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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184144
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】テープ部材及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/10 20180101AFI20231221BHJP
   G06F 1/16 20060101ALI20231221BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231221BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20231221BHJP
【FI】
C09J7/10
G06F1/16 312E
G06F1/16 312F
G09F9/00 342
C09J7/38
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098119
(22)【出願日】2022-06-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細矢 暁史
(72)【発明者】
【氏名】山内 武仁
(72)【発明者】
【氏名】石川 圭太
(72)【発明者】
【氏名】中西 爽
【テーマコード(参考)】
4J004
5G435
【Fターム(参考)】
4J004AB01
4J004BA06
4J004BA08
4J004EA05
4J004EA06
4J004FA08
5G435AA17
5G435BB05
5G435BB12
5G435CC09
5G435EE13
5G435KK05
5G435LL08
(57)【要約】
【課題】両面粘着テープから持ち手部材が外れることを抑制できるテープ部材及び該テープ部材でディスプレイパネルを固定した電子機器を提供する。
【解決手段】テープ部材は、端部を引っ張ることで引張剥離可能な特性を有する両面粘着テープと、両面粘着テープの端部に取り付けられ、両面粘着テープを引張剥離する際に把持する持ち手部材と、を備える。持ち手部材は、両面粘着テープの第1粘着面に固定された第1粘着シートと、両面粘着テープの第2粘着面に固定された第2粘着シートと、を有する。両面粘着テープの端部には、引張剥離時の引張り方向に対して交差する方向に延びたストッパ縁部が設けられている。持ち手部材は、引張り方向に対して前記ストッパ縁部の後側で前記第1粘着シートと前記第2粘着シートとが互いに貼り合わされ、引張剥離時に前記ストッパ縁部に引っ掛かる引掛かり部を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ部材であって、
端部を引っ張ることで引張剥離可能な特性を有する両面粘着テープと、
前記両面粘着テープの前記端部に取り付けられ、前記両面粘着テープを引張剥離する際に把持する持ち手部材と、
を備え、
前記持ち手部材は、
前記両面粘着テープの第1粘着面に固定された第1粘着シートと、
前記両面粘着テープの第2粘着面に固定された第2粘着シートと、
を有し、
前記両面粘着テープの前記端部には、前記引張剥離時の引張り方向に対して交差する方向に延びたストッパ縁部が設けられ、
前記持ち手部材は、前記引張り方向に対して前記ストッパ縁部の後側で前記第1粘着シートと前記第2粘着シートとが互いに貼り合わされ、前記引張剥離時に前記ストッパ縁部に引っ掛かる引掛かり部を有する
ことを特徴とするテープ部材。
【請求項2】
請求項1に記載のテープ部材であって、
前記ストッパ縁部は、前記引張り方向に対して直交する直交方向、又は前記直交方向よりも前記引張り方向とは逆方向に向かって傾斜した傾斜方向に沿って延びている
ことを特徴とするテープ部材。
【請求項3】
請求項1に記載のテープ部材であって、
前記両面粘着テープは、厚み方向に貫通する貫通孔が形成され、
前記ストッパ縁部は、前記貫通孔の内周縁部である
ことを特徴とするテープ部材。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のテープ部材であって、
前記ストッパ縁部は、前記両面粘着テープの幅方向の中心を挟んで左右にそれぞれ設けられ、
前記引掛かり部は、前記引張り方向に対して前記左右のストッパ縁部の後側にそれぞれ設けられる
ことを特徴とするテープ部材。
【請求項5】
請求項4に記載のテープ部材であって、
前記左右のストッパ縁部は、左右対称形状である
ことを特徴とするテープ部材。
【請求項6】
電子機器であって、
内面を有する筐体部材と、
表示面を有し、前記表示面とは反対側の裏面が前記筐体部材の内面で支持されたディスプレイパネルと、
端部を引っ張ることで引張剥離可能な特性を有する両面粘着テープと、前記両面粘着テープの前記端部に取り付けられ、前記両面粘着テープを引張剥離する際に把持する持ち手部材とを有し、前記ディスプレイパネルの裏面を前記筐体部材の内面に固定するテープ部材と、
を備え、
前記持ち手部材は、
前記両面粘着テープの第1粘着面に固定された第1粘着シートと、
前記両面粘着テープの第2粘着面に固定された第2粘着シートと、
を有し、
前記両面粘着テープの前記端部には、前記引張剥離時の引張り方向に対して交差する方向に延びたストッパ縁部が設けられ、
前記持ち手部材は、前記引張り方向に対して前記ストッパ縁部の後側で前記第1粘着シートと前記第2粘着シートとが互いに貼り合わされ、前記引張剥離時に前記ストッパ縁部に引っ掛かる引掛かり部を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器であって、
前記両面粘着テープの前記端部及び前記持ち手部材の前記引掛かり部は、前記ディスプレイパネルの裏面と前記筐体部材の内面との間に挟まれた位置に配置され、
前記持ち手部材は、一部が前記ディスプレイパネルの側方に張り出している
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ部材及び該テープ部材でディスプレイパネルを固定した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCのような電子機器は、液晶ディスプレイ等のディスプレイパネルを備える。ディスプレイパネルは、メンテナンス時に取り外しできることが望ましい。そこで、特許文献1には、引張剥離可能な両面粘着テープを用いてディスプレイパネルを固定した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-079985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば上記のようにディスプレイパネルを両面粘着テープで固定した構成では、引張剥離時に把持するための持ち手をディスプレイパネルの側方に張り出させておく必要がある。ところが、筐体構造等によっては、両面粘着テープによるディスプレイパネルの固定位置の近くに持ち手を配置できない場合もある。
【0005】
このような場合、両面粘着テープの端部に引き手部材となるシートを取り付け、このシートをディスプレイパネルの側方まで延長することが行われることがある。ところが、両面粘着テープに持ち手部材を取り付けた構成では、例えば両面粘着テープの引張距離が長い場合等に、両面粘着テープから持ち手部材が外れる場合があることが分かってきた。持ち手部材が両面粘着テープから剥離途中で外れると、ディスプレイパネルの裏側に両面粘着テープが残留し、ディスプレイパネルの取り外しが困難になる懸念がある。
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、両面粘着テープから持ち手部材が外れることを抑制できるテープ部材及び該テープ部材でディスプレイパネルを固定した電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係るテープ部材は、端部を引っ張ることで引張剥離可能な特性を有する両面粘着テープと、前記両面粘着テープの前記端部に取り付けられ、前記両面粘着テープを引張剥離する際に把持する持ち手部材と、を備え、前記持ち手部材は、前記両面粘着テープの第1粘着面に固定された第1粘着シートと、前記両面粘着テープの第2粘着面に固定された第2粘着シートと、を有し、前記両面粘着テープの前記端部には、前記引張剥離時の引張り方向に対して交差する方向に延びたストッパ縁部が設けられ、前記持ち手部材は、前記引張り方向に対して前記ストッパ縁部の後側で前記第1粘着シートと前記第2粘着シートとが互いに貼り合わされ、前記引張剥離時に前記ストッパ縁部に引っ掛かる引掛かり部を有する。
【0008】
本発明の第1態様に係る電子機器は、内面を有する筐体部材と、表示面を有し、前記表示面とは反対側の裏面が前記筐体部材の内面で支持されたディスプレイパネルと、端部を引っ張ることで引張剥離可能な特性を有する両面粘着テープと、前記両面粘着テープの前記端部に取り付けられ、前記両面粘着テープを引張剥離する際に把持する持ち手部材とを有し、前記ディスプレイパネルの裏面を前記筐体部材の内面に固定するテープ部材と、を備え、前記持ち手部材は、前記両面粘着テープの第1粘着面に固定された第1粘着シートと、前記両面粘着テープの第2粘着面に固定された第2粘着シートと、を有し、前記両面粘着テープの前記端部には、前記引張剥離時の引張り方向に対して交差する方向に延びたストッパ縁部が設けられ、前記持ち手部材は、前記引張り方向に対して前記ストッパ縁部の後側で前記第1粘着シートと前記第2粘着シートとが互いに貼り合わされ、前記引張剥離時に前記ストッパ縁部に引っ掛かる引掛かり部を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、両面粘着テープから持ち手部材が外れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
図2図2は、第1筐体の模式的な正面図である。
図3図3は、テープ部材を用いてディスプレイパネルをカバー部材に固定した構成を模式的に示す側面断面図である。
図4図4は、両面粘着テープと持ち手部材との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な分解斜視図である。
図5図5は、両面粘着テープと持ち手部材との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な平面図である。
図6A図6Aは、図5中のVIA-VIA線に沿う模式的な断面図である。
図6B図6Bは、図6Aに示す持ち手部材を引っ張って両面粘着テープを引張剥離する動作を示す模式的な断面図である。
図7図7は、第1変形例のストッパ縁部を有する両面粘着テープと持ち手部材との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な分解斜視図である。
図8図8は、第2変形例のストッパ縁部を有する両面粘着テープと持ち手部材との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な分解斜視図である。
図9図9は、第3変形例のストッパ縁部を有する両面粘着テープと持ち手部材との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な分解斜視図である。
図10図10は、第4変形例のストッパ縁部を有する両面粘着テープと持ち手部材との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な分解斜視図である。
図11図11は、第5変形例のストッパ縁部を有する両面粘着テープと持ち手部材との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な分解斜視図である。
図12図12は、第6変形例のストッパ縁部を有する両面粘着テープと持ち手部材との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な分解斜視図である。
図13図13は、第7変形例のストッパ縁部を有する両面粘着テープと持ち手部材との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な分解斜視図である。
図14図14は、第8変形例のストッパ縁部を有する両面粘着テープと持ち手部材との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るテープ部材及び電子機器について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。図1に示すように、本実施形態の電子機器10は、クラムシェル型のノート型PCであり、第1筐体11と第2筐体12とをヒンジ14によって相対的に回動可能に連結した構成である。本実施形態では、ノート型PCの電子機器10を例示しているが、電子機器はノート型PC以外、例えば単体のディスプレイ装置、タブレット型PC、スマートフォン、又は携帯用ゲーム機等でもよい。
【0013】
第2筐体12は、扁平な箱体であり、第1筐体11と隣接している。第2筐体12の内部には、CPU等を搭載したマザーボード、バッテリ装置、メモリ、アンテナ装置等の各種電子部品が収容されている。第2筐体12の上面には、キーボード16及びタッチパッド17が臨んでいる。
【0014】
第1筐体11は、第2筐体12よりも薄い扁平な箱体である。第1筐体11は、ディスプレイパネル18を搭載している。以下、第1筐体11について、ディスプレイパネル18の表示面18aを視認するユーザから見た方向を基準とし、左右方向をそれぞれX1,X2方向、上下方向をそれぞれY1,Y2方向、奥行方向をそれぞれZ1,Z2方向と呼んで説明する。X1,X2方向をまとめてX方向と呼ぶこともあり、Y1,Y2方向及びZ1,Z2方向についても同様に呼ぶことがある。
【0015】
ディスプレイパネル18の表示面18aは、第1筐体11のZ1側表面(正面1a)を臨んでいる。第1筐体11は、Z2側表面(背面11b)を形成するカバー部材20と、正面11aの周縁部を形成するベゼル部材22と、を有する。第1筐体11の上下左右の側面は、カバー部材20の四周縁部から起立した立壁23によって形成されている。ベゼル部材22は、ディスプレイパネル18の外周縁部を囲む枠状の薄いプレート材である。第1筐体11の正面11aは、ベゼル部材22も含めた略全面がタッチガラス24で覆われている。ヒンジ14は、第1筐体11のY2側縁部(下縁部11c)に連結されている。
【0016】
ディスプレイパネル18は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成される。ディスプレイパネル18は、例えばガラス、液晶層、及び導光板等を積層してそれぞれの層の外周縁部同士を両面テープや接着剤等で固定した構造である。タッチガラス24は、表示面18aを覆うことで、ディスプレイパネル18に対するタッチ操作を受け付けるタッチパネルを構成する。
【0017】
次に、第1筐体11のより詳細な構成を説明する。
【0018】
図2は、第1筐体11の模式的な正面図である。図2は、タッチガラス24及びベゼル部材22の図示を省略し、ディスプレイパネル18は外形のみを2点鎖線で図示している。つまり図2は、カバー部材20の内面20a(背面11bの裏面)と、この内面20aに粘着されたテープ部材26とを図示したものである。
【0019】
図2に示すように、カバー部材20は、下縁部11cの一部の立壁24aを切り欠いた左右一対のヒンジ取付部20bを有する。ヒンジ取付部20bは、ヒンジ14が配置される。ヒンジ取付部20bは、ディスプレイパネル18と第2筐体12内のマザーボード等とを接続する配線の通り道にもなる。
【0020】
カバー部材20の内面20aには、例えば左右一対のテープ部材26A,26Bが設けられている。テープ部材26A,26Bは、カバー部材20に対してディスプレイパネル18を固定するための粘着テープである。両面粘着テープの設置枚数は1枚又は3枚以上でもよい。本実施形態のテープ部材26A,26Bは、形状や配置は異なるが、それぞれの果たす機能と効果は同一又は同様である。そこで、以下ではテープ部材26A,26Bについて、両者を区別することなくテープ部材26と呼んでまとめて説明する。
【0021】
カバー部材20に対するディスプレイパネル18の取付構造を説明する。
【0022】
図3は、テープ部材26を用いてディスプレイパネル18をカバー部材20に固定した構成を模式的に示す側面断面図である。図2及び図3に示すように、テープ部材26は、両面粘着テープ28と、持ち手部材30とを有する。
【0023】
両面粘着テープ28は、ディスプレイパネル18の表示面18aとは逆側の裏面18bと、カバー部材20の内面20aとを粘着固定する。両面粘着テープ28は、端部28aを引っ張ることで引張剥離可能な特性を有し、例えばストレッチリリーステープ、ストレッチ両面テープ、或いはララテープと呼ばれる部品である。
【0024】
図2に示すように、本実施形態の第1筐体11は、ディスプレイパネル18のY1側端部に近い位置を両面粘着テープ28で内面20aに固定する構成である。ここで、第1筐体11は、正面11aがタッチガラス24で覆われ、背面11bがカバー部材20で覆われている。このため、第1筐体11では、両面粘着テープ28を引張剥離する際の持ち手の設置スペースがヒンジ取付部20bを設けた下縁部11cに限られている。そこで、両面粘着テープ28は、ディスプレイパネル18のY1側端部に近い位置からヒンジ取付部20bまで延在させることも考えられる。
【0025】
ところが、両面粘着テープ28は、部品コストが高いため、使用量を最小限に抑えたい。また、両面粘着テープ28は、大判の素材シートから切り出して所定の形状に成形するが、例えば図2に示すテープ部材26のような長いL字形状では素材シートからの取り数が減少するため、部品コストが一層上昇する。さらに、両面粘着テープ28は、ある程度の厚みがあるため、ディスプレイパネル18の裏面18bとカバー部材20の内面20aとの間を長距離に亘って延在させることが難しい場合もある。
【0026】
そこで、本実施形態のテープ部材26は、両面粘着テープ28の端部28aに持ち手部材30を取り付け、この持ち手部材30を引っ張ることで両面粘着テープ28を引張剥離する構成を採用している。持ち手部材30は、両面粘着テープ28よりも薄いシート状部材である。持ち手部材30の第1端部30aは、裏面18bと内面20aとの間で端部28aと粘着固定される。持ち手部材30の第2端部30bは、ディスプレイパネル18の側面18cの側方に張り出した位置まで延在している。この第2端部30bが、両面粘着テープ28を引張剥離する際、実際に工具や人手で把持する部分となる。
【0027】
従って、本実施形態の電子機器10は、ディスプレイパネル18をカバー部材20から取り外す際は、例えばヒンジ14を取り外して第1筐体11を第2筐体12から取り外す。この際、ディスプレイパネル18とマザーボード等との間の配線も取り外す。続いて、ヒンジ取付部20bに露出している持ち手部材30の第2端部30bを把持し、これをY2方向に引っ張ることで両面粘着テープ28を引張剥離することができる。その結果、ディスプレイパネル18がカバー部材20から円滑に取り外される。
【0028】
次に、テープ部材26の具体的な構成例を説明する。
【0029】
図4は、両面粘着テープ28と持ち手部材30との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な分解斜視図である。図5は、両面粘着テープ28と持ち手部材30との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な平面図であり、持ち手部材30の第1粘着シート34の図示を省略している。図6Aは、図5中のVIA-VIA線に沿う模式的な断面図である。図6Bは、図6Aに示す持ち手部材30を引っ張って両面粘着テープ28を引張剥離する動作を示す模式的な断面図である。
【0030】
図4図6Aに示すように、両面粘着テープ28の端部28aには、一対のストッパ縁部32が形成されている。各ストッパ縁部32は、両面粘着テープ28の側面を中心方向に切り欠いた切欠部33の内周面の一部である。各ストッパ縁部32は、両面粘着テープ28を引張剥離する際の引張り方向D1に対して、端部28aの端面28a1とは逆側を向いている。各ストッパ縁部32と端面28a1との間には、両面粘着テープ28を残留させた残留部28bが形成されている。
【0031】
各ストッパ縁部32は、両面粘着テープ28の幅方向の中心を挟んで左右にそれぞれ設けられ、互いに左右対称形状とされている。各ストッパ縁部32は、引張り方向D1に対して交差する方向に延びた縁部である。具体的には、各ストッパ縁部32はそれぞれ、引張り方向D1とは逆方向に向かって、次第に両面粘着テープ28の幅方向中心から幅方向外側へと傾斜した傾斜方向D2に沿って延びている。従って、両面粘着テープ28の幅方向中心を基準とした見た場合、傾斜方向D2は、引張り方向D1と直交する直交方向D3よりも引張り方向D1とは逆方向に傾斜した方向となる。これにより両面粘着テープ28の端部28aは、平面視で略錨形状を成している。この場合、端部28aは、両面粘着テープ28の端面28a1から引張り方向D1に向かって所定範囲、例えば10mm程度の範囲を示す。端面28aは、10mm以下でもよいし、10mm以上でもよい。ストッパ縁部32は、左右一方のみ設けられ、他方は省略されてもよく、後述する変形例に係るストッパ縁部40,42,48,54,56,58も同様でよい。なお、例えば両面粘着テープ28の幅寸法が8mmの場合、ストッパ縁部32の直交方向D3に沿う方向の幅は2mm程度とされ、ストッパ縁部32の引張り方向D1に沿う方向の長さは2mm程度とされることができる。
【0032】
図4図6Aに示すように、持ち手部材30は、第1粘着シート34と、第2粘着シート35とを有する。
【0033】
粘着シート34,35は、それぞれ片面粘着テープである。粘着シート34,35は、第1端部30aが両面粘着テープ28の端部28aと引張り方向D1に対してオーバーラップするように配置され、端部28aを上下から挟むように設けられる。第1粘着シート34は、粘着面34aが両面粘着テープ28の第1粘着面28cに粘着固定され、これにより端部28aの第1粘着面28cを覆う。第2粘着シート35は、粘着面35aが両面粘着テープ28の第2粘着面28dに粘着され、これにより端部28aの第2粘着面28dを覆う。粘着シート34,35は、粘着面28c,28dに粘着されない部分では、互いの粘着面34a,35a同士が貼り合わされる。
【0034】
粘着シート34,35は、両面粘着テープ28のストッパ縁部32及びその周辺部も覆っている。ここで、両面粘着テープ28は、引張り方向D1に対してストッパ縁部32の後方に切欠部33を有する。粘着シート34,35は、互いの粘着面34a,35a同士が切欠部33を通して貼り合わされた引掛かり部36を有する。引掛かり部36は、引張り方向D1に対して各ストッパ縁部32の後側にそれぞれ配置されている。
【0035】
次に、持ち手部材30を介して両面粘着テープ28を引張剥離する動作及びテープ部材26の作用効果を説明する。
【0036】
図6A及び図6Bに示すように、両面粘着テープ28を引張剥離する際は、持ち手部材30の第2端部30bを工具や人手で把持して引張り方向D1へと引っ張る。そうすると、両面粘着テープ28は、持ち手部材30によって引張り方向D1へと引張される。これにより両面粘着テープ28は、引張り方向D1で先頭側の端部28a側から次第に先細りするように薄肉化し(図6B参照)、粘着面28c,28dがディスプレイパネル18の裏面18b及びカバー部材20の内面20aから剥離される。テープ部材26は、さらに持ち手部材30を引っ張り続けることで、裏面18b及び内面20aから剥離された両面粘着テープ28をディスプレイパネル18の側方へと引き抜くことができる。
【0037】
ところで、上記したように、本実施形態の第1筐体11は、両面粘着テープ28がディスプレイパネル18の側面18cから大きく離れた位置にあるため(図2参照)、持ち手部材30が長く、持ち手部材30による両面粘着テープ28の引き抜き距離も長い。このような構成では、上記した従来技術のように、単に持ち手部材30が粘着力のみで両面粘着テープ28に取り付けられている場合は、引き抜き動作中に相互間の固定が外れる可能性がある。そうすると、両面粘着テープ28がディスプレイパネル18の裏面18b側に残留し、ディスプレイパネル18の取り外しが困難となる。他方、単に持ち手部材30が粘着力のみで両面粘着テープ28に取り付けられた構成でも、持ち手部材30と両面粘着テープ28とのオーバーラップ距離を相当に大きく確保すれば、持ち手部材30の脱落は抑制できる。ところが、この場合は、両面粘着テープ28の実際の粘着面28c,28d、つまりディスプレイパネル18をカバー部材20に粘着する面積が減少し、ディスプレイパネル18の粘着強度が低下することになる。
【0038】
この点、本実施形態のテープ部材26は、両面粘着テープ28の端部28aにストッパ縁部32を設けると共に、持ち手部材30の粘着シート34,35同士が貼り合わされた引掛かり部36が引張り方向D1でストッパ縁部32の後側にある。このため、当該電子機器10は、図6Bに示すように、例えば粘着シート34,35の第1端部30a側の粘着面34a,35aが両面粘着テープ28の粘着面28c,28dから剥がれてしまった場合でも、引掛かり部36がストッパ縁部32に引っ掛かって抜け止めされる。つまりストッパ縁部32は、引掛かり部36を物理的に係止するものであり、カエシ形状部或いはアンダーカット形状部と言い換えてもよい。
【0039】
その結果、当該電子機器10は、両面粘着テープ28がディスプレイパネル18の裏面18b側に残留し、ディスプレイパネル18の取り外しが困難になるような事態の発生を抑制できる。
【0040】
ここで、単に持ち手部材30を粘着力のみで両面粘着テープ28に取り付けた比較例と、ストッパ縁部32及び引掛かり部36を有する実施例とで、持ち手部材30が脱落するまでの両面粘着テープ28の引張距離を比較した実験結果を説明する。実験は、両面粘着テープ28を裏面18bと内面20aとに粘着した状態で、持ち手部材30を把持して引っ張った際に持ち手部材30が両面粘着テープ28から脱落するまでの引張り距離を測定した。実験の結果、比較例では20cm程度で持ち手部材30が脱落したのに対し、実施例では55cm程度で持ち手部材30が脱落した。従って、本実施形態のテープ部材26での持ち手部材30の脱落抑制効果が実験でも証明された。
【0041】
しかも上記したように、両面粘着テープ28は、引張剥離時に端部28a側から次第に先細りするように薄肉化する特性を有する(図6B参照)。このため、テープ部材26は、単に両面粘着テープ28の上下の粘着面28c,28dに粘着シート34,35を粘着固定しただけでは、裏面18bや内面20aから両面粘着テープ28が円滑に剥離されるのと同様に、粘着シート34,35からも両面粘着テープ28が容易に外れてしまう。この点、本実施形態のテープ部材26は、ストッパ縁部32と引掛かり部36との物理的な係止作用によって、両面粘着テープ28からの持ち手部材30の脱落を抑制可能となっているのである。
【0042】
本実施形態のテープ部材26において、ストッパ縁部32は、両面粘着テープ28の幅方向の中心を挟んで左右にそれぞれ設けられ、引掛かり部36は、引張り方向D1に対して左右のストッパ縁部32の後側にそれぞれ設けられている。このため、当該テープ部材26は、左右の引掛かり部36が左右のストッパ縁部32にそれぞれ係止されることで、持ち手部材30の両面粘着テープ28からの脱落の発生を一層抑制できる。さらに、図5に示すように、左右のストッパ縁部32は、互いに左右対称形状であると、左右の引掛かり部36が左右のストッパ縁部32にバランスよく係止され、持ち手部材30の両面粘着テープ28からの脱落の発生をより一層抑制でき、後述するストッパ縁部40,42,48,54,56,58についても同様である。
【0043】
ストッパ縁部は、図4及び図5に示すストッパ縁部32以外の形状や構造でもよい。そこで、次に、ストッパ縁部の変形例を順に説明する。なお、以下で説明する各変形例のストッパ縁部40,42,44,46,48,54,56,58においても、引張り方向D1でその後側に引掛かり部36が設けられる。これにより、これら各変形例に係る構成においても、持ち手部材30を介して両面粘着テープ28を引張剥離する際、引掛かり部36がストッパ縁部40等に引っ掛かって抜け止めされるため、持ち手部材30が両面粘着テープ28から外れることを抑制できる。
【0044】
図7は、第1変形例のストッパ縁部40を有する両面粘着テープ28と持ち手部材30との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な分解斜視図である。図7において、図1図6Bに示される参照符号と同一の参照符号は、同一又は同様な構成を示し、このため同一又は同様な機能及び効果を奏するものとして詳細な説明を省略し、以下の図8図14についても同様である。
【0045】
図7に示すストッパ縁部40は、図3に示すストッパ縁部32と比べて、延在方向が異なる。ストッパ縁部40は、引張り方向D1と直交する直交方向D3に沿って延在している。これにより両面粘着テープ28の端部28aは、平面視で略ハンマー形状を成している。このようなストッパ縁部40についても、引張り方向D1でその後側に配置される引掛かり部36を抜け止することができる。
【0046】
但し、上記した傾斜方向D2に沿うストッパ縁部32は、直交方向D3に沿うストッパ縁部40よりも引張剥離時に引掛かり部36を一層確実に係止することが可能である。一方、ストッパ縁部40は、ストッパ縁部32よりも形状が簡素であり、切欠部33の面積も確保し易いため、引掛かり部36の形成作業が容易且つ確実なものとなる。
【0047】
図8は、第2変形例のストッパ縁部42を有する両面粘着テープ28と持ち手部材30との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な分解斜視図である。
【0048】
図8に示すストッパ縁部42は、上記した直線状のストッパ縁部32,40と異なり、円弧状に湾曲している。これにより両面粘着テープ28の端部28aは、平面視で略スプーン形状を成している。各ストッパ縁部42は、両面粘着テープ28の幅方向中心を基準として見た場合に、直交方向D3よりも引張り方向D1側に傾斜している。このようなストッパ縁部42についても、引張り方向D1でその後側に配置される引掛かり部36を抜け止することができる。
【0049】
但し、ストッパ縁部42は、引張り方向D1に向かって、次第に両面粘着テープ28の幅方向中心から幅方向外側へと円弧を描きながら延びた形状を有する。このため、上記したストッパ縁部32,40よりも引掛かり部36が引張り方向D1に向かって脱落し易くなってしまう。従って、引掛かり部36の係止効果を考慮すると、ストッパ縁部42よりも、上記したストッパ縁部32,40のように直交方向D3に沿った形状、又は傾斜方向D2に沿った形状が好ましい。一方、ストッパ縁部42は、ストッパ縁部32,40よりも形状が簡素であり、切欠部33の面積も確保し易いため、引掛かり部36の形成作業が容易且つ確実なものとなる。
【0050】
図9は、第3変形例のストッパ縁部44を有する両面粘着テープ28と持ち手部材30との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な分解斜視図である。
【0051】
図9に示すストッパ縁部44は、図3に示すストッパ縁部32等のように切欠部33によって形成したものではなく、貫通孔45によって形成されたものである。貫通孔45は、両面粘着テープ28を厚み方向に貫通する孔部であり、例えば楕円形である。ストッパ縁部44は、貫通孔45の内周縁部である。これによりストッパ縁部44は、引張り方向D1とは逆方向に向かって、次第に両面粘着テープ28の幅方向中心から幅方向外側へと円弧を描きながら延びた形状を有する。引掛かり部36は、貫通孔45を通して粘着シート34,35同士を貼り合わせて形成するとよい。従って、このようなストッパ縁部44についても、引張り方向D1でその後側に配置される引掛かり部36を抜け止することができる。
【0052】
図10は、第4変形例のストッパ縁部46を有する両面粘着テープ28と持ち手部材30との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な分解斜視図である。
【0053】
図10に示すストッパ縁部46は、図7に示すストッパ縁部40を左右一方のみに設けた構成である。ストッパ縁部46は、引張り方向D1と直交する直交方向D3に沿って延在している。これにより両面粘着テープ28の端部28aは、平面視で略フック形状或いは鉤爪形状を成している。このようなストッパ縁部46についても、引張り方向D1でその後側に配置される引掛かり部36を抜け止することができる。
【0054】
図11は、第5変形例のストッパ縁部48を有する両面粘着テープ50と持ち手部材30との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な分解斜視図である。
【0055】
図11に示す両面粘着テープ50は、上記した両面粘着テープ28に比べて幅寸法が約2倍である以外、基本的な構成は両面粘着テープ28と同一又は同様である。ストッパ縁部48は、一対設けられており、それぞれ両面粘着テープ50の幅方向に並んで形成された2つの貫通孔52の内周縁部である。引掛かり部36は、各貫通孔52を通して粘着シート34,35同士を貼り合わせて一対形成するとよい。ストッパ縁部48の形状は、図9に示すストッパ縁部44と同一又は同様となる。従って、このようなストッパ縁部48についても、引張り方向D1でその後側に配置される引掛かり部36を抜け止することができる。
【0056】
図11に示す構成例では、両面粘着テープ50の左右側部に切欠部33を形成し、ここにもストッパ縁部54をそれぞれ形成している。ストッパ縁部54は、図8に示すストッパ縁部42と同様な形状であり、その後側に引掛かり部36が配置され、抜け止めされる。つまり幅広な両面粘着テープ50は、例えば左右に並んだ4つのストッパ縁部48,48,54,54を形成し、持ち手部材30をより強固に抜け止めすることができる。
【0057】
図12は、第6変形例のストッパ縁部56を有する両面粘着テープ50と持ち手部材30との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な分解斜視図である。
【0058】
図12に示すストッパ縁部56は、両面粘着テープ50に、図7に示す一対のストッパ縁部40と同様な一対のストッパ縁部56を左右に並列して設けた構成である。従って、この構成例では、引張り方向D1でその後側に配置される引掛かり部36を左右に並んだ4つのストッパ縁部56で強固に抜け止することができる。
【0059】
図13は、第7変形例のストッパ縁部58を有する両面粘着テープ50と持ち手部材30との取付部及びその周辺部を拡大した模式的な分解斜視図である。
【0060】
図13に示すストッパ縁部58は、一対設けられており、それぞれ両面粘着テープ50に左右一対形成された矩形状の貫通孔60の内周縁部である。従って、このようなストッパ縁部58についても、引張り方向D1でその後側に配置される引掛かり部36を抜け止することができる。
【0061】
図14に示すように、両面粘着テープ50は、図13に示す一対の貫通孔60に代えて、これを両面粘着テープ50の長手方向に延在させたスリット状の貫通孔62を用い、その内周縁部にストッパ縁部58を形成してもよい。
【0062】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0063】
上記では、テープ部材26でディスプレイパネル18を固定した構成を例示したが、テープ部材26はディスプレイパネル18以外にも取外しが必要となる各種部品の固定に利用できる。
【符号の説明】
【0064】
10 電子機器
11 第1筐体
18 ディスプレイパネル
26,26A,26B テープ部材
28,50 両面粘着テープ
30 持ち手部材
32,40,42,44,46,48,54,56,58 ストッパ縁部
33 切欠部
34 第1粘着シート
35 第2粘着シート
36 引掛かり部
45,52,60,62 貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14