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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184131
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】自動販売機
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/10 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
G07F9/10 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098097
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱田 公介
(72)【発明者】
【氏名】角田 和雄
【テーマコード(参考)】
3E044
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044CB03
3E044CC04
3E044CC08
3E044DB16
(57)【要約】
【課題】商品品質の劣化防止のために商品の販売を停止する商品品質劣化防止機能の作動機会を回避して販売ロスを低減することができる自動販売機を提供すること。
【解決手段】庫内温度が所定温度以上の状態を所定時間以上継続した場合に溶けた商品の販売を防止するため、庫内温度が所定温度以下になるまで商品の販売を停止する商品品質劣化防止機能を有した自動販売機であって、外気温度が上限温度以上、かつ、商品販売数が所定数以上の場合、庫内の冷却温度を通常温度範囲よりも低い温度範囲にする低温冷却を一定時間行い、商品品質劣化防止機能の作動を回避する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
庫内温度が所定温度以上の状態を所定時間以上継続した場合に溶けた商品の販売を防止するため、庫内温度が所定温度以下になるまで商品の販売を停止する商品品質劣化防止機能を有した自動販売機であって、
外気温度が上限温度以上、かつ、商品販売数が所定数以上の場合、庫内の冷却温度を通常温度範囲よりも低い温度範囲にする低温冷却を一定時間行い、前記商品品質劣化防止機能の作動を回避することを特徴とする自動販売機。
【請求項2】
庫内温度が所定温度以上の状態を所定時間以上継続した場合に溶けた商品の販売を防止するため、庫内温度が所定温度以下になるまで商品の販売を停止する商品品質劣化防止機能を有した自動販売機であって、
過去の実績データをもとに、外気温度が上限温度以上、かつ、商品販売数が所定数以上となる商品品質劣化防止機能発生時点を予測し、予測した商品品質劣化防止機能発生時点から所定制御時間、遡った時点から、庫内の冷却温度を通常温度範囲よりも低い温度範囲にする低温冷却を一定時間行い、前記商品品質劣化防止機能の作動を回避することを特徴とする自動販売機。
【請求項3】
過去の実績データのうち、外気温度が上限温度以上となって前記商品品質劣化防止機能が作動した日の時間経過温度データをもとに、前記上限温度よりも低い所定閾値温度になった時間帯が同じ時間経過温度データをもとに前記商品品質劣化防止機能発生時点を予測することを特徴とする請求項2に記載の自動販売機。
【請求項4】
前記所定閾値温度に達した時点が過去の時間経過温度データに比べて最も早い時点である場合、前記所定閾値温度に達した時点から前記低温冷却を一定時間行うことを特徴とする請求項3に記載の自動販売機。
【請求項5】
前記外気温度の上限温度及び前記商品販売数の所定数は、前記商品品質劣化防止機能が作動した場合の実績データから求められることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品品質の劣化防止のために商品の販売を停止する商品品質劣化防止機能の作動機会を回避して販売ロスを低減することができる自動販売機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機の設置業者である飲料メーカーでは、ルートマンが各自動販売機を巡回して、売上金の回収や釣り銭の補充を行うとともに、商品の補充及び入れ替えを行っている。ここで、自動販売機をオンライン化し、自動販売機の販売数データをもとに自動販売機への商品補充量を把握するものが提案されている(非特許文献1参照)。
【0003】
なお、特許文献1には、天候による売上の変化の有無に基づいて、予め定められた仮日程に従い売上予測値を計算する売上算出部、算出した売上予測値と在庫数とに基づき在庫消化率を算出する消化率算出部、算出された在庫消化率が所定の閾値よりも高い自動販売機について仮日程を早めるように補充の日程を調整する日程調整および対象期間設定部を備え、複数の自動販売機の設置場所と天気とから、ルートマンが効率的に商品を補充すべき自動販売機を見出すことができるものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-128816号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「DoCoリモ・ネットV2」http://www.nttdocomo.co.jp/biz/service/docoremonetv2/
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、アイスクリーム商品などを販売する自動販売機では、外気温度が高い時に長時間の商品補充を行うと、長時間の扉開放のため、庫内温度が上昇してアイスクリーム商品が溶けてしまう。この場合、溶けた商品の販売及び商品廃棄を防止するため、庫内温度が所定温度以上の状態を所定時間以上継続した場合、庫内温度が所定温度以下になるまで商品の販売を停止する商品品質劣化防止機能(以下、メルトストップ機能ともいう)をもたせている。したがって、この商品品質劣化防止機能が作動すると商品販売の機会を逃す販売ロスが発生することになる。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、商品品質の劣化防止のために商品の販売を停止する商品品質劣化防止機能の作動機会を回避して販売ロスを低減することができる自動販売機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、庫内温度が所定温度以上の状態を所定時間以上継続した場合に溶けた商品の販売を防止するため、庫内温度が所定温度以下になるまで商品の販売を停止する商品品質劣化防止機能を有した自動販売機であって、外気温度が上限温度以上、かつ、商品販売数が所定数以上の場合、庫内の冷却温度を通常温度範囲よりも低い温度範囲にする低温冷却を一定時間行い、前記商品品質劣化防止機能の作動を回避することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、庫内温度が所定温度以上の状態を所定時間以上継続した場合に溶けた商品の販売を防止するため、庫内温度が所定温度以下になるまで商品の販売を停止する商品品質劣化防止機能を有した自動販売機であって、過去の実績データをもとに、外気温度が上限温度以上、かつ、商品販売数が所定数以上となる商品品質劣化防止機能発生時点を予測し、予測した商品品質劣化防止機能発生時点から所定制御時間、遡った時点から、庫内の冷却温度を通常温度範囲よりも低い温度範囲にする低温冷却を一定時間行い、前記商品品質劣化防止機能の作動を回避することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、過去の実績データのうち、外気温度が上限温度以上となって前記商品品質劣化防止機能が作動した日の時間経過温度データをもとに、前記上限温度よりも低い所定閾値温度になった時間帯が同じ時間経過温度データをもとに前記商品品質劣化防止機能発生時点を予測することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記所定閾値温度に達した時点が過去の時間経過温度データに比べて最も早い時点である場合、前記所定閾値温度に達した時点から前記低温冷却を一定時間行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記外気温度の上限温度及び前記商品販売数の所定数は、前記商品品質劣化防止機能が作動した場合の実績データから求められることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、商品品質の劣化防止のために商品の販売を停止する商品品質劣化防止機能の作動機会を回避して販売ロスを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施の形態1である自動販売機の構成を示すブロック図である。
図2図2は、メルトストップ回避制御部によるメルトストップ回避制御処理を説明するタイムチャートである。
図3図3は、メルトストップ回避制御部によるメルトストップ回避制御処理手順を示すフローチャートである。
図4図4は、本発明の実施の形態2である自動販売機の構成を示すブロック図である。
図5図5は、実施の形態2のメルトストップ回避制御部によるメルトストップ回避制御処理を説明するタイムチャートである。
図6図6は、過去の実績データを用いた外気温度の予測例を示す図である。
図7図7は、過去の実績データを用いた商品販売数の予測例を示す図である。
図8図8は、実施の形態2のメルトストップ回避制御部によるメルトストップ回避制御処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
[実施の形態1]
<自動販売機の構成>
図1は、本発明の実施の形態1である自動販売機1の構成を示すブロック図である。この自動販売機1は、アイスクリーム商品を販売する自動販売機である。なお、自動販売機1は、アイスクリーム商品に限らず、例えば冷凍食品などのように低温温度管理が必要な商品を販売するものであればよい。図1に示すように、自動販売機1は、自動販売機主制御部10を有し、自動販売機主制御部10には、通信端末ユニット20、本体制御部30、冷熱装置31、搬出装置32、コインメカニズム33、ビルバリデータ34、リモコン35、電子マネーリーダライタ36、表示部37、外気温度センサS2が接続される。外気温度センサS2は、外気温度を検出する温度センサである。
【0017】
通信端末ユニット20は、例えばLTE(登録商標)などの通信方式により、ネットワークを介して図示しない外部の管理サーバとの通信接続を行うとともに、自動販売機主制御部10との通信接続を行う通信インタフェースである。なお、通信端末ユニット20は、携帯端末などとの近距離無線通信を行って携帯端末との間の通信接続処理を行う機能も有する。近距離無線通信は、WiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などがあるが、消費電力の観点からのBluetooth(登録商標)、特にBLE(Bluetooth Low Energy)通信を用いている。
【0018】
本体制御部30には、冷熱装置31、搬出装置32、庫内温度センサS1が接続される。本体制御部30は、自動販売機主制御部10の制御のもと、冷熱装置31及び搬出装置32を制御する。庫内温度センサS1は、商品収納庫内の温度を検出する温度センサである。
【0019】
冷熱装置31は、本体キャビネット内の商品収納庫を、設定された状態に管理するためのものである。冷熱装置31は、冷却設定された商品収納庫の内部を冷却する。この際、冷熱装置31は、庫内温度センサS1が検出する庫内温度をもとに冷却制御を行う。通常の冷却制御では、庫内温度が-19℃~-23℃の温度範囲(-19℃未満)となるように制御する。また、後述する低温冷却制御では、例えば庫内温度が、-26℃未満となるようにする、冷やし込みを行う。
【0020】
搬出装置32は、商品収納ラックごとに設けられたベンドソレノイド、売切スイッチを管理するためのものである。なお、自動販売機1では、スパイラル式のラックを用いて、スパイラルの回転により商品を繰り出し、この繰り出した商品を受取棚で払出位置まで搬送させている。本体制御部30は、自動販売機主制御部10から送信された搬出命令に従って商品収納ラックから商品を搬出する。また、搬出装置32は、商品収納ラックに収納された商品のすべてを搬出した場合に売切信号を本体制御部30に出力する。
【0021】
コインメカニズム33は、硬貨処理装置であり、各種硬貨の投入枚数を整理し、自動販売機主制御部10に送信する一方、この自動販売機主制御部10からの指令に従い、各種硬貨を払い出す。なお、コインメカニズム33には、硬貨の真贋及び金種を識別する金銭識別機能を有する。
【0022】
ビルバリデータ34は、紙幣処理装置であり、紙幣の投入枚数を整理し、自動販売機主制御部10に送信する一方、自動販売機主制御部10からの指令に従い、紙幣を払い出す。なお、ビルバリデータ34は、紙幣の真贋及び金種を識別する金銭識別機能を有する。
【0023】
リモコン35は、サービスマンなどによる各種設定操作、各種売上データの確認操作を行うためのもので、書込みキーや終了キーなどの操作キーのほか、各種設定データや確認データが表示される液晶表示器を備えている。リモコン35から設定入力された設定データは、自動販売機主制御部10に送信される。そして、リモコン35は、この自動販売機主制御部10から送信された確認データを受信する。
【0024】
電子マネーリーダライタ36は、電子マネーカードにチャージされた電子マネーを読み込みむとともに決済後の電子マネーを書き込む処理を行う。また、電子マネーリーダライタ36は、電子マネーカードに釣銭分の電子マネーをチャージする書き込み処理を行う。電子マネーリーダライタ36は、電子マネーカードを検出するとともに電子マネーカードの有効無効や種別を識別する電子マネー識別機能を有する。
【0025】
表示部37は、販売中、釣り切れ、準備中、お札中止のほか、投入金額、各種設定時の情報等の各種情報を表示するためのものである。
【0026】
自動販売機主制御部10は、販売制御部11、メルトストップ回避制御部12及び記憶部13を有する。販売制御部11は、商品選択ボタンによって選択された商品の払い出し、決済処理等を行う。また、販売制御部11は、自動販売機1の売上データD1を、売上商品の1件ごとのPOSデータとして管理サーバに通知する。
【0027】
メルトストップ回避制御部12は、外気温度が上限温度(例えば、35℃)以上、かつ、商品販売数が所定数(例えば、100個)以上の場合、庫内の冷却温度を通常温度範囲(例えば、-19℃~-23℃)よりも低い温度範囲(例えば、-26℃未満)にする低温冷却を一定時間行う。
【0028】
記憶部13は、売上データD1、商品販売数D2、メルトストップ(商品品質劣化防止機能)発生条件D3を記憶する。商品販売数D2は、前回の商品補充時から販売された商品の累積販売数である。
【0029】
ここで、外気温度が上限温度(例えば、35℃)以上、かつ、商品販売数が所定数(例えば、100個)以上とする条件は、メルトストップ発生条件D3であり、過去の実績データのうち、メルトストップ機能が作動したデータをもとに求められたものである。商品販売数をメルトストップ発生条件の一つとしたのは、商品販売数は、商品補充数に等しく、商品補充数が多くなれば、商品補充時における扉開放時間が長くなり、庫内温度が上昇し、商品が溶けてしまうからである。
【0030】
<メルトストップ回避処理>
図2は、メルトストップ回避制御部12によるメルトストップ回避制御処理を説明するタイムチャートである。図2は、自動販売機1の一日の外気温度、商品販売数、庫内温度の各推移曲線L1~L3を示している。点P1は、メルトストップ発生条件を満足する点であり、この点P1の時点t1まで、本体制御部30は庫内温度が通常温度範囲(-19℃~-23℃)となるように制御している。なお、時点t1は、現時点である。
【0031】
そして、時点t1以降、本体制御部30は庫内温度を、通常温度範囲よりも低い温度範囲(-26℃未満)となるように時点t1から時点t2までの一定時間T1、低温冷却を行って商品の冷やし込みを行う。したがって、時点t1以降、外気温度が上限温度を超えても、庫内温度は、-19℃近傍の温度になることはなく、メルトストップ機能が作動せず、商品補充を行うことができ、販売ロスも低減できる。
【0032】
<メルトストップ回避処理手順>
図3は、メルトストップ回避制御部12によるメルトストップ回避制御処理手順を示すフローチャートである。図3に示すように、まず、メルトストップ発生条件D3、すなわち、外気温度が上限温度(例えば、35℃)以上、かつ、商品販売数が所定数(例えば、100個)以上であるか否かを判定する(ステップS101)。メルトストップ発生条件D3を満足しない場合(ステップS101:No)には、本処理を終了する。
【0033】
一方、メルトストップ発生条件D3を満足する場合(ステップS101:Yes)には、庫内温度を-26℃未満とする低温冷却を開始する(ステップS102)。その後、低温冷却を開始してから一定時間T1、例えば1時間経過したか否かを判定する(ステップS103)。この一定時間T1は、例えば、商品が-26℃未満となる制御時間以上である。
【0034】
低温冷却を開始してから一定時間T1、経過していない場合(ステップS103:No)には、ステップS102に移行して冷温冷却を継続する。一方、低温冷却を開始してから一定時間T1、経過した場合(ステップS103:Yes)には、本処理終了する。
【0035】
なお、本処理は所定繰り返し時間毎に繰り返し行われる。したがって、低温冷却が終了した後もメルトストップ発生条件D3を満足する場合には、繰り返し低温冷却が実行されることになる。
【0036】
本実施の形態1では、過去の実績データから、予め求めたメルトストップ発生条件、すなわち、外気温度が上限温度以上、かつ、商品販売数が所定数以上となる場合に、低温冷却を行うようにしているので、メルトストップ機能の作動機会を回避して販売ロスを低減することができる。
【0037】
[実施の形態2]
上記の実施の形態1では、メルトストップ発生条件D3を満足した時点で低温冷却を行ってメルトストップ回避を行うようにしていたが、本実施の形態2では、過去の実績データをもとに、メルトストップ発生条件D3を満足するメルトストップ(商品品質劣化防止機能)発生予測時点を予測し、予測したメルトストップ発生予測時点から所定制御時間、遡った時点から、予め、庫内の冷却温度を通常温度範囲よりも低い温度範囲にする低温冷却を一定時間行うようにしている。
【0038】
図4は、本発明の実施の形態2である自動販売機2の構成を示すブロック図である。図4に示すように自動販売機2では、記憶部13に、外気温度及び商品販売数の実績データD4を保持し、メルトストップ回避制御部12が、過去の実績データをもとに、外気温度が上限温度以上、かつ、商品販売数が所定数以上となるメルトストップ発生予測時点を予測し、予測したメルトストップ発生予測時点から所定制御時間、遡った時点から、庫内の冷却温度を通常温度範囲よりも低い温度範囲にする低温冷却を一定時間行うようにしている、その他の構成は、実施の形態1と同じである。
【0039】
<メルトストップ回避処理>
図5は、実施の形態2のメルトストップ回避制御部12によるメルトストップ回避制御処理を説明するタイムチャートである。図2は、自動販売機1の一日の外気温度、商品販売数、庫内温度の各推移曲線L1~L3を示している。点P1は、メルトストップ発生条件を満足するメルトストップ発生予測点である。点P0は、予測実施点である。点P0は時点t3であり、現時点である。
【0040】
時点t3は、過去の実績データD4のうち、外気温度が上限温度以上となってメルトストップ機能が作動した日の時間経過温度データをもとに、外気温度が上限温度(35℃)よりも低い所定閾値温度(30℃)になった時点である。
【0041】
メルトストップ回避制御部12は、この時点t3において過去の実績データD4を用いてメルトストップ発生予測点である点P1の時点t1を予測する。この点P1における商品販売数は所定数以上とするメルトストップ発生条件を満足している。そして、この時点t1から所定制御時間T2、遡った時点t4から低温冷却を開始し、時点t5までの一定時間T1、低温冷却を継続する。この所定制御時間T2は、低温冷却によって庫内温度が-26℃未満となる温度制御時間以上とする。
【0042】
なお、所定閾値温度に達した時点t3が過去の時間経過温度データに比べて一日のうちで最も早い時点である場合、所定閾値温度に達した時点t3から直ちに低温冷却を一定時間T1、行う。これは、外気温度が予想以上に早く上限温度に到達する可能性が高いからである。
【0043】
<外気温度の予測例>
図6は、過去の実績データを用いた外気温度の予測例を示す図である。図6において、メルトストップ回避制御部12は、予測する当日の前日までの過去の実績データのうち、外気温度が上限温度(35℃)以上となってメルトストップ機能が作動した日の時間帯ごとの時間経過温度データDD2,DDnを用いる。
【0044】
メルトストップ回避制御部12は、当日の外気温度を時間帯ごとにリアルタイムでチェックし、外気温度が所定閾値温度(30℃)に到達した時間帯(10時)で、時間経過温度データDD2,DDnと比較し、同じ時間帯で所定閾値温度となっている時間経過温度データDDnを予測用の時間経過温度データとして特定する。予測用の時間経過温度データを参照して、外気温度が上限温度(35℃)となる時間帯を検索し、この検索した時間帯(13時)を、メルトストップ発生条件を満足するメルトストップ発生予測時点として特定する。
【0045】
<商品販売数の予測例>
図7は、過去の実績データを用いた商品販売数の予測例を示す図である。図7において、メルトストップ回避制御部12は、予測の当日の午前0時に、過去の時間帯ごとの商品販売数の実績データを、時間帯ごとに時間移動平均した商品販売数を求める。なお、予測前日までの商品販売数も時間移動平均した値である。時間移動平均は、例えば、時間帯ごとの7日間の商品販売数を対象とする。
【0046】
メルトストップ回避制御部12は、前回の商品補充時から予測前日までの累積商品販売数に、予測当日の各時間帯の予測した予測商品販売数を時間帯ごとに逐次加算した、予測当日の各時間帯の商品販売数を算出する。
【0047】
<メルトストップ回避処理手順>
図8は、実施の形態2のメルトストップ回避制御部12によるメルトストップ回避制御処理手順を示すフローチャートである。図8に示すように、まず、メルトストップ回避制御部12は、現時点(現時間帯)の外気温度が所定閾値温度(30℃)であるか否かを判定する(ステップS201)。現時点(現時間帯)の外気温度が所定閾値温度(30℃)でない場合(ステップS201:No)、本処理を終了する。
【0048】
一方、現時点(現時間帯)の外気温度が所定閾値温度(30℃)である場合(ステップS201:Yes)には、さらに、所定閾値温度が、過去の最も早い所定閾値温度の到達時刻(到達時間帯)よりも早いか否かを判定する(ステップS202)。
【0049】
所定閾値温度が、過去の最も早い所定閾値温度の到達時刻(到達時間帯)よりも早い場合(ステップS202:Yes)には、この時点から低温冷却を開始する(ステップS203)。その後、低温冷却を開始してから一定時間T1、経過したか否かを判定する(ステップS204)。低温冷却を開始してから一定時間T1、経過していない場合(ステップS204:No)には、ステップS203に移行して冷温冷却を継続する。一方、低温冷却を開始してから一定時間T1、経過した場合(ステップS204:Yes)には、本処理終了する。
【0050】
一方、所定閾値温度が、過去の最も早い所定閾値温度の到達時刻(到達時間帯)よりも早くない場合(ステップS202:No)には、同じ時間帯に所定閾値温度となる実績データをもとに、メルトストップ発生予測時点を予測する(ステップS205)。その後、予測したメルトストップ発生予測時点から所定制御時間T2、遡った時点から低温冷却を開始する(ステップS206)。その後、低温冷却を開始してから一定時間T1、経過したか否かを判定する(ステップS207)。低温冷却を開始してから一定時間T1、経過していない場合(ステップS207:No)には、ステップS206に移行して冷温冷却を継続する。一方、低温冷却を開始してから一定時間T1、経過した場合(ステップS207:Yes)には、本処理終了する。なお、本処理は、所定繰り返し時間ごとに繰り返し処理を行う。
【0051】
本実施の形態2では、過去の実績データを用いて、メルトストップ発生予測時点を予測し、メルトストップ発生予測時点の前から低温冷却を行うようにしているので、メルトストップ発生予測時点でのメルトストップ作動を確実に回避でき、メルトストップ機能の作動機会を回避して販売ロスを低減することができる。
【0052】
なお、上記の実施の形態1,2における外気温度の上限温度(35℃)、所定閾値温度(30℃)、商品販売数の所定数(100個)、低温冷却の温度範囲などは一例である。また、時間帯は1時間であったが、これに限らず、例えば、さらに短い時間帯であってもよい。
【0053】
また、実施の形態1,2では、自動販売機1,2自体が単独で制御するものであったが、これに限らず、各自動販売機1,2に接続される管理サーバが処理演算を含む制御などを行うようにしてもよい。
【0054】
さらに実施の形態2におけるメルトストップ発生予測時点の予測処理は、一例であり、他の予測処理、例えばAI予測処理などを適用してもよい。
【0055】
なお、上述した実施の形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0056】
1,2 自動販売機
10 自動販売機主制御部
11 販売制御部
12 メルトストップ回避制御部
13 記憶部
20 通信端末ユニット
30 本体制御部
31 冷熱装置
32 搬出装置
33 コインメカニズム
34 ビルバリデータ
35 リモコン
36 電子マネーリーダライタ
37 表示部
D1 売上データ
D2 商品販売数
D3 メルトストップ発生条件
D4 実績データ
DD2,DDn 時間経過温度データ
L1~L3 推移曲線
P0,P1 点
S1 庫内温度センサ
S2 外気温度センサ
T1 一定時間
t1~t5 時点
T2 所定制御時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8