(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184128
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び画像処理システム
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
A61B6/00 350A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098094
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤木 英一
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093CA18
4C093DA00
4C093EB13
4C093FF15
4C093FF27
4C093FH03
(57)【要約】
【課題】複数のサイズの放射線検出器を使用する場合でもトリミング時の作業負担を軽減することが可能な画像処理装置等を提供する。
【解決手段】画像処理装置200は、放射線検出器を使用して撮影された被写体の放射線画像と、前記放射線検出器の識別情報又はサイズを含む検出器情報を取得する取得部252と、前記取得部252により取得された前記放射線検出器の前記検出器情報に応じた放射線検出器に対応するトリミング情報を使用して前記取得部252により取得された前記放射線画像のトリミングを行う処理部256と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線検出器を使用して撮影された被写体の放射線画像と、前記放射線検出器の識別情報又はサイズを含む検出器情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記放射線検出器の前記検出器情報に応じた放射線検出器に対応するトリミング情報を使用して前記取得部により取得された前記放射線画像のトリミングを行う処理部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記取得部により取得された前記放射線検出器の前記検出器情報と一致する放射線検出器に対応するトリミング情報があるか否かを判断する判断部を備える、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記被写体の部位ごとに設定された前記トリミング情報に基づいてトリミングを行う、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記放射線検出器の前記検出器情報と、前記放射線検出器を使用して撮影された前記被写体の前記放射線画像に対して実施されたトリミングの前記トリミング情報とを対応付けて記憶する記憶部を備える、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記放射線画像が撮影された場所に対応付けられた前記トリミング情報を取得し、取得した当該トリミング情報を使用してトリミングを行う、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
放射線検出器を使用して撮影された被写体の放射線画像に対してトリミングを行う画像処理装置による画像処理方法であって、
前記放射線画像と、前記放射線検出器の識別情報又はサイズを含む検出器情報を取得する取得ステップと、
取得した前記放射線検出器の前記検出器情報に応じた放射線検出器に対応するトリミング情報がある場合に、当該トリミング情報を使用して取得した前記放射線画像のトリミングを行う処理ステップと、
を含む画像処理方法。
【請求項7】
コンピューターに、
放射線検出器を使用して撮影された被写体の放射線画像と、前記放射線検出器の識別情報又はサイズを含む検出器情報を取得する機能と、
取得された前記放射線検出器の前記検出器情報に応じた放射線検出器に対応するトリミング情報がある場合に、当該トリミング情報を使用して取得された前記放射線画像のトリミングを行う機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項8】
取得された前記放射線検出器の前記検出器情報に一致する放射線検出器に対応するトリミング情報があるか否かを判断する、
請求項7に記載のプログラム。
【請求項9】
前記被写体の部位ごとに設定された前記トリミング情報に基づいてトリミングを行う、
請求項7に記載のプログラム。
【請求項10】
前記放射線検出器の前記検出器情報と、前記放射線検出器を使用して撮影された前記被写体の前記放射線画像に対して実施されたトリミングの前記トリミング情報とを対応付けて記憶する、
請求項7に記載のプログラム。
【請求項11】
前記放射線画像が撮影された撮影台の場所に対応付けられた前記トリミング情報を取得し、取得した当該トリミング情報を使用してトリミングを行う、
請求項8に記載のプログラム。
【請求項12】
被写体の放射線画像を撮影する画像撮影装置と、請求項1から5のいずれか一項に記載の画像処理装置と、
を備える画像処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
被写体を透過したX線等の放射線をDR(デジタルラジオグラフィー)方式の放射線検出器により検出することで被写体の放射線画像を撮影する撮影システムが普及している。撮影システムで撮影された被写体の放射線画像は、ネットワークを介して画像処理装置に送信される。画像処理装置では、医師が読影(診断)に必要な画像領域を放射線画像から抽出するトリミングが実施される。トリミングが実施された画像は、診断用画像として表示部に表示される。
【0003】
トリミングに関する技術として、特許文献1には、前検査の切り出し領域設定を引き継ぐ条件が成立する場合に、前検査の切り出し領域設定を引き継いで現検査の切り出し領域に設定する画像処理装置が記載されている。特許文献2には、記憶された過去の撮影時の画像処理情報の中から、今回の撮影時の撮影条件に対応する画像処理情報を検索する放射線画像システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6371535号公報
【特許文献2】特開2011-224331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、放射線検出器には、撮影用途に応じて複数のサイズがある。異なるサイズの放射線検出器を使用する場合には、撮影により得られる放射線画像のサイズも異なるので、トリミングについても放射線検出器のサイズごとに適した処理が必要となる。
【0006】
しかしながら、特許文献1では、前回の検査時と今回の検査時で放射線検出器のサイズが異なる場合、今回の検査時に前回の検査時の切り出し領域の設定を引き継いでしまうため、医師が必要としない画像領域にトリミングされてしまうという課題がある。特許文献2では、例えば同一の患者の過去の撮影時の画像処理情報を使用するので、前回の撮影時と今回の撮影時で異なるサイズの放射線検出器を使用した場合に医師が必要としない画像領域にトリミングしてしまうという課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであり、複数のサイズの放射線検出器を使用する場合でもトリミング時の作業負担を軽減することが可能な画像処理装置、画像処理方法、プログラム及び画像処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明に係る画像処理装置は、放射線検出器を使用して撮影された被写体の放射線画像と、前記放射線検出器の識別情報又はサイズを含む検出器情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記放射線検出器の前記検出器情報に応じた放射線検出器に対応するトリミング情報を使用して前記取得部により取得された前記放射線画像のトリミングを行う処理部と、を備える。
【0009】
また、本発明に係る画像処理方法は、放射線検出器を使用して撮影された被写体の放射線画像に対してトリミングを行う画像処理装置による画像処理方法であって、前記放射線画像と、前記放射線検出器の識別情報又はサイズを含む検出器情報を取得する取得ステップと、取得した前記放射線検出器の前記検出器情報に応じた放射線検出器に対応するトリミング情報がある場合に、当該トリミング情報を使用して取得した前記放射線画像のトリミングを行う処理ステップと、を含む。
【0010】
また、本発明に係るプログラムは、コンピューターに、放射線検出器を使用して撮影された被写体の放射線画像と、前記放射線検出器の識別情報又はサイズを含む検出器情報を取得する機能と、取得された前記放射線検出器の前記検出器情報に応じた放射線検出器に対応するトリミング情報がある場合に、当該トリミング情報を使用して取得された前記放射線画像のトリミングを行う機能と、を実現させる。
【0011】
また、本発明に係る画像処理システムは、被写体の放射線画像を撮影する画像撮影装置と、上記画像処理装置と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、放射線画像の撮影に使用された放射線検出器と識別情報又はサイズを含む検出器情報に応じた放射線検出器に対応するトリミング情報を用いて放射線画像のトリミングを行うので、追加のトリミング操作を必要とすることなく、トリミング時の作業負担の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施の形態に係る画像処理システムの一例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施の形態に係る画像処理装置の一例を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施の形態に係る画像処理装置に記憶されるトリミング情報テーブルの一例を示す図である。
【
図4A】第1の実施の形態に係る表示部に表示される放射線画像に対してトリミングを行う場合の診断用画像を説明するための図である。
【
図4B】第1の実施の形態に係る表示部に表示される放射線画像に対してトリミングを行う場合の診断用画像を説明するための図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る画像処理装置に記憶されるトリミング情報テーブルの変形例を示す図である。
【
図6】第1の実施の形態に係る画像処理装置におけるトリミングを行う場合の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】第2の実施の形態に係る画像処理システムの一部を示すブロック図である。
【
図8】第2の実施の形態に係る画像処理装置におけるトリミングを行う場合の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】第2の実施の形態の変形例に係る画像処理システムの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
<第1の実施の形態>
[画像処理システム10Aの構成例]
図1は、第1の実施の形態に係る画像処理システム10Aの構成の一例を示している。
図1に示すように、画像処理システム10Aは、画像撮影装置100と、画像処理装置200と、を備える。画像撮影装置100と画像処理装置200とは、有線又は無線のネットワークNを介して接続される。ネットワークNは、例えば、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、公衆回線網又は移動体通信網等のうち少なくとも一部を含む。
【0016】
[画像撮影装置100の構成例]
画像撮影装置100は、
図1に示すように、操作卓102と、放射線照射制御装置104と、放射線源106と、放射線検出器110と、ケーブル120と、を備える。
【0017】
操作卓102は、例えば、患者のID及び撮影部位等の被写体に関する撮影条件や、撮影モード、放射線の量を決める管電圧、管電流及び照射時間等の照射に関する照射条件を定める入力操作を受け付ける。操作卓102は、放射線画像の撮影の開始を指示するための照射指示スイッチ103を有する。操作卓102は、放射線照射制御装置104に接続されており、受け付けた撮影条件、照射条件及び照射指示スイッチ103のオンによる撮影開始要求等を放射線照射制御装置104に出力する。
【0018】
放射線照射制御装置104は、放射線源106に接続されており、操作卓102から入力された撮影条件、照射条件及び撮影開始要求に基づいて放射線源106を制御することで被写体(被験者)Mの放射線撮影を行う。放射線照射制御装置104は、例えばCPU(Central Processing Unit)等を有するコンピューターにより実現される。
【0019】
放射線源106は、被写体Mを挟んで放射線検出器110と対向する位置に配置される。放射線源106は、放射線照射制御装置104の制御に基づいて、撮影条件及び照射条件に対応する放射線を照射する。放射線の一例としては、X線が挙げられる。
【0020】
放射線検出器110は、例えば、立位撮影台や臥位撮影台等の内部に装着して使用可能な可搬型であり、FPD(Flat Panel Detector)等の半導体イメージセンサーである。放射線検出器110は、基板上にマトリックス状に配列された複数の検出素子(画素)を有する。各画素は、例えばTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子等により構成される。放射線検出器110は、放射線源106から照射されて被写体Mを透過した放射線をその強度に応じて検出し、検出した放射線を電気信号に変換して蓄積する。放射線検出器110は、スイッチング素子のオン/オフの切り替えにより各画素から放出される電気信号(電荷の量)を読み取ることで放射線画像の画像データを取得する。なお、放射線検出器110は、放射線であるX線をシンチレーターを介して光電変換素子により電気信号に変換する間接変換型でも良いし、放射線であるX線を直接的に電気信号に変換する直接変換型でも良い。
【0021】
ケーブル120は、放射線検出器110と画像処理装置200(ネットワークN)とを接続するものである。ケーブル120の一端には、コネクター122が設けられている。コネクター122は、例えばマグネットを有し、放射線検出器110の側面に設けられた端子に着脱可能に取り付けられる。ケーブル120には、例えば、放射線検出器110等に電力を供給する電源線と、画像処理装置200等との間でデータ通信を行う信号線とが含まれる。ケーブル120の他端はボックス130に接続され、ボックス130はネットワークNに接続される。ボックス130内には、電源部や信号線同士を接続するためのハブ等が設けられている。
【0022】
[画像処理装置200の構成例]
画像処理装置200は、ネットワークNを介して放射線照射制御装置104及び放射線検出器110に接続される。画像処理装置200は、放射線検出器110からネットワークNを介して送信された放射線画像の画像データを受信し、受信した放射線画像(原画像)に対してトリミングを行い、トリミング後の画像を表示部220に拡大表示する。
【0023】
ここで、トリミングとは、放射線画像に対してトリミング情報としてのトリミング位置及びトリミングサイズを設定し、医師の診断に必要な画像領域(関心領域)を放射線画像から部分的に抽出する処理である。本実施の形態では、トリミングされた放射線画像を診断用画像と呼ぶ。例えば、放射線画像に2次元直交座標系を設定した場合、トリミングサイズは抽出する画像領域の縦横(上下左右)の長さを指定し、トリミング位置は抽出する画像領域の左上の点や中心位置を指定する。
【0024】
図2は、第1の実施の形態に係る画像処理装置200のブロック図である。画像処理装置200は、
図2に示すように、操作受付部210と、表示部220と、通信部230と、記憶部240と、制御部250と、を備える。
【0025】
操作受付部210は、例えば、カーソルキー、数字入力キー及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスとを有する。操作受付部210は、キーボードやポインティングデバイスで受け付けた操作に応じた指示信号を制御部250に出力する。なお、操作受付部210は、表示部220の表面に組み合わされたタッチパネルでもよい。
【0026】
表示部220は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro luminescence)ディスプレイ又はCRT(Cathode Ray Tube)等を有する。表示部220は、制御部250によって表示するよう制御された画像データに基づく放射線画像や診断用画像等を表示する。なお、表示部220とは別に、診断用画像を表示する画像診断装置(ビューア)を設けてもよい。
【0027】
通信部230は、例えば、LANアダプター、モデム又はTA(Terminal Adapter)等を有する。通信部230は、ネットワークNに接続された放射線照射制御装置104及び放射線検出器110等の各装置との間で各種信号や各種データの送受信を行う。
【0028】
記憶部240は、例えば、不揮発性の半導体メモリー、ハードディスク又は光ディスク等である。記憶部240は、制御部250で実行される各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター、画像撮影装置100から取得した放射線画像や画像処理装置200で作成された診断用画像等を記憶する。また、記憶部240には、過去の放射線検出器110を使用した放射線画像の撮影時におけるトリミングのトリミング情報を記憶するトリミング情報テーブル242Aが記憶される。なお、トリミング情報テーブル242A、放射線画像や診断用画像等の各種データを、画像処理装置200の外部の記憶装置が記憶してもよい。例えば、ネットワークN上に設けたクラウドサーバーに各種データを記憶してもよいし、イントラネット内に設けた画像保存装置(PACS)に各種データを記憶してもよい。あるいは、過去画像又は過去画像に付帯するトリミング情報からトリミングサイズ及びトリミング位置を取得してもよい。例えば、イントラネット内に設けた画像保存装置(PACS)から直近の同一装置あるいは同一部位で撮影された過去画像からトリミングサイズを取得したり、過去画像に付帯するトリミング位置及びトリミングサイズからトリミング情報を取得してもよい。トリミング情報テーブル242Aの詳細については後述する。
【0029】
制御部250は、CPU、RAM(Random Access Memory)及びメモリー等を有する。メモリーは、CPUが実行する各種プログラムやプログラムの実行に必要なパラメーター等を記憶する。CPUは、メモリーに記憶されている各種プログラムを読出してRAMに展開し、展開されたプログラムに従って各種処理を実行することで、画像処理装置200の各部の動作を集中制御するとともに放射線画像に対する所定のトリミングを行うハードウェアプロセッサーである。なお、CPUは、単一のプロセッサーでもよいし、複数のプロセッサーでもよい。
【0030】
制御部250は、
図2に示すように、取得部252と、判断部254と、処理部256とを有する。取得部252、判断部254及び処理部256の機能は、上述したCPU等を有するコンピューターにより実現される。
【0031】
取得部252は、放射線検出器110を使用して撮影された被写体Mの放射線画像を取得するとともに、放射線画像の撮影に使用された放射線検出器110のシリアル番号又はパネルサイズを取得する。シリアル番号は識別情報及び検出器情報の一例であり、パネルサイズは検出器情報の一例である。
【0032】
判断部254は、取得部252により取得された放射線検出器110のシリアル番号又はパネルサイズと一致する放射線検出器110に対応するトリミング情報がトリミング情報テーブル242Aにあるか否かを判断する。
【0033】
処理部256は、判断部254により放射線検出器110のシリアル番号又はパネルサイズと一致する放射線検出器110に対応するトリミング情報がトリミング情報テーブル242Aにあると判断された場合に、当該トリミング情報を使用して取得部252により取得した放射線画像に対してトリミングを行う。
【0034】
図3は、記憶部240に記憶されるトリミング情報テーブル242Aの一例を示している。
図4Aは表示部220に表示される放射線画像に対してトリミングを行う場合の診断用画像G1を説明するための図であり、
図4Bは表示部220に表示される放射線画像に対してトリミングを行う場合の診断用画像G2を説明するための図である。
【0035】
図3に示すように、放射線検出器110ごとに割り当てられたシリアル番号と、各シリアル番号の放射線検出器110を使用して撮影された放射線画像のトリミング情報であるトリミング位置及びトリミングサイズとが対応付けて記憶される。なお、放射線検出器110の識別情報としては、上述したシリアル番号に代えて、放射線検出器110のパネルサイズを用いてもよい。
【0036】
ここで、第1の実施の形態において、シリアル番号「No.1」が割り当てられた放射線検出器110のパネルサイズを例えば半切サイズ(14インチ×17インチ)とする。また、シリアル番号「No.2」が割り当てられた放射線検出器110のパネルサイズを例えば半切サイズより大きいサイズ(17インチ×17インチ)とする。
【0037】
図3に示すように、過去の診断においてシリアル番号「No.1」の放射線検出器110を使用し、
図4Aに示すように、トリミング位置「上(放射線画像に対する上下方向の位置)/中(放射線画像に対する左右方向の位置)」、トリミングサイズ「14インチ×14インチ」でトリミングを行って診断用画像G1を作成した場合、放射線検出器110のシリアル番号「No.1」に、トリミング位置「上/中」及びトリミングサイズ「14インチ×14インチ」が対応付けられてトリミング情報テーブル242Aに記憶される。
【0038】
また、過去の診断においてシリアル番号「No.2」の放射線検出器110を使用し、
図4Bに示すように、トリミング位置「上(放射線画像に対する上下方向の位置)/中(放射線画像に対する左右方向の位置)」、トリミングサイズ「17インチ×14インチ」でトリミングを行って診断用画像G2を作成した場合、放射線検出器110のシリアル番号「No.2」に、トリミング位置「上/中及びトリミングサイズ「17インチ×14インチ」が対応付けられてトリミング情報テーブル242Aに記憶される。
【0039】
なお、トリミング位置は「上/中」のようにそれぞれ放射線画像に対する上下方向の位置である上/中/下及び放射線画像に対する左右方向の位置である左/中/右の中から選択する以外に、任意の位置例えば放射線検出器110の左上を始点としてX軸方向に100mm、Y軸方向に100mmのように長さを指定してもよい。また、トリミング位置は、放射線検出器110の画素数により指定してもよい。
【0040】
また、上述したトリミング情報テーブル242Aでは、放射線検出器110のシリアル番号又はパネルサイズごとにトリミング情報を記憶したが、さらに撮影する撮影部位ごとにトリミング情報を記憶してもよい。
図5は、記憶部240に記憶されるトリミング情報テーブル242Bの一例(トリミング情報テーブル242Aの変形例)を示している。
【0041】
トリミング情報テーブル242Bには、例えば、シリアル番号が「No.1」の放射線検出器110において、撮影する撮影部位ごと、例えば胸部、四肢のそれぞれにトリミング情報であるトリミング位置及びトリミングサイズが対応付けて記憶される。
【0042】
取得部252は、放射線検出器110を使用して撮影された被写体Mの放射線画像と放射線画像の撮影に使用された放射線検出器110のシリアル番号又はパネルサイズとを取得する。また、取得部252は、撮影部位等を含む被写体Mに関する撮影条件を画像撮影装置100(放射線照射制御装置104)から取得する。処理部256は、取得した放射線検出器110のシリアル番号(パネルサイズ)及び撮影部位と一致する放射線検出器110に対応するトリミング情報がトリミング情報テーブル242Bにある場合に、当該トリミング情報を使用して取得部252により取得した放射線画像に対してトリミングを行う。これにより、被写体Mの部位ごとに最適な位置及びサイズでトリミングを行うことができる。
【0043】
[画像処理装置200の動作例]
次に、第1の実施の形態に係る放射線画像に対してトリミングを実施する場合の流れについて説明する。
図6は、第1の実施の形態に係る放射線画像に対してトリミングを実施する場合における画像処理装置200の動作の一例を示すフローチャートである。
【0044】
まず、取得部252は、被写体Mの放射線画像の撮影に使用される放射線検出器110のシリアル番号を取得する(ステップS10、取得ステップ)。具体的には、放射線検出器110にケーブル120が接続されると、放射線検出器110のシリアル番号やパネルサイズ等のデータがネットワークNを介して画像処理装置200に送信される。取得部252は、放射線検出器110から送信されるシリアル番号等を通信部230を介して取得する。
【0045】
次に、取得部252は、放射線検出器110等により撮影された被写体Mの放射線画像の画像データを受信する(ステップS11)。
【0046】
次に、判断部254は、被写体Mの放射線画像の撮影に使用された放射線検出器110のシリアル番号と一致するトリミング情報がトリミング情報テーブル242Aに記憶されているか否かを判断する(ステップS12)。つまり、判断部254は、過去に同一サイズの放射線検出器110を使用して撮影された放射線画像に実施されたトリミングのトリミング情報があるか否かを判断する。
【0047】
判断部254は、放射線検出器110のシリアル番号と一致するトリミング情報がトリミング情報テーブル242Aに保存されている場合(ステップS12:YES)、ステップS13に進む。具体的には、今回の放射線画像の撮影に使用された放射線検出器110のシリアル番号が「No.1」である場合、トリミング情報テーブル242Aに記憶されているシリアル番号「No.1」と一致するので、ステップS13に進む。
【0048】
処理部256は、被写体Mの放射線画像の撮影に使用された放射線検出器110に対応するトリミング情報を、トリミング情報テーブル242Aから取得する(ステップS13)。具体的には、処理部256は、今回の放射線画像の撮影に使用された放射線検出器110のシリアル番号が「No.1」である場合、トリミング位置「上/中」及びトリミングサイズ「14インチ×14インチ」を取得する。
【0049】
処理部256は、取得したトリミング情報を使用して、取得した被写体Mの放射線画像に対してトリミングを実行する(ステップS14(処理ステップ))。具体的には、処理部256は、トリミング位置の「上/中」及びトリミングサイズの「14インチ×14インチ」のトリミング情報を使用して被写体Mの放射線画像を部分的に抽出し、診断用画像の画像データを作成する。作成した画像データは、記憶部240に保存してもよいし、画像処理装置200とは別の画像保存装置に保存してもよい。
【0050】
次に、処理部256は、例えば医師から放射線画像の出力指示が入力されると、作成した診断用画像の画像データを記憶部240等から読み出して表示部220に出力する(ステップS15)。具体的には、表示部220には、放射線検出器110のシリアル番号が「No.1」である場合、トリミング位置「上/中」及びトリミングサイズ「14インチ×14インチ」でトリミングされた診断用画像が表示される。
【0051】
一方、判断部254は、放射線検出器110のシリアル番号と一致するトリミング情報がトリミング情報テーブル242Aに記憶されていない場合(ステップS12:NO)、ステップS16に進む。具体的には、放射線検出器110のシリアル番号が「No.1」及び「No.2」のいずれのシリアル番号にも該当しない場合、トリミング情報テーブル242Aに一致するトリミング情報がないと判断してステップS16に進む。
【0052】
次に、処理部256は、放射線検出器110のシリアル番号が「No.1」及び「No.2」のいずれにも該当しない場合、トリミング処理を行わずに、取得した診断用画像の表示領域を決定する(ステップS16)。例えば、診断用画像の表示領域は、放射線検出器110のパネルサイズに応じて決定される。
【0053】
次に、処理部256は、例えば医師から放射線画像の出力指示が入力されると、作成した診断用画像の画像データを記憶部240等から読み出して表示部220に出力する(ステップS15)。
【0054】
次に、処理部256は、表示部220に表示された診断用画像のトリミング位置及びトリミングサイズの少なくとも一方の調整を行うための入力操作が受け付けられたか否かを判断する(ステップS17)。例えば、処理部256は、表示部220の画面に表示されたトリミング調整用ボタンが選択されたか否かに基づいて判断する。
【0055】
処理部256は、トリミング位置等の調整を行うための入力操作が受け付けられたと判断した場合(ステップS17:YES)、ステップS18に進む。一方、トリミング位置等の調整を行うための入力操作が受け付けられていないと判断した場合(ステップS17:NO)、一連のトリミング処理を終了する。
【0056】
処理部256は、トリミング位置及びトリミングサイズを調整する調整画面を表示部220に表示させる(ステップS18)。調整画面には、例えば、14インチ×14インチ等のトリミングサイズを選択するためのボタン、数値を直接入力して任意のトリミングサイズを指定するための入力欄等が表示される。また、調整画面においてトリミングサイズが選択又は入力されると、選択等に応じた囲い枠(フレーム)が診断用画像に重ねて表示され、囲い枠を上下左右方向に移動させることでトリミング位置を調整できるようになっている。
【0057】
処理部256は、調整画面で受け付けられたトリミング位置及びトリミングサイズに関する変更情報を取得する(ステップS19)。例えば、処理部256は、調整画面におけるトリミングサイズの指定により変更情報を取得するとともに、囲い枠の位置の指定によりトリミング位置に関する変更情報を取得する。
【0058】
処理部256は、取得したトリミング位置及びトリミングサイズの変更情報を、放射線検出器110のシリアル番号等の識別情報に対応付けて記憶部240に記憶する(ステップS20)。例えば、シリアル番号が「No.1」の放射線検出器110である場合、トリミング情報テーブル242Aに予め記憶されているトリミング位置「上/中」及びトリミングサイズ「14インチ×14インチ」を変更情報に基づいて更新する(書き換える)。また、ステップS16のトリミング情報を行わない場合の診断用画像に対してトリミングの調整を行った場合、放射線検出器110に新たにシリアル番号を割り当てた後、割り当てたシリアル番号に対応付けて変更情報に応じたトリミング位置及びトリミングサイズを記憶してもよい。
【0059】
以上のように、第1の実施の形態によれば、放射線検出器110のシリアル番号又はパネルサイズごとに過去に実施したトリミングのトリミング情報を記憶するので、検査室において複数のパネルサイズの放射線検出器110が混在する場合でも、各放射線検出器110を使用して撮影された放射線画像に対して最適な位置及びサイズでトリミングを行うことができる。また、トリミング情報テーブル242Aに予め記憶されたトリミング情報に基づいてトリミングを行うので、再度トリミング情報を入力する等の追加の手間が低減され、撮影技師や医師のトリミング時の作業負担の軽減を図ることができる。
【0060】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、同一サイズ(種類)の放射線検出器110を異なる場所に設置された撮影台で使用する場合に、各場所に応じて異なるトリミングを行う。例えば、検査室に立位撮影台と臥位撮影台がある場合、立位撮影台や臥位撮影台で放射線画像を撮影するときには、各撮影台において撮影部位が同一であることが多く、トリミング位置及びトリミングサイズも毎回同一となる場合が多い。一方、立位撮影台及び臥位撮影台以外の場所で放射線画像を撮影する場合、撮影部位が手、足、腰や腹部等様々であり、トリミング位置及びトリミングサイズが撮影ごとに異なる場合が多い。
【0061】
そこで、第2の実施の形態では、放射線検出器110の種類(シリアル番号、パネルサイズ)が同一であっても、撮影台の場所に応じて放射線画像に対して異なるトリミングを行う。なお、第2の実施の形態に係る画像処理システム10Bにおいて、第1の実施の形態の画像処理システム10Aと共通する構成及び動作については、第1の実施の形態の説明を引用することで重複する説明を省略する。
【0062】
なお、本実施の形態において、立位撮影台の場所とは、立位撮影台の取付部(
図9参照)に放射線検出器110が装着、固定された状態を意味する。また、臥位撮影台の場所とは、臥位撮影台の取付部(
図9参照)に放射線検出器110が装着、固定された状態を意味する。また、立位撮影台及び臥位撮影台以外の場所とは、立位撮影台や臥位撮影台を使用せずに放射線画像を撮影する場合や、臥位撮影台上に放射線検出器110を載置して(取付部に装着せずに)放射線画像を撮影する場合を意味する。
【0063】
[画像処理システム10Bの構成例]
図7は、第2の実施の形態に係る画像処理システム10Bの一部を示すブロック図である。第2の実施の形態では、
図7に示すように、
図1に示した画像処理装置200等の他に、放射線検出器110と画像処理装置200とを接続するケーブル120として、第1のケーブル120a及び第2のケーブル120bが用意されている。
【0064】
第1のケーブル120aは、立位撮影台又は臥位撮影台で放射線画像を撮影する場合に使用されるケーブルである。第1のケーブル120aの一端には放射線検出器110に着脱可能なコネクター122aが設けられ、その他端はボックス130に接続される。コネクター122aには、固有のIDが割り当てられている。コネクター122aが放射線検出器110の側面の端子部に取り付けられると、コネクター122aのIDが画像処理装置200に送信される。画像処理装置200は、受信したコネクター122aのIDから、放射線検出器110の使用場所が立位撮影台又は臥位撮影台であると判断できる。
【0065】
第2のケーブル120bは、立位撮影台及び臥位撮影台以外で放射線画像を撮影する場合に使用されるケーブルである。第2のケーブル120bの一端には放射線検出器110に着脱可能なコネクター122bが設けられ、その他端はボックス130に接続される。コネクター122bには、コネクター122bとは異なる固有のIDが割り当てられている。コネクター122bが放射線検出器110の側面の端子部に取り付けられると、コネクター122bのIDが画像処理装置200に送信される。画像処理装置200は、受信したコネクター122bのIDから、放射線検出器110の使用場所が撮影台なしであると判断できる。
【0066】
[画像処理装置200の動作例]
次に、第2の実施の形態に係る被写体Mの放射線画像に対してトリミングを実施する場合の流れについて説明する。
図8は、第2の実施の形態に係る被写体Mの放射線画像に対してトリミングを実施する場合における画像処理装置200の動作の一例を示すフローチャートである。なお、第2の実施の形態では、可搬型の放射線検出器110を使用して放射線画像を撮影する撮影場所を立位撮影台と、臥位撮影台と、立位撮影台及び臥位撮影台以外の場所の3箇所とする。
【0067】
まず、取得部252は、被写体Mの放射線画像の撮影に使用される放射線検出器110に装着されたケーブル120のコネクター122のIDを取得する(ステップS30)。具体的には、第1のケーブル120aのコネクター122a又は第2のケーブル120bのコネクター122bが放射線検出器110に装着されると、コネクター122aのID又はコネクター122bのIDが画像処理装置200にネットワークNを介して送信される。取得部252は、コネクター122aのID又はコネクター122bのIDを通信部230を介して取得する。
【0068】
次に、取得部252は、放射線検出器110を使用して撮影された被写体Mの放射線画像の画像データと、放射線画像の撮影に使用された放射線検出器110のシリアル番号等をネットワークNを介して受信する(ステップS31)。立位撮影台又は臥位撮影台の場所で放射線画像を撮影する場合には、例えば半切サイズの放射線検出器110が使用される。一方、立位撮影台及び臥位撮影台以外の場所で放射線画像を撮影する場合には、例えば半切サイズよりも小型サイズの放射線検出器110が使用される。
【0069】
次に、判断部254は、取得したコネクター122のIDから、放射線検出器110の使用場所が立位撮影台又は臥位撮影台の場所であるかを判断する(ステップS32)。具体的には、処理部256は、第1のケーブル120aのコネクター122aに割り当てられたIDを取得したか否かにより判断する。判断部254は、放射線検出器110の撮影場所が立位撮影台又は臥位撮影台であると判断した場合(ステップS32:YES)、ステップS33に進む。
【0070】
次に、処理部256は、立位撮影台又は臥位撮影台用のトリミング情報を記憶部240から取得する(ステップS33)。例えば、立位撮影台又は臥位撮影台用のトリミング情報には、過去に立位撮影台又は臥位撮影台で撮影した際の放射線画像のトリミング時のトリミング情報を使用してもよい。また、
図3等で示したように、トリミング情報と放射線検出器110のシリアル番号やパネルサイズと対応付けて記憶することでトリミング情報テーブルを作成し、取得した放射線検出器110のシリアル番号と一致するトリミング情報をトリミング情報テーブルから取得してもよい。
【0071】
次に、処理部256は、取得した立位撮影台又は臥位撮影台用のトリミング情報を使用して、放射線検出器110を使用して撮影された放射線画像に対してトリミングを行う(ステップS34)。例えば、処理部256は、立位撮影台又は臥位撮影台用のトリミング情報として放射線画像を大角サイズ(14インチ×14インチ)でトリミングし、診断用画像の画像データを作成する。
【0072】
次に、処理部256は、例えば医師から放射線画像の出力指示が入力されると、作成した診断用画像の画像データを記憶部240等から読み出して表示部220に出力する(ステップS35)。
【0073】
一方、放射線検出器110の使用場所が立位撮影台又は臥位撮影台でないと判断した場合(ステップS32:NO)、ステップS36に進む。具体的には、判断部254は、第2のケーブル120bのコネクター122bに割り当てられたIDを取得した場合、放射線検出器110の使用場所が立位撮影台及び臥位撮影台以外の場所であると判断する。
【0074】
次に、処理部256は、立位撮影台及び臥位撮影台以外の場所用(撮影台なし用)のトリミング情報を記憶部240から取得する(ステップS36)。具体的には、処理部256は、放射線検出器110の使用場所が立位撮影台及び臥位撮影台以外の場所の場合、予め設定された照射野認識方式の処理プログラムをトリミング情報として記憶部240等から取得する。ここで、照射野認識方式とは、放射線画像(原画像)の中から放射線が照射された領域の画像を自動的に抽出する処理である。
【0075】
次に、処理部256は、照射野認識方式により放射線検出器110を使用して撮影された放射線画像に対してトリミングを実行する(ステップS37)。具体的には、処理部256は、照射野認識方式により被写体Mの放射線画像のトリミング領域を決定し、例えば六切サイズに自動でトリミングし、診断用画像の画像データを作成する。
【0076】
次に、処理部256は、例えば医師から放射線画像の出力指示が入力されると、作成した診断用画像の画像データを記憶部240等から読み出して表示部220に出力する(ステップS35)。
【0077】
以上のように、第2の実施の形態によれば、同一のパネルサイズの放射線検出器110を使用する場合でも、例えば臥位撮影台で放射線画像の撮影を行う場合には、トリミング情報テーブル242Aに記憶された過去の診断時のトリミング情報を使用することなく、予め決定された照射野認識方式によりトリミングを行う。これにより、臥位撮影台上等の場所で様々な部位(被写体M)の放射線画像を撮影する場合でも、最適な位置及びサイズでトリミングを行うことができる。また、例えば立位撮影台又は臥位撮影台で放射線画像の撮影を行う場合には、トリミング情報テーブル242Aに記憶された過去の診断時のトリミング情報を使用して放射線画像のトリミングを行うので、トリミング情報を入力する等の追加の手間が生じることもなく、撮影技師や医師のトリミング時の作業負担の軽減を図ることができる。
【0078】
なお、上述した例では、立位撮影台と臥位撮影台の場所で放射線画像の撮影を行う場合に同一のトリミング処理を行うようにしたが、これに限定されることはない。例えば、臥位撮影台で手、足等の様々な部位の撮影を行う場合には、臥位撮影台の場所についても立位撮影台及び臥位撮影台以外の場所と同様に、照射野方式によるトリミングを行うようにしてもよい。また、上述した説明では、放射線画像を撮影する場所として立位撮影台と臥位撮影台と立位撮影台及び臥位撮影台以外の場所の3箇所の例を挙げて説明したが、3箇所以上の場所がある場合にも、第2の実施の形態のトリミング方法を適用できる。また、第2の実施の形態では、放射線検出器110に装着されるコネクター122のIDによって、放射線検出器110が使用される撮影台の種類を判断したが、この方法に限定されることはない。例えば、各撮影台にセンサーを設置し、各撮影台のセンサーにより放射線検出器110が検出された場合に、そのセンサーが設置されている撮影台を放射線検出器110が使用される撮影台と判断してもよい。
【0079】
<第2の実施の形態の変形例>
第2の実施の形態に係る変形例では、RFID等の通信技術を利用して放射線検出器110の識別情報等を取得することで撮影台の場所を特定する。なお、以下では、立位撮影台及び臥位撮影台の異なる場所で同一サイズの放射線検出器110を使用し、立位撮影台及び臥位撮影台で撮影した各放射線画像に対してトリミング情報テーブル242Cを使用して異なるトリミングを行う場合について説明する。
【0080】
[画像処理システム10Cの構成例]
図9は、第2の実施の形態の変形例に係る画像処理システム10Cを示すブロック図である。画像処理システム10Cは、
図9に示すように、画像処理装置200に加えて、立位撮影台300Aに設けられる読取部260Aと、臥位撮影台300Bに設けられる読取部260Bと、を備える。
【0081】
放射線検出器110には、放射線検出器110のシリアル番号やパネルサイズ等の識別情報を保持するための情報保持部140が設けられている。情報保持部140としては、例えば、RFタグ、バーコード又はQRコード(登録商標)等が挙げられる。
【0082】
立位撮影台300Aは、放射線検出器110を撮影台300に装着、固定するための取付部310Aを有する。取付部310Aは、例えば、立位撮影台300Aの側面から引き出し可能で放射線検出器110を載置可能なトレイにより構成してもよいし、立位撮影台300Aの側面から放射線検出器110を抜き差し可能な開口により構成してもよい。
【0083】
読取部260Aは、立位撮影台300Aの取付部310Aに取り付けられ、放射線検出器110の情報保持部140に保持されている識別情報を読み取る。また、読取部260Aは、自身が取り付けられている立位撮影台300Aの場所を特定するための場所情報を保持する。読取部260Aは、第3のケーブル270Aを介して画像処理装置200に接続されており、放射線検出器110の情報保持部140から読み取った識別情報及び立位撮影台300Aを示す場所情報を画像処理装置200に送信する。
【0084】
臥位撮影台300Bは、放射線検出器110を撮影台300に装着、固定するための取付部310Bを有する。取付部310Bは、例えば、臥位撮影台300Bの側面から引き出し可能で放射線検出器110を載置可能なトレイにより構成してもよいし、臥位撮影台300Bの側面から放射線検出器110を抜き差し可能な開口により構成してもよい。
【0085】
読取部260Bは、臥位撮影台300Bの取付部310Bに取り付けられ、放射線検出器110の情報保持部140に保持されている識別情報を読み取る。また、読取部260Bは、自身が取り付けられている臥位撮影台300Bの場所を特定するための場所情報を保持する。読取部260Bは、第4のケーブル270Bを介して画像処理装置200に接続されており、放射線検出器110の情報保持部140から読み取った識別情報及び臥位撮影台300Bを示す場所情報を画像処理装置200に送信する。
【0086】
画像処理装置200は、トリミング情報テーブル242Cを有する。トリミング情報テーブル242Cには、一つの放射線検出器110に対して、撮影台の場所ごとに異なるトリミング情報が対応付けられて記憶されている。例えば、撮影台の場所が立位撮影台300Aである場合、トリミング位置「上/中」及びトリミングサイズ「17インチ×14インチ」が対応付けられる。撮影台の場所が臥位撮影台300Bである場合、トリミング位置「上/中」及びトリミングサイズ「14インチ×14インチ」が対応付けられる。なお、トリミングサイズは、本例の値に限定されず、任意の値を選択できる。
【0087】
[画像処理システム10Cの動作例]
次に、第2の実施の形態の変形例に係る被写体Mの放射線画像に対してトリミングを実施する場合の流れについて説明する。以下では、立位撮影台300Aを使用して放射線画像を撮影する場合について説明する。
【0088】
立位撮影台300Aの取付部310Aに放射線検出器110が装着されると、立位撮影台300Aの読取部260Aは放射線検出器110の情報保持部140に保持されている識別情報を読み取る。読取部260Aは、放射線検出器110の情報保持部140から読み取った放射線検出器110の識別情報と、自身が保持している撮影台の場所を示す場所情報とを第3のケーブル270Aを介して画像処理装置200に送信する。
【0089】
画像処理装置200の判断部254は、読取部260Aから送信された識別情報に基づいて、放射線検出器110のシリアル番号やパネルサイズ等を特定する。また、判断部254は、読取部260Aから送信された場所情報に基づいて、放射線画像の撮影場所が立位撮影台300Aであると特定する。
【0090】
画像処理装置200の処理部256は、放射線検出器110により撮影された被写体Mの放射線画像の画像データを受信すると、トリミング情報テーブル242Cから先に取得した識別情報及び場所情報に対応したトリミング情報を取得する。例えば、場所情報が立位撮影台300Aである場合、トリミング位置として「上/中」、トリミングサイズとして「17インチ×14インチ」を取得する。
【0091】
次に、画像処理装置200の処理部256は、取得したトリミング情報を使用して、取得した被写体Mの放射線画像に対してトリミングを実行する。具体的には、処理部256は、立位撮影台300Aの場所に対応したトリミング位置「上/中」及びトリミングサイズ「17インチ×14インチ」に基づいて被写体Mの放射線画像を部分的に抽出し、診断用画像の画像データを作成する。
【0092】
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0093】
10A,10B,10C 画像処理システム
100 画像撮影装置
110 放射線検出器
200 画像処理装置
240 記憶部
242A,242B,242C トリミング情報テーブル
250 制御部
252 取得部
254 判断部
256 処理部
M 被写体