(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184173
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】ガイド部材及び建設機械
(51)【国際特許分類】
B66C 23/88 20060101AFI20231221BHJP
B66C 13/00 20060101ALI20231221BHJP
B66D 1/36 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B66C23/88 Z
B66C13/00 G
B66D1/36 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098164
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(72)【発明者】
【氏名】坂井 桂次
(72)【発明者】
【氏名】村山 泰彦
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205CA01
3F205KA10
(57)【要約】
【課題】本発明は、破損による落下を抑制することができるガイド部材を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の一態様に係るガイド部材は、建設機械の起伏部材の背側にこの起伏部材の長手方向に沿って掛け渡される作業用ロープの振れを抑制するガイド部材であって、上記作業用ロープを上記起伏部材との間に取り囲む形状の管部材と、上記管部材内に挿通されるワイヤロープと、上記ワイヤロープの両端部を上記起伏部材に対して固定可能な取付部とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の起伏部材の背側にこの起伏部材の長手方向に沿って掛け渡される作業用ロープの振れを抑制するガイド部材であって、
上記作業用ロープを上記起伏部材との間に取り囲む形状の管部材と、
上記管部材内に挿通されるワイヤロープと、
上記ワイヤロープの両端部を上記起伏部材に対して固定可能な取付部と
を備えるガイド部材。
【請求項2】
上記ワイヤロープが、上記管部材の両端から突出する突出部を有しており、
上記突出部が上記取付部に固定される請求項1に記載のガイド部材。
【請求項3】
上記管部材の両端部間の幅が、上記起伏部材の幅よりも小さい請求項1又は請求項2に記載のガイド部材。
【請求項4】
上記取付部が、上記起伏部材の幅方向に延び、この起伏部材に取り付けられる第1部材と、上記起伏部材の幅方向の両端部よりも内側で、上記ワイヤロープを上記第1部材に対して固定する一対の第2部材とを有する請求項3に記載のガイド部材。
【請求項5】
上記管部材の両端部にそれぞれ上記管部材の長手方向に沿って固定される支持部を備える請求項1又は請求項2に記載のガイド部材。
【請求項6】
上記管部材における上記支持部により固定されている位置と上記支持部により固定されていない位置とに跨って接続されるつなぎ部材を備える請求項5に記載のガイド部材。
【請求項7】
上記管部材の曲部がなめらかに曲がっている請求項1又は請求項2に記載のガイド部材。
【請求項8】
起伏部材と、上記起伏部材の背側にこの起伏部材の長手方向に沿って掛け渡される作業用ロープと、上記作業用ロープの振れを抑制するガイド部材とを備え、
上記ガイド部材が、
上記作業用ロープを上記起伏部材との間に取り囲む形状の管部材と、
上記管部材内に挿通されるワイヤロープと、
上記ワイヤロープの両端部を上記起伏部材に対して固定する取付部と
を有する建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイド部材及び建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーン等の建設機械では、ブーム、ジブ等の起伏部材の背側にこの起伏部材の長手方向に沿って作業用ロープが掛け渡されている。この作業用ロープは、上記起伏部材の先端側から垂下され、フック、バケット等に接続されている。この建設機械は、上記作業用ロープを昇降させることで作業を行う。この際、上記作業用ロープは、作業用ロープ自体の昇降や上部旋回体の旋回等に起因して振れる場合がある。
【0003】
作業用ロープの振れが大きくなると、作業用ロープが起伏部材の外側にはみ出し、起伏部材に配置されている結合ピンや、ガイドローラ、ブラケット等に引っかかる場合がある。このような引っかかりが生じると、作業用ロープを通常の軌道に戻すために建設作業を中断することがあり、起伏部材や作業用ロープが破損するおそれもある。
【0004】
そのため、今日では、上記起伏部材に、作業用ロープの振れを抑制するためのガイド部材を取り付けることが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、ブームの背面に沿って掛け渡されたロープを門型に囲む門型支柱からなるロープの外れ止め装置が記載されている。しかしながら、この門型支柱は、作業用ロープから大きい力が加えられると破損するおそれがある。また、この門型支柱は、破損によって高所から落下するおそれがある。
【0007】
上記不都合に鑑みて、本発明は、破損による落下を抑制することができるガイド部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係るガイド部材は、建設機械の起伏部材の背側にこの起伏部材の長手方向に沿って掛け渡される作業用ロープの振れを抑制するガイド部材であって、上記作業用ロープを上記起伏部材との間に取り囲む形状の管部材と、上記管部材内に挿通されるワイヤロープと、上記ワイヤロープの両端部を上記起伏部材に対して固定可能な取付部とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様に係るガイド部材は、破損による落下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る建設機械を示す模式的側面図である。
【
図2】
図2は、
図1の建設機械の起伏部材に取り付けられるガイド部材の起伏部材への取り付け前の状態を示す模式的正面図である。
【
図3】
図3は、
図2のガイド部材のIII-III線断面図である。
【
図4】
図4は、
図2のガイド部材の起伏部材に取り付けられた状態を示す模式的斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2のガイド部材の起伏部材に取り付けられた状態を示す模式的部分拡大斜視図である。
【
図6】
図6は、
図2のガイド部材とは異なる実施形態に係るガイド部材の起伏部材への取り付け前の状態を示す模式的正面図である。
【
図7】
図7は、
図6のガイド部材の変形例を示す模式的正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0012】
本発明の一態様に係るガイド部材は、建設機械の起伏部材の背側にこの起伏部材の長手方向に沿って掛け渡される作業用ロープの振れを抑制するガイド部材であって、上記作業用ロープを上記起伏部材との間に取り囲む形状の管部材と、上記管部材内に挿通されるワイヤロープと、上記ワイヤロープの両端部を上記起伏部材に対して固定可能な取付部とを備える。
【0013】
当該ガイド部材は、上記管部材の内部にワイヤロープが挿通されており、かつこのワイヤロープの両端部が上記起伏部材に対して固定可能に構成されているので、上記管部材の破損による落下を抑制することができる。すなわち、仮に上記管部材が部分的に切断されたり折れ曲がったりした場合でも、上記管部材の内部にワイヤロープが挿通しており、かつこのワイヤロープの両端部が上記起伏部材に対して固定されていることで、上記ワイヤロープから離れて上記管部材が落下することを抑制することができる。
【0014】
上記ワイヤロープが、上記管部材の両端から突出する突出部を有しており、上記突出部が上記取付部に固定されるとよい。このように、上記ワイヤロープが、上記管部材の両端から突出する突出部を有しており、上記突出部が上記取付部に固定されることによって、上記管部材の落下をより確実に抑制することができる。
【0015】
上記管部材の両端部間の幅が、上記起伏部材の幅よりも小さいとよい。このように、上記管部材の両端部間の幅が、上記起伏部材の幅よりも小さいことによって、上記起伏部材の輸送幅が大きくなることを抑制できる。
【0016】
上記取付部が、上記起伏部材の幅方向に延び、この起伏部材に取り付けられる第1部材と、上記起伏部材の幅方向の両端部よりも内側で、上記ワイヤロープを上記第1部材に対して固定する一対の第2部材とを有するとよい。このように、上記取付部が、上記起伏部材の幅方向に延び、この起伏部材に取り付けられる第1部材と、上記起伏部材の幅方向の両端部よりも内側で、上記ワイヤロープを上記第1部材に対して固定する一対の第2部材とを有することによって、上記管部材の両端部間の幅を上記起伏部材の幅よりも小さくしつつ、上記ワイヤロープを上記起伏部材に対して容易かつ確実に固定することができる。
【0017】
当該ガイド部材は、上記管部材の両端部にそれぞれ上記管部材の長手方向に沿って固定される支持部を備えるとよい。このように、上記管部材の両端部にそれぞれ上記管部材の長手方向に沿って固定される支持部を備えることによって、上記管部材の強度を補強しつつ、上記管部材を上記起伏部材に対して容易かつ確実に自立させることができる。
【0018】
当該ガイド部材は、上記管部材における上記支持部により固定されている位置と上記支持部により固定されていない位置とに跨って接続されるつなぎ部材を備えるとよい。当該ガイド部材が上述の支持部を備える場合、上記管部材は、上記支持部により固定されている部分と上記支持部により固定されていない部分との境界部分で破損しやすくなることがある。このような場合であっても、上記管部材における上記支持部により固定されている位置と上記支持部により固定されていない位置とに跨って接続されるつなぎ部材を備えることによって、上記管部材の落下を容易に抑制しやすくなる。
【0019】
上記管部材は曲部がなめらかに曲がっていることが好ましい。このように、上記管部材の曲部がなめらかに曲がっていることで、上記管部材内に上記ワイヤロープを容易かつ確実に挿通しやすい。
【0020】
本発明の別の一態様に係る建設機械は、起伏部材と、上記起伏部材の背側にこの起伏部材の長手方向に沿って掛け渡される作業用ロープと、上記作業用ロープの振れを抑制するガイド部材とを備え、上記ガイド部材が、上記作業用ロープを上記起伏部材との間に取り囲む形状の管部材と、上記管部材内に挿通されるワイヤロープと、上記ワイヤロープの両端部を上記起伏部材に対して固定する取付部とを有する。
【0021】
当該建設機械は、当該ガイド部材の破損による落下を抑制することができる。
【0022】
[本発明の実施形態の詳細]
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳説する。
【0023】
[第一実施形態]
<建設機械>
図1の建設機械10は、上部旋回体1と、上部旋回体1に起伏可能に取り付けられている起伏部材2と、起伏部材2の背側にこの起伏部材2の長手方向に沿って掛け渡される作業用ロープ3と、作業用ロープ3の振れを抑制するガイド部材4とを備える。また、当該建設機械10は、起伏部材2の幅方向の両側の上方で、起伏部材2の長手方向に沿って掛け渡されるガイライン5を備える。ガイライン5は、起伏部材2と間隔を空けて起伏部材2の上方に配置されている。また、作業用ロープ3は、起伏部材2の幅方向の中央部分で起伏部材2と間隔を空けて起伏部材2の上方に配置されている。
図1において、当該建設機械10は、上部旋回体1が支柱6を介して下部走行体7に搭載されているいわゆるハイポスト仕様の建設機械である。当該建設機械10は、例えばバケット、フック、ハンマ、マグネット等の任意のアタッチメントを備える構成とすることができる。なお、本明細書において、「背側」とは、起伏部材を倒伏した状態で上になる側を意味する。また、「上」とは、建設機械を水平面に配置した状態における上を意味し、「下」とは、建設機械を水平面に配置した状態における下を意味する。
【0024】
起伏部材2は、例えばブームである。起伏部材2は、4つの主桁を有する四角筒状のラチス構造を有する。具体的には、起伏部材2は、背側に配置される一対の主桁と腹側に配置される一対の主桁とが四角筒の角部を構成し、かつ隣接する主桁同士の間に複数の補桁が接続された構成を有する。
【0025】
<ガイド部材>
ガイド部材4は、それ自体本発明の一実施形態である。当該ガイド部材4は、当該建設機械10の起伏部材2の背側にこの起伏部材2の長手方向に沿って掛け渡される作業用ロープ3の振れを抑制する。起伏部材2の長手方向における当該ガイド部材4の配置や個数は特に限定されない。
図1では、起伏部材2の長手方向に沿って3つのガイド部材4が配置されている。なお、
図1に示すように、起伏部材2においては、基端側ほど起伏部材2と作業用ロープ3との間隔が大きくなる。この点、当該ガイド部材4は、起伏部材2の背側に自立可能であるので、起伏部材2と作業用ロープ3との間隔が大きい位置であっても容易に配置することができる。
【0026】
図1から
図5に示すように、当該ガイド部材4は、作業用ロープ3を起伏部材2との間に取り囲む形状の管部材11と、管部材11内に挿通されるワイヤロープ12と、ワイヤロープ12の両端部を起伏部材2に対して固定可能な取付部13とを備える。また、当該ガイド部材4は、管部材11の両端部にそれぞれ管部材11の長手方向に沿って固定される支持部14を備える。
【0027】
当該ガイド部材4は、起伏部材2の背側に立設される。より詳しくは、当該ガイド部材4は、起伏部材2の背側に位置している一対の主桁を含む仮想面に対して垂直な方向に突出するように配置される。当該ガイド部材4は、管部材11を備えるので、立設時の姿勢が安定する。以下、当該ガイド部材4について詳述する。
【0028】
(管部材)
管部材11は、筒体であり、例えばU字状、C字状、V字状等である。また、管部材11は、金属又は合金を主成分とする剛性部材である。上記金属としては、特に限定されないが、例えば鉄が挙げられる。
図2において、管部材11はU字状である。管部材11は、平行に延びる一対の脚部11aと脚部11aの先端同士を接続するアーチ状の接続部11bとを有する。管部材11は、曲部がなめらかに曲がっていることが好ましい。つまり、脚部11aと接続部11bとの境界部分、及び接続部11bの全体がなめらかに曲がっていることが好ましい。このように構成されることで、管部材11内にワイヤロープ12を容易かつ確実に挿通しやすい。また、このように構成されていることで、管部材11内においてワイヤロープ12の姿勢が安定しやすい。なお、「U字状」、「C字状」及び「V字状」は厳密に区分されるものではないが、例えば「U字状」とは、長手方向の中間部分で一方向に突出するように設けられた形状を意味しており、角部を有する角U字状を含む概念である。
【0029】
図4に示すように、管部材11の両端部間の幅は、起伏部材2の幅よりも小さいことが好ましい。換言すると、管部材11の両端部間の間隔は、起伏部材2の背側に配置されている一対の主桁間の間隔よりも小さいことが好ましい。また、管部材11の両端部は、上記一対の主桁と間隔を空けて、これらの主桁間に収まるように配置されていることがより好ましい。
【0030】
当該ガイド部材4は、ワイヤロープ12が管部材11内に挿通されているので、管部材11の両端部間の幅を小さくすることで、管部材11の幅にあわせてワイヤロープ12の幅が小さくなる。また、当該建設機械10では、管部材11の両端部間の幅が起伏部材2の幅よりも小さいことで、起伏部材2の輸送幅が大きくなることを抑制できる。さらに、当該建設機械10では、起伏部材2の幅方向における両側の上方にガイライン5が配置されている。このような構成において、管部材11の両端部間の幅をガイライン5の幅(起伏部材2の幅方向の両側の上方に配置されているガイライン5間の間隔)よりも狭くすることで、管部材11とガイライン5との接触を容易に抑制することができる。
【0031】
管部材11の突出方向長さは特に限定されるものではない。管部材11は、起伏部材2への取り付け位置に応じて突出長さを変えてもよい。例えば起伏部材2と作業用ロープ3との間隔が大きくなる起伏部材2の基端側に配置される場合には、管部材11の突出長さを長くすることも可能である。
【0032】
(ワイヤロープ)
図3に示すように、ワイヤロープ12の直径は、管部材11の内周面の直径よりも小さい。また、
図2に示すように、ワイヤロープ12は、管部材11の両端から突出する突出部12aを有する。すなわち、ワイヤロープ12は、管部材11の内部を管部材11の長手方向に貫通し、かつ管部材11の両端部からそれぞれ突出部12aが突出して構成されている。なお、ワイヤロープ12は、管部材11の内部で、管部材11と固定されていてもよく、固定されていなくてもよい。ワイヤロープ12が管部材11と固定されていない場合、当該ガイド部材4は、起伏部材2に取り付ける前の任意の段階でワイヤロープ12を管部材11の内部に挿通すればよい。
【0033】
(取付部)
上述のように、取付部13は、ワイヤロープ12の両端部を起伏部材2に対して固定する。
図4及び
図5に示すように、ワイヤロープ12の突出部12aは、取付部13に固定されることが好ましい。このように構成されることで、ワイヤロープ12と取付部13(より詳しくは、ワイヤロープ12と後述の一対の第2部材21)との固定部分同士の間に管部材11が保持されることになる。そのため、管部材11の落下をより確実に抑制することができる。
【0034】
図4及び
図5に示すように、取付部13は、起伏部材2の幅方向に延び、この起伏部材2に取り付けられる第1部材20と、起伏部材2の幅方向の両端部よりも内側で、ワイヤロープ12を第1部材20に対して固定する一対の第2部材21とを有する。取付部13がこのように構成されることで、管部材11の両端部間の幅を起伏部材2の幅よりも小さくしつつ、ワイヤロープ12を起伏部材2に対して容易かつ確実に固定することができる。また、この構成によると、例えば管部材11を第1部材20上に配置することで、起伏部材2に取り付けられた状態における当該ガイド部材4の姿勢の安定化を図ることができる。
【0035】
図4及び
図5を参照して、取付部13によるワイヤロープ12の固定構造について説明する。第1部材20は、起伏部材2の幅方向に延びる取付台20aを有する。取付台20aは、例えば棒状、板状、レール状、管状等である。この取付台20aは、当該ガイド部材4が立設される天面部20bを有する。この天面部20bには、突出部12aが挿通される一対の貫通孔が形成されている。また、第1部材20は、上記貫通孔を通過した状態の突出部12aに沿うように上記天面部20bに対して垂直方向に延びるブラケット20cを有する。第2部材21は、上記貫通孔を通過した状態の突出部12aが嵌まり込む凹部21aを有する。取付部13は、第2部材21の凹部21aに突出部12aが嵌まり込んだ状態で、第2部材21をブラケット20cに押圧することで、突出部12aが第2部材21とブラケット20cとの間に挟み込まれるように設けられている。取付部13は、突出部12aが第2部材21とブラケット20cとの間に挟み込まれた状態で、第2部材21とブラケット20cとをねじ等の固定部材によって固定することで、ワイヤロープ12を固定できるように構成されている。なお、ワイヤロープ12の固定強度としては、仮に管部材11が折れた場合に、この管部材11を支持できる程度の強度であればよい。また、天面部20bに形成される上記貫通孔の直径は、ワイヤロープ12の直径以上が好ましい。このように構成することで、管部材11を天面部20b上に容易に配置することができる。
【0036】
(支持部)
支持部14は、管部材11の両端部において管部材11の幅方向の外側に配置されている。支持部14は、例えば管部材11の外周面に固定されるリブである。また、支持部14は、管部材11に固定されると共に、取付部13(より詳しくは、第1部材20の天面部20b)に固定されている。
図4及び
図5に示すように、支持部14は、管部材11の長手方向に沿って延びる第1部分14aと天面部20bに沿って延びる第2部分14bとを有する。第1部分14a及び第2部分14bは、例えばそれぞれ板状である。また、支持部14は、第1部分14aと第2部分14bとの側縁同士に連結される板状の第3部分14cを有する。第3部分14cは、例えば第2部分14b側から当該ガイド部材4の突出方向側に向けて縮幅するように略直角三角形状に設けられている。
【0037】
当該ガイド部材4は、支持部14を備えることで、管部材11の強度を補強しつつ、管部材11を起伏部材2に対して容易かつ確実に自立させることができる。
【0038】
<利点>
当該ガイド部材4は、管部材11の内部にワイヤロープ12が挿通されており、かつこのワイヤロープ12の両端部が起伏部材2に対して固定可能に構成されているので、管部材11の破損による落下を抑制することができる。すなわち、仮に管部材11が部分的に切断されたり折れ曲がったりした場合でも、管部材11の内部にワイヤロープ12が挿通しており、かつこのワイヤロープ12の両端部が起伏部材2に対して固定されていることで、ワイヤロープ12から離れて管部材11が落下することを抑制することができる。
【0039】
当該建設機械10は、当該ガイド部材4を備えるので、当該ガイド部材4の破損による落下を抑制することができる。また、ハイポスト仕様の建設機械10では、作業用ロープ3が起伏部材2に配置されている各種部材等に引っかかると、この引っかかりを外すために高所作業車等を用意する必要が生じ、作業が煩雑になる。この点において、当該建設機械10は、作業用ロープ3の引っかかりに起因する作業が発生することを抑制することができる。
【0040】
[第二実施形態]
<ガイド部材>
図6、或いは後述の
図7のガイド部材24は、
図2のガイド部材4に代えて
図1の建設機械10に取り付けられる。なお、
図1の建設機械10のように、起伏部材2に複数のガイド部材が取り付けられる場合、
図2のガイド部材4と
図6、7のガイド部材24とを組み合わせて用いることも可能である。
【0041】
図6に示すように、当該ガイド部材24は、作業用ロープ3を起伏部材2との間に取り囲む形状の管部材11と、管部材11内に挿通されるワイヤロープ12と、ワイヤロープ12の両端部を起伏部材2に対して固定可能な取付部(不図示)とを備える。また、当該ガイド部材24は、管部材11の両端部にそれぞれ管部材11の長手方向に沿って固定される支持部14を備える。さらに、当該ガイド部材24は、管部材11における支持部14により固定されている位置と支持部14により固定されていない位置とに跨って接続されるつなぎ部材15を備える。
【0042】
当該ガイド部材24は、ワイヤロープ12が管部材11の両端から突出していない。当該ガイド部材24は、管部材11が上述の取付部に固定されるように設けられており、これによりワイヤロープ12の両端部が起伏部材2に対して固定されるように構成されている。当該ガイド部材24は、つなぎ部材15を備えていること、及びワイヤロープ12が管部材11の両端から突出していないことを除き、
図2のガイド部材4と概略同様の構成とすることができる。そのため、以下では、つなぎ部材15についてのみ説明する。
【0043】
つなぎ部材15は、管部材11における支持部14により固定されている位置に接続される第1連結部15aと、管部材11における支持部14により固定されていない位置に接続される第2連結部15bと、第1連結部15aと第2連結部15bとの間において管部材11と離間して配置されるあそび部15cとを有する。つなぎ部材15は、例えば第1連結部15aにおいて支持部14と干渉しないように、管部材11の幅方向における内側に配置されていてもよい。一方、
図7に示すように、つなぎ部材15は、作業用ロープ3との干渉を抑制する観点からは、管部材11の幅方向における内側に張り出さないように配置されることが好ましく、管部材11の幅方向における外側に配置されていることがより好ましい。この場合、つなぎ部材15(より具体的には、つなぎ部材15の第1連結部15a)は、支持部14を介して管部材11に接続されていてもよい。
【0044】
つなぎ部材15は、例えばひも状である。つなぎ部材15がひも状である場合、つなぎ部材15としては、例えばワイヤロープが挙げられる。また、つなぎ部材15は、ガイド部材24の落下を防止できればよく、帯状、チェーン状等の長尺な形状を採用することも可能である。
【0045】
<利点>
当該ガイド部材24が支持部14を備える場合、管部材11は、支持部14により固定されている部分と支持部14により固定されていない部分との境界部分で破損しやすくなることがある。このような場合であっても、当該ガイド部材24は、管部材11における支持部14により固定されている位置と支持部14により固定されていない位置とに跨って接続されるつなぎ部材15を備えることによって、管部材11の落下を容易に抑制しやすくなる。換言すると、当該ガイド部材24は、管部材11に破損しやすい部分を意図的に形成し、かつこの破損しやすい部分を跨ぐようにつなぎ部材15を配置することで、管部材11の落下を容易に抑制することができる。
【0046】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。従って、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0047】
上記実施形態ではハイポスト仕様の建設機械について説明した。但し、当該建設機械の全体構成は、上記実施形態に記載された構成に限定されない。
【0048】
当該ガイド部材は、上記つなぎ部材を有しない構成において、上記管部材が上記取付部に固定されるように設けられていてもよい。また、当該ガイド部材は、上記つなぎ部材を有する構成において、上記ワイヤロープを上記管部材の両端から突出させ、このワイヤロープの突出部が上記取付部に固定されるように設けられていてもよい。さらに、当該ガイド部材は、例えば上記管部材と上記ワイヤロープとが共に上記取付部に固定される構成を採用することも可能である。
【0049】
上記取付部の具体的な構成は、上記実施形態に記載の構成に限定されない。例えば上記取付部は、上記ワイヤロープを上記起伏部材の主桁又は補桁に直接固定するように構成されていてもよい。
【0050】
当該ガイド部材は、上述の支持部を有しない構成とすることもできる。また、当該ガイド部材が支持部を有する場合でも、この支持部の配置は上記実施形態に記載された配置に限定されない。例えば上記支持部は、上記管部材の周面の任意の位置に固定されていてよい。例えば上記支持部は、上記管部材の幅方向の内側に配置されてもよく、内側と外側の両方に配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の一態様に係るガイド部材は、建設機械の作業用ロープの振れを抑制するのに適している。
【符号の説明】
【0052】
1 上部旋回体
2 起伏部材
3 作業用ロープ
4、24 ガイド部材
5 ガイライン
6 支柱
7 下部走行体
10 建設機械
11 管部材
11a 脚部
11b 接続部
12 ワイヤロープ
12a 突出部
13 取付部
14 支持部
14a 第1部分
14b 第2部分
14c 第3部分
15 つなぎ部材
15a 第1連結部
15b 第2連結部
15c あそび部
20 第1部材
20a 取付台
20b 天面部
20c ブラケット
21 第2部材
21a 凹部