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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184125
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】確認装置の洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
B60S1/62 120A
B60S1/62 120B
B60S1/62 110A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098090
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100083091
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 経雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141416
【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 智雄
(72)【発明者】
【氏名】松浦 昭
(72)【発明者】
【氏名】大山 裕加
(72)【発明者】
【氏名】千葉 志朗
【テーマコード(参考)】
3D225
【Fターム(参考)】
3D225AA11
3D225AB01
3D225AC01
3D225AC02
3D225AD22
(57)【要約】
【課題】任意のタイミングでブレードを駆動させることができる、確認装置の洗浄装置の提供。
【解決手段】ブレード20を駆動するための駆動装置30が、ウォッシャ液の水路と繋がっており、ウォッシャ液の圧力を用いてブレード20を駆動するよう構成されている。そのため、ウォッシャ液を駆動源にしてブレード20を駆動させることができる。一般的に、車両の運転席の乗員は任意のタイミングでウォッシャポンプを駆動させてウォッシャ液を噴出させることができるため、任意のタイミングでブレード20を駆動させて確認装置1のレンズ部1aを払拭することができる。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲の視認および/または確認のために車外に露出して車両に搭載される確認装置を洗浄する洗浄装置であって、
前記確認装置のレンズ部を払拭するためのブレードと、
前記ブレードを駆動するための駆動装置と、
を有し、
前記駆動装置は、ウォッシャ液の水路と繋がっており、ウォッシャ液の圧力を用いて前記ブレードを駆動するよう構成されている、確認装置の洗浄装置。
【請求項2】
前記駆動装置は、内部にウォッシャ液を導入可能なシリンダと、該シリンダに対して直線動可能とされており該シリンダ内に導入されるウォッシャ液によって押されて動くピストンと、該ピストンに取付けられるとともに前記ブレードが取付けられる伝達ピースと、を有する、請求項1記載の確認装置の洗浄装置。
【請求項3】
前記駆動装置は、前記シリンダ内に導入されるウォッシャ液によって押されて動いた前記ピストンを、ウォッシャ液によって押されて動く前の位置に戻す方向に付勢するピストン付勢スプリングを、さらに有する、請求項2記載の確認装置の洗浄装置。
【請求項4】
前記シリンダには、該シリンダ内に導入されるウォッシャ液を該シリンダの外部に取出すウォッシャ液取出口が設けられており、
前記伝達ピースには、前記ウォッシャ液取出口から取出されるウォッシャ液を前記ブレードおよび/またはその近傍に向けて噴射する噴射ノズルが設けられている、請求項2記載の確認装置の洗浄装置。
【請求項5】
前記駆動装置は、内部にウォッシャ液を導入可能なハウジングと、該ハウジングに対して回転動可能とされており該ハウジング内に導入されるウォッシャ液によって押されて動く回転シャフトと、該回転シャフトに取付けられるとともに前記ブレードが取付けられる伝達アームと、を有する、請求項1記載の確認装置の洗浄装置。
【請求項6】
前記駆動装置は、前記ハウジング内に導入されるウォッシャ液によって押されて動いた前記回転シャフトを、ウォッシャ液によって押されて動く前の位置に戻す方向に付勢するシャフト付勢スプリングを、さらに有する、請求項5記載の確認装置の洗浄装置。
【請求項7】
前記ハウジングには、該ハウジング内に導入されるウォッシャ液を該ハウジングの外部に取出すウォッシャ液取出口が設けられており、該ウォッシャ液取出口から取出されるウォッシャ液を前記ブレードおよび/またはその近傍に向けて噴射する噴射ノズルが設けられている、請求項5記載の確認装置の洗浄装置。
【請求項8】
前記駆動装置は、前記ブレードが取付けられるワイパアームと、内部にウォッシャ液を導入可能な導入部と内部に導入されるウォッシャ液を外部に排出可能な排出部とを備えるギヤハウジングと、該ギヤハウジング内に配置されており該ギヤハウジング内のウォッシャ液によって押されて回転するギヤと、該ギヤの回転運動を前記ワイパアームの揺動運動に変換するカム機構と、を有する、請求項1記載の確認装置の洗浄装置。
【請求項9】
前記駆動装置は、さらに、前記ギヤハウジングの排出部から排出されるウォッシャ液を前記ブレードおよび/またはその近傍に向けて噴射する噴射ノズルを有する、請求項8記載の確認装置の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周囲の視認および/または確認のために車外に露出して車両に搭載される確認装置を洗浄する洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の周囲の視認および/または確認をするために、カメラやその他センサー等からなる確認装置が広く用いられている。確認装置のレンズ部、すなわちカメラの窓部やセンサーの検知部は車外に露出しているため、水滴や泥汚れにより、視界、検知性能が悪化することがある。そこで、レンズ部にフロント、リヤのウインドシールドを洗浄するためのウォッシャ液を噴射する洗浄装置や空気を噴射する洗浄装置が、一部で実用化されている。
【0003】
しかし、(a)ウォッシャ液を噴射する洗浄、(b)空気を噴射する洗浄には、それぞれ、つぎの問題点がある。
【0004】
(a)ウォッシャ液を噴射する洗浄
(a-1)レンズ部の表面状態は、ワックス、油付着や撥水コートの付着等様々であり、洗浄後もウォッシャ液が水滴となってレンズ部の表面に残ることがあり、レンズ効果で視界を悪化させることがある。また、こびりついた汚れについても、液の噴射だけでは除去することが困難である。
(a-2)洗浄能力を高めるにはウォッシャ液が比較的多量に必要であり、ウォッシャタンクの容量を増大化(質量増)させる必要がある。
【0005】
(b)空気を噴射する洗浄
(b-1)水滴をレンズ部の表面から除去することはできるが、空気圧だけではこびりついた汚れを除去することは困難である。
(b-2)ウォッシャ液は既存のウォッシャシステムを用いることができるが、空気噴射にはそのような仕組みがなく、比較的高価な専用のコンプレッサが必要である。
【0006】
上記の(a)ウォッシャ液を噴射する洗浄、(b)空気を噴射する洗浄、に存在する問題点を解消し得る技術として、特許文献1に開示される技術がある。特許文献1は、水分を検知して変形する高分子樹脂を用いて、車載カメラのレンズ部を払拭するブレード(ワイパ)を駆動させる技術を開示している。
【0007】
しかし、特許文献1開示の技術では、水分を検知して変形する高分子樹脂を用いているため、高分子樹脂が水分を検知したときにしかブレードを駆動させることができない。そのため、ブレードを任意のタイミングで駆動させることができない。
【0008】
なお、ブレードを任意のタイミングで駆動させるために、高分子樹脂の代わりに専用の駆動源を用意することも考えられるが、この場合には洗浄装置が大型化してしまい洗浄装置の小型化を図ることが困難になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2013-81097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、任意のタイミングでブレードを駆動させることができる、確認装置の洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1)〔実施例1-4〕
車両の周囲の視認および/または確認のために車外に露出して車両に搭載される確認装置を洗浄する洗浄装置であって、
前記確認装置のレンズ部を払拭するためのブレードと、
前記ブレードを駆動するための駆動装置と、
を有し、
前記駆動装置は、ウォッシャ液の水路と繋がっており、ウォッシャ液の圧力を用いて前記ブレードを駆動するよう構成されている、確認装置の洗浄装置。
(2)〔実施例1、2〕
前記駆動装置は、内部にウォッシャ液を導入可能なシリンダと、該シリンダに対して直線動可能とされており該シリンダ内に導入されるウォッシャ液によって押されて動くピストンと、該ピストンに取付けられるとともに前記ブレードが取付けられる伝達ピースと、を有する、(1)記載の確認装置の洗浄装置。
(3)〔実施例1、2〕
前記駆動装置は、前記シリンダ内に導入されるウォッシャ液によって押されて動いた前記ピストンを、ウォッシャ液によって押されて動く前の位置に戻す方向に付勢するピストン付勢スプリングを、さらに有する、(2)記載の確認装置の洗浄装置。
(4)〔実施例2〕
前記シリンダには、該シリンダ内に導入されるウォッシャ液を該シリンダの外部に取出すウォッシャ液取出口が設けられており、
前記伝達ピースには、前記ウォッシャ液取出口から取出されるウォッシャ液を前記ブレードおよび/またはその近傍に向けて噴射する噴射ノズルが設けられている、(2)記載の確認装置の洗浄装置。
(5)〔実施例3〕
前記駆動装置は、内部にウォッシャ液を導入可能なハウジングと、該ハウジングに対して回転動可能とされており該ハウジング内に導入されるウォッシャ液によって押されて動く回転シャフトと、該回転シャフトに取付けられるとともに前記ブレードが取付けられる伝達アームと、を有する、(1)記載の確認装置の洗浄装置。
(6)〔実施例3〕
前記駆動装置は、前記ハウジング内に導入されるウォッシャ液によって押されて動いた前記回転シャフトを、ウォッシャ液によって押されて動く前の位置に戻す方向に付勢するシャフト付勢スプリングを、さらに有する、(5)記載の確認装置の洗浄装置。
(7)〔実施例3〕
前記ハウジングには、該ハウジング内に導入されるウォッシャ液を該ハウジングの外部に取出すウォッシャ液取出口が設けられており、該ウォッシャ液取出口から取出されるウォッシャ液を前記ブレードおよび/またはその近傍に向けて噴射する噴射ノズルが設けられている、(5)記載の確認装置の洗浄装置。
(8)〔実施例4〕
前記駆動装置は、前記ブレードが取付けられるワイパアームと、内部にウォッシャ液を導入可能な導入部と内部に導入されるウォッシャ液を外部に排出可能な排出部とを備えるギヤハウジングと、該ギヤハウジング内に配置されており該ギヤハウジング内のウォッシャ液によって押されて回転するギヤと、該ギヤの回転運動を前記ワイパアームの揺動運動に変換するカム機構と、を有する、(1)記載の確認装置の洗浄装置。
(9)〔実施例4〕
前記駆動装置は、さらに、前記ギヤハウジングの排出部から排出されるウォッシャ液を前記ブレードおよび/またはその近傍に向けて噴射する噴射ノズルを有する、(8)記載の確認装置の洗浄装置。
【発明の効果】
【0012】
上記(1)の確認装置の洗浄装置によれば、ブレードを駆動するための駆動装置が、ウォッシャ液の水路と繋がっており、ウォッシャ液の圧力を用いてブレードを駆動するよう構成されているため、ウォッシャ液を駆動源にしてブレードを駆動させることができる。一般的に、車両の運転席の乗員は任意のタイミングでウォッシャポンプを駆動させてウォッシャ液を噴出させることができるため、任意のタイミングでブレードを駆動させて確認装置のレンズ部を払拭することができる。
【0013】
また、ウォッシャ液の圧力を用いてブレードを駆動するため、ブレードを駆動させるためだけの専用の駆動源を用意する必要がなく、専用の駆動源を用いる場合に比べて、洗浄装置の小型化及びコストダウンを図ることができる。
【0014】
上記(2)の確認装置の洗浄装置によれば、シリンダ内に導入されるウォッシャ液によって押されて動くピストンと、ピストンに取付けられるとともにブレードが取付けられる伝達ピースと、を有するため、シリンダ内に導入されるウォッシャ液の圧力を用いてピストンを動かすことで、ブレードを駆動させて確認装置のレンズ部を払拭することができる。
【0015】
上記(3)の確認装置の洗浄装置によれば、ピストン付勢スプリングを有するため、乗員がウォッシャポンプの駆動を止めたときに、ピストン付勢スプリングの付勢力でピストンをウォッシャ液によって押されて動く前の位置に戻すことができる。そのため、ブレードを再度駆動させて再度レンズ部を払拭することができる。
【0016】
上記(4)の確認装置の洗浄装置によれば、シリンダに、ウォッシャ液取出口が設けられており、伝達ピースに、ウォッシャ液取出口から取出されるウォッシャ液をブレードおよび/またはその近傍に向けて噴射する噴射ノズルが設けられているため、ウォッシャ液を併用したレンズ部の払拭が可能となる。そのため、ウォッシャ液を併用しない場合に比べて、レンズ部の洗浄性能を向上させることができる。
【0017】
上記(5)の確認装置の洗浄装置によれば、ハウジング内に導入されるウォッシャ液によって押されて動く回転シャフトと、回転シャフトに取付けられるとともにブレードが取付けられる伝達アームと、を有するため、ハウジング内に導入されるウォッシャ液の圧力を用いて回転シャフトを動かすことで、ブレードを駆動させて確認装置のレンズ部を払拭することができる。
【0018】
上記(6)の確認装置の洗浄装置によれば、シャフト付勢スプリングを有するため、ウォッシャポンプの駆動を止めたときに、シャフト付勢スプリングの付勢力で回転シャフトをウォッシャ液によって押されて動く前の位置に戻すことができる。そのため、ブレードを再度駆動させて再度レンズ部を払拭することができる。
【0019】
上記(7)の確認装置の洗浄装置によれば、ハウジングに、ウォッシャ液取出口が設けられており、また、ウォッシャ液取出口から取出されるウォッシャ液をブレードおよび/またはその近傍に向けて噴射する噴射ノズルが設けられているため、ウォッシャ液を併用したレンズ部の払拭が可能となる。そのため、ウォッシャ液を併用しない場合に比べて、レンズ部の洗浄性能を向上させることができる。
【0020】
上記(8)の確認装置の洗浄装置によれば、ブレードが取付けられるワイパアームと、ギヤハウジング内に配置されておりギヤハウジング内のウォッシャ液によって押されて回転するギヤと、ギヤの回転運動をワイパアームの揺動運動に変換するカム機構と、を有するため、ギヤハウジング内に導入されるウォッシャ液の圧力を用いてギヤを回転させてワイパアームを揺動させることで、ブレードを駆動させて確認装置のレンズ部を払拭することができる。
【0021】
また、ギヤハウジングが内部にウォッシャ液を導入可能な導入部と内部に導入されるウォッシャ液を外部に排出可能な排出部を備えるため、ウォッシャポンプを駆動させている間は、ギヤハウジング内をウォッシャ液が流れ続ける状態を保つことができる。そのため、ウォッシャポンプを駆動させている間は、ウォッシャ液の圧力を用いてギヤを回転させ続けることができ、その結果、ワイパアームの揺動運動を持続させる(繰り返し行わせる)ことができる。よって、ブレードによるレンズ部の払拭回数を増やすことができレンズ部の洗浄性能上有利である。
【0022】
上記(9)の確認装置の洗浄装置によれば、駆動装置が、さらに、ギヤハウジングの排出部から排出されるウォッシャ液をブレードおよび/またはその近傍に向けて噴射する噴射ノズルを有するため、ウォッシャ液を併用したレンズ部の払拭が可能となる。そのため、ウォッシャ液を併用しない場合に比べて、レンズ部の洗浄性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明実施例1の洗浄装置によって洗浄される確認装置の一例を示す斜視図である。ただし、本図は、本発明実施例1だけでなく本発明実施例2-4にも適用可能である。
図2】本発明実施例1の洗浄装置の分解斜視図である。
図3】本発明実施例1の洗浄装置の、一部を断面表示した底面図である。
図4図3のA-A線断面図である。
図5】本発明実施例2の洗浄装置の分解斜視図である。
図6】本発明実施例2の洗浄装置の、一部を断面表示した底面図である。
図7図6のB-B線断面図である。
図8】本発明実施例3の洗浄装置と、該洗浄装置によって洗浄される確認装置の斜視図である。
図9】本発明実施例3の洗浄装置の分解斜視図である。
図10】本発明実施例4の洗浄装置を示す図であり、(a)は断面図、(b)は駆動装置のギヤハウジングとギヤのみの断面図、(c)は駆動装置のワイパアームとカム機構の分解平面図を示している。なお、図面の明瞭化のために、断面表示は省略している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照して、本発明実施例の確認装置の洗浄装置(以下、単に洗浄装置ともいう)10について説明する。図1図4は、本発明実施例1の洗浄装置を示しており、図5図7は、本発明実施例2の洗浄装置を示しており、図8図9は、本発明実施例3の洗浄装置を示しており、図10は、本発明実施例4の洗浄装置を示している。各実施例において同一または類似の部材には同じ符号を付してある。まず、本発明全実施例にわたって共通する部分の構成を説明する。
【0025】
本発明実施例の洗浄装置10は、車両の周囲の視認および/または確認のために車外に露出して車両に搭載される確認装置1(図1)を洗浄する装置である。確認装置1は、カメラであってもよく各種センサー等であってもよい。確認装置1は、レンズ部1aを有しており、少なくとも該レンズ部1aが車外に露出するようにして車両に搭載されている。
【0026】
洗浄装置10は、図2に示すように、確認装置1のレンズ部1aの表面を払拭するためのブレード20と、ブレード20を駆動するための駆動装置30と、を有する。
【0027】
ブレード20は、たとえば比較的容易に弾性変形可能なゴム製であり、自身が変形しながらレンズ部1aを払拭可能となっている。ブレード20がレンズ部1aを払拭することで、レンズ部1aの表面から水滴やこびりついた汚れが除去され、レンズ部1aの洗浄が行われる。
【0028】
駆動装置30は、フロントまたはリヤのウインドシールド(図示略)を洗浄するためのウォッシャ液の水路(図示略)と繋がっている。そのため、駆動装置30にウォッシャ液を導入可能である。駆動装置30は、駆動装置30に導入されるウォッシャ液を利用して(ウォッシャ液の圧力を用いて)ブレード20を駆動するよう構成されている。
【0029】
運転席乗員が、車両に搭載される既存のウォッシャシステムを作動させる作業を行い既存のウォッシャシステムのウォッシャポンプ(図示略)を駆動させることで、駆動装置30に導入されるウォッシャ液の圧力を高めることができるようになっている。
【0030】
本発明全実施例にわたって共通する部分では、上記構成を有するため、つぎの作用、効果を得ることができる。
(A1)ブレード20を駆動するための駆動装置30が、ウォッシャ液の水路と繋がっており、ウォッシャ液の圧力を用いてブレード20を駆動するよう構成されているため、ウォッシャ液を駆動源にしてブレード20を駆動させることができる。一般的に、車両の運転席の乗員は任意のタイミングで図示略のウォッシャポンプを駆動させてウォッシャ液を噴出させることができるため、任意のタイミングでブレード20を駆動させて確認装置1のレンズ部1aを払拭することができる。
【0031】
(A2)ウォッシャ液の圧力を用いてブレード20を駆動するため、ブレード20を駆動させるためだけの専用の駆動源を用意する必要がなく、専用の駆動源を用いる場合に比べて、洗浄装置10の小型化及びコストダウンを図ることができる。
【0032】
つぎに、本発明の各実施例に特有な部分を説明する。
〔実施例1〕(図1図4
本発明実施例1の駆動装置30は、図2に示すように、内部にウォッシャ液を導入可能なシリンダ31と、シリンダ31に対して往復直線動可能とされておりシリンダ31内に導入されるウォッシャ液によって押されて動くピストン32と、ピストン32に取付けられるとともにブレード20が取付けられる伝達ピース33と、ピストン付勢スプリング34と、を有する。
【0033】
シリンダ31は、筒状のシリンダ本体31aと、シリンダ本体31aを支持するシリンダハウジング31bと、を有する。
【0034】
シリンダ31は、シリンダ本体31aの内部にウォッシャ液を導入可能となっている。シリンダ本体31aは筒状である。シリンダ本体31aの一方の開放端部には、ウォッシャ液の図示略の水路と繋がっており該水路からウォッシャ液を導く嵌込部材31cが装着されている。
【0035】
シリンダハウジング31bは、シリンダ本体31aを内部に保持(内蔵)する保持部31b1と、保持部31b1の一端部に固定して設けられる第1の蓋部31b2と、保持部31b1の他端部に固定して設けられる第2の蓋部31b3と、保持部31b1に固定して設けられるガイドレール部31b4と、を有する。
【0036】
第1の蓋部31b2には、嵌込部材31cのシリンダ本体31aへの装着を可能にするために孔31b5が形成されている。第2の蓋部31b3には、ピストン32のシリンダ31に対する動きを阻害しないように孔31b6が形成されている。ガイドレール部31b4は、保持部31b1の外周部に設けられている。ガイドレール部31b4は、伝達ピース33をスライド可能に支持している。
【0037】
ピストン32は、シリンダ本体31a内で往復直線動可能とされており、ピストン本体32aと、ピストン本体32aの背面から延びるピストンガイド32bと、を有する。ピストン32は、ピストン本体32aがシリンダ本体31a内に導入されるウォッシャ液によって押されることで動く。ピストン32のストローク量は、図示略の一対のストッパにより規制されている。ピストンガイド32bは、棒状であり、第2の蓋部31b3の孔31b6を挿通してシリンダハウジング31bの外部に延びている。
【0038】
伝達ピース33は、ピストン32の動きをブレード20に伝達するために設けられる。伝達ピース33は、ガイドレール部31b4にスライド可能に支持されている。伝達ピース33は、ピストンガイド32bに取付けられる(結合される)ピストン側取付部33aと、ブレード20が直接またはブレード20を支持するブレード支持部材21を介して取付けられる(装着される)ブレード側取付部33bと、を有する。
【0039】
伝達ピース33は、ピストン側取付部33aを有するため、ピストン32がシリンダ31に対して動くとき、ピストン32とともにシリンダ31に対して移動する。伝達ピース33がブレード側取付部33bを有するため、伝達ピース33がシリンダ31に対して動くとき、ブレード20がシリンダ31に対して移動する。したがって、ピストン32がシリンダ31に対して動くことで、ブレード20をシリンダ31に対して移動させることができる。
【0040】
ピストン付勢スプリング34は、シリンダ31内に導入されるウォッシャ液によって押されて動いたピストン32を、ウォッシャ液によって押されて動く前の位置に戻す方向に付勢する。ピストン付勢スプリング34は、たとえば圧縮コイルスプリングである。ピストン付勢スプリング34は、一端がピストン本体32aに当接しており、他端がシリンダハウジング31bの第2の蓋部31b3に当接している。
【0041】
ここで、本発明実施例1の作動を説明する。
(a)任意のタイミングで運転席乗員が所定の操作を行って図示略のウォッシャポンプを駆動させると、ウォッシャ液がシリンダ31内に導入される。
(b)シリンダ31内に導入されるウォッシャ液によって、ピストン32が押されてピストン付勢スプリング34の付勢力に抗して動く。
(c)ピストン32には伝達ピース33が取付けられて(結合されて)いるため、伝達ピース33がピストン32とともにシリンダ31に対してスライドする。
(d)伝達ピース33にはブレード20が取付けられて(装着されて)いるため、伝達ピース33のスライドに伴いブレード20が動きレンズ部1a(図1)の表面を払拭する。
(e)ウォッシャポンプの作動中は、ピストン32はウォッシャ液で押され続けるが、運転席乗員が所定の操作を止めてウォッシャポンプの駆動を止めると、ピストン32はピストン付勢スプリング34の付勢力で押し戻される。これにより、伝達ピース33およびブレード20も逆方向に移動して元の位置に戻り、その際にブレード20が再度レンズ部1aの表面を払拭する。
【0042】
本発明実施例1では、本発明全実施例にわたって共通する部分で得られる作用、効果に加えて、さらにつぎの作用、効果を得ることができる。
【0043】
(B1)シリンダ31内に導入されるウォッシャ液によって押されて動くピストン32と、ピストン32に取付けられるとともにブレード20が取付けられる伝達ピース33と、を有するため、シリンダ31内に導入されるウォッシャ液の圧力を用いてピストン32を動かすことで、ブレード20を駆動させて確認装置1のレンズ部1aを払拭することができる。
【0044】
(B2)ピストン付勢スプリング34を有するため、乗員が図示略のウォッシャポンプの駆動を止めたときに、ピストン付勢スプリング34の付勢力でピストン32をウォッシャ液によって押されて動く前の位置に戻すことができる。そのため、ブレード20を再度駆動させて再度レンズ部1aを払拭することができる。
【0045】
〔実施例2〕(図5図7
本発明実施例2の駆動装置30は、上記実施例1の駆動装置30にウォッシャ機能を追加したものであり、以下の点(a)、(b)を除いて実施例1と同様の構成となっている。そのため、実施例2において実施例1と同様の構成部分には、同一の符号を付して、その説明は省略する。
(a)図5に示すように、シリンダ31に、シリンダ31内に導入されるウォッシャ液をシリンダ31の外部に取出すウォッシャ液取出口31dが設けられている。
(b)伝達ピース33に、ウォッシャ液取出口31dから取出されるウォッシャ液をブレード20および/またはその近傍に向けて噴射する噴射ノズル33cが設けられている。
【0046】
ウォッシャ液取出口31dは、シリンダ本体31aに形成される本体側取出口31d1と、シリンダハウジング31bに形成されるハウジング側取出口31d2と、を有する。 本体側取出口31d1とハウジング側取出口31d2は、それぞれ、1つのみ形成されていてもよく、複数形成されていてもよい。
【0047】
本体側取出口31d1は、ウォッシャ液によって押されて動くピストン32のフルストローク付近に形成されている。ハウジング側取出口31d2には、ホース35の一端部が接続されている。ホース35は、他端部で噴射ノズル33cに接続されている。このため、ウォッシャ液取出口31d(本体側取出口31d1およびハウジング側取出口31d2)から抽水されるウォッシャ液は噴射ノズル33cに導かれ、ブレード20および/またはその近傍に向けて噴射ノズル33cから噴射される。
【0048】
本発明実施例2の作動は、本発明実施例1の作動に加えて、さらにつぎの特有な作動を有する。
(a)シリンダ31内に導入されるウォッシャ液によってピストン32が押されてピストン32がフルストロークまたはその付近に達したとき、ピストン32の背面側にあった本体側取出口31d1がピストン32の前面側(ウォッシャ液側)に位置し、ウォッシャ液でピストン32を押し込んだ状態を維持したまま、ウォッシャ液の一部が本体側取出口31d1からシリンダ本体31aの外周側に流れ、ハウジング側取出口31d2を通ってシリンダ31の外部に取出される(抽水される)。
(b)ウォッシャ液取出口31d(本体側取出口31d1およびハウジング側取出口31d2)から取出されたウォッシャ液は、ブレード支持部材21の基部またはその近傍に設けられる噴射ノズル33cに導かれ、ブレード20および/またはその近傍に向けて噴射ノズル33cから噴射される。
(c)ウォッシャポンプの作動中は、ピストン32はウォッシャ液で押され続け噴射ノズル33cからウォッシャ液が噴射され続けるが、運転席乗員が所定の操作を止めてウォッシャポンプの駆動を止めると、ピストン32はピストン付勢スプリング34の付勢力で押し戻される。これにより、ピストン32の前面側に位置していた本体側取出口31d1がピストン32の背面側に戻り、更なるウォッシャ液の噴射ノズル33cへの供給が止まり、噴射ノズル33cからの噴射が止まる。
【0049】
本発明実施例2では、本発明実施例1で得られる作用、効果に加えて、さらにつぎの作用、効果を得ることができる。
【0050】
(C1)シリンダ31に、ウォッシャ液取出口31dが設けられており、伝達ピース33に、ウォッシャ液取出口31dから取出されるウォッシャ液をブレード20および/またはその近傍に向けて噴射する噴射ノズル33cが設けられているため、ウォッシャ液を併用したレンズ部1a(図1)の払拭が可能となる。そのため、ウォッシャ液を併用しない場合に比べて、レンズ部1aの洗浄性能を向上させることができる。
【0051】
(C2)本体側取出口31d1が、ウォッシャ液によって押されて動くピストン32のフルストローク付近に形成されているため、ピストン32の所望のストロークが得られる前に本体側取出口31d1からウォッシャ液が抜けてシリンダ本体31a内のウォッシャ液圧が下がり、ピストン32の所望のストロークが得られなくなることを抑制できる。
【0052】
(C3)本体側取出口31d1がウォッシャ液によって押されて動くピストン32のフルストローク付近に形成されているため、ウォッシャ液取出し口31dは、ウォッシャ液によって押されて動くピストン32のストローク時におけるピストン32の背圧上昇防止用排気口としての役目を果たすことができる。よって、ピストン32がウォッシャ液によって押されて動く際に、ピストン32を比較的スムーズに作動させることができる。
【0053】
(C4)運転席乗員が所定の操作を止めてウォッシャポンプの駆動を止めると、ピストン32はピストン付勢スプリング34の付勢力で押し戻され、これにより、ピストン32の前面側に位置していた本体側取出口31d1がピストン32の背面側に戻るため、ピストン32の背面側に発生する負圧にてホース35および噴射ノズル33c内に残っているウォッシャ液をシリンダ31の内側に逆流させることができる。よって、ブレード20の復路でブレード20がレンズ部1aを払拭した後に、ウォッシャ液が噴射ノズル33cから噴射されてレンズ部1aにかかりレンズ効果で視界を阻害することを抑制できる。
【0054】
〔実施例3〕(図8図9
本発明実施例3の駆動装置30は、図9に示すように、内部にウォッシャ液を導入可能なハウジング40と、ハウジング40に対して往復回転動可能とされておりハウジング40内に導入されるウォッシャ液によって押されて動く回転シャフト41と、回転シャフト41に取付けられるとともにブレード20が取付けられる伝達アーム42と、シャフト付勢スプリング43と、を有する。
【0055】
ハウジング40は、アッパハウジング40aと、アッパハウジング40aと固定されるロアハウジング40bと、を有する。アッパハウジング40aとロアハウジング40bは、一方に設けられる係合部40b1を他方に設けられる係合受け部40a1に係合させることで、互いに固定される。
【0056】
ハウジング40は、ロアハウジング40bに設けられるインレット40cを通って流れてくるウォッシャ液を、内部(アッパハウジング40aとロアハウジング40bで囲まれる内部)に導入可能となっている。インレット40cは、ウォッシャ液の図示略の水路と繋がっており該水路からウォッシャ液を導くことができるようになっている。
【0057】
アッパハウジング40aには開口40a2が形成されており、アッパハウジング40aに固定されるシャフトホルダ40a3によって塞がれている。シャフトホルダ40a3は、回転シャフト41を回転可能に支持している。
【0058】
アッパハウジング40aには、ハウジング40内に導入されるウォッシャ液をハウジング40の外部に取出すウォッシャ液取出口40a4が設けられており、さらに、該ウォッシャ液取出口40a4から取出されるウォッシャ液をブレード20および/またはその近傍に向けて噴射する噴射ノズル40a5が設けられている。ウォッシャ液取出口40a4は、ウォッシャ液によって押されて動く回転シャフト41のフルストローク付近に形成されている。
【0059】
回転シャフト41は、ハウジング40の内部から外部に延びておりシャフトホルダ40a3に回転可能に支持されるシャフト本体41aと、シャフト本体41aのハウジング40内に位置する部分に抵抗板支持部41bを介して支持される抵抗板41cと、を有する。
【0060】
回転シャフト41は、抵抗板41cがハウジング40内に導入されるウォッシャ液によって押されることでハウジング40に対して回転する。回転シャフト41の回転量(ストローク量)は、ハウジング40に設けられる一対のストッパ40b2(図9では一方のみ示す)により規制されている。
【0061】
伝達アーム42は、回転シャフト41の動きをブレード20に伝達するために設けられる。伝達アーム42は、ハウジング40の外部に配置されている。伝達アーム42は、回転シャフト41のシャフト本体41aに相対回転不能に取付けられるアームガイド42aと、ブレード20が取付けられる(装着される)アーム部42b1を備えアームガイド42aに相対回転不能に取付けられるアーム本体42bと、を有する。なお、符号42b2は、アーム本体42bの孔を塞ぐキャップである。
【0062】
伝達アーム42は、回転シャフト41に相対回転不能に取付けられるアームガイド42aを有するため、回転シャフト41がハウジング40に対して回転するとき、回転シャフト41とともにハウジング40に対して回転する。伝達アーム42は、ブレード20が取付けられるアーム部42b1を備えアームガイド42aに相対回転不能に取付けられるアーム本体42bを有するため、伝達アーム42がハウジング40に対して回転するとき、ブレード20がハウジング40に対して回転する。したがって、回転シャフト41がハウジング40に対して回転することで、ブレード20をハウジング40に対して回転させることができる。
【0063】
シャフト付勢スプリング43は、ハウジング40内に導入されるウォッシャ液によって押されて動いた回転シャフト41を、ウォッシャ液によって押されて動く前の位置に戻す方向に付勢する。シャフト付勢スプリング43は、たとえばトーションスプリングである。シャフト付勢スプリング43は、一端がアームガイド42aに当接しており、他端がシャフトホルダ40a3に設けられる突起部40a6に当接している。
【0064】
ここで、本発明実施例3の作動を説明する。
(a)任意のタイミングで運転席乗員が所定の操作を行って図示略のウォッシャポンプを駆動させると、ウォッシャ液がインレット40cからハウジング40内に導入される。
(b)ハウジング40内に導入されるウォッシャ液によって、抵抗板41cが押されてシャフト付勢スプリング43の付勢力に抗して回転シャフト41が回転する。
(c)回転シャフト41には伝達アーム42が取付けられて(結合されて)いるため、伝達アーム42が回転シャフト41とともにハウジング40に対して回転する。
(d)伝達アーム42にはブレード20が取付けられて(装着されて)いるため、伝達アーム42の回転に伴いブレード20が動き(回転し)、レンズ部1a(図1)の表面を払拭する。
(e)ウォッシャポンプの作動中は、回転シャフト41の抵抗板41cはウォッシャ液で押され続けるが、運転席乗員が所定の操作を止めてウォッシャポンプの駆動を止めると、回転シャフト41はシャフト付勢スプリング43の付勢力で押し戻される。これにより、伝達アーム42およびブレード20も逆方向に回転して元の位置に戻り、その際にブレード20が再度レンズ部1aの表面を払拭する。
【0065】
本発明実施例3の作動は、さらにつぎの作動を有する。
(f)ハウジング40内に導入されるウォッシャ液によって抵抗板41cが押されて回転しシャフト41がフルストロークまたはその付近に達したとき、抵抗板41cの背面側にあったウォッシャ液取出口40a4が抵抗板41cの前面側(ウォッシャ液側)に位置し、ウォッシャ液で抵抗板41cを押し込んだ状態を維持したまま、ウォッシャ液の一部がウォッシャ液取出口40a4から噴射ノズル40a5に導かれ、ブレード20および/またはその近傍に向けて噴射ノズル40a5cから噴射される。
(g)ウォッシャポンプの作動中は、抵抗板41cはウォッシャ液で押され続け噴射ノズル40a5からウォッシャ液が噴射され続けるが、運転席乗員が所定の操作を止めてウォッシャポンプの駆動を止めると、抵抗板41c(回転シャフト41)はシャフト付勢スプリング43の付勢力で押し戻される。これにより、抵抗板41cの前面側に位置していたウォッシャ液取出口40a4が抵抗板41cの背面側に戻り、更なるウォッシャ液の噴射ノズル40a5への供給が止まり、噴射ノズル40a5からの噴射が止まる。
【0066】
本発明実施例3では、本発明全実施例にわたって共通する部分で得られる作用、効果に加えて、さらにつぎの作用、効果を得ることができる。
【0067】
(D1)ハウジング40内に導入されるウォッシャ液によって押されて動く回転シャフト41と、回転シャフト41に取付けられるとともにブレード20が取付けられる伝達アーム42と、を有するため、ハウジング40内に導入されるウォッシャ液の圧力を用いて回転シャフト40を動かすことで、ブレード20を駆動させて確認装置1のレンズ部1a(図8)を払拭することができる。
【0068】
(D2)シャフト付勢スプリング43を有するため、ウォッシャポンプの駆動を止めたときに、シャフト付勢スプリング43の付勢力で回転シャフト41をウォッシャ液によって押されて動く前の位置に戻すことができる。そのため、ブレード20を再度駆動させて再度レンズ部1aを払拭することができる。
【0069】
(D3)ハウジング40に、ウォッシャ液取出口40a4が設けられており、また、ウォッシャ液取出口40a4から取出されるウォッシャ液をブレード20および/またはその近傍に向けて噴射する噴射ノズル40a5が設けられているため、ウォッシャ液を併用したレンズ部1aの払拭が可能となる。そのため、ウォッシャ液を併用しない場合に比べて、レンズ部1aの洗浄性能を向上させることができる。
【0070】
(D4)ウォッシャ液取出口40a4が、ウォッシャ液によって押されて動く回転シャフト41のフルストローク付近に形成されているため、回転シャフト41の所望の回転ストロークが得られる前にウォッシャ液取出口40a4からウォッシャ液が抜けてハウジング40内のウォッシャ液圧が下がり、回転シャフト41の所望のストロークが得られなくなることを抑制できる。
【0071】
(D5)ウォッシャ液取出口40a4がウォッシャ液によって押されて動く回転シャフト41のフルストローク付近に形成されているため、ウォッシャ液取出口40a4は、ウォッシャ液によって押されて動く回転シャフト41のストローク時における背圧上昇防止用排気口としての役目を果たすことができる。よって、回転シャフト41がウォッシャ液によって押されて動く際に、回転シャフト41を比較的スムーズに作動させることができる。
【0072】
(D6)運転席乗員が所定の操作を止めてウォッシャポンプの駆動を止めると、回転シャフト41はシャフト付勢スプリング43の付勢力で押し戻され、これにより、抵抗板41cの前面側に位置していたウォッシャ液取出口40a4が抵抗板41cの背面側に戻るため、抵抗板41cの背面側に発生する負圧にて噴射ノズル40a5内に残っているウォッシャ液をハウジング40の内側に逆流させることができる。よって、ブレード20の復路でブレード20がレンズ部1aを払拭した後に、ウォッシャ液が噴射ノズル40a5から噴射されてレンズ部1aにかかりレンズ効果で視界を阻害することを抑制できる。
【0073】
〔実施例4〕(図10
本発明実施例4の駆動装置30は、図10に示すように、ブレード20が取付けられる(装着される)ワイパアーム50と、内部にウォッシャ液を導入可能な導入部51aと内部に導入されるウォッシャ液を外部に排出可能な排出部51bとを備えるギヤハウジング51と、ギヤハウジング51内に配置されており該ギヤハウジング51内のウォッシャ液によって押されて回転するギヤ52と、ギヤ52の回転運動をワイパアーム50の揺動運動に変換するカム機構53と、ギヤハウジング51の排出部51bから排出されるウォッシャ液をブレード20および/またはその近傍に向けて噴射する噴射ノズル54と、を有する。
【0074】
ワイパアーム50は、ギヤハウジング51に軸芯P1まわりに揺動可能に支持されており、ギヤハウジング51に支持される部位から一方に延びる一方向延び部50aと、ギヤハウジング51に支持される部位から他方に延びる他方向延び部50bと、を有している。ブレード20は、ワイパアーム50の一方向延び部50aに取付けられている。
【0075】
ワイパアーム50は、ブレード20で確認装置1のレンズ部1a(図1参照)を払拭するときにレンズ部1aから受ける反力でレンズ部1aを払拭する性能が低下することを抑制するために、たとえばコイルスプリングからなる押し付けスプリング50cにより所定位置に押し付けられている。
【0076】
ギヤハウジング51は、ギヤハウジングアッパ51cと、ギヤハウジングアッパ51cと固定されるギヤハウジングロア51dと、を有する。導入部51aはギヤハウジングロア51dに設けられており、排出部51bはギヤハウジングアッパ51cに設けられている。
【0077】
ギヤハウジング51は、導入部51aから流れてくるウォッシャ液を、内部(ギヤハウジングアッパ51cとギヤハウジングロア51dで囲まれる内部)に導入可能となっている。導入部51aは、ホース55を用いてウォッシャ液の図示略の水路と繋がっており該水路からウォッシャ液を導くことができるようになっている。
【0078】
排出部51bには、ホース56の一端部が接続されている。ホース56は、他端部で噴射ノズル54に接続されている。このため、排出部51bから排出されるウォッシャ液は噴射ノズル54に導かれ、ブレード20および/またはその近傍に向けて噴射ノズル54から噴射される。
【0079】
ギヤ52は、ギヤハウジング51内で互いに噛合う1組のギヤ(第1、第2のギヤ)52a、52bを有する。ギヤ52は、ギヤハウジング51内を流れる(導入部51aから導入されて排出部51bから排出される)ウォッシャ液によって押されることで回転する。ウォッシャ液は、第1、第2のギヤ52a、52bとギヤハウジング51の内壁面51eとの間を通過するようになっており、その際に第1、第2のギヤ52a、52bが矢印Dの方向に回転する。ウォッシャ液の圧力で油圧モータ(容積型モータ)のようにギヤ52を回転させる構造となっている。
【0080】
第1、第2のギヤ52a、52bの一方(図示例では第1のギヤ52a)の回転軸52cは、ギヤハウジングアッパ51cに設けられる開口を通ってギヤハウジング51の外部に延びており、ギヤ52の出力軸としての機能を有している。
【0081】
カム機構53は、突起53a1を備えるレバー53aと、ワイパアーム50の他方向延び部50bに設けられており突起53a1が挿入される長孔53bと、を有する。
【0082】
レバー53aは、一端部で、ギヤ52の回転軸52cに相対回転不能に取付けられている。そのため、レバー53aはギヤ52が回転するときギヤ52(第1のギヤ52a)とともに軸芯P2周りに回転する。レバー53aは、他端部に、突起53a1が設けられている。突起53a1は長孔53bに常時挿入されている。
【0083】
ワイパアーム50の他方向延び部50bに設けられる長孔53bは、短手方向長さが突起53a1の径より僅かに大とされており、長手方向長さがレバー53aの一端部と他端部の長さの2倍より大とされている。短手方向長さが突起53a1の径より僅かに大とされているため、長孔53bに突起53a1を挿入可能であるとともに、レバー53aが軸芯P2周りに回転するときにレバー53aの回転動を効率よくワイパアーム50の揺動に変換できる。また、長手方向長さがレバー53aの一端部と他端部の長さの2倍より大とされているため、突起53a1とワイパアーム50がレバー53aの軸芯P2周りの回転動を阻害することを抑制できる。
【0084】
レバー53aがギヤ52(第1のギヤ52a)とともに軸芯P2周りに回転するとき、突起53a1が長孔53bの孔縁を押すため、ワイパアーム50が軸芯P1周りに揺動する。したがって、ワイパアーム50に取付けられるブレード20をギヤハウジング51に対して揺動させることができる。
【0085】
ここで、本発明実施例4の作動を説明する。
(a)任意のタイミングで運転席乗員が所定の操作を行って図示略のウォッシャポンプを駆動させると、ウォッシャ液が導入部51aからギヤハウジング51内に導入される。
(b)ギヤハウジング51内に導入されるウォッシャ液はギヤ52のまわりを通過する。その際、ギヤ52がウォッシャ液の圧力で回転する。
(c)ギヤ52が回転するため、レバー53aが軸芯P2周りに回転し、突起53a1に押されてワイパアーム50が軸芯P1周りに揺動する。
(d)ワイパアーム50にはブレード20が取付けられて(装着されて)いるため、ワイパアーム50の回転に伴いブレード20が動き(揺動し)、レンズ部1a(図1)の表面を払拭する。
(e)ウォッシャポンプの作動中は、ギヤ52がウォッシャ液で押され続けるため、レバー53aが軸芯P2周りに回転し続け、ワイパアーム50は揺動運動を繰り返す。運転席乗員が所定の操作を止めてウォッシャポンプの駆動を止めると、ウォッシャ液の流れが止まるため、ギヤ52の回転も止まる。そのため、レバー53aの回転とワイパアーム50の揺動も止まる。
【0086】
本発明実施例4の作動は、さらにつぎの作動を有する。
(f)ギヤハウジング51の排出部51bからギヤハウジング51の外部に流れるウォッシャ液は、噴射ノズル54に導かれる。そして、ブレード20および/またはその近傍に向けて噴射ノズル54から噴射される。
(g)ウォッシャポンプの作動中は、噴射ノズル54からウォッシャ液が噴射され続けるが、運転席乗員が所定の操作を止めてウォッシャポンプの駆動を止めると、噴射ノズル54へのウォッシャ液の供給が止まり、噴射ノズル54からの噴射が止まる。
【0087】
本発明実施例4では、本発明全実施例にわたって共通する部分で得られる作用、効果に加えて、さらにつぎの作用、効果を得ることができる。
【0088】
(E1)ブレード20が取付けられるワイパアーム50と、ギヤハウジング51内に配置されておりギヤハウジング51内のウォッシャ液によって押されて回転するギヤ52と、ギヤ52の回転運動をワイパアーム50の揺動運動に変換するカム機構53と、を有するため、ギヤハウジング51内に導入されるウォッシャ液の圧力を用いてギヤ52を回転させてワイパアーム50を揺動させることで、ブレード20を駆動させて確認装置1のレンズ部1a(図1)を払拭することができる。
【0089】
(E2)ギヤハウジング51が内部にウォッシャ液を導入可能な導入部51aと内部に導入されるウォッシャ液を外部に排出可能な排出部51bを備えるため、ウォッシャポンプを駆動させている間は、ギヤハウジング51内をウォッシャ液が流れ続ける状態を保つことができる。そのため、ウォッシャポンプを駆動させている間は、ウォッシャ液の圧力を用いてギヤ52を回転させ続けることができ、その結果、ワイパアーム50の揺動運動を持続させる(繰り返し行わせる)ことができる。よって、ブレード20によるレンズ部1aの払拭回数を増やすことができレンズ部1aの洗浄性能上有利である。
【0090】
(E3)駆動装置30が、さらに、ギヤハウジング51の排出部51bから排出されるウォッシャ液をブレード20および/またはその近傍に向けて噴射する噴射ノズル54を有するため、ウォッシャ液を併用したレンズ部1aの払拭が可能となる。そのため、ウォッシャ液を併用しない場合に比べて、レンズ部1aの洗浄性能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0091】
1 確認装置
1a レンズ部
10 洗浄装置
20 ブレード
30 駆動装置
31 シリンダ
31d ウォッシャ液取出口
32 ピストン
33 伝達ピース
33c 噴射ノズル
34 ピストン付勢スプリング
40 ハウジング
40a4 ウォッシャ液取出口
40a5 噴射ノズル
41 回転シャフト
42 伝達アーム
43 シャフト付勢スプリング
50 ワイパアーム
51 ギヤハウジング
51a 導入部
51b 排出部
52 ギヤ
53 カム機構
54 噴射ノズル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10