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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184150
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20231221BHJP
   H01L 25/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01L23/12 B
H01L25/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098129
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100121843
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 賢郎
(72)【発明者】
【氏名】三浦 正幸
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電源の安定化を図ることができる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1電源端子と第2電源端子とを有する半導体チップ60と、半導体チップ上に設けられ、第1電極50Aと、第1電極上に設けられた誘電体と、誘電体上に設けられた第2電極50Bとを有する受動素子50と、第1電源端子と第1電極とを電気的に接続する第1配線80Aと、第2電源端子と前記2電極とを電気的に接続する第2配線80Bと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源端子と第2電源端子とを有する半導体チップと、
前記半導体チップ上に設けられ、第1電極と、前記第1電極上に設けられた誘電体と、前記誘電体上に設けられた第2電極とを有する受動素子と、
前記第1電源端子と前記第1電極とを電気的に接続する第1配線と、
前記第2電源端子と前記第2電極とを電気的に接続する第2配線と
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記受動素子の厚さは、前記半導体チップの厚さ以下である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記受動素子の厚さは、前記半導体チップの厚さの半分以下である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体チップは、複数の前記第1電源端子と、複数の前記第2電源端子とを有し、
複数の前記第1電源端子と前記第1電極とをそれぞれ電気的に接続する複数の前記第1配線と、
複数の前記第2電源端子と前記第2電極とをそれぞれ電気的に接続する複数の前記第2配線とをさらに備える
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
複数の前記第1電源端子及び複数の前記第2電源端子は、平面視において第1方向に配列され、
複数の前記第1配線は、平面視において前記第1方向に垂直な第2方向に延伸する部分を有して前記第1電源端子と前記第1電極とを電気的に接続し、
複数の前記第2配線は、平面視において前記第2方向に延伸する部分を有して前記第2電源端子と前記第2電極とを電気的に接続する
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体チップが搭載される配線基板と、
前記配線基板と前記第1電源端子とを電気的に接続する配線と、
前記配線基板と前記第2電源端子とを電気的に接続する配線とをさらに備える
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1配線はワイヤであり、かつ、
前記第2配線はワイヤである
請求項1乃至6の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体チップ上に設けられ、前記第1配線の少なくとも一部と、前記第2配線の少なくとも一部とが形成された再配線層とをさらに備える
請求項1乃至6の何れか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
複数の配線と、
前記複数の配線の少なくとも1つの配線がそれぞれ接続された複数の端子をそれぞれ備えて積層された複数枚の半導体チップとを備え、
最上層の前記半導体チップにおける配線が接続された前記複数の端子の個数は、他のいずれの前記半導体チップにおける配線が接続された前記複数の端子の個数よりも小さい、
半導体装置。
【請求項10】
前記最上層の前記半導体チップの厚さは、他の前記半導体チップの少なくとも一つの半導体チップの厚さと同一である請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記最上層の前記半導体チップの少なくとも一辺の長さは、他の前記半導体チップの少なくとも一つの半導体チップの少なくとも一辺の長さと同一である請求項9に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記複数の端子は、複数の第1電源端子と、複数の第2電源端子とを含み、
前記複数の配線は、前記最上層の前記半導体チップの前記複数の第1電源端子にそれぞれ接続される複数の配線と、前記最上層の前記半導体チップの前記複数の第2電源端子にそれぞれ接続される複数の配線とを含む、
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記複数の配線はワイヤである請求項9に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、配線基板上に単一または複数の半導体チップを搭載してパッケージに収容した半導体装置が知られている。このような半導体装置において、電源の安定化を図るために配線基板上にキャパシタを搭載することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-28004号公報
【特許文献2】特開2012-138513号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2020/0203325号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態によれば、電源の安定化を図ることができる半導体装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態は、第1電源端子と第2電源端子とを有する半導体チップと、前記半導体チップ上に設けられ、第1電極と、前記第1電極上に設けられた誘電体と、前記誘電体上に設けられた第2電極とを有する受動素子と、前記第1電源端子と前記第1電極とを電気的に接続する第1配線と、前記第2電源端子と前記第2電極とを電気的に接続する第2配線とを備える半導体装置を開示する。
【0006】
さらに本実施形態は、複数の配線と、前記複数の配線の少なくとも1つの配線がそれぞれ接続された複数の端子をそれぞれ備えて積層された複数枚の半導体チップとを備え、最上層の前記半導体チップにおける配線が接続された前記複数の端子の個数は、他のいずれの前記半導体チップにおける配線が接続された前記複数の端子の個数よりも小さい、半導体装置を開示する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態の半導体装置の断面模式図である。
図2A】メモリチップ及びキャパシタの平面図である。
図2B図2Aの一部の模式的な拡大図である。
図3】IOスキューのシミュレーション結果を示す図である。
図4】第2実施形態の半導体装置の断面模式図である。
図5】第2実施形態の半導体装置の断面模式図である。
図6】第3実施形態の半導体装置の断面模式図である。
図7】第3実施形態の半導体装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0009】
[第1実施形態]
以下、本実施形態に係る半導体装置10の構成について説明する。各図面には、X軸、Y軸及びZ軸を示すことがある。X軸、Y軸及びZ軸は、右手系の3次元の直交座標を形成する。以下、X軸の矢印方向をX軸前方、矢印とは逆方向をX軸後方と呼ぶことがある。その他の軸についても同様である。なお、Z軸前方及びZ軸後方を、それぞれ「上側」乃至「上方」及び「下側」乃至「下方」と呼ぶこともある。また、Z軸方向を「積層方向」と呼ぶこともある。また、X軸、Y軸又はZ軸にそれぞれ直交する面を、YZ面、ZX面又はXY面と呼ぶことがある。ただしこれら方向等は相対的位置関係を説明するために便宜的に用いられているものである。従ってこれら方向等は絶対的位置関係を規定するものではない。
【0010】
図1及び図2Aに示すように、半導体装置10は、インターポーザとして機能する配線基板20と、配線基板20上に積層される複数の半導体メモリチップ60(半導体メモリチップ60A及び半導体メモリチップ60B)と、半導体メモリチップ60B上に設けられたキャパシタ50(「受動素子」の一例)と、キャパシタ50の第1電極50Aと半導体メモリチップ60Bが備える複数のVCCQ端子68A(「第1電源端子」の一例)とをそれぞれ接続する複数の第1ボンディングワイヤ80A(「第1配線」の一例)と、キャパシタ50の第2電極50Bと半導体メモリチップ60Bが備える複数のVSS端子68B(「第2電源端子」の一例)とをそれぞれ接続する複数の第2ボンディングワイヤ80B(「第2配線」の一例)を含む、ボンディングワイヤ80(ワイヤ80ともいう)とを備える。
【0011】
更に半導体装置10は、半導体メモリチップ60A、半導体メモリチップ60B、キャパシタ50、ボンディングワイヤ80と同様の構成を備える複数の半導体メモリチップ62(半導体メモリチップ62A及び半導体メモリチップ62B)、キャパシタ52、ボンディングワイヤ82を備え、さらにこれらを封止する封止樹脂98(封止樹脂層98)を備えている。後述するように、半導体メモリチップ60A上には、複数のVCCQ端子68Aおよび複数のVSS端子68BがY軸方向に沿って配列されている。図1は、半導体メモリチップ60A、60B、62A、および62BのVCCQ端子68A(図1では図示を省略)が設けられている部分に対応する模式的な断面を示しており、VCCQ端子68Aと第1電極50Aとを接続するボンディングワイヤ80Aを実線で示し、VSS端子68B(図1では図示を省略)と第2電極50Bとを接続するボンディングワイヤ80Bを点線で示す。半導体メモリチップ62およびキャパシタ52についても同様に、図1においては、半導体メモリチップ62BのVCCQ端子68Aと第1電極52Aとを接続するボンディングワイヤ82Aを実線で示し、VSS端子68Bと第2電極52Bとを接続するボンディングワイヤ82Bを点線で示す。
【0012】
配線基板20は、表面層、裏面層及び内部配線層を含む複数の配線層と、配線層間に設けられる複数の絶縁層と、裏面層に設けられた例えばボール電極とを備える。
【0013】
配線基板20上には単一又は複数の半導体メモリチップが設けられ、本実施形態においては、2枚の半導体メモリチップ60A及び半導体メモリチップ60Bが配線基板20上に積層される。本実施形態における半導体チップは、NANDフラッシュメモリである。しかしながら、半導体チップは、MRAM等のその他の不揮発性半導体メモリチップ、DRAM等の揮発性半導体メモリチップ、又は、半導体メモリチップを制御するためのロジック/インターフェースチップ等のプロセッサを搭載する半導体チップであってもよい。また、半導体装置10は、複数種類の半導体チップを混載してもよい。
【0014】
図2Aに示されるように半導体メモリチップ60Bは、複数の端子として、複数の制御信号用端子と、複数のデータ信号用端子と、電源端子とを備えている。電源端子は、例えば1.8Vの電圧を供給するための複数のVCCQ端子68Aと、例えばグランド(接地)電位を供給するための複数のVSS端子68Bとを含んでいる。本実施形態において複数の端子は、半導体メモリチップ60Bの上面端部(X軸方向端部)にY軸方向(「第1方向」の一例)に沿って配列されている。同図に示されるように複数のVSS端子68B及び複数のVCCQ端子68Aは、それぞれ他の種類の端子を挟んでY軸方向に沿って互いに離間して設けられている。また、半導体メモリチップ60Bの厚さは、例えば、30.0μm~300.0μmである。
【0015】
半導体メモリチップ60Aは、半導体メモリチップ60Bと同一の構成を備えているから説明を省略する。半導体メモリチップ60Aと半導体メモリチップ60Bとの間には、両者を接着するためのDAF(Die Attach Film)が設けられている。
【0016】
キャパシタ50は、半導体メモリチップ60B上に設けられ、半導体メモリチップ60Bの上面と平行なXY面上に延在する第1電極50Aと、第1電極50A上に設けられ、第1電極50Aと平行なXY面上に延在する絶縁膜から構成される誘電体56と、誘電体56上に設けられ、誘電体56と平行なXY面上に延在する第2電極50Bとを備えている。また、第2電極50Bの上面は絶縁性を有する保護膜94で覆われている。
【0017】
ここでキャパシタ50の第2電極50Bは、複数の第2ボンディングワイヤ80Bによって半導体メモリチップ60Bの複数のVSS端子68Bと電気的に接続されている。図2Aに示されるように第2電極50Bの上面を覆う保護膜94は、上面視において、複数のVSS端子68BとX軸方向に対向する複数の位置においてそれぞれX軸前方に窪んで櫛歯状に形成されている。このように保護膜94を形成することにより、半導体メモリチップ60Bの複数のVSS端子68BとX軸方向に対向する複数の位置において第2電極50Bの上面を露出させることが可能となる。露出された第2電極50Bの上面の領域には、第2ボンディングワイヤ80Bをボンディングするための領域(パッド)が設けられている。従って第2電極50Bには、Y軸方向に配列された複数のVSS端子68Bに対応してY軸方向に配列された複数のパッドが設けられる。
【0018】
このような構成により、複数の第2ボンディングワイヤ80Bによって半導体メモリチップ60Bの複数のVSS端子68Bと第2電極50Bとを電気的に接続することが可能となる。さらに、各VSS端子68Bに対向した位置にパッドを設けることによって、第2ボンディングワイヤ80Bの長さを短くすることが可能となる。
【0019】
またキャパシタ50の第1電極50Aは、複数の第1ボンディングワイヤ80Aによって半導体メモリチップ60Bの複数のVCCQ端子68Aと電気的に接続されている。同図に示されるように第2電極の上面を覆う保護膜及び誘電体を構成する絶縁膜は、上面視において、複数のVCCQ端子68AとX軸方向に対向する複数の位置においてそれぞれX軸前方に窪んで櫛歯状に形成されている。このように保護膜及び絶縁膜を形成することにより、半導体メモリチップ60Bの複数のVCCQ端子68AとX軸方向に対向する複数の位置において第1電極50Aの上面を露出させることが可能となる。露出された第1電極50Aの上面の領域には、第1ボンディングワイヤ80Aをボンディングするための領域(パッド)が設けられている。従って第1電極50Aには、Y軸方向に配列された複数のVCCQ端子68Aに対応してY軸方向に配列された複数のパッドが設けられる。
【0020】
このような構成により、複数の第1ボンディングワイヤ80Aによって半導体メモリチップ60Bの複数のVCCQ端子68Aと第1電極50Aとを電気的に接続することが可能となる。さらに、第1ボンディングワイヤ80Aの長さを短くすることが可能となる。
【0021】
図2Bを参照して半導体メモリチップ60Bの電源端子(VCCQ端子およびVSS端子)と電極50Aおよび電極50Bとの接続について詳細に説明する。なお、図2Bにおいては、保護膜94の図示を省略する。図2B図2Aの一部を拡大して示されるように、半導体メモリチップ60Bには複数の端子に相当する複数のパッド部68b1-68b11が設けられている。図2Bに図示する例においては、複数のパッド部のうち、パッド部68b1、68b5、および68b9がVCCQ端子に対応する。また、パッド部68b3、68b7、および68b11がVSS端子に対応する。前述の通り、半導体メモリチップ60B上には第1電極50Aが設けられ、第1電極50A上に第2電極50Bが設けられ、第2電極50Bの一部が窪んで櫛歯状に形成されており、第2電極50Bの窪んだ部分は第1電極50Aの一部が図2BにおけるZ軸方向上方に露出する。図2Bに示されるように、第1電極50Aの第2電極50B側に露出した部分はパッド部58a1、58a5、および58a9であり、それぞれ、半導体メモリチップ60Bのパッド部68b1、68b5、および68b9とボンディングワイヤ80A1、80A5、および80A9により接続される。また、第2電極50Bにおいて、半導体メモリチップ60Bのパッド部68b3、68b7、および68b11のX軸方向に対応する位置にパッド部58b3、58b7、および58b11が設けられており、それぞれ、パッド部68b3、68b7、および68b11とボンディングワイヤ80B3、80B7、および80B11により接続される。
【0022】
なお図2Aおよび図2Bに示されるように、半導体メモリチップ60Bの、複数の制御信号用端子及び複数のデータ信号用端子は、キャパシタ50の第1電極50A及び第2電極50Bと電気的に接続されていない。すなわち、図2Bにおいて、電源端子に相当するパッド部68b1、68b3、68b5、68b7、68b9、および68b11以外のパッド部68b2、68b4、68b6、68b8、および68b10は、例えば制御信号用端子やデータ信号用端子に相当し、第1電極50Aおよび第2電極50Bのいずれとも電気的に接続されていない。
【0023】
本実施形態におけるキャパシタ50のZ軸方向の厚さは、半導体チップ(半導体メモリチップ60A及び半導体メモリチップ60B)の厚さより小さく構成されており、好ましくは半導体チップの厚さの半分以下に構成されており、さらに好ましくは半導体チップの厚さの25%以下に構成されている。本実施形態におけるキャパシタ50の第1電極50Aの厚さ、絶縁膜の厚さ及び第2電極50Bの厚さは、例えばそれぞれ、2.0μm、1.0μm及び2.0μmであり、この場合、キャパシタ50のZ軸方向の厚みは、5.0μmである。
【0024】
ここでキャパシタ50の誘電体56(絶縁膜)は、STO(SrTiO)の薄膜から構成することができる。STOは、低損失で高周波特性に優れ、バイアス依存性及び温度依存性に優れている。誘電体56としては、その他、例えばBTO(BaTiO3)等様々な高誘電率の材料を用いて形成されてもよい。
【0025】
このようなキャパシタ50は、例えば、スパッタ等により2.0μm程度の金属薄膜を製膜し、反応性イオンエッチング(RIE)により電極パターンを形成して第1電極50Aを形成した後、エアロゾルCVD法により誘電膜を製膜することにより製造することが可能である。具体的には、STOの前駆体のゾルゲル溶液を霧化してキャリアガスにより搬送して第1電極50A上に吹き付けることにより1.0μm程度のSTO薄膜を大気圧下で製膜することが可能である。あるいは、誘電体56は、例えばスパッタ等で製膜してもよく、ゾルゲル溶液を塗布した後加熱して製膜してもよい。次いでスパッタ等により2.0μm程度の金属薄膜を製膜し、反応性イオンエッチング(RIE)により電極パターンを形成して第2電極50Bを形成することによりキャパシタ50を製造することが可能となる。このようなキャパシタ50は、例えば、DAF(Die Attach Film)によって半導体メモリチップ60Bの上面に接着されている。また、半導体メモリチップ60Bの上に直接第1電極50A、誘電膜56、および第2電極50Bを形成してもよい。
【0026】
ボンディングワイヤ80は、半導体メモリチップ60の端子と配線基板20とを電気的に接続する。例えばボンディングワイヤ80は、半導体メモリチップ60A及び半導体メモリチップ60Bに設けられている複数の制御用端子、複数のデータ信号用端子、複数の電源端子をそれぞれ配線基板20の表面層に形成される配線パターンと電気的に接続する。
【0027】
さらに本実施形態においてボンディングワイヤ80は、上述したように、半導体メモリチップ60Bの複数のVCCQ端子68Aとキャパシタ50の第1電極50Aとをそれぞれ接続するための複数の第1ボンディングワイヤ80Aを有している。ここで図2Aに示されるように第1ボンディングワイヤ80Aは、一端においてVCCQ端子68Aに接続し、他端においてVCCQ端子68AからX軸方向に進行した位置において第1電極50Aに接続している。この結果、第1ボンディングワイヤ80Aは、上面視において、半導体メモリチップ60Bの一辺の延伸方向であり、複数の端子の配列方向であるY軸方向と垂直なX軸方向(「第2方向」の一例)に延伸する。
【0028】
加えてボンディングワイヤ80は、上述したように、半導体メモリチップ60Bの複数のVSS端子68Bとキャパシタ50の第2電極50Bとをそれぞれ接続するための複数の第2ボンディングワイヤ80Bを有している。第2ボンディングワイヤ80Bは、一端においてVSS端子68Bに接続し、他端においてVSS端子68BからX軸方向に進行した位置において第2電極50Bに接続しているから、上面視においてY軸方向と垂直なX軸方向に延伸する。
【0029】
半導体メモリチップ62A、半導体メモリチップ62B、キャパシタ52、ボンディングワイヤ82は、半導体メモリチップ60A、半導体メモリチップ60B、キャパシタ50、ボンディングワイヤ80と同様の構成を備えるから説明を省略する。
【0030】
このような構成を備える半導体装置を、ホストインターフェース回路及びメモリコントローラ回路を備える他の半導体装置等が搭載されているプリント配線基板に搭載して、ボール電極及びプリント配線基板の配線パターンを介してメモリコントローラ回路等と電気的に接続することにより、SSDやUFS等のメモリデバイスを構成することが可能となる。
【0031】
以上のような構成の半導体装置によれば、キャパシタを備えていることから電源の安定化が可能である。
【0032】
また、配線基板上にMLCC等のキャパシタを搭載した場合と比較して、MLCC等を搭載するための領域を確保する必要がないことから、配線基板を相対的に小さくすることが可能となる。
【0033】
加えてキャパシタと半導体チップとを接続するための配線の長さを相対的に小さくすることが可能となるから、インダクタンス成分を相対的に低減し、高速動作を実現することが可能となる。特に、図2Aに例示されるように、第1ボンディングワイヤ80A(第2ボンディングワイヤ80B)は、上面視においてVCCQ端子68A(VSS端子68B)と対向する位置において第1電極50A(第2電極50B)に接続する構成を備えているから、第1ボンディングワイヤ80A(第2ボンディングワイヤ80B)を短くすることが可能となる。
【0034】
加えて、複数のVCCQ端子68A(VSS端子68B)と第1電極50A(第2電極50B)は、複数の第1ボンディングワイヤ80A(第2ボンディングワイヤ80B)によって接続されているから、さらにインダクタンス成分を低減することが可能となる。
【0035】
また、キャパシタ50として平行平板構造を採用し、キャパシタ50の厚みを半導体メモリチップ60の厚さよりも小さくしたから、キャパシタ50のために半導体装置10全体の厚みが極めて大きくなることを抑制することが可能となる。
【0036】
なお、第1ボンディングワイヤ80AをVSS端子68B、第2ボンディングワイヤ80BをVCCQ端子68Aに接続してもよい。更に、第1ボンディングワイヤ80A、又は、第2ボンディングワイヤ80Bを他の種類の電源端子に接続してもよい。
【0037】
また、キャパシタ50は平行平板構造以外の構造でもよく、又は、一部に平行平板構造を備えた構造であってもよい。
【0038】
以下、比較例と本実施形態に係る半導体装置のスキュー(ジッタ)のシミュレーション結果について説明する。比較例1の半導体装置100は、図1に示される構成において、キャパシタ50が設けられていない構成を備えている。比較例2の半導体装置200は、図1に示される構成において、キャパシタ50の替わりに配線基板20上にMLCCを搭載した構成を備えている。また本実施形態の他の実施形態として半導体装置30は、図1に示される構成において、キャパシタ50の替わりに半導体メモリチップ60B上にMLCCを搭載した構成を備えている。
【0039】
このような半導体装置において、データ線のスキュー(ジッタ)をシミュレーションにより測定した。具体的には、VCCQの電圧(Hi)とVSSの電圧(Low)を有する差動データ信号を送信するためのデータ線において、約1Gbpsの速度でデータを送信したときのIOスキュー(一対の差動データ信号がクロスする位置のばらつき量)をシミュレーションにより測定した。
【0040】
図3に比較例と本実施形態に係る半導体装置のIOスキューのシミュレーション結果を示す。なお半導体装置40のIOスキューのシミュレーション結果については後述する。
【0041】
同図に示されるように、比較例1に係る半導体装置100におけるIOスキューを1としたとき、比較例2に係る半導体装置200のIOスキューの比率は、約0.96であった。従って、キャパシタを搭載することにより、IOスキューを抑制可能である。
【0042】
また半導体装置30におけるIOスキューの比率は、約0.94であった。従って、同一のキャパシタ(MLCC)を採用した場合であっても、取り付け位置によってIOスキューが変動することが明らかとなった。より具体的には、半導体メモリチップ60B上にMLCCを搭載することで、比較例2の半導体装置200と比較してキャパシタ(MLCC)と半導体チップとを接続するための配線の長さを短くすることにより、IOスキューを抑制可能である。
【0043】
さらに半導体装置10におけるIOスキューの比率は、約0.83であり半導体装置100のIOスキューに対して約20%IOスキューを低減可能である。
【0044】
本実施形態に係る半導体装置10は、半導体装置30と比較して、電極と電源端子とを接続する配線の長さが短い。また、本実施形態に係る半導体装置10は、一本の配線でMLCCの電極と電源端子とを接続する半導体装置30と異なり、複数本のボンディングワイヤでキャパシタ50の電極と電源端子とを接続している。このような構成の結果、本実施形態に係る半導体装置10は、キャパシタ自身の電極及び配線に起因するインダクタンス成分を低減でき、高速動作時においても電源が安定する。
【0045】
[第2実施形態]
以下、第2実施形態に係る半導体装置40について説明する。なお、第1実施形態に係る半導体装置10と同一乃至同様の機能乃至構成を備える点については説明を省略乃至簡略化し、異なる点を中心に説明する。
【0046】
図4に示すように、半導体装置40は、キャパシタ50の電極と半導体チップの電源端子を接続するための配線としてRDL70(Re-Distribution Layer。以下、「RDL」を「再配線層」と呼ぶ場合がある。)を備えている点において、ボンディングワイヤ80を用いた半導体装置10と異なる。
【0047】
図4は、半導体装置40において、半導体メモリチップ60のVCCQ端子がキャパシタ50の第1電極50Aに接続される部分の断面を示す図である。一方、図5に示すように、半導体装置40において、半導体メモリチップ60のVSS端子は、キャパシタ50の第2電極50Bに接続される。なお、半導体装置40は図4および図5に図示される構成に限定されるものではない。例えば半導体メモリチップ60のVCCQ端子がキャパシタ50の第2電極50Bに接続され、半導体メモリチップ60のVSS端子がキャパシタ50の第1電極50Aに接続される構成であってもよい。また、図4および図5では、半導体メモリチップ60が一つのみ設けられている場合の半導体装置40を例に示されているが、第1実施形態に係る半導体装置10のように、半導体装置40も複数の半導体メモリチップ60を備えていてもよい。複数の半導体メモリチップ60を備える半導体装置40においては、第1実施形態に係る半導体装置10と同様に、複数の半導体メモリチップ60がZ方向に積層されてもよく、また複数の半導体メモリチップ60がX方向に並列に設けられてもよい。また、複数の半導体メモリチップ60がX方向および/またはY方向に並列に設けられており、X方向および/またはY方向に並列に設けられた半導体メモリチップ60に1または2以上の半導体メモリチップ60がさらにZ方向に積層されてもよい。
【0048】
図4に示すように、半導体装置40は、配線基板20と、半導体メモリチップ60と、キャパシタ50と、再配線層70と、を備える。半導体装置40において、半導体メモリチップ60は配線基板20上に設けられ、キャパシタ50は半導体メモリチップ60上に設けられている。
【0049】
キャパシタ50は、第1実施形態に係る半導体装置10のキャパシタ50と同様に、第1電極50Aと、第2電極50Bと、第1電極50Aと第2電極50Bとの間に設けられた誘電体56と、を有する。キャパシタ50は、第1電極50Aおよび第2電極50Bの厚さが例えば2.0μmとなり、誘電体56は厚さが例えば1.0μmとなるようにそれぞれ形成されてもよい。図4に示すように、キャパシタ50は、例えば、接着層96を介して半導体メモリチップ60上に形成されてもよい。接着層96は、例えばDAF(Die Attach Film)などのフィルム状の接着シートを用いて形成されてもよい。接着層96に用いられるDAFの厚さは例えば5.0μmである。接着層96に用いられるDAFは、例えば、熱硬化性または熱可塑性樹脂を用いて設けられてもよい。
【0050】
図4に示すように、再配線層70は、半導体メモリチップ60上に設けられている。再配線層70は、絶縁層72と、絶縁層72の内部に設けられた再配線構造78とを有する。図4に示すように、再配線構造78は、再配線層70において半導体メモリチップ60の上面側(図4においてZ軸方向の上側)に設けられた第1パッド部78aと、再配線層70において半導体メモリチップ60と反対側の面(再配線層70の図4においてZ軸方向の上側の面)に設けられた第2パッド部78bとを有する。第1パッド部78aは、半導体メモリチップ60の上面の端子に対応するように設けられている。図4に示す例において、第1パッド部78aは、半導体メモリチップ60の上面のVCCQ端子に対応するように設けられている。第2パッド部78bは、配線基板20上に設けられた基板側パッド部28aと、例えばボンディングワイヤで形成された第1配線80aを介して接続されている。再配線構造78は、第1パッド部78aと第2パッド部78bとを接続するように設けられた第1再配線構造部78cと、第2パッド部78bがキャパシタ50と接続するように設けられた第2再配線構造部78dとをさらに有する。第2再配線構造部78dは、キャパシタ50の第1電極50Aに接続されるように設けられている。以上の構成により、再配線層70の再配線構造78は、第1実施形態に係る半導体装置10におけるボンディングワイヤ80と同様に、配線基板20と、半導体メモリチップ60と、キャパシタ50との間を接続する機能を奏する。なお、再配線層70は、例えば、フォトリソグラフィ技術等を用いることにより形成することができる。
【0051】
図5に示すように、半導体メモリチップ60のVSS端子はキャパシタ50の第2電極50Bに接続される。再配線層70の再配線構造78において、第1パッド部78aは半導体メモリチップ60の上面のVSS端子に対応するように設けられている。第2パッド部78bは、配線基板20上に設けられた基板側パッド部28bと、第2配線80bを介して接続されている。また、第2再配線構造部78dは、キャパシタ50の第2電極50Bと接続されるように設けられている。
【0052】
半導体装置40は、第1実施形態に係る半導体装置10に比べ、ボンディングワイヤ80に替えて再配線層70により、半導体メモリチップ60上の電源端子と、キャパシタ50の電極50Aおよび50Bとが接続されるので、半導体メモリチップ60上の電源端子とキャパシタ50とを接続する配線距離を短くすることができる。従って、半導体装置40においては、半導体メモリチップとキャパシタとの間の配線および電極に起因するインダクタンス成分をより大きく抑制することができる。
【0053】
図3に示されるように、半導体装置40においては、IOスキューが比較例1の半導体装置100に比べ、約0.77である。半導体装置40は、他の実施形態に係る半導体装置10および半導体装置30よりもさらにIOスキューを抑制することができる。
【0054】
[第3実施形態]
以下、第3実施形態に係る半導体装置90について説明する。なお、第1実施形態に係る半導体装置10または第2実施形態に係る半導体装置40と同一乃至同様の機能乃至構成を備える点については説明を省略乃至簡略化し、異なる点を中心に説明する。
【0055】
図6に示すように、半導体装置90は、配線基板20上に、複数の半導体メモリチップ60A、60B、60C、60D、および60Nが積層されており、最上層(図6においてZ軸方向の最上層)の半導体メモリチップ60Nが第1実施形態に係る半導体装置10におけるキャパシタ50と同様の作用を奏する点において、第1実施形態に係る半導体装置10と異なる。すなわち、半導体装置90においては、最上層の半導体メモリチップ60Nがキャパシタ50として機能するように構成されている。半導体装置90の最上層の半導体メモリチップ60Nは、他の半導体メモリチップ60(半導体メモリチップ60A、半導体メモリチップ60B、半導体メモリチップ60C、および半導体メモリチップ60D)の複数の端子のうち、複数の電源端子のみに接続されるように構成されている。従って、例えば、半導体メモリチップ60Dは、複数の端子として、複数の制御信号用端子と、複数のデータ信号用端子と、複数の電源端子とを備えており、半導体装置90においては、このうち、例えば1.8Vの電圧を供給するための複数のVCCQ端子と、例えばグランド(接地)電位を供給するための複数のVSS端子とを含む複数の電源端子が最上層の半導体メモリチップ60Nに例えばボンディングワイヤ86dnを介して接続される。図6に示すように、半導体メモリチップ60A、60B、60C、および60Dについては、基板20の電源端子を含む複数の端子と、それぞれ、例えばボンディングワイヤ86aa、86ab、86ac、および86adを介して接続されている。
【0056】
図6に示すように、半導体装置90は、複数の半導体メモリチップ60にX方向に並列に他の複数の半導体メモリチップ62が設けられている。複数の半導体メモリチップ62は、複数の半導体メモリチップ60と同様に、半導体メモリチップ62Aと、半導体メモリチップ62Bと、半導体メモリチップ62Cと、半導体メモリチップ62Dと、半導体メモリチップ62Nとを有し、半導体メモリチップ62Aと、半導体メモリチップ62Bと、半導体メモリチップ62Cと、半導体メモリチップ62Dと、半導体メモリチップ62Nとは、この順に積層されている。また、最上層の半導体メモリチップ62Nは、半導体メモリチップ62Dの電源端子とボンディングワイヤ86dnを介して接続されており、半導体メモリチップ62A、62B、62C、および62Dについては、基板20の電源端子を含む複数の端子と、それぞれ、例えばボンディングワイヤ86aa、86ab、86ac、および86adを介して接続されている。
【0057】
このような構成の結果、最上層の半導体メモリチップ60Nおよび62Nについては、複数の端子のうち電源端子にのみボンディングワイヤが接続されている一方で、他の半導体メモリチップ60A-60Dおよび62A―62Dについては、複数の端子のうち電源端子に加えて制御信号用端子及びデータ信号用端子にもボンディングワイヤが接続されているから、最上層の半導体メモリチップ60Nおよび62Nのボンディングワイヤが接続された端子の個数は、他のいずれの半導体メモリチップ60A-60Dおよび62A―62Dのボンディングワイヤが接続された端子の個数よりも小さい。また、半導体メモリチップ60Nおよび62Nは、半導体メモリチップ60A-60Dおよび62A―62Dと同一の製造工程を経て製造された半導体メモリチップであってよく、その場合、半導体メモリチップ60Nおよび62Nは、半導体メモリチップ60A-60Dおよび62A―62Dと同一のサイズ(X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の寸法)を有してよい。ただし、半導体メモリチップ60Nおよび62Nは、半導体メモリチップ60A-60Dおよび62A―62Dよりも機能的に劣る半導体メモリチップであってもよい。すなわち、半導体メモリチップ60Nおよび62Nは半導体メモリチップ60A―60Dおよび62A―62Dと異なり、電源信号のみが入力されるので、少なくとも電源信号の入力が可能であれば、半導体メモリチップ60A―60Dおよび62A―62Dよりも特性が劣る半導体メモリチップを半導体メモリチップ60Nおよび62Nとして用いることも可能である。例えば、半導体メモリチップ60Nおよび62Nは、検査工程において所定の仕様を満足しない半導体メモリチップでよい。半導体メモリチップとしては不良となった半導体メモリチップであっても、電源信号の入力が可能でありキャパシタとして機能させることが可能であれば、半導体メモリチップ60Nおよび62Nとして用いることが可能である。
【0058】
図7に示すように、半導体装置90は、配線基板20上に設けられた半導体メモリチップ60Aと、半導体メモリチップ60Bと、半導体メモリチップ60Cと、半導体メモリチップ60Dと、半導体メモリチップ60Nとを備える。配線基板20上には、複数のパッド部28a1―28a5、28a11-28a15が設けられている。複数のパッド部のうち、例えばパッド部28a1、28a5、および28a11はVCCQ用のパッドであり、パッド部28a3はVSS用のパッドである。また、パッド部28a2および28a4は、例えば入出力信号用のパッドである。さらに、パッド部28a13は、例えばチップアドレス用のパッドである。他のパッド部28a12、28a14、および28a15も、詳細な説明は省略するが、パッド部28a2、28a4、28a13と同様に、電源端子以外の端子に対応するパッドに相当する。
【0059】
半導体メモリチップ60A上には、複数のパッド部68a1-68a5、68a11-68a15が設けられている。同様に、半導体メモリチップ60B、60C、および60D上には、それぞれ、複数のパッド部68b1-68b5、68b11-68b15、68c1-68c5、68c11-68c15、および68d1-68d5、68d11-68d15が設けられており、半導体メモリチップ60N上には、複数のパッド部68n1-68n5、68n11-68n15が設けられている。
【0060】
例えば配線基板20と半導体メモリチップ60Aとに着目すると、図7に示すように、パッド部28a1は、パッド部28a1のX方向に設けられているパッド部68a1とボンディングワイヤ86aa1により接続されている。同様に、配線基板20と、半導体メモリチップ60B、60C、および60Dとの関係において、パッド部28a1はパッド部68b1、パッド部68c1、およびパッド部68d1と、それぞれ、ボンディングワイヤ86ab1、ボンディングワイヤ86ac1、およびボンディングワイヤ86ad1により接続されている。また、半導体メモリチップ60Dと半導体メモリチップ60Nとの関係において、パッド部68n1は、パッド部68d1と、ボンディングワイヤ86dn1により接続されている。以上により、配線基板20上のパッド部28a1より、半導体メモリチップ60A上のパッド部68a1、半導体メモリチップ60B上の68b1、半導体メモリチップ60C上の68c1、半導体メモリチップ60D上の68d1、および半導体メモリチップ60N上の68n1に、電圧VCCQ(例えば1.8V)が入力される。パッド部28a3についても同様に、パッド部28a3は、パッド部68a3、68b3、68c3、および68d3と、それぞれ、ボンディングワイヤ86aa3、86ab3、86ac3、およびボンディングワイヤ86ad3により接続されており、パッド部68d3とパッド部68n3とがボンディングワイヤ86dn3により接続されている。以上により、配線基板20上のパッド部28a3より、半導体メモリチップ60A上のパッド部68a3、半導体メモリチップ60B上の68b3、半導体メモリチップ60C上の68c3、半導体メモリチップ60D上の68d3、および半導体メモリチップ60N上の68n3に、電圧VSS(例えばグランド(接地)電位)が供給される。
【0061】
一方、パッド部28a2に対しては、パッド部68a2、68b2、68c2、および68d2が、それぞれボンディングワイヤ86aa2、86ab2、86ac2、および86ad2を介して接続され、パッド部68a2、68b2、68c2、および68d2に対し入出力信号が供給される。しかしながら、パッド部68n2にはパッド部28a2、68a2、68b2、68c2、および68d2のいずれも接続されておらず、パッド部68n2には入出力信号が供給されない。図7に示すように、同様に、配線基板20上のVCCQやVSSの電源端子に対応するパッド部28a3、28a5、および28a11については、それぞれ、他の半導体メモリチップ60Dのパッド部68d3、68d5、および68d11から、ボンディングワイヤ86dn3、86dn5、および86dn11により、半導体メモリチップ60Nのパッド部68n3、68n5、および68n11が接続されている。しかしながら、これらの配線基板20上の電源端子に相当するパッド部28a3、28a5、および28a11以外のパッド部28a4、28a12、28a13、28a14、および28a15については半導体メモリチップ60Nの対応するパッド部68n4、68n12、68n13、68n14、および68n15には接続されていない。従って、半導体装置90においては、最上層の半導体メモリチップ60Nに対しては電源信号のみを入力し、電源信号以外の信号については最上層の半導体メモリチップ60N以外の半導体メモリチップ60A、60B、60C、および60Dのいずれか1または複数にのみ供給される。この構成により、半導体装置90においては、最上層の半導体メモリチップ60Nが第1実施形態に係る半導体装置10のキャパシタ50と同様の機能を奏する。すなわち、半導体装置90は、第1実施形態に係る半導体装置10と同様に、インダクタンス成分のような電源ノイズを抑制することができ、高速動作が可能となる。
【0062】
なお、最上層の半導体メモリチップ60Nは、半導体メモリチップ60Nの直下の半導体メモリチップ60Dの上面に対し、例えば接着層を介して設けることができる。従って、第1実施形態のようにキャパシタ50を別途形成する必要がない。接着層としては先述のDAF(Die Attach Film)を用いることができる。
【0063】
また、上記の説明における半導体装置90においては、半導体メモリチップ60Nが複数のメモリチップ60の最上層に設けられているが、キャパシタとして機能させることができるようであれば、他の位置に設けられてもよい。
【0064】
また、半導体装置90についても、第2実施形態に係る半導体装置40と同様に、再配線層が設けられていてもよい。例えば、半導体装置90において、最上層の半導体メモリチップ60Nの直下の半導体メモリチップ60D上に再配線層70が設けられてもよい。再配線層70を設けることにより、第2実施形態に係る半導体装置40と同様に、例えばボンディングワイヤ80により配線する場合に比べ、配線距離を短くすることができるので、インダクタンス成分を抑制することができる。
【0065】
また、上述してきた実施形態の一部においては、1つまたは2つの半導体メモリチップを有する半導体装置を例に説明してきたが、本開示の実施形態に係る半導体装置は3つ以上の半導体メモリチップを備えていてもよい。また、例えば、4つまたは8つの積層された半導体メモリチップを用いて本開示の実施形態に係る半導体装置を構成することも可能である。
【0066】
また、上述してきた実施形態においては適宜省略していたが、上記実施形態の半導体装置においては、さらに、配線基板20上に設けられた半導体メモリチップ60および/またはキャパシタ50を覆うように封止樹脂層98が設けられていてもよい。
【0067】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0068】
10、30、40、90 半導体装置
20 配線基板
28a、28b 基板側パッド部
28a1、28a2、28a3、28a4、28a5、28a11、28a12、28a13、28a14、28a15 パッド部
50 キャパシタ
50A 第1電極
50B 第2電極
52 キャパシタ
56 誘電体
58a1、58a5、58a9 パッド部
58b3、58b7、58b11 パッド部
60、60A、60B、60C、60D、60N 半導体メモリチップ
62、62A、62B、62C、62D、62N 半導体メモリチップ
68A VCCQ端子
68B VSS端子
68a1、68a2、68a3、68a4、68a5、68a11、68a12、68a13、68a14、68a15 パッド部
68b1、68b2、68b3、68b4、68b5、68b6、68b7、68b8、68b9、68b10、68b11、68b12、68b13、68b14、68b15 パッド部
68c1、68c2、68c3、68c4、68c5、68c11、68c12、68c13、68c14、68c15 パッド部
68d1、68d2、68d3、68d4、68d5、68d11、68d12、68d13、68d14、68d15 パッド部
68n1、68n2、68n3、68n4、68n5、68n11、68n12、68n13、68n14、68n15 パッド部
70 再配線層
72 絶縁層
78 再配線構造
78a 第1パッド部
78b 第2パッド部
78c 第1再配線構造部
78d 第2再配線構造部
80、82 ボンディングワイヤ
80A、80A1、80A5、80A9、80a 第1配線(第1ボンディングワイヤ)
80B、80B3、80B7、80B11、80b 第2配線(第2ボンディングワイヤ)
86aa1、86ab1、86ac1、86ad1、86dn1 ボンディングワイヤ
86aa2、86ab2、86ac2、86ad2 ボンディングワイヤ
86aa3、86ab3、86ac3、86ad3、86dn3 ボンディングワイヤ
86aa4、86ab4、86ac4、86ad4 ボンディングワイヤ
86aa5、86ab5、86ac5、86ad5、86dn5 ボンディングワイヤ
86aa11、86ab11、86ac11、86ad11、86dn11 ボンディングワイヤ
86ad12 ボンディングワイヤ
86ac13 ボンディングワイヤ
86aa14 ボンディングワイヤ
86ab15 ボンディングワイヤ
94 保護膜
96 接着層
98 封止樹脂層
100、200 比較例の半導体装置
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7