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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184138
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/533 20060101AFI20231221BHJP
   A61F 13/493 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
A61F13/533 100
A61F13/493
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098107
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福元 淳生
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200CA02
3B200DB05
(57)【要約】
【課題】介護者等が着用者の腰回りに使い捨ておむつを装着させる際に、使い捨ておむつを仰臥位の着用者の股間部に対して適切な位置に配置することが容易な使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】おむつ本体2の後背部の幅方向の両側に止着テープ16が取り付けられた使い捨ておむつ1であって、おむつ本体2は、トップシート3とバックシート4の間に吸収性コア5が設けられ、吸収性コア5は、前方部と後方部が中間部よりも幅広に形成され、吸収性コア5には、開口部または凹部から形成された目印部6が設けられ、おむつ1の平面状態で、目印部6の後側端は止着テープ16よりも前側に位置し、目印部6の前側端は吸収性コア5の中間部よりも後側に位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向と幅方向を有し、おむつ本体の後背部の幅方向の両側に止着テープが取り付けられた使い捨ておむつであって、
前記おむつ本体は、トップシートとバックシートの間に吸収性コアが設けられ、
前記吸収性コアは、前方部と後方部とこれらの間の中間部を有し、前方部と後方部が中間部よりも幅広に形成され、
前記吸収性コアには、開口部または凹部から形成された目印部が設けられ、
前記おむつの平面状態で、前記目印部の後側端は前記止着テープよりも前側に位置し、前記目印部の前側端は前記吸収性コアの中間部よりも後側に位置することを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記目印部は、前記吸収性コアの幅方向の中心線に対して略対称に設けられ、
前記目印部の幅方向の一方端から他方端までの長さは、前記吸収性コアの後方部の幅方向の長さの50%以下である請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記目印部の前側端における幅方向の一方端から他方端までの長さは、前記目印部の後側端における幅方向の一方端から他方端までの長さよりも長い請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記目印部の前記開口部または凹部は溝部として形成されている請求項1~3のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記溝部は、前記吸収性コアの幅方向の一方側において、後側から前側に向かって幅方向の外方に延びる第1斜行部と、前記吸収性コアの幅方向の他方側において、後側から前側に向かって幅方向の外方に延びる第2斜行部を含む請求項4に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記溝部は、前後方向に並んで配置された複数の幅方向延在部を含み、前記複数の幅方向延在部は、前側に配置されたものほど幅方向の長さが長い請求項4に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記吸収性コアの中間部と前方部には開口部または凹部が設けられない請求項1~3のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープタイプの使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、開口部や凹部が形成された吸収性コアを有するテープタイプの使い捨ておむつが知られている(例えば、特許文献1~4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-185240号公報
【特許文献2】特開2004-041311号公報
【特許文献3】特開2001-293034号公報
【特許文献4】実開平06-021622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
テープタイプの使い捨ておむつは、おむつ本体の後背部の幅方向の両側に止着テープが取り付けられて構成され、着用の際は、止着テープをおむつ本体の前腹部に設けられたターゲットテープに留めることにより、着用者の腰回りに装着することができる。テープタイプの使い捨ておむつは、着用者が寝た状態で介護者等によって着用者の腰回りに装着される場合がある。この場合、仰臥位の着用者の臀部の下に使い捨ておむつを平面状に広げて敷いた後、使い捨ておむつの前腹部を着用者の股間部を通して腹部に当て、止着テープを前腹部に設けられたターゲットテープに留めることにより、介護者等が使い捨ておむつを着用者の腰回りに装着させることができる。このように介護者等がテープタイプの使い捨ておむつを着用者に装着させる場合、使い捨ておむつを着用者の臀部の下に敷いた際に、使い捨ておむつを着用者の股間部に対して適切な位置となるように配置することが容易となることが望ましい。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、介護者等が着用者の腰回りに使い捨ておむつを装着させる際に、使い捨ておむつを仰臥位の着用者の股間部に対して適切な位置に配置することが容易な使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の使い捨ておむつを含む。
[1]前後方向と幅方向を有し、おむつ本体の後背部の幅方向の両側に止着テープが取り付けられた使い捨ておむつであって、
前記おむつ本体は、トップシートとバックシートの間に吸収性コアが設けられ、
前記吸収性コアは、前方部と後方部とこれらの間の中間部を有し、前方部と後方部が中間部よりも幅広に形成され、
前記吸収性コアには、開口部または凹部から形成された目印部が設けられ、
前記おむつの平面状態で、前記目印部の後側端は前記止着テープよりも前側に位置し、前記目印部の前側端は前記吸収性コアの中間部よりも後側に位置することを特徴とする使い捨ておむつ。
[2]前記目印部は、前記吸収性コアの幅方向の中心線に対して略対称に設けられ、
前記目印部の幅方向の一方端から他方端までの長さは、前記吸収性コアの後方部の幅方向の長さの50%以下である[1]に記載の使い捨ておむつ。
[3]前記目印部の前側端における幅方向の一方端から他方端までの長さは、前記目印部の後側端における幅方向の一方端から他方端までの長さよりも長い[1]または[2]に記載の使い捨ておむつ。
[4]前記目印部の前記開口部または凹部は溝部として形成されている[1]~[3]のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
[5]前記溝部は、前記吸収性コアの幅方向の一方側において、後側から前側に向かって幅方向の外方に延びる第1斜行部と、前記吸収性コアの幅方向の他方側において、後側から前側に向かって幅方向の外方に延びる第2斜行部を含む[4]に記載の使い捨ておむつ。
[6]前記溝部は、前後方向に並んで配置された複数の幅方向延在部を含み、前記複数の幅方向延在部は、前側に配置されたものほど幅方向の長さが長い[4]または[5]に記載の使い捨ておむつ。
[7]前記吸収性コアの中間部と前方部には開口部または凹部が設けられない[1]~[6]のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【発明の効果】
【0007】
本発明の使い捨ておむつは、仰臥位の着用者の臀部の下に使い捨ておむつを平面状に広げて敷いた際に、吸収性コアに設けられた目印部を目安に、使い捨ておむつを着用者の股間部に対して適切な位置に配置することができる。そのため、介護者等が使い捨ておむつを着用者の腰回りに適切に装着させることが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の使い捨ておむつの一例を表し、使い捨ておむつをトップシート側から見た平面図を表す。
図2図1に示した使い捨ておむつのII-II断面図を表す。
図3図1に示した使い捨ておむつに備えられた吸収性コアの平面図を表す。
図4】本発明の使い捨ておむつに備えられる吸収性コアの例であって、吸収性コアの平面図を表す。
図5】本発明の使い捨ておむつに備えられる吸収性コアの例であって、吸収性コアの平面図を表す。
図6】本発明の使い捨ておむつに備えられる吸収性コアの例であって、吸収性コアの平面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の使い捨ておむつについて、図面を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。図1図3には、本発明の使い捨ておむつの一例を示した。図1は使い捨ておむつをトップシート側から見た平面図を表し、図2図1に示した使い捨ておむつのII-II断面図を表し、図3図1に示した使い捨ておむつに備えられた吸収性コアの平面図を表す。また、図4図6には、本発明の使い捨ておむつに備えられる吸収性コアの他の例を示した。本願の図では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。なお図1では、図面の上側がおむつの前側に相当し、図面の下側がおむつの後側に相当する。
【0010】
使い捨ておむつ1は、おむつ本体2と、おむつ本体2の幅方向xの両側に取り付けられた止着テープ16とを有する。おむつ本体2は、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを有し、止着テープ16がおむつ本体2の後背部の両側に取り付けられている。使い捨ておむつ1は、着用の際、前腹部を着用者の腹部に、股部を着用者の股間部に、後背部を着用者の背部に当て、止着テープ16をおむつ本体2の前腹部に止着することで、パンツ形状に形成して使用する。
【0011】
使い捨ておむつ1は、前後方向yと幅方向xを有する。前後方向yとは、使い捨ておむつ1を着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当する。幅方向xとは、使い捨ておむつ1と同一面上にあり前後方向yと直交する方向を意味し、使い捨ておむつ1を着用した際の着用者の左右方向に相当する。また本発明において、使い捨ておむつ1の肌面側とは、使い捨ておむつ1を着用した際の着用者の肌に向く側を意味し、使い捨ておむつ1の非肌面側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者とは反対に向く側を意味する。
【0012】
前腹部と股部と後背部は、おむつ本体2を前後方向yに3分割することにより規定され、股部は前腹部と後背部との間に位置する。おむつ本体2は、前腹部と後背部が股部よりも幅広に形成されていることが好ましい。
【0013】
おむつ本体2は、トップシート3と、バックシート4と、これらの間に配された吸収性コア5とを有する。トップシート3は、使い捨ておむつ1を着用した際に着用者側に位置するシートである。バックシート4は、使い捨ておむつ1を着用した際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートである。着用者から排泄された尿等は、トップシート3を透過して吸収性コア5により収容される。バックシート4は、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
【0014】
トップシート3は液透過性であることが好ましく、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等から構成することができる。また、トップシート3として、織布、編布、有孔樹脂フィルム等を用いてもよい。
【0015】
バックシート4は液不透過性であることが好ましく、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、樹脂フィルム等から構成することができる。バックシート4としては、不織布とフィルムとの積層体を用いてもよい。
【0016】
吸収性コア5は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収性コア5としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収性コア5は、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等の被覆シートで覆われてもよい。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされて、親水性繊維とされていることが好ましい。
【0017】
吸収性コア5としては、シート状吸収体を用いてもよい。シート状吸収体は、例えば、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように構成される。このように構成されたシート状吸収体は、不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
【0018】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点から、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収性コア5は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0019】
吸収性コア5は、単層から構成されてもよく、複数層から構成されてもよい。例えば、吸収性コア5は、上側吸収層と下側吸収層を有するものであってもよい。
【0020】
吸収性物品1は、肌面側の幅方向xの両側に防漏フラップ9が設けられることが好ましい。防漏フラップ9を設けることにより、尿等の横漏れが防止される。防漏フラップ9は、トップシート3の幅方向xの両側にサイドシート8を設けることにより形成することができる。具体的には、サイドシート8がトップシート3にサイド接合部8Aで接合され、サイドシート8のサイド接合部8Aより幅方向xの内方部分から防漏フラップ9が形成される。サイド接合部8Aでは、トップシート3の肌面側にサイドシート8が配されることが好ましい。サイド接合部8Aが防漏フラップ9の立ち上がりの起点となり、サイドシート8の幅方向xの内方端が自由端となる。
【0021】
防漏フラップ9には、フラップ弾性部材10が設けられることが好ましい。すなわち、サイドシート8のサイド接合部8Aより幅方向xの内方部分に、フラップ弾性部材10が設けられることが好ましい。フラップ弾性部材10を設けることにより、サイドシート8の幅方向xの内方部分が着用者の肌に向かって立ち上がり、防漏フラップ9が形成される。フラップ弾性部材10は前後方向yに延在するように設けられる。なお、防漏フラップ9の前後端部はサイド接合部8Aよりも幅方向xの内方部分でトップシート3に接合されてもよく、これにより防漏フラップ9が幅方向xの内方に傾倒して立ち上がり、尿や軟便等の漏れ防止効果が高まる。
【0022】
サイドシート8は液不透過性であることが好ましく、バックシート4に使用可能なシート材料から構成することができる。サイドシート8は、例えば、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等から構成されることが好ましい。
【0023】
上記説明した各シートとして不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。各シートの目付(単位面積あたりの質量)は、10g/m以上が好ましく、12g/m以上がより好ましく、また40g/m以下が好ましく、30g/m以下がより好ましい。
【0024】
おむつ本体2には、幅方向xの両側にそれぞれ、前後方向yに延びる脚周り弾性部材11が設けられることが好ましい。脚周り弾性部材11を設けることにより、着用者の脚周りにギャザーを形成して脚周りのフィット性を高めたり、横漏れを防止することができる。
【0025】
おむつ本体2には、前後方向yの端部に、幅方向xに延びるウェスト用弾性部材12を設けてもよい。ウェスト用弾性部材12の収縮力により、着用者の胴周りに沿ってギャザーが形成され、背中側や腹部側からの尿等の排泄物の漏れが防止される。
【0026】
各弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。弾性部材は、伸張状態で、ホットメルト接着剤等の接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度40~1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1~5.0倍に伸張して配設し、固定する。接着剤としては、ゴム系のホットメルト接着剤を用いることが好ましい。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
【0027】
止着テープ16は、テープ基材17の肌面側に留め具18が設けられて構成されることが好ましく、おむつ本体2の前腹部に設けられたターゲットテープ19と着脱可能となっている。テープ基材17は任意のシート部材から構成することができ、例えば、不織布、織布、編布、樹脂フィルム、あるいはこれらの積層体等を用いることができる。留め具18としては、面ファスナーのフック部材や粘着テープを用いることができる。留め具18として面ファスナーのフック部材を用いる場合は、ターゲットテープ19として面ファスナーのループ部材を用いることが好ましく、留め具18として粘着テープを用いる場合は、ターゲットテープ19として樹脂フィルムを用いることが好ましい。面ファスナーのフック部材は、例えば、基盤から、錨形や鉤形やきのこ形等の形状の係合素子が多数突出して構成される。なお、留め具18は面ファスナーのフック部材であり、テープ基材17は不織布から構成されることが好ましい。
【0028】
止着テープ16は、おむつ本体2の後背部の幅方向xの両側に設けられ、例えば、サイドシート8とバックシート4の間またはトップシート3とバックシート4の間に配され、これらのシート部材に接着剤により接合されることが好ましい。ターゲットテープ19はおむつ本体2の前腹部の外面側(非肌面側)に設けられ、接着剤等の公知の接合手段によりおむつ本体2に取り付けられることが好ましい。
【0029】
ターゲットテープ19は面ファスナーのループ部材から構成されることが好ましい。この場合、止着テープ16の留め具18として面ファスナーのフック部材が用いられ、ターゲットテープ19である面ファスナーのループ部材は、基盤上に、フック部材の係合素子と係合可能なループ部が設けられて構成される。ループ部は一部が基盤に固定され他部が基盤と非固定とされ、これによりフック部材の係合素子がループ部の基盤との非固定部分に係合することができる。各ループ部は、閉じた環を形成してもよく、環の一部が開いて形成され、隣接するループ部と接続して設けられていてもよい。
【0030】
吸収性コア5は略砂時計形状を有する。具体的には、図3に示すように、吸収性コア5は、前後方向yに対して前方部5Aと後方部5Cとこれらの間の中間部5Bを有し、前方部5Aと後方部5Cが中間部5Bよりも幅広に形成されている。このように吸収性コア5が形成されることにより、吸収性コア5は中間部5Bで着用者の両脚から圧迫されにくくなり、吸収性物品1を着用した際に吸収性コア5が歪みにくくなる。吸収性コア5は、前方部5Aおよび/または後方部5Cにおいて最も幅広に形成される。後方部5Aの幅方向xの長さと後方部5Cの幅方向xの長さは同じであっても異なっていてもよい。
【0031】
中間部5Bは、吸収性コア5の前後方向yの前後端部を除く領域のうち、幅方向xの長さが最も狭くなる部分として規定することができる。例えば、吸収性コア5の前側半分の最も幅広の部分から後側半分の最も幅広の部分の間の領域において、幅方向xの長さが最も狭くなる部分を中間部5Bとすることができる。吸収性コア5は、中間部5Bにおいて、幅方向xの長さが一定の部分を有することが好ましく、従って、吸収性コア5の外縁は、中間部5Bにおいて、前後方向yに延びる直線部を有することが好ましい。中間部5Bの前後方向yの長さは、例えば、吸収性コア5の前後方向yの長さの10%以上が好ましく、20%以上がより好ましく、また50%以下が好ましく、40%以下がより好ましい。
【0032】
吸収性コア5には、開口部または凹部から形成された目印部6が設けられる。開口部は、吸収性コア5を厚み方向zに貫通して設けられる。一方、凹部は、吸収性コア5の目付(単位面積当たりの質量)が部分的に減らされることにより形成される。この場合、凹部は、目付けが、凹部以外の部分よりも70質量%以下、より好ましくは60質量%以下となるように形成されることが好ましい。吸収性コア5に凹部が形成される場合、凹部は吸収性コア5のトップシート3側の表面に形成されることが好ましい。吸収性コア5がトップシート3側の上側吸収層とバックシート4側の下側吸収層から構成される場合は、上側吸収層に開口が形成され、当該開口を覆うように下側吸収層が設けられることにより、吸収性コア5のトップシート3側の表面に凹部を形成することができる。
【0033】
目印部6は、介護者等が仰臥位の着用者に使い捨ておむつ1を着用させる際に、使い捨ておむつ1を着用者の股間部に対して位置合わせする目安として設けられる。仰臥位の着用者の臀部の下に使い捨ておむつ1を平面状に広げて敷いた際に、着用者の上から見て、目印部6が着用者の左右の大腿部の付け根の間に来るように使い捨ておむつ1の位置を調整することにより、使い捨ておむつ1を着用者の股間部に対して適切な位置に配置することができる。その後、使い捨ておむつ1の前腹部を着用者の股間部を通して腹部に当て、止着テープ16をターゲットテープ19に止着させることにより、介護者等が使い捨ておむつ1を着用者の腰回りに適切に装着させることが容易になる。
【0034】
上記のように目印部6が機能するために、目印部6は、吸収性コア5の後方部5Cに、止着テープ16よりも前側に位置するように設けられる。具体的には、目印部6は、使い捨ておむつ1の平面状態で、目印部6の後側端が止着テープ16よりも前側(詳細には止着テープ16の前側端よりも前側)に位置し、目印部6の前側端が吸収性コア5の中間部5Bよりも後側(詳細には吸収性コア5の中間部5Bの後側端よりも後側)に位置するように設けられる。図1図4図6では、吸収性コア5において、止着テープ16よりも前側かつ中間部5Bよりも後側となる前後方向yの範囲S内に、目印部6が設けられている。このように目印部6を設けることにより、目印部6を、使い捨ておむつ1を着用者の股間部に対して位置合わせするための目安として機能させることができる。なお、目印部6を介護者等が認識しやすくする点から、目印部6の前後方向yの長さ(目印部6の前側端から後側端までの長さ)は20mm以上が好ましく、30mm以上がより好ましく、40mm以上がさらに好ましい。
【0035】
目印部6の形状は特に限定されない。目印部6は、上記に説明した吸収性コア5の前後方向yの範囲S内に設けられる限り、特にその形状は限定されない。目印部6は、吸収性コア5に設けられた1つの開口部または凹部から形成されてもよく、複数の開口部または凹部が組み合わさって形成されてもよい。後者の場合、目印部6を構成する複数の開口部または凹部は、幅方向xに複数並んで配置され、前後方向yには複数並んで配置されていなくてもよく、前後方向yに複数並んで配置され、幅方向xには複数並んで配置されていなくてもよく、あるいは、幅方向xに複数並んで配置されるとともに、前後方向yに複数並んで配置されてもよい。図3図6には、様々な形状の目印部6が設けられた吸収性コア5の例が示されており、このように目印部6は様々な形状をとり得る。図4および図6では、目印部6は、1つの開口部または凹部から形成されており、図3および図5(b)では、目印部6は、幅方向xに並んだ複数の開口部または凹部が組み合わさって形成されており、図5(a)では、目印部6は、前後方向yに並んだ複数の開口部または凹部が組み合わさって形成されている。
【0036】
目印部6の前側端は、おむつ本体2の後側端から、おむつ本体2の前後方向yの長さの25%~45%の長さ離れて位置することが好ましく、28%~42%の長さ離れて位置することがより好ましい。換言すれば、おむつ本体2の前後方向yの相対位置として前側端を0%とし後側端を100%としたとき、目印部6の前側端は55%~75%の範囲に位置することが好ましく、58%~72%の範囲に位置することがより好ましい。このように目印部6の前側端が位置していれば、仰臥位の着用者の臀部の下に使い捨ておむつ1を平面状に広げて敷いた際に、着用者の上から見て、目印部6を認識しやすくなる。
【0037】
目印部6は、吸収性コア5の外縁から離れて設けられることが好ましく、すなわち、吸収性コア5の外縁に接しないように設けられることが好ましい。例えば、目印部6は、吸収性コア5の外縁から30mm以内の領域に設けられないことが好ましく、45mm以内の領域に設けられないことがより好ましい。
【0038】
吸収性コア5の後方部5Cは、中間部5Bの後側端から後方に向かって幅が漸増する拡幅部を有し、目印部6は吸収性コア5の後方部5Cの拡幅部に設けられることが好ましい。これにより、目印部6を目安にして使い捨ておむつ1を着用者の腰回りに装着した際に、吸収性コア5を着用者の臀部から股間部にかけて好適にフィットさせることができる。また、使い捨ておむつ1を装着した状態で着用者が脚を前後に動かした際に、吸収性コア5が邪魔になりにくくなる。
【0039】
目印部6は、吸収性コア5の幅方向xの中心線(すなわち前後方向yに延びる中心線)に対して略対称に設けられることが好ましい。これにより、目印部6を目安として、使い捨ておむつ1を着用者の股間部に対して左右方向の位置を適切に設定することが容易になる。同様の観点から、目印部6は、吸収性コア5の幅方向xの中央部に設けられ、幅方向xの両端部には設けられないことが好ましい。具体的に、図3に示すように、目印部6の幅方向xの一方端から他方端までの長さWが、吸収性コア5の後方部5Cの幅方向xの長さの50%以下となることが好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましい。目印部6の幅方向xの一方端から他方端までの長さWの下限値は特に限定されないが、目印部6の幅方向xの一方端から他方端までの長さWは、例えば、吸収性コア5の後方部5Cの幅方向xの長さの5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上がさらに好ましい。なお、ここで説明した吸収性コア5の後方部5Cの幅方向xの長さとは、吸収性コア5の後方部5Cの幅方向xの最大長さを意味する。目印部6の幅方向xの一方端から他方端までの長さWはまた、吸収性コア5の中間部5Bの幅方向xの長さよりも短いことが好ましく、例えば、吸収性コア5の中間部5Bの幅方向xの長さの80%以下が好ましく、70%以下がより好ましく、60%以下がさらに好ましい。
【0040】
目印部6の幅方向xの一方端から他方端までの長さWは、目印部6の前後方向yの長さ(目印部6の前側端から後側端までの長さ)の0.4倍以上が好ましく、0.5倍以上がより好ましく、また3.0倍以下が好ましく、2.5倍以下がより好ましく、2.0倍以下がさらに好ましい。このように目印部6を形成することにより、介護者等が、目印部6を、使い捨ておむつ1の位置合わせのための目安として認識しやすくなる。
【0041】
目印部6の前側端における幅方向xの一方端から他方端までの長さは、目印部6の後側端における幅方向xの一方端から他方端までの長さよりも長いことが好ましい。図3図4図5(a)、図6には、このように形成された目印部6が示されている。この場合、使い捨ておむつ1を仰臥位の着用者の臀部の下に敷いて、目印部6を着用者の左右の大腿部の付け根の間に位置させたときに、着用者の上から見て、目印部6の幅方向xの外縁が、着用者の左右の大腿部の内側の輪郭に沿うように延びるものとなる。そのため、目印部6が、使い捨ておむつ1を着用者の股間部に対して位置合わせするための目安として用いられるものであることを、介護者等が視覚的に認識しやすくなる。
【0042】
図3図5に示すように、目印部6の開口部または凹部は溝部7として形成されていることが好ましい。開口部から目印部6が形成される場合は、溝部7は貫通溝として形成されることが好ましく、凹部から目印部6が形成される場合は、溝部7は有底溝として形成されることが好ましい。溝部7は、溝部7の延在長さが溝部7の幅の3倍以上となるように形成されることが好ましく、4倍以上がより好ましく、5倍以上がさらに好ましい。目印部6が溝部7として形成されることにより、目印部6が単なる開口部や凹部としてではなく、使い捨ておむつ1を着用者の股間部に対して位置合わせするための目安として用いられるものであることを、介護者等が視覚的に認識しやすくなる。また、吸収性コア5の吸収容量を確保しやすくなる。
【0043】
溝部7の延在方向は特に限定されない。溝部7は、前後方向yに延びていてもよく、幅方向xに延びていてもよく、前後方向yに対して斜め方向に延びていてもよく、これらが組み合わされていてもよい。溝部7は、直線状に延びていてもよく、曲線状に延びていてもよく、これらが組み合わされていてもよい。溝部7の幅は、例えば3mm以上が好ましく、5mm以上がより好ましく、8mm以上がさらに好ましく、また25mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましく、15mm以下がさらに好ましい。溝部7の幅は、溝部7の延在方向に対して同幅に形成されていてもよく、幅が変化するように形成されていてもよい。
【0044】
一つの実施態様として、図3および図4に示すように、溝部7は、吸収性コア5の幅方向xの一方側において、後側から前側に向かって幅方向xの外方に延びる第1斜行部と、吸収性コア5の幅方向xの他方側において、後側から前側に向かって幅方向xの外方に延びる第2斜行部を含むことが好ましい。このように溝部7が設けられることにより、溝部7から形成された目印部6が、使い捨ておむつ1を着用者の股間部に対して位置合わせするための目安として用いられるものであることを、介護者等が視覚的に認識しやすくなる。この場合の吸収性コア5の幅方向xの一方側と他方側とは、吸収性コア5の幅方向xの中心線を挟んだ一方側と他方側を意味する。第1斜行部と第2斜行部は、図3に示すように、互いに幅方向xに離隔して設けられてもよく、図4(a),(b)に示すように、互いに直接繋がって設けられてもよく、図4(c)に示すように、幅方向延在部を介して互いに繋がって設けられてもよい。
【0045】
他の実施態様として、図5(a)に示すように、溝部7は、前後方向yに並んで配置された複数の幅方向延在部を含み、複数の幅方向延在部は、前側に配置されたものほど幅方向xの長さが長くなるように形成されてもよい。このように溝部7が設けられても、溝部7から形成された目印部6が、使い捨ておむつ1を着用者の股間部に対して位置合わせするための目安として用いられるものであることを、介護者等が視覚的に認識しやすくなる。この場合の前後方向yに並んで配置される幅方向延在部の数は2~5が好ましく、3~5がより好ましい。
【0046】
さらに他の実施態様として、図5(b)に示すように、溝部7は、前後方向yに延びるように形成されていてもよい。また、図6に示すように、目印部6は、溝部としてではなく、前後方向yと幅方向xに所定の長さの領域を有するように形成されてもよい。
【0047】
目印部6は、目印部6の前側端が視認しやすいように形成されていることが好ましい。そのために、例えば、目印部6は前側端において開口部または凹部の深さが最も深く形成されていることが好ましい。このように目印部6が形成されることにより、仰臥位の着用者の臀部の下に使い捨ておむつ1を平面状に広げて敷いた際に、目印部6を視認しやすくなり、目印部6を目安にして使い捨ておむつ1を適切に位置調整しやすくなる。同様の観点から、吸収性コア5には、目印部6の前側端の近傍(例えば、目印部6の前側端から30mm以内の範囲内)に、目印部6以外の開口または凹部が設けられないことが好ましい。また、目印部6が溝部7として設けられる場合は、溝部7は前後方向yの前側端が、溝部7の延在方向に対して最も幅広に形成されることが好ましい。
【0048】
図面に示した実施態様のうち、例えば図5(a)の実施態様においては、溝部7を構成する複数の幅方向延在部のうち、最も前側に配置された幅方向延在部がそれより後側に配置された幅方向延在部よりも、幅広に(すなわち図1において前後方向yの長さが長く)形成されていることが好ましい。図5(b)の実施態様においては、着用者の両大腿部の間から見えやすいように溝部7が形成されていることが好ましい。図6の実施態様においては、目印部6の前側端が十分に幅広に形成されていることが好ましい。
【0049】
なお上記に関わらず、目印部6は後側端において開口部または凹部の深さが最も深く形成されていてもよい。また、目印部6が溝部7として設けられる場合は、溝部7は前後方向yの後側端が、溝部7の延在方向に対して最も幅広に形成されていてもよい。
【0050】
吸収性コア5の後方部5Cには、目印部6よりも幅方向xの外方に、開口部または凹部(目印部6以外の開口部または凹部)が設けられないことが好ましい。これにより、介護者等が目印部6を認識しやすくなり、目印部6を、使い捨ておむつ1を着用者の股間部に対して位置合わせするための目安として機能させやすくなる。同様の観点から、吸収性コア5の後方部5Cには、止着テープ16の前側端よりも後側に、開口部または凹部が設けられないことが好ましい。また、吸収性コア5の中間部5Bの後側半分の部分にも、開口部または凹部が設けられないことが好ましい。
【0051】
吸収性コア5は、中間部5Bに開口部または凹部が設けられないことが好ましく、さらに前方部5Aにも開口部または凹部が設けられないことが好ましい。これにより、介護者等が目印部6を認識しやすくなり、目印部6を、使い捨ておむつ1を着用者の股間部に対して位置合わせするための目安として機能させやすくなる。
【0052】
目印部6は、使い捨ておむつ1の肌面側から視認可能に着色されていてもよい。これにより、介護者等が目印部6を視認しやすくなる。この場合、目印部6は白色以外に着色されていることが好ましい。開口部の着色は、例えば、吸収性コア5の非肌面側に開口部と重なる位置に着色シートを設けたり、バックシート4の開口部と重なる位置を着色することにより実現できる。凹部の着色は、吸収性コア5の凹部を着色したり、吸収性コア5の凹部に着色シートを設けることにより実現できる。また、目印部6となる吸収性コア5の開口部または凹部が着色され、目印部6とならない吸収性コア5の開口部または凹部が非着色とされることにより、吸収性コア5に目印部6が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1:使い捨ておむつ
2:おむつ本体
3:トップシート
4:バックシート
5:吸収性コア、5A:前方部、5B:中間部、5C:後方部
6:目印部
7:溝部
8:サイドシート
9:防漏フラップ
16:止着テープ
19:ターゲットテープ
図1
図2
図3
図4
図5
図6