方向から見た平面視において、前記第2半導体チップ及び前記第1樹脂層と前記第2階段部とは離隔している、
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体装置は、
前記第2階段部における前記第2側の面から前記第2側に向かって延びるワイヤをさらに備える、
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体装置は、
前記第2半導体チップと、前記第2半導体チップの前記第2側において前記積層方向に積層された複数の第3半導体チップとを含む第2チップ積層体をさらに備える、
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1チップ積層体では、前記スペーサと対向する側面において、前記第2半導体チップから離れるほど前記スペーサから離れる階段形状の第1階段部が形成されるように前記複数の第1半導体チップが積層されており、
前記第2チップ積層体では、前記第1階段部の第1昇降方向と交わる第2昇降方向を有する階段形状の第3階段部が形成されるように前記第2半導体チップ及び前記複数の第3半導体チップが積層されている、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体装置は、
前記第1チップ積層体の前記第1面に設けられる第3樹脂層と、
前記第2樹脂層の前記第1側の面及び前記第3樹脂層の前記第1側の面にわたって設けられる支持基板と、をさらに備える、
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項11】
積層方向に積層された複数の第1半導体チップを含む第1チップ積層体であって、前記積層方向における両端の第1側及び第2側にそれぞれ第1面及び第2面を有する前記第1チップ積層体と、前記第1チップ積層体の前記第1面及び支持基板の主面の間に設けられる第3樹脂層と、を前記主面に形成し、
前記積層方向に沿って延在するスペーサであって、前記積層方向における両端の前記第1側及び前記第2側にそれぞれ第3面及び第4面を有する前記スペーサを、前記第1チップ積層体に対して前記積層方向と交わる方向に離隔した前記主面上の位置に第2樹脂層を介して配設し、
前記第2樹脂層は、前記主面と前記第4面との間の距離が、前記主面と前記第2面との間の距離より大きい状態となる厚さを有し、
前記第1チップ積層体の前記第2面及び前記スペーサの前記第4面にわたり、かつ、第1樹脂層が第2半導体チップと前記スペーサ及び前記第1チップ積層体との間に位置するように前記第1樹脂層及び前記第2半導体チップを配設し、
少なくとも前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の加熱を行って硬化をさせる、
半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1樹脂層及び前記第2半導体チップを配設するときに、前記スペーサの前記第3面を前記主面に接近させる、
請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記スペーサの前記第3面が前記主面に接近するときにおける前記第2樹脂層の弾性率は、前記第1樹脂層の弾性率より小さい、
請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第2樹脂層の弾性率は、前記硬化の前に前記第1樹脂層の弾性率より小さい、
請求項11又は12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第2樹脂層の厚さは、前記第1チップ積層体の公差の上限の大きさ、前記第3樹脂層の公差の上限の大きさ、前記スペーサの公差の下限の大きさ及び前記第2樹脂層の公差の下限の大きさを加えたものより大きい、
請求項11又は12に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の中には、積層された複数のチップを含むものがある。積層されたチップ同士は、チップ間に設けられる樹脂層によって固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-141279号公報
【特許文献2】米国特許出願公開US2021/0280480号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開US2020/0013753号明細書
【特許文献4】特開2014-53538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、積層されたチップとスペーサとにわたって他のチップが樹脂層によって固定される場合、適切に固定されることが望まれる。
【0005】
本開示は、チップが樹脂層を介してチップの積層体とスペーサとにわたって固定される構成において、適切に固定することが可能な半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体装置は、積層方向に積層された複数の第1半導体チップを含む第1チップ積層体であって、前記積層方向における両端の第1側及び第2側にそれぞれ第1面及び第2面を有する前記第1チップ積層体と、前記第1チップ積層体に対して前記積層方向と交わる方向に位置し、前記積層方向に沿って延在するスペーサであって、前記積層方向における両端の前記第1側及び前記第2側にそれぞれ第3面及び第4面を有する前記スペーサと、前記第1チップ積層体の前記第2面及び前記スペーサの前記第4面にわたって設けられる第2半導体チップ及び第1樹脂層であって、前記第1樹脂層が前記第2半導体チップと前記スペーサ及び前記第1チップ積層体との間に位置する前記第2半導体チップ及び前記第1樹脂層と、前記スペーサの前記第3面に設けられ、前記第1樹脂層の厚さより大きい厚さを有する第2樹脂層と、を備える。
【0007】
本開示に係る半導体装置の製造方法は、積層方向に積層された複数の第1半導体チップを含む第1チップ積層体であって、前記積層方向における両端の第1側及び第2側にそれぞれ第1面及び第2面を有する前記第1チップ積層体と、前記第1チップ積層体の前記第1面及び支持基板の主面の間に設けられる第3樹脂層と、を前記主面に形成し、前記積層方向に沿って延在するスペーサであって、前記積層方向における両端の前記第1側及び前記第2側にそれぞれ第3面及び第4面を有する前記スペーサを、前記第1チップ積層体に対して前記積層方向と交わる方向に離隔した前記主面上の位置に第2樹脂層を介して配設し、前記第2樹脂層は、前記主面と前記第4面との間の距離が、前記主面と前記第2面との間の距離より大きい状態となる厚さを有し、前記第1チップ積層体の前記第2面及び前記スペーサの前記第4面にわたり、かつ、第1樹脂層が第2半導体チップと前記スペーサ及び前記第1チップ積層体との間に位置するように前記第1樹脂層及び前記第2半導体チップを配設し、少なくとも前記第1樹脂層及び前記第2樹脂層の加熱を行って硬化をさせる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の半導体装置の断面模式図である。
図2A】本実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図2B】本実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図2C】本実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図2D】本実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図3】ダイアタッチフィルムの弾性率の温度変化の特性図である。
図4A】本実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図4B】本実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図4C】本実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図4D】本実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図4E】本実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図4F】本実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図4G】本実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図4H】本実施形態の半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図5C】比較例に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
図5D】比較例に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0010】
以下、本実施形態に係る半導体装置10の構成について説明する。各図面には、x軸、y軸及びz軸を示すことがある。x軸、y軸及びz軸は、右手系の3次元の直交座標を形成する。以下、x軸の矢印方向をx軸+側、矢印とは逆方向をx軸-側と呼ぶことがあり、その他の軸についても同様である。なお、z軸+側(第2側)及びz軸-側(第1側)を、それぞれ「コントローラ側」及び「支持基板側」と呼ぶこともある。x軸-側を、「スペーサ側」と呼ぶこともある。また、z軸方向を「積層方向」と呼ぶこともある。また、x軸、y軸又はz軸にそれぞれ直交する面を、yz面、zx面又はxy面と呼ぶことがある。
【0011】
図1に、半導体装置10の完成時の状態を示す。図1に示すように、半導体装置10は、支持基板20と、配線基板25と、ダイアタッチフィルム31(第2樹脂層)と、スペーサ32と、ダイアタッチフィルム41a~41hと、半導体チップ42a~42hと、ダイアタッチフィルム51a~51hと、半導体チップ52a~52hと、バーティカルワイヤ61a~61h及び62a~62hと、封止部65、66及び67と、を備える。
【0012】
半導体チップ52aは、本実施形態の「第2半導体チップ」の一例である。半導体チップ52b~52hの各々は、本実施形態の「第3半導体チップ」の一例である。ダイアタッチフィルム51aは、本実施形態の「第1樹脂層」の一例である。ダイアタッチフィルム41aは、本実施形態の「第3樹脂層」の一例である。
【0013】
以下、ダイアタッチフィルム41a~41hの各々を、ダイアタッチフィルム41と称することがある。半導体チップ42a~42hの各々を、半導体チップ42(第1半導体チップ)と称することがある。ダイアタッチフィルム51a~51hの各々を、ダイアタッチフィルム51と称することがある。半導体チップ52a~52hの各々を、半導体チップ52と称することがある。バーティカルワイヤ61a~61hの各々を、バーティカルワイヤ61と称することがある。バーティカルワイヤ62a~62hの各々を、バーティカルワイヤ62と称することがある。
【0014】
チップ積層体40(第1チップ積層体)は、ダイアタッチフィルム41b~41hと、積層方向に積層された8枚の半導体チップ42a~42hと、を含む。チップ積層体50(第2チップ積層体)は、ダイアタッチフィルム51b~51hと、積層方向に積層された8枚の半導体チップ52a~52hと、を含む。
【0015】
半導体チップ42及び52は、例えばデータを記憶することが可能なメモリチップである。具体的には、半導体チップ42及び52は、NANDフラッシュ型のメモリチップである。なお、半導体チップ42及び52の少なくとも一方は、DRAMチップであってもよいし、他の機能を有するチップであってもよい。半導体チップ42及び52の形状は、コントローラ側及び支持基板側がそれぞれxy面と略平行な面となっている板状である。
【0016】
支持基板20は、xy面と略平行な面であってコントローラ側の矩形の面(以下、主面20aと称することがある。)を有する板状の部材である。本実施形態では、支持基板20は、絶縁層のz軸+側及びz軸-側にそれぞれソルダーレジスト層が設けられた基板である。
【0017】
ダイアタッチフィルム41b~41h及び51b~51h並びに31は、熱硬化樹脂であり、加熱されることによって部材同士を固定させる接着剤である。本実施形態では、ダイアタッチフィルム41b~41h及び51b~51h並びに31は、半導体チップ42及び52並びにスペーサ32を支持基板20に固定するために用いられる。
【0018】
支持基板20の主面20aには、ダイアタッチフィルム41aによって半導体チップ42aが固定される。半導体チップ42aの積層方向の厚さは、他の半導体チップ42b~42hと比べて厚い。これにより、支持基板20の主面20aにおける凹凸の影響が半導体チップ42b~42hに及ぶことを緩和することができる。
【0019】
半導体チップ42aのコントローラ側には、半導体チップ42b、42c、42d、42e、42f、42g及び42hが、支持基板側からコントローラ側に向かってこの順に積層する。
【0020】
半導体チップ42b、42c、42d、42e、42f、42g及び42hは、それぞれダイアタッチフィルム41b、41c、41d、41e、41f、41g及び41hによって支持基板側の半導体チップ42に固定される。
【0021】
つまり、チップ積層体40が、ダイアタッチフィルム41aによって支持基板20の主面20aに固定される。チップ積層体40は、積層方向における両端の支持基板側及びコントローラ側にそれぞれ面40a(第1面)及び面40b(第2面)を有する。チップ積層体40は、主面20aを積層方向から見た平面視において、主面20aの中央付近に位置する。
【0022】
チップ積層体40では、スペーサ32と対向する側面及びスペーサ32から離れた側の側面において、それぞれ階段部40c(第1階段部)及び40d(第2階段部)が形成されるように8枚の半導体チップ42が積層されている。
【0023】
階段部40cは、チップ積層体40のx軸-側の側面に形成され、半導体チップ52aから離れるほどスペーサ32から離れる階段形状、言い換えると支持基板側よりもコントローラ側がスペーサ32に近い階段形状を有する。
【0024】
階段部40dは、チップ積層体40のx軸+側の側面に形成され、階段部40cの階段形状と同様の階段形状を有する。階段部40c及び40dの昇降方向40e(第1昇降方向)は、z軸+側及びx軸+側に向かう向きがそれぞれ北及び東の方位となるようにzx面を見たときに、北西及び南東を結ぶ線に沿った方向である。
【0025】
本実施形態では、面40bを積層方向から見た平面視において、半導体チップ42の形状は、x軸に略平行な対向する2辺と、y軸に略平行な対向する2辺と、を有し、かつ、略同じサイズの矩形である。
【0026】
コントローラ側の半導体チップ42は、支持基板側の半導体チップ42に対してx軸-側にずらして当該支持基板側の半導体チップ42に固定される。これにより、チップ積層体40のx軸-側の側面及びx軸+側の側面にそれぞれ8段の階段部40c及び40dが形成される。
【0027】
なお、半導体チップ42aの積層方向の厚さが、他の半導体チップ42b~42hと比べて厚い構成について説明したが、これに限定するものではない。半導体チップ42aの積層方向の厚さが、他の半導体チップ42b~42hの各々の積層方向の厚さと略同じ構成であってもよい。
【0028】
スペーサ32は、チップ積層体40に対して積層方向と交わる方向に位置する。本実施形態では、スペーサ32は、チップ積層体40に対してx軸-側に位置する。
【0029】
スペーサ32は、積層方向に沿って延在する柱状のスペーサである。スペーサ32は、例えば半導体によって形成される。スペーサ32は、積層方向における両端のz軸-側及びz軸+側にそれぞれ面32a(第3面)及び面32b(第4面)を有する。
【0030】
ダイアタッチフィルム31は、スペーサ32の面32aと支持基板20の主面20aとの間に設けられる。本実施形態では、ダイアタッチフィルム31は、主面20a及び面32aと当接し、スペーサ32を支持基板20に固定する。
【0031】
ダイアタッチフィルム51a及び半導体チップ52aは、チップ積層体40の面40b及びスペーサ32の面32bにわたって設けられる。ダイアタッチフィルム51aは、半導体チップ52aとスペーサ32及びチップ積層体40との間に位置する。
【0032】
本実施形態では、半導体チップ52aは、ダイアタッチフィルム51aによってスペーサ32の面32b及びチップ積層体40の面40bにわたって固定される。半導体チップ52aの積層方向の厚さは、他の半導体チップ52b~52hと比べて厚い。
【0033】
半導体チップ52aのコントローラ側には、半導体チップ52b、52c、52d、52e、52f、52g及び52hが、支持基板側からコントローラ側に向かってこの順に積層する。
【0034】
半導体チップ52b、52c、52d、52e、52f、52g及び52hは、それぞれダイアタッチフィルム51b、51c、51d、51e、51f、51g及び51hによって支持基板側の半導体チップ52に固定される。
【0035】
つまり、チップ積層体50が、ダイアタッチフィルム51aによってスペーサ32の面32b及びチップ積層体40の面40bにわたって固定される。チップ積層体50は、主面20aを積層方向から見た平面視において、主面20aの中央付近に位置する。
【0036】
チップ積層体50では、x軸-側の側面及びx軸+側の側面において、それぞれ階段部50c(第3階段部)及び50d(第3階段部)が形成されるように8枚の半導体チップ52が積層されている。
【0037】
階段部50cは、チップ積層体50のx軸-側の側面に形成され、階段部40cの昇降方向40eと交わる昇降方向50e(第2昇降方向)の階段形状を有する。階段部50dは、チップ積層体50のx軸+側の側面に形成され、階段部50cの階段形状と同様の階段形状を有する。
【0038】
階段部50c及び50dの昇降方向50eは、z軸+側及びx軸+側に向かう向きがそれぞれ北及び東の方位となるようにzx面を見たときに、北東及び南西を結ぶ線に沿った方向である。
【0039】
本実施形態では、面40bを積層方向から見た平面視において、半導体チップ52の形状は、x軸に略平行な対向する2辺と、y軸に略平行な対向する2辺と、を有し、かつ、略同じサイズの矩形である。
【0040】
コントローラ側の半導体チップ52は、支持基板側の半導体チップ52に対してx軸+側にずらして当該支持基板側の半導体チップ52に固定される。これにより、チップ積層体50のx軸-側の側面及びx軸+側の側面にそれぞれ8段の階段部50c及び50dが形成される。
【0041】
なお、半導体チップ52aの積層方向の厚さが、他の半導体チップ52b~52hと比べて厚い構成について説明したが、これに限定するものではない。半導体チップ52aの積層方向の厚さが、他の半導体チップ52a~52hの各々の積層方向の厚さと略同じ構成であってもよい。
【0042】
封止部65は、支持基板20、スペーサ32、ダイアタッチフィルム31、41及び51、半導体チップ42及び52並びにバーティカルワイヤ61及び62を封止する。封止部65は、例えばモールド樹脂といった熱可塑性を有する絶縁物で形成される。封止部65は、コントローラ側の面65aと、支持基板側の面65bと、を有する。面65aには、支持基板側に凹んだ凹部65cが形成される。凹部65cは、主面20aを積層方向から見た平面視において、主面20aの中央付近に位置する。
【0043】
面40bを積層方向から見た平面視において、半導体チップ52a及びダイアタッチフィルム51aと階段部40dとは離隔している。本実施形態では、当該平面視において、チップ積層体50と階段部40dとは離隔している。8つのバーティカルワイヤ61は、それぞれ階段部40dにおける8つのコントローラ側の面からコントローラ側に向かって延びる。
【0044】
具体的には、バーティカルワイヤ61a~61hは、それぞれ半導体チップ42a~42hにおけるx軸+側の端部に近いコントローラ側の面から、封止部65を貫通して面65aまで積層方向と略平行に延びる。
【0045】
このように、バーティカルワイヤ61a~61hが直立型で構成されることで、バーティカルワイヤ61a~61h間の配置ピッチを容易に狭ピッチ化できる。
【0046】
8つのバーティカルワイヤ62は、それぞれ階段部50cにおける8つのコントローラ側の面からコントローラ側に向かって延びる。具体的には、バーティカルワイヤ62a~62hは、それぞれ半導体チップ52a~52hにおけるx軸-側の端部に近いコントローラ側の面から、封止部65を貫通して面65aまで積層方向と略平行に延びる。
【0047】
このように、バーティカルワイヤ62a~62hが直立型で構成されることで、バーティカルワイヤ62a~62h間の配置ピッチを容易に狭ピッチ化できる。
【0048】
バーティカルワイヤ61及び62は、金属(例えば、金)を主成分とする導電物で形成される。バーティカルワイヤ61及び62のコントローラ側の端部は、電極70及びバンプ71を介して配線基板25における配線パターン26aに接続される。
【0049】
半導体チップ63は、半導体チップ42及び52と機能が異なり、例えば半導体チップ42a~42h及び52a~52hを制御することが可能なコントローラチップである。
【0050】
半導体チップ63は、半導体チップ42a~42h及び52a~52hに電気的に接続される。半導体チップ63は、半導体チップ42a~42h及び52a~52hへの配線長を揃えるため、主面20aを積層方向から見た平面視において、主面20aの中央付近に設けられることが好ましい。このため、半導体チップ63は、樹脂部68を介して封止部65における凹部65cの底に接続される。樹脂部68は接着性のある樹脂が硬化したものであり、半導体チップ63と凹部65cの底とを接着している。
【0051】
半導体チップ63のz軸+側の面には、複数の電極72が設けられる。複数の電極72は、バンプ73を介して配線基板25における配線パターン26aに接続される。
【0052】
スペーサ53は、バーティカルワイヤ61及び62を、封止部65を削除して露出させるとき、終点検出に用いる。
【0053】
封止部66は、封止部65の凹部65cを満たしつつ、電極70及びバンプ71と、バンプ71に接続された配線パターン26aとを封止する。封止部66は、配線基板25と当接するコントローラ側の面66aと、封止部65の面65aと当接する支持基板側の面66bと、を有する。
【0054】
封止部67は、半導体チップ63と、電極72及びバンプ73と、バンプ73に接続された配線パターン26aとを封止する。
【0055】
配線基板25は、導電層25a、25c及び25eと、絶縁層25b及び25dと、を含む。導電層25a、絶縁層25b、導電層25c、絶縁層25d及び導電層25eは、xy面と略平行に延在する層であり、支持基板側からコントローラ側に向かってこの順に積層されている。
【0056】
導電層25a及び25eは、それぞれ配線パターン26a及び26dを含む。絶縁層25b及び25dは、例えばプレプリグによって形成される。絶縁層25bには、積層方向に沿って貫通する複数のスルーホール電極26bが形成される。スルーホール電極26bは、配線パターン26aに含まれる一部の電極と導電層25cに含まれる一部の電極とを電気的に接続する。
【0057】
絶縁層25dには、積層方向に沿って貫通する複数のスルーホール電極26cが形成される。スルーホール電極26cは、配線パターン26dに含まれる一部の電極と導電層25cに含まれる一部の電極とを電気的に接続する。
【0058】
複数の半田ボール64は、配線基板25のz軸+側の面に設けられ、それぞれ、配線パターン26dに接続される。複数の半田ボール64のx軸方向の配置ピッチは、複数のバーティカルワイヤ61のx軸方向の配置ピッチ、複数のバーティカルワイヤ62のx軸方向の配置ピッチ及び半導体チップ63における複数の電極72のx軸方向の配置ピッチより大きい。y軸についても同様である。
【0059】
これにより、バーティカルワイヤ61間の配置ピッチ、バーティカルワイヤ62間の配置ピッチ及び電極72間の配置ピッチを狭ピッチにしながら、半導体装置10を広ピッチの外部端子(例えば、マザーボード上の端子)へ容易に接続することができる。
【0060】
[半導体装置の製造方法]
以下、本実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例として半導体装置10の製造方法について説明する。
【0061】
図2A図2Dは、半導体装置10の製造プロセスを示す模式図である。まず、チップ積層体40と、チップ積層体40の面40a及び支持基板20の主面20aの間に設けられるダイアタッチフィルム41aと、を主面20aに形成する。
【0062】
本実施形態では、主面20aのコントローラ側に、ダイアタッチフィルム41を介して半導体チップ42を1つずつ配設して固定することで、8つの半導体チップ42が積層される。なお、複数の半導体チップ42が積層されたものを予め作成しておき、積層された複数の半導体チップ42を主面20aに配設して固定してもよい。
【0063】
詳細には、図2Aに示すように、支持基板20の主面20aのコントローラ側に、半導体チップ42aがダイアタッチフィルム41aを介して主面20aに配設される。
【0064】
次に、図2Bに示すように、半導体チップ42aのコントローラ側の面に、半導体チップ42bがダイアタッチフィルム41bを介して当該面に配設される。
【0065】
次に、半導体チップ42c~42hについても同様に、コントローラ側の半導体チップ42がダイアタッチフィルム41を介して支持基板側の半導体チップ42に固定される。これにより、チップ積層体40とダイアタッチフィルム41aとが主面20aに形成される。
【0066】
次に、図2Cに示すように、チップ積層体40に対してx軸-側に離隔した主面20a上の位置に、スペーサ32がダイアタッチフィルム31を介して配設される。
【0067】
このとき、ダイアタッチフィルム31は、主面20aと面32bとの間の距離DS0が、主面20aと面40bとの間の距離DC0より大きい状態となるような、積層方向の初期厚さHd0を有する。
【0068】
詳細には、初期厚さHd0は、チップ積層体40の公差の上限の大きさ、ダイアタッチフィルム41aの公差の上限の大きさ、スペーサ32の公差の下限の大きさ及びダイアタッチフィルム31の公差の下限の大きさを加えたものより大きい。
【0069】
具体的には、例えば、ダイアタッチフィルム41及び31の積層方向の厚さの公差が±Tdであり、かつ、半導体チップ42及びスペーサ32の積層方向の厚さの公差が±Tcである場合、チップ積層体40の公差の上限の大きさは、7×Td+8×Tcとなる。ダイアタッチフィルム41aの公差の上限の大きさは、Tdとなる。スペーサ32の公差の下限の大きさは、Tcとなる。ダイアタッチフィルム31の公差の下限の大きさは、Tdとなる。
【0070】
したがって、初期厚さHd0は、7×Td+8×Tc+Td+Tc+Td=9×(Td+Tc)より大きい。つまり、ダイアタッチフィルム41、半導体チップ42、ダイアタッチフィルム31及びスペーサ32の各々の積層方向の厚さが公差内に収まる場合(以下、公差充足ケースと称することがある。)、チップ積層体40の面40bに対してスペーサ32の面32bがコントローラ側に突出する突出量P0は、ゼロより大きい。
【0071】
本実施形態では、初期厚さHd0は、9×(Td+Tc)+αである。ここで、αは、ダイアタッチフィルム51aの積層方向の初期厚さHd1と、ダイアタッチフィルム51aの積層方向の厚さの公差の上限の大きさとを加えた値より大きい。
【0072】
また、ダイアタッチフィルム41及び半導体チップ42の積層方向の厚さが公差の下限であり、かつ、ダイアタッチフィルム31及びスペーサ32の積層方向の厚さが公差の上限であるとき、突出量P0は、公差充足ケースにおいて最大となる(以下、最大突出状態と称することがある。)。
【0073】
つまり、公差充足ケースにおいて、チップ積層体40の面40bが主面20aに最も近く、かつ、スペーサ32の面32bが主面20aから最も離れているとき、最大突出状態となる。
【0074】
一方、ダイアタッチフィルム41及び半導体チップ42の積層方向の厚さが公差の上限であり、かつ、ダイアタッチフィルム31及びスペーサ32の積層方向の厚さが公差の下限であるとき、突出量P0は、公差充足ケースにおいて最小となる(以下、最小突出状態と称することがある。)。
【0075】
つまり、公差充足ケースにおいて、チップ積層体40の面40bが主面20aから最も離れており、かつ、スペーサ32の面32bが主面20aに最も近いとき、最小突出状態となる。
【0076】
次に、少なくともダイアタッチフィルム31が、所定の温度になるまで加熱される。
【0077】
図3は、ダイアタッチフィルム31及びダイアタッチフィルム51aの弾性率の温度変化の一例を示す図である。なお、図3において、横軸は温度を示し、縦軸は弾性率を示す。
【0078】
図3に示すように、曲線C31及び曲線C51aは、それぞれ加熱キュアによる硬化前におけるダイアタッチフィルム31及び51aの弾性率の温度変化を示す。ダイアタッチフィルム31及び51aは、ダイアタッチフィルム31の弾性率が、ダイアタッチフィルム51aの弾性率より小さくなる温度がある。
【0079】
ダイアタッチフィルム31の弾性率は、ある温度以上でダイアタッチフィルム51aの弾性率より小さい。また、スペーサ32の面32aが主面20aに接近するときにおけるダイアタッチフィルム31の弾性率は、ダイアタッチフィルム51aの弾性率より小さい。
【0080】
本実施形態では、ダイアタッチフィルム31の弾性率は、温度Tcより高い温度においてダイアタッチフィルム51aの弾性率より小さい。温度Tcは例えば50℃である。
【0081】
少なくともダイアタッチフィルム31は、温度Tcより高い温度Tpまで加熱される。あるいは温度Tcから温度Tpまでの間の温度まで加熱される。温度Tpは例えば100℃である。温度Tpにおいて、ダイアタッチフィルム31の弾性率は、1MPa以下である。一方、温度Tpにおいて、ダイアタッチフィルム51aの弾性率は、1MPaより大きい。
【0082】
次に、図2Dに示すように、チップ積層体40の面40b及びスペーサ32の面32bにわたり、かつ、ダイアタッチフィルム51aが半導体チップ52aとスペーサ32及びチップ積層体40との間に位置するようにダイアタッチフィルム51a及び半導体チップ52aが配設される。ダイアタッチフィルム51a及び半導体チップ52aを配設するときに、スペーサ32の面32aを支持基板20の主面20aに接近させる。
【0083】
本実施形態では、ダイアタッチフィルム31が温度Tpのとき、半導体チップ52aが支持基板側に押さえつけられる。半導体チップ52aによって支持基板側に押さえつけられたダイアタッチフィルム51aは変形する。スペーサ32及びダイアタッチフィルム51aを介して半導体チップ52aによって支持基板側に押さえつけられたダイアタッチフィルム31は変形する。このとき、面32aが主面20aに接近する。
【0084】
ダイアタッチフィルム31がダイアタッチフィルム51aより柔らかい状態なので、ダイアタッチフィルム31の変形量は、ダイアタッチフィルム51aの変形量より大きい。ダイアタッチフィルム31の積層方向の厚さFt1は、初期厚さHd0より小さくなる。そして、ダイアタッチフィルム31は、周囲にはみ出すように変形する。積層方向における面40aと面32aとの間隔Fs1は、積層方向における面40bと面32bとの間隔Fs2より大きい。
【0085】
半導体チップ52aが支持基板側に押さえつけられたときのダイアタッチフィルム51aの変形量が小さいので、間隔Fs2は小さい。
【0086】
一方、半導体チップ52aが支持基板側に押さえつけられたとき、スペーサ32の支持基板側への移動量は、突出量P0(図2C参照)に近い。ダイアタッチフィルム31の積層方向の厚さFt1は、スペーサ32が移動した距離だけ薄くなる。したがって、ダイアタッチフィルム31の積層方向の厚さFt1は、初期厚さHd0から突出量P0を差し引いた厚さに近い。
【0087】
例えば、最大突出状態において半導体チップ52aが支持基板側に押さえつけられたとき、厚さFt1は、公差充足ケースにおいて最も薄くなる。
【0088】
一方、最小突出状態において半導体チップ52aが支持基板側に押さえつけられたとき、厚さFt1は、公差充足ケースにおいて最も厚くなる。
【0089】
つまり、厚さFt1には、ダイアタッチフィルム41及び31、半導体チップ42並びにスペーサ32の各々の積層方向の厚さのばらつきが反映される。
【0090】
上述したように、初期厚さHd0が9×(Td+Tc)+αであるので、厚さFt1が公差充足ケースにおいて最も薄くなっても、厚さFt1は、ダイアタッチフィルム51aの積層方向の厚さFt2より大きい。
【0091】
図4A図4Hは、半導体装置10の製造プロセスを示す模式図である。次に、図4Aに示すように、半導体チップ52aのコントローラ側の面に、半導体チップ52bがダイアタッチフィルム51bを介して当該面に配設される。
【0092】
次に、半導体チップ52c~52hについても同様に、コントローラ側の半導体チップ52がダイアタッチフィルム51を介して支持基板側の半導体チップ52に固定される。
【0093】
次に、図4Bに示すように、バーティカルワイヤ61a~61hが、それぞれ半導体チップ42a~42hにおけるx軸+側の端部に近いコントローラ側の面から、コントローラ側へ積層方向と略平行に延びるように形成される。
【0094】
また、バーティカルワイヤ62a~62hが、それぞれ半導体チップ52a~52hにおけるx軸-側の端部に近いコントローラ側の面から、コントローラ側へ積層方向と略平行に延びるように形成される。
【0095】
次に、図4Cに示すように、支持基板20、スペーサ32、ダイアタッチフィルム31、41及び51、半導体チップ42及び52並びにバーティカルワイヤ61及び62が完全に覆われるように封止部65が形成される。
【0096】
次に、図4Dに示すように、封止部65のコントローラ側の面65aに凹部65cが形成される。
【0097】
次に、図4Eに示すように、封止部65のコントローラ側の面65aが研磨される。これにより、バーティカルワイヤ61a~61h及び62a~62hのコントローラ側の端部が露出する。スペーサ53は封止部65とは研磨に対する特性が大きく異なる。研磨量をモニタしているときスペーサ53が露出すると、モニタしている物理量(研磨モータの駆動電流等)が変化する。終点検出に用いることができる。そのため、スペーサ53を研磨の終点検出に用いることができる。なお、封止部65を研磨してから凹部65cを形成してもよい。
【0098】
次に、図4Fに示すように、封止部65のコントローラ側の面65aにおいて、x軸+側に位置する7つの電極70と、x軸-側に位置する7つの電極70と、が形成される。x軸+側の7つの電極70は、それぞれバーティカルワイヤ61a~61hのコントローラ側の端部に電気的に接続される。x軸-側の7つの電極70は、それぞれバーティカルワイヤ62a~62hのコントローラ側の端部に電気的に接続される。電極70は例えばNi/Pd/Auで形成される。Auが最も外側にある。電極70は例えばメッキで形成される。あるいは、面65aの上にさらに再配線層を形成し、電極70を形成してもよい。
【0099】
次に、図4Gに示すように、配線基板25が用意される。配線基板25には、半導体チップ63がフェイスダウン実装されている。半導体チップ63は封止部67により封止されている。半導体チップ63の裏面(z軸-側の面)には液状の樹脂部68が塗布されている。
【0100】
次に、図4Hに示すように、配線基板25をチップ積層体40及び50に近づけ、x軸-側の7つの電極70とx軸-側の7つのバンプ71とが電気的に接続され、かつ、x軸+側の7つの電極70とx軸+側の7つのバンプ71とが電気的に接続される。この後、、さらに加熱して液状の樹脂部68を硬化させてもよい。
【0101】
次に、封止部66が配線基板25とチップ積層体40及び50との隙間に充填されることによって、半導体装置10が完成する(図1参照)。
【0102】
なお、図4Gに示す状態のとき、半導体チップ63を封止部67で封止しなくともよい。このとき、封止部66が封止部67の機能を兼ねる。
【0103】
また、樹脂部68を半導体チップ63に塗布しなくともよい。このとき、封止部66が樹脂部68の機能を兼ねる。
【0104】
また、封止部67及び樹脂部68を用いなくともよい。このとき、封止部66が封止部67及び樹脂部68の各機能を兼ねる。
【0105】
[参考例に係る半導体装置の製造方法]
以下、参考例に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0106】
図5C及び図5Dは、参考例に係る半導体装置の製造プロセスを示す模式図である。参考例に係る半導体装置の製造プロセスでは、ダイアタッチフィルム31及び51aの代わりに、ダイアタッチフィルム91及び92がそれぞれ用いられる。
【0107】
ダイアタッチフィルム92は、最低溶融粘度が低い。ダイアタッチフィルム92の積層方向の初期厚さ初期厚さHdr1は、ダイアタッチフィルム91の積層方向の初期厚さHdr0より大きい。まず、図2A及び図2Bに示す半導体装置10の製造プロセスが行われる。
【0108】
次に、図5Cに示すように、チップ積層体40に対してx軸-側に離隔した主面20a上の位置に、スペーサ32がダイアタッチフィルム91を介して配設される。
【0109】
ダイアタッチフィルム41及び91の積層方向の厚さのばらつき及び半導体チップ42及びスペーサ32の積層方向の厚さのばらつきによっては、主面20aと面32bとの間の距離DSr0は、主面20aと面40bとの間の距離DCr0以上の場合もあり得るし、距離DCr0より小さい場合もあり得る。
【0110】
参考例に係る半導体装置の製造方法では、ダイアタッチフィルム92がダイアタッチフィルム91より大きく変形することによって、面32b及び面40bの不揃いが吸収される。
【0111】
次に、少なくともダイアタッチフィルム92が、所定の温度になるまで加熱される。ダイアタッチフィルム92の弾性率は、所定の温度においてダイアタッチフィルム91の弾性率より小さい。
【0112】
次に、図5Dに示すように、チップ積層体40の面40b及びスペーサ32の面32bにわたり、かつ、ダイアタッチフィルム92が半導体チップ52aとスペーサ32及びチップ積層体40との間に位置するようにダイアタッチフィルム92及び半導体チップ52aが配設される。
【0113】
ダイアタッチフィルム92が所定の温度のとき、半導体チップ52aが支持基板側に押さえつけられる。半導体チップ52aによって支持基板側に押さえつけられたダイアタッチフィルム92は変形する。スペーサ32及びダイアタッチフィルム92を介して半導体チップ52aによって支持基板側に押さえつけられたダイアタッチフィルム92は変形する。このとき、面32bが半導体チップ52aの支持基板側の面に接近する。
【0114】
ダイアタッチフィルム92がダイアタッチフィルム91より柔らかい状態なので、ダイアタッチフィルム92の変形量は、ダイアタッチフィルム91の変形量より大きい。
【0115】
次に、少なくともダイアタッチフィルム91及び92を加熱キュアすることによってダイアタッチフィルム91及び92が硬化し、半導体チップ52aがスペーサ32及びチップ積層体40に固定される。
【0116】
ダイアタッチフィルム91及び92を加熱キュアで硬化させるときに、チップ積層体40が反る。このようなチップ積層体40の反りによって、厚く柔らかいダイアタッチフィルム92では、ヒケが発生して空洞92aが形成されることがある。
【0117】
封止部65で封止をするとき、空洞92aはモールド樹脂で埋められにくいので、ボイドが発生しやすい。リフロー処理を行うとき、ボイドにおいて水蒸気爆発が発生するため、好ましくない。
【0118】
また、半導体チップ52aが支持基板側に押さえつけられるとき、x軸-側及びx軸+側の端部からダイアタッチフィルム92がはみ出る。ダイアタッチフィルム92の厚さが大きいためにはみ出る量が多い上、ダイアタッチフィルム92の弾性率が小さいため、はみ出たダイアタッチフィルム92が半導体チップ52aのコントローラ側の面に這い上がって這い上がり部92b及び92cが形成されることがある。コントローラ側の面に設けられたバッドが這い上がり部92b及び92cによって汚染されると、配線の接続が困難となる可能性が高くなるので、好ましくない。また、這い上がり部92b及び92cが存在するため、ダイアタッチフィルム51aにおけるコントローラ側の面の平坦性が損なわれ、半導体チップ52bが傾いた状態で配設されて固定されることがある。
【0119】
これに対して、図2Dに示すように、本願では、スペーサ32の支持基板側のダイアタッチフィルム31が大きく変形することによって、面32b及び面40bの不揃いが吸収される。このような構成により、ダイアタッチフィルム51aの積層方向の厚さを薄くすることができるので、ダイアタッチフィルム51aにおけるヒケの発生を抑制することができる。また、ダイアタッチフィルム51aは、段差を埋める必要がないので、弾性率が高い、いわゆる硬い材料を使用することができるため、ヒケを防止できる。
【0120】
ダイアタッチフィルム31は、スペーサ32によって押しつぶされることによって薄くなり、かつ、周囲にはみ出すことによって、硬化のための加熱キュアのときにヒケが発生することを抑制することができる。これにより、ボイドの発生を抑制することができるので、良好なパッケージを実現することができる。
【0121】
また、ダイアタッチフィルム51aの変形量を小さくすることができるので、ダイアタッチフィルム51aの半導体チップ52aのコントローラ側の面への這い上がりを抑制することができる。これにより、当該面に設けられたバッドが汚染する可能性を低減することができる。また、半導体チップ52aにおけるコントローラ側の面の平坦性を良好に保つことができるので、半導体チップ52bが傾いた状態で固定されることを抑制することができる。
【0122】
また、ダイアタッチフィルム51aのサイズより小さいサイズのダイアタッチフィルム31を厚くする構成により、ダイアタッチフィルムの材料の使用量を抑制することができるので、半導体装置10の製造コストを低減することができる。
【0123】
(a)本実施形態では、半導体装置10が支持基板20を備える構成について説明したが、これに限定するものではない。半導体装置10が完成した後、支持基板20の一部又は全部が除去された構成であってもよい。
【0124】
(b)本実施形態では、チップ積層体40に階段部40c及び40dが形成される構成について説明したが、これに限定するものではない。チップ積層体40の端部は、階段部40c及び40dが形成されずに、各半導体チップ42の端面が揃うように形成される構成であってもよい。チップ積層体50の端部も同様に、階段部50c及び50dが形成されずに、各半導体チップ52の端面が揃うように形成される構成であってもよい。
【0125】
(c)本実施形態では、チップ積層体40には、8枚の半導体チップ42が積層される構成について説明したが、これに限定するものではない。チップ積層体40には、2枚以上7枚以下又は9枚以上の半導体チップ42が積層される構成であってもよい。チップ積層体50においても同様に、2枚以上7枚以下又は9枚以上の半導体チップ52が積層される構成であってもよい。
【0126】
(d)本実施形態では、チップ積層体40における半導体チップ42にバーティカルワイヤ61が接続される構成について説明したが、これに限定するものではない。ワイヤーボンディングなど他の接続方法によって半導体チップ42にワイヤが接続される構成であってもよい。チップ積層体50における半導体チップ52も同様に、バーティカルワイヤ62ではなく、ワイヤーボンディングなど他の接続方法によって半導体チップ52にワイヤが接続される構成であってもよい。
【0127】
(e)
本開示に係る半導体装置は、
積層方向に積層された複数の第1半導体チップを含む第1チップ積層体であって、前記積層方向における両端の第1側及び第2側にそれぞれ第1面及び第2面を有する前記第1チップ積層体と、
前記第1チップ積層体に対して前記積層方向と交わる方向に位置し、前記積層方向に沿って延在するスペーサであって、前記積層方向における両端の前記第1側及び前記第2側にそれぞれ第3面及び第4面を有する前記スペーサと、
前記第1チップ積層体の前記第2面及び前記スペーサの前記第4面にわたって設けられる第2半導体チップ及び第1樹脂層であって、前記第1樹脂層が前記第2半導体チップと前記スペーサ及び前記第1チップ積層体との間に位置する前記第2半導体チップ及び前記第1樹脂層と、を備え、
前記積層方向における前記第1面と前記第3面との間隔は、前記積層方向における前記第2面と前記第4面との間隔より大きい、
半導体装置。
【0128】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0129】
10…半導体装置
20…支持基板
20a…主面
25…配線基板
31…ダイアタッチフィルム
32…スペーサ
32a、32b…面
40…チップ積層体
40a、40b…面
40c、40d…階段部
40e…昇降方向
41a、41b、41c、41d、41e、41f、41g、41h…ダイアタッチフィルム
42a、42b、42c、42d、42e、42f、42g、42h…半導体チップ
50…チップ積層体
50c、50d…階段部
50e…昇降方向
51a、51b、51c、51d、51e、51f、51g、51h…ダイアタッチフィルム
52a、52b、52c、52d、52e、52f、52g、52h…半導体チップ
61a、61b、61c、61d、61e、61f、61g、61h…バーティカルワイヤ
62a、62b、62c、62d、62e、62f、62g、62h…バーティカルワイヤ
63…半導体チップ
65、66、67…封止部
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図5C
図5D