(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184072
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】フィルム貼付具
(51)【国際特許分類】
B29C 63/02 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
B29C63/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022097991
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】大澤 智文
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AC03
4F211AG01
4F211AH18
4F211AH31
4F211AH46
4F211AR07
4F211SC01
4F211SC06
4F211SD01
4F211SP01
(57)【要約】
【課題】作業者の熟練度によらず、容易にフィルムを貼り付けることができるフィルム貼付具を提供する。
【解決手段】フィルム貼付具は、被着体に対してフィルムを貼り付けるフィルム貼付具であって、フィルムの貼り付け時にフィルムを被着体に押圧する押圧部を備え、押圧部は、当該押圧部の厚み方向軸に沿った一方側に、フィルムと接触する接触部を有し、接触部は、厚み方向軸と直交する第1軸に沿って延び、厚み方向軸に沿って見たときに、接触部は、第1軸における端部側から、第1軸に沿って中央部分側へ向かうに従って、厚み方向軸及び第1軸と直交する第2軸へ突出する形状を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体に対してフィルムを貼り付けるフィルム貼付具であって、
前記フィルムの貼り付け時に前記フィルムを前記被着体に押圧する押圧部を備え、
前記押圧部は、当該押圧部の厚み方向軸に沿った一方側に、前記フィルムと接触する接触部を有し、
前記接触部は、前記厚み方向軸と直交する第1軸に沿って延び、
前記厚み方向軸に沿って見たときに、前記接触部は、前記第1軸における端部側から、前記第1軸に沿って中央部分側へ向かうに従って、前記厚み方向軸及び前記第1軸と直交する第2軸へ突出する形状を有する、フィルム貼付具。
【請求項2】
前記厚み方向軸に沿って見たときに、前記接触部は、円弧状の形状を有する、請求項1に記載のフィルム貼付具。
【請求項3】
前記厚み方向軸に沿って見たときに、前記接触部は、前記第1軸における前記端部側から、前記中央部分側へ向かうに従って前記第2軸へ向かう直線状の傾斜部を有する、請求項1に記載のフィルム貼付具。
【請求項4】
前記接触部は、所定の幅を有した状態で前記第1軸に沿って延びる、請求項1に記載のフィルム貼付具。
【請求項5】
前記押圧部に設けられ、作業者が保持する保持部を更に備え、
前記保持部は、前記厚み方向軸に沿って厚みを有する板状部材によって構成される、請求項1に記載のフィルム貼付具。
【請求項6】
前記板状部材を含む面と前記押圧部を含む面との角度が、10°~50°である、請求項5に記載のフィルム貼付具。
【請求項7】
前記押圧部に設けられ、作業者が保持する保持部を更に備え、
前記保持部は、前記作業者が把持可能なハンドルによって構成される、請求項1に記載のフィルム貼付具。
【請求項8】
前記押圧部には、前記押圧部を被覆する被覆部材を更に備える、請求項1に記載のフィルム貼付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一形態は、フィルム貼付具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被着体に対してフィルムを貼り付けるフィルム貼付具が知られている(例えば、特許文献1)。このフィルム貼付具は、フィルムの貼付時にフィルムを被着体に押圧する板状の押圧部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】中国実用新案第213382989号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業者が上述のフィルム貼付具を用いてフィルムの貼り付けを行うときには、フィルム内に気泡が入り込まないようにフィルム貼付具を操作して貼付作業を行う必要がある。しかしながら、当該貼付作業には熟練度が必要であり、熟練度の低い作業者にとっては、貼付作業が難しいという問題があった。そこで、作業者の熟練度によらず、容易にフィルムを貼り付けることができるフィルム貼付具が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態におけるフィルム貼付具は、被着体に対してフィルムを貼り付けるフィルム貼付具であって、フィルムの貼り付け時にフィルムを被着体に押圧する押圧部を備え、押圧部は、当該押圧部の厚み方向軸に沿った一方側に、フィルムと接触する接触部を有し、接触部は、厚み方向軸と直交する第1軸に沿って延び、厚み方向軸に沿って見たときに、接触部は、第1軸における端部側から、第1軸における中央部分側へ向かうに従って、厚み方向軸及び第1軸と直交する第2軸へ突出する形状を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、作業者の熟練度によらず、容易にフィルムを貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係るフィルム貼付具を示す斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、フィルム貼付具の側面図であり、
図2(b)は、
図1のIIb-IIb線に沿った断面図である。
【
図3】
図3(a)は、フィルム貼付具の平面図であり、
図3(b)は、フィルム貼付具の底面図である。
【
図4】変形例に係るフィルム貼付具の平面図である。
【
図5】変形例に係るフィルム貼付具の断面図である。
【
図6】変形例に係るフィルム貼付具の平面図である。
【
図7】変形例に係るフィルム貼付具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を付すこととする。
【0009】
図1は、一実施形態に係るフィルム貼付具を示す斜視図である。
図2(a)は、フィルム貼付具の側面図であり、
図2(b)は、
図1のIIb-IIb線に沿った断面図である。
図3(a)は、フィルム貼付具の平面図であり、
図3(b)は、フィルム貼付具の底面図である。フィルム貼付具1は、被着体100に対してフィルム101を貼り付けるための工具である。被着体100として、例えば車両の車体、建物の内外装壁面、車、鉄道車両などの内外装、看板、航空機の機体、船舶の船体、建築物や車両などの窓などが挙げられる。フィルム101として、車体の表面に貼り付ける保護フィルム、建物の内外装壁面、車、鉄道などの内外装、看板、航空機の機体、船舶の船体などに貼る装飾フィルム、看板に貼り付けるマーキングフィルム、建築物や車両などの窓などに貼るウインドウフィルムなどが挙げられる。
【0010】
図1に示すように、フィルム貼付具1は、押圧部2と、保持部3と、を備える。押圧部2は、フィルム101の貼り付け時にフィルム101を被着体100に押圧する。保持部3は、押圧部2に設けられ、作業者が保持するための部分である。なお、以降の説明においては、押圧部2の厚み方向軸を「厚み方向軸D3」とする。また厚み方向軸D3と直交する軸を「第1軸D1」とする。厚み方向軸D3及び第1軸D1と直交する軸を「第2軸D2」とする。なお、以降の説明においては、フィルム貼付具1がフィルム101の貼付を行っているときの姿勢を基準として説明を行う。厚み方向軸D3は上下方向と平行になり、厚み方向軸D3におけるフィルム101側を下側(一方側)と称し、フィルム101の反対側を上側と称する。保持部3は、押圧部2に対して第2軸D2に沿った一方側に設けられる。第2軸D2のうち、押圧部2から見て保持部3が設けられている一方側を後側と称する。第2軸D2のうち、押圧部2から見て保持部3と反対側を前側と称する。
【0011】
押圧部2は、第1軸D1に沿って延びるブロック状の部材によって構成される。押圧部2は、下面2aと、上面2bと、側面2c,2dと、を有する。下面2aは、厚み方向軸D3に沿った下側に形成される。上面2bは、厚み方向軸D3に沿った上側に形成される。側面2cは、第2軸D2に沿った前側に形成される。側面2cは、第2軸D2における前側へ突出するような湾曲面である。側面2cの形状の詳細については後述する。側面2dは、第2軸D2に沿った後側に形成される。
【0012】
図2(b)及び
図3(b)に示すように、押圧部2は、当該押圧部2の厚み方向軸D3に沿った下側に、フィルム101と接触する接触部11を有する。接触部11は、第1軸D1に沿って延びる。接触部11は、下面2aのうち、第2軸D2における前側の縁部に形成される。接触部11は、下面2aの縁部付近の一部を下方へ向けて突出させることによって形成される。これにより、下面2aには、接触部11と、接触部11より上側に配置される本体部12と、接触部11と本体部12との間の段差部13と、が形成される。接触部11及び本体部12は、第1軸D1及び第2軸D2と平行な平面をなす。
【0013】
次に、
図3(a)(b)を参照して、厚み方向軸D3に沿って見たときの押圧部2の形状について説明する。
図3(a)(b)の押圧部2には、第1軸D1における中央部分に中心線CL1が示されている。押圧部2の側面2cは、厚み方向軸D3に沿って見たときに、第1軸D1における端部2e,2f側から、第1軸D1における中央部分側へ向かうに従って、第2軸D2における前側へ突出する形状を有する。従って、接触部11は、厚み方向軸D3に沿って見たときに、第1軸D1における端部2e,2f側から、第1軸D1における中央部分側へ向かうに従って、第2軸D2における前側へ突出する形状を有する。
【0014】
本実施形態では、押圧部2の側面2cは、厚み方向軸D3に沿って見たときに、第1軸D1における端部2e,2f側から、中心線CL1へ向かうに従って、第2軸D2における前側へ突出するように湾曲する形状を有する。従って、接触部11は、厚み方向軸D3に沿って見たときに、第1軸D1における端部2e,2f側から、中心線CL1へ向かうに従って、第2軸D2における前側へ突出するように湾曲するような円弧状の形状を有する。側面2c及び接触部11は、中心線CL1を基準として線対称な形状を有している。
【0015】
図3(a)に示すように、中心線CL1から第1軸D1における端部2e,2fまでの距離を「L」とする。距離Lは、30mm以上、40mm以上、または50mm以上、かつ150mm以下、100mm以下、または75mm以下であってよい。これに対し、中心線CL1から「L/2」の距離となる位置をPG1とする。位置PG1における側面2cの円弧の接線をTL1とする。接線TL1と第1軸D1と平行な基準線SL1に対する角度をθ1とする。このとき、角度θ1は、10°以上であり、45°以下であってよい。
【0016】
なお、
図3に示す側面2c及び接触部11は、円の一部である円弧によって構成される。ただし、側面2c及び接触部11は、
図4(a)に示すように、位置によって曲率半径が変動するような曲線によって構成されてもよい。位置PG1における側面2cの曲線における曲率半径を有する円CKを設定し、当該円CKに対する接線TL1を設定する。このときの接線TL1と第1軸D1と平行な基準線SL1に対する角度をθ1とする。このとき、角度θ1は、10°以上であり、45°以下であってよい。
【0017】
図3(b)に示すように、接触部11は、所定の幅を有した状態で第1軸D1に沿って延びる。幅Wは、1mm以上、15mm以下に設定されてよい。接触部11は、側面2cから内周側に幅Wの寸法にて広がった平面によって形成される。接触部11の高さ寸法、すなわち接触部11と本体部12との厚み方向軸D3における寸法は、1mm以上、10mm以下に設定されてよい。また、接触部11と側面2cの境界部および接触部11と段差部13の境界部は面取りをされていてもよく、この場合には、接触部11の幅W自体は上記範囲である一方で、実際にフィルム101に接する領域の幅は、0.1mm以上、10mm以下に設定されてよい。
【0018】
図1及び
図2に示すように、保持部3は、厚み方向軸D3に沿って厚みを有する板状部材20によって構成される。保持部3は、押圧部2の第2軸D2における後側の上端部から、第2軸D2の後側へ向かって延びている。板状部材20は、第2軸D2の後側へ向かうに従って、厚み方向軸D3の上側へ向かうように傾斜する。板状部材20を含む面20aと押圧部2を含む面(下面2a)との角度θ2は、10°以上、50°以下であってよい。なお、押圧部2の後側の側面2dと、保持部3の板状部材20の後側の端部20bとの間の寸法は、作業者が持ちやすい長さに設定されてよい。なお、押圧部2の上面2bの角度は、板状部材20の角度θ2と同じである。押圧部2の上面2bと板状部材20の上面とは、連続した平面を形成している。
【0019】
次に、本実施形態に係るフィルム貼付具1の作用・効果について説明する。
【0020】
本実施形態に係るフィルム貼付具1は、被着体100に対してフィルム101を貼り付けるフィルム貼付具1であって、フィルム101の貼り付け時にフィルム101を被着体100に押圧する押圧部2を備え、押圧部2は、当該押圧部2の厚み方向軸D3に沿った一方側に、フィルム101と接触する接触部11を有し、接触部11は、厚み方向軸D3と直交する第1軸D1に沿って延び、厚み方向軸D3に沿って見たときに、接触部11は、第1軸D1における端部2e,2f側から、第1軸D1における中央部分側へ向かうに従って、厚み方向軸D3及び第1軸D1と直交する第2軸D2へ突出する形状を有する。
【0021】
このフィルム貼付具1によれば、押圧部2は、当該押圧部2の厚み方向軸D3に沿った一方側に、フィルム101と接触する接触部11を有する。従って、作業者は、フィルム101を貼り付けるときには、押圧部2の接触部11をフィルム101に接触させ、当該フィルム101を被着体100に押圧する。作業者は、当該状態にて、フィルム貼付具1を第1軸D1と平行な移動方向MD1、または移動方向MD2のいずれかへ移動させることで、フィルム101を被着体100に貼り付けることができる。ここで、接触部11は、第1軸D1に沿って延び、厚み方向軸D3に沿って見たときに、第1軸D1における端部2e,2f側から、第1軸D1に沿って中央部分側へ向かうに従って、第2軸D2へ突出する形状を有する。この場合、接触部11のうち、移動方向MD1における上流側の部分である端部2eは第2軸D2に沿った後側に配置され、下流側の部分である中央部分付近は前側に配置される。従って、作業者がフィルム貼付具1を移動方向MD1に移動させるに従い、フィルム101と被着体100との間に存在する気泡を、移動方向MD1に対して傾斜した逃がし方向TDへ逃がすことができる。なお、
図3(a)では、移動方向MD1,MD2が中心線CL1と直交する角度となっているが、当該角度が多少ぶれた状態にて(例えば-10°~+10°)、フィルム貼付具1を移動させてもよい。
【0022】
例えば、接触部11が第1軸D1と平行な直線状の形状を有していた場合、作業者は、フィルム貼付具1の中心線CL1に垂直な直線が移動方向MD1に対して傾斜するように移動させなくては、気泡を逃がし方向TDへ逃がすことができない。そのため、作業者は、中心線CL1を移動方向MD1に対して適切な傾斜角度となるように調整する必要があった。また、反対の移動方向MD2へ移動させる場合、中心線CL1の傾斜角度を再び調整する必要があった。これに対し、本実施形態においては、作業者は、フィルム貼付具1の中心線CL1が移動方向MD1に対して垂直な状態とすれば、接触部11の角度が移動方向MD1に対して適切な角度となり、気泡を逃がし方向TDへ逃がすことができる。また、作業者は、反対の移動方向MD2へ移動させるときも、中心線CL1が移動方向MD2に対して垂直な状態とすればよく、傾斜角度を調整する必要がない。以上より、作業者の熟練度によらず、容易にフィルム101を被着体100に貼り付けることができる。
【0023】
厚み方向軸D3に沿って見たときに、接触部11は、円弧状の形状を有してよい。この場合、先鋭部(例えば
図4(b))がなく、また押圧力が集中する部分がないことから、フィルム101を被着体100に張り付ける作業において、フィルム101を傷つけにくいという効果を得ることができる。
【0024】
接触部11は、所定の幅を有した状態で第1軸D1に沿って延びてよい。この場合、押圧部2においてフィルム101と接触する部分の面積を小さくし、フィルム101との摩擦を小さくすることができる。また、接触部11は、押圧力を分散させることなくフィルム101へ伝達することができる。
【0025】
フィルム貼付具1は、押圧部2に設けられ、作業者が保持する保持部3を更に備え、保持部3は、厚み方向軸D3に沿って厚みを有する板状部材20によって構成されてよい。この場合、保持部3の角度を適切な角度に調整し易い。
【0026】
板状部材20を含む面と押圧部2を含む面との角度が、10°以上、30°以上、または40°以上、かつ50°以下、または45°以下であってよい。この場合、フィルム101を押圧する力と、フィルム貼付具1をスライドさせる力を両方付与し易くなる。例えば、
図7(b)に示すようなハンドル40を採用した場合、作業者の押し付け力がフィルム101に対して垂直に作用する。この場合、フィルム貼付具1をスライドさせる力を付与しにくい。これに対し、本実施形態のように、板状部材20の角度を10°~50°とすることで、フィルム貼付具1をスライドさせ易くなる。上記角度が10°以上の場合、フィルム貼付具1で同じ場所を何度か押圧する必要がでるが、貼付作業を行うことができる。上記角度が30°以上の場合、フィルム貼付具1で同じ場所を再度押圧する必要性が出る場合もあるが、おおむね1回で押圧することができる。上記角度が40°以上である場合、フィルム貼付具1でしっかりと1回で押圧することができる。上記角度が50°以下である場合、フィルム貼付具1の1回の押圧作業時に空気を逃がしきれない場合があるが、再度の押圧で解消できる場合がある。上記角度が45°以下である場合、フィルム貼付具1の1回の押圧作業でちゃんと空気を逃がすことができる。
【0027】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0028】
図5に示すように、フィルム貼付具1は、押圧部2に押圧部2を被覆する被覆部材22を更に備えてよい。これにより、フィルム101の傷つきを抑制し、フィルム101押圧時の滑り易さを確保することができる。被覆部材22は、例えば、フェルト、フッ素樹脂テープなどで構成されてよい。
図5に示す被覆部材22は、押圧部2の全域を覆っているが、少なくとも接触部11が被覆部材22で覆われていればよい。滑り易さの観点からは接触部11が被覆部材22で被覆されていればよいが、被覆部材22をフィルム貼付具1に固定するためにある程度の面積を確保してよい。なお、
図5に示すように、保持部3には、作業者の持ちやすさを向上するため、第1軸D1へ延びる円柱状の滑り止め部21が設けられてよい。
【0029】
接触部11の形状は、上述の実施形態のように円弧や曲線に限定されない。例えば、
図4(b)に示すように、厚み方向軸D3に沿って見たときに、接触部11は、第1軸D1における端部2e,2f側から、中央部分側へ向かうに従って第2軸D2へ向かう直線状の傾斜部30A,30Bを有してよい。この場合、フィルム101に対して、接触部11の角度が一定のため、円弧形状の接触部よりも貼り付け面とフィルムの間の空気を逃がしやすいという効果を得ることができる。傾斜部30A,30Bの第1軸D1に対する傾斜角度θ3は、10°以上、45°以下に設定されてよい。
図4(b)に示す例では、接触部11は、中心線CL1の位置に傾斜部30A,30B同士が交わる。
【0030】
また、
図6(a)に示すように、接触部11は、端部2e,2f付近に円弧状の円弧部31A,31Bを有する。また、接触部11は、中央部分付近に第1軸D1に平行な直線部32を有する。なお、
図6(a)に示す構成では、円弧部31A,31Bの距離L及び位置PG1の基準は、円弧部31A,31Bの中央側と反対側の端部となる。また、
図6(b)に示すように、接触部11は、端部2e,2f付近に直線状の傾斜部30A,30Bと、中央側の直線部32と、を備える。
【0031】
保持部3の構造は、上述の実施形態に限定されず、適宜変更可能である。例えば、
図7(a)に示すように、板状部材20の先端に滑り止め部21が設けられてよい。また、
図7(b)に示すように、フィルム貼付具1は、押圧部2に設けられ、作業者が保持する保持部3を更に備え、保持部3は、作業者が把持可能なハンドル40によって構成されてよい。ハンドル40は、押圧部2から厚み方向軸D3における上側へ延びる柱部41と、柱部41の上端で水平に延びる持手部42と、を備える。この場合、作業者がハンドル40を保持し易くなる。
【0032】
[形態1]
被着体に対してフィルムを貼り付けるフィルム貼付具であって、
前記フィルムの貼り付け時に前記フィルムを前記被着体に押圧する押圧部を備え、
前記押圧部は、当該押圧部の厚み方向軸に沿った一方側に、前記フィルムと接触する接触部を有し、
前記接触部は、前記厚み方向軸と直交する第1軸に沿って延び、
前記厚み方向軸に沿って見たときに、前記接触部は、前記第1軸における端部側から、前記第1軸に沿って中央部分側へ向かうに従って、前記厚み方向軸及び前記第1軸と直交する第2軸へ突出する形状を有する、フィルム貼付具。
[形態2]
前記厚み方向軸に沿って見たときに、前記接触部は、円弧状の形状を有する、形態1に記載のフィルム貼付具。
[形態3]
前記厚み方向軸に沿って見たときに、前記接触部は、前記第1軸における前記端部側から、前記中央部分側へ向かうに従って前記第2軸へ向かう直線状の傾斜部を有する、形態1に記載のフィルム貼付具。
[形態4]
前記接触部は、所定の幅を有した状態で前記第1軸に沿って延びる、形態1~3の何れか一項に記載のフィルム貼付具。
[形態5]
前記押圧部に設けられ、作業者が保持する保持部を更に備え、
前記保持部は、前記厚み方向軸に沿って厚みを有する板状部材によって構成される、形態1~4の何れか一項に記載のフィルム貼付具。
[形態6]
前記板状部材を含む面と前記押圧部を含む面との角度が、10°~50°である、形態5に記載のフィルム貼付具。
[形態7]
前記押圧部に設けられ、作業者が保持する保持部を更に備え、
前記保持部は、前記作業者が把持可能なハンドルによって構成される、形態1~4の何れか一項に記載のフィルム貼付具。
[形態8]
前記押圧部には、前記押圧部を被覆する被覆部材を更に備える、形態1~7の何れか一項に記載のフィルム貼付具。
【符号の説明】
【0033】
1…フィルム貼付具、2…押圧部、3…保持部、11…接触部、20…板状部材、30A,30B…直線部、40…ハンドル。