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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184171
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】鉄筋結束機
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/12 20060101AFI20231221BHJP
   B65B 13/18 20060101ALI20231221BHJP
   B65B 13/28 20060101ALI20231221BHJP
   B21F 15/06 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
E04G21/12 105E
B65B13/18 Z
B65B13/28
B21F15/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098161
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 英樹
(72)【発明者】
【氏名】能登 奈都美
(72)【発明者】
【氏名】小林 憲司
【テーマコード(参考)】
3E052
4E070
【Fターム(参考)】
3E052AA42
3E052BA18
3E052CA18
3E052CB05
3E052CB07
3E052FA09
3E052HA09
3E052JA02
3E052LA05
3E052LA06
3E052LA13
4E070AA01
4E070AB06
4E070BA18
(57)【要約】
【課題】結束動作が繰り返し実行されても接触部材が摩耗することを抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】鉄筋結束機は、ワイヤを用いて鉄筋を結束する。前記鉄筋結束機は、前記鉄筋結束機が前記ワイヤを用いて前記鉄筋を結束する結束動作中に前記ワイヤと接触する接触部材を備えている。前記接触部材は、基材と、前記基材の表面の少なくとも一部分を覆っており、前記結束動作中に前記ワイヤと接触する表層と、を備えている。前記表層の硬度は、前記基材の硬度よりも高い。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤを用いて鉄筋を結束する鉄筋結束機であって、
前記鉄筋結束機が前記ワイヤを用いて前記鉄筋を結束する結束動作中に前記ワイヤと接触する接触部材を備えており、
前記接触部材は、
基材と、
前記基材の表面の少なくとも一部分を覆っており、前記結束動作中に前記ワイヤと接触する表層と、を備えており、
前記表層の硬度は、前記基材の硬度よりも高い、鉄筋結束機。
【請求項2】
前記表層は、セラミックスからなる、請求項1に記載の鉄筋結束機。
【請求項3】
前記セラミックスは、タングステンカーバイドを含む、請求項2に記載の鉄筋結束機。
【請求項4】
前記表層の厚みは、10マイクロメートル以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の鉄筋結束機。
【請求項5】
前記表層の前記厚みは、200マイクロメートル以下である、請求項4に記載の鉄筋結束機。
【請求項6】
前記表層の前記硬度は、900HV以上である、請求項1から5のいずれか一項に記載の鉄筋結束機。
【請求項7】
送りモータと、
前記送りモータの回転に伴い回転し、前記ワイヤを前記鉄筋に向けて送り出す送りローラと、をさらに備えており、
前記接触部材は、前記送りローラを構成している、請求項1から6のいずれか一項に記載の鉄筋結束機。
【請求項8】
前記結束動作中に、前記ワイヤを切断する切断刃をさらに備えており、
前記接触部材は、前記切断刃を構成している、請求項1から6のいずれか一項に記載の鉄筋結束機。
【請求項9】
ワイヤを用いて鉄筋を結束する鉄筋結束機であって、
第1接触部材と、
前記鉄筋結束機が前記ワイヤを用いて前記鉄筋を結束する結束動作中に、前記第1接触部材と接触し、前記第1接触部材に対して相対的に移動する第2接触部材と、を備えており、
前記第1接触部材は、
第1基材と、
前記第1基材の表面の少なくとも一部分を覆っている第1表層と、を備えており、
前記第2接触部材は、
第2基材と、
前記第2基材の表面の少なくとも一部分を覆っており、前記結束動作中に前記第1表層と接触する第2表層と、を備えており、
前記第1表層の硬度は、前記第1基材の硬度よりも高く、
前記第2表層の硬度は、前記第2基材の硬度よりも高い、鉄筋結束機。
【請求項10】
前記第1表層と前記第2表層のそれぞれは、セラミックスからなる、請求項9に記載の鉄筋結束機。
【請求項11】
前記セラミックスは、タングステンカーバイドを含む、請求項10に記載の鉄筋結束機。
【請求項12】
前記第1表層の厚みと前記第2表層の厚みのそれぞれは、10マイクロメートル以上である、請求項9から11のいずれか一項に記載の鉄筋結束機。
【請求項13】
前記第1表層の前記厚みと前記第2表層の前記厚みのそれぞれは、200マイクロメートル以下である、請求項12に記載の鉄筋結束機。
【請求項14】
前記第1表層の前記硬度と前記第2表層の前記硬度のそれぞれは、900HV以上である、請求項9から13のいずれか一項に記載の鉄筋結束機。
【請求項15】
前記結束動作中に、前記ワイヤを切断する切断ユニットをさらに備えており、
前記切断ユニットが、前記第1接触部材と前記第2接触部材とを備えている、請求項9から14のいずれか一項に記載の鉄筋結束機。
【請求項16】
ワイヤを用いて鉄筋を結束する鉄筋結束機であって、
前記鉄筋結束機が前記ワイヤを用いて前記鉄筋を結束するときに、前記ワイヤを前記鉄筋に向けて送り出す送りローラを備えており、
前記送りローラの表層の硬度は、900HV以上である、鉄筋結束機。
【請求項17】
ワイヤを用いて鉄筋を結束する鉄筋結束機であって、
前記ワイヤが前記鉄筋に向けて送り出されるときに前記ワイヤと接触し、モータにより回転する第1送りローラと、
前記ワイヤが前記鉄筋に向けて送り出されるときに前記ワイヤと接触する第2送りローラと、を備えており、
前記ワイヤは、前記第1送りローラと前記第2送りローラとの間に挟まれて、前記第1送りローラの回転により前記鉄筋に向けて送り出され、
前記第1送りローラは、前記ワイヤが前記鉄筋に向けて送り出されるときに前記ワイヤが通過する溝を備えており、
前記溝内の前記第1送りローラの硬度は、1000HV以上である、鉄筋結束機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、鉄筋結束機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、鉄筋結束機が開示されている。鉄筋結束機は、ワイヤを用いて鉄筋を結束する。鉄筋結束機は、鉄筋結束機がワイヤを用いて鉄筋を結束する結束動作中にワイヤと接触する第1接触部材を備えている。また、鉄筋結束機は、第2接触部材と、結束動作中に、第2接触部材と接触し、第2接触部材に対して相対的に移動する第3接触部材と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-59017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の鉄筋結束機での結束動作が繰り返し実行されると、第1接触部材は、ワイヤと接触することにより摩耗することがあり、第2接触部材と第3接触部材は、互いに擦れ合うことにより摩耗することがある。本明細書では、結束動作が繰り返し実行されても接触部材が摩耗することを抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する鉄筋結束機は、ワイヤを用いて鉄筋を結束する。鉄筋結束機は、鉄筋結束機がワイヤを用いて鉄筋を結束する結束動作中にワイヤと接触する接触部材を備えている。接触部材は、基材と、基材の表面の少なくとも一部分を覆っており、結束動作中にワイヤと接触する表層と、を備えている。表層の硬度は、基材の硬度よりも高い。
【0006】
上記の構成によれば、表層の硬度が基材の硬度よりも高いため、接触部材が基材のみからなる場合と比較して、接触部材の表層は、ワイヤと接触しても摩耗し難い。結束動作が繰り返し実行されても、接触部材が摩耗することを抑制することができる。
【0007】
本明細書が開示する鉄筋結束機は、ワイヤを用いて鉄筋を結束する。鉄筋結束機は、第1接触部材と、鉄筋結束機がワイヤを用いて鉄筋を結束する結束動作中に、第1接触部材と接触し、第1接触部材に対して相対的に移動する第2接触部材と、を備えている。第1接触部材は、第1基材と、第1基材の表面の少なくとも一部分を覆っている第1表層と、を備えている。第2接触部材は、第2基材と、第2基材の表面の少なくとも一部分を覆っており、結束動作中に第1表層と接触する第2表層と、を備えている。第1表層の硬度は、第1基材の硬度よりも高い。第2表層の硬度は、第2基材の硬度よりも高い。
【0008】
上記の構成によれば、第1表層の硬度が第1基材の硬度よりも高く、第2表層の硬度が第2基材の硬度よりも高いため、第1接触部材が第1基材のみからなり、第2接触部材が第2基材のみからなる場合と比較して、第1接触部材の第1表層と第2接触部材の第2表層は、互いに接触しても摩耗し難い。結束動作が繰り返し実行されても、第1接触部材と第2接触部材が摩耗することを抑制することができる。
【0009】
本明細書が開示する鉄筋結束機は、ワイヤを用いて鉄筋を結束する。鉄筋結束機は、鉄筋結束機がワイヤを用いて鉄筋を結束するときに、ワイヤを鉄筋に向けて送り出す送りローラを備えている。送りローラの表層の硬度は、900HV以上である。なお、HVは、ビッカース硬度を表す。
【0010】
送りローラは、ワイヤを鉄筋に向けて送り出すときにワイヤと接触する。上記の構成によれば、送りローラの表層の硬度が900HV以上であるため、送りローラの表層は、ワイヤと接触しても摩耗し難い。結束動作が繰り返し実行されても、送りローラが摩耗することを抑制することができる。
【0011】
本明細書が開示する鉄筋結束機は、ワイヤを用いて鉄筋を結束する。鉄筋結束機は、ワイヤが鉄筋に向けて送り出されるときにワイヤと接触し、モータにより回転する第1送りローラと、ワイヤが鉄筋に向けて送り出されるときにワイヤと接触する第2送りローラと、を備えている。ワイヤは、第1送りローラと第2送りローラとの間に挟まれて、第1送りローラの回転により鉄筋に向けて送り出される。第1送りローラは、ワイヤが鉄筋に向けて送り出されるときにワイヤが通過する溝を備えている。溝内の第1送りローラの硬度は、1000HV以上である。
【0012】
上記の構成によれば、溝内の第1送りローラの硬度は、1000HV以上であるため、第1送りローラは、溝内でワイヤと接触しても摩耗し難い。結束動作が繰り返し実行されても、第1送りローラが溝内で摩耗することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例の鉄筋結束機2を前方右方上方から見た斜視図である。
図2】実施例の鉄筋結束機2を後方左方上方から見た斜視図である。
図3】実施例の鉄筋結束機2の内部構成を示す側面図である。
図4】実施例の送りユニット34の斜視図である。
図5】実施例の鉄筋結束機2の案内部42近傍の断面図である。
図6】実施例の上側カールガイド66の分解斜視図である。
図7】実施例の切断ユニット36がワイヤWを切断する前の切断ユニット36と捩りユニット38の側面図である。
図8】実施例の切断ユニット36がワイヤWを切断した後の切断ユニット36と捩りユニット38の側面図である。
図9】実施例の捩りユニット38の斜視図である。
図10】実施例のスクリューシャフト126とボール128の斜視図である。
図11】実施例の接触部材150の断面図である。
図12】実施例の第1送りギヤ58の斜視図である。
図13】実施例の第1送りギヤ58の断面図である。
図14】実施例の第1接触部材152と第2接触部材154の断面図である。
図15】実施例の第1送りギヤ58と第2送りギヤ60の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の代表的かつ非限定的な具体例について、図面を参照して詳細に説明する。この詳細な説明は、本発明の好ましい例を実施するための詳細を当業者に示すことを単純に意図しており、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。また、以下に開示される追加的な特徴ならびに発明は、さらに改善された鉄筋結束機、その製造方法及び使用方法を提供するために、他の特徴や発明とは別に、又は共に用いることができる。
【0015】
また、以下の詳細な説明で開示される特徴や工程の組み合わせは、最も広い意味において本発明を実施する際に必須のものではなく、特に本発明の代表的な具体例を説明するためにのみ記載されるものである。さらに、上記及び下記の代表的な具体例の様々な特徴、ならびに、独立及び従属クレームに記載されるものの様々な特徴は、本発明の追加的かつ有用な実施形態を提供するにあたって、ここに記載される具体例のとおりに、あるいは列挙された順番のとおりに組合せなければならないものではない。
【0016】
本明細書及び/又は特許請求の範囲に記載された全ての特徴は、実施例及び/又はクレームに記載された特徴の構成とは別に、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、個別に、かつ互いに独立して開示されることを意図するものである。さらに、全ての数値範囲及びグループ又は集団に関する記載は、出願当初の開示ならびにクレームされた特定事項に対する限定として、それらの中間の構成を開示する意図を持ってなされている。
【0017】
本明細書が開示する鉄筋結束機は、ワイヤを用いて鉄筋を結束する。鉄筋結束機は、鉄筋結束機がワイヤを用いて鉄筋を結束する結束動作中にワイヤと接触する接触部材を備えている。接触部材は、基材と、基材の表面の少なくとも一部分を覆っており、結束動作中にワイヤと接触する表層と、を備えている。表層の硬度は、基材の硬度よりも高い。
【0018】
1またはそれ以上の実施形態において、表層は、セラミックスからなってもよい。
【0019】
一般的なセラミックスは、他の材料と比較して高硬度である。上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、接触部材が摩耗することをより抑制することができる。
【0020】
1またはそれ以上の実施形態において、セラミックスは、タングステンカーバイドを含んでもよい。
【0021】
一般的に、タングステンカーバイドは、他の材料と比較して高硬度である。上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、接触部材が摩耗することをより抑制することができる。
【0022】
1またはそれ以上の実施形態において、表層の厚みは、10マイクロメートル以上であってもよい。
【0023】
表層の厚みが10マイクロメートル未満であるとき、表層がワイヤから受ける力により、表層が破損することがある。上記の構成によれば、表層がワイヤから受ける力により、表層が破損することを抑制することができる。
【0024】
1またはそれ以上の実施形態において、表層の厚みは、200マイクロメートル以下であってもよい。
【0025】
上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、表層が基材から剥離することを抑制することができる。
【0026】
1またはそれ以上の実施形態において、表層の硬度は、900HV以上であってもよい。
【0027】
一般的に、使用されるワイヤの直径が大きくなるほど、接触部材は摩耗し易くなる。上記の構成によれば、太径のワイヤが使用されるときでも、接触部材が摩耗することをより抑制することができる。
【0028】
1またはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機は、送りモータと、送りモータの回転に伴い回転し、ワイヤを鉄筋に向けて送り出す送りローラと、をさらに備えていてもよい。接触部材は、送りローラを構成していてもよい。
【0029】
一般的に、送りローラは、ワイヤを鉄筋に向けて送り出すため、摩耗し易い。上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、送りローラが摩耗することを抑制することができる。
【0030】
1またはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機は、結束動作中に、ワイヤを切断する切断刃をさらに備えていてもよい。接触部材は、切断刃を構成していてもよい。
【0031】
一般的に、切断刃は、ワイヤを切断するときにワイヤに強く押し付けられるため、摩耗し易い。上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、切断刃が摩耗することを抑制することができる。
【0032】
本明細書が開示する鉄筋結束機は、ワイヤを用いて鉄筋を結束する。鉄筋結束機は、第1接触部材と、鉄筋結束機がワイヤを用いて鉄筋を結束する結束動作中に、第1接触部材と接触し、第1接触部材に対して相対的に移動する第2接触部材と、を備えている。第1接触部材は、第1基材と、第1基材の表面の少なくとも一部分を覆っている第1表層と、を備えている。第2接触部材は、第2基材と、第2基材の表面の少なくとも一部分を覆っており、結束動作中に第1表層と接触する第2表層と、を備えている。第1表層の硬度は、第1基材の硬度よりも高い。第2表層の硬度は、第2基材の硬度よりも高い。
【0033】
1またはそれ以上の実施形態において、第1表層と第2表層のそれぞれは、セラミックスからなってもよい。
【0034】
一般的なセラミックスは、他の材料と比較して高硬度である。上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、第1接触部材と第2接触部材が摩耗することをより抑制することができる。
【0035】
1またはそれ以上の実施形態において、セラミックスは、タングステンカーバイドを含んでもよい。
【0036】
一般的に、タングステンカーバイドは、他の材料と比較して高硬度である。上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、第1接触部材と第2接触部材が摩耗することをより抑制することができる。
【0037】
1またはそれ以上の実施形態において、第1表層の厚みと第2表層の厚みのそれぞれは、10マイクロメートル以上であってもよい。
【0038】
上記の構成によれば、第1表層の厚みと第2表層の厚みのそれぞれが10マイクロメートル未満であるとき、第1表層と第2表層が結束動作中に接触することにより、第1表層と第2表層が破損することがある。上記の構成によれば、第1表層と第2表層が破損することを抑制することができる。
【0039】
1またはそれ以上の実施形態において、第1表層の厚みと第2表層の厚みのそれぞれは、200マイクロメートル以下であってもよい。
【0040】
上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、第1表層が第1基材から剥離し、第2表層が第2基材から剥離することを抑制することができる。
【0041】
1またはそれ以上の実施形態において、第1表層の硬度と第2表層の硬度のそれぞれは、900HV以上であってもよい。
【0042】
一般的に、使用されるワイヤの直径が大きくなるほど、第1接触部材と第2接触部材との間に、大きな力が作用する。上記の構成によれば、太径のワイヤが使用されるときでも、第1接触部材と第2接触部材が摩耗することをより抑制することができる。
【0043】
1またはそれ以上の実施形態において、鉄筋結束機は、結束動作中に、ワイヤを切断する切断ユニットをさらに備えていてもよい。切断ユニットが、第1接触部材と第2接触部材とを備えていてもよい。
【0044】
切断ユニットは、ワイヤを切断するときにワイヤに強く押し付けられるため、第1接触部材と第2接触部材との間に、大きな力が作用する。このため、一般的に、切断ユニットの第1接触部材と第2接触部材は摩耗し易い。上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、第1接触部材と第2接触部材が摩耗することを抑制することができる。
【0045】
本明細書が開示する鉄筋結束機は、ワイヤを用いて鉄筋を結束する。鉄筋結束機は、鉄筋結束機がワイヤを用いて鉄筋を結束するときに、ワイヤを鉄筋に向けて送り出す送りローラを備えている。送りローラの表層の硬度は、900HV以上である。なお、HVは、ビッカース硬度を表す。
【0046】
本明細書が開示する鉄筋結束機は、ワイヤを用いて鉄筋を結束する。鉄筋結束機は、ワイヤが鉄筋に向けて送り出されるときにワイヤと接触し、モータにより回転する第1送りローラと、ワイヤが鉄筋に向けて送り出されるときにワイヤと接触する第2送りローラと、を備えている。ワイヤは、第1送りローラと第2送りローラとの間に挟まれて、第1送りローラの回転により鉄筋に向けて送り出される。第1送りローラは、ワイヤが鉄筋に向けて送り出されるときにワイヤが通過する溝を備えている。溝内の第1送りローラの硬度は、1000HV以上である。
【0047】
(実施例)
図1に示すように、鉄筋結束機2は、ワイヤWを用いて複数の鉄筋Rを結束する。鉄筋結束機2では、使用される鉄筋Rの直径に応じて、様々な直径(例えば、直径0.5mmから2.5mm)のワイヤWが使用される。例えば、直径が16mm以下(例えば、直径16mm)の細径の鉄筋Rを結束するとき、1.6mm以下(例えば0.8mm)の直径を有するワイヤWが使用され、直径が16mmよりも大きい(例えば、直径25mmまたは32mm)の太径の鉄筋Rを結束するとき、1.6mm以上(例えば2.0mm)の直径を有するワイヤWが使用される。以下では、捩りユニット38(図3参照)の長手方向を前後方向と呼び、前後方向に直交する方向を上下方向と呼び、前後方向および上下方向に直交する方向を左右方向と呼ぶ。
【0048】
鉄筋結束機2は、本体4と、リールホルダ6と、バッテリパックBと、を備えている。本体4は、本体4の左半面の外形形状を規定している左側本体8と、本体4の右半面の外形形状を規定している右側本体10と、右側本体10の外側に取り付けられているモータカバー12と、を備えている。左側本体8と右側本体10は、複数のねじS1により固定されている。右側本体10とモータカバー12は、複数のねじS2により固定されている。
【0049】
本体4は、本体ハウジング14と、グリップ16と、バッテリ取付部18と、を備えている。本体ハウジング14とグリップ16とバッテリ取付部18は、一体的に形成されている。グリップ16は、ユーザにより把持される。グリップ16の前面上部には、トリガ20が取り付けられている。バッテリパックBは、バッテリ取付部18に着脱可能である。
【0050】
リールホルダ6は、本体ハウジング14の前側下部に取り付けられている。図2に示すように、リールホルダ6は、リール24を収容可能である。リール24には、ワイヤWが巻回されている。リールホルダ6のカバー26が開かれた状態で、リール24は、リールホルダ6に着脱可能である。
【0051】
図3に示すように、鉄筋結束機2は、制御回路基板30を備えている。制御回路基板30は、バッテリ取付部18に収容されている。制御回路基板30は、トリガ20が押し込まれると、鉄筋RにワイヤWを結束する結束動作を実行する。
【0052】
鉄筋結束機2は、送りユニット34と、切断ユニット36と、捩りユニット38と、を備えている。送りユニット34は、送り部40と、案内部42と、を備えている。送り部40は、本体ハウジング14の前部に収容されている。案内部42は、本体ハウジング14の前部に配置されている。切断ユニット36と捩りユニット38は、本体ハウジング14に収容されている。
【0053】
図4に示すように、送り部40は、送りモータ50と、減速部52と、ベース部材54と、駆動ギヤ56と、第1送りギヤ58と、第2送りギヤ60と、リリースレバー62と、圧縮バネ64と、を備えている。送りモータ50は、右側本体10(図1参照)の右側に配置されており、モータカバー12(図1参照)に覆われている。送りモータ50は、バッテリパックB(図1参照)から供給される電力により動作する。送りモータ50は、例えば、ブラシレスモータである。送りモータ50は、制御回路基板30(図3参照)に制御される。減速部52は、送りモータ50の回転を減速して駆動ギヤ56に伝達する。
【0054】
ベース部材54は、本体ハウジング14(図1参照)に固定されている。第1送りギヤ58の外周面は、第2送りギヤ60の外周面と噛み合う。第1送りギヤ58は、ベース部材54に回転可能に支持されている。第1送りギヤ58は、駆動ギヤ56の回転により回転する。第1送りギヤ58は、外周面を回転軸周りに一周するように延びる溝58aを有する。第1送りギヤ58は、溝58a内でワイヤWと接触する。第2送りギヤ60は、リリースレバー62に回転可能に支持されている。第2送りギヤ60は、外周面を回転軸周りに一周するように延びる溝60aを有する。第2送りギヤ60は、溝60a内でワイヤWと接触する。
【0055】
リリースレバー62は、ベース部材54に揺動可能に支持されている。圧縮バネ64は、第2送りギヤ60が第1送りギヤ58に近づく方向に、リリースレバー62を付勢する。これにより、第2送りギヤ60が第1送りギヤ58に押し当てられる。この結果、ワイヤWは、第1送りギヤ58の溝58aと第2送りギヤ60の溝60aとの間に挟持される。ワイヤWが第1送りギヤ58の溝58aと第2送りギヤ60の溝60aとの間に挟持された状態で、送りモータ50が回転すると、ワイヤWが移動する。
【0056】
図5に示すように、案内部42は、上側カールガイド66と、下側カールガイド68と、を備えている。上側カールガイド66と下側カールガイド68は、本体ハウジング14の前端よりも前側に向かって突出している。
【0057】
図6に示すように、上側カールガイド66は、第1上側カールガイド70と、第2上側カールガイド72と、第3上側カールガイド74と、前側ガイドピン76と、を備えている。第1上側カールガイド70は、本体ハウジング14(図1参照)に固定されている。第1上側カールガイド70の前部の下面70aは、前後方向に関して上に凸な曲面形状を有する。第1上側カールガイド70の前端近傍には、第1固定孔80が形成されている。第1固定孔80は、第1上側カールガイド70を厚み方向に貫通している。
【0058】
第2上側カールガイド72は、第1上側カールガイド70の前部と第3上側カールガイド74との間に挟まれている。第2上側カールガイド72の下面72aは、前後方向に関して上に凸な曲面形状を有する。第2上側カールガイド72の下面72aは、第1上側カールガイド70の前部の下面70aよりも上側に配置されている。第2上側カールガイド72の前端近傍には、第2固定孔82が形成されている。第2固定孔82は、第2上側カールガイド72を厚み方向に貫通している。第2固定孔82は、第2上側カールガイド72の下面72aに接続されている。
【0059】
第3上側カールガイド74は、第2上側カールガイド72の左側に配置されている。第3上側カールガイド74の下面74aは、前後方向に関して上に凸な曲面形状を有する。第3上側カールガイド74の下面74aの上下方向の位置は、第1上側カールガイド70の前部の下面70aの上下方向の位置と略同一である。第3上側カールガイド74の右面74bは、第1上側カールガイド70の左面70bと対向している。第3上側カールガイド74の前端近傍には、第3固定孔84が形成されている。第3固定孔84は、第3上側カールガイド74を厚み方向に貫通している。
【0060】
第1固定孔80と、第2固定孔82と、第3固定孔84は、左右方向に一列に並んでいる。前側ガイドピン76は、第1固定孔80と、第2固定孔82と、第3固定孔84に挿入されている。
【0061】
図5に示すように、上側カールガイド66は、上側ワイヤ通路86を有する。上側ワイヤ通路86は、第1上側カールガイド70の左面70bと、第2上側カールガイド72の下面72aと、第3上側カールガイド74の右面74b(図6参照)により画定されている。前側ガイドピン76の一部分は、上側ワイヤ通路86に配置されている。
【0062】
下側カールガイド68は、上側カールガイド66の下側に配置されている。下側カールガイド68は、上側に開口している。下側カールガイド68は、下側ワイヤ通路88を有する。
【0063】
送りモータ50(図4参照)が第1方向D1(図4参照)に回転すると、第1送りギヤ58と第2送りギヤ60は、回転することによりワイヤWを上側ワイヤ通路86に送る。上側ワイヤ通路86に送られたワイヤWは、第2上側カールガイド72の下面72aに接触しながら、上側ワイヤ通路86を後側から前側に向かって通過する。また、ワイヤWは、上側ワイヤ通路86を通過するとき、前側ガイドピン76にも接触する。これらにより、ワイヤWには、下向きの巻きぐせが付与される。上側ワイヤ通路86を通過したワイヤWは、下側ワイヤ通路88に送られる。下側ワイヤ通路88に送られたワイヤWは、下側ワイヤ通路88を前側から後側に向かって通過した後、後方上側に向かって送られる。これにより、ワイヤWが鉄筋Rの周りに巻回される。ワイヤWの先端近傍が後述する保持ユニット124(図9参照)に把持された状態で、送りモータ50が第1方向D1と反対の第2方向D2(図4参照)に回転すると、第1送りギヤ58と第2送りギヤ60は、回転することによりワイヤWをリール24(図3参照)に向けて引き戻す。これにより、鉄筋Rの周りのワイヤWは、縮径して鉄筋Rと接触する。
【0064】
図7に示すように、切断ユニット36は、ベース部材92と、案内部材93と、第1切断刃94と、第2切断刃96と、第1レバー部材98と、第2レバー部材100と、第1シャフト102と、第2シャフト104と、リンク部材106と、捩りバネ108と、接続ピン114と、固定ピン115と、を備えている。
【0065】
ベース部材92は、複数のねじS3(図3参照)により本体ハウジング14(図3参照)に固定されている。ベース部材92の前端は、ねじS4とピンP1(図8参照)により下側カールガイド68に固定されている。
【0066】
図5に示すように、案内部材93は、ベース部材92の前端近傍において、ベース部材92の左側に配置されている。ベース部材92と案内部材93は、ねじS5により固定されている。案内部材93は、案内孔93aを有する。案内孔93aの幅は、下側から上側に向かうにつれて、徐々に細くなった後一定となる。案内孔93aには、第1送りギヤ58と第2送りギヤ60(図4参照)により送られたワイヤWが通過する。
【0067】
第1切断刃94と第2切断刃96と案内孔93aは、送り部40から上側カールガイド66に向けてワイヤWが送られる通路上に配置されている。第1切断刃94は、ベース部材92の前端近傍に固定されている。第1切断刃94は、本体ハウジング14(図3参照)に対して移動不能である。第1切断刃94は、第1切断開口110を有する。第1切断刃94は、第2切断刃96に挿入されている。第2切断刃96は、第1切断刃94の周りを回動可能に第1切断刃94に支持されている。第2切断刃96は、本体ハウジング14(図3参照)に対して回転可能である。第2切断刃96は、第2切断開口112を有する。切断ユニット36がワイヤWを切断する前、第1切断開口110と第2切断開口112は、連通している。ワイヤWは、送り部40から上側カールガイド66に向けて送られるときに、案内孔93aに案内されて、第1切断開口110と第2切断開口112を通過する。ワイヤWが第1切断開口110と第2切断開口112を通過した状態で、第2切断刃96が第1切断刃94の周りを第3方向D3に回動すると、第1切断刃94と第2切断刃96は、ワイヤWに接触してワイヤWを切断する。
【0068】
図7に示すように、第1レバー部材98と第2レバー部材100は、第1シャフト102と第2シャフト104により固定されている。第1シャフト102と第2シャフト104は、第1レバー部材98と第2レバー部材100に挿入されている。第1シャフト102は、ベース部材92に固定されており、第1レバー部材98と第2レバー部材100は、第1シャフト102の周りを回動する。第2シャフト104は、第1レバー部材98の下端と第2レバー部材100の下端に挿入されている。第1レバー部材98と第2レバー部材100が第1シャフト102の周りを回動すると、第2シャフト104は、第1レバー部材98と第2レバー部材100とともに移動する。第1レバー部材98は、捩りユニット38に操作される第1突部98aを備えている。第2レバー部材100は、捩りユニット38に操作される第2突部100aを備えている。
【0069】
リンク部材106の後端は、第2シャフト104に固定されている。リンク部材106は、第2シャフト104の周りを回動可能である。リンク部材106の前端は、接続ピン114を介して、第2切断刃96に固定されている。
【0070】
捩りバネ108は、第1シャフト102に取り付けられている。捩りバネ108の一端は、第2シャフト104に当接している。ベース部材92には、固定ピン115が固定されており、捩りバネ108の他端は、固定ピン115に当接している。捩りバネ108は、第2シャフト104を前側に向けて付勢している。
【0071】
図7に示すように、切断ユニット36がワイヤWを切断する前、第2シャフト104は、第1シャフト102よりも前側に位置している。第2突部100aが前側に向けて操作されると、図8に示すように、第2シャフト104が後側に向かって移動し、リンク部材106は、第2シャフト104の移動に伴い、後側に向かって移動する。これにより、第2切断刃96が第3方向D3(図7参照)に回動して、ワイヤWが切断される。
【0072】
図9に示すように、捩りユニット38は、捩りモータ116と、減速部118と、保持部120と、を備えている。捩りモータ116と減速部118は、本体ハウジング14(図3参照)に支持されている。捩りモータ116は、バッテリパックB(図3参照)から供給される電力により動作する。捩りモータ116は、例えば、ブラシレスモータである。捩りモータ116は、制御回路基板30(図3参照)に制御される。減速部118は、捩りモータ116の回転を減速して保持部120に伝達する。
【0073】
保持部120は、スリーブユニット122と、保持ユニット124と、を備えている。スリーブユニット122は、スクリューシャフト126(図10参照)と、ボール128(図10参照)と、スリーブ130と、プッシュプレート132と、を備えている。
【0074】
図10に示すスクリューシャフト126は、捩りモータ116(図9参照)の回転に伴い回転する。スクリューシャフト126は、スリーブ130(図9参照)に挿入されている。スクリューシャフト126の外周面には、ボール溝134が形成されている。ボール溝134は、前後方向に螺旋状に延びている。ボール128は、ボール溝134内を移動可能にボール溝134に保持されている。スリーブ130(図9参照)の内面には、ボール保持孔(図示省略)が形成されており、ボール128は、ボール保持孔に回転可能に保持されている。
【0075】
図9に示すように、プッシュプレート132は、スリーブ130に固定されている。プッシュプレート132は、スリーブ130の後端近傍に配置されている。
【0076】
保持ユニット124は、スリーブ130の前側からスリーブ130に挿入されている。保持ユニット124は、シャフト部材136と、左側保持部材138と、右側保持部材140と、を備えている。鉄筋結束機2が鉄筋Rを結束する前の初期状態にあるとき、シャフト部材136と左側保持部材138との間には、左側ワイヤ通路142が形成されており、シャフト部材136と右側保持部材140との間には、右側ワイヤ通路144が形成されている。左側ワイヤ通路142と右側ワイヤ通路144には、ワイヤWが通過可能である。
【0077】
切断ユニット36と捩りユニット38の動作を説明する。捩りモータ116が第4方向D4に回転すると、スクリューシャフト126(図10参照)が回転して、ボール128(図10参照)がボール溝134(図10参照)内を移動する。スリーブ130がスクリューシャフト126に対して前進して、右側保持部材140がシャフト部材136に対して左側に移動する。これにより、右側ワイヤ通路144が狭まり、ワイヤWは、ワイヤWの先端近傍の第1位置で、シャフト部材136と右側保持部材140との間に挟持される。鉄筋Rに巻回されているワイヤWが縮径した後に、捩りモータ116が第4方向D4にさらに回転すると、スリーブ130がスクリューシャフト126に対してさらに前進して、左側保持部材138がシャフト部材136に対して右側に移動する。これにより、左側ワイヤ通路142が狭まり、ワイヤWは、第1位置よりもリール24(図3参照)側の第2位置で、シャフト部材136と左側保持部材138との間に挟持される。図8に示すように、捩りモータ116が第4方向D4にさらに回転すると、スリーブ130がスクリューシャフト126に対してさらに前進して、プッシュプレート132は、第2レバー部材100の第2突部100aを前側に向けて押し出す。第2シャフト104が後側に向かって移動することにより、リンク部材106は後側に向かって移動する。これにより、第2切断刃96が第3方向D3(図7参照)に回動して、ワイヤWが切断される。捩りモータ116が図9に示す第4方向D4にさらに回転し、ボール128がボール溝134の前端まで移動すると、スリーブ130は、スクリューシャフト126とともに回転する。これにより、ワイヤWが捩られる。ワイヤWが捩られた後、捩りモータ116が第4方向D4と反対の第5方向D5に回転すると、スリーブ130は、スクリューシャフト126に対して後退し、また、スクリューシャフト126とともに回転する。スリーブ130がスクリューシャフト126に対して後退すると、プッシュプレート132は、第1レバー部材98の第1突部98aを後側に向かって押し出す。図7に示すように、第2シャフト104が前側に向かって移動することにより、切断ユニット36が初期位置に復帰する。
【0078】
図1に示す鉄筋結束機2がワイヤWを用いて鉄筋Rを結束する結束動作を実行すると、様々な部材がワイヤWと接触し、かつ、2個の部材が互いに接触しながら一方の部材が他方の部材に対して相対的に移動する。結束動作が繰り返し実行されても、ワイヤWと接触する部材や互いに接触する2個の部材が摩耗しないように、ワイヤWと接触する部材や互いに接触する2個の部材は、高硬度となっている。
【0079】
ワイヤWと接触する部材は、例えば、第1送りギヤ58(図4参照)と、第2送りギヤ60(図4参照)と、第1上側カールガイド70(図6参照)と、第2上側カールガイド72(図6参照)と、第3上側カールガイド74(図6参照)と、前側ガイドピン76(図6参照)と、第1切断刃94(図5参照)と、第2切断刃96(図5参照)と、シャフト部材136(図9参照)と、左側保持部材138(図9参照)と、右側保持部材140(図9参照)である。以下では、上記のワイヤWと接触する部材を、単に接触部材150と呼ぶ。
【0080】
互いに接触する2個の部材は、例えば、第1送りギヤ58(図4参照)と第2送りギヤ60(図4)であり、第1切断刃94(図5参照)と第2切断刃96(図5参照)であり、第1レバー部材98(図7参照)と第1シャフト102(図7参照)であり、第2レバー部材100(図7参照)と第1シャフト102(図7参照)であり、第2シャフト104(図7参照)とリンク部材106(図7参照)であり、リンク部材106(図7参照)と接続ピン114(図7参照)であり、接続ピン114(図7参照)と第2切断刃96(図7参照)であり、第1突部98a(図7参照)とプッシュプレート132(図7参照)であり、第2突部100a(図7参照)とプッシュプレート132(図7参照)であり、ボール128(図10参照)とボール溝134(図10参照)である。特に、第1送りギヤ58と第2送りギヤ60のペア、第1切断刃94と第2切断刃96のペア、第1レバー部材98と第1シャフト102のペア、第2レバー部材100と第1シャフト102のペア、第2突部100aとプッシュプレート132のペア、ボール128とボール溝134のペアでは、2個の部材の接触箇所に比較的に大きな力が作用する。以下では、互いに接触する2個の部材を、単に第1接触部材152と第2接触部材154と呼ぶ。
【0081】
図11に示すように、接触部材150は、基材160と、表層162と、を備えている。なお、図11では、基材160と表層162の構造を理解し易くするために、基材160と表層162が誇張して図示されている。基材160は、金属材料からなってもよく、セラミックスからなってもよく、樹脂材料からなってもよい。基材160は、溶製鋼による鋼基材であってもよく、精密鋳造により製造される鋼基材であってもよく、粉末冶金により製造される鋼基材であってもよい。溶製鋼による鋼基材は、例えば、合金工具鋼(SKS、SKD、SKT、SKH)や、高速度工具鋼(SKH)や、クロム鋼(SCR)や、クロムモリブデン鋼鋼材(SCM)や、ニッケルクロム鋼(SNC)ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材(SNC)であってもよい。精密鋳造により製造される鋼基材は、例えば、ロストワックス法により製造されてもよい。粉末冶金により製造される鋼基材は、例えば、原料として高速度工具鋼(ハイス)の粉末(粉末ハイス)を使用して、MIMにより製造されてもよい。また、粉末冶金により製造される鋼基材は、高速度工具鋼(SKH)、合金工具鋼(SKD)であってもよい。基材160の硬度は、例えば400HV以上、例えば500HV以上、例えば600HV以上、例えば700HV以上、例えば800HV以上である。なお、HVは、ビッカース硬度を表す。このような構成とすることにより、結束動作が繰り返し実行されても、基材160が破損することを抑制することができる。また、基材160の硬度は、例えば1000HV以下、例えば900HV以下、例えば800HV以下である。このような構成とすることにより、基材160が製造(加工)し難くなることを抑制することができる。
【0082】
表層162は、接触部材150の外面の少なくとも一部分、例えば、接触部材150の外面のすべてを構成している。表層162は、基材160の表面の少なくとも一部分、例えば、基材160の表面の全体を覆っている。表層162が基材160の表面の一部分のみを覆っている場合、表層162は、結束動作中にワイヤWと接触する領域に配置されている。ワイヤWと接触する領域は、例えば、第1送りギヤ58では溝58aであり、第2送りギヤ60では溝60aであり、第1上側カールガイド70では第1上側カールガイド70の左面70bであり、第2上側カールガイド72では第2上側カールガイド72の下面72aであり、第3上側カールガイド74では第3上側カールガイド74の右面74bであり、前側ガイドピン76では前側ガイドピン76の側面であり、第1切断刃94では第1切断開口110であり、第2切断刃96では第2切断開口112であり、シャフト部材136ではシャフト部材136の側面であり、左側保持部材138ではワイヤWを挟持する前側部分であり、右側保持部材140ではワイヤWを挟持する前側部分である。
【0083】
一例として、図12および図13を参照して、第1送りギヤ58の表層162を説明する。第1送りギヤ58では、表層162は、V形状を有する溝58aに形成されている。即ち、溝58aは、高硬度の材料により肉盛りされている。第1送りギヤ58では、溝58a以外の箇所、例えば、溝58aを除く外周面や側面では、表層162が形成されておらず、基材160が露出している。第1送りギヤ58では、表層162がワイヤWと接触する箇所にのみ形成されており、高コストとなる肉盛り処理(表層162の形成)が効果的に行われている。
【0084】
図11に示す表層162は、高硬度の材料からなる。表層162は、金属材料からなってもよく、セラミックスからなってもよい。表層162は、高硬度や低熱膨張性、耐摩耗性の観点から、セラミックスからなることが好ましい。表層162は、超硬合金、例えば、タングステンカーバイドを主成分とする材料からなり、前記材料は、タングステンカーバイド以外の材料を微量含み得る。前記材料中のタングステンカーバイドの重量含有率は、例えば80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば96%以上、例えば97%以上、例えば98%以上、例えば99%以上、例えば100%である。表層162は、例えば、ハイス、粉末ハイスからなる。
【0085】
表層162の硬度は、基材160の硬度よりも高い。表層162の硬度は、例えば800HV以上、例えば900HV以上、例えば1000HV以上、例えば1100HV以上、例えば1200HV以上である。このような構成とすることにより、結束動作が繰り返し実行されても、表層162が摩耗することを抑制することができる。直径が1.6mm以上の太径のワイヤWが使用される場合、表層162の硬度は、900HV以上であることが好ましい。このような構成とすることにより、直径が1.6mm以上の太径のワイヤWが使用される場合であっても、表層162が摩耗することを抑制することができる。表層162の摩耗をさらに抑制するためには、表層162の硬度は、1000HV以上であることがより好ましい。
【0086】
表層162の厚みL1は、例えば10マイクロメートル以上、例えば15マイクロメートル以上、例えば20マイクロメートル以上、例えば30マイクロメートル以上、例えば50マイクロメートル以上である。このような構成とすることにより、結束動作が繰り返し実行されても、表層162が摩耗することを抑制することができる。直径が1.6mm以上の太径のワイヤWが使用される場合、表層162の厚みL1は、30マイクロメートル以上であることが好ましい。このような構成とすることにより、直径が1.6mm以上の太径のワイヤWが使用される場合であっても、表層162が摩耗することを抑制することができる。さらに、表層162の厚みL1は、50マイクロメートル以上であることがより好ましい。
【0087】
表層162の厚みL1は、例えば400マイクロメートル以下、例えば300マイクロメートル以下、例えば200マイクロメートル以下、例えば、100マイクロメートル以下、例えば80マイクロメートル以下、例えば60マイクロメートル以下である。このような構成とすることにより、表層162が基材160から剥離することを抑制することができる。直径が1.6mm以上の太径のワイヤWが使用される場合、表層162の厚みL1は、200マイクロメートル以下であることが好ましい。このような構成とすることにより、直径が1.6mm以上の太径のワイヤWが使用される場合であっても、結束動作が繰り返し実行されることに伴い、表層162が基材160から剥離することを抑制することができる。さらに、基材160と表層162との剥離をさらに抑制するためには、表層162の厚みL1は、100マイクロメートル以下であることがより好ましい。
【0088】
表層162は、例えば、溶射により、基材160の表面上に形成される。具体的には、表層162の原料となる被覆材(例えば、粉末状の被覆材)を加熱し、溶融した被覆材を、基材160の表面に向けて吹き付ける。溶融した被覆材が基材160の表面上で凝固すると、表層162が基材160の表面上に形成される。これにより、基材160が肉盛りされた状態となる。基材160が金属材料やセラミックスからなる場合、溶融した被覆材が基材160の表面に吹き付けられても、基材160の表面が溶融することを抑制することができる。また、基材160の表面が予め粗面化されている場合、溶融した被覆材が基材160の表面上の凹部に入り込むことにより、表層162が基材160から剥離することをより抑制することができる。
【0089】
表層162を基材160の表面上に形成する方法は、溶射以外の種々の方法であってもよく、例えば、レーザークラッディングやPTAであってもよい。レーザークラッディングとPTAでは、表層162の原料となる被覆材(例えば、被覆材の材料)を基材160の表面に向けて吹き付けながら、被覆材と基材160の表面を加熱により溶融する。被覆材と基材160の表面が凝固すると、表層162が基材160の表面上に形成される。これにより、基材160が肉盛りされた状態となる。
【0090】
図14に示すように、第1接触部材152と第2接触部材154のそれぞれは、基材170と、表層172と、を備えている。基材170の材質と硬度の特徴は、基材160の材質と硬度の特徴と同様である。
【0091】
表層172は、第1接触部材152と第2接触部材154の外面のそれぞれの少なくとも一部分、例えば、第1接触部材152と第2接触部材154の外面のそれぞれのすべてを構成している。表層172は、基材170の表面の少なくとも一部分、例えば、基材170の表面の全体を覆っている。表層172が基材170の表面の少なくとも一部分のみを覆っている場合、表層172は、第1接触部材152と第2接触部材154が互いに接触する領域(第1接触部材152または第2接触部材154上の領域)に配置されている。第1接触部材152と第2接触部材154が互いに接触する領域は、例えば、第1送りギヤ58と第2送りギヤ60のペアでは、第1送りギヤ58と第2送りギヤ60とが互いに噛み合う第1送りギヤ58の外周面と第2送りギヤ60の外周面であり第1切断刃94と第2切断刃96のペアでは、第1切断刃94の外周面と第2切断刃96の内周面であり、第1レバー部材98と第1シャフト102のペアでは、第1レバー部材98の内周面と第1シャフト102の外周面であり、第2レバー部材100と第1シャフト102のペアでは、第2レバー部材100の内周面と第1シャフト102の外周面であり、第2シャフト104とリンク部材106のペアでは、第2シャフト104の外周面とリンク部材106の内周面であり、リンク部材106と接続ピン114のペアでは、リンク部材106の内周面と接続ピン114の外周面であり、接続ピン114と第2切断刃96のペアでは、接続ピン114の外周面と第2切断刃96の内周面であり、第1突部98aとプッシュプレート132のペアでは、第1突部98aの表面とプッシュプレート132の後面であり、第2突部100aとプッシュプレート132のペアでは、第2突部100aの表面とプッシュプレート132の前面であり、ボール128とボール溝134のペアでは、ボール128の表面とボール溝134の表面である。
【0092】
表層172の材質の特徴は、表層162の材質の特徴と同様である。表層172の硬度は、基材170の硬度よりも高い。表層172の硬度は、例えば800HV以上、例えば900HV以上、例えば1000HV以上、例えば1100HV以上、例えば1200HV以上である。このような構成とすることにより、第1接触部材152の表層172が第2接触部材154の表層172に対して第6方向D6に移動しても、それぞれの表層172が摩耗することを抑制することができる。第1接触部材152と第2接触部材154が、それぞれの表層172に比較的に大きな力が作用するような構成である場合、表層172の硬度は、900HV以上であることが好ましい。このような構成とすることにより、表層172に比較的に大きな力が作用する場合であっても、表層172が摩耗することを抑制することができる。表層172の摩耗をさらに抑制するためには、表層172の硬度は、1000HV以上であることがより好ましい。
【0093】
第1接触部材152の表層172の厚みL2と、第2接触部材154の表層172の厚みL3は、異なっていてもよく、同一であってもよい。表層172の厚みL2、L3は、例えば10マイクロメートル以上、例えば15マイクロメートル以上、例えば20マイクロメートル以上、例えば30マイクロメートル以上、例えば50マイクロメートル以上である。このような構成とすることにより、結束動作が繰り返し実行されても、表層172が摩耗することを抑制することができる。第1接触部材152と第2接触部材154が、それぞれの表層172に比較的に大きな力が作用するような構成である場合、表層172の厚みL2、L3は、30マイクロメートル以上であることが好ましい。このような構成とすることにより、表層172に比較的に大きな力が作用する場合であっても、表層172が摩耗することを抑制することができる。さらに、表層172の厚みL2、L3は、50マイクロメートル以上であることがより好ましい。
【0094】
表層172の厚みL2、L3は、例えば400マイクロメートル以下、例えば300マイクロメートル以下、例えば200マイクロメートル以下、例えば100マイクロメートル以下、例えば80マイクロメートル以下、例えば60マイクロメートル以下である。このような構成とすることにより、表層172が基材170から剥離することを抑制することができる。第1接触部材152と第2接触部材154が、それぞれの表層172に比較的に大きな力が作用するような構成である場合、表層172の厚みL2、L3は、200マイクロメートル以下であることが好ましい。このような構成とすることにより、表層172に比較的に大きな力が作用する場合であっても、表層172が基材170から剥離することを抑制することができる。基材170と表層172との剥離をさらに抑制するためには、表層172の厚みL2、L3は、100マイクロメートル以下であることがより好ましい。
【0095】
表層172は、例えば、溶射より、基材170の表面上に形成される。また、表層172を基材170の表面上に形成する方法は、溶射以外の種々の方法であってもよく、例えば、レーザークラッディングやPTAであってもよい。
【0096】
変形例では、接触部材150と、第1接触部材152と、第2接触部材154のそれぞれは、1つの材料からなる。接触部材150と、第1接触部材152と、第2接触部材154のそれぞれでは、基材と表層が同一の材質(同一の材料)である。接触部材150と、第1接触部材152と、第2接触部材154は、高硬度の材料からなる。接触部材150と、第1接触部材152と、第2接触部材154は、金属材料からなってもよく、セラミックスからなってもよい。接触部材150と、第1接触部材152と、第2接触部材154は、高硬度や低熱膨張性、耐摩耗性の観点から、セラミックスからなることが好ましい。接触部材150と、第1接触部材152と、第2接触部材154は、超硬合金、例えば、タングステンカーバイドを主成分とする材料からなり、前記材料は、タングステンカーバイド以外の材料を微量含み得る。前記材料中のタングステンカーバイドの重量含有率は、例えば80%以上、例えば90%以上、例えば95%以上、例えば96%以上、例えば97%以上、例えば98%以上、例えば99%以上、例えば100%である。接触部材150と、第1接触部材152と、第2接触部材154は、例えば、ハイス、粉末ハイスからなる。
【0097】
接触部材150と、第1接触部材152と、第2接触部材154の硬度(例えば、表層の硬度)は、例えば800HV以上、例えば900HV以上、例えば1000HV以上、例えば1100HV以上、例えば1200HV以上である。このような構成とすることにより、結束動作が繰り返し実行されても、接触部材150と、第1接触部材152と、第2接触部材154が摩耗することを抑制することができる。接触部材150と、第1接触部材152と、第2接触部材154の硬度(例えば、表層の硬度)は、900HV以上であることが好ましい。このような構成とすることにより、直径が1.6mm以上の太径のワイヤWが使用される場合や、第1接触部材152と第2接触部材154に比較的に大きな力が作用するような場合であっても、接触部材150と、第1接触部材152と、第2接触部材154が摩耗することを抑制することができる。さらに、摩耗をさらに抑制するためには、接触部材150と、第1接触部材152と、第2接触部材154の硬度(例えば、表層の硬度)は、1000HV以上であることがより好ましい。
【0098】
一例として、図15を参照して、第1送りギヤ58と第2送りギヤ60を説明する。第1送りギヤ58と第2送りギヤ60は、1つの材料、例えば、粉末ハイスを用いて製造されてもよい。即ち、第1送りギヤ58(第2送りギヤ60)の基材と表層が同一の材質(同一の材料)である。この場合、第1送りギヤ58(第2送りギヤ60)の表層の硬度、例えば溝58a(溝60a)での硬度は、1000HV以上であることが好ましい。これにより、第1送りギヤ58(第2送りギヤ60)が摩耗することを抑制することができる。摩耗をさらに抑制するためには、第1送りギヤ58(第2送りギヤ60)の表層の硬度、例えば溝58a(溝60a)での硬度は、1100HV以上であることが好ましく、1200HV以上であることがより好ましい。
【0099】
(効果)
本実施例の鉄筋結束機2は、ワイヤWを用いて鉄筋Rを結束する。鉄筋結束機2は、鉄筋結束機2がワイヤWを用いて鉄筋Rを結束する結束動作中にワイヤWと接触する接触部材150を備えている。接触部材150は、基材160と、基材160の表面の少なくとも一部分を覆っており、結束動作中にワイヤWと接触する表層162と、を備えている。表層162の硬度は、基材160の硬度よりも高い。
【0100】
上記の構成によれば、表層162の硬度が基材160の硬度よりも高いため、接触部材150が基材160のみからなる場合と比較して、接触部材150の表層162は、ワイヤWと接触しても摩耗し難い。結束動作が繰り返し実行されても、接触部材150が摩耗することを抑制することができる。
【0101】
また、表層162は、セラミックスからなる。
【0102】
一般的なセラミックスは、他の材料と比較して高硬度である。上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、接触部材150が摩耗することをより抑制することができる。
【0103】
また、セラミックスは、タングステンカーバイドを含む。
【0104】
一般的に、タングステンカーバイドは、他の材料と比較して高硬度である。上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、接触部材150が摩耗することをより抑制することができる。
【0105】
また、表層162の厚みL1は、10マイクロメートル以上である。
【0106】
表層162の厚みL1が10マイクロメートル未満であるとき、表層162がワイヤWから受ける力により、表層162が破損することがある。上記の構成によれば、表層162がワイヤWから受ける力により、表層162が破損することを抑制することができる。
【0107】
また、表層162の厚みL1は、200マイクロメートル以下である。
【0108】
上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、表層162が基材160から剥離することを抑制することができる。
【0109】
また、表層162の硬度は、900HV以上である。
【0110】
一般的に、使用されるワイヤWの直径が大きくなるほど、接触部材150は摩耗し易くなる。上記の構成によれば、太径のワイヤWが使用されるときでも、接触部材150が摩耗することをより抑制することができる。
【0111】
また、鉄筋結束機2は、送りモータ50と、送りモータ50の回転に伴い回転し、ワイヤWを鉄筋Rに向けて送り出す第1送りギヤ58または第2送りギヤ60(送りローラの一例)と、をさらに備えている。接触部材150は、第1送りギヤ58または第2送りギヤ60を構成している。
【0112】
一般的に、第1送りギヤ58と第2送りギヤ60は、ワイヤWを鉄筋Rに向けて送り出すため、摩耗し易い。上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、第1送りギヤ58または第2送りギヤ60が摩耗することを抑制することができる。
【0113】
また、鉄筋結束機2は、結束動作中に、ワイヤWを切断する第1切断刃94または第2切断刃96(切断刃の一例)をさらに備えている。接触部材150は、第1切断刃94または第2切断刃96を構成している。
【0114】
一般的に、第1切断刃94と第2切断刃96は、ワイヤWを切断するときにワイヤWに強く押し付けられるため、摩耗し易い。上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、第1切断刃94または第2切断刃96が摩耗することを抑制することができる。
【0115】
本実施例の鉄筋結束機2は、ワイヤWを用いて鉄筋Rを結束する。鉄筋結束機2は、第1接触部材152と、鉄筋結束機2がワイヤWを用いて鉄筋Rを結束する結束動作中に、第1接触部材152と接触し、第1接触部材152に対して相対的に移動する第2接触部材154と、を備えている。第1接触部材152は、基材170(第1基材の一例)と、基材170の表面の少なくとも一部分を覆っている表層172(第1表層の一例)と、を備えている。第2接触部材154は、基材170(第2基材の一例)と、基材170の表面の少なくとも一部分を覆っており、結束動作中に第1接触部材152の表層172と接触する表層172(第2表層の一例)と、を備えている。第1接触部材152の表層172の硬度は、第1接触部材152の基材170の硬度よりも高い。第2接触部材154の表層172の硬度は、第2接触部材154の基材170の硬度よりも高い。
【0116】
上記の構成によれば、第1接触部材152の表層172の硬度が第1接触部材152の基材170の硬度よりも高く、第2接触部材154の表層172の硬度が第2接触部材154の基材170の硬度よりも高いため、第1接触部材152が基材170のみからなり、第2接触部材154が基材170のみからなる場合と比較して、第1接触部材152の表層172と第2接触部材154の表層172は、互いに接触しても摩耗し難い。結束動作が繰り返し実行されても、第1接触部材152と第2接触部材154が摩耗することを抑制することができる。
【0117】
また、第1接触部材152の表層172と第2接触部材154の表層172のそれぞれは、セラミックスからなる。
【0118】
一般的なセラミックスは、他の材料と比較して高硬度である。上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、第1接触部材152と第2接触部材154が摩耗することをより抑制することができる。
【0119】
また、セラミックスは、タングステンカーバイドを含む。
【0120】
一般的に、タングステンカーバイドは、他の材料と比較して高硬度である。上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、第1接触部材152と第2接触部材154が摩耗することをより抑制することができる。
【0121】
また、第1接触部材152の表層172の厚みL2と第2接触部材154の表層172の厚みL3のそれぞれは、10マイクロメートル以上である。
【0122】
上記の構成によれば、第1接触部材152の表層172の厚みL2と第2接触部材154の表層172の厚みL3のそれぞれが10マイクロメートル未満であるとき、第1接触部材152の表層172と第2接触部材154の表層172が結束動作中に接触することにより、第1接触部材152の表層172と第2接触部材154の表層172が破損することがある。上記の構成によれば、第1接触部材152の表層172と第2接触部材154の表層172が破損することを抑制することができる。
【0123】
また、第1接触部材152の表層172の厚みL2と第2接触部材154の表層172の厚みL3のそれぞれは、200マイクロメートル以下である。
【0124】
上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、第1接触部材152の表層172が第1接触部材152の基材170から剥離し、第2接触部材154の表層172が第2接触部材154の基材170から剥離することを抑制することができる。
【0125】
また、第1接触部材152の表層172の硬度と第2接触部材154の表層172の硬度のそれぞれは、900HV以上である。
【0126】
一般的に、使用されるワイヤWの直径が大きくなるほど、第1接触部材152と第2接触部材154との間に、大きな力が作用する。上記の構成によれば、太径のワイヤWが使用されるときでも、第1接触部材152と第2接触部材154が摩耗することをより抑制することができる。
【0127】
また、鉄筋結束機2は、結束動作中に、ワイヤWを切断する切断ユニット36をさらに備えている。切断ユニット36が、第1切断刃94(第1接触部材の一例)と第2切断刃96(第2接触部材の一例)とを備えている。
【0128】
切断ユニット36は、ワイヤWを切断するときにワイヤWに強く押し付けられるため、第1切断刃94と第2切断刃96との間に、大きな力が作用する。このため、一般的に、切断ユニット36の第1切断刃94と第2切断刃96は摩耗し易い。上記の構成によれば、結束動作が繰り返し実行されても、第1切断刃94と第2切断刃96が摩耗することを抑制することができる。
【0129】
本実施例の鉄筋結束機2は、ワイヤWを用いて鉄筋Rを結束する。鉄筋結束機2は、鉄筋結束機2がワイヤWを用いて鉄筋Rを結束するときに、ワイヤWを鉄筋Rに向けて送り出す第1送りギヤ58または第2送りギヤ60(送りローラの一例)を備えている。第1送りギヤ58または第2送りギヤ60の表層162の硬度は、900HV以上である。
【0130】
第1送りギヤ58と第2送りギヤ60は、ワイヤWを鉄筋Rに向けて送り出すときにワイヤWと接触する。上記の構成によれば、第1送りギヤ58または第2送りギヤ60の表層162の硬度が900HV以上であるため、第1送りギヤ58または第2送りギヤ60の表層162は、ワイヤWと接触しても摩耗し難い。結束動作が繰り返し実行されても、第1送りギヤ58または第2送りギヤ60が摩耗することを抑制することができる。
【0131】
本明細書の鉄筋結束機2は、ワイヤWを用いて鉄筋Rを結束する。鉄筋結束機2は、ワイヤWが鉄筋Rに向けて送り出されるときにワイヤWと接触し、送りモータ50(モータの一例)により回転する第1送りギヤ58(第1送りローラの一例)と、ワイヤWが鉄筋Rに向けて送り出されるときにワイヤWと接触する第2送りギヤ60(第2送りローラの一例)と、を備えている。ワイヤWは、第1送りギヤ58と第2送りギヤ60との間に挟まれて、第1送りギヤ58の回転により鉄筋Rに向けて送り出される。第1送りギヤ58は、ワイヤWが鉄筋Rに向けて送り出されるときにワイヤWが通過する溝58aを備えている。溝58a内の第1送りギヤ58の硬度は、1000HV以上である。
【0132】
上記の構成によれば、溝58a内の第1送りギヤ58の硬度は、1000HV以上であるため、第1送りギヤ58は、溝58a内でワイヤWと接触しても摩耗し難い。結束動作が繰り返し実行されても、第1送りギヤ58が溝58a内で摩耗することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0133】
2 :鉄筋結束機
34 :送りユニット
36 :切断ユニット
38 :捩りユニット
50 :送りモータ
58 :第1送りギヤ
60 :第2送りギヤ
66 :上側カールガイド
76 :前側ガイドピン
94 :第1切断刃
96 :第2切断刃
98 :第1レバー部材
98a :第1突部
100 :第2レバー部材
100a :第2突部
110 :第1切断開口
112 :第2切断開口
126 :スクリューシャフト
128 :ボール
130 :スリーブ
132 :プッシュプレート
134 :ボール溝
136 :シャフト部材
138 :左側保持部材
140 :右側保持部材
150 :接触部材
152 :第1接触部材
154 :第2接触部材
160、170:基材
162、172:表層
L1、L2、L3:厚み
R :鉄筋
W :ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15