(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184090
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】表示装置及び表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05B 33/10 20060101AFI20231221BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20231221BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20231221BHJP
H05B 33/22 20060101ALI20231221BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20231221BHJP
H05B 33/04 20060101ALI20231221BHJP
H05B 33/28 20060101ALI20231221BHJP
H05B 33/24 20060101ALI20231221BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231221BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H05B33/10
H01L27/32
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H05B33/14 A
H05B33/04
H05B33/28
H05B33/24
G09F9/00 342
G09F9/30 365
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098019
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 優子
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC04
3K107CC45
3K107DD10
3K107DD27
3K107DD89
3K107DD95
3K107EE32
3K107FF06
3K107FF15
5C094BA27
5C094DA07
5C094DA13
5C094EC04
5C094ED01
5C094FB01
5C094FB02
5C094FB12
5C094JA11
5G435BB05
5G435HH02
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】信頼性の低下を抑制する。
【解決手段】一実施形態によれば、表示装置の製造方法は、基板の上方に下電極を形成し、前記下電極と重なる開口を有するリブを形成し、前記リブの上に位置する下部及び前記下部の上に位置し前記下部の側面から突出した上部を含む隔壁を形成した処理基板を用意し、前記開口において前記下電極の上に有機層を形成し、前記有機層の上に上電極を形成し、前記上電極の上に第1透明層を形成し、前記第1透明層の上に第2透明層を形成し、前記第1透明層及び前記第2透明層は、互いに異なる有機材料で形成し、前記第2透明層の屈折率は、前記第1透明層の屈折率より低い。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上方に下電極を形成し、前記下電極と重なる開口を有するリブを形成し、前記リブの上に位置する下部及び前記下部の上に位置し前記下部の側面から突出した上部を含む隔壁を形成した処理基板を用意し、
前記開口において前記下電極の上に有機層を形成し、
前記有機層の上に上電極を形成し、
前記上電極の上に第1透明層を形成し、
前記第1透明層の上に第2透明層を形成し、
前記第1透明層及び前記第2透明層は、互いに異なる有機材料で形成し、
前記第2透明層の屈折率は、前記第1透明層の屈折率より低い、表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1透明層の屈折率は、1.7以上であり、
前記第2透明層の屈折率は、1.6以下である、請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記第2透明層を形成するための前記有機材料は、主鎖が炭素によって構成され、置換基にフッ素を含む、請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2透明層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及び、2-(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレートの少なくとも1つで形成する、請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記隔壁の前記上部の直上に形成された前記有機層、前記上電極、前記第1透明層、及び、前記第2透明層は、前記開口において前記下電極の直上に形成された前記有機層、前記上電極、前記第1透明層、及び、前記第2透明層から離間している、請求項1に記載の表示装置の製造方法。
【請求項6】
さらに、前記第2透明層を形成した後に、封止層を形成し、
前記封止層は、前記隔壁の上の前記第2透明層を覆うとともに前記下電極の直上の前記第2透明層を覆い、且つ、前記隔壁に接している、請求項5に記載の表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記封止層は、無機絶縁材料で形成し、
前記封止層の屈折率は、前記第2透明層の屈折率より高い、請求項6に記載の表示装置の製造方法。
【請求項8】
さらに、前記封止層を形成した後に、前記封止層の上にパターニングしたレジストを形成し、
前記レジストから露出した前記封止層をドライエッチングにより除去し、
前記レジストから露出した前記第2透明層及び前記第1透明層を連続的にアッシングにより除去する、請求項7に記載の表示装置の製造方法。
【請求項9】
さらに、前記アッシングの後に、前記レジストから露出した前記上電極をウエットエッチングにより除去し、
前記レジストから除去した前記有機層をアッシングにより除去する、請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
基板と、
前記基板の上方に配置された下電極と、
無機絶縁材料で形成され、前記下電極と重なる開口を有するリブと、
前記リブの上に配置され導電材料で形成された下部と、前記下部の上に配置され前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁と、
前記開口において前記下電極の上に配置された有機層と、
前記有機層の上に配置され、前記隔壁の前記下部に接する上電極と、
前記上電極の上に配置された第1透明層と、
前記第1透明層の上に配置された第2透明層と、
前記第2透明層を覆い、前記隔壁の前記下部に接する封止層と、を備え、
前記第1透明層及び前記第2透明層は、互いに異なる有機材料で形成され、
前記第1透明層の屈折率は、前記第2透明層の屈折率より高い、表示装置。
【請求項11】
前記第1透明層の屈折率は、1.7以上であり、
前記第2透明層の屈折率は、1.6以下である、請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
前記第2透明層を形成するための前記有機材料は、主鎖が炭素によって構成され、置換基にフッ素を含む、請求項10に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第2透明層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及び、2-(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレートの少なくとも1つで形成されている、請求項10に記載の表示装置。
【請求項14】
前記封止層は、無機絶縁材料で形成し、
前記封止層の屈折率は、前記第2透明層の屈折率より高い、請求項10に記載の表示装置。
【請求項15】
前記リブ及び前記封止層は、シリコン窒化物で形成されている、請求項10に記載の表示装置。
【請求項16】
前記上電極は、マグネシウム(Mg)及び銀(Ag)の合金で形成されている、請求項10に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置及び表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、薄膜トランジスタを含む画素回路と、画素回路に接続された下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極と、を備えている。有機層は、発光層の他に、正孔輸送層や電子輸送層などの機能層を含んでいる。
このような表示素子を製造する過程において、信頼性の低下を抑制する技術が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、信頼性の低下を抑制することが可能な表示装置及び表示装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、表示装置の製造方法は、
基板の上方に下電極を形成し、前記下電極と重なる開口を有するリブを形成し、前記リブの上に位置する下部及び前記下部の上に位置し前記下部の側面から突出した上部を含む隔壁を形成した処理基板を用意し、前記開口において前記下電極の上に有機層を形成し、前記有機層の上に上電極を形成し、前記上電極の上に第1透明層を形成し、前記第1透明層の上に第2透明層を形成し、前記第1透明層及び前記第2透明層は、互いに異なる有機材料で形成し、前記第2透明層の屈折率は、前記第1透明層の屈折率より低い。
【0006】
一実施形態によれば、表示装置は、
基板と、前記基板の上方に配置された下電極と、無機絶縁材料で形成され、前記下電極と重なる開口を有するリブと、前記リブの上に配置され導電材料で形成された下部と、前記下部の上に配置され前記下部の側面から突出した上部と、を有する隔壁と、前記開口において前記下電極の上に配置された有機層と、前記有機層の上に配置され、前記隔壁の前記下部に接する上電極と、前記上電極の上に配置された第1透明層と、前記第1透明層の上に配置された第2透明層と、前記第2透明層を覆い、前記隔壁の前記下部に接する封止層と、を備え、前記第1透明層及び前記第2透明層は、互いに異なる有機材料で形成され、前記第1透明層の屈折率は、前記第2透明層の屈折率より高い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、表示素子201乃至203の構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、表示装置DSPの製造方法の一例を説明するためのフロー図である。
【
図6】
図6は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図7】
図7は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図8】
図8は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図9】
図9は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図10】
図10は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図11】
図11は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【
図12】
図12は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0009】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向と称し、Y軸に沿った方向を第2方向と称し、Z軸に沿った方向を第3方向と称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0010】
本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0011】
図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAの周辺の周辺領域SAと、を有している。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0012】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0013】
表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、第1色の副画素SP1、第2色の副画素SP2、及び、第3色の副画素SP3を含む。第1色、第2色、及び、第3色は、互いに異なる色である。なお、画素PXは、副画素SP1,SP2,SP3とともに、あるいは副画素SP1,SP2,SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0014】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子20と、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0015】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極及びドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極及びキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極及びドレイン電極の一方は電源線PL及びキャパシタ4に接続され、他方は表示素子20のアノードに接続されている。
【0016】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタ及びキャパシタを備えてもよい。
【0017】
表示素子20は、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)であり、有機EL素子と称する場合がある。
【0018】
図2は、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図2の例においては、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに並んでいる。さらに、副画素SP2及び副画素SP3がそれぞれ副画素SP1と第1方向Xに並んでいる。
【0019】
副画素SP1,SP2,SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP1が第2方向Yに繰り返し配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並ぶ。
【0020】
なお、副画素SP1,SP2,SP3のレイアウトは
図2の例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1,SP2,SP3が第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0021】
表示領域DAには、リブ5及び隔壁6が配置されている。リブ5は、副画素SP1,SP2,SP3においてそれぞれ開口AP1,AP2,AP3を有している。
【0022】
隔壁6は、平面視においてリブ5と重なっている。隔壁6は、第1方向Xに延びる複数の第1隔壁6xと、第2方向Yに延びる複数の第2隔壁6yと、を有している。複数の第1隔壁6xは、第2方向Yに隣り合う開口AP2,AP3の間、及び、第2方向Yに隣り合う2つの開口AP1の間にそれぞれ配置されている。第2隔壁6yは、第1方向Xに隣り合う開口AP1,AP2の間、及び、第1方向Xに隣り合う開口AP1,AP3の間にそれぞれ配置されている。
【0023】
図2の例においては、第1隔壁6x及び第2隔壁6yは、互いに接続されている。これにより、隔壁6は、全体として開口AP1,AP2,AP3を囲う格子状に形成されている。隔壁6は、リブ5と同様に副画素SP1,SP2,SP3において開口を有するということもできる。
【0024】
副画素SP1,SP2,SP3は、表示素子20として、それぞれ表示素子201,202,203を備えている。
副画素SP1は、開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1及び有機層OR1を備えている。副画素SP2は、開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2及び有機層OR2を備えている。副画素SP3は、開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3及び有機層OR3を備えている。
【0025】
図2の例においては、下電極LE1、LE2、LE3の外形は点線で示し、有機層OR1、OR2、OR3、及び、上電極UE1、UE2、UE3の外形は一点鎖線で示している。下電極LE1、LE2、LE3のそれぞれの周縁部は、リブ5に重なっている。なお、図示した下電極、有機層、上電極のそれぞれの外形は、正確な形状を反映したものとは限らない。
【0026】
下電極LE1、上電極UE1、及び、有機層OR1は、副画素SP1の表示素子201を構成する。下電極LE2、上電極UE2、及び、有機層OR2は、副画素SP2の表示素子202を構成する。下電極LE3、上電極UE3、及び、有機層OR3は、副画素SP3の表示素子203を構成する。
【0027】
下電極LE1、LE2、LE3は、例えば、表示素子のアノードに相当する。上電極UE1、UE2、UE3は、表示素子のカソード、あるいは、共通電極に相当する。
【0028】
下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて副画素SP1の画素回路1(
図1参照)に接続されている。下電極LE2は、コンタクトホールCH2を通じて副画素SP2の画素回路1に接続されている。下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて副画素SP3の画素回路1に接続されている。
【0029】
図2の例においては、開口AP1の面積が開口AP2の面積よりも大きく、開口AP2の面積が開口AP3の面積よりも大きい。換言すると、開口AP1から露出した下電極LE1の面積は開口AP2から露出した下電極LE2の面積よりも大きく、開口AP2から露出した下電極LE2の面積は開口AP3から露出した下電極LE3の面積よりも大きい。
【0030】
例えば、副画素SP1の表示素子201は、青波長域の光を放つように構成される。また、副画素SP2の表示素子202は、緑波長域の光を放つように構成され、また、副画素SP3の表示素子203は、赤波長域の光を放つように構成される。
【0031】
図3は、
図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
上述の基板10の上に回路層11が配置されている。回路層11は、
図1に示した画素回路1、走査線GL、信号線SL、電源線PLなどの各種回路や配線を含む。回路層11は、絶縁層12により覆われている。絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する平坦化膜として機能する。
【0032】
下電極LE1,LE2,LE3は、絶縁層12の上に配置されている。リブ5は、絶縁層12及び下電極LE1,LE2,LE3の上に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3の端部は、リブ5により覆われている。つまり、下電極LE1,LE2,LE3の端部は、絶縁層12とリブ5との間に配置されている。下電極LE1,LE2,LE3のうち、互いに隣接する下電極の間では、絶縁層12がリブ5により覆われている。
【0033】
隔壁6は、リブ5の上に配置された下部(茎)61と、下部61の上に配置された上部(笠)62と、を含む。図の左側に示した隔壁6の下部61は、開口AP1と開口AP2との間に位置している。図の右側に示した隔壁6の下部61は、開口AP2と開口AP3との間に位置している。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。これにより、上部62の両端部が下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状ということもできる。上部62のうち、下部61よりも開口AP1に向かって突出した部分は突出部621と称し、下部61よりも開口AP2に向かって突出した部分は突出部622と称し、下部61よりも開口AP3に向かって突出した部分は突出部623と称する。
【0034】
有機層OR1は、開口AP1を通じて下電極LE1に接触し、下電極LE1を覆うとともに、リブ5の一部に重なっている。上電極UE1は、下電極LE1と対向するとともに、有機層OR1の上に配置されている。さらに、上電極UE1は、下部61の側面に接触している。有機層OR1及び上電極UE1は、上部62よりも下方に位置している。
【0035】
有機層OR2は、開口AP2を通じて下電極LE2に接触し、下電極LE2を覆うとともに、リブ5の一部に重なっている。上電極UE2は、下電極LE2と対向するとともに、有機層OR2の上に配置されている。さらに、上電極UE2は、下部61の側面に接触している。有機層OR2及び上電極UE2は、上部62よりも下方に位置している。
【0036】
有機層OR3は、開口AP3を通じて下電極LE3に接触し、下電極LE3を覆うとともに、リブ5の一部に重なっている。上電極UE3は、下電極LE3と対向するとともに、有機層OR3の上に配置されている。さらに、上電極UE3は、下部61の側面に接触している。有機層OR3及び上電極UE3は、上部62よりも下方に位置している。
【0037】
副画素SP1,SP2,SP3は、さらに、有機層OR1,OR2,OR3の発光層が発する光の光学特性を調整するためのキャップ層(光学調整層)CP1、CP2、CP3を含む。
キャップ層CP1は、開口AP1に位置し、上部62よりも下方に位置し、上電極UE1の上に配置されている。キャップ層CP2は、開口AP2に位置し、上部62よりも下方に位置し、上電極UE2の上に配置されている。キャップ層CP3は、開口AP3に位置し、上部62よりも下方に位置し、上電極UE3の上に配置されている。
【0038】
副画素SP1,SP2,SP3には、封止層SE1,SE2,SE3がそれぞれ配置されている。
封止層SE1は、キャップ層CP1、及び、隔壁6の下部61及び上部62に接し、副画素SP1の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE2は、キャップ層CP2、及び、隔壁6の下部61及び上部62に接し、副画素SP2の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE3は、キャップ層CP3、及び、隔壁6の下部61及び上部62に接し、副画素SP3の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE1,SE2,SE3は、保護層13により覆われている。
【0039】
図示した例では、有機層OR1の一部、上電極UE1の一部、及び、キャップ層CP1の一部は、隔壁6と封止層SE1との間に位置し、上部62の上に配置され、上部62よりも下方に位置する部分とは離間している。
また、有機層OR2の一部、上電極UE2の一部、及び、キャップ層CP2の一部は、隔壁6と封止層SE2との間に位置し、上部62の上に配置され、上部62よりも下方に位置する部分とは離間している。
また、有機層OR3の一部、上電極UE3の一部、及び、キャップ層CP3の一部は、隔壁6と封止層SE3との間に位置し、上部62の上に配置され、上部62よりも下方に位置する部分とは離間している。
【0040】
絶縁層12は、有機絶縁層である。リブ5、及び、封止層SE1,SE2,SE3は、無機絶縁層である。
【0041】
リブ5は、無機絶縁材料の一例であるシリコン窒化物(SiNx)で形成されている。なお、リブ5は、他の無機絶縁材料として、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)、または、酸化アルミニウム(Al2O3)のいずれかの単層体として形成されてもよい。また、リブ5は、シリコン窒化物層、シリコン酸化物層、シリコン酸窒化物層、及び、酸化アルミニウム層のうちの少なくとも2つの組合せによる積層体として形成されてもよい。
封止層SE1,SE2,SE3は、例えば、同一の無機絶縁材料で形成されている。
封止層SE1,SE2,SE3は、無機絶縁材料の一例であるシリコン窒化物(SiNx)で形成されている。なお、封止層SE1,SE2,SE3は、他の無機絶縁材料として、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)、または、酸化アルミニウム(Al2O3)のいずれかの単層体として形成されてもよい。また、封止層SE1,SE2,SE3は、シリコン窒化物層、シリコン酸化物層、シリコン酸窒化物層、及び、酸化アルミニウム層のうちの少なくとも2つの組合せによる積層体として形成されてもよい。このため、封止層SE1,SE2,SE3は、リブ5と同一材料で形成される場合があり得る。
【0042】
隔壁6の下部61は、導電材料によって形成され、各上電極UE1,UE2,UE3と電気的に接続されている。隔壁6の上部62も導電材料によって形成されてもよい。
【0043】
リブ5の厚さは、隔壁6や絶縁層12の厚さに比べて十分に小さい。一例では、リブ5の厚さは、200nm以上かつ400nm以下である。
隔壁6の下部61の厚さ(リブ5の上面から上部62の下面までの厚さ)は、リブ5の厚さより大きい。
封止層SE1の厚さ、封止層SE2の厚さ、及び、封止層SE3の厚さは、ほぼ同等であり、例えば、1μm以上である。
【0044】
下電極LE1,LE2,LE3は、ITOなどの透明導電材料で形成されてもよいし、銀(Ag)などの金属材料と透明導電材料との積層構造を有してもよい。上電極UE1,UE2,UE3は、例えばマグネシウム及び銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。上電極UE1,UE2,UE3は、ITOなどの透明導電材料で形成されてもよい。
【0045】
有機層OR1,OR2,OR3の各々は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層などの複数の機能層を含む。また、有機層OR1は、発光層EM1を含む。有機層OR2は、発光層EM2を含む。発光層EM2は、発光層EM1とは異なる材料で形成されている。有機層OR3は、発光層EM3を含む。発光層EM3は、発光層EM1及びEM2とは異なる材料で形成されている。
【0046】
発光層EM1を形成する材料、発光層EM2を形成する材料、及び、発光層EM3を形成する材料は、互いに異なる波長域の光を放つ材料である。
一例では、発光層EM1は、青波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM2は、緑波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM3は、赤波長域の光を放つ材料によって形成されている。
【0047】
キャップ層CP1、CP2、CP3は、例えば、透明な薄膜の多層体によって形成されている。多層体は、薄膜として、有機材料によって形成された薄膜を含んでいる。また、これらの複数の薄膜は、互いに異なる屈折率を有している。多層体を構成する薄膜の材料は、上電極UE1、UE2、UE3の材料とは異なり、また、封止層SE1、SE2、SE3の材料とも異なる。
【0048】
保護層13は、透明な薄膜の多層体によって形成され、例えば、薄膜として、無機材料によって形成された薄膜及び有機材料によって形成された薄膜を含んでいる。
【0049】
隔壁6には、共通電圧が供給されている。この共通電圧は、下部61の側面に接触した各上電極UE1,UE2,UE3にそれぞれ供給される。下電極LE1,LE2,LE3には、副画素SP1,SP2,SP3がそれぞれ有する画素回路1を通じて画素電圧が供給される。
【0050】
下電極LE1と上電極UE1の間に電位差が形成されると、有機層OR1のうちの発光層EM1が青波長域の光を放つ。下電極LE2と上電極UE2の間に電位差が形成されると、有機層OR2のうちの発光層EM2が緑波長域の光を放つ。下電極LE3と上電極UE3の間に電位差が形成されると、有機層OR3のうちの発光層EM3が青波長域の光を放つ。
【0051】
図4は、表示素子201乃至203の構成の一例を示す図である。なお、ここでは、下電極がアノードに相当し、上電極がカソードに相当する場合を例について説明する。
【0052】
表示素子201は、下電極LE1と上電極UE1との間に有機層OR1を含む。
有機層OR1において、正孔注入層HIL1、正孔輸送層HTL1、電子ブロッキング層EBL1、発光層EM1、正孔ブロッキング層HBL1、電子輸送層ETL1、及び、電子注入層EIL1は、この順に積層されている。
キャップ層CP1は、第1透明層TL11及び第2透明層TL12を含む。第1透明層TL11は、上電極UE1の上に配置されている。第2透明層TL12は、第1透明層TL11の上に配置されている。封止層SE1は、第2透明層TL12の上に配置されている。
【0053】
表示素子202は、下電極LE2と上電極UE2との間に有機層OR2を含む。
有機層OR2において、正孔注入層HIL2、正孔輸送層HTL2、電子ブロッキング層EBL2、発光層EM2、正孔ブロッキング層HBL2、電子輸送層ETL2、及び、電子注入層EIL2は、この順に積層されている。
キャップ層CP2は、第1透明層TL21及び第2透明層TL22を含む。第1透明層TL21は、上電極UE2の上に配置されている。第2透明層TL22は、第1透明層TL21の上に配置されている。封止層SE2は、第2透明層TL22の上に配置されている。
【0054】
表示素子203は、下電極LE3と上電極UE3との間に有機層OR3を含む。
有機層OR3において、正孔注入層HIL3、正孔輸送層HTL3、電子ブロッキング層EBL3、発光層EM3、正孔ブロッキング層HBL3、電子輸送層ETL3、及び、電子注入層EIL3は、この順に積層されている。
キャップ層CP3は、第1透明層TL31及び第2透明層TL32を含む。第1透明層TL31は、上電極UE3の上に配置されている。第2透明層TL32は、第1透明層TL31の上に配置されている。封止層SE3は、第2透明層TL32の上に配置されている。
【0055】
第1透明層TL11、TL21、TL31は、有機材料によって形成された透明な有機層であり、また、上電極UE1、UE2、UE3よりも大きい屈折率を有する高屈折率層である。一例では、第1透明層TL11、TL21、TL31の屈折率は、1.7以上であり、2.0以下である。
【0056】
第2透明層TL12、TL22、TL32は、有機材料によって形成された透明な有機層であり、第1透明層TL11、TL21、TL31よりも小さい屈折率を有する低屈折率層である。一例では、第2透明層TL12、TL22、TL32の屈折率は、1.3以上であり、1.6以下である。
【0057】
なお、第2透明層TL12、TL22、TL32に接する封止層SE1、SE2、SE3の屈折率は、第2透明層TL12、TL22、TL32の屈折率よりも大きい。一例では、封止層SE1、SE2、SE3の屈折率は、1.7以上であり、2.0以下である。
【0058】
第2透明層TL12、TL22、TL32を形成するため有機材料としては、主鎖が炭素によって構成され、置換基にフッ素を含むフッ素系樹脂が好適である。一例では、第2透明層TL12、TL22、TL32は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及び、2-(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレートの少なくとも1つで形成することができる。ポリテトラフルオロエチレンの屈折率は、1.35である。ポリフッ化ビニリデンの屈折率は、1.42である。2-(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレートの屈折率は、1.35である。
第2透明層TL12、TL22、TL32を形成するため他の材料として、フッ化リチウムが挙げられる。フッ化リチウムの屈折率は、1.4である。但し、フッ化リチウムは、吸湿性に富むといった特徴を有している。
一方、上記したポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、及び、2-(パーフルオロヘキシル)エチルアクリレートといった有機材料は、フッ化リチウムと比較して、吸湿性が低く、潮解性を呈することもない。このため、これらの有機材料は、たとえ空気に晒されたとしても安定的に薄膜の状態を維持することができる。
【0059】
これらの有機材料を適用した第2透明層TL12、TL22、TL32は、抵抗加熱による蒸着、イオンビームによる蒸着、スパッタリングなどの手法で形成することができる。このような第2透明層TL12、TL22、TL32の膜厚は、例えば、20nm~500nmである。
【0060】
上記のキャップ層CP1、CP2、CP3は、3層以上の積層体であってもよい。
【0061】
有機層OR1、OR2、OR3は、上記した機能層の他に、必要に応じてキャリア発生層などの他の機能層を含んでいてもよいし、上記した機能層の少なくとも1つが省略されてもよい。
また、上記の機能層は、それぞれ表示素子201乃至203毎に個別に形成される。このため、上記の機能層の各々の厚さは、表示素子201乃至203毎に異なる場合があり得る。
また、同一の機能層に着目したとき、表示素子201乃至203のうちの1つ表示素子の機能層が他の2つの表示素子の機能層とは異なる材料で形成される場合があり得るし、表示素子201乃至203のすべての機能層が互いに異なる材料で形成される場合もあり得る。
また、表示素子201乃至203のうちの1つ表示素子の層構成が他の2つの表示素子の層構成とは異なる場合があり得るし、表示素子201乃至203のすべての層構成が互いに異なる場合もあり得る。例えば、1つの機能層に着目したとき、表示素子201乃至203のうちの1つ表示素子がこの機能層を含まない場合があり得るし、表示素子201乃至203のうちの1つ表示素子のみがこの機能層を含む場合もあり得る。また、1つの機能層に着目したとき、表示素子201乃至203のうちの1つ表示素子でこの機能層が多層化されている場合などがあり得る。
【0062】
第1透明層TL11、TL21、TL31は、互いに離間しており、それぞれ個別に形成される。このため、第1透明層TL11、TL21、TL31のすべてが同一材料で形成される場合があり得るし、第1透明層TL11、TL21、TL31のうちの1つの透明層が他の2つの透明層とは異なる材料で形成される場合があり得るし、第1透明層TL11、TL21、TL31のすべてが互いに異なる材料で形成される場合があり得る。
【0063】
第2透明層TL12、TL22、TL32は、互いに離間しており、それぞれ個別に形成される。このため、第2透明層TL12、TL22、TL32のすべてが同一材料で形成される場合があり得るし、第2透明層TL12、TL22、TL32のうちの1つの透明層が他の2つの透明層とは異なる材料で形成される場合があり得るし、第2透明層TL12、TL22、TL32のすべてが互いに異なる材料で形成される場合があり得る。
【0064】
第1透明層TL11、TL21、TL31の各々の厚さは、すべてが同一である場合があり得るし、互いに異なる場合があり得る。
また、第2透明層TL12、TL22、TL32の各々の厚さは、すべてが同一である場合があり得るし、互いに異なる場合があり得る。
【0065】
一例では、第2透明層TL12、TL22、TL32の各々の厚さはすべて同一であり、青用の表示素子201において第1透明層TL11の厚さは、赤用の表示素子203において第1透明層TL31の厚さより小さい。
そして、表示素子201においては、第2透明層TL12の厚さは第1透明層TL11の厚さより大きい。また、表示素子203においては、第1透明層TL31の厚さは第2透明層TL32の厚さより小さい。
【0066】
また、キャップ層CP1乃至CP3のすべての層構成が同一である場合があり得るし、キャップ層CP1乃至CP3のうちの1つキャップ層の層構成が他の2つのキャップ層の層構成とは異なる場合があり得るし、キャップ層CP1乃至CP3のすべての層構成が互いに異なる場合もあり得る。
【0067】
図4に示す例では、表示素子201において、上電極UE1は、封止層SE1をドライエッチングする際のエッチングストッパー層として機能する。表示素子202において、上電極UE2は、封止層SE2をドライエッチングする際のエッチングストッパー層として機能する。表示素子203において、上電極UE3は、封止層SE3をドライエッチングする際のエッチングストッパー層として機能する。
【0068】
エッチングストッパー層と封止層とを同一条件でドライエッチングした際のエッチングレートを比較すると、エッチングストッパー層(上電極)のエッチングレートは、封止層のエッチングレートより小さい。このため、エッチングストッパー層の上に封止層が積層された積層体について、ドライエッチングを行った場合、封止層が除去される一方で、エッチングストッパー層においてエッチングの進行を止めることができる。
エッチングストッパー層として機能する上電極UE1、UE2、UE3は、リブ5とは異なる材料によって形成され、また、封止層SE1,SE2,SE3とは異なる材料によって形成されている。例えば、リブ5、および、封止層SE1,SE2,SE3がシリコン窒化物で形成されているのに対して、上電極UE1、UE2、UE3は、シリコン窒化物と比較して、ドライエッチングに対して高い耐性を有する材料であるマグネシウム及び銀の合金で形成されている。
【0069】
次に、表示装置DSPの製造方法の一例について説明する。
【0070】
図5は、表示装置DSPの製造方法の一例を説明するためのフロー図である。
ここに示す製造方法は、大別して、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3を有する処理基板SUBを用意する工程(ステップST1)と、副画素SP1の表示素子201を形成する工程(ステップST2)と、副画素SP2の表示素子202を形成する工程(ステップST3)と、副画素SP3の表示素子203を形成する工程(ステップST4)と、を含む。
【0071】
ステップST1においては、まず、基板10の上に、副画素SP1の下電極LE1、副画素SP2の下電極LE2、副画素SP3の下電極LE3、リブ5、及び、隔壁6を形成した処理基板SUBを用意する。
図3に示したように、基板10と下電極LE1、LE2、LE3との間には、回路層11及び絶縁層12も形成される。
【0072】
ステップST2においては、まず、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3に亘って、発光層EM1を含む第1薄膜31を形成する(ステップST21)。第1薄膜31は、
図3に示した有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、及び、封止層SE1の積層体である。その後、第1薄膜31の上に所定の形状にパターニングされた第1レジスト41を形成する(ステップST22)。その後、第1レジスト41をマスクとしたエッチングにより第1薄膜31の一部を除去する(ステップST23)。このとき、例えば、副画素SP2及び副画素SP3に配置された第1薄膜31が除去される。その後、第1レジスト41を除去する(ステップST24)。これにより、副画素SP1が形成される。副画素SP1は、所定の形状の第1薄膜31を有する表示素子201を備える。
【0073】
ステップST3においては、まず、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3に亘って、発光層EM2を含む第2薄膜32を形成する(ステップST31)。第2薄膜32は、
図3に示した有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2、及び、封止層SE2の積層体である。その後、第2薄膜32の上に所定の形状にパターニングされた第2レジスト42を形成する(ステップST32)。その後、第2レジスト42をマスクとしたエッチングにより第2薄膜32の一部を除去する(ステップST33)。このとき、例えば、副画素SP1及び副画素SP3に配置された第2薄膜32が除去される。その後、第2レジスト42を除去する(ステップST34)。これにより、副画素SP2が形成される。副画素SP2は、所定の形状の第2薄膜32を有する表示素子202を備える。
【0074】
ステップST4においては、まず、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3に亘って、発光層EM3を含む第3薄膜33を形成する(ステップST41)。第3薄膜33は、
図3に示した有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3、及び、封止層SE3の積層体である。その後、第3薄膜33の上に所定の形状にパターニングされた第3レジスト43を形成する(ステップST42)。その後、第3レジスト43をマスクとしたエッチングにより第3薄膜33の一部を除去する(ステップST43)。このとき、例えば、副画素SP1及び副画素SP2に配置された第3薄膜33が除去される。その後、第3レジスト43を除去する(ステップST44)。これにより、副画素SP3が形成される。副画素SP3は、所定の形状の第3薄膜33を有する表示素子203を備える。
【0075】
なお、第2薄膜32、第2レジスト42、第3薄膜33、及び、第3レジスト43の詳細な図示は省略する。
【0076】
以下、ステップST1及びステップST2について
図6乃至
図12を参照しながら説明する。なお、
図6乃至
図12に示す各断面は、例えば
図2中のA-B線に沿う断面に相当する。
【0077】
まず、ステップST1においては、
図6に示すように、処理基板SUBを用意する。処理基板SUBを用意する工程は、基板10の上に回路層11を形成する工程と、回路層11の上に絶縁層12を形成する工程と、絶縁層12の上に、副画素SP1の下電極LE1、副画素SP2の下電極LE2、副画素SP3の下電極LE3を形成する工程と、下電極LE1、LE2、LE3の各々と重なる開口AP1、AP2、AP3を有するリブ5を形成する工程と、リブ5の上に配置された下部61及び下部61の上に配置され下部61の側面から突出した上部62を含む隔壁6を形成する工程と、を含む。なお、
図7乃至
図12の各図においては、絶縁層12よりも下層の基板10及び回路層11の図示を省略する。
リブ5は、例えばシリコン窒化物で形成する。
隔壁6のうち、少なくとも下部61は、導電材料で形成する。
【0078】
続いて、ステップST21においては、
図7に示すように、副画素SP1、副画素SP2、及び、副画素SP3に亘って、第1薄膜31を形成する。第1薄膜31を形成する工程は、処理基板SUBの上に、発光層EM1を含む有機層OR1を形成する工程と、有機層OR1の上に上電極UE1を形成する工程と、上電極UE1の上にキャップ層CP1の第1透明層TL11を形成する工程と、第1透明層TL11の上にキャップ層CP1の第2透明層TL12を形成する工程と、第2透明層TL12の上に封止層SE1を形成する工程と、を含む。つまり、図示した例では、第1薄膜31は、有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、及び、封止層SE1を含む。
【0079】
有機層OR1は、下電極LE1、下電極LE2、及び、下電極LE3の上にそれぞれ形成されるとともに、隔壁6の上にも形成されている。有機層OR1のうち、上部62の上に形成された部分は、下電極LE1、LE2、LE3の上に形成された部分から離間している。有機層OR1の各種機能層及び発光層EM1は、蒸着法により形成される。
【0080】
上電極UE1は、下電極LE1、下電極LE2、及び、下電極LE3の直上において、有機層OR1の上にそれぞれ形成され、リブ5を覆い、隔壁6の下部61に接している。また、上電極UE1は、上部62の直上において、有機層OR1の上にも形成されている。上電極UE1のうち、上部62の直上に形成された部分は、下電極LE1、LE2、LE3の直上に形成された部分から離間している。上電極UE1は、蒸着法により、マグネシウム及び銀の合金で形成される。
【0081】
キャップ層CP1の第1透明層TL11は、下電極LE1、下電極LE2、及び、下電極LE3の直上において、上電極UE1の上にそれぞれ形成されるとともに、上部62の直上において、上電極UE1の上にも形成されている。第1透明層TL11のうち、上部62の直上に形成された部分は、下電極LE1、LE2、LE3の直上に形成された部分から離間している。第1透明層TL11は、例えば蒸着法により有機材料で形成される。
【0082】
キャップ層CP1の第2透明層TL12は、下電極LE1、下電極LE2、及び、下電極LE3の直上において、第1透明層TL11の上にそれぞれ形成されるとともに、上部62の直上において、第1透明層TL11の上にも形成されている。第2透明層TL12のうち、上部62の直上に形成された部分は、下電極LE1、LE2、LE3の直上に形成された部分から離間している。第2透明層TL12は、例えば蒸着法により有機材料で形成される。第2透明層TL12は第1透明層TL11とは異なる有機材料で形成され、しかも、第2透明層TL12の屈折率は第1透明層TL11の屈折率より低い。
【0083】
封止層SE1は、第2透明層TL12、及び、隔壁6を覆うように形成されている。つまり、封止層SE1は、下電極LE1、下電極LE2、及び、下電極LE3の直上において、第2透明層TL12の上にそれぞれ形成されるとともに、上部62の直上において、第2透明層TL12の上にも形成されている。しかも、封止層SE1は、隔壁6の下部61も接している。封止層SE1において、上部62の直上に形成された部分は、各下電極の直上に形成された部分と繋がっている。封止層SE1は、例えばシリコン窒化物で形成する。封止層SE1は、例えばCVD法で形成される。
【0084】
続いて、ステップST22においては、
図8に示すように、封止層SE1の上のパターニングした第1レジスト41を形成する。第1レジスト41は、副画素SP1の第1薄膜31を覆い、副画素SP2及び副画素SP3の第1薄膜31を露出する。つまり、第1レジスト41は、下電極LE1の直上に位置する封止層SE1に重なっている。また、第1レジスト41は、副画素SP1から隔壁6の上方に延出している。副画素SP1と副画素SP2との間の隔壁6上において、第1レジスト41は、副画素SP1側(図の左側)に配置され、副画素SP2側(図の右側)では封止層SE1を露出している。また、第1レジスト41は、副画素SP2及び副画素SP3において、封止層SE1を露出している。
【0085】
その後、ステップST23においては、
図9乃至
図11に示すように、第1レジスト41をマスクとしてエッチングを行い、第1レジスト41から露出した副画素SP2及び副画素SP3の第1薄膜31を除去し、副画素SP1に第1薄膜31が残留する。
【0086】
第1薄膜31を除去する工程は、例えば、以下の通りである。
まず、
図9に示すように、第1レジスト41をマスクとして利用し、ドライエッチングを行い、第1レジスト41から露出した封止層SE1を除去する。これにより、キャップ層CP1のうち、一部の第2透明層TL12が封止層SE1から露出する。
【0087】
その後、
図10に示すように、第1レジスト41をマスクとして利用し、アッシング(酸素プラズマを照射するドライエッチング)を行い、封止層SE1から露出した第2透明層TL12を除去する。
これに続いて、第1レジスト41をマスクとして利用し、アッシングを行い、第2透明層TL12から露出した第1透明層TL11を除去する。これにより、一部の上電極UE1がキャップ層CP1から露出する。
【0088】
その後、
図11に示すように、第1レジスト41をマスクとして利用し、ウエットエッチングを行い、第1透明層TL11から露出した上電極UE1を除去する。
その後、第1レジスト41をマスクとして利用し、アッシングを行い、上電極UE1から露出した有機層OR1を除去する。
これにより、副画素SP2において下電極LE2が露出し、また、下電極LE2を囲むリブ5が露出する。また、副画素SP3において下電極LE3が露出し、また、下電極LE3を囲むリブ5が露出する。また、副画素SP1と副画素SP2との間の隔壁6において、副画素SP2側が露出する。また、副画素SP2と副画素SP3との間の隔壁6が露出する。
【0089】
その後、ステップST24においては、
図12に示すように、第1レジスト41を除去する。これにより、副画素SP1の封止層SE1が露出する。これらのステップST21乃至ST24を経て、副画素SP1において、表示素子201が形成される。表示素子201は、下電極LE1、発光層EM1を含む有機層OR1、上電極UE1、第1透明層TL11、及び、第2透明層TL12によって構成される。また、表示素子201は、封止層SE1によって覆われている。
【0090】
副画素SP1と副画素SP2との間の隔壁6上には、発光層EM1を含む有機層OR1、上電極UE1、第1透明層TL11、第2透明層TL12、及び、封止層SE1の積層体が形成される。隔壁6の上の積層体は、表示素子201を構成する有機層OR1、上電極UE1、第1透明層TL11、第2透明層TL12、及び、封止層SE1からそれぞれ離間している。また、隔壁6のうち、副画素SP1の側の部分は、封止層SE1で覆われる。なお、
図12に示した隔壁6上の積層体は、完全に除去される場合があり得る。
【0091】
図5に示したステップST31乃至ST34は、上記のステップST21乃至ST24と同様である。これらのステップST31乃至ST34を経て、
図3に示した副画素SP2において、表示素子202が形成される。表示素子202は、下電極LE2、発光層EM2を含む有機層OR2、上電極UE2、第1透明層TL21、及び、第2透明層TL22によって構成される。また、表示素子202は、封止層SE2によって覆われている。
【0092】
図5に示したステップST41乃至ST44も、上記のステップST21乃至ST24と同様である。これらのステップST41乃至ST44を経て、
図3に示した副画素SP3において、表示素子203が形成される。表示素子203は、下電極LE3、発光層EM3を含む有機層OR3、上電極UE3、第1透明層TL31、及び、第2透明層TL32によって構成される。また、表示素子203は、封止層SE3によって覆われている。
【0093】
本実施形態によれば、表示素子201乃至203の各々は、光学調整層として機能するキャップ層CP1乃至CP3をそれぞれ備えている。このため、発光層EM1乃至EM3でそれぞれ放射された光は、キャップ層CP1乃至CP3を構成する第1透明層と第2透明層との界面で反射され、上電極で再び反射される。このような反射光の干渉を利用したマイクロキャビティ効果により、1つの表示素子当たりの光取出効率を向上することができる。
【0094】
このような光学調整層は、低屈折率層及び高屈折率層の積層体として構成される。上記した表示装置の製造方法においては、光学調整層を含む第1乃至第3薄膜は、副画素毎にパターニングされる。このとき、光学調整層を構成する各層は、いずれも有機材料で形成されているため、アッシング処理により容易に且つ連続的に除去することができる。しかも、アッシング処理においては、酸素プラズマが広がりながら照射されるため、
図9に示したように、隔壁6の突出部622の直下、及び、突出部623の直下において、低屈折率層及び高屈折率層のいずれも確実に除去することができる。したがって、有機材料の残差の生成が抑制され、信頼性の低下を抑制することができる。
【0095】
しかも、低屈折率層及び高屈折率層を形成するための有機材料として、透明性が高く、且つ、所定の屈折率を有する材料を適用することができ、適用可能な材料の選択肢が広がる。また、有機材料の除去の際には、アッシング処理が適用され、しかも、低屈折率層及び高屈折率層を連続的に除去することができる。このため、所定のエッチング液で除去するウエットエッチングと比較して、プロセスの自由度が高くなり、また、処理時間も短縮される。
【0096】
以上説明したように、本実施形態によれば、信頼性の低下を抑制し、製造歩留まりを向上することが可能な表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【0097】
以上、本発明の実施形態として説明した表示装置及びその製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての表示装置及びその製造方法も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0098】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0099】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0100】
DSP…表示装置
10…基板 12…絶縁層
5…リブ AP1,AP2,AP3…開口
6…隔壁 61…下部 62…上部
SP1,SP2,SP3…副画素
20,201,202,203…表示素子(有機EL素子)
LE1,LE2,LE3…下電極(アノード)
UE1,UE2,UE3…上電極(カソード)
OR1,OR2,OR3…有機層
CP1,CP2,CP3…キャップ層
TL11、TL21、TL31…第1透明層
TL12、TL22、TL32…第2透明層
SE1,SE2,SE3…封止層