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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184165
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
A61B6/00 360Z
A61B6/00 330A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098151
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣重 陽
(72)【発明者】
【氏名】種田 敦
(72)【発明者】
【氏名】林 直輝
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA26
4C093CA15
4C093FA05
4C093FA13
4C093FA32
4C093FB09
4C093FF31
4C093FG13
(57)【要約】
【課題】放射線画像に所定の処理を実行する作業負担をより低減できる。
【解決手段】撮影制御装置11(制御装置)は、放射線画像を取得する第1取得部(制御部111)と、第1取得部により取得された放射線画像に対し、所定の処理(後処理)を実行する処理部(制御部111)と、放射線画像の撮影条件を取得する第2取得部(制御部111)と、第2取得部により取得された撮影条件に基づいて、処理部によって実行する所定の処理の種類と処理条件を自動で決定する決定部(制御部111)と、を備え、処理部は、決定部により決定された所定の処理を実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線画像を取得する第1取得部と、
前記第1取得部により取得された前記放射線画像に対し、所定の処理を実行する処理部と、
前記放射線画像の撮影条件を取得する第2取得部と、
前記第2取得部により取得された前記撮影条件に基づいて、前記処理部によって実行する前記所定の処理の種類と処理条件を自動で決定する決定部と、
を備え、
前記処理部は、前記決定部により決定された前記所定の処理を実行する制御装置。
【請求項2】
前記決定部は、機械学習、統計情報、及び過去に撮影された放射線画像に実行された所定の処理の内容のいずれかに基づいて、前記所定の処理の種類と処理条件を自動で決定する請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記処理部により前記所定の処理を実行された放射線画像を表示部に表示する表示制御部を備える請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記放射線画像は、複数のフレーム画像を含む請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項5】
放射線画像を取得する第1取得工程と、
前記第1取得工程により取得された前記放射線画像に対し、所定の処理を実行する処理工程と、
前記放射線画像の撮影条件を取得する第2取得工程と、
前記第2取得工程により取得された前記撮影条件に基づいて、前記処理工程によって実行する前記所定の処理の種類と処理条件を自動で決定する決定工程と、
を含み、
前記処理工程は、前記決定工程により決定された前記所定の処理を実行する制御方法。
【請求項6】
制御装置に用いられるコンピューターを、
放射線画像を取得する第1取得部、
前記第1取得部により取得された前記放射線画像に対し、所定の処理を実行する処理部、
前記放射線画像の撮影条件を取得する第2取得部、
前記第2取得部により取得された前記撮影条件に基づいて、前記処理部によって実行する前記所定の処理の種類と処理条件を自動で決定する決定部、
として機能させ、
前記処理部は、前記決定部により決定された前記所定の処理を実行するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野では、放射線撮影システムにおいて撮影された画像に所定の処理を実行することが行われている。例えば、特許文献1には、被検体の撮影に関する情報に基づいて、撮影された画像に、基準日時から撮影日時までの経過時間を示す情報を付することが記載されている。
【0003】
ところで、放射線撮影時には、ポジショニングから撮影、撮影後に画像確認と所定の処理の実行までの一連の撮影作業を要する。
放射線撮影を行う技師は、一日に多数の撮影作業を行う場合がある。また放射線撮影時において被検者の身体的な負担を下げるためにも被検者をなるべく早く解放することが好ましい。そのため、技師には、撮影作業を短時間で実行、完了することが求められる。
また、撮影画像は臨床医や読影医にとって診やすい画像であることが求められ、撮影画像に対して後処理と呼ばれる所定の処理を適切に実行することが重要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-87279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一日の限られた時間の中で、多数の撮影業務と、診やすい画像となるような適切な所定の処理の実行を両立することは難しく、技師の負担が大きくなるとともに、撮影待ち時間が長くなるなどの患者や病院運営にも負担をかけていた。
特許文献1の発明では、経過観察に対して経過時間という補足情報を付与することは行っているが、特定ケースでの一つの情報を付属させたに過ぎず、一日に生じる多数の検査に対して効率的に処理を進めるような改善は見込めず、負担低減としては不十分であった。
【0006】
本発明の課題は、放射線画像に所定の処理を実行する作業負担をより低減できる制御装置、制御方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、請求項1に記載の制御装置は、
放射線画像を取得する第1取得部と、
前記第1取得部により取得された前記放射線画像に対し、所定の処理を実行する処理部と、
前記放射線画像の撮影条件を取得する第2取得部と、
前記第2取得部により取得された前記撮影条件に基づいて、前記処理部によって実行する前記所定の処理の種類と処理条件を自動で決定する決定部と、
を備え、
前記処理部は、前記決定部により決定された前記所定の処理を実行する。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の制御装置において、
前記決定部は、機械学習、統計情報、及び過去に撮影された放射線画像に実行された所定の処理の内容のいずれかに基づいて、前記所定の処理の種類と処理条件を自動で決定する。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の制御装置において、
前記処理部により前記所定の処理を実行された放射線画像を表示部に表示する表示制御部を備える。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の制御装置において、
前記放射線画像は、複数のフレーム画像を含む。
【0011】
また、請求項5に記載の制御方法は、
放射線画像を取得する第1取得工程と、
前記第1取得工程により取得された前記放射線画像に対し、所定の処理を実行する処理工程と、
前記放射線画像の撮影条件を取得する第2取得工程と、
前記第2取得工程により取得された前記撮影条件に基づいて、前記処理工程によって実行する前記所定の処理の種類と処理条件を自動で決定する決定工程と、
を含み、
前記処理工程は、前記決定工程により決定された前記所定の処理を実行する。
【0012】
また、請求項6に記載のプログラムは、
制御装置に用いられるコンピューターを、
放射線画像を取得する第1取得部、
前記取得部により取得された前記放射線画像に対し、所定の処理を実行する処理部、
前記放射線画像の撮影条件を取得する第2取得部、
前記第2取得部により取得された前記撮影条件に基づいて、前記処理部によって実行する前記所定の処理の種類と処理条件を自動で決定する決定部、
として機能させ、
前記処理部は、前記決定部により決定された前記所定の処理を実行する。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、放射線画像に所定の処理を実行する作業負担をより低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係るX線撮影システムを示す図である。
図2】撮影制御装置の構成を示す図である。
図3】撮影処理の流れを示すフローチャートである。
図4】撮影制御装置の検査画面の一例を示す図である。
図5】後処理判断処理の流れを示すフローチャートである。
図6】撮影制御装置の検査画面の一例を示す図である。
図7】撮影制御装置の検査画面の一例を示す図である。
図8】撮影制御装置の検査画面の一例を示す図である。
図9A】撮影制御装置の検査画面の一例を示す図である。
図9B】撮影制御装置の検査画面の一例を示す図である。
図10】撮影制御装置の検査画面の一例を示す図である。
図11】撮影制御装置の検査画面の一例を示す図である。
図12】今回の後処理と前回の後処理の比較を示す図である。
図13】今回の後処理の内容を示す図である。
図14】撮影制御装置の検査画面の一例を示す図である。
図15】後処理決定処理の流れを示すフローチャートである。
図16】特定の撮影部位及び特定の場合ごとの後処理の種類の例を示す図である。
図17】撮影制御装置の検査画面の一例を示す図である。
図18】撮影制御装置の検査画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0016】
<第1実施形態>
図1は、本発明の一実施の形態に係るX線撮影システム1を示す図である。
X線撮影システム1は、X線発生装置20とX線撮影装置10との間で互いに信号等をやりとりして、両者を連携させながらX線(放射線)撮影(以下、撮影と表記)を行う一体型の撮影システムである。
【0017】
(X線撮影システムの構成)
図1に示すように、X線撮影システム1は、X線撮影装置10及びX線発生装置20を備える。
X線撮影システム1は、通信ネットワークを介して、画像保存通信システム(PACS:Picture Archiving and Communication Systems)31、病院情報システム(HIS:Hospital Information Systems)32、及び放射線科情報システム(RIS:Radiology Information Systems)33に接続される。
X線撮影システム1、PACS31、HIS32、及びRIS33を含む通信ネットワークにおいては、例えば、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に従って情報の送受信が行われる。
【0018】
X線撮影装置10は、制御装置としての撮影制御装置11、FPD(Flat Panel Display)12、撮影台13、及び中継器14等を備える。
X線撮影装置10は、例えば、胸部、腹部等の撮影対象部位(以下、撮影部位と表記)を透過したX線を可視化して、体内の状態を示すX線画像(以下、画像と表記)を撮影する。
【0019】
FPD12は、X線管装置25から照射され被検体を透過したX線を検出し、画像データを出力する撮像装置である。
FPD12は、例えば、撮影台13に装着され、有線通信によって撮影台13及び中継器14を介して撮影制御装置11と通信可能に接続される。
FPD12は、無線通信によって撮影制御装置11と接続されてもよい。FPD12が無線通信機能を有する場合、専用の撮影台13に装着するのではなく、FPD12を、被検体が仰臥するベッド上に置いたり、被検体自身に持たせたりして使用することもできる。
【0020】
FPD12は、例えば、入射したX線を光に変換するシンチレーター、画素に対応してマトリックス状に配置されたPD(Photo Diode)、及び各PDに対応して配置されたTFT(Thin Film Transistor)スイッチを有する(いずれも図示略)。
入射したX線はシンチレーターで光に変換され、PDに入射して画素ごとに電荷として蓄積される。PDに蓄積された電荷は、TFTスイッチ及び信号線を介して流れ出し、増幅、A/D変換されて画像データとして撮影制御装置11に出力される。
なお、FPD12は、上述した間接変換型であってもよいし、X線を直接電気信号に変換する直接変換型であってもよい。
【0021】
撮影台13は、FPD12のX線入射面がX線管装置25と対向する姿勢となるように、FPD12を着脱自在に保持する。図1では、撮影台13として、被検体を立位姿勢で撮影する立位用撮影台を例示している。
撮影台13は、被検体を臥位姿勢で撮影する臥位用撮影台でもよい。
撮影台13は、例えば、有線通信によって中継器14を介して撮影制御装置11と通信可能に接続される。
【0022】
撮影制御装置11は、X線発生用制御装置21と連携してX線撮影システム1を制御する。撮影制御装置11は、例えば、FPD12に対して検出条件を送信し、設定する。検出条件は、撮影する画像サイズ、フレームレート(動態撮影の場合)、及びFPD12で実行される信号処理に関する情報(例えば、増幅器のゲイン等)を含む。撮影制御装置11は、FPD12の各動作を制御するとともに、FPD12から画像データを取得し、所定の画像処理を施して表示部113(図2参照)に表示させる。
【0023】
なお、撮影制御装置11は、X線発生装置20の一部を構成してもよい。例えば、撮影制御装置11は、X線発生装置20のX線発生用コンソール22としての機能を有することができる(いわゆる一体型X線撮影システム)。
また、X線撮影システム1は、図示しない表示端末装置を有していてもよい。当該表示端末装置において、表示部113で表示する内容と同じもの、もしくは表示部113で表示する内容の一部を表示してもよいし、当該表示端末装置において、画像処理やX線発生用コンソール22の一部機能を使用可能としてもよい。
【0024】
X線発生装置20は、X線発生用制御装置21、X線発生用コンソール22、照射スイッチ23、高電圧発生装置24、及びX線管装置25を備える。
【0025】
X線管装置25は、被検体を挟んでFPD12と対向する位置に配置される。X線管装置25は、高電圧発生装置24によって高電圧が印加されることにより、X線を発生し、被検体に向けて照射する。X線管装置25は、X線の照射野を調整するX線可動絞りを含む。
【0026】
X線発生用コンソール22及び照射スイッチ23は、X線発生用制御装置21に信号ケーブルを介して接続される。
X線発生用コンソール22は、照射パラメーターの入力等を行うための操作卓である。照射スイッチ23は、X線の照射を指示するためのスイッチであり、例えば、二段階の自動復帰型押しボタンスイッチで構成される。照射スイッチ23において、一段階目の押下操作が行われると、X線管装置25のウォームアップを開始させるためのウォームアップ開始信号がX線発生用制御装置21に送信され、二段階目の押下操作が行われると、X線管装置25にX線の照射を開始させるための照射開始信号がX線発生用制御装置21に送信される。
【0027】
X線発生用制御装置21は、X線発生用コンソール22からの照射パラメーター(放射線照射パラメーター)及び照射スイッチ23からの制御信号(ウォームアップ開始信号及び照射開始信号)に基づいて、高電圧発生装置24及びX線管装置25の動作を制御する。
【0028】
照射パラメーターは、X線発生用コンソール22を通じて設定することもできるし、撮影制御装置11を利用して設定することもできる。
【0029】
図2は、撮影制御装置11の構成を示す図である。図2に示すように、撮影制御装置11は、制御部111、記憶部112、表示部113、操作部114、及び通信部115等を備える。
【0030】
制御部111は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備える(いずれも図示略)。
ROMには、基本プログラムや基本的な設定データが記憶される。
CPUは、ROM又は記憶部112から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムを実行することにより、FPD12等の動作を集中制御する。
【0031】
また、制御部111は、所定の条件を満たす複数の放射線画像を取得する。ここで、制御部111は取得部として機能する。
また、制御部111は、取得部により取得された複数の放射線画像の中から、後処理(所定の処理)を行う放射線画像を特定する。ここで、制御部111は特定部として機能する。
また、制御部111は、特定部によって特定された後処理(所定の処理)を行う放射線画像と、特定部によって特定されない放射線画像とを識別する表示を行う。ここで、制御部111は表示制御部として機能する。
また、制御部111は、特定部により特定された後処理(所定の処理)を行う放射線画像に対し後処理(所定の処理)を実行する。ここで、制御部111は処理部として機能する。
また、制御部111は、特定部により特定された後処理(所定の処理)を行う放射線画像に対するユーザーによる後処理(所定の処理)の実行を受け付ける。ここで、制御部111は受付部として機能する。
【0032】
記憶部112は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置である。記憶部112は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の光ディスク、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気ディスクを駆動して情報を読み書きするディスクドライブであってもよい。また例えば、記憶部112は、USBメモリ、SDカード等のメモリカードであってもよい。
記憶部112は、制御部111で実行される各種プログラムや、プログラムの実行に必要なパラメーター、及び処理結果等のデータを記憶する。
また、記憶部112は、X線撮影装置10により撮影された画像を記憶する。
また、記憶部112は、検査オーダー情報を記憶する。
検査オーダー情報は、被検体である患者の患者情報(例えば、患者ID、患者名、生年月日、性別、患者の所在場所)、撮影条件、検査項目(肺換気機能、肺血流など)、被検体の検査履歴(前回検査時の撮影条件など)、依頼情報(依頼科、担当医、依頼コメントなど)を含む。
上記撮影条件は、撮影時の姿勢情報(例えば、姿勢(立位/臥位))、照射方向(背面/前面/側面)、撮影部位情報(例えば、胸部)、管電圧や管電流、照射時間(mAs値)、フレームレート(動態撮影の場合)、被検者の体格、及びグリッドの有無等を含む。
【0033】
表示部113は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイで構成される。
表示部113は、制御部111からの表示制御信号に基づいて、検査オーダーの内容や、撮影された画像を表示する。
【0034】
操作部114は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を有するキーボードと、マウス等のポインティングデバイスで構成される。
操作部114は、キー操作やマウス操作により入力された操作信号を受け付け、制御部111に出力する。
【0035】
なお、表示部113及び操作部114は、例えば、タッチパネル付きのフラットパネルディスプレイのように一体的に構成されてもよい。
【0036】
通信部115は、例えばNIC(Network Interface Card)、MODEM(Modulator-DEModulator)、USB(Universal Serial Bus)等の通信インターフェースである。
制御部111は、通信部115を介して、有線/無線LAN等のネットワークに接続された装置との間で、DICOM規格に従って各種情報の送受信を行う。
通信部115には、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信用の通信インターフェースを適用することもできる。
【0037】
(X線撮影システムの動作)
次に、図3に示すX線撮影システム1における撮影処理を説明する。
ここで、撮影制御装置11には予め検査オーダーが登録されているとする。検査オーダーは、HIS32やRIS33等の外部システムから入力されてもよいし、ユーザーである撮影実施者(技師、読影医、診断医師等)により操作部114を通じて手動入力されてもよい。
【0038】
(撮影処理)
撮影処理において、まず、撮影制御装置11の制御部111は、表示部113に図4に示す検査画面113aを表示し、撮影実施者による撮影を実施する検査オーダーの選択を受け付ける(ステップS1)。撮影実施者は、撮影選択ボタンA1を押下することで、登録された検査オーダーの中から撮影を実施する検査オーダーを選択する。
【0039】
図4に、表示部113に表示される検査画面113aの例を示す。
検査画面113aには、検査オーダー情報に含まれる各撮影の内容(撮影部位、撮影方向等)が表示された撮影選択ボタンA1の他、選択された撮影の画像調整を行うための設定領域A2、撮影された画像を表示するための画像表示領域A3、写損ボタンA4、出力ボタンA5、画像を後処理対象とするための後処理予約ボタンA6、画像表示領域A3に表示する画像を切り替えるための切り替えボタンA7、検査終了ボタンA8等が設けられている。なお、ステップS1の段階では、画像表示領域A3にはまだ画像は表示されていない。
【0040】
検査オーダーが選択されると、制御部111は、検査オーダーに含まれる撮影条件をX線発生用制御装置21及びFPD12に送信し、設定する(ステップS2)。
その間に、撮影実施者は、被検者をX線管装置25と撮影台13の間に配置してポジショニングを行う。ここで、ポジショニングとは、例えば、撮影時の被検者の体位の取り方のことである。また、撮影実施者は、被検者に対し、例えば呼吸状態(深呼吸等)を指示する。
【0041】
次に、制御部111は、撮影実施者による照射スイッチ23の押下操作を受け付け、撮影を行う(ステップS3)。
単純X線撮影のように照射時間が設定されている場合は、所定の照射時間が経過すると、X線の照射が終了する。動態撮影の場合は、照射スイッチ23の二段階目の押下操作が行われている期間、X線の照射が連続して行われ、照射スイッチ23の押下操作が解放されると、X線の照射が終了する。
撮影された画像は、FPD12から撮影制御装置11に送信される。
ここで、撮影実施者は上記撮影を複数回行った状態であるとする。つまり、制御部111は、同一撮影実施者により撮影された複数の放射線画像(所定の条件を満たす複数の放射線画像)を取得する。なお、上記所定の条件を満たす複数の放射線画像は、検査オーダーに伴う複数の放射線画像、同一被検者を撮影した複数の放射線画像、同一撮影日に撮影した複数の放射線画像、同一撮影部位を撮影した複数の放射線画像、または所定の時間内に撮影した複数の放射線画像であってもよい。また、所定の条件を満たす複数の放射線画像は、一検査において撮影された複数の放射線画像であればよく、当該複数の放射線画像において、それぞれの撮影実施者、撮影部位、依頼科が異なっていてもよい。また、当該複数の放射線画像において、同一被検者、同一撮影日、同一撮影部位、同一撮影実施者、及び所定時間内撮影のうちの複数の条件を満たしていてもよい。また、上記所定の条件を満たす複数の放射線画像は、一回の動態撮影により撮影された複数のフレーム画像であってもよい。また、上記所定の条件を満たす複数の放射線画像は、一検査における複数の動態撮影により撮影された複数のフレーム画像であってもよい。
そして、制御部111は、図4に示すように、取得した画像A31及び上記撮影の撮影条件A32を画像表示領域A3に表示する。
【0042】
次に、制御部111は、撮影実施者による画像表示領域A3に表示された画像を写損とするか否かの判断(写損判断)を受け付ける(ステップS4)。撮影実施者は、写損とする場合、写損ボタンA4を押下する。
次に、制御部111は、画像に施す所定の処理としての後処理が必要か否かの判断(図5に示す後処理判断処理)を行う(ステップS5)。
上記後処理は、ROI(Region Of Interest)調整、有効画像領域設定、S/G値調整、回転/反転/任意角度回転、画像処理(E処理/F処理/H処理/散乱線補正/画像処理条件変更等)、強調処理(周波数強調処理であるカテーテル先強調処理、ガーゼ強調処理/その他強調処理等)、グリッド目除去処理、マスキング、トリミング、マーカー/スタンプ/オーバーレイ、出力設定のうち少なくとも一つを含む。
【0043】
(後処理判断処理)
後処理判断処理において、制御部111は、ステップS3において撮影した(今回撮影した)画像に後処理を施す必要があるか否かを判断し、当該判断結果を記憶部112に記憶する(ステップS11)。つまり、制御部111は、取得部により取得された複数の放射線画像の中から、所定の処理(後処理)を行う放射線画像を特定する。なお、今回の撮影が動態撮影である場合、制御部111は、フレーム画像単位で当該判断を行ってもよいし、一撮影として複数フレーム画像をまとめて当該判断を行ってもよい。
具体的には、制御部111は、今回撮影した画像と、予め設定された比較対象である画像とを比較し、当該比較結果に基づいて後処理の要否を判断する。
例えば、比較対象の画像が、今回撮影した撮影部位と同一撮影部位を撮影した前回の画像である場合、制御部111は、今回撮影した画像と前回撮影した画像とにおいて、撮影条件、アライメント、または解像度等に差異が無い場合は後処理が不要であると判断する。
また、制御部111は、今回撮影した画像と、前回撮影した同一撮影部位の画像とを比較し、上記差異があった場合、図4に示すように、当該差異を示す比較結果A322を、後処理が必要であることを示すための情報として、もしくは、後処理を行う際の重点的に確認、調整を行うための補情報として、画像表示領域A3に表示する。そのため、比較結果A322は、特定の構造物の座標差異を単に示すだけでなく、差異の許容可能な閾値をもって、どれだけズレを正せばよいかの補正目安値を示してもよい。
【0044】
また、制御部111は、予め設定された比較対象の画像に施された後処理に基づいて、今回撮影した画像への後処理の要否を判断する。
例えば、比較対象の画像が、今回撮影した撮影部位と同一撮影部位を撮影した前回の画像であり、前回の画像に施された後処理が所定の固定処理のみである場合、制御部111は、今回撮影した画像に自動で同一固定処理を施し、他の後処理は不要であると判断する。当該固定処理とは、予め設定された基本的な処理である。具体的には、左右方向を示すアノテーションの付与や、撮影時のグリッド使用に応じた散乱線補正処理の適用要否が挙げられる。その他にも、経過観察の場合は過去画像と同じサイズで読影したいことが多いため、トリミングによる自動調整や、特定モダリティでは画像処理系は不要とし、保存目的での出力処理のみ行うなどが挙げられる。
【0045】
また、制御部111は、今回撮影した画像が特定の条件に該当する場合に、今回撮影した画像への後処理が不要であると判断する。当該特定の条件は、特定の撮影部位、特定の用途、呼吸周期等である。
例えば、制御部111は、今回撮影した画像の撮影部位が一般撮影として撮影頻度の多い胸部正面/側面である場合、画像処理条件が固定化、ルーチン化されていることが多いことから、後処理が不要であると判断する。また、撮影部位が膝関節等の整形関節系である場合、照射方向や被写体の角度によって、関心領域の見易さが変わることが多く、後処理によりその診易さを補助することも多いことから、後処理が必要であると判断する。また、撮影部位が胸部正面/側面であり、且つ特定の依頼科や依頼医である場合、臨床医毎に階調処理度合いの好みを配慮し、後処理を必要と判断することも可能である。一例として、撮影部位に基づいて判断しているが、他の条件との組み合わせにより後処理の要否を判断してもよい。
また、例えば、制御部111は、今回撮影した画像が特定の用途として手術に使用される場合、撮影した画像は即時に確認されるため、今回撮影した画像への後処理は不要であると判断する。
【0046】
また、制御部111は、ユーザーの入力操作に基づいて、今回撮影した画像への後処理の要否を判断する。ここでのユーザーは、撮影実施者以外の技師、読影医、または診断医師等であってもよい。
具体的には、制御部111は、後処理予約ボタンA6により、今回撮影した画像に後処理を施すか否かのユーザーによる判断を受け付ける。ユーザーは、今回撮影した画像に後処理を施すと判断した場合に後処理予約ボタンA6を押下する。そして、制御部111は、後処理予約ボタンA6が押下された場合、後処理は必要であると判断する。
【0047】
また、制御部111は、外部情報に基づいて、今回撮影した画像への後処理の要否を判断する。
例えば、X線撮影システム1が、X線管装置25からX線が照射される領域の少なくとも一部の領域を含む範囲の光学画像を撮像する光学カメラ(図示無し)を備える場合を説明する。つまり、当該光学カメラは、X線が照射される領域に限らず、被検者全体やX線撮影装置10を含む範囲を撮像してもよい。
この場合、制御部111は、外部情報としての光学画像に基づいて今回撮影した画像の撮影方向を判定し、今回撮影した画像に判定した撮影方向をアノテーションで付与する処理を施す。そして制御部111は、当該処理は後処理において不要であると判断する。
なお、例えば、制御部111は、外部情報としての光学画像に基づいてガーゼ等の異物検出を行ってもよい。ガーゼ等の異物が検出されない場合、制御部111は、後処理においてカテーテル先強調処理、及びガーゼ強調処理は不要であると判断する。
また、例えば、制御部111は、外部情報としての光学画像に基づいて今回の撮影にグリッドが用いられたかを判定してもよい。グリッドが用いられていない場合、制御部111は、後処理においてグリッド目除去処理は不要であると判断する。
【0048】
また、例えば、制御部111は、外部情報としての光学画像に基づいて撮影時の被検者の体勢を判定し、今回撮影した画像に判定した被検者の体勢をアノテーションやコメントで付与する処理を施す。そして制御部111は、当該処理は後処理において不要であると判断する。
また、例えば、制御部111は、外部情報としての光学画像に基づいて撮影時の被検者の体勢を判定し、被検者及びX線の照射位置、またはX線の照射方向(例えば、被検者の背中から照射、被検者の正面から照射等)に基づいて後処理の要否を判断する。例えば、撮影部位が足首である場合、制御部111は、撮影台上で被検者が足を立てた状態か、または横にした状態かという被検者の体勢を判定し、さらに前回撮影時の被検者の体勢と同一かを判断する。そして制御部111は当該判断結果に基づいて後処理の要否を判断する。
また、例えば、制御部111は、外部情報としての光学画像に基づいて、被検者が座って撮影したか、立って撮影したかを判定し、当該判定結果に基づいて被検者の足への荷重状態や重力方向を判断する。
このように、制御部111が撮影時の被検者の体勢を判定する場合、外部情報としての光学画像は、被検者全体を撮影したものを用いる場合がある。
【0049】
次に、制御部111は、ステップS11において後処理が必要であると判断した画像と、後処理が必要でないと判断した画像とを識別できるように検査画面113aにおいて表示制御を行い(ステップS12)、本処理を終了する。
具体的には、制御部111は、後処理が必要であると判断した画像に識別マーク等を付ける。
例えば、制御部111は、図6に示すように、後処理が必要であると判断した画像に、識別マークとしての後処理予約マークB1を付与する。
なお、制御部111は、後処理が必要でないと判断した画像に、後処理が必要でないことを示す識別マーク等を付けてもよい。
また、制御部111は、上記識別マークの代わりに、文字や記号を画像に付与してもよい。
また、制御部111は、識別マーク、または識別用の文字や記号を、画像上以外に、撮影選択ボタンA1、撮影選択ボタンA1内のサムネイル、ダイアログ表示のうちのいずれかにおいて表示するとしてもよい。撮影選択ボタンA1に対応する一撮影が複数の画像を有する場合、制御部111は、複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像に対して後処理が必要であると判断したときに、識別マーク、または識別用の文字や記号を撮影選択ボタンA1に付与する。
また、撮影選択ボタンA1の色や形状を異ならせることにより、後処理が必要であると判断した画像と、後処理が必要でないと判断した画像とを識別できるようにしてもよい。
【0050】
なお、図6に示す例においては、患者IDが「ccj」である一患者の複数の検査オーダーが示されており、当該検査オーダーにより撮影された画像の中で後処理が必要であるものに識別マークが付与されているがこれに限らない。一検査オーダーが一行で表示されるような検査リスト画面(図示なし)において、後処理が必要である画像が含まれる検査オーダーに識別マーク等を付与してもよい。
【0051】
また、制御部111は、図6に示すように、ステップS11において今回撮影した画像に後処理を施す必要があるか否かを判断した理由B2をオーバーレイやコメント等で検査画面113a内に表示してもよい。
【0052】
また、制御部111は、後処理が必要であると判断した画像のみを画像表示領域A3において表示できるようにしてもよい。
例えば、切り替えボタンA7により画像表示領域A3に表示する画像を切り替える際に、制御部111は、後処理が必要でないと判断した画像を切り替えボタンA7により切り替えられる対象外(切替対象外)とする。なお、検査オーダー一覧から撮影選択ボタンA1により所定の撮影が選択された場合には、制御部111は、当該撮影に対応する画像が切替対象外であっても画像表示領域A3に表示するとしてもよい。
【0053】
また、今回の撮影が動態撮影で、制御部111がフレーム画像単位で後処理の要否を判断した場合であり、且つ後処理が必要であると判断されたフレーム画像のみを表示部113に表示する場合を説明する。これは、例えば、一撮影の全フレーム画像の中から診るべき範囲(臨床医等に提供すべき範囲)が特定できる場合(例えば呼吸の1サイクル等に限定できる場合)である。
この場合、図7に示すように、検査画面113aの下部には、シークバー(再生バー)Sが設けられる。シークバーSに表示されているスライダーSaは、現在画像表示領域A3に表示されているフレーム画像の動態画像全体における位置を示す。
制御部111は、シークバーSにおいて、後処理が必要であると判断したフレーム画像の範囲と、後処理が必要でないと判断したフレーム画像の範囲とを色分けして表示する。図7に示す例では、後処理が必要であると判断されたフレーム画像の範囲がハッチング、後処理が必要でないと判断されたフレーム画像の範囲が白で表示されている。また、スライダーSaは、ハッチングで表示された範囲(後処理が必要であると判断されたフレーム画像の範囲)のみを移動することができる。
また、今回の撮影が動態撮影であって、切り替えボタンA7により画像表示領域A3に表示するフレーム画像を切り替える場合に、制御部111は、後処理が必要であると判断したフレーム画像の範囲に限定して切り替える。つまり、制御部111は、後処理が必要でないと判断したフレーム画像を切り替えボタンA7により切り替えられる対象外(切替対象外)とする。
【0054】
また、今回の撮影が動態撮影で、制御部111がフレーム画像単位で後処理の要否を判断した結果、一撮影の全フレーム画像が後処理の対象であると判断する場合を説明する。これは、例えば、1回の撮影が呼吸の1サイクルに至っていない場合や、後処理が必要であると判断したフレーム画像に対し、前後のフレーム画像等の時系列や差分処理が必要な場合である。具体的には、最大吸気のフレーム画像に対して階調処理が必要である場合であって、動画としてみる場合には前後のフレーム画像を含めた階調の整合が必要となる。そのため、後処理が必要であると判断したフレーム画像以外の他のフレーム画像に対しても後処理が必要となり、その結果、全フレーム画像に対して後処理が必要となる場合がある。この場合、制御部111は全フレーム画像を表示部113において表示可能とする。
なお、上記のような場合においても、事前に検査オーダー情報等により検査目的や解析目的が確認できた場合には、制御部111はその検査目的や解析目的に応じて後処理が必要となるフレーム画像の範囲を特定できるか判断し、特定できる場合は、図7のように後処理が必要となるフレーム画像のみを表示部113に表示してもよい。
【0055】
また、制御部111は、ステップS11で後処理において不要であると判断した処理を実施できないように検査画面113aにおいて表示制御を行う。
例えば、制御部111は、図6に示すように、設定領域A2の一部のボタンをグレーアウト(図6において破線で表記)し、選択できないようにする。なお、制御部111は、後処理において不要であると判断した処理を選択するボタンを検査画面113aにおいて非表示としてもよい。また、制御部111は、後処理において必要であると判断した処理を選択するボタンのみを検査画面113aに表示させてもよい。
【0056】
なお、制御部111は、ステップS11において、後処理が必要であると判断した画像に必要度合い(優先度)を設定してもよい。優先度は例えば、「後処理が必要」、「後処理を行ったほうがよい」、「念のため確認したほうがよい」等であり、操作部114を介してユーザーにより入力されてもよいし、制御部111により設定されてもよい。
そして、制御部111は、ステップS12において、ステップS11で設定した優先度に応じた表示制御を行う。具体的には、制御部111は、優先度に応じたマークや文字を画像に付与したり、画像の色を変えたりして、優先度を識別できるようにする。当該文字は、例えば「要確認」、「念のため」等である。
【0057】
また、制御部111は、ステップS12において、ステップS11で後処理のうち必要であると判断した処理に応じた表示制御を行ってもよい。当該処理は例えば、階調調整、出力先の見直し、マスキングの範囲の再調整等である。
具体的には、制御部111は、それぞれ必要であると判断した処理に応じたマークや文字を画像に付与したり、画像の色を変えたりして、それぞれの処理の違いを識別できるようにする。
また、制御部111は、それぞれ必要であると判断した処理に応じたコメント等を検査画面113a内に表示させてもよい。当該コメントは、操作部114を介してユーザーにより入力されてもよいし、制御部111により設定されてもよい。
【0058】
図3に戻り、後処理判断処理が終了すると、撮影実施者は、被検者をポジショニングを行った状態から解放する。
次に、制御部111は、ステップS5において後処理が必要であると判断した画像へのユーザーによる後処理の実施を受け付け(ステップS6)、本処理をステップS1に移行して次の撮影に移る。つまり、制御部111は、特定部により特定された放射線画像に対するユーザーによる所定の処理(後処理)の実行を受け付ける。ここでのユーザーは、撮影実施者以外の技師、読影医、または診断医師等であってもよい。撮影の実施、写損判断、及び後処理の要否判断を行うユーザーと、後処理を実施するユーザーとを分けることで、撮影制御装置11と通信可能な後処理を実施するユーザーが使用する端末装置において、複数の検査の後処理をまとめて実施することが可能となる。また、撮影の実施及び写損判断を行うユーザーと、後処理の要否判断を行うユーザーと、後処理を実施するユーザーとが別であってもよい。
また、制御部111は、ステップS6において、画像への後処理の実施結果(実施有無)を記憶部112に記憶する。
【0059】
なお、ステップS6において、制御部111は、ステップS5において後処理が必要であると判断した画像に後処理を自ら実施してもよい。つまり、制御部111は、特定部により特定された放射線画像に対し所定の処理(後処理)を実行する。
制御部111が、ステップS5において後処理が必要であると判断した画像に後処理を自ら実施する例を説明する。
例えば、制御部111は、今回撮影した撮影部位と同一撮影部位を撮影した前回の画像に適用した固定処理(階調処理やトリミング等)を、後処理が必要であると判断した画像に実施する。
また、制御部111は、光学画像に基づいて判定した被検者の体勢情報をアノテーションとして、後処理が必要であると判断した画像に付与する。
また、制御部111は、患者情報に基づいて患者の所在場所は手術室であると判断した場合、後処理が必要であると判断した画像にガーゼ強調処理等を適用し、ガーゼ強調処理画像を生成する。
また、患者の所在場所がICU(集中治療室(Intensive Care Unit))やNICU(新生児特定集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit))である場合は、早めに撤収する必要あるため、撮影後の後処理の実施にあまり時間をかけられない可能性がある。そのため、制御部111は、患者情報に基づいて患者の所在場所はICUやNICUであると判断した場合、後処理が必要であると判断した画像に処理時間が短い後処理を実施する、または負荷が比較的小さい後処理を実施する。例えば、制御部111は、今回の撮影が静止画である場合、静止画への後処理の処理負荷は比較的小さいため、後処理が必要であると判断した画像に後処理を実施する。一方で、今回の撮影が動態撮影である場合、動態画像は複数のフレーム画像を有しており、動態画像への後処理は静止画への後処理と比較として処理負荷が大きいため、制御部111は、今回撮影した画像についてオリジナル画像のまま表示部113に表示させる。
また、制御部111が、後処理が必要であると判断した画像に自ら実施する後処理の処理時間の許容範囲や後処理の種類を施設や環境に応じて予め設定しておいてもよい。
【0060】
また、ステップS6において、制御部111がステップS5で後処理が必要であると判断した画像に後処理を自ら実施し、且つユーザーにより後処理が施されなかった場合に、制御部111は、検査終了ボタンA8が押下された際に、検査画面113aに後処理は自動で実施されたが、ユーザーによる後処理は実施されていない旨を通知する注意ダイアログを表示するとしてもよい。
また、ステップS6において、ステップS5で後処理が必要であると判断された画像に制御部111及びユーザーにより後処理が施されないまま、検査終了ボタンA8が押下された場合、制御部111は、検査画面113aに後処理が実施されていない旨を通知する注意ダイアログを表示するとしてもよい。
【0061】
(後処理実施後表示処理)
次に、上記撮影処理のステップS6においてユーザーが後処理を施した画像、及びユーザーが後処理を施していない画像の表示を制御する後処理実施後表示処理について説明する。
図8に、上記ステップS6で後処理実施後の検査画面113bの例を示す。
図8に示す例において、撮影選択ボタンA1に表示された番号は、画像表示領域A3に表示された画像に表示された番号と対応している。
【0062】
後処理実施後表示処理において、制御部111は、ユーザーが後処理を施した画像と、ユーザーが後処理を施していない画像とを識別できるように、検査画面113bにおいて表示制御を行う。
具体的には、制御部111は、ユーザーが後処理を施した画像に識別マーク等を付ける。
例えば、制御部111は、図8に示すように、ユーザーが後処理を施した画像に対応する撮影選択ボタンA1、及び後処理を施した画像に、識別マークとしての済マークB3を付与する。
なお、制御部111は、ユーザーが後処理を施していない画像に対応する撮影選択ボタンA1、及び後処理を施していない画像に、後処理を施していないことを示す識別マーク等を付けてもよい。
また、制御部111は、上記識別マークの代わりに、文字や記号を撮影選択ボタンA1及び画像に付与してもよい。
また、制御部111は、識別マーク、または識別用の文字や記号を、撮影選択ボタンA1上及び画像上以外に、撮影選択ボタンA1内のサムネイル、ダイアログ表示のうちのいずれかにおいて表示するとしてもよい。撮影選択ボタンA1に対応する一撮影が複数の画像を有する場合、複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像に対してユーザーが後処理を施したときに、制御部111は、識別マーク、または識別用の文字や記号を撮影選択ボタンA1に付与する。
また、撮影選択ボタンA1の色や形状を異ならせることにより、ユーザーが後処理を施した画像と、ユーザーが後処理を施していない画像とを識別できるようにしてもよい。
【0063】
なお、上記後処理実施後表示処理における識別表示のON/OFF、識別表示方法、検査画面113bの画面構成等は、ユーザーの入力操作により設定されてもよいし、施設単位、技師単位、検査種別、または科別に事前に設定されていてもよい。
【0064】
上記後処理実施後表示処理により、ユーザーは、ユーザーが後処理を施した画像とユーザーが後処理を施していない画像とを容易に識別することができる。そのため、ユーザーは、後処理を施していない画像に対して後処理は本当に必要でないのかという観点で確認をすることができる。また、ユーザーは、後処理を施した画像に対して施した後処理は適切であったかという観点で確認をすることができる。
【0065】
また、上記後処理実施後表示処理において、制御部111は、ユーザーが後処理を施した画像と、当該画像の未処理画像(オリジナル画像)を検査画面113bに並べて表示してもよい。
図9A図9Bに、ユーザーが後処理を施した画像とそのオリジナル画像を並べて画像表示領域A3に表示した検査画面113bの例を示す。
図9Aに示す例において、制御部111は、ユーザーが後処理を施した画像と、そのオリジナル画像とを横に並べて画像表示領域A3に表示する。また、制御部111は、出力対象である画像を画像表示領域A3の左側に表示する。
また、図9Bに示す例において、制御部111は、ユーザーが後処理を施した画像と、そのオリジナル画像とを縦に並べて画像表示領域A3に表示する。また、制御部111は、図9Bに示す3番の画像のように後処理を施していない画像については、未処理画像のみを表示する。また、制御部111は、出力対象である画像を画像表示領域A3の上部に表示する。
【0066】
上記表示により、ユーザーは、ユーザーが後処理を施した画像と、その未処理画像(オリジナル画像)と比較して、施した後処理は適切であったかという観点で確認をすることができる。
なお、制御部111は、ユーザーが後処理を施した画像のみを画像表示領域A3に表示してもよい。
また、制御部111は、画像表示領域A3以外に、別ダイアログや別画面において、ユーザーが後処理を施した画像とそのオリジナル画像を並べて表示してもよい。
【0067】
また、上記後処理実施後表示処理において、制御部111は、ユーザーが後処理を施した画像と、当該画像の撮影から後処理の工程で一時的に生成された画像とを検査画面113bに表示してもよい。当該一時的に生成された画像とは、例えば、長尺の結合前画像、写損画像、所定の周波数強調処理画像(例えば、カテーテル先強調処理、ガーゼ強調処理画像)等である。
図10に、ユーザーが後処理を施した画像と一時的に生成された画像(写損画像)とを画像表示領域A3に表示した検査画面113bの例を示す。
制御部111は、図10に示すように、出力対象の画像と非出力対象の画像を識別するためのマークや文字等である識別情報B4を出力対象の画像に付与する。なお、識別情報B4は、画像の枠や異なる色での表示であってもよい。
また、出力対象の画像と非出力対象の画像を識別することのみが目的である場合は、済マークB3を省いてもよい。しかし、一時的に生成された画像には済マークB3を付与した方が、ユーザーによる後処理によって生成された画像であるのか、あるいは自動的に施された(制御部111による)後処理によって生成された画像であるのかを認識することができるため好ましい。
【0068】
上記表示により、ユーザーは、一時的に生成された画像が出力対象であるか否かを確認することができる。
なお、制御部111は、画像表示領域A3以外に、別ダイアログや別画面において、ユーザーが後処理を施した画像と一時的に生成された画像とを表示してもよい。
また、ユーザーが後処理を施した画像及び一時的に生成された画像の数が多く、検査画面113bにおいて全ての後処理を施した画像及び一時的に生成された画像を表示しきれない場合、制御部111は、検査画面113bにスライダーバーを設けて、表示される画像を切り替えてもよい。また、制御部111は、検査画面113bに表示できる画像の数を増やしてもよい。
【0069】
また、上記後処理実施後表示処理において、制御部111は、ユーザーが後処理を施した画像と、当該画像に対応する前回画像とを検査画面113bに表示してもよい。当該画像に対応する前回画像とは、ユーザーが後処理を施した画像の撮影部位と同一撮影部位を撮影した前回の画像である。
図11に、ユーザーが後処理を施した画像と、その画像に対応する前回画像を縦に並べて画像表示領域A3に表示した検査画面113bの例を示す。なお、制御部111は、図11に示す3番の画像のようにユーザーが後処理を施していない画像と、その画像に対応する前回画像とを縦に並べて表示してもよい。また、制御部111は、出力対象である画像を画像表示領域A3の上部に表示する。
【0070】
上記表示により、ユーザーは、画像の出力前に改めて、ユーザーが後処理を施した画像と、その画像に対応する前回画像と比較して、施した後処理は適切であったかという観点で確認をすることができる。
なお、制御部111は、ユーザーが後処理を施した画像に対応する前回画像に後処理が施されているか否かの情報や施された後処理の内容(後処理の種類)を検査画面113bに表示してもよい。その場合、制御部111は、図12に示すような今回撮影した画像に施した後処理と、前回撮影した画像に施した後処理とを比較する表を検査画面113bに表示してもよい。図12に示す例において、○×は処理の実施の有無を示す。
【0071】
また、上記後処理実施後表示処理において、制御部111は、ユーザーが施した後処理の内容(後処理の種類)を検査画面113bに表示してもよい。
図13は、出力対象である1番~3番の画像にユーザーが施した後処理の内容を示す表である。なお、後処理の内容を示す表において、○×で処理の実施の有無を示す代わりに、処理における変更値を表示してもよい。
【0072】
また、検査画面113bにおいてユーザーの入力操作により所定の画像が選択された際に、制御部111は、選択された画像に施した後処理の内容を設定領域A2において表示してもよい。
図14に、後処理の内容を設定領域A2において表示した検査画面113bの例を示す。
図14に示す例において、制御部111は、設定領域A2内の、後処理で実施した処理を選択するボタンに黒枠を付与する。なお、制御部111は、後処理で実施した処理を選択するボタンの色を変えてもよい。
【0073】
上記表示により、ユーザーは、画像の出力前に、出力対象画像に施した後処理内容を一括で確認することができる。
【0074】
以上説明したように、後処理実施後表示処理を実行することにより、ユーザーは複数の画像に対して一覧性を持ちつつ、より効率的に、ユーザーによる後処理の実施結果を確認することができる。また、ユーザーはPACS等への出力対象画像が検査オーダーに対して適正な画像となっているかの最終確認を効率的に実施することができる。
【0075】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態のX線撮影システム1について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点を主に説明する。
【0076】
本実施形態のX線撮影システム1における撮影処理のステップS2において、制御部111は、撮影実施者により選択された検査オーダーに含まれる撮影条件を記憶部112より取得し、当該撮影条件をX線発生用制御装置21及びFPD12に送信し、設定する。つまり、制御部111は、放射線画像の撮影条件を取得する。ここで、制御部111は第2取得部として機能する。
次に、撮影処理のステップS3において、制御部111は、撮影を行い、FPD12から撮影された画像を取得する。つまり、制御部111は、放射線画像を取得する。ここで、制御部111は第1取得部として機能する。また、上記放射線画像は、一回の動態撮影により撮影された複数のフレーム画像であってもよい。
次に、撮影処理のステップS5において、制御部111は、後処理判断処理の代わりに、図15に示す後処理決定処理を実行する。
【0077】
(後処理決定処理)
後処理決定処理において、制御部111は、ステップS3において撮影した(今回撮影した)画像に施す後処理の種類及び処理条件を撮影条件に基づいて決定し、決定した後処理を今回撮影した画像に施す(ステップS21)。なお、今回の撮影が動態撮影である場合、制御部111は、フレーム画像単位でステップS21の処理を実施する。
つまり、制御部111は、第2取得部により取得された撮影条件に基づいて、処理部(制御部111)によって実行する所定の処理(後処理)の種類と処理条件を自動で決定する。ここで、制御部111は決定部として機能する。
そして、制御部111は、決定部により決定された所定の処理(後処理)を実行する。ここで、制御部111は処理部として機能する。
なお、当該後処理決定処理は、撮影処理のステップS4において、写損判断と同契機で並列に実施してもよい。
【0078】
また、上記後処理の種類とは、ROI(Region Of Interest)調整、有効画像領域設定、S/G値調整、回転/反転/任意角度回転、画像処理(E処理/F処理/H処理/散乱線補正/画像処理条件変更等)、強調処理(周波数強調処理であるカテーテル先強調処理、ガーゼ強調処理/その他強調処理等)、グリッド目除去処理、マスキング、トリミング、マーカー/スタンプ/オーバーレイ、出力設定のうちのいずれかである。
また、上記後処理の処理条件とは、それぞれの処理におけるパラメーターであり、例えば周波数強調処理において強調する周波数帯域等である。
【0079】
ステップS21において、制御部111は、今回撮影した撮影部位と同一撮影部位を撮影した前回の画像に施された後処理に基づいて後処理の種類及び処理条件を決定し、今回撮影した画像に決定した後処理を実施する。
具体的には、制御部111は、前回の画像に実施された後処理の種類及び処理条件と同一の後処理の種類及び処理条件を今回撮影した画像に実施すると決定する。
例えば、制御部111は、今回撮影した画像の有効画像領域やROIが前回の画像と同じになるように、今回撮影した画像に位置調整及び画像処理を実施する。
【0080】
また、制御部111は、今回撮影した画像が特定の条件に該当する場合に、後処理の種類及び処理条件を決定し、今回撮影した画像に決定した後処理を実施する。当該特定の条件は、特定の撮影部位、特定の場合、呼吸周期等である。
例えば、制御部111は、今回撮影した画像の撮影部位が膝関節側面である場合、大腿骨の内顆と外顆の関節面が画像の中心に位置するように、今回撮影した画像に位置調整を実施する。
また、例えば、図16に、特定の撮影部位及び特定の場合ごとの制御部111が実施する後処理の種類の例を示す。
図16に示す例において、後処理実施の優先度が高い順に◎、○、△で示されている。また、空欄は処理を実施しないことを示す。
【0081】
また、制御部111は、今回撮影した撮影部位と同一撮影部位を撮影した基準画像に基づいて後処理の種類及び処理条件を決定し、今回撮影した画像に決定した後処理を実施する。
当該基準画像とは、臨床医や読影医にとって適切な画像(診たい画像、診易い画像)である。
具体的には、制御部111は、今回撮影した画像と基準画像との差異を抽出し、当該差異がなくなるように、今回撮影した画像に後処理を実施する。この処理は、基準画像を教師データとした機械学習により実施する。
【0082】
また、制御部111は、外部情報に基づいて後処理の種類及び処理条件を決定し、今回撮影した画像に決定した後処理を実施する。
例えば、X線撮影システム1が、X線管装置25からX線が照射される領域の少なくとも一部の領域を含む範囲の光学画像を撮像する光学カメラ(図示無し)を備える場合を説明する。この場合、制御部111は、外部情報としての光学画像に基づいて今回撮影した画像の撮影方向を判定し、今回撮影した画像に判定した撮影方向をアノテーションで付与する処理を施す。なお、特に今回の撮影部位が頭部や頸部である場合に、制御部111は、撮影方向をアノテーションで付与する処理を施すとしてもよい。
【0083】
また、制御部111は、統計情報に基づいて後処理の種類及び処理条件を決定し、今回撮影した画像に決定した後処理を実施する。当該統計情報とは、例えば、過去に撮影した画像の写損理由や過去に撮影した画像のQA(品質保証)差し戻し理由に関する統計情報である。
具体的には、今回撮影した撮影部位と同一撮影部位を撮影した前回の画像のQA差し戻し理由がトリミングサイズの不一致である場合、制御部111は、トリミングサイズが一致するように、今回撮影した画像の出力時のトリミングサイズを調整する。
また、過去に撮影した画像のQA差し戻し理由が当該画像の出力時にカテーテル先強調処理画像やガーゼ強調処理画像を付与していないことである場合、制御部111は、今回撮影した画像のカテーテル先強調処理画像やガーゼ強調処理画像を生成し、今回撮影した画像に生成したカテーテル先強調処理画像やガーゼ強調処理画像を付与して出力する。
また、X線撮影装置10とX線発生装置20が連動していない場合、制御部111は、撮影時の照射条件やグリッド情報に基づいた画像処理が未適用である今回撮影した画像に対し、過去に撮影した画像に適用した画像処理と同様の処理を適用する。例えば、過去に撮影した画像においてグリッド目除去処理が統計的に高い割合で適用されている場合に、制御部111は、今回撮影した画像にグリッド目除去処理を適用する。なお、制御部111は、今回撮影した画像にグリッド目除去処理を適用する以外に、今回撮影した画像の出力時に、今回撮影した画像にグリッド目除去処理を適用するか否かを確認するダイアログを表示するとしてもよい。
【0084】
また、制御部111は、ユーザーによって検査終了ボタンA8が押下された場合に、今回撮影した画像の出力時のトリミングサイズが、過去に撮影した画像の中で統計的に多いトリミングサイズと同じになるように調整するべきか否かを、検査画面113c内にダイアログ表示で表示させてもよい。
【0085】
また、制御部111は、X線発生用コンソール22の統計集計機能で集約された統計情報に基づいて後処理の種類及び処理条件を決定し、今回撮影した画像に決定した後処理を実施してもよい。
例えば、制御部111は、決定した後処理を、統計情報としてのユーザーごとの写損回数に基づいて、ユーザーごとに自動で適用するか否かを判断してもよい。
また、例えば、制御部111は、統計情報としての写損理由に基づいて、当該写損理由となった後処理を今回撮影した画像に実施するか否かを判断してもよい。
また、例えば、制御部111は、今回撮影した画像のS値、G値、EI値、及びTI値等が、今回撮影した撮影部位と同一撮影部位を撮影した過去の画像における統計情報としてのS値、G値、EI値、及びTI値等と同数値となるように調整してもよい。
また、例えば、制御部111は、統計情報としてのFPD12、X線発生装置20、及びグリッド等の使用頻度に基づいて、後処理の種類及び処理条件を決定し、今回撮影した画像に決定した後処理を実施するか否かを判断してもよい。具体的には、制御部111は、FPD12、X線発生装置20、及びグリッド等の劣化による影響を補正するための後処理の種類及び処理条件を決定する。
なお、上記統計情報は、ユーザーの入力操作に基づいた統計情報でも、操作ログ等から集約した統計情報でもよく、統計情報におけるデータ集積方法はどのような形でもよい。また、これらの統計情報のうち、後処理の種類及び処理条件を決定するために使用する項目の選定や、決定した後処理を実施するか否かの項目ごとの判断方針については、施設毎、コンソールの装置毎、ユーザー毎、撮影室毎、などにより事前に設定にて指定可能としてもよい。また、後処理の種類及び処理条件を決定するために使用する統計情報の各項目の優先順位についても、施設や装置、所属科によって指定可能としてもよい。
【0086】
また、制御部111は、上記所定の方法で後処理の種類及び処理条件を決定し、ユーザーの入力操作に基づいて、今回撮影した画像に決定した後処理を実施するとしてもよい。
図17に、表示部113に表示される検査画面113cの例を示す。
検査画面113cには、撮影選択ボタンA1、設定領域A2、画像表示領域A3、写損ボタンA4、出力ボタンA5、切り替えボタンA7、検査終了ボタンA8、後処理の実施を指示するための後処理適用ボタンA9等が設けられている。
具体的には、制御部111は、後処理適用ボタンA9により、今回撮影した画像に決定した後処理を施すユーザーによる指示を受け付ける。ユーザーは、今回撮影した画像に後処理を施すと判断した場合に後処理適用ボタンA9を押下する。そして、制御部111は、後処理適用ボタンA9が押下された場合、今回撮影した画像に決定した後処理を実施する。なお、後処理適用ボタンA9が押下されたときに制御部111が実施する、決定した後処理は、複数種類の後処理や複数回の後処理であってもよい。また、今回撮影した画像に決定した後処理を施すか否かは、ユーザーにより予め設定されているとしてもよい。
【0087】
次に、制御部111は、ステップS21において後処理を実施した画像と、後処理を実施していない画像とを識別できるように検査画面113d(図18参照)において表示制御を行い(ステップS22)、本処理を終了する。つまり、制御部111は、処理部により後処理(所定の処理)を実行された放射線画像を表示部113に表示する。ここで、制御部111は表示制御部として機能する。
具体的には、制御部111は、後処理を実施した画像に識別マーク等を付ける。
例えば、制御部111は、図18に示すように、後処理を実施した画像の画像に、識別マークとしての後処理実施マークB5を付与する。
なお、制御部111は、後処理を実施していない画像に、後処理を実施していないことを示す識別マーク等を付けてもよい。
また、制御部111は、上記識別マークの代わりに、文字や記号を画像に付与してもよい。
また、制御部111は、識別マーク、または識別用の文字や記号を、画像上以外に、撮影選択ボタンA1、撮影選択ボタンA1内のサムネイル、ダイアログ表示のうちのいずれかにおいて表示するとしてもよい。撮影選択ボタンA1に対応する一撮影が複数の画像を有する場合、複数の画像のうちの少なくとも一枚の画像に対して後処理を実施したときに、制御部111は、識別マーク、または識別用の文字や記号を撮影選択ボタンA1に付与する。
また、撮影選択ボタンA1の色や形状を異ならせることにより、後処理を実施した画像と、後処理を実施していない画像とを識別できるようにしてもよい。
【0088】
また、制御部111は、図18に示すように、ステップS21において今回撮影した画像に実施した後処理の内容(後処理の種類)B6を検査画面113d内に表示してもよい。
【0089】
また、制御部111は、ステップS21において今回撮影した画像に実施した後処理を、ユーザーが追加で実施できないように検査画面113dにおいて表示制御を行う。
例えば、制御部111は、図18に示すように、設定領域A2の一部のボタンをグレーアウト(図18において破線で表記)し、選択できないようにする。なお、制御部111は、今回撮影した画像に実施した後処理を選択するボタンを検査画面113dにおいて非表示としてもよい。
【0090】
また、制御部111は、例えば今回撮影した画像が手術に使用される場合、今回撮影した画像のカテーテル先強調処理画像やガーゼ強調処理画像を検査画面113dにおいて表示する。
例えば、制御部111は、検査画面113dにおいてカテーテル先強調処理画像やガーゼ強調処理画像とそのオリジナル画像とを並べて表示する。
また、制御部111は、検査画面113dにおいてカテーテル先強調処理画像やガーゼ強調処理画像の強調レベルを変えた画像を並べて表示する。
また、制御部111は、例えば今回撮影した画像が手術に使用される場合、手術前に撮影された画像を検査画面113dにおいて表示する。
【0091】
以上説明したように、撮影制御装置11(制御装置)は、放射線画像を取得する第1取得部(制御部111)と、第1取得部により取得された放射線画像に対し、所定の処理(後処理)を実行する処理部(制御部111)と、放射線画像の撮影条件を取得する第2取得部(制御部111)と、第2取得部により取得された撮影条件に基づいて、処理部によって実行する所定の処理の種類と処理条件を自動で決定する決定部(制御部111)と、を備え、処理部は、決定部により決定された所定の処理を実行する。
したがって、撮影条件に基づいた適切な後処理を自動で実行することができるため、放射線画像に所定の処理(後処理)を実行する作業負担をより低減することができる。
【0092】
また、撮影制御装置11において、決定部は、機械学習、統計情報、及び過去に撮影された放射線画像に実行された所定の処理の内容のいずれかに基づいて、所定の処理の種類と処理条件を自動で決定する。
したがって、機械学習、統計情報、及び過去に撮影された放射線画像に実行された所定の処理の内容のいずれかに基づいて、より適切な後処理を実行することができる。
【0093】
また、撮影制御装置11は、処理部により所定の処理を実行された放射線画像を表示部113に表示する表示制御部(制御部111)を備える。
したがって、ユーザーは後処理が自動で実行された放射線画像を確認することができる。
【0094】
また、撮影制御装置11において、放射線画像は、複数のフレーム画像を含む。
したがって、動態撮影においても、撮影条件に基づいた適切な後処理を自動で実行することができるため、放射線画像に所定の処理(後処理)を実行する作業負担をより低減することができる。
【0095】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【0096】
例えば、上記実施形態において、X線撮影システム1は撮影室内に据え付けられているとしたがこれに限らない。X線撮影システム1は移動が可能である回診車として構成されてもよい。
【0097】
また、例えば、制御部111は、検査毎に後処理が必要である対象案件の比率や、後処理が必要と判断した後から後処理が実施されるまでの時間、もしくは後処理が必要と判断していないが後処理を実施した画像数等を、記憶部112に記憶した後処理要否の判断情報とその付属情報(判断対象、判断日時)、及び後処理要否の判断後の後処理実施結果(実施有無、実施日時)から、後処理実施に伴う統計情報を算出し、表示部113に表示させる、もしくは外部装置に出力してもよい。これにより、後処理が効率的に行えているかを定量的に参照可能とするとともに、部位や条件に応じた後処理の要否や後処理実施時の注意などを共有可能とする。
【0098】
また、例えば、X線撮影システム1は、表示部113の他に表示部としての図示しない表示端末装置を有していてもよい。当該表示端末装置は、例えばモバイル端末等である。この場合、当該表示端末装置において、外部に持ち出す際のセキュリティ対策として、または表示部113よりも小さい表示エリアで効率的に作業するために、後処理が必要であると判断された放射線画像のみに限定して表示してもよい。
また、表示端末装置は処理部としての機能を有し、且つ表示部113と表示端末装置において同じ内容を表示してもよい。これにより、後処理に必要な情報を相互に共有可能とし、例えば撮影制御装置11(制御部111)において後処理の要否のみを判断し、表示端末装置において後処理を必要とした放射線画像に対して後処理を行うといった分担作業を可能とする。
また、後処理の要否の判断や、後処理の種類及び処理条件の決定を、撮影制御装置11(制御部111)で行わず、上記表示端末装置において実施してもよい。もしくは、撮影画像に後処理の要否の判断結果や、決定した後処理の種類及び処理条件の情報を紐づけて、他の制御装置に送信し、他のユーザーが当該制御装置においてX線撮影システム1とは異なる環境下で後処理を実施してもよい。これにより、新人の技師や人手不足時間帯など、後処理を別の担当者に移管することで負荷分散を図ることができる。
【符号の説明】
【0099】
1 X線撮影システム
10 X線撮影装置
11 撮影制御装置(制御装置)
12 FPD
13 撮影台
14 中継器
20 X線発生装置
21 X線発生用制御装置
22 X線発生用コンソール
23 照射スイッチ
24 高電圧発生装置
25 X線管装置
111 制御部(第1取得部、第2取得部、処理部、決定部、表示制御部)
112 記憶部
113 表示部
114 操作部
115 通信部
116 バス
図1
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