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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184063
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】カバー部材および直動案内ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/08 20060101AFI20231221BHJP
   F16C 29/06 20060101ALI20231221BHJP
   F16C 33/76 20060101ALI20231221BHJP
   F16J 15/16 20060101ALI20231221BHJP
   A44B 18/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
F16C29/08
F16C29/06
F16C33/76 Z
F16J15/16 A
A44B18/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097976
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006828
【氏名又は名称】YKK株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000229335
【氏名又は名称】日本トムソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】竹中 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】中村 智昭
(72)【発明者】
【氏名】川島 孝文
【テーマコード(参考)】
3B100
3J043
3J104
3J216
【Fターム(参考)】
3B100DA06
3B100DB00
3J043AA11
3J043CA20
3J043CB13
3J043DA06
3J043DA09
3J104AA03
3J104AA23
3J104AA34
3J104AA65
3J104AA69
3J104AA74
3J104AA76
3J104AA77
3J104BA63
3J104CA13
3J104DA04
3J104DA18
3J104EA01
3J216AA02
3J216AA16
3J216BA23
3J216BA30
3J216CA01
3J216CC70
3J216DA01
3J216DA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高い密封性を確保しながら取り付け性の向上を図ることができるカバー部材を提供する。
【解決手段】カバー部材は、ファスナーが設けられ、機械要素部品を収容する空間を形成する壁部を含む。ファスナーは、長手方向に沿って延びる右側エレメントと、右側エレメントと噛み合い可能な左側エレメントと、右側エレメントおよび左側エレメントに取り付けられる前側スライダと、前側スライダに対して長手方向において離れて位置する後側スライダと、を含む。前側スライダおよび後側スライダは、前側スライダおよび後側スライダが長手方向に移動する際に、相手が位置する側と反対の向きに移動するのに伴って右側エレメントおよび左側エレメントを互いに離間させるとともに、相手が位置する側の向きに移動するのに伴って右側エレメントおよび左側エレメントを互いに噛み合わせる。壁部には、面ファスナーが設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延びるファスナーを含み、機械要素部品を覆うカバー部材であって、
前記ファスナーが設けられ、前記機械要素部品を収容する空間を形成する壁部を含み、
前記ファスナーは、
前記長手方向に沿って延びる右側エレメントと、
前記右側エレメントに沿って前記長手方向に延び、前記右側エレメントと噛み合い可能な左側エレメントと、
前記右側エレメントおよび前記左側エレメントに取り付けられる前側スライダと、
前記右側エレメントおよび前記左側エレメントに取り付けられ、前記前側スライダに対して前記長手方向において離れて位置する後側スライダと、を含み、
前記前側スライダおよび前記後側スライダは、前記前側スライダおよび前記後側スライダが前記長手方向に移動する際に、相手が位置する側と反対の向きに移動するのに伴って前記右側エレメントおよび前記左側エレメントを互いに離間させるとともに、相手が位置する側の向きに移動するのに伴って前記右側エレメントおよび前記左側エレメントを互いに噛み合わせ、
前記壁部には、面ファスナーが設けられている、カバー部材。
【請求項2】
それぞれ長手方向に延びるレール上面およびレール側面を含み、前記レール側面に第1軌道面が設けられたレールと、
前記レールに相対移動可能に取り付けられ、前記レール上面と対向する摺動部材下面および前記第1軌道面に対向する第2軌道面を含む摺動部材と、
前記第1軌道面と前記第2軌道面とから構成される軌道路を転動する複数の転動体と、
前記長手方向に延びるファスナーを含み、前記レールおよび前記摺動部材を覆うカバー部材と、
前記カバー部材の外部に配置され、前記摺動部材と共に移動する移動部材と、
前記摺動部材と前記移動部材とを連結する連結部材と、を備え、
前記カバー部材は、前記ファスナーが設けられ、前記レールおよび前記摺動部材を収容する空間を形成する壁部を含み、
前記ファスナーは、
前記長手方向に沿って延びる右側エレメントと、
前記右側エレメントに沿って前記長手方向に延び、前記右側エレメントと噛み合い可能な左側エレメントと、
前記右側エレメントおよび前記左側エレメントに取り付けられ、前記摺動部材および前記移動部材に固定される前側スライダと、
前記右側エレメントおよび前記左側エレメントに取り付けられ、前記前側スライダに対して前記長手方向において離れて位置し、前記摺動部材および前記移動部材に固定される後側スライダと、を含み、
前記前側スライダおよび前記後側スライダは、前記摺動部材および前記移動部材が移動する際に、相手が位置する側と反対の向きに移動するのに伴って前記右側エレメントおよび前記左側エレメントを互いに離間させるとともに、相手が位置する側の向きに移動するのに伴って前記右側エレメントおよび前記左側エレメントを互いに噛み合わせ、
前記連結部材は、前記長手方向において前記前側スライダと前記後側スライダとの間に配置され、前記移動部材を支持する支持部材を含み、
前記壁部には、面ファスナーが設けられている、直動案内ユニット。
【請求項3】
前記壁部は、平板部を含み、
前記面ファスナーは、前記平板部の厚さ方向の一方側に設けられている、請求項2に記載の直動案内ユニット。
【請求項4】
前記壁部には、前記空間に繋がる開口部が設けられており、
前記面ファスナーは、前記開口部を取り囲むように設けられている、請求項2または請求項3に記載の直動案内ユニット。
【請求項5】
前記壁部は、
前記ファスナーが設けられる上壁部と、
前記上壁部と交差して延びる側壁部と、を含み、
前記面ファスナーは、前記側壁部に取り付けられる、請求項2または請求項3に記載の直動案内ユニット。
【請求項6】
前記カバー部材の少なくとも一部は、強度の異なる複数の樹脂製の材料を積層した構造を含む、請求項2または請求項3に記載の直動案内ユニット。
【請求項7】
前記カバー部材の少なくとも一部は、外部から内部を視認可能である、請求項2または請求項3に記載の直動案内ユニット。
【請求項8】
前記前側スライダおよび前記後側スライダのうちの少なくともいずれか一方には、前記右側エレメントおよび前記左側エレメントが噛み合った領域の上部を掃くシール部材が設けられている、請求項2または請求項3に記載の直動案内ユニット。
【請求項9】
前記壁部は、
前記ファスナーが設けられる上壁部と、
前記上壁部と交差して延びる側壁部と、を含み、
前記上壁部と前記側壁部とが連なる部分は、曲面で構成されている、請求項2または請求項3に記載の直動案内ユニット。
【請求項10】
前記右側エレメントおよび前記左側エレメントのうちの少なくともいずれか一方は、互いに噛み合う部分に設けられた含油樹脂を含む、請求項2または請求項3に記載の直動案内ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カバー部材および直動案内ユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
可動体の一部が外装カバーによって形成される開口部を通じて外部に突出し、該可動体が前記開口部に沿って作動する防塵型案内装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示の防塵型案内装置によると、各々帯状に形成されて可撓性を有する複数枚のシール部材を前記開口部の縁に沿って配設すると共に前記シール部材相互の先端部を重なり合わせることとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-230618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
防塵性や防水性を高めるためにレールおよび摺動部材といった直動案内ユニットに含まれる機械要素部品にカバー部材を設け、レールおよび摺動部材の露出をできるだけ避ける場合がある。このような機械要素部品の密封性を高めるために用いられるカバー部材は、所定の箇所に取り付けられて使用されるが、高い密封性を確保しながら、取り付け性の向上を図ることが望まれる。
【0005】
そこで、高い密封性を確保しながら取り付け性の向上を図ることができるカバー部材を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従ったカバー部材は、長手方向に延びるファスナーを含み、機械要素部品を覆う。カバー部材は、ファスナーが設けられ、機械要素部品を収容する空間を形成する壁部を含む。ファスナーは、長手方向に沿って延びる右側エレメントと、右側エレメントに沿って長手方向に延び、右側エレメントと噛み合い可能な左側エレメントと、右側エレメントおよび左側エレメントに取り付けられる前側スライダと、右側エレメントおよび左側エレメントに取り付けられ、前側スライダに対して長手方向において離れて位置する後側スライダと、を含む。前側スライダおよび後側スライダは、前側スライダおよび後側スライダが長手方向に移動する際に、相手が位置する側と反対の向きに移動するのに伴って右側エレメントおよび左側エレメントを互いに離間させるとともに、相手が位置する側の向きに移動するのに伴って右側エレメントおよび左側エレメントを互いに噛み合わせる。壁部には、面ファスナーが設けられている。
【発明の効果】
【0007】
上記カバー部材によれば、高い密封性を確保しながら取り付け性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の実施の形態1におけるカバー部材を含む直動案内ユニットを示す概略斜視図である。
図2図2は、図1に示す直動案内ユニットの概略平面図である。
図3図3は、図1に示す直動案内ユニットの概略底面図である。
図4図4は、図1に示す直動案内ユニットの概略正面図である。
図5図5は、図1中のV-Vで示す断面で切断した場合の概略断面図である。
図6図6は、図1に示す直動案内ユニットにおいて、後述するカバー部材の一部の図示を省略した場合の概略斜視図である。
図7図7は、図6に示す直動案内ユニットの概略正面図である。
図8図8は、図1に示す直動案内ユニットにおいて、後述する移動部材の図示を省略した場合の概略斜視図である。
図9図9は、図1に示す直動案内ユニットにおいて、移動部材およびカバー部材の一部の図示を省略した場合の概略斜視図である。
図10図10は、本開示の実施の形態2における直動案内ユニットの概略斜視図である。
図11図11は、本開示の実施の形態3における直動案内ユニットの一部を示す概略斜視図である。
図12図12は、本開示の実施の形態4における直動案内ユニットの一部を示す概略斜視図である。
図13図13は、本開示の実施の形態4における直動案内ユニットの一部を示す概略斜視図である。
図14図14は、図12に示す直動案内ユニットの概略平面図である。
図15図15は、図12に示す直動案内ユニットの概略底面図である。
図16図16は、図12に示す直動案内ユニットの概略正面図である。
図17図17は、図2中のXVII-XVIIで示す断面で切断した場合の概略断面図である。
図18図18は、図12に示す直動案内ユニットにおいて、カバー部材の一部の図示を省略した場合の概略斜視図である。
図19図19は、図12に示す直動案内ユニットにおいて、移動部材の図示を省略した場合の概略斜視図である。
図20図20は、図12に示す直動案内ユニットにおいて、移動部材およびカバー部材の一部の図示を省略した場合の概略斜視図である。
図21図21は、本開示の実施の形態5における直動案内ユニットを示す概略斜視図である。
図22図22は、図21中のXXII-XXIIで示す断面で切断した場合の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の概要]
本開示のカバー部材は、長手方向に延びるファスナーを含み、機械要素部品を覆う。カバー部材は、ファスナーが設けられ、機械要素部品を収容する空間を形成する壁部を含む。ファスナーは、長手方向に沿って延びる右側エレメントと、右側エレメントに沿って長手方向に延び、右側エレメントと噛み合い可能な左側エレメントと、右側エレメントおよび左側エレメントに取り付けられる前側スライダと、右側エレメントおよび左側エレメントに取り付けられ、前側スライダに対して長手方向において離れて位置する後側スライダと、を含む。前側スライダおよび後側スライダは、前側スライダおよび後側スライダが長手方向に移動する際に、相手が位置する側と反対の向きに移動するのに伴って右側エレメントおよび左側エレメントを互いに離間させるとともに、相手が位置する側の向きに移動するのに伴って右側エレメントおよび左側エレメントを互いに噛み合わせる。壁部には、面ファスナーが設けられている。
【0010】
本開示のカバー部材によると、壁部によって形成された空間に機械要素部品を収容することにより、機械要素部品を適切に覆うことができる。また、壁部には、上記構成のファスナーが設けられているため、高い密封性を維持しながら、ファスナーの開け閉めを行うことができる。ここで、壁部には、面ファスナーが設けられているため、カバー部材の取り付けに際し、ねじや接着剤等は不要であり、位置決めを容易に行いやすい。また、面ファスナーによる面での固定であるため、隙間が発生しにくく、機械要素部品が収容された空間における高い密封性を維持することができる。したがって、このようなカバー部材は、高い密封性を確保しながら取り付け性の向上を図ることができる。ここで、ファスナーとは、長手方向に延びる切断部(開口領域)の幅方向(長手方向に垂直な方向)の両側に、複数の歯(務歯)が長手方向に沿って取り付けられたものをいう。
【0011】
また、本開示の直動案内ユニットは、それぞれ長手方向に延びるレール上面およびレール側面を含み、レール側面に第1軌道面が設けられたレールと、レールに相対移動可能に取り付けられ、レール上面と対向する摺動部材下面および第1軌道面に対向する第2軌道面を含む摺動部材と、第1軌道面と第2軌道面とから構成される軌道路を転動する複数の転動体と、長手方向に延びるファスナーを含み、レールおよび摺動部材を覆うカバー部材と、カバー部材の外部に配置され、摺動部材と共に移動する移動部材と、摺動部材と移動部材とを連結する連結部材と、を備える。カバー部材は、ファスナーが設けられ、レールおよび摺動部材を収容する空間を形成する壁部を含む。ファスナーは、長手方向に沿って延びる右側エレメントと、右側エレメントに沿って長手方向に延び、右側エレメントと噛み合い可能な左側エレメントと、右側エレメントおよび左側エレメントに取り付けられ、摺動部材および移動部材に固定される前側スライダと、右側エレメントおよび左側エレメントに取り付けられ、前側スライダに対して長手方向において離れて位置し、摺動部材および移動部材に固定される後側スライダと、を含む。前側スライダおよび後側スライダは、摺動部材および移動部材が移動する際に、相手が位置する側と反対の向きに移動するのに伴って右側エレメントおよび左側エレメントを互いに離間させるとともに、相手が位置する側の向きに移動するのに伴って右側エレメントおよび左側エレメントを互いに噛み合わせる。連結部材は、長手方向において前側スライダと後側スライダとの間に配置され、移動部材を支持する支持部材を含む。壁部には、面ファスナーが設けられている。
【0012】
本開示の直動案内ユニットによると、壁部によって形成された空間にレールおよび摺動部材を収容することにより、カバー部材は、レールおよび摺動部材を覆う。そして、摺動部材の動作時、すなわち、摺動部材が直線往復運動をする際には、ファスナーに含まれる右側エレメントおよび左側エレメントの離間および噛み合わせにより、カバー部材によってレールおよび摺動部材が覆われた状態を維持しながら、摺動部材を摺動させることができる。よって、摺動部材の摺動時における防塵性および防水性を高めることができる。ここで、壁部には、面ファスナーが設けられているため、カバー部材の取り付けに際し、ねじや接着剤等は不要であり、位置決めを容易に行いやすい。また、面ファスナーによる面での固定であるため、隙間が発生しにくく、レールおよび摺動部材が収容された空間における高い密封性を維持することができる。したがって、このような直動案内ユニットによると、カバー部材の高い密封性を確保しながら取り付け性の向上を図ることができる。
【0013】
上記直動案内ユニットにおいて、壁部は、平板部を含んでもよい。面ファスナーは、平板部の厚さ方向の一方側に設けられていてもよい。このようにすることにより、壁部に含まれる平板部を利用して、カバー部材を取り付ける際に、面ファスナーを適切に設置個所に取り付けることができる。したがって、取り付け性の向上をさらに図ることができる。
【0014】
上記直動案内ユニットにおいて、壁部には、空間に繋がる開口部が設けられていてもよい。面ファスナーは、開口部を取り囲むように設けられていてもよい。このようにすることにより、カバー部材における密封性をより高めることができる。したがって、より確実に高い密封性を維持することができる。
【0015】
上記直動案内ユニットにおいて、壁部は、ファスナーが設けられる上壁部と、上壁部と交差して延びる側壁部と、を含んでもよい。面ファスナーは、側壁部に取り付けられている。このようにすることにより、面ファスナーが設けられた部分について、塵等の異物が堆積するおそれを低減することができる。したがって、カバー部材内に異物が入り込むおそれを低減して、より摺動部材の円滑な動作を確保することができる。
【0016】
上記直動案内ユニットは、カバー部材の少なくとも一部は、強度の異なる複数の樹脂製の材料を積層した構造を含んでもよい。このような構成を採用することにより、カバー部材の少なくとも一部において適度な柔軟性を確保しながら、強度を高く維持することができる。したがって、カバー部材の少なくとも一部において形状が崩れることを抑制しながら、摺動部材と干渉するおそれを低減することができる。
【0017】
上記直動案内ユニットにおいて、カバー部材の少なくとも一部は、外部から内部を視認可能であってもよい。このようにすることにより、カバー部材の内部の状態を把握し易くなり、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0018】
上記直動案内ユニットにおいて、前側スライダおよび後側スライダのうちの少なくともいずれか一方には、右側エレメントおよび左側エレメントが噛み合った領域の上部を掃くシール部材が設けられていてもよい。このようにすることにより、シール部材によりカバー部材の上部に堆積した異物がカバー部材の内部に進入するおそれを低減することができる。したがって、軌道路に異物が入り込むおそれを低減して、より摺動部材の円滑な動作を確保することができる。
【0019】
上記直動案内ユニットにおいて、壁部は、ファスナーが設けられる上壁部と、上壁部と交差して延びる側壁部と、を含んでもよい。上壁部と側壁部とが連なる部分は、曲面で構成されていてもよい。このようにすることにより、カバー部材自体を変形しやすくすることができ、ファスナーが開いた状態におけるカバー部材が撓んだり、盛り上がるおそれを低減することができる。したがって、摺動部材とカバー部材とが干渉するおそれを低減して、より摺動部材の円滑な動作を確保することができる。
【0020】
上記直動案内ユニットにおいて、右側エレメントおよび左側エレメントのうちの少なくともいずれか一方は、互いに噛み合う部分に設けられた含油樹脂を含んでもよい。このようにすることにより、右側エレメントおよび左側エレメントの円滑な移動を促進することができ、摺動部材の円滑な動作を確保することができる。
【0021】
[実施形態の具体例]
次に、本開示の直動案内ユニットの具体的な実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0022】
(実施の形態1)
まず、本開示の実施の形態である実施の形態1について説明する。図1は、本開示の実施の形態1におけるカバー部材を含む直動案内ユニットを示す概略斜視図である。図1および以下に示す図において、X方向は、直動案内ユニットの幅方向である短手方向を示し、Y方向は、直動案内ユニットの長手方向を示し、Z方向は、直動案内ユニットの厚さ方向(高さ方向)を示す。X方向、Y方向およびZ方向はそれぞれ、直交している。なお、説明の便宜の観点から、矢印Xで示す向きを左向きとし、矢印Xと逆で示す向きを右向きとし、矢印Yで示す向きを前向きとし、矢印Yと逆で示す向きを後向きとし、矢印Zで示す向きを上向きとし、矢印Zと逆で示す向きを下向きとするが、これはあくまで図1等に示すように直動案内ユニットを配置した場合に対応するものであり、例えば直動案内ユニットの取り付け状況等に応じて、左右、上下、前後のいずれかの向きは変わるものとする。
【0023】
図2は、図1に示す直動案内ユニットの概略平面図である。図2は、図1に示す直動案内ユニットを矢印Zで示す向きと逆の向きに見た図である。図2において、レールを一点鎖線で示している。図3は、図1に示す直動案内ユニットの概略底面図である。図3は、図1に示す直動案内ユニットを矢印Zで示す向きに見た図である。図4は、図1に示す直動案内ユニットの概略正面図である。図4は、図1に示す直動案内ユニットを矢印Yで示す向きに見た図である。図5は、図1中のV-Vで示す断面で切断した場合の概略断面図である。図6は、図1に示す直動案内ユニットにおいて、後述するカバー部材の一部の図示を省略した場合の概略斜視図である。図7は、図6に示す直動案内ユニットの概略正面図である。図8は、図1に示す直動案内ユニットにおいて、後述する移動部材の図示を省略した場合の概略斜視図である。図9は、図1に示す直動案内ユニットにおいて、移動部材およびカバー部材の一部の図示を省略した場合の概略斜視図である。
【0024】
図1図9を参照して、本開示の実施の形態1に係る直動案内ユニット10aは、レール11aと、摺動部材21aと、複数の転動体としてのボール20aと、カバー部材31aと、移動部材51aと、連結部材56aと、を備える。なお、このようなボール20aを転動体として含む構成は、装置構成をコンパクトにすることができる。以下、各部材の構成の詳細について説明する。
【0025】
レール11aは、Z方向に間隔をあけて配置されるレール上面12aおよびレール下面12bと、Y方向に間隔をあけて配置されるレール前面13aおよびレール後面13bと、X方向に間隔をあけてレール11aの両側に配置されるレール側面14a,14bと、を含む。レール側面14aは、レール11aの右側に位置し、レール側面14bは、レール11aの左側に位置する。レール11aは、レール側面14a,14bにそれぞれ設けられ、長手方向に沿ってそれぞれ平行に延びる第1軌道面15a,15bを含む。すなわち、レール側面14a,14bにはそれぞれ、第1軌道面15a,15bが配置されている。第1軌道面15a,15bはそれぞれ、溝状に凹んだ形状である。第1軌道面15a,15bはそれぞれ、転動体としてのボール20aの外形形状に沿って、Y方向に見て半円弧状に凹んでいる。
【0026】
レール11aには、レール上面12aからレール下面12bに至るようZ方向に貫通する複数の貫通孔16が設けられる(特に図3参照)。複数の貫通孔16は、Y方向において間隔をあけて設けられる。貫通孔16は、例えば直動案内ユニット10aの使用時において、レール11aを所定の箇所に取り付ける際にそれぞれ有効に利用される。
【0027】
次に、摺動部材21aの構成について説明する。摺動部材21aは、レール11aに相対移動可能に取り付けられる。摺動部材21aは、レール11aの幅方向の両側に配置される一対の袖部23a,23bと、一対の袖部23a,23bのそれぞれと連結されるベース部22aと、を含む。一対の袖部23a,23bは、X方向に間隔をあけて配置される。ベース部22aは、摺動部材21aをレール11aに取り付けた際に、レール上面12aと対向する摺動部材下面24aを含む(特に図5参照)。摺動部材21aは、レール11aに摺動可能に跨架される。本実施形態においては、摺動部材21aは、レール11aに跨るように取り付けられ、Y方向に移動可能な構成である。
【0028】
摺動部材21aは、ケーシング25aと、前側エンドキャップ26aと、後側エンドキャップ26bと、中間部材27aと、を含む。ケーシング25aの外形形状は、Z方向に見て矩形状である。ケーシング25aは、第1軌道面15a,15bにそれぞれ対向する第2軌道面17a,17bを含む(特に図5参照)。第2軌道面17a,17bは、長手方向に沿ってそれぞれ平行に延びており、溝状に凹んだ形状である。第2軌道面17a,17bは、ボール20aの外形形状に沿って、Y方向に見て半円弧状に凹んでいる。ボール20aが転動する軌道路18aは、第1軌道面15aと第2軌道面17aとから構成される。ボール20aが転動する軌道路18bは、第1軌道面15bと第2軌道面17bとから構成される。
【0029】
ケーシング25aには、軌道路18a,18bとそれぞれ並行するリターン路19a,19bが設けられている。リターン路19a,19bは、長手方向(Y方向)に延びる形状であり、リターン路19a,19b内を複数のボール20aが移動する。
【0030】
前側エンドキャップ26aは、ケーシング25aの長手方向の一方側、具体的には、長手方向においてケーシング25aのレール前面13a側にボルト30aにより取り付けられる。また、前側エンドキャップ26aには、ボール20aの方向を転換する方向転換路(図示せず)が設けられている。後側エンドキャップ26bは、ケーシング25aの長手方向の他方側、具体的には、長手方向においてケーシング25aのレール後面13b側にボルト30aにより取り付けられる。また、後側エンドキャップ26bには、ボール20aの方向を転換する方向転換路(図示せず)が設けられている。各方向転換路は、軌道路18aとリターン路19aとを連結し、軌道路18bとリターン路19bとを連結する。複数のボール20aは、軌道路18a、前側エンドキャップ26aに設けられた方向転換路、リターン路19aおよび後側エンドキャップ26bに設けられた方向転換路を循環する。また、複数のボール20aは、軌道路18b、前側エンドキャップ26aに設けられた方向転換路、リターン路19bおよび後側エンドキャップ26bに設けられた方向転換路を循環する。
【0031】
ケーシング25aには、複数、具体的には、X方向およびY方向にそれぞれ間隔をあけて4つの取り付け孔(図示せず)が設けられている。この取り付け孔を利用して、ケーシング25aを含む摺動部材21aと、移動部材51aとが連結部材56aにより連結される。
【0032】
中間部材27aは、板状であって、Z方向に見て、矩形状である。中間部材27aは、Z方向において、ケーシング25a、前側エンドキャップ26aおよび後側エンドキャップ26bと、後述するカバー部材31aの上壁部32aとの間に配置される。中間部材27aは、ケーシング25aに固定されている。中間部材27aは、ケーシング25a、前側エンドキャップ26aおよび後側エンドキャップ26bと共に摺動可能に設けられている。中間部材27aには、厚さ方向(Z方向)に突出する一対の位置決め突起29a,29bが設けられている。一対の位置決め突起29a,29bはX方向に間隔をあけて配置されている。一対の位置決め突起29a,29bはそれぞれ、Y方向に延びる形状である。この位置決め突起29a,29bは、中間部材27aと移動部材51aとが連結される際の移動部材51aの位置決めとして利用される。
【0033】
次に、レール11aおよび摺動部材21aを覆うカバー部材31aの構成について説明する。カバー部材31aは、機械要素部品としてのレール11aおよび摺動部材21aを収容する空間37aを形成する壁部を含む。具体的には、カバー部材31aは、上壁部32aと、前側壁部33a、後側壁部33b、右側壁部34a、左側壁部34bと、平板部35aと、を含む。上壁部32aと、前側壁部33a、後側壁部33b、右側壁部34aおよび左側壁部34bにより、機械要素部品としてのレール11aおよび摺動部材21aを収容する空間37aが形成されている。前側壁部33aは、前側に位置する側壁部であり、後側壁部33bは、後側に位置する側壁部であり、右側壁部34aは、右側に位置する側壁部であり、左側壁部34bは、左側に位置する側壁部である。カバー部材31aの外形形状は、平板部35aの厚さ方向(Z方向)に見て、長手方向(Y方向)が短手方向(X方向)よりも長い矩形状である。平板部35aの中央には、空間37aに繋がる開口部36aが設けられている。前側壁部33a、後側壁部33b、右側壁部34aおよび左側壁部34bは、平板部35aから立ち上がるようにして設けられている。前側壁部33a、後側壁部33b、右側壁部34aおよび左側壁部34bはそれぞれ、上壁部32aと連なって上壁部32aに交差する方向に延びている。本実施形態においては、前側壁部33a、後側壁部33b、右側壁部34aおよび左側壁部34bは、平板部35aの厚さ方向(Z方向)に垂直に立ち上がるように設けられている。前側壁部33aおよび後側壁部33bは、Y方向に間隔をあけて配置される。右側壁部34aおよび左側壁部34bは、X方向に間隔をあけて配置される。上壁部32aは、前側壁部33a、後側壁部33b、右側壁部34aおよび左側壁部34bと連なって配置される。上壁部32aは、平板部35aとZ方向に間隔をあけて平行になるように配置される。平板部35aは、いわゆる鍔状に構成されており、X-Y平面において、前側壁部33a、後側壁部33b、右側壁部34aおよび左側壁部34bのそれぞれに対して外方側、すなわち、開口部36aが配置される側と反対側に延びるように設けられている。
【0034】
上壁部32aと右側壁部34aとが連なる部分39aは、曲面で構成されている。同様に、上壁部32aと左側壁部34bとが連なる部分39bについても、曲面で構成されている。本実施形態においては、上壁部32aと右側壁部34aとが連なる部分39aおよび上壁部32aと左側壁部34bとが連なる部分39bはそれぞれ、直動案内ユニット10aを正面(Y方向)から見た場合にR面となっている。カバー部材31aは、上壁部32a、前側壁部33a、後側壁部33b、右側壁部34aおよび左側壁部34bによって取り囲まれる空間37a内において、レール11aおよび摺動部材21aを覆う。このようにすることにより、カバー部材31a自体を変形しやすくすることができ、後述する第1ファスナー41aまたは第2ファスナー41bが開いた状態におけるカバー部材31aが撓んだり、盛り上がるおそれを低減することができる。したがって、摺動部材21aとカバー部材31aとが干渉するおそれを低減して、より摺動部材21aの円滑な動作を確保することができる。
【0035】
カバー部材31aの少なくとも一部は、強度の異なる複数の樹脂製の材料を積層した構造を含む。具体的には、例えば、カバー部材31aの全体を例えば、ウレタンゴムで構成する。そして、カバー部材31aの一部である平板部35aにおいて、ウレタンターポリンやメルトシート等を貼り付けや溶着により取り付け、平板部35aにおいて適度な柔軟性を確保しながら、強度を高く維持することができる。すなわち、平板部35aが位置する領域においては、ウレタンゴムとウレタンターポリンと後述する面ファスナー38aとが積層された構造となる。したがって、カバー部材31aの少なくとも一部である平板部35aにおいて形状が崩れることを抑制しながら、摺動部材21aと干渉するおそれを低減することができる。なお、例えば、カバー部材31aの少なくとも一部の材質において、後述する第1左側エレメント43aと第2右側エレメント42bとの間の領域は、ウレタンゴム以外の弾性体から構成されていてもよい。
【0036】
直動案内ユニット10aは、遮蔽部材61a,61bを含む。遮蔽部材61a,61bは、板状の部材をL字状に折り曲げた形状であって、長手方向に延びるように設けられている。遮蔽部材61aは、レール側面14aに取り付けられ、長手方向に垂直な方向であってレール上面12a側から見て、レール側面14aと後述する第1ファスナー41aの第1開口領域46aとの間に配置される。遮蔽部材61bは、レール側面14bに取り付けられ、長手方向に垂直な方向であってレール上面12a側から見て、レール側面14bと後述する第2ファスナー41bの第2開口領域46bとの間に配置される。
【0037】
カバー部材31aは、それぞれ長手方向(Y方向)に延びるファスナー(第1ファスナー41aおよび第2ファスナー41b)を含む。第1ファスナー41aおよび第2ファスナー41bはそれぞれ、上壁部32aに設けられている。具体的には、第1ファスナー41aは、第1テープ部材47aに形成されており、第1ファスナー41aが形成された第1テープ部材47aが、カバー部材31aの上壁部32aの一部を構成している。また、第2ファスナー41bは、第2テープ部材47bに形成されており、第2ファスナー41bが形成された第2テープ部材47bが、カバー部材31aの上壁部32aの一部を構成している。第1ファスナー41aと第2ファスナー41bとは、X方向に間隔をあけて平行に配置される。第1ファスナー41aは、第2ファスナー41bに対して右側に設けられている。すなわち、本実施形態においては、短手方向に間隔をあけて長手方向に延びる2列のファスナーが設けられている。
【0038】
第1ファスナー41aの構成について説明する。第1ファスナー41aは、第1右側エレメント42aと、第1左側エレメント43aと、第1前側スライダ44aと、第1後側スライダ45aと、を含む。第1右側エレメント42aは、長手方向に沿って延びている。第1左側エレメント43aは、第1右側エレメント42aに沿って長手方向に延びるように設けられている。すなわち、第1右側エレメント42aと第1左側エレメント43aとは、X方向に隣り合って設けられている。第1左側エレメント43aは、第1右側エレメント42aと噛み合い可能に構成されている。第1前側スライダ44aは、第1右側エレメント42aおよび第1左側エレメント43aに取り付けられている。第1前側スライダ44aは、摺動部材21a、具体的には中間部材27aに固定される。第1後側スライダ45aも第1前側スライダ44aと同様に、第1右側エレメント42aおよび第1左側エレメント43aに取り付けられている。第1後側スライダ45aは、第1前側スライダ44aに対して長手方向(Y方向)において離れて位置している。第1後側スライダ45aも、第1前側スライダ44aと同様に、摺動部材21a、具体的には中間部材27aに固定される。
【0039】
第1前側スライダ44aおよび第1後側スライダ45aは、摺動部材21aが移動する際に、相手が位置する側と反対の向きに移動するのに伴って第1右側エレメント42aおよび第1左側エレメント43aを互いに離間させるとともに、相手が位置する側の向きに移動するのに伴って第1右側エレメント42aおよび第1左側エレメント43aを互いに噛み合わせる。第1前側スライダ44aと第1後側スライダ45aとの長手方向の間には、第1右側エレメント42aと第1左側エレメント43aとが離間した際に生じる第1開口領域46aが形成される(特に図8および図9参照)。この第1開口領域46aに後述する第1支持部材57a,58aが配置される。なお、この第1開口領域46aの上方には移動部材51aが配置されており、外部、特にZ方向から第1開口領域46aが視認できない構成となっている。
【0040】
次に、第2ファスナー41bの構成について説明する。第2ファスナー41bは、第2右側エレメント42bと、第2左側エレメント43bと、第2前側スライダ44bと、第2後側スライダ45bと、を含む。第2右側エレメント42bは、長手方向に沿って延びている。第2ファスナー41bの配置について、具体的には、第1ファスナー41aの第1左側エレメント43aと第2ファスナー41bの第2右側エレメント42bとがX方向に間隔をあけて隣り合うように配置される。第2左側エレメント43bは、第2右側エレメント42bに沿って長手方向に延びるように設けられている。すなわち、第2右側エレメント42bと第2左側エレメント43bとは、X方向に隣り合って設けられている。第2左側エレメント43bは、第2右側エレメント42bと噛み合い可能に構成されている。第2前側スライダ44bは、第2右側エレメント42bおよび第2左側エレメント43bに取り付けられている。第2前側スライダ44bは、摺動部材21a、具体的には中間部材27aに固定される。第2後側スライダ45bも第2前側スライダ44bと同様に、第2右側エレメント42bおよび第2左側エレメント43bに取り付けられている。第2後側スライダ45bは、第2前側スライダ44bに対して長手方向(Y方向)において離れて位置している。第2後側スライダ45bも、第2前側スライダ44bと同様に、摺動部材21a、具体的には中間部材27aに固定される。
【0041】
第2前側スライダ44bおよび第2後側スライダ45bは、摺動部材21aが移動する際に、相手が位置する側と反対の向きに移動するのに伴って第2右側エレメント42bおよび第2左側エレメント43bを互いに離間させるとともに、相手が位置する側の向きに移動するのに伴って第2右側エレメント42bおよび第2左側エレメント43bを互いに噛み合わせる。第2前側スライダ44bと第2後側スライダ45bとの長手方向の間には、第2右側エレメント42bと第2左側エレメント43bとが離間した際に生じる第2開口領域46bが形成される(特に図8および図9参照)。この第2開口領域46bに後述する第2支持部材57b,58bが配置される。なお、この第2開口領域46bの上方にも移動部材51aが配置されており、外部、特にZ方向から第2開口領域46bが視認できない構成となっている。
【0042】
移動部材51aは、板状である。移動部材51aの外形形状は、Z方向に見て矩形状である。移動部材51aは、カバー部材31aの外部に配置されている。具体的には、移動部材51aは、カバー部材31aの上壁部32aの上方に配置されている。また、移動部材51aは、2列の第1ファスナー41aおよび第2ファスナー41bのそれぞれに跨って配置されている。移動部材51aには、複数の装着孔52aが設けられており、この装着孔52aを利用して、移動部材51aと共に搬送される搬送部材(図示せず)が取り付けられる。移動部材51aには、摺動部材21a、具体的には摺動部材21aに含まれる中間部材27aと連結するための連結孔53aが複数設けられている。本実施形態においては、連結孔53aは、X方向およびY方向にそれぞれ間隔をあけて合計4つ設けられている。また、移動部材51aには、レール11a側に位置する下面から内部側に凹んだ一対の受け入れ凹部54a,54bが設けられている(特に図5参照)。この受け入れ凹部54a,54bはそれぞれ、中間部材27aに設けられた一対の位置決め突起29a,29bを受け入れる形状である。移動部材51aは、連結部材56a、具体的には第1支持部材57a,58aおよび第2支持部材57b,58bを利用して、連結孔53aおよび受け入れ凹部54a,54bにより、摺動部材21aに含まれる中間部材27aに連結され、固定される。
【0043】
連結部材56aは、摺動部材21aと移動部材51aとを連結する。連結部材56aは、第1支持部材57a,58aおよび第2支持部材57b,58bを含む。第1支持部材57a,58aはそれぞれ、Z方向に延びるボルト状である。第1支持部材57a,58aは、長手方向に間隔をあけて配置される。第1支持部材57a,58aはそれぞれ、長手方向において第1前側スライダ44aと第1後側スライダ45aとの間に配置される。具体的には、第1支持部材57a,58aは、上記した第1開口領域46aに配置される。すなわち、この第1開口領域46aを介して、カバー部材31aに覆われている摺動部材21aとカバー部材31aの外部に配置される移動部材51aとが第1支持部材57a,58aによって連結可能な構成となる。また、第2支持部材57b,58bはそれぞれ、Z方向に延びるボルト状である。第2支持部材57b,58bは、長手方向に間隔をあけて配置される。第2支持部材57b,58bはそれぞれ、長手方向において第2前側スライダ44bと第2後側スライダ45bとの間に配置される。具体的には、第2支持部材57b,58bは、上記した第2開口領域46bに配置される。すなわち、この第2開口領域46bを介して、カバー部材31aに覆われている摺動部材21aとカバー部材31aの外部に配置される移動部材51aとが第2支持部材57b,58bによって連結可能な構成となる。本実施形態においては、移動部材51aは、第1支持部材57a,58aおよび第2支持部材57b,58bによって、支持されている。
【0044】
長手方向に垂直な方向であってレール上面12a側から見て、第1右側エレメント42aおよび第1左側エレメント43aが互いに離間した際に生ずる第1開口領域46aは、レール11aを避けた位置に配置される。すなわち、第1開口領域46aは、Z方向に見て、レール11aと重ならない位置に設けられている。本実施形態においては、長手方向に垂直な方向であってレール上面12a側から見て、第1ファスナー41aは、レール11aを避けた位置に配置される。同様に、長手方向に垂直な方向であってレール上面12a側から見て、第2右側エレメント42bおよび第2左側エレメント43bが互いに離間した際に生ずる第2開口領域46bは、レール11aを避けた位置に配置される。すなわち、第2開口領域46bは、Z方向に見て、レール11aと重ならない位置に設けられている。本実施形態においては、長手方向に垂直な方向であってレール上面12a側から見て、第2ファスナー41bは、レール11aを避けた位置に配置される。より具体的には、長手方向に垂直な方向であってレール上面12a側から見て、第1開口領域46aと第2開口領域46bとのX方向の間に、レール11aが配置される。
【0045】
ここで、カバー部材31aの具体的な構成について説明する。カバー部材31aは、面ファスナー38aを含む。具体的には、面ファスナー38aは、壁部に含まれる平板部35aに設けられている。本実施形態においては、面ファスナー38aは、平板部35aの厚さ方向の一方側に設けられている。この場合、面ファスナー38aは、レール11aのレール下面12b側に設けられている。また、面ファスナー38aは、開口部36aを取り囲むように設けられている。具体的には、面ファスナー38aは、平板部35aの全域にわたって設けられている。カバー部材31aの取り付けに際しては、設置個所に同じく設けられた面ファスナー(図示せず)にカバー部材31aの面ファスナー38aを装着して、カバー部材31aを取り付ける。このようにして、カバー部材31aは、所定の設置個所に固定される。なお、面ファスナー38aによる装着であるため、着脱が自在な構成である。
【0046】
また、本開示の直動案内ユニット10aによると、上壁部32aと、前側壁部33a、後側壁部33b、右側壁部34aおよび左側壁部34bによって形成された空間37aにレール11aおよび摺動部材21aを収容することにより、カバー部材31aは、レール11aおよび摺動部材21aを覆う。そして、摺動部材21aの動作時、すなわち摺動部材21aが直線往復運動をする際には、第1ファスナー41aに含まれる第1右側エレメント42aおよび第1左側エレメント43aの離間および噛み合わせにより、カバー部材31aによってレール11aおよび摺動部材21aが覆われた状態を維持しながら、摺動部材21aを摺動させることができる。よって、摺動部材21aの摺動時における防塵性および防水性を高めることができる。また、平板部35aには、面ファスナー38aが設けられているため、カバー部材31aの取り付けに際し、ねじや接着剤等は不要であり、位置決めを容易に行いやすい。また、面ファスナー38aによる面での固定であるため、隙間が発生しにくく、レール11aおよび摺動部材21aが収容された空間37aにおける高い密封性を維持することができる。したがって、このような直動案内ユニット10aによると、カバー部材31aの高い密封性を確保しながら取り付け性の向上を図ることができる。なお、面ファスナー38aによる取り付けは、その位置の調整を容易に行うことができるため、利便性の向上を図ることもできる。
【0047】
本実施形態においては、面ファスナー38aは、平板部35aの厚さ方向の一方側に設けられている。よって、平板部35aを利用して、カバー部材31aを取り付ける際に、面ファスナー38aを適切に設置個所に取り付けることができる。したがって、取り付け性の向上をさらに図ることができる。
【0048】
本実施形態においては、面ファスナー38aは、開口部36aを取り囲むように設けられている。よって、カバー部材31aにおける密封性をより高めることができる。したがって、より確実に高い密封性を維持することができる。
【0049】
また、上記直動案内ユニット10aによると、長手方向に垂直な方向であってレール上面12a側から見て、第1右側エレメント42aおよび第1左側エレメント43aが互いに離間した際に生ずる第1開口領域46aは、レール11aを避けた位置に配置されるため、カバー部材31a上に塵等の異物が第1右側エレメント42aおよび第1左側エレメント43aが離間した際に、カバー部材31aの内部に進入したとしても、異物がレール11aに到達するおそれを低減することができる。そうすると、第1軌道面15a,15bに異物が付着するおそれを低減することができ、第1軌道面15a,15bと第2軌道面17a,17bとから構成される軌道路18a,18bにおいて、異物による摺動部材21aの円滑な摺動の阻害を回避することができる。したがって、このような直動案内ユニット10aによれば、摺動部材21aの円滑な動作を確保することができる。
【0050】
また、上記直動案内ユニット10aによると、上記した構成の第2ファスナー41bを含む。よって、第2開口領域46bは、レール11aを避けた位置に配置されているため、第2開口領域46bから異物が進入したとしても、異物が第1軌道面15a,15bに付着するおそれを低減することができ、摺動部材21aの円滑な動作を確保することができる。また、第1支持部材57a,58aおよび第2支持部材57b,58bの双方で移動部材51aを支持することができるため、移動部材51aに負荷される荷重を分散して受けることができる。したがって、耐負荷能力の向上を図ることができる。
【0051】
本実施形態においては、第1左側エレメント43aと第2右側エレメント42bとの間の領域は、弾性体から構成されている。よって、摺動部材21aの動作時における離間および噛み合わせの際の、第1左側エレメント43aと第2右側エレメント42bとの間の領域の撓みや盛り上がりを抑制して、カバー部材31aとレール11aおよび摺動部材21aとが干渉するおそれを低減することができる。
【0052】
本実施形態においては、レール側面14aに取り付けられ、長手方向に垂直な方向であってレール上面12a側から見て、レール側面14aと第1ファスナー41aの第1開口領域46aとの間に配置される遮蔽部材61aを含む。また、レール側面14bに取り付けられ、長手方向に垂直な方向であってレール上面12a側から見て、レール側面14bと第2ファスナー41bの第2開口領域46bとの間に配置される遮蔽部材61bを含む。よって、カバー部材31aによって覆われていない領域において、遮蔽部材61a,61bにより、レール側面14a,14b側からの異物が侵入するおそれを低減することができる。したがって、より摺動部材21aの円滑な動作を確保することができる。
【0053】
(実施の形態2)
次に、他の実施の形態である実施の形態2について説明する。図10は、本開示の実施の形態2における直動案内ユニットの概略斜視図である。
【0054】
図10を参照して、実施の形態2における直動案内ユニット10bにおいて、カバー部材31bに含まれる上壁部32a、前側壁部33a、後側壁部33b、右側壁部34aおよび左側壁部34bは、外部から内部を視認可能である。具体的には、カバー部材31bに含まれる上壁部32a、前側壁部33a、後側壁部33b、右側壁部34aおよび左側壁部34bは、透明の樹脂で構成されている。このようにすることにより、カバー部材31bの内部の状態を把握し易くなり、メンテナンス性の向上を図ることができる。なお、内部を視認可能な構成については、上記した上壁部32a、前側壁部33a、後側壁部33b、右側壁部34aおよび左側壁部34bの全ての設ける必要はなく、例えば上記した実施の形態1における部分39a,39bに相当する領域において、透明な構成としてもよい。
【0055】
(実施の形態3)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態3について説明する。図11は、本開示の実施の形態3における直動案内ユニットの一部を示す概略斜視図である。図11は、移動部材の図示を省略している。
【0056】
図11を参照して、実施の形態3における直動案内ユニット10cにおいて、第1前側スライダ44aおよび第1後側スライダ45aには、第1右側エレメント42aおよび第1左側エレメント43aが噛み合った領域の上部を掃くシール部材64a,65aが設けられている。また、第2前側スライダ44bおよび第2後側スライダ45bには、第2右側エレメント42bおよび第2左側エレメント43bが噛み合った領域の上部を掃くシール部材64b,65bが設けられている。このようにすることにより、第1前側スライダ44aおよび第1後側スライダ45aの移動の時にシール部材64a,65aが移動し、第2前側スライダ44bおよび第2後側スライダ45bの移動の時にシール部材64b,65bが移動するため、シール部材64a,65a,64b,65bによりカバー部材31aの上部に堆積した異物がカバー部材31aの内部に進入するおそれを低減することができる。したがって、軌道路18a,18bに異物が入り込むおそれを低減して、より摺動部材21aの円滑な動作を確保することができる。
【0057】
(実施の形態4)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態4について説明する。図12および図13はそれぞれ、本開示の実施の形態4における直動案内ユニットの一部を示す概略斜視図である。図12および図13は、それぞれ異なる角度から見た図である。図14は、図12に示す直動案内ユニットの概略平面図である。図15は、図12に示す直動案内ユニットの概略底面図である。図16は、図12に示す直動案内ユニットの概略正面図である。図17は、図2中のXVII-XVIIで示す断面で切断した場合の概略断面図である。図18は、図12に示す直動案内ユニットにおいて、カバー部材の一部の図示を省略した場合の概略斜視図である。図19は、図12に示す直動案内ユニットにおいて、移動部材の図示を省略した場合の概略斜視図である。図20は、図12に示す直動案内ユニットにおいて、移動部材およびカバー部材の一部の図示を省略した場合の概略斜視図である。実施の形態4の直動案内ユニットは、実施の形態1の直動案内ユニットに対して、ファスナーの数および平板部の構成等において相違する。
【0058】
図12図20を参照して、実施の形態4における直動案内ユニット10dは、レール11aと、摺動部材21aと、転動体としてのボール20aと、カバー部材31dと、移動部材51dと、連結部材(図示せず)と、を備える。レール11aは、それぞれ長手方向に延びるレール上面12a、レール下面12bおよびレール側面14a,14bを含む。レール側面14a,14bには、第1軌道面15a,15bが設けられている。レール11aの基本的な形状は、貫通孔16の数および第1軌道面15a,15bの形状等が若干異なるものの実施の形態1の場合と同等である。摺動部材21aは、レール11aに相対移動可能に取り付けられる。摺動部材21aは、レール上面12aと対向する摺動部材下面24aおよび第1軌道面15a,15bに対向する第2軌道面17a,17bを含む。摺動部材21aは、ケーシング25aと、前側エンドキャップ26aと、後側エンドキャップ26bと、中間部材27aと、を含む。摺動部材21aの基本的な構成も、実施の形態1の場合と同等である。ボール20aは、第1軌道面15a,15bと第2軌道面17a,17bとから構成される軌道路18a,18bを転動する。なお、摺動部材21aに含まれる中間部材27aについては、板状であって、後述する移動部材51dに設けられた位置決め突起54dを受け入れる受け入れ凹部29dが設けられている。
【0059】
カバー部材31dは、レール11aおよび摺動部材21aを覆う。カバー部材31dは、長手方向に延びるファスナー41dを含む。カバー部材31dは、中央に開口部36dが設けられた平板部35dと、平板部35dから立ち上がるように設けられた前側壁部33a、後側壁部33e、右側壁部34dおよび左側壁部34eと、前側壁部33a、後側壁部33e、右側壁部34dおよび左側壁部34eとそれぞれ連なる上壁部32dと、を含む。上壁部32dには、長手方向に延びるようにファスナー41dが設けられている。カバー部材31dに設けられた空間37d内に、レール11aおよび摺動部材21aが収容される。カバー部材31dに含まれる平板部35dは、本実施形態においては、各側壁部、すなわち、前側壁部33a、後側壁部33e、右側壁部34dおよび左側壁部34eのそれぞれのZ方向の端部を、いわゆる内側に折り曲げて形成された形状である。カバー部材31dは、レール11aの下側に相当する部分に開口部36dが設けられた直方体形状となっている。
【0060】
移動部材51dは、板状である。移動部材51dの外形形状は、Z方向に見て長手方向(Y方向)に長い矩形状である。移動部材51dの長手方向の両端部の外形形状は、Z方向に見て角部が丸められた形状をしている。移動部材51dは、カバー部材31dの外部に配置されている。具体的には、移動部材51dは、カバー部材31dの上壁部32dの上方に配置されている。また、移動部材51aは、ファスナー41d上に配置されている。移動部材51dには、複数、本実施形態においては2つの装着孔52dが設けられており、この装着孔52dを利用して、移動部材51dと共に搬送される搬送部材(図示せず)が取り付けられる。移動部材51dは、摺動部材21aと共に移動する。移動部材51dには、摺動部材21a、具体的には摺動部材21aに含まれる中間部材27aと連結するための連結孔53dが複数設けられている。本実施形態においては、連結孔53dは、Y方向に間隔をあけて合計2つ設けられている。また、移動部材51aには、レール11a側に位置する下面から突出する位置決め突起54dが設けられている。この位置決め突起54dは、中間部材27aに設けられた受け入れ凹部29dに受け入れられる形状である。移動部材51aは、連結部材(図示せず)を利用して、連結孔53aにより、摺動部材21aに含まれる中間部材27aに連結され、固定される。
【0061】
ファスナー41dは、実施の形態1の場合の第1ファスナー41aまたは第2ファスナー41bと同等であり、右側エレメント42dと、左側エレメント43dと、前側スライダ44dと、後側スライダ45dと、を含む。右側エレメント42dおよび左側エレメント43dはそれぞれ、長手方向に延び、互いに噛み合い可能な構成である。前側スライダ44dおよび後側スライダ45dはそれぞれ、右側エレメント42dおよび左側エレメント43dに取り付けられ、摺動部材21aおよび移動部材51dに固定される。前側スライダ44dおよび後側スライダ45dは、摺動部材21aおよび移動部材51dが移動する際に、相手が位置する側と反対の向きに移動するのに伴って右側エレメント42dおよび左側エレメント43dを互いに離間させるとともに、相手が位置する側の向きに移動するのに伴って右側エレメント42dおよび左側エレメント43dを互いに噛み合わせる。ファスナー41dは、テープ部材47dに形成されており、ファスナー41dが形成されたテープ部材47dが、カバー部材31dの上壁部32dの一部を構成している。本実施形態においては、実施の形態1の場合と異なり、ファスナー41dは、1列である。ファスナー41dは、Z方向に見て、上壁部32dにおいて、X方向の中央に配置されている。
【0062】
なお、本実施形態においては、カバー部材31dは、第1予備スライダ76dおよび第2予備スライダ77dを含む。第1予備スライダ76dおよび第2予備スライダ77dは共に、右側エレメント42dおよび左側エレメント43dに取り付けられる。第1予備スライダ76dは、前側スライダ44dよりも前側、すなわち、前側壁部33d側に配置されている。本実施形態においては、右側エレメント42dと左側エレメント43dの長手方向の前側の端部に配置されている。第1予備スライダ76dを矢印Yの向きに移動させることにより、右側エレメント42dと左側エレメント43dとを離間させる。第1予備スライダ76dを矢印Yと逆の向きに移動させることにより、右側エレメント42dと左側エレメント43dとを噛み合わせる。第2予備スライダ77dは、後側スライダ45dよりも後側、すなわち、後側壁部33e側に配置されている。本実施形態においては、右側エレメント42dと左側エレメント43dの長手方向の後側に端部に配置されている。第2予備スライダ77dを矢印Yと逆の向きに移動させることにより、右側エレメント42dと左側エレメント43dとを離間させる。第2予備スライダ77dを矢印Yの向きに移動させることにより、右側エレメント42dと左側エレメント43dとを噛み合わせる。このような第1予備スライダ76dおよび第2予備スライダ77dを利用することにより、ファスナー41dの開閉を行うことができる。第1予備スライダ76dおよび第2予備スライダ77dは、例えば、通常はファスナー41dが閉じられた状態としておいて、カバー部材31dの内部の掃除等、直動案内ユニット10dのメンテナンス時においてファスナー41dを開閉させることにより、有効に利用される。
【0063】
ここで、平板部35dには、面ファスナー38dが設けられている。面ファスナー38dは、平板部35dの厚さ方向の一方側に設けられている。この場合、面ファスナー38dは、レール11aのレール下面側に設けられている。また、面ファスナー38dは、開口部36dを取り囲むように設けられている。すなわち、面ファスナー38dは、平板部35dの全域にわたって設けられている。カバー部材31dの取り付けに際しては、設置個所に同じく設けられた面ファスナー(図示せず)にカバー部材31dの面ファスナー38dを装着して、カバー部材31dを取り付ける。このようにして、カバー部材31dは、所定の設置個所に固定される。なお、面ファスナー38dによる装着であるため、着脱が自在な構成である。
【0064】
本開示の直動案内ユニット10dによると、上壁部32dと、前側壁部33d、後側壁部33e、右側壁部34dおよび左側壁部34eによって形成された空間37dにレール11aおよび摺動部材21aを収容することにより、カバー部材31dは、レール11aおよび摺動部材21aを覆う。そして、摺動部材21aの動作時、すなわち摺動部材21aが直線往復運動をする際には、ファスナー41dに含まれる右側エレメント42dおよび左側エレメント43dの離間および噛み合わせにより、カバー部材31dによってレール11aおよび摺動部材21aが覆われた状態を維持しながら、摺動部材21aを摺動させることができる。よって、摺動部材21aの摺動時における防塵性および防水性を高めることができる。また、平板部35dには、面ファスナー38dが設けられているため、カバー部材31dの取り付けに際し、ねじや接着剤等は不要であり、位置決めを容易に行いやすい。また、面ファスナー38dによる面での固定であるため、隙間が発生しにくく、レール11aおよび摺動部材21aが収容された空間37dにおける高い密封性を維持することができる。したがって、このような直動案内ユニット10dによると、カバー部材31dの高い密封性を確保しながら取り付け性の向上を図ることができる。なお、面ファスナー38dによる取り付けは、その位置の調整を容易に行うことができるため、利便性の向上を図ることもできる。
【0065】
(実施の形態5)
次に、さらに他の実施の形態である実施の形態5について説明する。図21は、本開示の実施の形態5における直動案内ユニットを示す概略斜視図である。図22は、図21中のXXII-XXIIで示す断面で切断した場合の概略断面図である。実施の形態5の直動案内ユニットは、実施の形態4の直動案内ユニットに対して、カバー部材の構成等において相違する。
【0066】
図21および図22を参照して、実施の形態5における直動案内ユニット10fは、レール11aと、摺動部材21aと、転動体としてのボール20aと、ファスナー41fを有するカバー部材31fと、移動部材51fと、連結部材(図示せず)と、を備える。レール11aは、それぞれ長手方向に延びるレール上面12a、レール下面12bおよびレール側面14a,14bを含む。レール側面14a,14bにはそれぞれ、第1軌道面15a,15bが設けられている。レール11aの基本的な形状は、実施の形態4の場合と同等である。摺動部材21aは、レール11aに相対移動可能に取り付けられる。摺動部材21aは、レール上面12aと対向する摺動部材下面24aおよび第1軌道面15a,15bに対向する第2軌道面17a,17bを含む。摺動部材21aは、ベース部22aと、一対の袖部23a,23bと、を含む。また、摺動部材21aは、ケーシング25aと、前側エンドキャップと、後側エンドキャップと、中間部材27aと、を含む。摺動部材21aの基本的な構成も、実施の形態1の場合と同等である。ボール20aは、第1軌道面15a,15bと第2軌道面17a,17bとから構成される軌道路18a,18bを転動する。なお、摺動部材21aに含まれる中間部材27aについては、板状であって、移動部材51f側に突出する位置決め突起29fが設けられている。
【0067】
移動部材51fは、板状である。移動部材51fの外形形状は、Z方向に見て長手方向(Y方向)に長い矩形状である。移動部材51fは、カバー部材31fの外部に配置されている。具体的には、移動部材51fは、カバー部材31fの上壁部32fの上方に配置されている。また、移動部材51fは、ファスナー41f上に配置されている。移動部材51fには、複数、本実施形態においては2つの装着孔52fが設けられており、この装着孔52fを利用して、移動部材51fと共に搬送される搬送部材(図示せず)が取り付けられる。移動部材51fは、摺動部材21aと共に移動する。移動部材51fには、摺動部材21a、具体的には摺動部材21aに含まれる中間部材27aと連結するための連結孔(図示せず)が複数設けられている。また、移動部材51fには、レール11a側に位置する下面から凹む受け入れ凹部54fが設けられている。この受け入れ凹部54fは、中間部材27aに設けられた位置決め突起29fを受け入れる形状である。移動部材51fは、連結部材(図示せず)を利用して、連結孔により、摺動部材21aに含まれる中間部材27aに連結され、固定される。なお、ファスナー41fには、実施の形態4のように予備第1スライダおよび予備第2スライダは設けられていない。
【0068】
カバー部材31fは、レール11aおよび摺動部材21aを覆う。カバー部材31fは、長手方向に延びるファスナー41fを含む。カバー部材31fは、前側壁部33f、後側壁部33g、右側壁部34fおよび左側壁部34gと、前側壁部33f、後側壁部33g、右側壁部34fおよび左側壁部34gとそれぞれ連なる上壁部32fと、を含む。ファスナー41fは、右側エレメント42fと、左側エレメント43fと、前側スライダと、後側スライダと、を含む。ファスナー41fは、テープ部材47fに形成されており、ファスナー41fが形成されたテープ部材47fが、カバー部材31fの上壁部32fの一部を構成している。本実施形態においては、カバー部材31fは、実施の形態4における平板部を含まない構成である。カバー部材31fに設けられた空間37f内に、レール11aおよび摺動部材21aが収容される。カバー部材31fは、レール11aの下側に相当する部分に開口部36fが設けられた直方体形状となっている。
【0069】
また、カバー部材31fは、厚さ方向(Z方向)に見て矩形状のベース板81fと、ベース板81fに取り付けられる一対の取り付け板82f,82gを含む。ベース板81fは、長手方向(Y方向)に延びる形状であり、開口部36fを塞ぐように配置されている。ベース板81fは、X方向の一方側に位置する側面87fと、X方向の他方側に位置する側面87gと、を含む。ベース板81fの長手方向の長さは、カバー部材31fの開口部36fの長手方向の長さと等しく構成されている。レール11aは、ベース板81fに取り付けられている。具体的には、レール下面12bがベース板81fの厚さ方向における一方側、この場合、空間37f側に配置されるベース板上面83fと対向するようにして、図示しないボルトにより締結されている。この場合、レール11aに設けられた複数の貫通孔16が利用される。レール11aは、短手方向(X方向)の中央に位置するようにベース板81fに取り付けられる。
【0070】
取り付け板82f,82gはそれぞれ、薄い板状の部材を直角に折り曲げた形状であり、長手方向に延びる形状である。取り付け板82f,82gもそれぞれ、ベース板81fに図示しないボルト等により取り付けられる。本実施形態においては、取り付け板82f,82gは、X方向において、レール11aを挟むように取り付けられる。取り付け板82fは、X-Y平面と平行な第1部分84fと、Y-Z平面と平行な第2部分85fと、を含む。取り付け板82fは、第1部分84fがベース板上面83fと接触し、第2部分85fが空間37f内においてZ方向に立ち上がるように取り付けられる。同様に、取り付け板82gは、X-Y平面と平行な第1部分84gと、Y-Z平面と平行な第2部分85gと、を含み、第1部分84gがベース板上面83fと接触し、第2部分85gが空間37f内においてZ方向に立ち上がるように取り付けられる。取り付け板82f,82gを取り付けた状態において、レール11aと第2部分85fとの間に、摺動部材21aの一方の袖部23aが配置され、レール11aと第2部分85gとの間に、摺動部材21aの他方の袖部23bが配置される。また、第2部分85fの側面86fと右側壁部34fのうちの空間37f側に位置する内壁面39fとが対向するように配置され、第2部分85gの側面86gと左側壁部34gのうちの空間37f側に位置する内壁面39gとが対向するように配置される。
【0071】
第2部分85fの側面86fには、面ファスナー88fが取り付けられている。また、第2部分85gの側面86gには、面ファスナー88gが取り付けられている。この面ファスナー88f,88gはそれぞれ、第2部分85f,85gのY方向およびZ方向の全域に設けられている。面ファスナー88f,88gは、ベース板81fのX方向の両側面87f,87gの途中に至るまで設けられている。
【0072】
ここで、カバー部材31fの壁部、具体的には、右側壁部34fおよび左側壁部34gには、面ファスナー38f,38gが取り付けられている。本実施形態においては、右側壁部34fの内壁面39fに面ファスナー38fが取り付けられ、左側壁部34gのうちの空間37f側に位置する内壁面39gに面ファスナー38gが取り付けられている。すなわち、面ファスナー38f,38gはそれぞれ、実施の形態1~4の場合と異なり、Y-Z平面と平行に設けられている。面ファスナー38f,38gは、内壁面39f,39gのY方向の全域に設けられている。面ファスナー38f,38gは、内壁面39f,39gのうち、開口部36f側の端部からZ方向の途中まで設けられている。面ファスナー38f,38gのY方向の長さおよびZ方向の長さはそれぞれ、面ファスナー88f,88gと同じである。
【0073】
カバー部材31fは、面ファスナー38fに面ファスナー88fを装着し、面ファスナー38gに面ファスナー88gを装着するようにして、ベース板81fおよび取り付け板82f,82gに取り付けられる。すなわち、カバー部材31fは、X方向において面ファスナー38fと面ファスナー88f、面ファスナー38gと面ファスナー88gとを装着させてベース板81fおよび取り付け板82f,82gに固定される。このようにすることにより、面ファスナー38f,38gが設けられた部分について、塵等の異物が堆積するおそれを低減することができる。したがって、カバー部材31f内に異物が入り込むおそれを低減して、より摺動部材21aの円滑な動作を確保することができる。
【0074】
この場合、面ファスナー38fと面ファスナー88f、面ファスナー38gと面ファスナー88gとがそれぞれ装着されることにより、開口部36fを塞ぐように構成することができる。したがって、よりカバー部材31fの空間37fの密封性を高くして、摺動部材21aの円滑な摺動を確保することができる。
【0075】
(他の実施の形態)
なお、上記実施の形態においては、転動体としてボールを用いることとしたが、これに限らず、転動体としてころを用いることとしてもよい。
【0076】
また、上記実施の形態においては、1列または2列のファスナーを備える構成としたが、これに限らず、3列以上のファスナーを備える構成としてもよい。
【0077】
なお、上記実施の形態においては、面ファスナーは、平板部の厚さ方向の一方側の全域に設けられることとしたが、これに限らず、面ファスナーは、平板部の厚さ方向の一方側の一部に設けられることとしてもよい。
【0078】
なお、上記実施の形態において、右側エレメントおよび左側エレメントのうちの少なくともいずれか一方は、互いに噛み合う部分に設けられた含油樹脂を含むこととしてもよい。このようにすることにより、右側エレメントおよび左側エレメントの円滑な移動を促進することができ、摺動部材の円滑な動作を確保することができる。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0080】
10a,10b,10c,10d,10f 直動案内ユニット、11a レール、12a レール上面、12b レール下面、13a レール前面、13b レール後面、14a,14b レール側面、15a,15b 第1軌道面、16 貫通孔、17a,17b 第2軌道面、18a,18b 軌道路、19a,19b リターン路、20a ボール、21a 摺動部材、22a ベース部、23a,23b 袖部、24a 摺動部材下面、25a ケーシング、26a 前側エンドキャップ、26b 後側エンドキャップ、27a 中間部材、29a,29b,29f,54d 位置決め突起、29d,54a,54b,54f 受け入れ凹部、31a,31b,31d,31f カバー部材、32a,32d,32f 上壁部、33a,33d,33f 前側壁部、33b,33e,33g 後側壁部、34a,34d,34f 右側壁部、34b,34e,34g 左側壁部、35a,35d 平板部、36a,36d,36f 開口部、37a,37d,37f 空間、38a,38d,38f,38g,88f,88g 面ファスナー、39a,39b 部分、39f,39g 内壁面、41a ファスナー(第1ファスナー)、41b ファスナー(第2ファスナー)、41d,41f ファスナー、42a 右側エレメント(第1右側エレメント)、42b 右側エレメント(第2右側エレメント)、42d,42f 右側エレメント、43a 左側エレメント(第1左側エレメント)、43b 左側エレメント(第2左側エレメント)、43d,43f 左側エレメント、44a 前側スライダ(第1前側スライダ)、44b 前側スライダ(第2前側スライダ)、44d 前側スライダ、45a 後側スライダ(第1後側スライダ)、45b 後側スライダ(第2後側スライダ)、45d 後側スライダ、46a 開口領域(第1開口領域)、46b 開口領域(第2開口領域)、47a テープ部材(第1テープ部材)、47b テープ部材(第2テープ部材)、47d,47f テープ部材、51a,51d,51f 移動部材、52a,52d,52f 装着孔、53a,53d 連結孔、56a 連結部材、57a,58a 第1支持部材、57b,58b 第2支持部材、61a,61b 遮蔽部材、64a,64b,65a,65b シール部材、76d 第1予備スライダ、77d 第2予備スライダ、81f ベース板、82f,82g 取り付け板、83f ベース板上面、84f,84g 第1部分、85f,85g 第2部分、86f,86g,87f,87g 側面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22