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  • 特開-ハイブリッド車の制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184087
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ハイブリッド車の制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/15 20160101AFI20231221BHJP
   B60K 6/445 20071001ALI20231221BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20231221BHJP
   F02M 25/08 20060101ALI20231221BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20231221BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20231221BHJP
【FI】
B60W20/15
B60K6/445 ZHV
B60W10/06 900
F02M25/08 301K
B60L50/16
B60L3/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098015
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 仁己
(72)【発明者】
【氏名】宇川 佳孝
(72)【発明者】
【氏名】大沢 泰地
(72)【発明者】
【氏名】瀧野 慎二
【テーマコード(参考)】
3D202
3G144
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA03
3D202BB03
3D202BB08
3D202CC22
3D202DD18
3D202DD20
3G144AA10
3G144BA12
3G144EA03
3G144EA40
3G144FA20
3G144FA27
3G144FA28
3G144FA32
3G144GA02
3G144GA22
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BA04
5H125EE31
(57)【要約】
【課題】第1モータの保護を図る。
【解決手段】エンジンと、燃料タンク内で発生した気化燃料を含む気化燃料ガスをエンジンの吸気管に供給するパージを実行可能な気化燃料処理装置と、エンジンの出力軸に接続される第1モータと、車軸に連結された駆動軸に動力を入出力する第2モータと、を備えるハイブリッド車に搭載され、第1動作ライン上の運転ポイント、または、第1動作ラインより出力が高く且つエンジンから出力されるトルクが上限出力トルク以下となる第2動作ライン上の運転ポイントでエンジンを運転しながら走行に要求される要求トルク走行するようにエンジンと第1、第2モータとを制御するハイブリッド車の制御装置であって、エンジンが第2動作ライン上の運転ポイントで運転されているときには、パージが禁止されるように気化燃料処理装置を制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、燃料タンク内で発生した気化燃料を含む気化燃料ガスを前記エンジンの吸気管に供給するパージを実行可能な気化燃料処理装置と、前記エンジンの出力軸に接続される第1モータと、車軸に連結された駆動軸に動力を入出力する第2モータと、を備えるハイブリッド車に搭載され、第1動作ライン上の運転ポイント、または、前記第1動作ラインより出力が高く且つ前記エンジンから出力されるトルクが上限出力トルク以下となる第2動作ライン上の運転ポイントで前記エンジンを運転しながら走行に要求される要求トルク走行するように前記エンジンと前記第1、第2モータとを制御するハイブリッド車の制御装置であって、
前記エンジンが前記第2動作ライン上の運転ポイントで運転されているときには、前記パージが禁止されるように前記気化燃料処理装置を制御する
ハイブリッド車の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のハイブリッド車の制御装置としては、エンジンと、第1、第2モータと、を備えるハイブリッド車に搭載されるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。第1モータは、プラネタリギヤを介してエンジンの出力軸に動力を入出力できる。第2モータは、駆動軸に動力を入出力する。この装置では、エンジンに要求される要求出力トルクが、第1モータの保護のためのエンジンの上限出力トルク(制限上限トルク)に達したときには、エンジンの出力トルクを上限出力トルクに制限し、そのときの実トルクと上限出力トルクとの差から上限出力トルクを学習する。これにより、上限出力トルクを適正に設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-152251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の構成に加えて、エンジンの燃料タンク内で発生した気化燃料を含む気化燃料ガスをエンジンの吸気管に供給するパージを実行可能な気化燃料処理装置を搭載し、エンジンを第1動作ライン上の運転ポイントまたは第1動作ラインより出力が高い第2動作ライン上の運転ポイントで運転するハイブリッド車の制御装置では、エンジンを第2動作ラインで運転しているときにパージを実行すると、エンジンの吸気管に供給される気化燃料ガスに含まれる気化燃料の濃度の変動によりエンジンの出力トルクが変動して上限出力トルクを超えることがある。エンジンの出力トルクが上限出力トルクを超えると、第1モータの回転数が過度に上昇して、第1モータの保護を図れなくなってしまう。
【0005】
本発明のハイブリッド車の制御装置は、第1モータの保護を図ることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハイブリッド車の制御装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のハイブリッド車の制御装置は、
エンジンと、燃料タンク内で発生した気化燃料を含む気化燃料ガスを前記エンジンの吸気管に供給するパージを実行可能な気化燃料処理装置と、前記エンジンの出力軸に接続される第1モータと、車軸に連結された駆動軸に動力を入出力する第2モータと、を備えるハイブリッド車に搭載され、第1動作ライン上の運転ポイント、または、前記第1動作ラインより出力が高く且つ前記エンジンから出力されるトルクが上限出力トルク以下となる第2動作ライン上の運転ポイントで前記エンジンを運転しながら走行に要求される要求トルク走行するように前記エンジンと前記第1、第2モータとを制御するハイブリッド車の制御装置であって、
前記エンジンが前記第2動作ライン上の運転ポイントで運転されているときには、前記パージが禁止されるように前記気化燃料処理装置を制御する
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明のハイブリッド車の制御装置では、エンジンが第2動作ライン上の運転ポイントで運転されているときには、パージが禁止されるように気化燃料処理装置を制御する。これにより、エンジンの出力トルクの変動が抑制されるから、エンジンの出力トルクが上限出力トルクを超えるのを抑制でき、第1モータの回転数の過度な上昇が抑制できる。この結果、第1モータの保護を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例としての制御装置を搭載するハイブリッド車20の構成の概略を示す構成図である。
図2】最適動作ライン(実線)、パワー動作ライン(破線)の一例を示す。
図3】HVECU70により実行されるパージ許否設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例0011】
図1は、本発明の一実施例としての制御装置を搭載するハイブリッド車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド車20は、図示するように、エンジン22と、気化燃料処理装置60と、プラネタリギヤ30と、モータ(第1モータ)MG1と、モータ(第2モータ)MG2と、インバータ41,42と、バッテリ(蓄電装置)50と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70とを備える。
【0012】
エンジン22は、例えばガソリンや軽油などの炭化水素系の燃料を用いて吸気,圧縮,膨張(爆発燃焼),排気の各行程により動力を出力する多気筒の内燃機関として構成されている。エンジン22は、エアクリーナにより清浄された空気をスロットルバルブを介して吸気管23に吸入すると共に燃料噴射弁から燃料を噴射して空気と燃料とを混合する。そして、この混合気を吸気バルブを介して燃焼室に吸入し、点火プラグによる電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストンの往復運動をクランクシャフト(出力軸)26の回転運動に変換する。エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24によって運転制御されている。
【0013】
気化燃料処理装置60は、導入通路61と、封鎖バルブ62と、キャニスタ63と、パージ通路65と、パージバルブ66とを備える。導入通路61は、燃料噴射弁に供給する燃料を貯留する燃料タンク25とキャニスタ63とに接続されている。封鎖バルブ62は、導入通路61に設けられており、ノーマルクローズタイプの電磁バルブとして構成されており、エンジンECU24により制御される。キャニスタ63は、導入通路61とパージ通路65とに接続されていると共に大気開放通路64を介して大気に開放されている。このキャニスタ63の内部には、燃料タンク25からの気化燃料を吸着可能な例えば活性炭などの吸着剤が充填されている。大気開放通路64には、図示しないエアフィルタが設けられている。パージ通路65は、キャニスタ63と吸気管23のスロットルバルブよりも下流側とに接続されている。パージバルブ66は、パージ通路65に設けられており、ノーマルクローズタイプの電磁バルブとして構成されており、エンジンECU24により制御される。気化燃料処理装置60は、封鎖バルブ62が開弁状態であるときにパージバルブ66の開度が調節されて、燃料タンク25内で発生した気化燃料を含む気化燃料ガス(パージガス)をエンジン22の吸気管23内の負圧を利用して導入通路61、キャニスタ63、パージ通路65を介して流量の調節を伴って吸気管23に供給するパージを実行する。
【0014】
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。
【0015】
エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。エンジンECU24に入力される信号としては、例えば、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランク角θcrや、エンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温Twを挙げることができる。また、吸気管23に取り付けられたエアフローメータからの吸入空気量Qa,吸気管23に取り付けられた温度センサからの吸気温Taも挙げることができる。排気管の排気浄化装置の上流側に取り付けられた空燃比センサからの空燃比AFや、排気管の排気浄化装置の下流側に取り付けられた酸素センサからの酸素信号O2なども挙げることができる。
【0016】
エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24から出力される信号としては、例えば、スロットルバルブのポジションを調節するスロットルモータへの駆動制御信号や、燃料噴射弁への駆動制御信号,イグナイタと一体化されたイグニッションコイルへの駆動制御信号、気化燃料処理装置60の封鎖バルブ62やパージバルブ66を制御するための各種制御信号なども挙げることができる。
【0017】
エンジンECU24は、クランク角θcrに基づいて、クランクシャフト26の回転数、即ち、エンジン22の回転数Neを演算している。
【0018】
プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されている。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸36が接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、上述したように、エンジン22のクランクシャフト26が接続されている。
【0019】
モータMG1は、例えば同期発電電動機として構成されており、上述したように、回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、例えば同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36に接続されている。インバータ41,42は、モータMG1,MG2の駆動に用いられると共に電力ライン54を介してバッテリ50に接続されている。モータMG1,MG2は、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40によって、インバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。
【0020】
モータECU40は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。モータECU40に入力される信号としては、例えば、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する図示しない回転位置センサからの回転位置θm1,θm2や、モータMG1,MG2の各相に流れる相電流を検出する図示しない電流センサからの相電流Iu1,Iv1,Iu2,Iv2を挙げることができる。モータECU40からは、インバータ41,42の図示しない複数のスイッチング素子へのスイッチング制御信号などが出力ポートを介して出力されている。モータECU40は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。モータECU40は、回転位置センサからのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の電気角θe1,θe2や回転数Nm1,Nm2を演算している。
【0021】
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、上述したように、電力ライン54を介してインバータ41,42に接続されている。このバッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52により管理されている。
【0022】
バッテリECU52は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52に入力される信号としては、例えば、バッテリ50の端子間に取り付けられた電圧センサからの電圧Vbや、バッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサからの電流Ibを挙げることができる。バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。バッテリECU52は、電流センサからのバッテリ50の電流Ibの積算値に基づいて蓄電割合SOCを演算している。蓄電割合SOCは、バッテリ50の全容量に対するバッテリ50から放電可能な電力量の割合である。
【0023】
HVECU70は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPを挙げることができる。アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ87からの車速Vも挙げることができる。HVECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU40、バッテリECU52と通信ポートを介して接続されている。
【0024】
こうして構成された実施例のハイブリッド車20では、基本的には、HVECU70とエンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52との協調制御により、エンジン22の運転を伴って走行するハイブリッド走行(HV走行)モードや、エンジン22の運転停止を伴って走行する電動走行(EV走行)モードで、アクセル開度Accおよび車速Vに基づく要求トルクTd*により走行するように、エンジン22とモータMG1,MG2(インバータ41,42)とを制御する。なお、EV走行モードについて、本発明の中核をなさないので、詳細な説明を省略する。
【0025】
HV走行モードでは、HVECU70は、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて走行に(駆動軸36に)要求される要求トルクTd*を設定し、設定した要求トルクTd*に駆動軸36の回転数Ndを乗じて走行に要求される走行要求パワーPd*を計算する。続いて、走行要求パワーPd*からバッテリ50の充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときが正の値)を減じて要求パワーPe*を設定する。次に、要求パワーPe*がエンジン22から出力されるようにエンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*を設定する。目標回転数Ne*および目標トルクTe*は、要求パワーPe*が所定パワーPeref以下のときには、要求パワーPe*に対応する最適動作ライン(エンジン22の運転ポイント(回転数,トルク)のうち騒音や振動等を加味して燃費が最適となる動作ライン、第1動作ライン)上の運転ポイントを求めて設定し、要求パワーPe*が所定パワーPerefを超えているときには要求パワーPe*に対応するパワー動作ライン(エンジン22の運転ポイントのうち出力が最適動作ラインより大きくなる動作ライン、第2動作ライン)上の運転ポイントを求めて設定する。図2に、最適動作ライン(実線)、パワー動作ライン(破線)の一例を示す。パワー動作ラインは、モータMG1の過回転を抑制するために上限出力トルクTemax以下となるように設定されている。次に、エンジン22が目標回転数Ne*で回転すると共に要求トルクTd*が駆動軸36に出力されるようにモータMG1のトルク指令Tm1*とモータMG2のトルク指令Tm2*とを設定する。そして、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する。エンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに基づいてエンジン22が運転されるように、エンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行なう。モータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようにインバータ41,42のトランジスタのスイッチング制御を行なう。
【0026】
次に、こうして構成された実施例の制御装置を搭載するハイブリッド車20の動作、特に、パージの実行の許否を設定する際の動作について説明する。図3は、HVECU70により実行されるパージ許否設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。本ルーチンは、所定時間毎(例えば、数msec毎)に実行される。
【0027】
本ルーチンが実行されると、HVECU70のCPUは、エンジン22がパワー動作ライン上の運転ポイントで運転中であるか否かを判定する(ステップS100)。エンジン22がパワー動作ライン上の運転ポイントで運転中でないときには、パージを許可して(ステップS110)、本ルーチンを終了する。HVECU70は、パージを許可したときには、パージ許可信号をエンジンECU24に送信する。パージ許可信号を受信したエンジンECU24は、パージ条件の成立時には、開弁状態となってパージが実行されるようにパージバルブ66を制御し、パージ条件の非成立時には、閉弁状態となるようにパージバルブ66を制御する。パージ条件としては、例えば、冷却水温Twが閾値以上であり且つエンジン22の運転制御(燃料噴射制御など)を行なっており且つ封鎖バルブ62が開弁状態である条件などが用いられる。
【0028】
ステップS100でエンジン22がパワー動作ライン上の運転ポイントで運転中であるときには、パージを禁止して(ステップS120)、本ルーチンを終了する。HVECU70は、パージを禁止したときには、パージ禁止信号をエンジンECU24に送信する。パージ禁止信号を受信したエンジンECU24は、パージ条件が成立しているか否かに拘わらず、閉弁状態となるようにパージバルブ66を制御して、パージを実行しない。こうすれば、エンジン22がパワー動作ライン上の運転ポイントで運転中であるときには、パージを実行しないから、エンジン22から出力されるトルクの変動を抑制して、エンジン22が実際に出力するトルクが上限出力トルクTemaxを超えることを抑制できる。これにより、モータMG1の回転数Nmが過度に上昇することを抑制でき、モータMG1の保護を図ることができる。
【0029】
以上説明した実施例の制御装置を搭載するハイブリッド車20によれば、エンジン22がパワー動作ライン上の運転ポイントで運転されているときには、パージが禁止されるように気化燃料処理装置60のパージバルブ66を制御することにより、モータMG1の保護を図ることができる。
【0030】
実施例では、本発明をエンジン22とプラネタリギヤ30とモータMG1、MG2とを備えるシリーズ-パラレル方式のハイブリッド車に適用している。しかし、プラネタリギヤ30を備えずに、エンジン22と、エンジン22のクランクシャフト26に回転軸が接続されたモータMG1と、駆動軸36に動力を入出力するモータMG2と、を備えるシリーズ方式のハイブリッド車に適用しても構わない。
【0031】
実施例の制御装置を搭載するハイブリッド車20では、エンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とHVECU70との複数の電子制御ユニット(以下、「ECU」という)の協調制御によりエンジン22とモータMG1、MG2の制御を実行している。しかし、単一のECUによりエンジン22とモータMG1、MG2の制御を実行してもよい。
【0032】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とHVECU70とが「ハイブリッド車の制御装置」に相当する。
【0033】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0034】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、ハイブリッド車の制御装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0036】
20 ハイブリッド車、22 エンジン、23 吸気管、25 燃料タンク、26 クランクシャフト、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、50 バッテリ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 気化燃料処理装置、61 導入通路、62 封鎖バルブ、63 キャニスタ、65 パージ通路、66 パージバルブ、70 HVECU、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、87 車速センサ。
図1
図2
図3