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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184167
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/12 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
A01D41/12 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098155
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】水畑 竜也
【テーマコード(参考)】
2B074
【Fターム(参考)】
2B074AA02
2B074AB01
2B074AC02
2B074AF02
2B074CD02
2B074CD05
2B074CD06
2B074CH01
2B074DA02
2B074DA05
2B074DC02
2B074DE03
2B074DF03
2B074EC01
2B074EC02
(57)【要約】
【課題】コンバインにおいて、エンジンから発生する熱の影響を受け難くすると共に、粉塵等が堆積し難い箇所に、コンバインの作動を制御する電装コントローラを配置し、同コンローラに不具合が生じることを防止する。
【解決手段】コンバインは、走行機体の前部にエンジンを配設したコンバインであって、エンジンを冷却するための冷却装置、を備え、冷却装置の一側面に、コンバインの作動を制御するための電装コントローラを配設している。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体の前部にエンジンを配設したコンバインであって、
前記エンジンを冷却するための冷却装置、を備え、
前記冷却装置の一側面に、コンバインの作動を制御するための電装コントローラを配設した
ことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記冷却装置は、前記走行機体の側端部に配置され、
前記エンジンは、前記走行機体の前後方向について、前記冷却装置の一方側に配置され、
前記電装コントローラは、前記冷却装置の前記一方側とは反対側の側面に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記冷却装置は、前記走行機体上で上下方向に複数配設されるものであり、
前記電装コントローラは、複数の前記冷却装置のうち上側に配置した冷却装置に配設され、
上側の前記冷却装置は、冷却用ファンを有し、前記エンジンに供給される空気を冷却する
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記走行機体上に穀粒タンクを備え、
前記電装コントローラは、前記冷却装置と前記穀粒タンクとの間に配設した
ことを特徴とする請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記電装コントローラは、前記エンジンを制御するためのコントローラである
ことを特徴とする請求項4に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記電装コントローラは、ハーネスの端部が接続されるカプラーを有し、
前記カプラーは、挿入口を前記走行機体の幅方向の内側に臨ませた
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記冷却装置は、前記走行機体上に立設した支持フレームに連結して支持されるものである
ことを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部からの塵埃やエンジンからの排風の影響を受け難くするように配設した電装コントローラを備えるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
コンバインにおいては、例えばエンジンを作動制御するためのECUなどの電装コントローラを備え、同電装コントローラをエンジンからの熱の影響から遠ざけるように配置したものがある。
【0003】
特許文献1には、操縦部の下方後方に配置したエンジンを搭載し、操縦部の下方前側に設けた支持フレームと、同支持フレームよりも前側に設けられて前後方向を遮蔽する遮蔽部材と、を備え、遮蔽部材のさらに前側に電装コントローラを取付けたコンバインが開示されている。
【0004】
このような電装コントローラの配置構造を備えたコンバインによれば、エンジンから発生する熱が電装コントローラに伝わりにくくなり、電装コントローラの熱損傷するリスクを低減化できる。
【0005】
しかしながら、電装コントローラを遮蔽部材の前側に設けたために、電装コントローラが必然的に刈取部の近傍位置に配置されることとなり、結果、粉塵の影響を受けやすくなる虞があった。
【0006】
すなわち、収穫作業時の刈取部の刈取作動に伴って発生する塵埃が、電装コントローラとエンジンを繋ぐ配線端部のカプラーなどの接続部に付着堆積しやすくなり、接続部の着脱時に接続内部に不用意に侵入して電装コントローラに電気トラブルを引き起こさせる虞があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許6979450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、エンジンから発生する熱の影響を受け難くすると共に、塵埃等が堆積し難い箇所に電装コントローラを配置したコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るコンバインは、走行機体の前部にエンジンを配設したコンバインであって、前記エンジンを冷却するための冷却装置、を備え、前記冷却装置の一側面に、コンバインの作動を制御するための電装コントローラを配設したものである。
【0010】
本発明の本発明の他の態様に係るコンバインは、前記冷却装置は、前記走行機体の側端部に配置され、前記エンジンは、前記走行機体の前後方向について、前記冷却装置の一方側に配置され、前記電装コントローラは、前記冷却装置の前記一方側とは反対側の側面に配置されるものである。
【0011】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記冷却装置は、前記走行機体上で上下方向に複数配設されるものであり、前記電装コントローラは、複数の前記冷却装置のうち上側に配置した冷却装置に配設され、上側の前記冷却装置は、冷却用ファンを有し、前記エンジンに供給される空気を冷却するものである。
【0012】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記走行機体上に穀粒タンクを備え、前記電装コントローラは、前記冷却装置と前記穀粒タンクとの間に配設されているものである。
【0013】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記電装コントローラは、前記エンジンを制御するためのコントローラである。
【0014】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記電装コントローラは、ハーネスの端部が接続されるカプラーを有し、前記カプラーは、挿入口を前記走行機体の幅方向の内側に臨ませたものである。
【0015】
本発明の他の態様に係るコンバインは、前記冷却装置は、前記走行機体上に立設した支持フレームに連結して支持されるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エンジンから発生する熱の影響を受け難くすると共に、塵埃等が堆積し難い箇所に、コンバインの作動を制御する電装コントローラを配置することにより、同コンローラに不具合が生じることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るコンバインの左側面図である。
図2】本発明の一実施形態に係るコンバインの右側面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るコンバインの平面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るキャビン及び外気導入カバーの右側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るキャビンの左側面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るキャビン内部の右側面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る走行機体の前部に搭載された装置構成を示す左前方斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係る走行機体の前部に搭載された装置構成を示す右後方斜視図である。
図9】本発明の一実施形態に係る走行機体の前部に搭載された装置構成を示す右側面図である。
図10】本発明の一実施形態に係る走行機体の前部に搭載された装置構成を示す後方図である。
図11】本発明の一実施形態に係るラジエータを示す左側面図である。
図12】本発明の一実施形態に係るインタークーラを示す左側面図である。
図13】本発明の一実施形態に係る支持フレーム及び連結フレームの構成を示す後方斜視図である。
図14】本発明の一実施形態に係る電装コントローラのシステム構成図である。
図15】本発明の一実施形態に係るハーネスの配線構成を示す左前方斜視図である。
図16】本発明の一実施形態に係るハーネスの配線構成を示す左後方斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、走行機体の前部にエンジンを配設したコンバインにおいて、コンバインを作動制御するための電装コントローラをエンジンからの排熱や外部からの塵埃の影響から遠ざけるように電装コントローラのレイアウトに工夫を凝らすことにより、電装コントローラによるコンバインの制御機能の安定化を図ろうとするものである。以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0019】
図1図16を用いて、本実施形態に係るコンバイン1の構成について説明する。なお、以下の説明では、コンバイン1の前方に向かって左側及び右側を、それぞれコンバイン1における左側及び右側とする。
【0020】
コンバイン1は、図1図3に示すように、左右一対のクローラ部3,3を有するクローラ式の走行装置として構成された走行部2と、走行部2により支持された走行機体4とを備えて構成している。
【0021】
かかる走行機体4上には、穀物収穫を行う作業者が乗り込むキャビン30や、作業者がコンバインを操縦するための運転部12、穀物収穫に必要な作動を行う刈取部5、脱穀部6、穀粒タンク7、選別部8、排出オーガ9、排藁処理部10などの各収穫機器部材を並べて配設している。
【0022】
走行部2を構成する各クローラ部3は、走行機体4の下方において前後方向に延設されたトラックフレーム3aと、トラックフレーム3aに支持された各種回転体と、これらの回転体に巻回された履帯3bとを有する。
【0023】
クローラ部3は、トラックフレーム3aに支持された回転体として、トラックフレーム3aの前端部に支持された駆動スプロケット3c等を含み、走行機体4上に搭載されたエンジン11からの動力が伝達されて走行駆動する。
【0024】
刈取部5は、走行機体4の前部で、圃場の穀稈を刈りながら取り込むように、コンバイン1の機体幅の略全体に亘って設けられている。刈取部5は、走行機体4に対して、昇降用の油圧シリンダを介して所定の軸回りに回動可能に装着され、油圧シリンダの伸縮動作による回動動作によって昇降調節可能に設けられている。
【0025】
刈取部5は、刈取フレームとして刈取支持機枠5aを有し、この刈取支持機枠5aに、分草体5b、引起装置5c、刈刃装置5e、及び穀稈搬送装置5fを支持して構成している。
【0026】
これにより、圃場の穀稈を分草体5bにより分草し、分草した穀稈を引起装置5cにより引き起し、引き起した穀稈を穀稈搬送装置5fにより後側へ搬送しつつ刈刃装置5eにより切断して刈り取ることを可能としている。刈取部5の各装置は、コンバイン1が備えるエンジン11から動力が伝達されて作動する。
【0027】
また、走行機体4上には、図3に示すように、刈取部5により刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀部6と、脱穀部6から取り出された穀粒を貯留する穀粒貯留部としての穀粒タンク7とが、左右横並びに並設されている。
【0028】
脱穀部6は、図1に示すように、前後方向を回転軸方向とする扱胴6a及び処理胴(図示略)と、扱胴6aの左方に設けられた穀稈供給装置とを有する。穀稈供給装置は、穀稈の株元を挟持して穂先を扱胴6a側とした横臥姿勢で穀稈を後方へ搬送する。穀稈供給装置は、左右方向を回転軸方向とする複数のスプロケットに巻回されたフィードチェンと、フィードチェンと協働して穀稈の株元を挟扼する穀稈供給挟扼体(図示略)とを有する。
【0029】
また、走行機体4上における脱穀部6の下方には、図1に示すように、脱穀部6により脱穀処理された処理物を選別処理する選別部8が設けられている。選別部8は、揺動選別装置8aと風選別装置と穀粒搬送装置とを備え、脱穀部6から落下してきた処理物を揺動選別装置8aにより揺動選別し、揺動選別後の処理物を風選別装置により風選別する。
【0030】
選別部8は、風選別後の処理物のうち、穀粒を穀粒搬送装置により穀粒タンク7に向けて右方へ搬送し、藁屑や塵埃などを風選別装置により後方へ飛ばして機体の外部に排出する。また、穀粒搬送装置により穀粒タンク7に向けて搬送された穀粒は、穀粒タンク7に貯留される。
【0031】
また、走行機体4上の右側後端部には、図3に示すように、穀粒タンク7内の穀粒を外部へ排出する排出オーガ9が、走行機体4の右後側に設けられた縦取出しコンベア9bを介して旋回可能に設けられている。なお、図3中、符号27は、排出オーガ9を載置支持して収納状態とするためのオーガレストであり、キャビン30後部の左方に設けている。
【0032】
穀粒タンク7に貯留されている穀粒は、スクリューコンベアを内装した排出オーガ9により搬送され、排出オーガ9の先端部に設けられた排出口9aから排出される。排出口9aから排出された穀粒は、トラックの荷台やコンテナ等に投入される。
【0033】
また、走行機体4上において、脱穀部6の後方には、図1に示すように、脱穀部6による脱穀処理後の排藁を処理するための排藁処理部10が設けられている。排藁処理部10は、穀稈(排稈)を後方搬送して機体外部に排出するための排藁搬送装置10aと、排藁搬送装置10aから搬送された排稈を切断して機体の外部に排出するための排藁切断装置10bとを有して構成している。
【0034】
また、走行機体4上において、刈取部5の右方であって穀粒タンク7の前方には、運転部12を覆うキャビン30が設けられている。すなわち、運転部12は、走行機体4上の前部に設けたキャビン30内に設けられている。
【0035】
キャビン30は、図4図6に示すように、四側壁部をなす前面部31、後壁部32、左側壁部33、右側壁部34、天井部をなすルーフ部35、及び床部36を有し、全体として略箱状に構成している。
【0036】
キャビン30の前面部31は、上側過半部を構成する前傾状の前上面部31aと、前面部31の略下半部を構成する前下がり傾斜状の前下面部31bとを有し、全体として側面視で後側に凹の屈曲形状に形成している。前上面部31aは矩形状の透明板により透明窓部とし、前下面部31bは鋼板等の金属製板により前下側壁部としている。
【0037】
キャビン30の左側壁部33は、図5に示すように、略上半部を透明窓部とし、略下半部を鋼板等の板金製の下部側面部41としている。左側壁部33の前後方向の略中央には上下方向に沿って直線状に伸延する左支柱部42が設けられており、この左支柱部42の前後側にそれぞれ透明な左前窓部47と左後窓部43とを配設している。
【0038】
左後窓部43は、下部側面部41の上側の部分において、左支柱部42を前側の辺部とする枠状の窓枠部44に対し、矩形状の透明板45を取り付けることにより構成している。また、左前窓部47は、略逆台形状を有し、前側の辺部を、前面部31の前上面部31aの前傾状の傾斜に沿わせている。
【0039】
また、キャビン30の右側壁部34は、図4に示すように、その大部分をなす乗降用のドア51と、ドア51の前後側にそれぞれ配設した右前窓部59と透過窓70と、で構成している。
【0040】
ドア51は、前後で一定間隔を隔てて立設した右前支柱部49と右後支柱部50との間で、右後支柱部50に上下2箇所に設けた支持部52を中心に回動可能に設けられている。ドア51は、上半部を開閉可能な窓部56とし、下半部を透明板57で覆った下側壁部とし、同下側壁部の前部分に取手58を設けて構成している。
【0041】
右前支柱部49は、下部を前面部31の前下面部31bの側面視での傾斜に沿わせると共に上部を上下方向に延伸し、床部36の右前位置に立設している。右後支柱部50は、右前支柱部49の上部と略同じ高さ位置で平行状にすると共に側面視で前下り傾斜状とした後壁部32の右側縁部の前後中央に立設している。
【0042】
また、右前窓部59は、略逆三角形状とし、前側辺部を前面部31の傾斜に沿わせて形成している。また、透過窓70は、略逆三角形状とし、後側辺部を後壁部32の傾斜に沿わせて形成している。
【0043】
キャビン30の後壁部32は、前側から後側にかけて下側から上側に向かうように、前下がり(後上がり)の傾斜面部として設けられており、側面視で後傾状をなしている。後壁部32は、図5及び図6に示すように、座席支持面部65の後側から後斜め上方に向けて立ち上がり、ルーフ部35につながる上端部を、ルーフ部35の後端部近傍の部位に位置させている。
【0044】
キャビン30のルーフ部35は、平面視で前後方向を長手方向とする略矩形状をなし、前後縁端部をそれぞれ前面部31と後壁部32の上端部よりも前後側に庇状に突出させている。
【0045】
キャビン30の床部36は、図6に示すように、運転席19の前下方において、水平面状の床面部63を形成している。床面部63の後側に、前下がりの傾斜面部64を介して、略水平状の座席支持面部65が設けられている。この座席支持面部65上には、運転部12を構成する運転席19が設置されている。
【0046】
運転部12は、図6に示すように、キャビン30内において、走行操作用のハンドル18と、ハンドル18の後方に設けた運転席19と、運転席19の左側方に設けた側方操作部20と、を備えている。側方操作部20は、主変速レバー21や副変速レバー22等の各種操作具等をサイドコラム23に配設して構成している。
【0047】
運転部12の後下方には、図3に示すように、エンジンルーム13内に設置されたエンジン11を含む原動機部が設けられている。エンジン11は、運転部12の下方位置且つ、走行機体4の前部の右側に配設されている。
【0048】
エンジン11は、ディーゼルエンジンであって、その動力を変速装置等を介して走行部2、刈取部5、脱穀部6、選別部8、排出オーガ9、排藁処理部10等の各種装置へ伝達する。エンジン11は、走行機体4を構成する機台部25上で、脱穀部6及び穀粒タンク7と共に配設されている。
【0049】
また、エンジン11は、図7に示すように、空気の吸入側の吸気マニホールドと排気ガスの排出側の排気マニホールドとに、回転軸の両端でコンプレッサ・タービンを同軸回転駆動可能に有した過給機340と連通接続している。
【0050】
過給機340は、エンジン11から排出される排気ガスにより回転軸一端のタービンを回転させると共に、回転軸他端のコンプレッサを回転させてエンジン11内部へ空気を強制的に送り込むように構成している。
【0051】
また、エンジン11は、図7図10に示すように、その給気系を構成するエアクリーナ561、給気管563及びプリクリーナ562を備えている。エアクリーナ561及びプリクリーナ562は、給気管563により互いに接続されている。
【0052】
プリクリーナ562は、エンジン11に対する給気経路の上流側の端部に設けられており、給気経路内に大気を取り込みつつ粉塵等が除去され、給気経路内に取り込まれる大気を浄化する。エアクリーナ561は、プリクリーナ562により浄化され、給気管563を介して送られてきた空気を、さらに浄化してエンジン11に供給する。
【0053】
エアクリーナ561は、略円筒状の外形を有し、後述する排気ガス浄化装置330とインタークーラ500との間で筒軸方向を前後方向にして配置している。図7に示すように、エアクリーナ561の空気の排出側からは下流側給気管565が延出しており、下流側給気管565の下流側は過給機340のコンプレッサ側に設けられた給気取入部に連通接続されている。
【0054】
給気管563は、インタークーラ500から延出した直線棒状の配管支持棒570によりインタークーラ500に対して支持されている。配管支持棒570は、下端部をケース501の後面部501eの上部にボルト等によって固定支持させると共に、上端部を給気管563の中間部に固定支持させている。
【0055】
また、コンバイン1は、図1及び図2に示すように、トラックフレーム3a上に機台部25を有する。機台部25は、トラックフレーム3a上で、前後方向または左右方向に配されたフレーム部材や板状部材等によって水平状に構成している。機台部25の後側は、前後方向についてクローラ部3の後端から後側に延出している。
【0056】
かかる機台部25の前部の右側寄りの位置において、エンジン11は出力軸の軸方向を左右方向とする向きで搭載されている。また、エンジン11よりも後方には脱穀部6と穀粒タンク7とが配設されている。また、機台部25の前側における左右のクローラ部3の間には、図7に示すように、エンジン11の動力をクローラ部3に伝達するためのミッションケース26が配置されている。
【0057】
また、キャビン30の床部36の下方位置には、図7に示すように、機台部25の前端で床部36の床面部63を支持形成するステップ支持フレーム600が設けられている。ステップ支持フレーム600は、複数の縦横フレーム部601、602により方形枠状に組み上げられて運転部12の下方前側(機台部25の前部)に設けられており、その内側空間には電力供給用のバッテリー610や図示しないステアリングケース、無段変速ケースが配設されている。
【0058】
ステップ支持フレーム600の前側にはステップ支持フレーム600の前側開口を略閉塞する矩形板状の遮蔽板620が架設されている。本実施形態では、遮蔽板620のさらに前側面部に、コンバインの電源、刈取昇降、油圧バルブなどの各種制御を司る標準コントローラ630が設けられている。
【0059】
すなわち、運転部12の下方且つ遮蔽板620の後側に、電力供給用のバッテリー610が搭載され、運転部12の下方では、エンジン11の前方に、前から順番に標準コントローラ630、遮蔽板620、バッテリー610が前後方向に並んで位置している。
【0060】
これにより、ステップ支持フレーム600の内側空間を中心に前後側にそれぞれ、標準コントローラ630とエンジン11とが位置することになる。さらに標準コントローラ630とエンジン11との間にはバッテリー610と遮蔽板620とが位置することとなるため、バッテリー610と遮蔽板620との双方が、エンジン11から標準コントローラ630への排熱を遮蔽する。
【0061】
また、キャビン30は、図6に示すように、キャビン30の室内に対する冷暖房運転を行う空調装置80を備えている。空調装置80は、運転部12に設けられた図示しない空調操作部によって操作される。空調操作部は、例えば空調装置80をオン・オフさせるスイッチや設定温度を調節するダイヤル等を含む。
【0062】
空調装置80は、いわゆる室外機としてキャビン30の後壁部32に設けたコンデンサユニット81と、いわゆる室内機としてキャビン30のルーフ部35内に設けたエアコンユニット82と、を備える。
【0063】
エアコンユニット82は、エバポレータやヒータ等を含む熱交換器95と、熱交換器95に空気を送風する送風ファンとを有し、熱交換器95及び送風ファンとを互いに連通させた状態で、ルーフ部35内においてコンデンサユニット81の上方の位置に設けられている。
【0064】
ルーフ部35は、下側パネル部97と、下側パネル部97の上側に設けた上側パネル部98とを有して扁平状の外形且つ内部中空状に形成している。下側パネル部97の後部には下側に突出した凹形状部97dが形成されており、凹形状部97dによりエアコンユニット82を収容するエアコン収容部99を形成している。
【0065】
また、ルーフ部35内において、エアコンユニット82の前側には、エアコンユニット82で得られた空調用の空気をキャビン30の室内に送付するための送風ダクト105が設けられており、熱交換器95により生起される冷気等が同送風ダクト105内を圧送され、キャビン30の室内に対して設けられた吹出口106から吹き出すようにしている。
【0066】
このような構成のキャビン30の後方には、図4に示すように、側面視で前側部分をキャビン30の後側縁に沿わせるように傾斜状に突き合わせた外気導入カバー15が設けられている。
【0067】
外気導入カバー15は、略直角台形状であって、コンバイン1の右側において、キャビン30と穀粒タンク7との間で、穀粒タンク7の右側面部と面一状をなす。つまり、穀粒タンク7は、走行機体4上において、キャビン30の後方に位置しており、前後方向について外気導入カバー15より後方に設けられている。外気導入カバー15は、キャビン30の後縁部に沿うように走行機体4上に立設した支柱に対し図示しないヒンジ部を介して回動可能に支持されている。
【0068】
外気導入カバー15とキャビン30とは、図4に示すように、側面視で外気導入カバー15の前部とキャビン30の後部とを互いにオーバーラップさせると共に互いの対向縁部で境界線A1に沿う境界部67をなしている。
【0069】
外気導入カバー15のカバー面の上下部にはそれぞれ、図4に示すように、上側の冷却装置としてのインタークーラ500に外気を通気導入するための吸込口503と、下側の冷却装置としてのラジエータ14に外気を通気導入するためのロータリスクリーン16と、が設けられている。
【0070】
換言すれば、外気導入カバー15の内側において、上側の冷却装置としてのインタークーラ500は右側面視でその大部分が吸込口503に重なるように対応して配置されると共に、下側の冷却装置としてのラジエータ14は右側面視でその大部分がロータリスクリーン16に重なるように対応して配置される。
【0071】
外気導入カバー15下部のロータリスクリーン16は、外気導入カバー15に形成された開口部16aで回転可能に支持され、図示せぬモータの駆動によって回転するように構成している。
【0072】
具体的には、ロータリスクリーン16は、円形状の開口部16aの中心で回転する回転支持部と、回転支持部に開口部16aを閉塞するように張設された円形状の防塵網16bと、防塵網16bに外側で当接して捕集した塵埃を吸引除去する吸引装置17と、で構成している。これにより、塵埃が外気と共にエンジンルーム13内に侵入することを防ぐことを可能にしている。
【0073】
また、外気導入カバー15上部の吸込口503は、図4に示すように、外気導入カバー15に形成された開口部503aに、防塵網503bを張設して構成している。開口部503a及び防塵網503bは、外気導入カバー15の上部の外形に沿うと共に下側をロータリスクリーン16の開口部16aの円形状に沿わせた円弧形状を有している。
【0074】
また、外気導入カバー15の上側には、上カバー部24が設けられている。上カバー部24は、略台形板状であって、外気導入カバー15と面一状の右側面部をなすように設けられている。上カバー部24は、所定のフレーム等に固定した状態で設けられている。
【0075】
外気導入カバー15とエンジン11との間には、図2及び図4に示すように、エンジン11を冷却するための冷却装置としてのインタークーラ500及びラジエータ14とが、それぞれ走行機体4上で上下方向に並設されている。すなわち、冷却装置としてのインタークーラ500及びラジエータ14は、走行機体4の側端部に配置され、エンジン11は、走行機体4の前後方向について、冷却装置としてのインタークーラ500及びラジエータ14の一方側に配置される。
【0076】
すなわち、エンジン11を冷却するための冷却装置は、後述する支持フレーム360を介して、上側に配設され、エンジン11に供給される空気を冷却するためのインタークーラ500と、下側に配設され、エンジン11の冷却水を冷却するためのラジエータ14と、の上下2つで構成している。つまり、冷却装置としてのインタークーラ500及びラジエータ14は、走行機体4上で支持フレーム360に連結して支持される。
【0077】
下側の冷却装置としてのラジエータ14は、エンジン11の冷却水の循環経路の途中に設けられ、エンジン11から送られてきた冷却水を外気との間の熱交換により冷却するように構成している。
【0078】
下側の冷却装置としてのラジエータ14は、エンジン11の冷却水の循環経路の途中に設けられ、エンジン11から送られてきた冷却水を、冷却用ファン140によりエンジンルーム13に吸引した外気との間の熱交換により冷却するように構成している。
【0079】
ラジエータ14は、図11に示すように、矩形箱状の外形であって、エンジン11から送られてきた冷却水を一時的に貯溜する上部のアッパータンク141と、冷却された冷却水を一時的に貯溜する下部のロアータンク142と、アッパータンク141とロアータンク142との間で上下方向に伸延すると共に左右方向に並設した図示せぬ複数のチューブと、チューブに外嵌固定した図示せぬ複数のフィンとを有する。
【0080】
各チューブは、それぞれ上下端部でアッパータンク141とロアータンク142とに連通接続させており、冷却用ファン140により外部から吸引した冷却風をフィンに接触させることにより、内部を流れる冷却水を熱交換して冷却する。
【0081】
かかるラジエータ14は、エンジン11とエンジン11の右側を覆うエンジンルーム13のエンジンカバーとしての外気導入カバー15との間で、左右方向を厚さ方向とする向きで立設している。
【0082】
冷却用ファン140は、エンジン11の右側に設けられており、その右方にラジエータ14を設置している。冷却用ファン140は、その回転軸をエンジン11の駆動軸に直結しており、エンジン11の駆動に伴って吸気方向に回転駆動する。
【0083】
ラジエータ14は、側面視で四角額縁状のラジエータフレーム143を有する。ラジエータ14は、ラジエータフレーム143の四角形状の排気側開口を全体的に覆うようにラジエータフレーム143に付設される。また、ラジエータフレーム143の外側の吸気側開口143aには、粉塵等をトラップする防塵用のスクリーン143bを張設している。
【0084】
ラジエータ14と冷却用ファン140との間には、シュラウド144が設けられている。シュラウド144により冷却用ファン140を覆うことで冷却用ファン140による外気吸引を促進させ、冷却風を効率的にラジエータ14に吹き当てる。
【0085】
シュラウド144は、ラジエータ14と同程度の大きさの方形箱状の部材であり、ラジエータ14が配置される面(外側面)は全面を開口させると共に、冷却用ファン140が配置される面(内側面)には冷却用ファン140の直径よりやや大きい直径の吸引孔144aを開口させている。シュラウド144は、ラジエータフレーム143との間にラジエータ14を介在させて、ラジエータフレーム143にボルト等の固定部材で固定される。
【0086】
ラジエータ14とエンジン11との間には、図10及び図11に示すように、冷却水の循環経路をなす冷却水流入管145及び冷却水流出管146が配管されている。エンジン11は、冷却水が循環する図示せぬクーラージャケットを有する。
【0087】
冷却水流入管145の上流側端部は、ラジエータ14下部のロアータンク142の流出口142aに連通接続されている。冷却水流入管145の下流側端部は、エンジン11のクーラージャケットの流入口110aに連通接続されている。また、冷却水流入管145とクーラージャケットとの間には、冷却水を循環させる図示せぬポンプを介設している。
【0088】
また、冷却水流出管146の上流側端部は、エンジン11のクーラージャケット110の流出口110bに連通接続されている。冷却水流出管146の下流側端部は、ラジエータ14上部のアッパータンク141の流入口141aに連通接続されている。なお、冷却水流出管146は、中途部で冷却水が適宜供給されるリザーバタンク147と供給パイプ147aを介して連通接続している。
【0089】
冷却用ファン140が回転作動すると、ラジエータ14の右側方に配置された外気導入カバー15からエンジンルーム13内へ冷却風が取り込まれ、同外気がラジエータ14における上述の冷却水の熱交換に用いられる。冷却用ファン140が外気を吸引することでエンジンルーム13で発生した冷却風は、エンジン11に向かって流れ、エンジン11と外周で接触することにより直接的にエンジン11を冷却する。
【0090】
上側の冷却装置としてのインタークーラ500は、キャビン30と穀粒タンク7との間に配置されている。インタークーラ500は、ケース501の全体が外気導入カバー15により右方から覆われるように設けられている。
【0091】
すなわち、穀粒タンク7は、図2及び図3に示すように、キャビン30の後方かつ右側方に設けられたインタークーラ500及びラジエータ14に対し、鉛直状の平面部分である前面部7aを、インタークーラ500(ケース501)及びラジエータ14の後方に位置させるように設けられている。
【0092】
このように冷却装置としてのインタークーラ500及びラジエータ14は、走行機体4の右側部において、前後方向について、キャビン30と穀粒タンク7との間に位置するように設けられている。
【0093】
インタークーラ500は、エンジン11が有する過給機340のコンプレッサから吐出された空気を冷却する熱交換器として機能する。インタークーラ500により冷却された空気は、エンジン11に対する給気としてエンジン11の吸気マニホールドへと供給される。
【0094】
このようなインタークーラ500とエンジン11との間には、エア流入管505及びエア流出管506が配管されている。
【0095】
エア流入管505の上流側端部は、過給機340のコンプレッサ側に連通接続されている。図12に示すように、エア流入管505の下流側端部は、ケース501の下面部501aの下側の前部に設けられた流入口507に連通接続されている。また、エア流入管505は、前横フレーム361の下側を潜るように配されている。流入口507は、ケース501の下面部501aの下側に設けられたダクト部509の前部に設けられ、左方に向けて開口した円筒状の突出部分である。
【0096】
エア流入管505は、流入口507から左方に向けて配されると共にエンジン11の右側において前下方に延出し、エンジン11の前上部に設けられた過給機340に対して右方から接続されている。エア流入管505により、過給機340のコンプレッサから吐出された空気がインタークーラ500に供給される。ケース501内に設けられたフィン等を有する所定の空気通路504を通過しながら冷却される。
【0097】
エア流出管506の上流側端部は、ケース501の下面部501aの下側の後部に設けられた流出口508に連通接続されている。流出口508は、ダクト部509の後部に設けられ、左方に向けて開口した円筒状の突出部分である。エア流出管506の下流側端部は、エンジン11の吸気マニホールドに連通接続されている。
【0098】
エア流出管506は、流出口508から左前下方に向けて延出し、エンジン11の後上部に位置する吸気マニホールドに対して右方から接続されている。エア流出管506により、ケース501内で冷却された空気がエンジン11の吸気マニホールドに供給される。
【0099】
インタークーラ500は、図12に示すように、略直方体状の外形を有するボックス状のケース501により装置の外装をなし、ケース501の略直方体状の外形について、平面視においては長手方向を前後方向とすると共に、前後方向視においては長手方向を上下方向とした向きで設置されている。インタークーラ500は、機台部25上において、エンジン11の右上方の位置に、所定の支持部材によって支持された状態で設けられている。
【0100】
また、インタークーラ500は、後述する排気ガス浄化装置330側への送風が可能な冷却ファンである冷却用ファン540を有する。
【0101】
冷却用ファン540は、ファン本体と、ファン本体を駆動させる駆動源としての電動式のファンモータとを有する電動ファンであり、ファンモータの駆動力により、ファン本体を正回転方向と逆回転方向とのいずれにも回転させることができるように構成している。
【0102】
冷却用ファン540は、ケース501内において、ファン本体の回転軸方向を左右方向とした向きで、左側に配置されている。ケース501の左側面部501cには、ファン本体と同心状に円形状の開口部である通風口501fが形成されている。通風口501fは、左側面視において冷却用ファン540の略全体を露出させるように形成されている。
【0103】
このようなインタークーラ500の左側方の位置には、図7図10に示すように、エンジン11からの排気ガスを浄化するための排気ガス浄化装置330が配置されている。排気ガス浄化装置330は、排気ガス中に含まれる煤等の粒子状物質や窒素酸化物(NOx)等を除去することで、排気ガスを浄化する。
【0104】
排気ガス浄化装置330は、同程度の大きさの略円筒状のDPFケース331とSCRケース332とを有し、エンジン11の本体部分の上方で、DPFケース331及びSCRケース332を長手方向を前後方向に向けると共に上下に縦並びに配置している。
【0105】
すなわち、排気ガス浄化装置330の配置位置は、前後方向についてはキャビン30の後壁部32の直後方の位置(図1図2参照)、左右方向については走行機体4の略左右中央部の位置(脱穀部6と穀粒タンク7との間の位置)となっている(図3参照)。また、排気ガス浄化装置330は、キャビン30のルーフ部35よりも下側の位置であって、キャビン30の左後側に配置されている(図1図3参照)。
【0106】
以上のような排気ガス浄化装置330の配置構成により、DPFケース331及びSCRケース332は、エンジン11の上方に配置された運転部12の後方、且つ脱穀部6の左右内側である右側に、長手方向を前後方向とする向きで上下に並んだ状態で配置されている。
【0107】
DPFケース331は、内部にディーゼルパティキュレートフィルタを有してエンジン11の排気ガス中の粒子状物質を除去する。SCRケース332は、内部に尿素を用いた選択触媒還元(SCR)のシステムとしてエンジン11の排気ガス中の窒素酸化物質を除去する。
【0108】
また、過給機340の排気ガスの出口側には、エンジン11からの排気ガスをDPFケース331内に導入する排気管341の一端側(上流側)が連通接続されている。排気管341の他端側(下流側)には、DPFケース331の前部の下側に設けられた排気ガス導入口に連通接続されている。
【0109】
このDPFケース331の後面部からは、DPFケース331内の排気ガスを排出するDPF出口管342が延出している。DPF出口管342は、DPFケース331の後面部から左上方に延出されてから前側に向かうように折り返し状に配されている。SCRケース332の前部の左下側に設けられた排気ガス導入口に、後側に向かうように配されたエルボ状のSCR入口管343の下流側が連通接続されている。
【0110】
DPF出口管342の下流側とSCR入口管343の上流側とは、前後方向に対向しており、DPF出口管342とSCR入口管343との間に、これらの管同士を連通接続させる尿素混合管(図示略)が設けられている。DPFケース331から後側に排出される排気ガスは、DPF出口管342により流れを前側へと折り返し、尿素混合管及びSCR入口管343を経てSCRケース332内に導入される。
【0111】
DPF出口管342には、尿素噴射部348が設けられている。尿素噴射部348には尿素水供給装置により尿素水タンクに貯留された尿素水が噴霧供給され、尿素水はアンモニアとしてDPFケース331から排出されSCRケース332に導入される排気ガス中に混合される。
【0112】
SCRケース332の後側には、SCRケース332内の排気ガスを排出するSCR出口管346が設けられている。SCR出口管346の他端側(下流側)には、浄化された排気ガスを排出するためのテールパイプ347が取り付けられている。
【0113】
以上のように構成した排気ガス浄化装置330により、エンジン11から排出される排気ガスは、粒子状物質及び窒素酸化物質を除去され浄化された状態で排気される。
【0114】
次に、走行機体4上における排気ガス浄化装置330、冷却装置としてのラジエータ14及びインタークーラ500などを支持する支持フレーム360及び連結フレーム380の構成について説明する。
【0115】
支持フレーム360及び連結フレーム380は、図13に示すように、機台部25の前部に設置されたエンジン11の周りを囲むように枠組み構成されており、エンジンルーム13を形成している。
【0116】
排気ガス浄化装置330は、機台部25に対して、支持フレーム360と連結フレーム380とによって支持されている。支持フレーム360は、走行機体4の機台部25上に設けられ、運転部12を支持するフレームである。連結フレーム380は、支持フレーム360を走行機体4の機台部25に連結させるフレームである。
【0117】
支持フレーム360は、エンジン11の前部の上方において左右方向に配された前横フレーム361と、前横フレーム361と略同じ高さ位置でエンジン11の右方において前後方向に配された前後延伸フレーム362と、前左支柱363、前右支柱364及び後右支柱365の3本の支柱とを有する。
【0118】
前左支柱363は、機台部25上におけるエンジン11の左方の位置に設けられた支持台部373上に立設されている。支持台部373は、機台部25上に立設された支柱373aや支持台373b等によって水平状の支持面部373cを支持した構成を有する。前左支柱363は、前左支柱363の下端部を、支持面部373cに対してボルト等により固定させた状態で、支持面部373c上に鉛直状に立設されている。
【0119】
前右支柱364は、前後方向について、前左支柱363よりも前方に位置し、エンジン11の右前方の位置において機台部25上に立設されている。後右支柱365は、前右支柱364に対して左右方向の位置を略同じとすると共に前右支柱364の後方に位置し、エンジン11の右後方の位置において機台部25上に立設されている。
【0120】
前後延伸フレーム362は、平面視で前後方向に沿うように延伸しており、前右支柱364及び後右支柱365により前後両側で支持された状態で設けられている。前右支柱364及び後右支柱365それぞれの上端側は、溶接等によって前後延伸フレーム362に固定されている。
【0121】
前横フレーム361は、前左支柱363と前後延伸フレーム362との間に水平状に架設されている。前横フレーム361の左端部は、前左支柱363の上下中間部の前面に対して溶接等によって固定されている。前横フレーム361の右端部は、前後延伸フレーム362の前部の上側に位置させ、前後延伸フレーム362に対して所定の支持金具等を介して固定支持されている。
【0122】
前横フレーム361は、キャビン30の後部を下側から支持するフレームである。前横フレーム361の左右両側には、前横フレーム361から後方に向けて突設された水平板状の部分である受台部367が設けられている。受台部367は、キャビン30の底面部の後部に設けられた支持脚体(図示略)を受ける部分である。
【0123】
キャビン30は、左右の受台部367に対して支持脚体を上側から当接させた状態で、前横フレーム361により支持されている。以上のような構成により、キャビン30内に設けられた運転部12が、機台部25上に設けられた支持フレーム360によって支持される。
【0124】
連結フレーム380は、エンジン11の上方において前後方向に配された中央前後延伸フレーム381と、エンジン11の後方に設けられた後中央支柱382とを有する。中央前後延伸フレーム381及び後中央支柱382は、いずれも角形鋼管により形成されている。
【0125】
後中央支柱382は、機台部25上におけるエンジン11の左右中央部の後方の位置に立設されている。後中央支柱382は、左右方向について、前左支柱363と前右支柱364の間の略中央の位置に設けられており、前後方向について、後右支柱365よりも後方の位置に設けられている。
【0126】
中央前後延伸フレーム381は、水平状に前後方向に沿うように延伸しており、前横フレーム361及び後中央支柱382により前後両端で支持された状態で設けられている。中央前後延伸フレーム381の前端部は、前横フレーム361の左右略中央部の上方に位置しており、支持金具等を介して固定支持されている。中央前後延伸フレーム381の後端部は、後中央支柱382により下側から支持されている。
【0127】
このように、連結フレーム380をなす中央前後延伸フレーム381及び後中央支柱382により、一端側を前横フレーム361に連結支持させると共に他端側を機台部25上に支持させたL字状のフレーム部分が構成されている。連結フレーム380に対して、中央前後延伸フレーム381上に、支持枠体390が設けられている。
【0128】
支持枠体390は、DPFケース331及びSCRケース332を連結フレーム380に固定状態で支持させる固定部材である。すなわち、連結フレーム380を構成する中央前後延伸フレーム381上に、DPFケース331及びSCRケース332が、支持枠体390を介して固定支持された状態で設けられている。
【0129】
支持枠体390は、略矩形板状の外形をなし、板厚方向を左右方向とする向きで、中央前後延伸フレーム381に対して、所定の支持部材を介して固定支持されている。
【0130】
支持枠体390に対して、DPFケース331及びSCRケース332は、脱穀部6側、つまり左側に位置し、所定の固定部材等により支持枠体390に固定支持されている。支持枠体390は、例えば鋳物部品であり、高い剛性を有する。
【0131】
また、DPFケース331及びSCRケース332は、カバー支持フレーム420により覆われている。カバー支持フレーム420は、一側を脱穀部6側に固定支持させると共に、他側を支持枠体390に固定支持させ、SCRケース332の上方を左右に跨ぐように設けられている。
【0132】
上側の冷却装置としてのインタークーラ500は、排気ガス浄化装置330と同様、支持フレーム360に対して支持された状態で、下側の冷却装置としてのラジエータ14の上方位置に設けられている。
【0133】
インタークーラ500は、支持フレーム360を構成する前後延伸フレーム362上に支持された状態で設けられている。インタークーラ500は、ケース501の前後両側において、前後延伸フレーム362上に設けられた支持突片部511に対して、ケース501に設けられた支持ステー512を固定させることで、前後延伸フレーム362上に支持されている。支持突片部511及び支持ステー512による支持部510は、前後方向について対称的に構成されている。
【0134】
支持突片部511は、前後延伸フレーム362の上面に、平面視で略U字状をなす屈曲板状の金具を、左側を開放側とする向きで立った状態で溶接等によって固定することにより、ケース501の前後方向の寸法よりも大きい間隔を隔てて前後2箇所に設けられている。
【0135】
支持ステー512は、略L字状の横断面形状を有する長手状の屈曲板状の部材であり、長手方向を上下方向として、ケース501の前面部501d及び後面部501eのそれぞれに固定されている。支持ステー512は、ケース501に対して、上部の固定面部512aを、前面部501dまたは後面部501eに溶接等により固定させ、下部を下面部501aよりも下方に突出させた状態で設けられている。
【0136】
このように、支持ステー512は、ケース501の前後両側において下方に突出した脚部を構成しており、脚部の下端部が、前後延伸フレーム362上に突設された支持突片部511に固定されている。
【0137】
また、インタークーラ500は、図10に示すように、排気ガス浄化装置330を支持する支持枠体390との間に架設された第1支持棒521及び第2支持棒522の前後2本の支持棒により、支持枠体390に対して連結支持されている。
【0138】
第1支持棒521及び第2支持棒522は、いずれも円形状の横断面形状を有する直線パイプ状の部材であり、わずかに右下がりで略左右方向に配されている。第1支持棒521は、第2支持棒522に対して後方に位置している。
【0139】
第1支持棒521は、左側に位置する一方の端部を、支持枠体390の上縁部の前後の中間部に設けられた所定の固定部に対してボルト等により固定させている。第1支持棒521は、右側に位置する他方の端部を、ケース501の後面部501eの左上側の隅部に対してボルト等によって固定させている。
【0140】
第2支持棒522は、左側に位置する一方の端部を、支持枠体390の上縁部の後端部に設けられた所定の固定部に対してボルト等により固定させている。第2支持棒522は、右側に位置する他方の端部を、ケース501の前面部501dの左上側の隅部に固設された長手状の支持ステー529に対してボルト等によって固定させている。
【0141】
このように前後延伸フレーム362により支持されたインタークーラ500の下方位置には、ラジエータ14が配設されている。ラジエータ14は、図11及び図13に示すように、支持フレーム360の前右支柱364と後右支柱365との間で挟持され、機台部25の右端縁部に沿って立設している。
【0142】
前右支柱364及び後右支柱365は、それぞれ上下方向で一定間隔に外方突出すると共に、互いに対向する複数の前後ブラケット364a、365aを有している。また、前右支柱364及び後右支柱365は、下端縁から水平状に外方突出する帯板状の前後基台364b、365bを有する。
【0143】
ラジエータ14は、図11及び図13に示すように、前右支柱364及び後右支柱365について、前後ブラケット364a、365aに対向する幅方向の側壁部と、前後基台364b、365bに載置した底側壁部をボルト等の固定部材で固定している。
【0144】
このようにして、上側の冷却装置としてインタークーラ500と下側の冷却装置としてのラジエータ14とは、走行機体4の前後方向において、下側のラジエータ14よりも上側のインタークーラ500をやや後方寄りに配置した状態で、それぞれ走行機体4上で支持フレーム360に連結して支持される。
【0145】
また、これら冷却装置としてのインタークーラ500及びラジエータ14と、エンジン11との相対的な位置関係は、次の通りである。上側の冷却装置としてのインタークーラ500は、平面視で、走行機体4の前後方向について、エンジン11よりもやや後方側に配置される。つまり、エンジン11は、走行機体4の前後方向について、冷却装置としてのインタークーラ500の一方側(前方側)に配置され、その一方側(前方側)とは反対側の面がインタークーラ500の後面部501eとして位置する。また、下側の冷却装置としてのラジエータ14は、平面視で、走行機体4の前後方向について、エンジン11よりも前後長さを長くし、エンジン11と略同じ位置に配置される。
【0146】
換言すれば、冷却装置としてのインタークーラ500及びラジエータ14は、走行機体4の前後方向について、それぞれエンジン11とオーバーラップし、各後面部501e、14aをエンジン11よりも後方に位置付けてエンジン11から遠ざけた一側面となし、走行機体4の側端部に配置される。
【0147】
このように、走行機体4において、支持フレーム360によりインタークーラ500を上側に配置支持すると共にインタークーラ500の下方にラジエータ14を配置支持し、機台部25上のスペースを有効利用することができ、インタークーラ500及びラジエータ14をコンパクトに納めている。
【0148】
また、コンバイン1において、上側の冷却装置としてのインタークーラ500とこれに近接して下側に配置された冷却装置としてのラジエータ14の周辺領域は、比較的温度が安定化した領域となる。
【0149】
すなわち、冷却装置としてのインタークーラ500やラジエータ14の近傍では、それぞれの冷却用ファン540や冷却用ファン140の旋回駆動により発生する冷風が対流循環しており、冷却装置と穀粒タンク7との間のクリアランス空間は冷却雰囲気となる。
【0150】
次に、コンバイン1の稼働を制御する電装コントローラのシステム構成について説明する。複数の電装コントローラは、図14に示すように、それぞれコンバイン1が備える各種センサ等からの入力信号に基づき、コンバイン1が備える各部を制御する。
【0151】
各コントローラは、各種演算処理や制御を実行する演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶装置、データ入出力用の入出力インターフェイス等の入出力装置(入出力回路)、クロック回路等の周辺回路等をバス等により接続した構成を備える。コントローラのCPUは、ROM等に記憶された各種のプログラムに従って演算処理を行う。
【0152】
複数の電装コントローラとしては、図14に示すように、例えば、エンジン11の作動制御を行うためのECU(Engine Control Unit)、排気ガス浄化装置330における尿素の調量等の制御を行うためのDCU(Dosing Control Unit)、刈取部5の作動制御を行うための刈取コントローラ、脱穀部6の動作制御を行うための脱穀コントローラ、穀粒タンク7内の収穫情報の制御を司るタンクコントローラ、選別部8の動作制御を行うための選別コントローラ、排出オーガ9の動作制御を行うオーガコントローラ、電源や作業クラッチ、警報、油圧系統の制御を行うための標準コントローラ、などを含む。ただし、各コントローラの構成は特に限定されるものではない。
【0153】
これら各電装コントローラは、収穫稼働に必要な各装置部材のメインBUSとなる第1のCAN(Controller Area Network)と、走行稼働に必要な各装置部材の走行BUSとなる第2のCANとを介して、それぞれ相互通信可能に接続している。
【0154】
第1のCANには、脱穀コントローラと、オーガコントローラと、タンクコントローラと、選別コントローラと、各装置の作動条件を入力操作するための操作スイッチとが接続している。第2のCANには、ECUと、DCUと、刈取コントローラと、が接続している。
【0155】
また、第1のCANと第2のCANとは、標準コントローラを介して接続している。このように、収穫稼働系の第1のCANと走行稼働系の第2のCANとによりなすパラレルBUSを、各電装コントローラを介して通信接続することによりエンジン11、排気ガス浄化装置330、刈取部5、脱穀部6、穀粒タンク7、選別部8、排出オーガ9、の同期制御等を行うようにしている。
【0156】
次に、コンバイン1における電装コントローラ200の配置構成について説明する。電装コントローラ200は、図10及び図12に示すように、上下複数の冷却装置において、その一側面に配設されている。本実施形態の電装コントローラ200は、エンジン11の作動制御を司るECUとしている。
【0157】
すなわち、電装コントローラ200は、それぞれ走行機体4上に立設した支持フレーム360に連結して支持された上側の冷却装置としてインタークーラ500又は下側の冷却装置としてのラジエータ14の一側面に配設される。
【0158】
このような構成によれば、機体本体(走行機体4)に電装コントローラ200を直接配置することがないため、エンジン11の駆動に伴う振動がダイレクトに電装コントローラ200に伝達されることがない。すなわち、エンジン11の振動を前横フレーム361や前後延伸フレーム362、前左支柱363等により組み上げ構成した支持フレーム360や連結フレーム380により撓ませ吸収し、ラジエータ14やインタークーラ500へのダイレクトな振動伝達を抑制して電装コントローラ200への振動衝撃による破損を防止できる。
【0159】
電装コントローラ200は、矩形扁平状の外形を有した基板収納ケース201に制御中心となる回路基板を収納しており、基板収納ケース201の底面をインタークーラ500を構成するケース501の後面部501eの上側(上半部)に当接してボルト等の固定部材により螺着されている。
【0160】
電装コントローラ200は、エンジン11と電装コントローラ200とを接続するハーネスとしての接続ケーブル210の端部に設けたオスカプラー211が挿嵌されるメスカプラー203を有する。
【0161】
メスカプラー203は、方形筒状であって先端開口をオスカプラー211を受け入れる挿入口203aとなし、筒軸方向を基板収納ケース201の板厚方向に直交する一側壁部から隣接して2つ突出している。
【0162】
電装コントローラ200は、メスカプラー203の挿入口203aをコンバイン1の内側(左側)に臨ませた状態で、インタークーラ500の後面部501eに前後方向を板厚方向として鉛直状にして配置している。
【0163】
また、電装コントローラ200は、メスカプラー203の筒軸方向を冷却用ファン540の回転軸方向(送風方向)と同一方向にしてインタークーラ500の後面部501eに配置している。
【0164】
つまり、電装コントローラ200は、エンジン11と接続するケーブルやコードなどの配線部材との接続部分をコンバイン1の内側(左側)に臨ませることにより、コンバイン1の外部からの塵埃の接続部分における堆積機会を低減化している。
【0165】
また、電装コントローラ200は、カバー体202によりメスカプラー203の挿入口203a部分を除いた外側部分を全体的に覆われた状態で、インタークーラ500の後面部501eに設けられている。
【0166】
カバー体202は、電装コントローラ200の挿入口203aに対応する一側壁を開放させた開口202aを有し、電装コントローラ200の外形に沿った略矩形扁平箱状としている。
【0167】
カバー体202は、内側空間に電装コントローラ200を入れ子状に内包した状態で、ボルト等の固定部材によりの基板収納ケース201に一体的に固着されている。
【0168】
カバー体202は、開口202aに向かって上側壁を中途部から下方傾斜させた側面視台形状をなし、開口202aを縮径している。このカバー体202の開口202aは、カバー体202内部の電装コントローラ200に接続した接続ケーブル210が通る挿通口として機能する。
【0169】
電装コントローラ200は、インタークーラ500の後面部501eに配設した状態で、メスカプラー203をインタークーラ500の左側面部501cよりもエンジン側に突出させている。メスカプラー203の挿入口203aは、インタークーラ500よりもコンバイン1の内側、すなわち走行機体4の幅方向内側に臨ませて配置される。
【0170】
すなわち、電装コントローラ200のカプラーの取付方向が走行機体4内方側で横向きとなる。このような構成によれば、インタークーラ500の後面部501eなどのケース501の側面部に沿って配置がしやすくなり、作業性が向上する。
【0171】
カバー体202は、インタークーラ500の左側面部501cから突出したメスカプラー203を外側から覆う。つまり、カバー体202は、インタークーラ500に設けた電装コントローラ200の本体部分と、接続ケーブル210と電装コントローラ200との接続部分(互いに嵌合した接続ケーブル210のオスカプラー211と電装コントローラ200のメスカプラー203)とを外側から覆うように構成している。
【0172】
このようにして、インタークーラ500の一側面部に配設された電装コントローラ200は、走行機体4上においてエンジン11よりも上方且つ外方(左方)に、また、刈取部5よりも後方に配置されることとなる。
【0173】
すなわち、エンジン11は、走行機体4の前後方向について、冷却装置としてのインタークーラ500の一方側(前面部501d側)に配置され、電装コントローラ200は、冷却装置としてのインタークーラ500の一方側(前面部501d側)とは反対側の側面(後面部501e)に配置される。
【0174】
このような構成によれば、排熱生成の中心となるエンジン11から電装コントローラ200を遠ざけ、電装コントローラ200がエンジン11から発生する排熱により熱損傷することを防止することができる。
【0175】
さらに、電装コントローラ200は、略上下左右方向について、エンジン11との間で、インタークーラ500、プリクリーナ562及び給気管563を介在させて配置している。また、電装コントローラ200は、図2に示すように、前後方向について、刈取部5との間で、インタークーラ500、キャビン30を介在させて配置している。また、電装コントローラ200は、左右方向について、外部との間で、外気導入カバー15を介在させ、同外気導入カバー15によりインタークーラ500ごと覆われて配置している。さらに、電装コントローラ200は、冷却装置と穀粒タンク7との間に配設される。
【0176】
このように電装コントローラ200は、エンジン11及び刈取部5から遠ざけつつ、間に介在させた各種機能部材によりエンジン11から発生する熱や刈取部5による刈取作業に伴う塵埃から遮蔽される。
【0177】
特に、冷却装置として上下に配置したインタークーラ500とラジエータ14の周辺領域は冷却用ファン540や冷却用ファン140が稼働して比較的温度が安定化した領域となっており、電装コントローラ200にエンジンからの無用な排熱負荷を与える虞がない。
【0178】
また、これら複数の冷却装置の右側近傍を外気導入カバー15で覆うことで、冷却装置ごと電装コントローラ200を被覆して外部と遮断することにより電装コントローラ200と接続ケーブル210との接続部分、すなわちメスカプラー203とオスカプラー211の外側に塵埃が堆積することを低減化している。
【0179】
さらに、冷却装置と穀粒タンク7との間で電装コントローラ200を配置したレイアウト構成としたことで、冷却装置と穀粒タンク7との間のクリアランス空間の冷却雰囲気を利用できる。
【0180】
すなわち、冷却装置と穀粒タンク7との間のクリアランス空間では、冷却用ファン140や冷却用ファン540により冷風が発生している。この冷風により接続ケーブル210と電装コントローラ200との接続部分から塵埃を吹き飛ばして堆積を防止すると共に、電装コントローラ200周りで空気循環して同電装コントローラ200を冷却する。
【0181】
このように精密機器であって取り扱いにデリケートな電装コントローラ200のレイアウト構成を改善することで、収穫稼働系や走行稼働系の制御に不具合が生じることを抑制すると共に電装コントローラ自体の寿命を延命させつつ安定したコンバイン制御を実現する。
【0182】
なお、電装コントローラ200は下側の冷却装置としてのラジエータ14の一側面に配設することも可能である。例えば、図11に示すように、リザーバタンク147の直上方でラジエータ14のラジエータフレーム143の後面部14aに鉛直状に配設することもできる。さらに、各冷却装置に対する配設位置は後面部501e以外の前面部501dや左側面部501c、上面部501bや下面部501aであってもよい。
【0183】
このような電装コントローラ200のレイアウト改善により、他の場所に比べてエンジン11の近傍に配置されているにも関わらず、冷却装置としての冷却用ファン540やラジエータ14により実現される安定した温度環境とクリーン環境を利用し、電装コントローラ200の熱や塵埃による不具合の生起を低減化する。
【0184】
かかる電装コントローラ200とエンジン11等とを接続するハーネスとしての接続ケーブル210は、耐熱性及び絶縁性を有し、図15及び図16に示すように、支持フレーム360及び連結フレーム380に沿って敷設支持される。接続ケーブル210は、一端で電装コントローラ200に接続すると共に中途部で分岐して複数伸延し、複数の分岐伸延部分の他端でエンジン11やその他の部材に接続している。
【0185】
接続ケーブル210は、電装コントローラ200からインタークーラ500のケース501の後側左縁部に沿って下方伸延し、前方側へ折り返されてインタークーラ500の左側面部501cに当接すると共に、通風口501fの外縁に沿って傾斜伸延して支持される。
【0186】
つまり、接続ケーブル210は、通風口501fを下方で迂回しながらインタークーラ500のケース501に沿って伸延する基端側の第1ケーブル部210aを有する。
【0187】
接続ケーブル210の第1ケーブル部210aの先端は、冷却用ファン540の回転軸の下方位置且つ後右支柱365の上方位置で二又状に分岐している。すなわち、第1ケーブル部210aの先端は、前方伸延する第2ケーブル部210bと下方伸延する第3ケーブル部210cとに分岐する。
【0188】
第2ケーブル部210bは、支持フレーム360の前後延伸フレーム362に沿って伸延して支持されると共に、左方向に折り返して前横フレーム361の前側で同フレーム361に沿って伸延して支持される。
【0189】
また、第2ケーブル部210bは、前横フレーム361と中央前後延伸フレーム381との接続部分で二又状に分岐している。すなわち、第2ケーブル部210bの先端は、連結フレーム380の中央前後延伸フレーム381に沿って後方伸延する第4ケーブル部210dと、支持フレーム360の前横フレーム361に沿って左方伸延する第5ケーブル部210eとに分岐する。第3ケーブル部210cは、後右支柱365に沿って下側に伸延して支持される。
【0190】
このように、支持フレーム360及び連結フレーム380に沿って整然と張り巡らされるように各部材を迂回して伸延する接続ケーブル210は、エンジン11やその他の刈取部5や脱穀部6などの稼働部材やそれらの制御を司るコントローラ等と接続する。
【0191】
すなわち、電装コントローラ200の冷却装置へのレイアウトに伴い、電装コントローラ200に接続した接続ケーブル210を支持フレーム360に沿って整然と支持配置するレイアウト構成とすることにより、各部材が密集するエンジン11廻りで各部材を迂回しつつコンパクトなハーネスの配線を可能としている。
【0192】
以上のような構成を備えた本実施形態に係るコンバイン1によれば、エンジン11から発生する熱の影響を受け難くすると共に、粉塵等が堆積し難い箇所に、コンバイン1の作動を制御する電装コントローラ200を配置することにより、同コンローラ200に不具合が生じることを防止することができ、機体をコンパクトにすることができる。
【0193】
上述した実施形態は本発明の一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。また、本開示に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0194】
なお、本技術は、以下(1)~(7)のような構成を取ることができる。
(1)
走行機体の前部にエンジンを配設したコンバインであって、前記エンジンを冷却するための冷却装置、を備え、前記冷却装置の一側面に、コンバインの作動を制御するための電装コントローラを配設したことを特徴とするコンバイン。
(2)
前記冷却装置は、前記走行機体の側端部に配置され、前記エンジンは、前記走行機体の前後方向について、前記冷却装置の一方側に配置され、前記電装コントローラは、前記冷却装置の前記一方側とは反対側の側面に配置されることを特徴とする前記(1)に記載のコンバイン。
(3)
前記冷却装置は、前記走行機体上で上下方向に複数配設されるものであり、前記電装コントローラは、複数の前記冷却装置のうち上側に配置した冷却装置に配設され、上側の前記冷却装置は、冷却用ファンを有し、前記エンジンに供給される空気を冷却することを特徴とする前記(2)に記載のコンバイン。
(4)
前記走行機体上に穀粒タンクを備え、前記電装コントローラは、前記冷却装置と前記穀粒タンクとの間に配設したことを特徴とする前記(1)または前記(2)に記載のコンバイン。
(5)
前記電装コントローラは、前記エンジンを制御するためのコントローラであることを特徴とする前記前記(1)~前記(3)のいずれか1つに記載のコンバイン。
(6)
前記電装コントローラは、ハーネスの端部が接続されるカプラーを有し、前記カプラーは、挿入口を前記走行機体の幅方向の内側に臨ませたことを特徴とする前記(2)~前記(5)のいずれか1つに記載のコンバイン。
(7)
前記冷却装置は、前記走行機体上に立設した支持フレームに連結して支持されるものであることを特徴とする前記(2)~前記(6)のいずれか1つに記載のコンバイン。
【符号の説明】
【0195】
1 コンバイン
4 走行機体
7 穀粒タンク
11 エンジン
14 ラジエータ(下側の冷却装置)
14a 後面部(一側面)
140 冷却用ファン
200 電装コントローラ
203 メスカプラー
203a 挿入口
210 接続ケーブル(ハーネス)
500 インタークーラ(上側の冷却装置)
501e 後面部(一側面)
540 冷却用ファン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16