(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184042
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】取引処理システム、取引処理装置及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G07G 1/12 20060101AFI20231221BHJP
G06Q 20/02 20120101ALI20231221BHJP
【FI】
G07G1/12 331H
G07G1/12 341A
G06Q20/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097939
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】林 祐司
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 貴司
【テーマコード(参考)】
3E142
5L055
【Fターム(参考)】
3E142EA04
3E142JA01
3E142KA05
5L055AA03
(57)【要約】
【課題】過去の取引の訂正に関わる操作者の負担を軽減する。
【解決手段】実施形態の取引処理システムは、記憶手段、選択手段、取消手段、生成手段、更新手段、履歴管理手段を備える。記憶手段は、過去取引の対象となるアイテムのリストを取引毎に表した複数の取引データを記憶する。選択手段は、記憶手段に記憶された複数の取引データの1つを選択する。取消手段は、選択手段により選択された取引データが表すリストの全アイテムに関する過去取引を取り消す。生成手段は、選択手段により選択された取引データが表すリストの全アイテムを取引の対象とするリストを表した登録データを生成する。更新手段は、生成手段により生成された登録データを、操作者による指示に応じて更新する。履歴管理手段は、更新手段により更新された登録データが表すリストを過去取引とは異なる新取引のリストとして表した取引データを記憶手段に記憶させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に行われた取引の対象となるアイテムのリストを取引毎に表した複数の取引データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された複数の取引データのうちの1つを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された取引データが表すリストで取引の対象とされている全てのアイテムに関する過去の取引を取り消す取消手段と、
前記選択手段により選択された取引データが表すリストで取引の対象とされている全てのアイテムを取引の対象とするリストを表した登録データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された登録データを、操作者による指示に応じて更新する更新手段と、
前記更新手段により更新された登録データが表すリストを過去に行われた取引とは異なる新たな取引の対象となるリストとして表した新たな取引データを前記記憶手段に記憶させる履歴管理手段と、
を具備する取引処理システム。
【請求項2】
前記生成手段は、取引の対象とされているアイテムのそれぞれの単価を表すデータとして登録データを生成し、
前記更新手段は、登録データで取引の対象とされているアイテムと同じアイテムを取引の対象として追加する場合に、当該追加するアイテムに定められた単価が、同じアイテムに関して登録データに既に表されている単価と異なるならば、登録済みのアイテムの単価は変更することなしに、追加するアイテムには、当該アイテムに追加時に定められていた単価を表すように登録データを更新する、
請求項1に記載の取引処理システム。
【請求項3】
前記取消手段により取り消された過去の取引での決済額の全額を返金するための返金処理を行う返金手段と、
前記更新手段により更新された登録データが表す取引内容に関する決済額を決済するための決済処理を行う決済手段と、
をさらに具備する請求項1に記載の取引処理システム。
【請求項4】
取引処理装置及び取引管理装置を含み、
前記取引処理装置は、前記選択手段、前記取消手段、前記生成手段及び前記更新手段を備え、
前記取引管理装置は、前記記憶手段及び前記履歴管理手段を備える、
請求項1に記載の取引処理システム。
【請求項5】
過去に行われた取引の対象となるアイテムのリストを取引毎に表した複数の取引データを記憶する記憶手段と、登録データが表すリストを過去に行われた取引とは異なる新たな取引の対象となるリストとして表した新たな取引データを前記記憶手段に記憶させる履歴管理手段と、を具備する取引管理装置とともに取引処理システムを構成する取引処理装置であって、
前記記憶手段に記憶された複数の取引データのうちの1つを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された取引データが表すリストで取引の対象とされている全てのアイテムに関する過去の取引を取り消す取消手段と、
前記選択手段により選択された取引データが表すリストで取引の対象とされている全てのアイテムを取引の対象とするリストを表した登録データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された登録データを、操作者による指示に応じて更新する更新手段と、
前記更新手段により更新された登録データに関する取引データを記憶させるよう前記履歴管理手段に要求する要求手段と、
を具備する取引処理装置。
【請求項6】
過去に行われた取引の対象となるアイテムのリストを取引毎に表した複数の取引データを記憶する記憶手段と、登録データが表すリストを過去に行われた取引とは異なる新たな取引の対象となるリストとして表した新たな取引データを前記記憶手段に記憶させる履歴管理手段と、を具備する取引管理装置とともに取引処理システムを構成する取引処理装置に備えられるコンピュータを、
前記記憶手段に記憶された複数の取引データのうちの1つを選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された取引データが表すリストで取引の対象とされている全てのアイテムに関する過去の取引を取り消す取消手段と、
前記選択手段により選択された取引データが表すリストで取引の対象とされている全てのアイテムを取引の対象とするリストを表した登録データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された登録データを、操作者による指示に応じて更新する更新手段と、
前記更新手段により更新された登録データに関する取引データを記憶させるよう前記履歴管理手段に要求する要求手段と、
して機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、取引処理システム、取引処理装置及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
POS(point-of-sale)システムのような取引処理システムでは、過去に行われた取引の内容を表す取引データを集積したジャーナルファイルを保存しておき、事後に取引の訂正を可能としている。
たとえば、取引に関する決済の完了後に、客が取引の対象となった複数の商品のうちの一部の商品の返品を申し出る場合がある。この場合に取引処理システムは、該当の取引に関する取引データをジャーナルファイルから読み出して、当該取引データに取引対象として表されている商品から、返品される商品を除外するべく当該の取引データを更新している。
【0003】
しかしながら従来の取引処理システムでは、新たな商品の登録については、新たな取引として登録するものとされていた。
このため、オペレータは、例えば上記の返品が、別の商品との交換を目的として行われる場合は、上記のように過去の取引に関する取引データを更新するべく操作した上で、新たな取引に関する登録のための操作を別途に行わなければならなかった。
このような事情から、過去の取引の訂正に関わる操作者の負担を軽減できることが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、過去の取引の訂正に関わる操作者の負担を軽減できる取引処理システム、取引処理装置及び情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の取引処理システムは、記憶手段、選択手段、取消手段、生成手段、更新手段及び履歴管理手段を備える。記憶手段は、過去に行われた取引の対象となるアイテムのリストを取引毎に表した複数の取引データを記憶する。選択手段は、記憶手段に記憶された複数の取引データのうちの1つを選択する。取消手段は、選択手段により選択された取引データが表すリストで取引の対象とされている全てのアイテムに関する過去の取引を取り消す。生成手段は、選択手段により選択された取引データが表すリストで取引の対象とされている全てのアイテムを取引の対象とするリストを表した登録データを生成する。更新手段は、生成手段により生成された登録データを、操作者による指示に応じて更新する。履歴管理手段は、更新手段により更新された登録データが表すリストを過去に行われた取引とは異なる新たな取引の対象となるリストとして表した新たな取引データを記憶手段に記憶させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る取引処理システムの概略構成と、POS端末装置及びPOSサーバの要部回路構成とを表すブロック図。
【
図4】登録データに含まれるデータレコードの1つの構造を模式的に表す図。
【
図6】登録データの更新のための処理手順を表すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態の一例について図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では、POS端末装置及びPOSサーバにより構成される取引処理システムを例に説明する。
図1は本実施形態に係る取引処理システム1の概略構成と、POS端末装置100及びPOSサーバ200の要部回路構成とを表すブロック図である。
取引処理システム1は、POS端末装置100とPOSサーバ200とを通信ネットワーク2を介して通信可能として構成されている。
【0009】
POS端末装置100は、店舗における客に対する商品の販売のための処理を行う。つまりPOS端末装置100は、アイテムの一例としての商品に関して、取引の一例としての商取引のための処理を行う取引処理装置の一例である。
POS端末装置100は、いわゆる対面式であり、主に店員がその操作者となる。POS端末装置100は、店員用のワークスペースに面する状態で店内等に設置される。客は、通常は、ワークスペースとは別に定められた待機スペースで待機する。そこで以下においては、POS端末装置100を基準に、ワークスペース側及び待機スペース側を、店員側及び客側とそれぞれ称することとする。
【0010】
POS端末装置100は、プロセッサ101、メイン記憶ユニット102、補助記憶ユニット103、店員側タッチパネル104、キーボード105、固定スキャナ106、ハンディスキャナ107、クレジットカードリーダ108、近接通信ユニット109、カードリーダ/ライタ110、レシートプリンタ111、釣銭ユニット112、客側タッチパネル113、通信ユニット114及び伝送路115を含む。そしてプロセッサ101、メイン記憶ユニット102、補助記憶ユニット103、店員側タッチパネル104、キーボード105、固定スキャナ106、ハンディスキャナ107、クレジットカードリーダ108、近接通信ユニット109、カードリーダ/ライタ110、レシートプリンタ111、釣銭ユニット112、客側タッチパネル113及び通信ユニット114は、伝送路115に接続されている。
【0011】
プロセッサ101、メイン記憶ユニット102及び補助記憶ユニット103が伝送路115で接続されて、POS端末装置100の制御に関する情報処理を実行するためのコンピュータが構成される。
プロセッサ101は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ101は、メイン記憶ユニット102及び補助記憶ユニット103に記憶されたオペレーティングシステム、ミドルウェア及びアプリケーションプログラムなどの情報処理プログラムに基づく情報処理を実行することにより、POS端末装置100の各種の機能を実現するべくPOS端末装置100の各部を制御する。
【0012】
メイン記憶ユニット102は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メイン記憶ユニット102は、メイン記憶ユニット102は、読み出し専用のメモリ領域と書き換え可能なメモリ領域とを含む。メイン記憶ユニット102は、読み出し専用のメモリ領域では上記の情報処理プログラムの一部を記憶する。またメイン記憶ユニット102は、プロセッサ101が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを読み出し専用のメモリ領域又は書き換え可能なメモリ領域で記憶する場合もある。メイン記憶ユニット102は、書き換え可能なメモリ領域を、プロセッサ101によるワークエリアとして使用する。
【0013】
補助記憶ユニット103は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット103は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disc drive)、SSD(solid state drive)等の周知の記憶デバイスを備える。補助記憶ユニット103は、プロセッサ101が各種の情報処理を行う上で使用するデータや、プロセッサ101での処理によって生成されたデータを保存する。補助記憶ユニット103は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。補助記憶ユニット103は、本実施形態においては、取引処理プログラムPRAを記憶する。取引処理プログラムPRAは、取引を処理するための後述する情報処理に関する処理手順を記述したアプリケーションプログラムである。
【0014】
店員側タッチパネル104は、店員側に向けて設けられている。店員側タッチパネル104は、店員に対する情報提示のための画面を表示する。また店員側タッチパネル104は、店員による画面へのタッチ操作による指示を入力する。
キーボード105は、多数のキーを、店員側からの店員による操作が簡易なように備える。キーボード105は、これらのキーの押下による店員の指示を入力する。
【0015】
固定スキャナ106は、店員側に向けられた読取窓を有する。固定スキャナ106は、読取窓の前に翳された商品を撮像した上で、当該商品に形成されたバーコードが表すバーコード情報を画像処理によって認識する。そして固定スキャナ106は、プロセッサ101へ出力する。なお、固定スキャナ106は、レーザ光の反射を利用して光学的にバーコードを読み取るような他のタイプの周知のデバイスを利用することもできる。また固定スキャナ106は、商品を撮像して得た商品自体の画像からオブジェクト認識技術を利用して商品を特定する機能を備えるタイプの周知のデバイスを利用することもできる。
【0016】
ハンディスキャナ107は、店員の手に持って用いられ、読み取り口に対向されたバーコードを光学的に読み取る。ハンディスキャナ107は、読み取ったバーコードが表すバーコード情報をプロセッサ101へと出力する。
クレジットカードリーダ108は、クレジットカードからカード情報を読み取る。
近接通信ユニット109は、近接された無線タグとの間で近接無線通信を行い、当該無線タグに記憶されたデータを取得する。また近接通信ユニット109は、上記の近接無線通信により、上記の無線タグに任意の情報を書き込む。
【0017】
カードリーダ/ライタ110は、会員カード及びプリペイドカードなどの予め定められたカードに記録されたカードデータを読み取る。またカードリーダ/ライタ110は、会員カードに対して任意のデータを書き込む。
レシートプリンタ111は、レシート用紙に対してレシート、領収証又は売上票などの証票の画像を印刷する。レシートプリンタ111は、上記の画像を印刷したレシート用紙をレシート排出口から外部へと排出する。
【0018】
釣銭ユニット112は、硬貨投入口から投入された硬貨を、その金額を計数しつつ、内部の収納庫に収容する。釣銭ユニット112は、収納庫に収容している硬貨を、硬貨排出口を介して硬貨トレイへと排出する。釣銭ユニット112は、紙幣投入口から投入された紙幣を、その金額を計数しつつ、内部の収納庫に収容する。釣銭ユニット112は、収納庫に収容している紙幣を紙幣排出口から排出する。紙幣排出口は、排出された紙幣を、その一部を外部に露出させた状態で保持する。
客側タッチパネル113は、客側に向けて設けられている。客側タッチパネル113は、客に対する情報提示のための画面を表示する。また客側タッチパネル113は、客による画面へのタッチ操作による指示を入力する。
【0019】
通信ユニット114は、プロセッサ101が通信ネットワーク2を介して、例えばPOSサーバ200などの任意の装置と各種データを授受するための通信処理を行う。通信ネットワーク2としては、典型的にはLAN(local area network)が用いられる。しかしながら通信ネットワーク2としては、LANの他に、インターネット、VPN(virtual private network)、公衆通信網、移動体通信網などを、単独又は適宜に組み合わせて用いることができる。通信ユニット114としては、通信ネットワーク2の通信方式に準じた周知のデバイスを用いることができる。
伝送路115は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含む。伝送路115は、接続されている各部の間で授受されるデータ及び信号を伝送する。
【0020】
POS端末装置100の基本ハードウェアとしては、例えば既存の別のPOS端末装置のハードウェアを用いることができる。このときにPOS端末装置100の譲渡は一般に、取引処理プログラムPRAが補助記憶ユニット103に記憶された状態にて行われる。しかし、取引処理プログラムPRAが補助記憶ユニット103に記憶されない状態のPOS端末装置100のハードウェアと取引処理プログラムPRAとが個別に譲渡されてもよい。そして、補助記憶ユニット103に、任意の作業者の操作に応じて取引処理プログラムPRAが書き込まれてもよい。あるいは、取引処理プログラムPRAと同種の別バージョンの情報処理プログラムが補助記憶ユニット103に記憶された状態のPOS端末装置100のハードウェアと取引処理プログラムPRAとが個別に譲渡されてもよい。そして、補助記憶ユニット103に既に記憶されている情報処理プログラムを置き換える形で、取引処理プログラムPRAが書き込まれてもよい。取引処理プログラムPRAの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。取引処理プログラムPRAは、メイン記憶ユニット102に記憶されてもよい。
【0021】
POSサーバ200は、プロセッサ201、メイン記憶ユニット202、補助記憶ユニット203、通信ユニット204及び伝送路205等を備える。プロセッサ201と、メイン記憶ユニット202、補助記憶ユニット203及び通信ユニット204とは、伝送路205を介して通信可能とされている。
【0022】
プロセッサ201、メイン記憶ユニット202及び補助記憶ユニット203を伝送路205で接続することによって、POSサーバ200を制御するための情報処理を行うコンピュータを構成する。
プロセッサ201は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ201は、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラムなどの情報処理プログラムに従って、POSサーバ200としての各種の機能を実現するべく各部を制御するための情報処理を実行する。
【0023】
メイン記憶ユニット202は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メイン記憶ユニット202は、読み出し専用のメモリ領域と書き換え可能なメモリ領域とを含む。メイン記憶ユニット202は、読み出し専用のメモリ領域では上記の情報処理プログラムの一部を記憶する。またメイン記憶ユニット202は、プロセッサ201が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを読み出し専用のメモリ領域又は書き換え可能なメモリ領域で記憶する場合もある。メイン記憶ユニット202は、書き換え可能なメモリ領域を、プロセッサ201によるワークエリアとして使用する。
【0024】
補助記憶ユニット203は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。補助記憶ユニット203は、例えばEEPROM、HDD、SSD、あるいはその他の周知の各種の記憶デバイスを利用できる。補助記憶ユニット203は、プロセッサ201が各種の処理を行う上で使用するデータと、プロセッサ201での処理によって生成されたデータとを記憶する。補助記憶ユニット203は、上記の情報処理プログラムを記憶する場合もある。補助記憶ユニット203は、本実施形態では、情報処理プログラムの1つであるジャーナル管理プログラムPRBを記憶する。ジャーナル管理プログラムPRBは、補助記憶ユニット203に別途保存されるジャーナルファイルFAAを管理するための情報処理の手順を表したアプリケーションプログラムである。ジャーナルファイルFAAは、過去に行われた取引のそれぞれの内容を表した複数の取引データを集積したデータファイルである。取引データは、取引の対象となった商品のリストを少なくとも表す。取引データは、該当の取引に関する代金の決済の結果なども表す。かくして補助記憶ユニット203は、複数の取引データを記憶する記憶手段の一例である。
【0025】
通信ユニット204は、通信ネットワーク2を介したデータ通信を行うための通信処理を実行する。通信ユニット204は、例えばインターネット用の既存の通信デバイスを用いることができる。
伝送路205は、アドレスバス、データバス及び制御信号線等を含み、接続された各部の間で授受されるデータ及び制御信号を伝送する。
【0026】
POSサーバ200のハードウェアとしては、例えば汎用のサーバ装置を用いることができる。そしてPOSサーバ200の譲渡は一般に、補助記憶ユニット203にジャーナル管理プログラムPRBが記憶され、ジャーナルファイルFAAが記憶されない状態にて行われる。しかし、ジャーナル管理プログラムPRBが補助記憶ユニット203に記憶されない状態のPOSサーバ200のハードウェアとジャーナル管理プログラムPRBとが個別に譲渡されてもよい。そして、補助記憶ユニット203に、任意の作業者の操作に応じてジャーナル管理プログラムPRBが書き込まれてもよい。あるいは、ジャーナル管理プログラムPRBと同種の別バージョンのアプリケーションプログラムが補助記憶ユニット203に記憶された状態のハードウェアと、ジャーナル管理プログラムPRBとが個別に譲渡されてもよい。そして、任意の作業者の操作に応じて、補助記憶ユニット203にジャーナル管理プログラムPRBが書き込まれることによって、POSサーバ200が構成されてもよい。ジャーナル管理プログラムPRBの譲渡は、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのようなリムーバブルな記録媒体に記録して、あるいはネットワークを介した通信により行うことができる。
【0027】
次に以上のように構成された取引処理システム1の動作について説明する。なお、以下に説明する処理の内容は一例であって、一部の処理の順序の変更、一部の処理の省略、あるいは別の処理の追加などは適宜に可能である。
取引処理システム1では、取引対象となる商品(以下、取引商品と称する)の登録処理、取引に係る代金の算出並びに決済のための会計処理、さらには、完了した取引に関する取引データをPOSサーバ200にてジャーナルファイルFAAに含めて管理するためのジャーナル管理処理などは、既存の取引処理システムと同様にして行われてよく、それらの処理に関する説明は省略する。取引処理システム1は、過去の取引の内容の訂正に関わる処理に特徴があるので、その点について以下に詳細に説明する。
【0028】
POS端末装置100にてプロセッサ101は、例えば店員側タッチパネル104又はキーボード105での予め定められた操作によって過去の取引に関する訂正が指示されると、取引処理プログラムPRAに基づき、過去の取引に関する訂正のための情報処理(以下、訂正処理と称する)を開始する。
図2は訂正処理の処理手順を表すフローチャートである。
【0029】
ACT1としてプロセッサ101は、訂正の対象となる取引の識別子である取引コードを取得する。
例えばPOS端末装置100を操作する店員は、客からの申し出を受けて、訂正の対象となる取引(以下、対象取引と称する)に関して発行されたレシートを客から受け取る。なお、この場合の客からの申し出としては、対象取引の対象となっている商品(以下、取引商品と称する)の一部の返品、取引商品と他の商品との交換、あるいは取引商品とは別の商品の追加購入などが想定される。そして店員は、該当のレシートに取引コードなどを含むものとして表されたバーコードを、固定スキャナ106又はハンディスキャナ107に読み取らせる。あるいは店員は、該当のレシートに印字されている取引コードを、例えば店員側タッチパネル104又はキーボード105の操作によって手入力する。そこでプロセッサ101は、これらの操作により指定される取引コードを取得する。
【0030】
ACT2としてプロセッサ101は、ACT1で取得した取引コードで識別される取引に関する取引データを取得する。プロセッサ101は例えば、ACT1で取得した取引コードの通知を伴って、取引データをPOSサーバ200に要求する。POSサーバ200にてプロセッサ201は、取引データの要求を受けると、通知された取引コードで識別される取引に関する取引データをジャーナルファイルFAAから抽出して、要求元のPOS端末装置100に宛てて送信する。そこでPOS端末装置100にてプロセッサ101は、このようにPOSサーバ200から送信された取引データを、対象取引の取引データとして取得する。
ここにプロセッサ101は、複数の取引データのうちの1つを店員の指示に応じて選択し、取得している。つまり取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは選択手段として機能する。
【0031】
ACT3としてプロセッサ101は、取引確認画面を店員側タッチパネル104に表示させる。取引確認画面は、対象取引の内容を店員に確認させるための画面である。
図3は取引確認画面SCAの一例を表す図である。
取引確認画面SCAは、画像IMA,IMBとボタンBUA,BUBとを表す。画像IMAは、対象取引の内容の明細を表す。
図3では画像IMAは、「AAAAA」なる商品名で単価が121円である商品及び「BBBBB」なる商品名で単価が298円である商品を1つずつと、「CCCCC」なる商品名で単価が200円である商品を2つが、取引商品とされている状態を表している。画像IMBは、画像IMAの上に重ねたように表されており、画像IMAに表される内容の取引に関する訂正を実行するか否かの確認を店員に促す文字メッセージを表す。ボタンBUAは、訂正の中止指示を受けるためのソフトキーである。ボタンBUBは、訂正の実行指示を受けるためのソフトキーである。
【0032】
ACT4としてプロセッサ101は、実行指示がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT5へと進む。
ACT5としてプロセッサ101は、中止指示がなされたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT4へと戻る。
かくしてプロセッサ101はACT4及びACT5としては、実行指示又は中止指示がなされるのを待ち受ける。
【0033】
店員は、取引確認画面SCAを目視して、対象取引が訂正しようとしている取引で間違い無いか否かを確認する。そして店員は、対象取引を訂正することを決定したならば、例えばボタンBUBをタップするなどの予め定められた操作によって実行を指示する。また店員は、対象取引を訂正しないことを決定したならば、例えばボタンBUAをタップするなどの予め定められた操作によって中止を指示する。
【0034】
プロセッサ101は、中止を指示するための予め定められた操作が行われたことを確認したならば、ACT5にてYESと判定し、訂正処理を終了する。これに対してプロセッサ101は、実行を指示するための予め定められた操作が行われたことを確認したならば、ACT4にてYESと判定し、ACT6へと進む。
【0035】
ACT6としてプロセッサ101は、対象取引に関する全ての取引商品の返品処理を行う。つまり、上記のような客の様々な申し出のいずれであっても、一旦は全ての取引商品が返品されたものとして取り扱われることになる。プロセッサ101は例えば、ACT2で取得した取引データに関連付けて、その取引データに関する全ての取引商品の取引が取り消された旨を表す取引データを生成し、当該取引データをジャーナルファイルFAAに追加するようPOSサーバ200に要求する。この要求に応じて、POSサーバ200にてプロセッサ201は、取引の取消に関する取引データを含むようにジャーナルファイルFAAを更新する。かくして、対象取引に関する取引データはそのままジャーナルファイルFAAに残した状態で、当該の取引データに関連付けて取消に関する取引データをジャーナルファイルFAAに含むことによって登録及び取消の履歴が管理される状態となる。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは取消手段として機能する。
【0036】
ACT7としてプロセッサ101は、返金処理を行う。プロセッサ101は例えば、ACT2で取得した取引データに表された決済金額を、同取引データに表された決済方法を用いて返金する。返金のための具体的な処理は、周知の処理であってよい。例えば現金決済がなされているならば、決済金額と同額の貨幣を釣銭ユニット112から払い出させる。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは返金手段として機能する。
【0037】
ACT8としてプロセッサ101は、訂正を行うための新たな登録データを生成する。登録データは、取引の対象とする商品についての商品リストを表すデータである。プロセッサ101はここでは、ACT2で取得した取引データに含まれていた取引商品の全てを含んだ商品リストを表すものとして登録データを生成する。
図4は登録データに含まれるデータレコードREAの1つの構造を模式的に表す図である。
登録データは、データレコードREAを1つ又は複数含む。データレコードREAは、取引の対象とする商品に関連付けられる。データレコードREAは、フィールドFAA,FAB,FAC,FAD,FAEを含む。フィールドFAAには、関連付けられている商品の識別子としての商品コードがセットされる。フィールドFABには、関連付けられている商品の商品名がセットされる。フィールドFACには、関連付けられている商品の単価がセットされる。フィールドFADには、関連付けられている商品の取引数量がセットされる。フィールドFAEには、関連付けられている商品が訂正により取引の対象として追加された商品であるか否かを表す追加フラグがセットされる。
【0038】
かくして、プロセッサ101は、ACT8で生成する登録データにおいては、ACT2で取得した取引データに含まれていた取引商品のそれぞれに関連付けたデータレコードREAを含める。またプロセッサ101は、各データレコードのフィールドFAA,FAB,FAC,FADには、ACT2で取得した取引データに表されている各情報をセットする。さらにプロセッサ101は、各データレコードのフィールドFAEにセットするフラグは、いずれも追加された商品ではないことを表す状態とする。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは生成手段として機能する。
【0039】
ACT9としてプロセッサ101は、登録画面を店員側タッチパネル104に表示させる。登録画面は、登録データが表す商品リストの内容を店員に確認させるための画面である。プロセッサ101は、登録画面を表示させているときには、登録データが表す商品リストの内容を客に確認させるための画面を客側タッチパネル113に表示させるようにしてもよい。
図5は登録画面SCBの一例を表す図である。
登録画面SCBは、画像IMAとボタンBUCとを表す。画像IMAは、対象取引の内容の明細を表す。登録データは上記のように生成されるから、取引確認画面SCAに表されていたのと同じ画像IMAが初期の登録画面SCBにも表されることになる。ボタンBUCは、訂正を終えて会計に進むことの指示を受けるためのソフトキーである。
【0040】
ACT10としてプロセッサ101は、取引の対象とする商品の変更が指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT11へと進む。
ACT11としてプロセッサ101は、会計へ進むことが指示されたか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、該当の事象を確認できないならばNOと判定し、ACT10へと戻る。
かくしてプロセッサ101は、ACT10及びACT11としては、変更又は会計が指示されるのを待ち受ける。
【0041】
店員は、客からの要望に応じて、変更を指示する。例えば店員は、新たな商品を指定し、その商品の商品リストへの追加を指示する。例えば店員は、商品リストに含まれる商品の1つを指定した上で、その商品の取消を指示する。例えば店員は、商品リストに含まれる商品の1つを指定し、かつ変更後の個数を指定した上で、個数の変更を指示する。なお店員は、それぞれの指示に関して予め定められた操作を、例えば店員側タッチパネル104又はキーボード105で行う。
【0042】
プロセッサ101は、これらの変更指示がなされたならば、ACT10にてYESと判定し、ACT12へと進む。
ACT12としてプロセッサ101は、変更の指示に応じて登録データを更新する。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは更新手段として機能する。
【0043】
図6はここでの更新のための処理手順を表すフローチャートである。
ACT21としてプロセッサ101は、変更の対象として指定された商品(以下、対象品と称する)を判定する。
ACT22としてプロセッサ101は、対象品に関するデータレコードREAの登録データからの抽出を試みる。なお、商品の追加が指示された場合には、対象品に関するデータレコードREAを抽出できない場合もある。
【0044】
ACT23としてプロセッサ101は、指示された変更が商品の追加であるか否かを確認する。そして商品の追加が指示されているならばYESと判定し、ACT24へと進む。なおプロセッサ101は、対象品の数量の増加が要求された場合も、商品の追加の指示であるとしてYESと判定する。
ACT24としてプロセッサ101は、対象品が登録データに取引の対象として未登録であるか否かを確認する。プロセッサ101は例えば、ACT22にて該当のデータレコードREAを抽出できなかった場合に未登録であると判定する。そしてプロセッサ101は、未登録であると判定できないならばNOとしてACT25へと進む。つまりプロセッサ101は、ACT22にて該当のデータレコードREAを抽出できている場合には、ACT25へと進む。
【0045】
ACT25としてプロセッサ101は、対象品の現在の単価と、登録済みの対象品に関して設定されている単価とが同一であるか否かを確認する。プロセッサ101は例えば、補助記憶ユニット103に記憶されている商品マスタテーブルから、対象品の現時点での単価を取得し、この単価と、ACT22で抽出したデータレコードREAのフィールドFACにセットされている単価とが同一であるか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、同一であることを確認できたならばYESと判定し、ACT26へと進む。なおプロセッサ101は、ここでの単価の取得、あるいは商品マスタテーブルに表された情報の取得は、POSサーバ200に要求して、補助記憶ユニット203に記憶された商品マスタテーブルに表されている情報を取得するのでも構わない。
【0046】
ACT26としてプロセッサ101は、登録済みの対象品に関して定められている数量を増加する。つまりプロセッサ101は、商品の追加の指示で有った場合には、ACT22で抽出したデータレコードREAのフィールドFADにセットされた値を、その値を1つ増加した値に変更するように登録データを更新する。またプロセッサ101は、対象品の数量の増加の指示であった場合には、ACT22で抽出したデータレコードREAのフィールドFADにセットされた値を、増加後の指定数を表す値に変更するように登録データを更新する。
【0047】
プロセッサ101は、対象品が登録データに取引の対象として未登録であるならば、ACT24にてYESと判定してACT27へと進む。またプロセッサ101は、対象品の現在の単価と、登録済みの対象品に関して設定されている単価とが異なるならばACT25にてNOと判定してACT27へと進む。なお、両単価が異なる場合とは、例えば過去取引の当時から現在までの間に標準小売価格が変更されたこと等に応じて単価も変更された場合、あるいは過去取引の当時又は現在のいずれかがタイムセール期間などであるために一時的に単価が変更されている場合などが考えられる。
【0048】
ACT27としてプロセッサ101は、対象品に関連付けた新たなデータレコードを登録データに追加する。プロセッサ101は例えば、補助記憶ユニット103に記憶されている商品マスタテーブルから、対象品の商品名を取得する。そしてプロセッサ101は例えば、対象品の商品コード、上記の取得した商品名、ACT25で取得した単価をフィールドFAA,FAB,FACにそれぞれセットするとともに、フィールドFADに「1」を、フィールドFAEに追加された商品であることを表す状態の追加フラグをそれぞれセットしたデータレコードREAを作成し、当該の新たなデータレコードREAを含むように登録データを更新する。ACT25でNOと判定してACT27へと進んでいた場合には、プロセッサ101がACT27を実行した後には、対象品に関する商品コードがフィールドFAAにセットされているデータレコードREAが複数、登録データ中に含まれることとなる。
【0049】
さてプロセッサ101は、指示された変更が商品の追加であることを確認できないならばACT23にてNOと判定し、ACT28へと進む。
ACT28としてプロセッサ101は、指示された変更が数量減少であるか否かを確認する。そしてプロセッサ101は、数量減少が指示されているのであればYESと判定し、ACT29へと進む。
【0050】
ACT29としてプロセッサ101は、対象品に関して複数の単価での登録がなされているか否かを確認する。プロセッサ101は、対象品に関する商品コードがフィールドFAAにセットされているデータレコードREAが1つのみ登録データ中に含まれる状況にあるならばNOと判定し、ACT30へと進む。
ACT30としてプロセッサ101は、対象品に関する商品コードがフィールドFAAにセットされているデータレコードREAのフィールドFADにセットされている数量を指示に応じて変更する。
【0051】
プロセッサ101は、対象品に関する商品コードがフィールドFAAにセットされているデータレコードREAが複数、登録データ中に含まれる状況にあるならば、ACT29にてYESと判定し、ACT31へと進む。
ACT31としてプロセッサ101は、現在の単価での取引の対象とされている対象品(以下、新単価品と称する)の数量を指示に応じて変更する。プロセッサ101は例えば、対象品に関する商品コードがフィールドFAAにセットされ、かつフィールドFAEにセットされている追加フラグが追加された商品であることを表す状態であるデータレコードREAを登録データ中から探し出し、該当のデータレコードREAのフィールドFADにセットされている数量を指示に応じて変更する。
【0052】
第1の具体例:新単価品の数量が「3」であり、新単価品の数量を「1」に変更する指示がなされた場合、プロセッサ101は新単価品に関連付けられたデータレコードREAのフィールドFADにセットされている「3」を「1」に更新する。第2の具体例:現在の単価とは異なる単価での取引の対象とされている対象品(以下、旧単価品と称する)の数量が「3」であり、新単価品の数量が「2」であるときに、旧単価品の数量を「2」とする指示がなされた場合、プロセッサ101は新単価品に関連付けられたデータレコードREAのフィールドFADにセットされている「2」を「1」に更新する。第3の具体例:旧単価品の数量が「3」であり、新単価品の数量が「2」であるときに、旧単価品の数量を「0」とする指示がなされた場合、プロセッサ101は新単価品に関連付けられたデータレコードREAのフィールドFADにセットされている「2」を「0」に更新する。
【0053】
ACT32としてプロセッサ101は、ACT31での変更により指示に応じた数量の変更が完了したか否かを確認する。例えば、上記の第3の具体例の場合は、数量を3つ減らす指示に対して2つしか減らせていないので、変更が完了していない。プロセッサ101は、このように新単価品の数量の変更により指示通りの数量の変更が完了しなかった場合には、NOと判定してACT33へと進む。
ACT33としてプロセッサ101は、ACT31で変更しきれなかった数だけ旧単価品の数量を変更する。つまり、プロセッサ101は、例えばACT31にて上記の第3の具体例を実行したならば、旧単価品に関連付けられたデータレコードREAのフィールドFADにセットされている「3」を「1」に更新する。
【0054】
さて、商品の取消が指示された場合には、プロセッサ101はACT23及びACT28にていずれもNOと判定し、ACT34へと進む。
ACT34としてプロセッサ101は、ACT22で抽出したデータレコードREAを登録データから削除する。
【0055】
プロセッサ101は、指示された変更を、ACT26、ACT27、ACT30、ACT31、ACT33又はACT34にて終えたならば、
図6の処理、すなわち
図2中のACT12の処理を終える。ただし、プロセッサ101は、ACT31の実行により指示通りの数量の変更が完了した場合は、ACT32にてYESと判定したことをもって
図6の処理を終える。そしてプロセッサ101は、
図2中のACT13へと進む。
ACT13としてプロセッサ101は、更新後の登録データに応じた内容を表すように登録画面を更新する。そしてプロセッサ101はこののち、ACT10及びACT11の待ち受け状態に戻る。
【0056】
図7は登録画面SCBの更新例を表す図である。
図7に表す登録画面SCBは、
図5に表す登録画面SCBが表示されている状態から、「BBBBB」なる商品名の商品が取り消され、さらに「CCCCC」なる商品名の商品が、単価が160円の新単価品として1つ追加された例である。かくして
図7に表す登録画面SCBは、
図5に表す登録画面SCBが表す画像IMAに対して上記の変更を反映した画像IMCを表している。
【0057】
店員は、客からの要求に応じた訂正のための操作を全て終えたならば、登録画面SCBにてボタンBUCをタップするなどの予め定められた操作によって会計に進むことを指示する。このような指示に応じてプロセッサ101は、
図2中のACT11にてYESと判定し、ACT14へと進む。
ACT14としてプロセッサ101は、登録データに基づく会計処理を、通常の登録処理の場合と同様に実行する。つまりプロセッサ101は、登録データに表される全ての商品に関する代金を算出し、その代金を新たに指定される決済方法で決済するための処理を行う。この会計処理の詳細は、例えば既存の同種のPOS端末装置で行われているのと同様であってよい。この会計処理に際してプロセッサ101は、レシートプリンタ111にレシートを印刷させる。かくして取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは決済手段として機能する。
【0058】
図8はレシートの一例を表す図である。
図8は、登録画面SCBが
図7に表される状態にあるときに会計処理へと進んだ場合の例である。
プロセッサ101はレシートにおいても、「CCCCC」なる商品名の商品を、数量3個として纏めるのではなく、単価200円と単価160円とで個別に表す。
【0059】
ACT15としてプロセッサ101は、この時点での登録データの内容及びACT14での会計処理の結果などを表したトランザクションデータを、ACT1で取得した取引コードで識別される取引とは無関係な新たな取引に関するものとしてPOSサーバ200に送信する。トランザクションデータの送信は、新たな取引に関する取引データの管理をPOSサーバ200に対して要求することに想到する。つまり取引処理プログラムPRAに基づく情報処理をプロセッサ101が実行することによって、プロセッサ101を中枢部分とするコンピュータは要求手段として機能する。そしてプロセッサ101はこれをもって、訂正処理を終了する。
【0060】
上記のトランザクションデータを受けるとPOSサーバ200にてプロセッサ201は、このトランザクションデータに基づいて、ジャーナルファイルFAAを更新する。プロセッサ201はこの処理を、ジャーナル管理プログラムPRBに基づき実行する。そしてジャーナル管理プログラムPRBに基づく情報処理をプロセッサ201が実行することによって、プロセッサ201を中枢部分とするコンピュータは履歴管理手段として機能する。
【0061】
以上のようにPOS端末装置100は、訂正の対象となる過去の取引を、一旦全て取り消したものとした上で、過去の取引の内容が既に登録済みである状態からとして新たな取引の登録を受け付ける。かくしてPOS端末装置100によれば、過去の取引の対象となっていた商品を取り消す訂正及び新たな商品を追加する訂正などを一取引に関して行うことが可能となり、過去の取引の訂正に関わる操作者の負担を軽減できる。
【0062】
またPOS端末装置100は、訂正の対象となる取引の当時の単価と、訂正が行われる時点での単価とが異なる商品に関しては、それぞれの単価に関するデータレコードREAを登録データに混在させる。これによりPOS端末装置100によれば、同一の商品に関して、過去の取引の対象となった分と、新たに追加された分とで、それぞれ異なる単価を適用することができ、単価が変更されている商品であっても、問題無く追加することが可能である。
【0063】
またPOS端末装置100は、訂正の対象となる過去の取引を取り消したことに応じて、その取引の決済額の全額を返金処理し、新たなに受け付けた取引に関する決済額の決済を別途行う。これによりPOS端末装置100によれば、訂正に伴って発生する差額を計算して決済するような手間無く、簡易に処理することが可能である。
【0064】
またPOS端末装置100は、訂正の対象となる過去の取引の際の旧単価とは異なる新単価を適用するものとして商品が取引の対象として新たに追加された後に、旧単価を適用するものとされている商品に関する数量の減少が指示された場合には、新単価を適用する商品に関する数量を、旧単価を適用する商品の数量よりも優先的に変更する。例えば、新単価よりも旧単価が高い商品に関して、新たに3つを追加した上で、旧単価を適用する商品の数量を3つ減じれば、単価だけを低減させることになるが、そのような訂正は許容されないこととなる。
【0065】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
ジャーナルファイルFAAは、補助記憶ユニット103に記憶されてもよい。そしてこの場合はプロセッサ101が
図2中のACT15にてトランザクションデータを送信するのに代えて、ジャーナルファイルFAAの更新を行う。
【0066】
上述したプロセッサ101が実行する処理の一部を、POSサーバ200にてプロセッサ201が実行してもよい。例えば
図2中のACT8及びACT12は、POS端末装置100をユーザインタフェース端末として使用しつつプロセッサ201が実行してもよい。
【0067】
プロセッサ101は、
図2中のACT7での返金処理を行わずに、ACT14にて過去の取引に関する決済額と新たな取引に関する決済額との差額を決済するのでもよい。
【0068】
プロセッサ101は、旧単価品についての数量が変更された場合には、旧単価品の数量を変更するようにしてもよい。
【0069】
情報処理によりプロセッサ101が実現する各機能は、その一部又は全てをロジック回路などのようなプログラムに基づかない情報処理を実行するハードウェアにより実現することも可能である。また上記の各機能のそれぞれは、上記のロジック回路などのハードウェアにソフトウェア制御を組み合わせて実現することも可能である。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1…取引処理システム、2…通信ネットワーク、100…POS端末装置、101…プロセッサ、102…メイン記憶ユニット、103…補助記憶ユニット、104…店員側タッチパネル、105…キーボード、106…固定スキャナ、107…ハンディスキャナ、108…クレジットカードリーダ、109…近接通信ユニット、110…カードリーダ/ライタ、111…レシートプリンタ、112…釣銭ユニット、113…客側タッチパネル、114…通信ユニット、115…伝送路、200…POSサーバ、201…プロセッサ、202…メイン記憶ユニット、203…補助記憶ユニット、204…通信ユニット、205…伝送路。