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  • 特開-タンクアッセンブリ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184183
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】タンクアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F17C 5/06 20060101AFI20231221BHJP
   F17C 13/02 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
F17C5/06
F17C13/02 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098180
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中島 潤哉
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BC08
3E172BD03
3E172CA12
3E172DA90
3E172EA02
3E172EA23
3E172KA02
3E172KA23
(57)【要約】
【課題】タンクの内壁の温度を正確に取得できるタンクアッセンブリを提供する。
【解決手段】タンクアッセンブリは、ガスが充填される内部空間S1を有するタンクと、タンクに取り付けられたバルブユニットとを備えている。バルブユニットは、内部空間S1に挿入された挿入部330を有するノズル33と温度センサ41とを有している。挿入部330は、温度センサ41を収容するとともに内部空間S1と隔離された収容空間S3を有している。温度センサ41は、挿入部330における収容空間S3を区画する面に当接することによって挿入部330の温度を検出する。挿入部330の熱伝導率は、内部空間S1を区画するタンクの内壁の熱伝導率と同じである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスが充填される内部空間を有するタンクと、前記タンクに取り付けられたバルブユニットとを備え、
前記バルブユニットは、前記内部空間に挿入された挿入部を有するノズルと温度センサとを有し、
前記挿入部は、前記温度センサを収容するとともに前記内部空間と隔離された収容空間を有し、
前記温度センサは、前記挿入部における前記収容空間を区画する面に当接することによって前記挿入部の温度を検出し、
前記挿入部の熱伝導率は、前記内部空間を区画する前記タンクの内壁の熱伝導率と同じであることを特徴とするタンクアッセンブリ。
【請求項2】
前記挿入部の材質と前記内壁の材質は同じである請求項1に記載のタンクアッセンブリ。
【請求項3】
前記ノズルは、前記ガスが流れるガス流路を有し、
前記ノズルの径方向における前記ノズルの外周面から前記温度センサまでの距離は、前記ノズルの径方向における前記ガス流路を区画する内周面から前記温度センサまでの距離よりも短い請求項1に記載のタンクアッセンブリ。
【請求項4】
前記タンクは、水素ガスが充填される高圧タンクである請求項1に記載のタンクアッセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガスが充填されるタンクと、タンクに取り付けられるバルブユニットとを備えるタンクアッセンブリが開示されている。バルブユニットは、タンク内の温度を検出する温度センサを有している。タンク内の温度及び圧力は、タンクへのガスの充填が進むにつれて上昇する。特許文献1では、タンクへのガスの充填作業は、温度センサが検出したタンク内の温度に基づいて行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-116929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タンク内の温度が上昇すると、タンクの内壁の温度も上昇する。そして、内壁の温度が内壁の耐熱温度を超えると、タンクが劣化するおそれがある。このため、内壁の温度が耐熱温度を超えないようにタンクへのガスの充填を停止する必要がある。この際、タンクの内壁の温度を正確に取得することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するためのタンクアッセンブリは、ガスが充填される内部空間を有するタンクと、前記タンクに取り付けられたバルブユニットとを備え、前記バルブユニットは、前記内部空間に挿入された挿入部を有するノズルと温度センサとを有し、前記挿入部は、前記温度センサを収容するとともに前記内部空間と隔離された収容空間を有し、前記温度センサは、前記挿入部における前記収容空間を区画する面に当接することによって前記挿入部の温度を検出し、前記挿入部の熱伝導率は、前記内部空間を区画する前記タンクの内壁の熱伝導率と同じであることを要旨とする。
【0006】
挿入部の熱伝導率は、タンクの内壁の熱伝導率と同じである。このため、挿入部の温度は、内壁の温度とほぼ同じである。したがって、温度センサが挿入部の温度を検出することによって、内壁の温度を取得することができる。また、収容空間は内部空間と隔離されている。このため、温度センサの検出結果は、内部空間に充填されたガスの影響を受けにくい。よって、内壁の温度を正確に取得できる。
【0007】
上記タンクアッセンブリにおいて、前記挿入部の材質と前記内壁の材質は同じであってもよい。
挿入部の熱伝導率とタンクの内壁の熱伝導率とを同じにしやすい。
【0008】
上記タンクアッセンブリにおいて、前記ノズルは、前記ガスが流れるガス流路を有し、前記ノズルの径方向における前記ノズルの外周面から前記温度センサまでの距離は、前記ノズルの径方向における前記ガス流路を区画する内周面から前記温度センサまでの距離よりも短くてもよい。
【0009】
上記構成では、温度センサは、ノズルの径方向において外周面側に寄せて配置されている。ノズルにおける外周面側の部分は、ノズルにおける内周面側の部分よりも、ガス流路を流れるガスによる温度の影響を受けにくい。したがって、温度センサが検出する挿入部の温度とタンクの内壁の温度との差がより小さくなる。よって、内壁の温度をより正確に取得できる。
【0010】
上記タンクアッセンブリにおいて、前記タンクは、水素ガスが充填される高圧タンクであってもよい。
上記構成では、タンクの内壁の温度は高くなりやすい。したがって、内壁の温度を正確に取得することが特に効果的である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タンクの内壁の温度を正確に取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態におけるタンクアッセンブリを示す断面図である。
図2】実施形態におけるタンクアッセンブリを示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、タンクアッセンブリを具体化した一実施形態を図1及び図2にしたがって説明する。本実施形態のタンクアッセンブリは、燃料電池システムに用いられている。燃料電池システムは、燃料電池を備えている。燃料電池は、水素と酸素との化学反応によって発電を行う。
【0014】
<タンクアッセンブリの構成>
図1に示すように、タンクアッセンブリ10は、タンク20と、バルブユニット30とを備えている。本実施形態のタンク20は、燃料電池に供給される水素ガスが充填される高圧タンクである。
【0015】
タンク20は、タンク本体21と口金22とを有している。本実施形態のタンク本体21は、円筒部と、円筒部の軸方向の両端に設けられた一対のドーム部とを有している。タンク20は、内部空間S1を有している。内部空間S1は、タンク本体21の内壁21aによって区画された空間である。内部空間S1には、図示しないガスステーションによって水素ガスが充填される。内部空間S1に充填された水素ガスは、燃料電池に供給される。口金22は、タンク本体21に設けられている。口金22は、内部空間S1とタンク20の外部とを連通させている。本実施形態のタンク20は、アルミニウム製である。したがって、本実施形態の内壁21aは、アルミニウム製である。
【0016】
バルブユニット30は、タンク20に取り付けられている。バルブユニット30は、バルブ31と、バルブハウジング32と、ノズル33と、センサユニット40とを有している。
【0017】
バルブ31は、例えば、電磁式の弁である。バルブ31は、開状態のとき、タンク20の内部と外部とを連通させる。バルブ31は、閉状態のとき、タンク20の内部と外部とを遮断する。バルブ31の開閉制御は、図示しない制御部によって行われる。バルブ31は、ノズル33に設けられた図示しない供給流路を介して燃料電池にタンク20内の水素ガスを供給する時に開状態となり、水素ガスの供給を停止する時に閉状態となるバルブである。バルブ31は、バルブハウジング32に収容されている。バルブハウジング32は、タンク20の外部に位置している。
【0018】
ノズル33は、細長い円柱状である。ノズル33は、ガス流路S2を有している。ガス流路S2は、ノズル33の軸方向に沿って延びている。ノズル33は、口金22に挿通されることによって、内部空間S1内に挿入されている。ガス流路S2は、内部空間S1と連通している。ノズル33は、内部空間S1に挿入された挿入部330を有している。水素ガスは、ガス流路S2を介してタンク20の内部空間S1に充填される。言い換えると、ガス流路S2には、内部空間S1に充填される水素ガスが流れる。
【0019】
本実施形態のノズル33は、アルミニウム製である。つまり、ノズル33の材質とタンク20の内壁21aの材質は同じである。したがって、挿入部330の熱伝導率は、内壁21aの熱伝導率と同じである。
【0020】
図2に示すように、ノズル33は、本体部34と蓋部35とを有している。本体部34は、ガス流路S2を有する細長い円柱状である。本体部34は、凹部36を有している。凹部36は、本体部34の外周面において開口している。蓋部35は、凹部36の開口部を閉塞している。ノズル33は、凹部36の内面と蓋部35の内面とによって区画された収容空間S3を有している。収容空間S3は、ノズル33の挿入部330に設けられている。つまり、挿入部330は、収容空間S3を有している。収容空間S3は、内部空間S1と隔離されている。また、収容空間S3は、ガス流路S2と隔離されている。本体部34は、挿通孔37を有している。挿通孔37は、凹部36を区画する内面において開口している。挿通孔37は、収容空間S3とタンク20の外部とを連通させている。
【0021】
センサユニット40は、温度センサ41と、温度センサ41を収容するセンサハウジング42と、配線43とを有している。温度センサ41及びセンサハウジング42は、収容空間S3に収容されている。温度センサ41は、挿入部330における収容空間S3を区画する面に当接している。本実施形態では、温度センサ41は、蓋部35の内面に当接している。温度センサ41は、挿入部330における収容空間S3を区画する面に当接することによって、挿入部330の温度を検出する。
【0022】
本実施形態では、ノズル33の径方向におけるノズル33の外周面33aから温度センサ41までの距離Aは、ノズル33の径方向におけるガス流路S2を区画する内周面33bから温度センサ41までの距離Bよりも短い。すなわち、温度センサ41は、ノズル33の径方向において外周面33a側に寄せて配置されている。
【0023】
配線43は、挿通孔37に挿通されている。図示しないが、配線43は、タンク20の外部まで延びている。配線43は、制御部に接続されている。温度センサ41による検出結果は、配線43を通じて制御部に送信される。
【0024】
<タンクへのガスの充填>
内部空間S1にガスを充填する際には、バルブユニット30をガスステーションの供給口に接続する。ガスステーションの供給口から供給されるガスは、ガス流路S2を通って内部空間S1に充填される。内部空間S1へのガスの充填が進むにつれて、内部空間S1の圧力及び温度は上昇する。また、内部空間S1の温度が上昇すると、タンク20の内壁21aの温度も上昇する。
【0025】
制御部は、温度センサ41の検出結果をガスステーションに送信する。ガスステーションは制御部からの温度情報に基づき、内部空間S1へのガスの充填を停止する。具体的には、温度センサ41が検出した挿入部330の温度が所定の温度未満の場合、ガスステーションは充填を継続する。一方、温度センサ41が検出した挿入部330の温度が所定の温度以上になった場合、ガスステーションは、内部空間S1へのガスの充填を停止する。なお、所定の温度は、タンク20の内壁21aの耐熱温度よりも低い温度に設定されている。
【0026】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)ノズル33の挿入部330は、温度センサ41を収容するとともに内部空間S1から隔離された収容空間S3を有している。温度センサ41は、挿入部330における収容空間S3を区画する面に当接することによって、挿入部330の温度を検出する。挿入部330の熱伝導率は、タンク20の内壁21aの熱伝導率と同じである。このため、挿入部330の温度は、内壁21aの温度とほぼ同じである。したがって、温度センサ41が挿入部330の温度を検出することによって、内壁21aの温度を取得することができる。また、収容空間S3は内部空間S1と隔離されているため、温度センサ41の検出結果は、内部空間S1に充填されたガスの影響を受けにくい。よって、内壁21aの温度を正確に取得できる。
【0027】
(2)挿入部330の材質とタンク本体21の内壁21aの材質は同じである。この場合、挿入部330の熱伝導率とタンク20の内壁21aの熱伝導率とを同じにしやすい。
(3)ノズル33の径方向におけるノズル33の外周面33aから温度センサ41までの距離Aは、ノズル33の径方向におけるガス流路S2を区画する内周面33bから温度センサ41までの距離Bよりも短い。つまり、温度センサ41は、ノズル33の径方向において外周面33a側に寄せて配置されている。ノズル33における外周面33a側の部分は、ノズル33における内周面33b側の部分よりも、ガス流路S2を流れるガスによる温度の影響を受けにくい。したがって、温度センサ41が検出する挿入部330の温度とタンク20の内壁21aの温度との差がより小さくなる。よって、内壁21aの温度をより正確に取得できる。
【0028】
(4)タンク20は、水素ガスが充填される高圧タンクである。この場合、タンク20の内壁21aの温度は高くなりやすい。したがって、内壁21aの温度を正確に取得することが特に効果的である。
【0029】
(5)一般に、内部空間S1の温度は、タンク20の内壁21aの温度よりも高い。このため、従来技術のように内部空間S1の温度に基づいてガスの充填作業を行う場合、実際には内壁21aの温度が内壁21aの耐熱温度に達するまで余裕があるにも関わらず、ガスの充填を停止することになる。したがって、タンク20へのガスの充填率が低下する。これに対し、本実施形態では、内壁21aの温度に基づいてガスの充填作業を行うため、タンク20へのガスの充填率を向上できる。
【0030】
(6)タンク20の内壁21aの温度を取得するための方法として、例えば、タンク20の内壁21aに対して温度センサ41を直接取り付けることが考えられる。しかしながら、この場合、配線43をタンク20の外部に引き出しにくい。これに対し、本実施形態では、バルブユニット30に温度センサ41を設けている。このため、配線43をタンク20の外部に引き出しやすい。
【0031】
(7)タンク20の内壁21aの温度を取得するための方法として、例えば、内部空間S1の温度に基づいてタンク20の内壁21aの温度を推定する推定部を採用することが考えられる。しかしながら、この場合、推定誤差が生じるため、内壁21aの温度を正確に取得しにくい。また、タンクアッセンブリ10の構成が複雑化する。これに対し、本実施形態では、挿入部330の熱伝導率を内壁21aの熱伝導率と同じにすることによって、温度センサ41が検出した挿入部330の温度を内壁21aの温度とみなすことができる。したがって、内壁21aの温度を正確に取得できるとともに、タンクアッセンブリ10の構成が複雑化することを回避できる。
【0032】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0033】
○ 挿入部330の熱伝導率がタンク20の内壁21aの熱伝導率と同じであれば、挿入部330の材質は内壁21aの材質と異なっていてもよい。
○ タンク20及びノズル33の材質は、アルミニウムに限定されない。例えば、タンク20及びノズル33の材質は、鉄などの他の金属であってもよいし、樹脂であってもよい。
【0034】
○ タンク本体21が金属製である場合、タンク20は、タンク本体21の外面を覆う樹脂製の外殻を有していてもよい。
○ 上記実施形態のタンク20は一例である。タンク20が内部空間S1を有しているのであれば、タンク20の構成は適宜変更されてもよい。例えば、タンク20は、口金22を有していなくてもよい。例えば、タンク本体21の形状は直方体状であってもよい。
【0035】
○ 温度センサ41は、挿入部330における収容空間S3を区画する面と当接することによって挿入部330の温度を検出できるのであれば、蓋部35の内面以外の面と当接してもよい。温度センサ41は、例えば、凹部36を区画する内底面や内側面と当接することによって、挿入部330の温度を検出してもよい。
【0036】
○ ノズル33の径方向におけるノズル33の外周面33aから温度センサ41までの距離Aは、ノズル33の径方向におけるガス流路S2を区画する内周面33bから温度センサ41までの距離Bと同じであってもよい。つまり、温度センサ41は、ノズル33の径方向において外周面33aと内周面33bとの中間に配置されていてもよい。
【0037】
ノズル33の径方向におけるノズル33の外周面33aから温度センサ41までの距離Aは、ノズル33の径方向におけるガス流路S2を区画する内周面33bから温度センサ41までの距離Bより長くてもよい。つまり、温度センサ41は、ノズル33の径方向において内周面33b側に寄せて配置されていてもよい。
【0038】
○ タンクアッセンブリ10は、燃料電池ユニット以外の用途に用いられてもよい。
○ タンク20の内部空間S1に充填されるガスは、水素ガスに限定されない。
○ バルブユニット30は、バルブ31に加えて、逆止弁や減圧弁等のバルブを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10…タンクアッセンブリ、20…タンク、21a…内壁、30…バルブユニット、33…ノズル、33a…外周面、33b…内周面、41…温度センサ、330…挿入部、S1…内部空間、S2…ガス流路、S3…収容空間。
図1
図2