(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184140
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/84 20180101AFI20231221BHJP
F24F 11/65 20180101ALI20231221BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20231221BHJP
F24F 5/00 20060101ALN20231221BHJP
【FI】
F24F11/84
F24F11/65
F25B1/00 399Y
F24F5/00 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098111
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】金本 薫希
(72)【発明者】
【氏名】細沢 貴史
【テーマコード(参考)】
3L054
3L260
【Fターム(参考)】
3L054BG06
3L054BG08
3L260AB02
3L260AB06
3L260BA41
3L260CB13
3L260CB35
3L260CB62
3L260FB02
3L260FB25
(57)【要約】
【課題】圧縮式ヒートポンプ空調装置と熱源水式空調装置との間で熱の授受を効果的に行い、更なる省エネルギー性の向上を図ること。
【解決手段】運転制御部3は、熱交換部41において熱源水式空調装置2の熱源水から圧縮式ヒートポンプ空調装置1の冷媒に熱供給を行いながら、室内空調装置22による空調対象空間の空調と室内機12による空調対象空間の空調とを行う第1熱供給空調運転と、熱交換部41において圧縮式ヒートポンプ空調装置1の冷媒から熱源水式空調装置2の熱源水に熱供給を行いながら、室内空調装置22による空調対象空間の空調と室内機12による空調対象空間の空調とを行う第2熱供給空調運転とを実行可能に構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外機と室内機との間で冷媒を循環させて空調対象空間を空調する圧縮式ヒートポンプ空調装置と、
熱源設備からの熱源水を室内空調装置に循環供給して空調対象空間を空調する熱源水式空調装置と、
前記圧縮式ヒートポンプ空調装置の冷媒と前記熱源水式空調装置の熱源水とを熱交換させる熱交換部と、
前記圧縮式ヒートポンプ空調装置及び前記熱源水式空調装置の作動状態、並びに、熱交換部における熱交換状態を制御する運転制御部とが備えられ、
前記運転制御部は、
前記熱交換部において熱源水式空調装置の熱源水から圧縮式ヒートポンプ空調装置の冷媒に熱供給を行いながら、室内空調装置による空調対象空間の空調と室内機による空調対象空間の空調とを行う第1熱供給空調運転と、
前記熱交換部において圧縮式ヒートポンプ空調装置の冷媒から熱源水式空調装置の熱源水に熱供給を行いながら、室内空調装置による空調対象空間の空調と室内機による空調対象空間の空調とを行う第2熱供給空調運転とを実行可能に構成されている空調システム。
【請求項2】
前記第1熱供給空調運転では、運転制御部が、圧縮式ヒートポンプ空調装置の室外機及び熱源水式空調装置の熱源設備を作動状態として、熱交換部において熱源水式空調装置の熱源水から圧縮式ヒートポンプ空調装置の冷媒に熱供給を行いながら、室内空調装置による空調対象空間の空調と室内機による空調対象空間の空調とを行う請求項1に記載の空調システム。
【請求項3】
前記第1熱供給空調運転では、運転制御部が、圧縮式ヒートポンプ空調装置の室外機を作動停止状態とし且つ熱源水式空調装置の熱源設備を作動状態として、熱交換部において熱源水式空調装置の熱源水から圧縮式ヒートポンプ空調装置の冷媒に熱供給を行いながら、室内空調装置による空調対象空間の空調と室内機による空調対象空間の空調とを行う請求項1に記載の空調システム。
【請求項4】
前記熱源水式空調装置は、熱源設備からの熱源水を室内空調装置と熱交換部とに並列状態で循環供給する熱源水循環供給部が備えられている請求項1に記載の空調システム。
【請求項5】
前記圧縮式ヒートポンプ空調装置は、熱交換部に対する冷媒の通流方向について、冷房状態の場合に第1通流方向とし、暖房状態の場合に第1通流方向とは反対の第2通流方向とする冷媒通流方向切替部が備えられ、
前記熱源水式空調装置は、熱交換部に対する熱源水の通流方向について、冷房状態の場合に冷媒の第1通流方向と対向する第1対向方向とし、暖房状態の場合に冷媒の第2通流方向と対向する第2対向方向とする熱源水通流方向切替部が備えられている請求項1に記載の空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調対象空間を空調する空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空調対象空間を空調するに当たり、室外機と室内機との間で冷媒を循環させて空調対象空間を空調する圧縮式ヒートポンプ空調装置と、熱源設備からの熱源水を空調対象空間の室内空調装置に循環供給して空調対象空間を空調する熱源水式空調装置と、圧縮式ヒートポンプ空調装置の冷媒と熱源水式空調装置の熱源水とを熱交換させる熱交換部とが備えられている空調システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の空調システムでは、熱交換部が、圧縮式ヒートポンプ空調装置において室外機から室内機に送られる冷媒と、室内空調装置から熱源設備に送られる熱源水や熱源設備から熱源設備に戻される熱源水とを熱交換するように構成されている。熱交換部にて熱交換を行う空調運転として、熱交換部において熱源水式空調装置の熱源水から圧縮式ヒートポンプ空調装置の冷媒に熱供給を行いながら、室内空調装置による空調対象空間の空調と室内機による空調対象空間の空調とを行う熱供給空調運転を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の空調システムでは、熱供給空調運転を行うことで、室内機による空調対象空間の空調と室内空調装置による空調対象空間の空調とを行いながら、圧縮式ヒートポンプ空調装置が、熱交換部を介して熱源水式空調装置から冷熱を受け取ることができるので、圧縮式ヒートポンプ空調装置の冷房能力を向上させて、省エネルギー性を高めることができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の空調システムでは、圧縮式ヒートポンプ空調装置が、熱交換部を介して熱源水式空調装置から冷熱を受け取るだけであるので、熱源水式空調装置が圧縮式ヒートポンプ空調装置から熱を受け取ることができず、熱源水式空調装置の空調能力を向上することができず、更なる省エネルギー性の向上を図ることができない。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、圧縮式ヒートポンプ空調装置と熱源水式空調装置との間で熱の授受を効果的に行い、更なる省エネルギー性の向上を図ることができる空調システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、室外機と室内機との間で冷媒を循環させて空調対象空間を空調する圧縮式ヒートポンプ空調装置と、
熱源設備からの熱源水を室内空調装置に循環供給して空調対象空間を空調する熱源水式空調装置と、
前記圧縮式ヒートポンプ空調装置の冷媒と前記熱源水式空調装置の熱源水とを熱交換させる熱交換部と、
前記圧縮式ヒートポンプ空調装置及び前記熱源水式空調装置の作動状態、並びに、熱交換部における熱交換状態を制御する運転制御部とが備えられ、
前記運転制御部は、
前記熱交換部において熱源水式空調装置の熱源水から圧縮式ヒートポンプ空調装置の冷媒に熱供給を行いながら、室内空調装置による空調対象空間の空調と室内機による空調対象空間の空調とを行う第1熱供給空調運転と、
前記熱交換部において圧縮式ヒートポンプ空調装置の冷媒から熱源水式空調装置の熱源水に熱供給を行いながら、室内空調装置による空調対象空間の空調と室内機による空調対象空間の空調とを行う第2熱供給空調運転とを実行可能に構成されている点にある。
【0009】
本構成によれば、運転制御部は、熱交換部を介して熱源水式空調装置から圧縮式ヒートポンプ空調装置に熱を供給する第1熱供給空調運転だけでなく、熱交換部を介して圧縮式ヒートポンプ空調装置から熱源水式空調装置に熱を供給する第2熱供給空調運転も実行可能である。熱源水式空調装置から圧縮式ヒートポンプ空調装置に熱を供給するのに適した空調条件であれば、運転制御部が第1熱供給空調運転を実行し、圧縮式ヒートポンプ空調装置から熱源水式空調装置に熱を供給するのに適した空調条件であれば、運転制御部が第2熱供給空調運転を実行することができ、空調条件等の状況に応じて、圧縮式ヒートポンプ空調装置と熱源水式空調装置との間の双方で熱の授受を行うことができる。よって、空調条件等の状況に応じて、熱の供給を受けて圧縮式ヒートポンプ空調装置と熱源水式空調装置とのどちらかの空調能力を向上することができ、更なる省エネルギー性の向上を図ることができる。
【0010】
本発明の第2特徴構成は、前記第1熱供給空調運転では、運転制御部が、圧縮式ヒートポンプ空調装置の室外機及び熱源水式空調装置の熱源設備を作動状態として、熱交換部において熱源水式空調装置の熱源水から圧縮式ヒートポンプ空調装置の冷媒に熱供給を行いながら、室内空調装置による空調対象空間の空調と室内機による空調対象空間の空調とを行う点にある。
【0011】
本構成によれば、第1熱供給空調運転では、運転制御部が、圧縮式ヒートポンプ空調装置の室外機及び熱源水式空調装置の熱源設備を作動状態とするので、室外機からの冷媒を用いて室内機にて空調対象空間の空調を行いながら、熱源設備からの熱源水を用いて室内空調装置にて空調対象空間の空調を行うことができることを前提として、更に、熱交換部において、圧縮式ヒートポンプ空調装置と熱源水式空調装置との間の双方で熱の授受を行うことができる。これにより、室内機による空調対象空間の空調と室内空調装置による空調対象空間の空調とを適切に行うことができながら、熱交換部における熱の授受によって効果的に省エネルギー性の向上を図ることができる。
【0012】
本発明の第3特徴構成は、前記第1熱供給空調運転では、運転制御部が、圧縮式ヒートポンプ空調装置の室外機を作動停止状態とし且つ熱源水式空調装置の熱源設備を作動状態として、熱交換部において熱源水式空調装置の熱源水から圧縮式ヒートポンプ空調装置の冷媒に熱供給を行いながら、室内空調装置による空調対象空間の空調と室内機による空調対象空間の空調とを行う点にある。
【0013】
本構成によれば、第1熱供給空調運転では、運転制御部が、圧縮式ヒートポンプ空調装置の室外機を作動停止状態とし且つ熱源水式空調装置の熱源設備を作動状態とするので、室外機を作動させることなく、熱源設備からの熱源水を用いて、室内空調装置にて空調対象空間の空調を行うだけでなく、室内機にて空調対象空間の空調も行うことができる。これにより、室外機を作動停止状態とするだけ、消費エネルギーの低減を図ることができ、省エネルギー性の向上を効率よく図ることができる。しかも、空調システムとして、熱源水式空調装置の方が圧縮式ヒートポンプ空調装置よりも容量が大きい場合があるので、このような場合には、室外機を作動させることなく、熱源水式空調装置を有効に活用することができ、空調システムとして有用なものとなる。
【0014】
本発明の第4特徴構成は、前記熱源水式空調装置は、熱源設備からの熱源水を室内空調装置と熱交換部とに並列状態で循環供給する熱源水循環供給部が備えられている点にある。
【0015】
本構成によれば、熱源水循環供給部は、熱源設備からの熱源水を室内空調装置と熱交換部とに並列状態で循環供給するので、熱交換部での熱交換を行いながら、室内空調装置への熱源水の循環供給も併行して行うことができる。これにより、室内空調装置における空調を適切に行いながら、室内空調装置による空調の影響を受けることなく、熱交換部での熱の授受も適切に行うことができ、空調システムとして有用なものとなる。
【0016】
本発明の第5特徴構成は、前記圧縮式ヒートポンプ空調装置は、熱交換部に対する冷媒の通流方向について、冷房状態の場合に第1通流方向とし、暖房状態の場合に第1通流方向とは反対の第2通流方向とする冷媒通流方向切替部が備えられ、
前記熱源水式空調装置は、熱交換部に対する熱源水の通流方向について、冷房状態の場合に冷媒の第1通流方向と対向する第1対向方向とし、暖房状態の場合に冷媒の第2通流方向と対向する第2対向方向とする熱源水通流方向切替部が備えられている点にある。
【0017】
本構成によれば、冷房状態では、熱交換部において、冷媒が第1通流方向に通流するのに対して熱源水が第1対向方向に通流するので、熱交換部での冷媒と熱源水との熱交換を効率よく行うことができる。暖房状態でも、熱交換部において、冷媒が第2通流方向に通流するのに対して熱源水が第2対向方向に通流するので、熱交換部での冷媒と熱源水との熱交換を効率よく行うことができる。これにより、冷房状態及び暖房状態のどちらでも、熱交換部での熱の授受を効率よく行うことができ、省エネルギー性の向上を効果的に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】空調システムにおいて、圧縮式ヒートポンプ空調装置及び熱源水式空調装置の両者が冷房状態である場合の第1熱供給空調運転及び第2熱供給空調運転を示す図
【
図2】空調システムにおいて、圧縮式ヒートポンプ空調装置及び熱源水式空調装置の両者が暖房状態である場合の第1熱供給空調運転及び第2熱供給空調運転を示す図
【
図3】空調システムにおいて、圧縮式ヒートポンプ空調装置及び熱源水式空調装置の両者が冷房状態である場合の第1熱供給空調運転を示す図
【
図4】空調システムにおいて、圧縮式ヒートポンプ空調装置及び熱源水式空調装置の両者が暖房状態である場合の第1熱供給空調運転を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る空調システムの実施形態について図面に基づいて説明する。
この空調システムは、
図1及び
図2に示すように、空調対象空間を空調する圧縮式ヒートポンプ空調装置1と、空調対象空間を空調する熱源水式空調装置2と、圧縮式ヒートポンプ空調装置1及び熱源水式空調装置2の作動状態を制御する運転制御部3とが備えられている。
【0020】
ここで、
図1と
図2は、基本的には空調システムの同一の構成を示すものであるが、
図2では、熱源水式空調装置2の一部を省略している。
図1では、圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2の両者を冷房状態にて作動させた場合を示しており、
図2では、圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2の両者を暖房状態にて作動させた場合を示している。
図1及び
図2において、太線部分が、冷媒及び熱源水が通流する部分を示しており、細線部分が、冷媒及び熱源水が通流していない部分を示している。
【0021】
圧縮式ヒートポンプ空調装置1は、
図1に示すように、室外機11と室内機12との間で冷媒を循環させることで、室内機12が設置された室内空間等の空調対象空間を空調している。圧縮式ヒートポンプ空調装置1は、圧縮機13と室外熱交換器14と減圧器15と室内熱交換器16とに接続された冷媒回路17が備えられている。冷媒回路17には、圧縮機13からの冷媒の通流状態を、室外熱交換器14、減圧器15、室内熱交換器16の順に循環供給する冷房用通流状態(
図1参照)と、室内熱交換器16、減圧器15、室外熱交換器14の順に循環供給する暖房用通流状態(
図2参照)とに切替自在な四方弁18が備えられている。
【0022】
圧縮式ヒートポンプ空調装置1を冷房状態にて作動させる場合には、運転制御部3が、室外機11の室外ファンや室内機12の室内ファンを作動させて、冷媒回路17において圧縮機13や減圧器15等を作動させ且つ四方弁18を冷房用通流状態に切り替えることで、
図1の冷媒回路17における太線にて示すように、圧縮機13、室外熱交換器14、減圧器15、室内熱交換器16の順に冷媒を循環供給させ、室外熱交換器14を凝縮器として機能させるとともに、室内熱交換器16を蒸発器として機能させて、室内機12を設置した空調対象空間を冷房している。
【0023】
圧縮式ヒートポンプ空調装置1を暖房状態にて作動させる場合には、運転制御部3が、室外機11の室外ファンや室内機12の室内ファンを作動させて、冷媒回路17において圧縮機13や減圧器15等を作動させ且つ四方弁18を暖房用通流状態に切り替えることで、
図2の冷媒回路17における太線にて示すように、圧縮機13、室内熱交換器16、減圧器15、室外熱交換器14の順に冷媒を循環供給させ、室内熱交換器16を凝縮器として機能させるとともに、室外熱交換器14を蒸発器として機能させて、室内機12を設置した空調対象空間を暖房している。
【0024】
熱源水式空調装置2は、
図1に示すように、熱源設備21からの熱源水を室内空調装置22に循環供給することで、室内空調装置22が設置された室内空間等の空調対象空間を空調している。
図1に示すものでは、熱源設備21が複数台(例えば、3台)備えられ、室内空調装置22も複数(例えば、4つ)備えられている例を示している。
図1では、複数台の熱源設備21の全てを作動させている状態を示しているが、空調負荷の大きさに応じて作動させる熱源設備21の台数を制御することができる。室内空調装置22は、図示は省略するが、例えば、コイルやファン等を有するエアハンドリングユニットが備えられ、供給を受ける熱源水を熱源として空調対象空間を冷房や暖房等の空調するものであり、1つの空調対象空間に対して1つずつ備えたり、1つの空調対象空間に対して複数備えることができる。
【0025】
熱源水式空調装置2は、複数の熱源設備21からの熱源水を複数の室内空調装置22に循環供給する熱源水循環回路23が備えられている。熱源水循環回路23は、熱源設備21からの熱源水を供給する往路24と、熱源水を熱源設備21に戻す復路25と、往路24の熱源水を室内空調装置22に供給して復路25に戻す複数の空調装置用供給路26とが備えられている。複数の空調装置用供給路26の夫々は、その上流側端部が往路24に接続され、その下流側端部が復路25に接続されており、複数の空調装置用供給路26が並列状態で備えられている。複数の空調装置用供給路26の夫々における途中部位には、室内空調装置22への熱源水の供給を断続する熱源水断続弁27が備えられ、複数の室内空調装置22に対して各別に熱源水の供給を断続自在に構成されている。
【0026】
熱源水循環回路23には、複数の室内空調装置22をバイパスするバイパス路28が備えられている。バイパス路28は、その上流側端部が往路24に接続され、その下流側端部が復路25に接続されており、バイパス路28の途中部位には、バイパス路28における熱源水の通流量を調整自在なバイパス弁29が備えられている。
【0027】
熱源水式空調装置2を冷房状態にて作動させる場合には、運転制御部3が、冷熱を有する熱源水を生成するように熱源設備21を作動させ、熱源設備21の熱源水循環ポンプ30を作動させることで、
図1の熱源水循環回路23における太線にて示すように、熱源水循環回路23の往路24と復路25とにより熱源水を循環させている。複数の空調対象空間のうち、冷房負荷を有する空調対象空間については、熱源水断続弁27を開弁状態として空調装置用供給路26を通して室内空調装置22に熱源水を循環供給して、室内空調装置22にて空調対象空間を冷房している。
図1では、複数の室内空調装置22の全てが冷房負荷を有する場合を示しており、空調装置用供給路26を通して複数の室内空調装置22の全てに対して熱源水を循環供給している。
【0028】
熱源水式空調装置2を暖房状態で作動させる場合には、運転制御部3が、温熱を有する熱源水を生成するように熱源設備21を作動させ、熱源設備21の熱源水循環ポンプ30を作動させることで、
図1の熱源水循環回路23における太線と同様に、熱源水循環回路23の往路24と復路25とにより熱源水を循環させている。複数の空調対象空間のうち、暖房負荷を有する空調対象空間については、熱源水断続弁27を開弁状態として空調装置用供給路26を通して室内空調装置22に熱源水を循環供給して、室内空調装置22にて空調対象空間を暖房している。
【0029】
この空調システムでは、
図1に示すように、圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2との間でお互いに熱の授受を行うために、圧縮式ヒートポンプ空調装置1の冷媒と熱源水式空調装置2の熱源水とを熱交換させる熱交換部41が備えられている。熱交換部41は、冷媒側第1流入出部41aと冷媒側第2流入出部41bとの間で通流する冷媒と、熱源水側第1流入出部41cと熱源水側第2流入出部41dとの間で通流する熱源水とを熱交換自在に構成されている。
【0030】
圧縮式ヒートポンプ空調装置1の冷媒回路17には、冷媒を熱交換部41に供給する冷媒供給路42が備えられている。冷媒供給路42として、室外機11と熱交換部41の冷媒側第1流入出部41aとを接続する室外機側接続路43と、室内機12と熱交換部41の冷媒側第2流入出部41bとを接続する室内機側接続路44とが備えられている。
【0031】
冷媒供給路42にて熱交換部41に冷媒を供給するに当たり、熱交換部41に対する冷媒の通流方向を切替自在に構成されている。冷媒回路17では、四方弁18によって冷媒の通流状態が冷房用通流状態と暖房用通流状態とに切替自在に構成されており、この四方弁18が、冷媒回路17における冷媒の通流方向を切り替える冷媒通流方向切替部として備えられている。
【0032】
冷房用通流状態では、
図1の冷媒回路17における太線にて示すように、冷媒が室外機側接続路43にて室外機11から熱交換部41の冷媒側第1流入出部41aに供給され、その冷媒が熱交換部41において冷媒側第1流入出部41aから冷媒側第2流入出部41bに通流し、冷媒が室内機側接続路44にて熱交換部41の冷媒側第2流入出部41bから室内機12に供給されている。このように、冷房用通流状態では、熱交換部41における冷媒の通流方向が、冷媒側第1流入出部41aから冷媒側第2流入出部41bに向かう第1通流方向となっている。
【0033】
それに対して、暖房用通流状態では、
図2の冷媒回路17における太線にて示すように、冷媒が室内機側接続路44にて室内機12から熱交換部41の冷媒側第2流入出部41bに供給され、その冷媒が熱交換部41において冷媒側第2流入出部41bから冷媒側第1流入出部41aに通流し、冷媒が室外機側接続路43にて熱交換部41の冷媒側第1流入出部41aから室外機11に供給されている。よって、暖房用通流状態では、熱交換部41における冷媒の通流方向が、冷媒側第2流入出部41bから冷媒側第1流入出部41aに向かう第2通流方向となっており、第1通流方向とは反対方向となっている。
【0034】
熱源水式空調装置2の熱源水循環回路23には、往路24の熱源水を熱交換部41に供給して復路25に戻す形態で、熱源水を熱交換部41に循環供給する熱交換用供給路45が備えられている。熱源水循環回路23(熱源水供給部に相当する)は、室内空調装置22に熱源水を供給する空調装置用供給路26と熱交換部41に熱源水を供給する熱交換用供給路45とを並列状態で備えることで、熱源設備21からの熱源水を室内空調装置22と熱交換部41とに並列状態で循環供給している。
【0035】
熱交換用供給路45は、複数の熱源水接続路46~49が備えられており、それら複数の熱源水接続路46~49から、実際に熱源水を通流させる熱源水接続路を切り替えることで、熱交換部41における熱源水の通流方向を切替自在に構成されている。複数の熱源水接続路として、第1~第4熱源水接続路46~49が備えられている。
【0036】
第1熱源水接続路46は、
図2の太線にて示すように、往路24と熱交換部41の熱源水側第1流入出部41cとを接続する流路として備えられている。第2熱源水接続路47は、
図1の太線にて示すように、往路24と熱交換部41の熱源水側第2流入出部41dとを接続する流路として備えられている。第3熱源水接続路48は、
図1の太線にて示すように、復路25と熱交換部41の熱源水側第1流入出部41cとを接続する流路として備えられている。第4熱源水接続路49は、
図2の太線にて示すように、復路25と熱交換部41の熱源水側第2流入出部41dとを接続する流路として備えられている。第1~第4熱源水接続路46~49の夫々は、その全長が各別な単一の流路として備えられておらず、その一部が他の接続路と兼用する状態で備えられている。
【0037】
第1熱源水接続路46(
図2の太線参照)と第2熱源水接続路47(
図1の太線参照)とは、往路24から分岐する状態で接続されており、その接続箇所には、連通させる流路を切替自在な第1切替弁50が備えられている。第1切替弁50は、往路24と第1熱源水接続路46とを連通させる第1連通状態(
図2の太線参照)と、往路24と第2熱源水接続路47とを連通させる第2連通状態(
図1の太線参照)と、往路24を第1熱源水接続路46及び第2熱源水接続路47の何れとも連通させない非連通状態とに切替自在に構成されている。
【0038】
第3熱源水接続路48(
図1の太線参照)と第4熱源水接続路49(
図2の太線参照)とは、復路25に合流する状態で接続されており、その接続箇所には、連通させる流路を切替自在な第2切替弁51が備えられている。第2切替弁51は、復路25と第3熱源水接続路48とを連通させる第3連通状態(
図1の太線参照)と、復路25と第4熱源水接続路49とを連通させる第4連通状態(
図2の太線参照)と、復路25を第3熱源水接続路48及び第4熱源水接続路49の何れとも連通させない非連通状態とに切替自在に構成されている。
【0039】
第1熱源水接続路46には、熱源水の通流を断続自在な第1熱源水通流弁52が備えられ、同様に、第2熱源水接続路47にも、熱源水の通流を断続自在な第2熱源水通流弁53が備えられている。更に、第3熱源水接続路48には、第3熱源水通流弁54が備えられ、第4熱源水接続路49には、第4熱源水通流弁55が備えられている。
【0040】
図1の熱源水循環回路23における太線にて示すように、運転制御部3が、第1切替弁50を第2連通状態に切り替え、第2切替弁51を第3連通状態に切り替え、第2熱源水通流弁53及び第3熱源水通流弁54を開弁状態に切り替えることで、往路24からの熱源水が第2熱源水接続路47にて熱交換部41の熱源水側第2流入出部41dに供給され、その熱源水が熱交換部41において熱源水側第2流入出部41dから熱源水側第1流入出部41cに通流し、熱源水が第3熱源水接続路48にて熱交換部41の熱源水側第1流入出部41cから復路25に戻されている。熱源水式空調装置2が冷房状態である場合には、熱交換部41における熱源水の通流方向が、熱源水側第2流入出部41dから熱源水側第1流入出部41cに向かう第1対向方向であり、この第1対向方向が、冷媒の第1通流方向とは対向する方向となっている。
【0041】
図2の熱源水循環回路23における太線にて示すように、運転制御部3が、第1切替弁50を第1連通状態に切り替え、第2切替弁51を第4連通状態に切り替え、第1熱源水通流弁52及び第4熱源水通流弁55を開弁状態に切り替えることで、往路24からの熱源水が第1熱源水接続路46にて熱交換部41の熱源水側第1流入出部41cに供給され、その熱源水が熱交換部41において熱源水側第1流入出部41cから熱源水側第2流入出部41dに通流し、熱源水が第4熱源水接続路49にて熱交換部41の熱源水側第2流入出部41dから復路25に戻されている。熱源水式空調装置2が暖房状態である場合には、熱交換部41における熱源水の通流方向が、熱源水側第1流入出部41cから熱源水側第2流入出部41dに向かう第2対向方向であり、この第2対向方向が、第1対向方向とは反対の方向であり、冷媒の第2通流方向とは対向する方向となっている。
【0042】
このように、熱交換部41における熱源水の通流方向については、第1~第4熱源水接続路46~49、第1切替弁50、第2切替弁51、第1~第4熱源水通流弁55によって、第1対向方向とその第1対向方向とは反対の第2対向方向とに切替自在に構成されている。熱源水の通流方向を切り替える熱源水通流方向切替部として、第1~第4熱源水接続路46~49、第1切替弁50、第2切替弁51、第1~第4熱源水通流弁55等が備えられている。
【0043】
熱交換部41における熱源水の通流方向を第1対向方向と第2対向方向とに切り替えるに当たり、第1~第4熱源水接続路46~49の4つの熱源水接続路を備えることで、各熱源水接続路における熱源水の流れ方向を一定の方向としている。これにより、第1~第4熱源水通流弁55として、流れ方向が定められている二方弁を用いた場合でも、漏水等の問題を生じることなく、熱交換部41における熱源水の通流方向を第1対向方向と第2対向方向とに切り替えることができる。
【0044】
運転制御部3は、圧縮式ヒートポンプ空調装置1を冷房状態又は暖房状態にて作動させるか否か等の作動状態、及び、熱源水式空調装置2を冷房状態又は暖房状態にて作動させるか否か等の作動状態を制御するのに加えて、熱交換部41における熱交換状態を制御している。
【0045】
これにより、運転制御部3は、冷房負荷や暖房負荷等の空調負荷の有無等に応じて、圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2とを各別に冷房状態又は暖房状態にて作動させるだけでなく、熱交換部41にて熱の授受を行う熱融通状態としながら、圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2との両者を作動させる第1熱供給空調運転及び第2熱供給空調運転を実行可能に構成されている。
【0046】
第1熱供給空調運転及び第2熱供給空調運転のどちらの熱供給空調運転でも、熱交換部41に対して冷媒及び熱源水を供給しているので、冷媒及び熱源水の通流状態については、
図1及び
図2に示すように、第1熱供給空調運転と第2熱供給空調運転とで同様のものとなる。ただし、冷房状態であるか暖房状態であるかによって、冷媒及び熱源水の通流状態が異なっている。
【0047】
そこで、
図1は、圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2の両者が冷房状態で第1熱供給空調運転又は第2熱供給空調運転を行っている場合を示している。
図2は、圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2の両者が暖房状態で第1熱供給空調運転又は第2熱供給空調運転を行っている場合を示している。
【0048】
〔実行タイミング〕
まず、第1熱供給空調運転及び第2熱供給空調運転をどのようなタイミングにて行うかについて説明する。
この空調システムでは、運転制御部3が、
図1及び
図2に示すように、第1熱供給空調運転又は第2熱供給空調運転を行って熱交換部41にて熱の授受を行う熱融通状態を基本状態としており、この熱融通状態を継続できない場合のみ、圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2とを各別に冷房状態又は暖房状態にて作動させている。
【0049】
熱融通状態を継続するための条件としては、下記の3つの条件が設定されている。
(1)圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2との両者が同じ空調状態(冷房状態又は暖房状態)であること。
(2)圧縮式ヒートポンプ空調装置1及び熱源水式空調装置2のうち、熱交換部41にて熱の供給を行う側の空調装置が、定格状態(例えば、負荷率が100%の状態)ではないこと。
(3)圧縮式ヒートポンプ空調装置1における冷媒温度が設定範囲内であること。
【0050】
(1)については、運転制御部3が、圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2との両者が、冷房状態での作動状態であるか、暖房状態での作動状態であるか、作動停止状態であるかの作動状態情報を把握しているので、運転制御部3が、その作動状態情報に基づいて、(1)の条件を満たすか否かを判定することができる。
【0051】
(2)については、運転制御部3が、圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2との両者において、負担している冷房負荷又は暖房負荷等の空調負荷の大きさを示す空調負荷率情報を把握しているので、運転制御部3が、その空調負荷率情報に基づいて、(2)の条件を満たすか否かを判定することができる。
【0052】
(3)については、図示は省略するが、冷媒回路17において熱交換部41の出口部位に冷媒温度を検出する温度センサが備えられているので、運転制御部3が、その温度センサの検出情報に基づいて、熱交換部41を通過した冷媒温度を把握して、(3)の条件を満たすか否かを判定することができる。
【0053】
このように、運転制御部3は、(1)~(3)の条件を満たしていれば、第1熱供給空調運転又は第2熱供給空調運転を行って熱交換部41にて熱の授受を行う熱融通状態を継続しており、(1)~(3)の条件が満たされなくなると、熱交換部41への熱源水の供給を停止して熱融通状態を停止している。熱交換部41への熱源水の供給停止については、運転制御部3が、第1切替弁50及び第2切替弁51を非連通状態に切り替え、第1~第4熱源水通流弁52~55を閉弁状態とすることで、熱交換部41への熱源水の供給を停止している。
【0054】
〔熱供給空調運転の選択〕
(1)~(3)の条件を満たしている場合に、運転制御部3は、各種の状況に応じて、第1熱供給空調運転と第2熱供給空調運転とのどちらの熱供給空調運転を行うかを選択している。熱融通を行うことで、熱の供給を受ける側は空調負荷が低減されるのに対して、熱の供給を行う側は空調負荷が増大することになり、圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2のどちらも負担する空調負荷が変化することになる。
【0055】
そこで、運転制御部3は、例えば、圧縮式ヒートポンプ空調装置1における負荷率と効率との関係、及び、熱源水式空調装置2における負荷率と効率との関係を比較して、空調システムにおけるシステム全体の効率が向上するように、第1熱供給空調運転と第2熱供給空調運転とのどちらの熱供給空調運転を行うかを選択することができる。
【0056】
圧縮式ヒートポンプ空調装置1及び熱源水式空調装置2は、定格状態(例えば、負荷率が100%の状態)よりも、部分負荷状態(例えば、負荷率が50%~50+所定量α%の状態)の方が高効率状態となる。そこで、運転制御部3は、圧縮式ヒートポンプ空調装置1及び熱源水式空調装置2の両者が部分負荷状態となってシステム全体の効率が向上するように、第1熱供給空調運転と第2熱供給空調運転とのどちらの熱供給空調運転を行うかを選択することができる。
【0057】
例えば、圧縮式ヒートポンプ空調装置1は、負荷率と効率との関係として、部分負荷状態において、空調負荷が高負荷状態よりも低負荷状態(例えば、負荷率が50%~50+所定量α%の状態)の方が高効率状態となる傾向があるので、運転制御部3は、この傾向を用いて、圧縮式ヒートポンプ空調装置1の空調負荷を低減させて高効率状態とすべく、熱源水式空調装置2から圧縮式ヒートポンプ空調装置1に対して熱融通を行う第1熱供給空調運転を優先的に選択することができる。このとき、熱源水式空調装置2は、賄える空調負荷の容量が大きなものが設置される場合が多く、熱融通によって熱源水式空調装置2の空調負荷が増えても、熱源水式空調装置2を部分負荷状態(例えば、高効率状態の低負荷状態)に維持させることができる。
【0058】
また、例えば、熱源水式空調装置2が定格状態や高負荷状態であり、圧縮式ヒートポンプ空調装置1が部分負荷状態である場合には、運転制御部3が、圧縮式ヒートポンプ空調装置1から熱源水式空調装置2に対して熱融通を行っても圧縮式ヒートポンプ空調装置1が部分負荷状態を維持できると判定すると、圧縮式ヒートポンプ空調装置1から熱源水式空調装置2に対して熱融通を行う第2熱供給空調運転を選択することができる。この場合、熱源水式空調装置2の空調負荷が低減されるので、熱源水式空調装置2が部分負荷状態となるのに対して、圧縮式ヒートポンプ空調装置1の空調負荷が増えるものの、圧縮式ヒートポンプ空調装置1も部分負荷状態を維持することができるので、システム全体の効率が向上することになる。
【0059】
このように、運転制御部3は、各種の状況に応じて、第1熱供給空調運転と第2熱供給空調運転とのどちらの熱供給空調運転を行うかを選択しており、このときの選択条件については、圧縮式ヒートポンプ空調装置1を高効率状態とする、圧縮式ヒートポンプ空調装置1及び熱源水式空調装置2の両者を部分負荷状態とする、システム全体の効率を向上させる等、各種の条件を設定することができる。
【0060】
〔第1熱供給空調運転の動作〕
第1熱供給空調運転では、
図1及び
図2に示すように、運転制御部3が、熱交換部41において熱源水式空調装置2の熱源水から圧縮式ヒートポンプ空調装置1の冷媒に熱供給を行いながら、室内空調装置22による空調対象空間の空調と室内機12による空調対象空間の空調とを行っている。
【0061】
この第1熱供給空調運転では、運転制御部3が、圧縮式ヒートポンプ空調装置1の室外機11、室内機12及び熱源水式空調装置2の熱源設備21を作動状態として、熱交換部41において熱源水式空調装置2の熱源水から圧縮式ヒートポンプ空調装置1の冷媒に熱供給を行いながら、室内空調装置22による空調対象空間の空調と室内機12による空調対象空間の空調とを行っている。
【0062】
図1に基づいて、圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2の両者が冷房状態で第1熱供給空調運転を行っている場合について説明する。
図1では、圧縮式ヒートポンプ空調装置1について、運転制御部3が、室外機11及び室内機12を作動状態とし、室外機11の室外ファンや室内機12の室内ファンを作動させて、冷媒回路17において圧縮機13や減圧器15等を作動させ且つ四方弁18を冷房用通流状態に切り替えている。これにより、
図1の冷媒回路17における太線にて示すように、圧縮機13、室外熱交換器14、減圧器15、熱交換部41、室内熱交換器16の順に冷媒を循環供給させ、熱交換部41に冷媒を供給させながら、室内熱交換器16を蒸発器として機能させて、室内機12にて空調対象空間を冷房している。
【0063】
このとき、冷媒の通流量について、基本的には、運転制御部3が、冷房負荷の大きさに基づいて、その冷房負荷を賄えるように、圧縮機13の回転速度等を制御しているが、第1熱供給空調運転では、運転制御部3が、熱交換部41を通過した冷媒温度が設定範囲内になるようにも、圧縮機13の回転速度等を制御している。
【0064】
熱源水式空調装置2については、運転制御部3が、熱源設備21を作動状態とし、第1切替弁50を第2連通状態に切り替え、第2切替弁51を第3連通状態に切り替え、第2熱源水通流弁53及び第3熱源水通流弁54を開弁状態に切り替えている。これにより、
図1の熱源水循環回路23における太線にて示すように、室内空調装置22と熱交換部41とに並列状態で冷熱を有する熱源水を循環供給させ、熱交換部41に冷熱を有する熱源水を供給させながら、室内空調装置22にて空調対象空間を冷房している。
【0065】
このとき、熱交換部41に供給する熱源水の流量や温度について、運転制御部3が、熱交換部41への熱源水の流量が最大となるように、又は、熱交換部41での出入口での温度差が最大となるように、バイパス路28におけるバイパス弁29の開度を制御している。例えば、室内空調装置22の冷房負荷の大きさに応じて、熱源設備21からの熱源水の供給量を変更させる変流量制御を行う場合には、運転制御部3が、熱交換部41への熱源水の流量が最大となるように、バイパス路28におけるバイパス弁29の開度を制御することができる。熱源設備21からの熱源水の供給量が一定の定流量制御を行う場合には、運転制御部3が、熱交換部41での出入口での温度差が最大となるように、バイパス路28におけるバイパス弁29の開度を制御することができる。
【0066】
圧縮式ヒートポンプ空調装置1及び熱源水式空調装置2の両者が冷房状態である場合には、
図1に示すように、熱交換部41において熱源水と冷媒とを熱交換させて、熱源水の冷熱を冷媒に与えながら、室内空調装置22による空調対象空間の冷房と室内機12による空調対象空間の冷房とを行っている。熱交換部41では、冷媒の通流方向が冷媒側第1流入出部41aから冷媒側第2流入出部41bに向かう第1通流方向であるのに対して、熱源水の通流方向が熱源水側第2流入出部41dから熱源水側第1流入出部41cに向かう第1対向方向であるので、冷媒と熱源水との間の温度差を大きくとることができ、熱交換部41での熱交換を効率よく行うことができる。
【0067】
図2に基づいて、圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2の両者が暖房状態で第1熱供給空調運転を行っている場合について説明する。
図2では、圧縮式ヒートポンプ空調装置1について、運転制御部3が、室外機11及び室内機12を作動状態とし、室外機11の室外ファンや室内機12の室内ファンを作動させて、冷媒回路17において圧縮機13や減圧器15等を作動させ且つ四方弁18を暖房用通流状態に切り替えている。これにより、
図2の冷媒回路17における太線にて示すように、圧縮機13、室内熱交換器16、熱交換部41、減圧器15、室外熱交換器14の順に冷媒を循環供給させ、熱交換部41に冷媒を供給させながら、室内熱交換器16を凝縮器として機能させて、室内機12にて空調対象空間を暖房している。冷媒の通流量の制御については、
図1と同様であり、運転制御部3が、熱交換部41を通過した冷媒温度が設定範囲内になるように、圧縮機13の回転速度等を制御している。
【0068】
熱源水式空調装置2については、運転制御部3が、熱源設備21を作動状態とし、第1切替弁50を第1連通状態に切り替え、第2切替弁51を第4連通状態に切り替え、第1熱源水通流弁52及び第4熱源水通流弁55を開弁状態に切り替えている。これにより、
図2の熱源水循環回路23における太線にて示すように、室内空調装置22と熱交換部41とに並列状態で温熱を有する熱源水を循環供給させ、熱交換部41に温熱を有する熱源水を供給させながら、室内空調装置22にて空調対象空間を暖房している。熱交換部41に供給する熱源水の流量や温度の制御については、
図1と同様である。
【0069】
圧縮式ヒートポンプ空調装置1及び熱源水式空調装置2の両者が暖房状態である場合には、
図2に示すように、熱交換部41において熱源水と冷媒とを熱交換させて、熱源水の温熱を冷媒に与えながら、室内空調装置22による空調対象空間の暖房と室内機12による空調対象空間の暖房とを行っている。熱交換部41では、冷媒の通流方向が冷媒側第2流入出部41bから冷媒側第1流入出部41aに向かう第2通流方向であるのに対して、熱源水の通流方向が熱源水側第1流入出部41cから熱源水側第2流入出部41dに向かう第2対向方向であるので、冷媒と熱源水との間の温度差を大きくとることができ、熱交換部41での熱交換を効率よく行うことができる。
【0070】
第1熱供給空調運転として、
図1及び
図2では、運転制御部3が、圧縮式ヒートポンプ空調装置1の室外機11、室内機12及び熱源水式空調装置2の熱源設備21を作動状態としているが、
図3及び
図4に示すように、運転制御部3が、圧縮式ヒートポンプ空調装置1の室外機11を作動停止状態とし、室内機12及び熱源水式空調装置2の熱源設備21を作動状態とすることもできる。
【0071】
ここで、第1熱供給空調運転として、
図1及び
図2に示すように室外機11を作動状態とする運転を行うか、
図3及び
図4に示すように、室外機11を作動停止状態とする運転を行うかは、例えば、室内機12の空調負荷の大きさ等、各種の運転選択条件に基づいて、選択することができる。
【0072】
図3及び
図4に示すように、冷媒回路17には、室外機11をバイパスさせて冷媒を通流させる冷媒バイパス路60が備えられている。冷媒バイパス路60は、その一端部が室内機12と室外機11とを繋ぐ流路部位に接続され、その他端部が室外機側接続路43の途中部位に接続されている。
【0073】
冷媒バイパス路60には、冷媒の通流を断続させる第1冷媒通流弁61が備えられており、室外機側接続路43には、室外機11への冷媒の通流を断続させる第2冷媒通流弁62が備えられている。これにより、
図3及び
図4に示すように、運転制御部3が、第1冷媒通流弁61を開弁状態とし、第2冷媒通流弁62を閉弁状態とすることで、冷媒回路17において、室外機11に冷媒を通流させることなく、室外機11をバイパスさせて冷媒を循環させることができる。
【0074】
図3に基づいて、圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2の両者が冷房状態で第1熱供給空調運転を行っている場合について説明する。
図3では、圧縮式ヒートポンプ空調装置1について、運転制御部3が、室外機11を作動停止状態とし、室内機12を作動状態とし、第1冷媒通流弁61を開弁状態に切り替えている。これにより、
図3の冷媒回路17における太線にて示すように、冷媒が熱交換部41にて冷熱の供給を受け、その冷熱を有する冷媒が室内熱交換器16に供給されて、室内機12にて空調対象空間を冷房している。ちなみに、図示は省略するが、室外機11が作動停止状態であるので、室内機12等に冷媒回路17において冷媒を循環させるための駆動力を付与する循環駆動力付与部を備えることができる。
【0075】
熱源水式空調装置2については、運転制御部3が、熱源設備21を作動状態とし、第1切替弁50を第2連通状態に切り替え、第2切替弁51を第3連通状態に切り替え、第2熱源水通流弁53及び第3熱源水通流弁54を開弁状態に切り替えている。これにより、
図3の熱源水循環回路23における太線にて示すように、室内空調装置22と熱交換部41とに並列状態で冷熱を有する熱源水を循環供給させ、熱交換部41に冷熱を有する熱源水を供給させながら、室内空調装置22にて空調対象空間を冷房している。
【0076】
このように、圧縮式ヒートポンプ空調装置1及び熱源水式空調装置2の両者が冷房状態である場合には、
図3に示すように、熱交換部41において熱源水と冷媒とを熱交換させて、熱源水の冷熱を冷媒に与えながら、室内空調装置22による空調対象空間の冷房と室内機12による空調対象空間の冷房とを行っている。熱交換部41における冷媒と熱源水の通流方向については、
図1と同様であり、冷媒と熱源水との間の温度差を大きくとり、熱交換部41での熱交換を効率よく行っている。
【0077】
図4に基づいて、圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2の両者が暖房状態で第1熱供給空調運転を行っている場合について説明する。
図4では、圧縮式ヒートポンプ空調装置1について、運転制御部3が、室外機11を作動停止状態とし、室内機12を作動状態とし、第1冷媒通流弁61を開弁状態に切り替えている。これにより、
図4の冷媒回路17における太線にて示すように、冷媒が熱交換部41にて温熱の供給を受け、温熱を有する冷媒が室内熱交換器16に供給されて、室内機12にて空調対象空間を暖房している。
【0078】
熱源水式空調装置2については、運転制御部3が、熱源設備21を作動状態とし、第1切替弁50を第1連通状態に切り替え、第2切替弁51を第4連通状態に切り替え、第1熱源水通流弁52及び第4熱源水通流弁55を開弁状態に切り替えている。これにより、
図4の熱源水循環回路23における太線にて示すように、室内空調装置22と熱交換部41とに並列状態で温熱を有する熱源水を循環供給させ、熱交換部41に温熱を有する熱源水を供給させながら、室内空調装置22にて空調対象空間を暖房している。
【0079】
このように、圧縮式ヒートポンプ空調装置1及び熱源水式空調装置2の両者が暖房状態である場合には、
図4に示すように、熱交換部41において熱源水と冷媒とを熱交換させて、熱源水の温熱を冷媒に与えながら、室内空調装置22による空調対象空間の暖房と室内機12による空調対象空間の暖房とを行っている。熱交換部41における冷媒と熱源水の通流方向については、
図2と同様であり、冷媒と熱源水との間の温度差を大きくとり、熱交換部41での熱交換を効率よく行っている。
【0080】
〔第2熱供給空調運転の動作〕
第2熱供給空調運転では、冷媒及び熱源水の通流状態について、第1熱供給空調運転と同様であるので、
図1及び
図2を用いて、同様の動作については省略しながら説明する。
第2熱供給空調運転では、
図1及び
図2に示すように、運転制御部3が、熱交換部41において圧縮式ヒートポンプ空調装置1の冷媒から熱源水式空調装置2の熱源水に熱供給を行いながら、室内空調装置22による空調対象空間の空調と室内機12による空調対象空間の空調とを行っている。
【0081】
図1に基づいて、圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2の両者が冷房状態で第2熱供給空調運転を行っている場合について説明する。
図1では、第1熱供給空調運転と同様に、圧縮式ヒートポンプ空調装置1について、運転制御部3が、室外機11及び室内機12を作動状態とし、冷媒回路17において四方弁18を冷房用通流状態に切り替えている。また、熱源水式空調装置2については、運転制御部3が、熱源設備21を作動状態とし、第1切替弁50を第2連通状態に切り替え、第2切替弁51を第3連通状態に切り替え、第2熱源水通流弁53及び第3熱源水通流弁54を開弁状態に切り替えている。冷媒の通流量の制御、及び、熱交換部41に供給する熱源水の流量や温度の制御については、第1熱供給空調運転と同様である。
【0082】
このように、圧縮式ヒートポンプ空調装置1及び熱源水式空調装置2の両者が冷房状態である場合には、
図1に示すように、熱交換部41において熱源水と冷媒とを熱交換させて、冷媒の冷熱を熱源水に与えながら、室内空調装置22による空調対象空間の冷房と室内機12による空調対象空間の冷房とを行っている。熱交換部41における冷媒と熱源水の通流方向については、第1熱供給空調運転と同様であり、冷媒と熱源水との間の温度差を大きくとり、熱交換部41での熱交換を効率よく行っている。
【0083】
図2に基づいて、圧縮式ヒートポンプ空調装置1と熱源水式空調装置2の両者が暖房状態で第2熱供給空調運転を行っている場合について説明する。
図2では、第1熱供給空調運転と同様に、圧縮式ヒートポンプ空調装置1について、運転制御部3が、室外機11及び室内機12を作動状態とし、冷媒回路17において四方弁18を暖房用通流状態に切り替えている。また、熱源水式空調装置2については、運転制御部3が、熱源設備21を作動状態とし、第1切替弁50を第1連通状態に切り替え、第2切替弁51を第4連通状態に切り替え、第1熱源水通流弁52及び第4熱源水通流弁55を開弁状態に切り替えている。冷媒の通流量の制御、及び、熱交換部41に供給する熱源水の流量や温度の制御については、第1熱供給空調運転と同様である。
【0084】
このように、圧縮式ヒートポンプ空調装置1及び熱源水式空調装置2の両者が暖房状態である場合には、
図2に示すように、熱交換部41において熱源水と冷媒とを熱交換させて、冷媒の温熱を熱源水に与えながら、室内空調装置22による空調対象空間の暖房と室内機12による空調対象空間の暖房とを行っている。熱交換部41における冷媒と熱源水の通流方向については、第1熱供給空調運転と同様であり、冷媒と熱源水との間の温度差を大きくとり、熱交換部41での熱交換を効率よく行っている。
【0085】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、夫々単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0086】
(1)上記実施形態では、
図1に示すように、熱源水循環回路23が、熱源設備21からの熱源水を室内空調装置22と熱交換部41とに並列状態で循環供給する場合を示しているが、
図5に示すように、熱源水循環回路23が、熱源設備21からの熱源水を熱交換部41、室内空調装置22の順に直列状態で循環供給しているものでもよい。ちなみに、
図5では、
図1において、室外機11や室内機12の内部構成を省略しており、熱源水式空調装置2の熱源設備21及び室内空調装置22の数についても1つずつとしている。
【0087】
図5に示すように、熱源水循環回路23の往路24には、その往路24の熱源水を熱交換部41に供給する熱交換用往路70と、熱交換部41を通過した熱源水を往路24に戻す熱交換用復路71とが接続されている。熱交換用復路71には、熱交換部41への熱源水の供給を断続する第5熱源水通流弁72が備えられている。往路24では、その上流側から、熱交換用往路70との接続箇所、熱交換用復路71との接続箇所の順に備えられており、熱交換用往路70との接続箇所と熱交換用復路71との接続箇所との間の部位が、熱交換部41をバイパスさせる熱交換用バイパス部位73として備えられている。その熱交換用バイパス部位73には、熱源水の通流を断続させる熱交換用バイパス弁74が備えられている。
【0088】
これにより、運転制御部3が、
図5の熱源水循環回路23における太線にて示すように、第5熱源水通流弁72を開弁状態に切り替え、熱交換用バイパス弁74を閉弁状態に切り替えることで、熱源設備21からの熱源水を熱交換部41、室内空調装置22の順に直列状態で循環供給している。
【0089】
(2)上記実施形態では、
図1に示すように、運転制御部3として1つの制御部にて構成している場合を示しているが、例えば、圧縮式ヒートポンプ空調装置1を制御する制御部と熱源水式空調装置2を制御する制御部とを組み合わせる等、複数の制御部から構成することもでき、運転制御部3をどのような制御部にて構成するかは適宜変更が可能である。
【0090】
(3)上記実施形態では、第1熱供給空調運転又は第2熱供給空調運転を行って熱交換部41にて熱の授受を行う熱融通状態を継続するための条件として、(1)~(3)の条件を例示したが、これら(1)~(3)の条件に限るものではなく、他の条件を適用することもできる。
【符号の説明】
【0091】
1 圧縮式ヒートポンプ空調装置
2 熱源水式空調装置
3 運転制御部
11 室外機
12 室内機
18 四方弁(冷媒通流方向切替部)
21 熱源設備
22 室内空調装置
23 熱源水循環回路(熱源水供給部)
41 熱交換部
46 第1熱源水接続路(熱源水通流方向切替部)
47 第2熱源水接続路(熱源水通流方向切替部)
48 第3熱源水接続路(熱源水通流方向切替部)
49 第4熱源水接続路(熱源水通流方向切替部)
50 第1切替弁(熱源水通流方向切替部)
51 第2切替弁(熱源水通流方向切替部)
52 第1熱源水通流弁(熱源水通流方向切替部)
53 第2熱源水通流弁(熱源水通流方向切替部)
54 第3熱源水通流弁(熱源水通流方向切替部)
55 第4熱源水通流弁(熱源水通流方向切替部)