(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184119
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】電子レシートシステム、サーバ及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20230101AFI20231221BHJP
【FI】
G06Q30/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098079
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】林 祐司
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 貴司
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】店舗から電子レシートシステムを運営する機関に店舗会員の情報を提供することなく、店舗会員とレシート会員とを連携する。
【解決手段】電子レシートシステムにおいて、顧客サーバ23は、店舗会員の第1の識別コードと、店舗会員が機関と電子レシート契約を結んだ際に設定された第2の識別コードとを関連付けて記憶する記憶部と、店舗の決済端末から第2の識別コードが付加されたレシートデータを受信すると、レシートデータを第2のサーバへと送信させる第1制御手段と、店舗の決済端末から第1の識別コードが付加されたレシートデータを受信すると、記憶部から第1の識別コードと関連付けて記憶されている第2の識別コードを取得し、レシートデータに付加された第1の識別コードを、取得した第2の識別コードに変換してレシートデータを第2のサーバへと送信するように制御する第2制御手段と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗と会員契約を結んだ店舗会員の各々に設定された第1の識別コードを管理する第1のサーバと、
店舗外部の機関と取引のレシートを電子化して受け取る電子レシート契約を結んだレシート会員の各々に設定された第2の識別コードを管理する第2のサーバと、
を含み、
前記第1のサーバと前記第2のサーバとを通信ネットワークで接続してなる電子レシートシステムにおいて、
前記第1のサーバは、
前記店舗会員の前記第1の識別コードと、当該店舗会員が前記機関と電子レシート契約を結んだ際に設定された前記第2の識別コードとを関連付けて記憶する記憶部と、
前記店舗の決済端末から前記第2の識別コードが付加されたレシートデータを受信すると、当該第2の識別コードが付加されたレシートデータを前記第2のサーバへと送信するように制御する第1制御手段と、
前記店舗の決済端末から前記第1の識別コードが付加されたレシートデータを受信すると、前記記憶部から当該第1の識別コードと関連付けて記憶されている前記第2の識別コードを取得し、前記レシートデータに付加された前記第1の識別コードを、取得した前記第2の識別コードに変換して、当該第2の識別コードが付加されたレシートデータを前記第2のサーバへと送信するように制御する第2制御手段と、
を具備する電子レシートシステム。
【請求項2】
前記第1のサーバは、
外部から前記第1の識別コードと前記第2の識別コードとの連携データを受信すると、当該連携データの前記第1の識別コードが当該第1のサーバで管理している第1の識別コードであるか否かを確認し、当該第1のサーバで管理している第1の識別コードである場合に、前記連携データの第1の識別コードと第2の識別コードとを関連付けて前記記憶部に保存する関連付け手段、
をさらに具備する請求項1記載の電子レシートシステム。
【請求項3】
店舗と会員契約を結んだ店舗会員の各々に設定された第1の識別コードを管理する管理部と、
店舗外部の機関と取引のレシートを電子化して受け取る電子レシート契約を結んだレシート会員の各々に設定された第2の識別コードを管理する第2のサーバと通信ネットワークで接続する通信部と、
前記店舗会員の前記第1の識別コードと、当該店舗会員が前記機関と電子レシート契約を結んだ際に設定された前記第2の識別コードとを関連付けて記憶する記憶部と、
前記店舗の決済端末から前記第2の識別コードが付加されたレシートデータを受信すると、当該第2の識別コードが付加されたレシートデータを前記第2のサーバへと送信するように制御する第1制御手段と、
前記店舗の決済端末から前記第1の識別コードが付加されたレシートデータを受信すると、前記記憶部から当該第1の識別コードと関連付けて記憶されている前記第2の識別コードを取得し、前記レシートデータに付加された前記第1の識別コードを、取得した前記第2の識別コードに変換して、当該第2の識別コードが付加されたレシートデータを前記第2のサーバへと送信するように制御する第2制御手段と、
を具備するサーバ。
【請求項4】
外部から前記第1の識別コードと前記第2の識別コードとの連携データを受信すると、当該連携データの前記第1の識別コードが前記管理部で管理している第1の識別コードであるか否かを確認し、前記管理部で管理している第1の識別コードである場合に、前記連携データの第1の識別コードと第2の識別コードとを関連付けて前記記憶部に保存する関連付け手段、
をさらに具備する請求項3記載のサーバ。
【請求項5】
店舗と会員契約を結んだ店舗会員の各々に設定された第1の識別コードを管理する管理部と、
店舗外部の機関と取引のレシートを電子化して受け取る電子レシート契約を結んだレシート会員の各々に設定された第2の識別コードを管理する第2のサーバと通信ネットワークで接続する通信部と、
前記店舗会員の前記第1の識別コードと、当該店舗会員が前記機関と電子レシート契約を結んだ際に設定された前記第2の識別コードとを関連付けて記憶する記憶部と、
を具備するサーバを、
前記店舗の決済端末から前記第2の識別コードが付加されたレシートデータを受信すると、当該第2の識別コードが付加されたレシートデータを前記第2のサーバへと送信するように制御する第1制御手段、及び、
前記店舗の決済端末から前記第1の識別コードが付加されたレシートデータを受信すると、前記記憶部から当該第1の識別コードと関連付けて記憶されている前記第2の識別コードを取得し、前記レシートデータに付加された前記第1の識別コードを、取得した前記第2の識別コードに変換して、当該第2の識別コードが付加されたレシートデータを前記第2のサーバへと送信するように制御する第2制御手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
前記サーバを、
外部から前記第1の識別コードと前記第2の識別コードとの連携データを受信すると、当該連携データの前記第1の識別コードが前記管理部で管理している第1の識別コードであるか否かを確認し、前記管理部で管理している第1の識別コードである場合に、前記連携データの第1の識別コードと第2の識別コードとを関連付けて前記記憶部に保存する関連付け手段、
としてさらに機能させるための請求項5記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子レシートシステム、サーバ及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
店舗と会員契約を結んだ店舗会員が、取引のレシートを電子化して受け取る電子レシート契約を結んだレシート会員である場合に、レシート会員の識別コードであるレシートIDを、店舗会員の識別コードである会員IDと連携させることができる。レシートIDを会員IDと連携させることによって、店舗での取引の際に決済端末に会員IDを入力しさえすれば、その会員IDと関連付けられたレシートIDで取引のレシートデータが管理される。その際、決済端末に会員IDが入力されるので、例えばサービスポイントを店舗会員に付与することができる。したがって、店舗からみると、取引のレシートを電子化して受け取りたい消費者を店舗会員として取り込めるメリットがある。一方、電子レシートシステムを運営する機関にとっても、レシート会員の増員が期待できる。
【0003】
しかしながら、従来、レシートIDと会員IDとの関連付けは、電子レシートシステムを運営する機関のサーバシステムで行われていた。このため店舗は、店舗会員の情報を外部に提供する必要がある。店舗会員の情報は、店舗にとって1つの財産であり、店外に流出した場合の損害は非常に大きいものとなる。このような事情から、レシートIDと会員IDとの関連付けを店舗内で完結させ、電子レシートシステムを運営する機関のサーバシステムには店舗会員の情報を提供しない仕組みが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5620565号公報
【特許文献2】特許第6918997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、店舗から電子レシートシステムを運営する機関に店舗会員の情報を提供することなく、店舗会員とレシート会員との連携が可能な電子レシートシステム及びそのサーバを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、電子レシートシステムは、第1のサーバと第2のサーバとを含む。第1のサーバと第2のサーバとは、通信ネットワークで接続されている。第1のサーバは、店舗と会員契約を結んだ店舗会員の各々に設定された第1の識別コードを管理する。第2のサーバは、店舗外部の機関と取引のレシートを電子化して受け取る電子レシート契約を結んだレシート会員の各々に設定された第2の識別コードを管理する。
かかる電子レシートシステムにおいて、第1のサーバは、記憶部と、第1制御手段と、第2制御手段とを備える。記憶部は、店舗会員の第1の識別コードと、当該店舗会員が機関と電子レシート契約を結んだ際に設定された第2の識別コードとを関連付けて記憶する。第1制御手段は、店舗の決済端末から第2の識別コードが付加されたレシートデータを受信すると、当該第2の識別コードが付加されたレシートデータを第2のサーバへと送信するように制御する。第2制御手段は、店舗の決済端末から第1の識別コードが付加されたレシートデータを受信すると、記憶部から当該第1の識別コードと関連付けて記憶されている第2の識別コードを取得し、レシートデータに付加された第1の識別コードを、取得した第2の識別コードに変換して、当該第2の識別コードが付加されたレシートデータを第2のサーバへと送信するように制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子レシートシステムの概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、顧客サーバの要部回路構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、顧客サーバが有する連携テーブルのデータ構造を示す模式図である。
【
図4】
図4は、連携モードが選択されたときに顧客サーバのプロセッサが実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図である。
【
図5】
図5は、取引モードが選択されたときに顧客サーバのプロセッサが実行する主要な情報処理の手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について、図面を用いて説明する。
[電子レシートシステムの説明]
図1は、一実施形態に係る電子レシートシステム100の概略構成を示す模式図である。電子レシートシステム100は、電子レシートセンタ10と店舗システム20と通信ネットワーク30とを含む。
【0009】
電子レシートセンタ10は、取引のレシートを電子化してその取引の決済者である消費者にオンラインで提供する電子レシートサービスを運営する機関のコンピュータシステムである。機関は、店舗とは独立した組織である。機関は、組織、企業体、会社等と言い換えることができる。
【0010】
電子レシートサービスを利用する消費者は、機関と電子レシート契約を結ぶ。電子レシート契約は、通常、オンラインで行う。消費者は、所有する端末40に電子レシートサービス専用のアプリケーションソフトウェアをインストールする。端末40は、典型的にはスマートフォンである。端末40は、タブレット端末、ノートパソコン等でもよい。以下では、端末40にインストールされたアプリケーションソフトウェアを電子レシートアプリと称する。消費者は、電子レシートアプリを用いて必要事項を端末に入力することにより、機関と電子レシート契約を結ぶことができる。以下では、電子レシート契約を結んだ消費者を、レシート会員と称する。レシート会員には、固有のレシートIDが設定される。端末40において電子レシートアプリを起動すると、その端末40のタッチパネルに、レシートIDをバーコードで表したトップ画面が表示される。レシートIDは、レシート会員の各々に設定された第2の識別コードの一例である。
【0011】
電子レシートセンタ10は、会員サーバ11とレシートサーバ12とを有する。会員サーバ11は、各レシート会員の会員情報を管理するサービスを実現するためのサーバである。会員情報は、そのレシート会員に対して設定されたレシートIDを含む。レシートサーバ12は、電子化されたレシートデータを管理するためのサービスを実現するためのサーバである。レシートサーバ12は、レシート会員からの要求に応じて、そのレシート会員が使用する端末40にレシートデータをダウンロードするサービスをも実現する。
【0012】
店舗システム20は、電子レシートサービスを運営する機関と加盟店契約を結んだ店舗に構築されるシステムである。店舗は、加盟店契約を結ぶことにより、その店舗で取引を決済したレシート会員に対してその取引のレシートを電子化して提供できるようになる。店舗の業態は特に限定されない。スーパーマーケット、コンビニエンスストア、専門店等の小売店でもよいし、複数のテナントを備えたショッピングセンタであってもよい。あるいは、病院、スポーツジム、映画館、遊園地等、利用者に対してレシートを発行する施設であってもよい。
【0013】
店舗システム20は、POS(Point Of Sales)端末21、POSサーバ22、顧客サーバ23及び中継サーバ24を有する。POS端末21は、取引の決済を処理する決済端末である。POS端末21は、決済を処理した取引毎にレシートデータを生成する機能を有する。レシートデータは、紙媒体に印刷されて取引レシートとして発行される場合と、レシートサーバ12に送信される場合とがある。1つの店舗システム20が備えるPOS端末21の台数は特に限定されない。店舗システム20は、2台以上のPOS端末21を備えていてもよいし、1台のPOS端末21しか備えていなくてもよい。
【0014】
POSサーバ22は、POS端末21で決済された取引のデータを管理するサービスを実現するためのサーバである。POSサーバ22において取引のデータが管理されることにより、店舗管理者は、店舗の売上、損失等を知ることができる。
【0015】
顧客サーバ23は、店舗と会員契約を結んだ消費者に係る情報を管理するサービスを実現するためのサーバである。消費者は、店舗と会員契約を結ぶことにより、例えばポイントサービスを受けることができる。あるいは消費者は、会員価格で商品を購入したり、施設を利用したりすることができる。以下では、会員契約を結んだ消費者を店舗会員と称する。店舗会員には、固有の会員IDが設定される。会員IDは、店舗会員の各々に設定された第1の識別コードの一例である。顧客サーバ23において管理される消費者、つまりは店舗会員に係る情報には、会員IDが含まれる。
【0016】
中継サーバ24は、POS端末21において決済された取引のレシートデータを電子レシートセンタ10に提供するサービスを実現するためのサーバである。レシートデータは、中継サーバ24から電子レシートセンタ10のレシートサーバ12に通信手段を介して提供される。
【0017】
通信ネットワーク30は、通信手段の一例である。通信ネットワーク30は、各店舗システム20の中継サーバ24と、電子レシートセンタ10のレシートサーバ12とを接続し、データ通信を可能とするものである。通信ネットワーク30は、典型的には、公衆回線又は専用回線を中継網とし、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、移動体通信網、携帯電話通信網等をアクセス網とした広域のネットワークである。レシートサーバ12がクラウドコンピューティングを利用する場合、通信ネットワーク30は、インターネットが主体となる。端末40も、通信ネットワーク30を介してレシートサーバ12と接続される。なお、端末40は、通信ネットワーク30とは異なるネットワークを介してレシートサーバ12と接続してもよい。
【0018】
ここに顧客サーバ23は、店舗と会員契約を結んだ店舗会員の各々に設定された第1の識別コード(会員ID)を管理する第1のサーバとして機能する。レシートサーバ12は、店舗外部の機関と取引のレシートを電子化して受け取る電子レシート契約を結んだレシート会員の各々に設定された第2の識別コード(レシートID)を管理する第2のサーバとして機能する。
【0019】
[顧客サーバの説明]
図2は、顧客サーバ23の要部回路構成を示すブロック図である。顧客サーバ23は、プロセッサ51、メインメモリ52、補助記憶デバイス53、通信インターフェース54及びシステム伝送路55を備える。システム伝送路55は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。顧客サーバ23は、システム伝送路55に、プロセッサ51、メインメモリ52、補助記憶デバイス53及び通信インターフェース54を接続する。顧客サーバ23では、プロセッサ51、メインメモリ52、補助記憶デバイス53及び通信インターフェース54と、これらを接続するシステム伝送路55とによってコンピュータが構成される。
【0020】
プロセッサ51は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ51は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラム(アプリケーションソフトウェア)に従って、顧客サーバ23としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ51は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0021】
メインメモリ52は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ52は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ52は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ52は、プロセッサ51が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを揮発性のメモリ領域で記憶する。上記データは、不揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ52は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ51によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0022】
補助記憶デバイス53は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス53となり得る。補助記憶デバイス53は、プロセッサ51が各種の処理を行う上で使用するデータ、あるいはプロセッサ51での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス53は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0023】
通信インターフェース54は、POSサーバ22及び中継サーバ24とデータ通信を行うための回路である。すなわち顧客サーバ23は、通信インターフェース54を介してPOSサーバ22、さらにはPOSサーバ22に接続されたPOS端末21とデータ通信を行うことができる。また顧客サーバ23は、通信インターフェース54を介して中継サーバ24とデータ通信を行うこともできる。これらのデータ通信により、POS端末21で決済された店舗会員との取引に係る情報が顧客サーバ23で管理される。そして、店舗会員がレシート会員である場合に、取引レシートを電子化したレシートデータが中継サーバ24を介してレシートサーバ12へと送信される。
【0024】
顧客サーバ23は、補助記憶デバイス53における記憶領域の一部を顧客データベース61と連携テーブル62の記憶領域としている。顧客データベース61は、店舗会員である顧客毎に生成される顧客データの集合体である。顧客データは、会員ID、氏名、性別、連絡先等の個人情報に加え、サービスポイント等の取引の履歴に関する情報等を含む。このような顧客データは、店舗にとって1つの財産であり、外部に流出させてはいけない重要なデータである。
【0025】
連携テーブル62は、
図3に示すように、1つの会員IDと、1つのレシートIDとを関連付けたデータテーブルである。顧客データベース61によって管理される顧客データの会員IDで識別される顧客、すなわち店舗会員がレシート会員である場合、連携テーブル62は、その店舗会員を識別する会員IDと、レシート会員を識別するレシートIDとを関連付けて記憶する。このような連携テーブル62は、記憶部として機能する。
【0026】
かかる構成の顧客サーバ23において、プロセッサ51は、関連付け手段71、第1制御手段72及び第2制御手段73としての機能を有する。
【0027】
関連付け手段71は、外部の機器から会員IDとレシートIDとの連携データを受信すると、当該連携データの会員IDが顧客サーバ23で管理している会員IDであるか否かを確認し、顧客サーバ23で管理している会員IDである場合に、当該連携データの会員IDとレシートIDとを関連付けて、関連付けテーブル63に保存する機能である。このような関連付け手段71としての機能は、プロセッサ51が連携モードであるとき実現される。
【0028】
第1制御手段72は、POS端末21からレシートIDが付加されたレシートデータを受信すると、このレシートデータが付加されたレシートデータをレシートサーバ12へと送信するように制御する機能である。第2制御手段73は、POS端末21から会員IDが付加されたレシートデータを受信すると、連携テーブル62から当該会員IDと関連付けて記憶されているレシートIDを取得し、レシートデータに付加された会員IDを取得したレシートIDに変換して、当該レシートIDが付加されたレシートデータをレシートサーバ12へと送信するように制御する機能である。このような第1制御手段72及び第2制御手段73としての機能は、プロセッサ51が取引モードであるとき実現される。
【0029】
プロセッサ51は、デフォルトのモードが取引モードである。外部の機器から連携コマンドを受信すると、連携モードに切り替わる。そして連携モードの処理を終了すると、取引モードに戻る。このようなモードの切り替えと各モードでの情報処理は、メインメモリ52又は補助記憶デバイス53にインストールされた制御プログラムに従って実行される。メインメモリ52又は補助記憶デバイス53に制御プログラムをインストールする方法は特に限定されない。リムーバブルな記録媒体に制御プログラムを記録して、あるいはネットワークを介した通信により制御プログラムを配信して、制御プログラムをメインメモリ52又は補助記憶デバイス53にインストールすることができる。記録媒体は、SDメモリカード、USBメモリ等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0030】
図4は、連携モードが選択されたときのプロセッサ51の主要な情報処理の手順を示す流れ図である。なお、以下に説明する情報処理の手順及び内容は一例である。同一の作用効果を奏し得るのであれば、その手順及び内容は、適宜変更することができる。
【0031】
前述したようにプロセッサ51は、外部の機器から連携コマンドを受信すると、連携モードに入る。そしてプロセッサ51は、
図4の流れ図に示す手順の情報処理を開始する。先ずプロセッサ51は、ACT1として連携データを受信するのを待ち受けている。連携データは、連携コマンド発信元の機器から送信されてくる。
【0032】
連携コマンドの発信元となり得る外部の機器の一例はPOS端末21である。POS端末21は、種々の業務メニューの1つに店舗会員とレシート会員との連携メニューを有する。連携メニューが選択されると、POS端末21は、店舗会員の会員IDと、レシート会員のレシートIDとを取り込む。例えばPOS端末21は、カードリーダで会員カードのデータが読み取られると、その会員カードのデータから会員IDを取り込む。POS端末21は、スキャナで端末40のタッチパネルに表示されるトップ画面のバーコードがスキャニングされると、そのバーコードからレシートIDを取り込む。会員IDとレシートIDとを取り込んだPOS端末21は、連携コマンドに続いて、取り込んだ会員IDとレシートIDとを連携させた連携データを顧客サーバ23に送信する。連携コマンド及び連携データは、POSサーバ22を介して顧客サーバ23へと送信される。
【0033】
連携コマンドの発信元となり得る外部の機器の他の例は端末40である。電子レシートアプリが起動した端末40は、レシート会員と店舗会員との連携メニューを有する。連携メニューが選択されると、端末40は、店舗会員の会員IDが入力されるのを待ち受ける。端末40のユーザであるレシート会員は、タッチパネルに表示されるソフトキーボードを操作して例えば会員カードに印刷されている会員IDを入力する。POS端末21は、会員IDが入力されると、連携コマンドに続いて、入力された会員IDと端末40に設定されているレシートIDとを連携させた連携データを顧客サーバ23に送信する。連携コマンド及び連携データは、中継サーバ24を介して顧客サーバ23へと送信される。
【0034】
プロセッサ51は、連携データを受信すると、ACT1からACT2へと進む。プロセッサ51は、ACT2として受信した連携データから会員IDを取得する。そしてプロセッサ51は、ACT3として取得した会員IDで顧客データベース61を検索する。取得した会員IDを含む顧客データが顧客データベース61に存在する場合、その会員IDで識別される消費者は店舗会員である。取得した会員IDを含む顧客データが顧客データベース61に存在しない場合、その会員IDで識別される消費者は店舗会員でない。例えば会員IDが別の店舗の店舗会員に付与される会員IDであった場合、このようなエラーの事象は起こり得る。
【0035】
プロセッサ51は、ACT4として店舗会員であるか否かを確認する。店舗会員でない場合、プロセッサ51は、ACT4からACT5へと進む。プロセッサ51は、ACT5として連携コマンドの発信元である外部の機器に対し、エラー応答を送信する。
【0036】
一方、店舗会員である場合には、プロセッサ51は、ACT4からACT6へと進む。プロセッサ51は、ACT6としてその連携データに含まれる店舗IDとレシートIDとを関連付けて連携テーブル62に保存する。またプロセッサ51は、ACT7として連携コマンドの発信元である外部の機器に対し、許諾応答を送信する。
【0037】
こうして、エラー応答又は許諾応答を送信したプロセッサ51は、連携モードの処理を終了する。プロセッサ51は、取引モードに戻る。ここにプロセッサ51は、
図4の流れ図に示す手順のACT1、ACT2、ACT3、ACT4及びACT6の情報処理を実行することにより、関連付け手段71としての機能を実現する。
【0038】
図5は、取引モードが選択されたときのプロセッサ51の主要な情報処理の手順を示す流れ図である。なお、以下に説明する情報処理の手順及び内容は一例である。同一の作用効果を奏し得るのであれば、その手順及び内容は、適宜変更することができる。
【0039】
取引モードで動作中のプロセッサ51は、ACT11としてレシートデータを受信するのを待ち受けている。レシートデータは、消費者との取引を決済したPOS端末21から送られてくる。POS端末21において消費者との取引が決済されると、その取引の明細を示すレシートデータが生成されて、顧客サーバ23へと送信される。
【0040】
ここで、消費者が所有する端末40に表示されたレシートIDのバーコードがPOS端末21のスキャナで読み取られた場合には、レシートデータにレシートIDが付加される。消費者が所有する会員カードのデータがPOS端末21のカードリーダで読み取られた場合には、レシートデータにレシートIDが付加される。
【0041】
プロセッサ51は、POSサーバ22を介してレシートデータを受信すると、ACT11からACT12へと進む。プロセッサ51は、ACT12としてレシートデータからIDを取得する。プロセッサ51は、ACT13としてレシートデータからレシートIDを取得し得たか否かを確認する。レシートIDを取得できなかった場合、プロセッサ51は、ACT14としてレシートデータから会員IDを取得し得たか否かを確認する。レシートIDのみならず会員IDも取得できなかった場合、プロセッサ51は、
図5の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0042】
レシートデータから会員IDを取得し得た場合には、プロセッサ51は、ACT14からACT15へと進む。プロセッサ51は、ACT15として連携テーブル62を検索して、取得した会員IDに対してレシートIDが関連付けされているか否かを確認する。会員IDに対してレシートIDが関連付けされていない場合、会員IDで識別される店舗会員は、レシート会員として連携されていない。プロセッサ51は、ACT15からACT19へと進む。プロセッサ51は、ACT19としてその会員IDを含む顧客データの取引履歴に関する情報をレシートデータに基づいて更新する。以上で、プロセッサ51は、
図5の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0043】
これに対し、会員IDに対してレシートIDが関連付けされている場合には、会員IDで識別される店舗会員は、レシート会員として連携されている。プロセッサ51は、ACT15からACT16へと進む。プロセッサ51は、ACT16としてその会員IDに関連付けられたレシートIDを連携テーブル62から取得する。プロセッサ51は、ACT17としてレシートデータに付加されていた会員IDを、ACT16の処理で取得したレシートIDに変換する。プロセッサ51は、ACT18として会員IDをレシートデータに置換したレシートデータをレシートサーバ12に送信するように通信インターフェース25を制御する。この制御により、レシートデータは、通信インターフェース25から中継サーバ24へと送信され、さらに通信ネットワーク30を介してレシートサーバ12へて送信される。
【0044】
レシートデータの送信を制御したプロセッサ51は、前述したACT19へと進む。プロセッサ51は、ACT19としてレシートデータに付加されていた会員IDを含む顧客データの取引履歴に関する情報をレシートデータに基づいて更新する。以上で、プロセッサ51は、
図5の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0045】
一方、レシートデータからレシートIDを取得し得た場合には、プロセッサ51は、ACT13からACT20へと進む。プロセッサ51は、ACT20として連携テーブル62を検索して、取得したレシートIDに対して会員IDが関連付けされているか否かを確認する。レシートIDに対して会員IDが関連付けされていない場合、レシートIDで識別されるレシート会員は、店舗会員として連携されていない。プロセッサ51は、ACT20からACT21へと進む。プロセッサ51は、ACT21としてそのレシートデータをレシートサーバ12に送信するように通信インターフェース25を制御する。以上で、プロセッサ51は、
図5の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0046】
これに対し、レシートIDに対して会員IDが関連付けされている場合には、レシートIDで識別されるレシート会員は、店舗会員として連携されている。プロセッサ51は、ACT20からACT22へと進む。プロセッサ51は、ACT22としてそのレシートIDに関連付けられた会員IDを連携テーブル62から取得する。そしてプロセッサ51は、前述したACT18及びACT19の処理を実行する。
【0047】
すなわちプロセッサ51は、ACT18としてレシートIDが付加されたレシートデータをレシートサーバ12に送信するように通信インターフェース25を制御する。またプロセッサ51は、ACT19として、ACT22において取得した会員ID含む顧客データの取引履歴に関する情報をレシートデータに基づいて更新する。以上で、プロセッサ51は、
図5の流れ図に示す手順の情報処理を終了する。
【0048】
このようにプロセッサ51は、
図5の流れ図に示す手順のACT11、ACT12、ACT13、ACT20、ACT21またはACT18の処理を実行することにより、第1制御手段72としての機能を実現する。プロセッサ51は、
図5の流れ図に示す手順のACT11、ACT12、ACT13、ACT14、ACT15、ACT16、ACT17及びACT18の処理を実行することにより、第2制御手段73としての機能を実現する。
【0049】
[電子レシートシステムの作用効果]
電子レシートシステム100は、店舗システム20の顧客サーバ23が連携テーブル62を有している。そして、POS端末21において決済された取引のレシートデータに、連携テーブル62でレシートIDと連携されている会員IDが付加されていると、顧客サーバ23が、レシートデータに付加されていた会員IDを連携先のレシートIDに変換する。そして、レシートIDが付加されたレシートデータが、中継サーバ24を介してレシートサーバ12へと送信される。
【0050】
したがって、店舗システム20から電子レシートセンタ10へと出力されるレシートデータに会員IDが付加されることはない。このため、会員IDを含む店舗会員の情報を、電子レシートシステムを運営する機関に提供する必要はない。よって、店舗から電子レシートシステムを運営する機関に店舗会員の情報を提供することなく、店舗会員とレシート会員との連携が可能となる。また、電子レシートシステムを運営する機関に店舗会員の情報を提供しないので、会員IDとレシートIDとの連携を解消する場合も店舗システム20の内部処理で完結することができる。
【0051】
また、レシートデータにレシートIDが付加されている場合には、そのレシートデータが中継サーバ24を介してレシートサーバ12へと送信される。ここで、そのレシートIDが連携テーブル62で会員IDと連携されている場合、顧客サーバ23は、その会員IDで識別される店舗会員の取引履歴に関する情報をレシートデータに基づいて更新する。したがって、例えばレシートIDと関連付けられた会員IDで識別される店舗会員が会員カードを忘れた場合でも、電子レシートアプリをインストールした端末40を所持してさえすれば、ポイントサービス等の店舗会員特有の特典を受けることができる。勿論、その際のレシートは、電子レシートとして店舗会員に提供される。
【0052】
[変形例]
前記実施形態では、店舗システム20がPOSサーバ22、顧客サーバ23及び中継サーバ24を有するものとして説明した。これらのサーバ22~24は、それぞれ独立したサーバでなくてもよい。例えばPOSサーバ22が顧客サーバ23としての機能を有してもよい。あるいは、中継サーバ24が顧客サーバ23としての機能を有してもよい。また、1つのサーバで、POSサーバ22、顧客サーバ23及び中継サーバ24として機能を実現してもよい。
【0053】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
10…電子レシートセンタ、11…会員サーバ、12…レシートサーバ、20…店舗システム、21…POS端末、22…POSサーバ、23…顧客サーバ、24…中継サーバ、30…通信ネットワーク、40…端末、51…プロセッサ、52…メインメモリ、53…補助記憶デバイス、54…通信インターフェース、55…システム伝送路、61…顧客データベース、62…連携テーブル、71…関連付け手段、72…第1制御手段、73…第2制御手段。