(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184184
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】燃料電池ユニット
(51)【国際特許分類】
F17C 13/08 20060101AFI20231221BHJP
F16J 12/00 20060101ALI20231221BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20231221BHJP
【FI】
F17C13/08 301A
F16J12/00 E
H01M8/04 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098181
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中島 潤哉
【テーマコード(参考)】
3E172
3J046
5H127
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB03
3E172BB05
3E172BB12
3E172BB17
3E172BC01
3E172BC04
3E172BC05
3E172BC06
3E172BD03
3E172CA12
3E172CA13
3E172CA22
3E172CA29
3E172DA36
3E172JA01
3E172JA03
3J046AA07
3J046AA14
3J046BA01
3J046BD05
3J046CA01
3J046DA05
5H127AB04
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA59
5H127BB02
5H127EE13
(57)【要約】
【課題】部品点数を増やすことなく、タンクアッセンブリのシール性の低下を抑制できる燃料電池ユニットを提供する。
【解決手段】燃料電池ユニット10は、タンクアッセンブリ30と、タンクアッセンブリ30を収容する筐体20と、筐体20にタンクアッセンブリ30を固定するための第1固定部材40とを備えている。タンクアッセンブリ30は、金属製のタンク31と、バルブユニット32とを有している。タンク31は、内部にガスが充填されるタンク本体33と、タンク本体33に設けられた口金34とを有している。バルブユニット32は、口金34に挿通されるノズル37と、口金34の内周面とノズル37の外周面との間に配置されるOリング38とを有している。第1固定部材40は、口金34の周囲に設けられ、口金34を拘束する拘束部41と、拘束部41と筐体20とを接続する接続部42とを有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクアッセンブリと、前記タンクアッセンブリを収容する筐体と、前記筐体に前記タンクアッセンブリを固定するための固定部材とを備え、
前記タンクアッセンブリは、
内部にガスが充填されるタンク本体と前記タンク本体に設けられた口金とを有する金属製のタンクと、
前記口金に挿通されるノズル、及び前記口金の内周面と前記ノズルの外周面との間に配置されるシール部材を有するバルブユニットと、
を有する燃料電池ユニットであって、
前記固定部材は、前記口金の周囲に設けられ、前記口金を拘束する拘束部と、前記拘束部と前記筐体とを接続する接続部とを有することを特徴とする燃料電池ユニット。
【請求項2】
前記拘束部は、円弧状の第1構成体と円弧状の第2構成体とによって構成され、前記第1構成体は前記接続部と一体形成されているとともに、前記第2構成体は前記第1構成体と別体である請求項1に記載の燃料電池ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池ユニットは、タンクアッセンブリと、タンクアッセンブリを収容する筐体と、筐体にタンクアッセンブリを固定するための固定部材とを備えている。タンクアッセンブリは、金属製のタンクと、バルブユニットとを有している。タンクは、内部にガスが充填されるタンク本体と、タンク本体に設けられた口金とを有している。バルブユニットは、口金に挿通されるノズルと、口金の内周面とノズルの外周面との間に配置されるシール部材とを有している。シール部材が口金の内周面とノズルの外周面との間をシールすることによって、タンク本体の内部に充填されたガスがタンクの外部に漏れにくくなる。
【0003】
このような燃料電池ユニットでは、タンク本体の内部にガスを充填すると、タンク本体の内部が高圧になることによって、タンク本体は膨張する。例えば、特許文献1には、口金の軸方向におけるタンクの膨張に対応した構造の固定部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
タンク本体は、口金の軸方向と直交する方向にも膨張する。すると、タンク本体に設けられた口金は広がるように変形する。この場合、口金の内周面とシール部材との間に隙間が生じることによって、タンクアッセンブリのシール性が低下する。例えば、口金を拘束部材によって拘束すれば、口金は広がりにくくなるため、タンクアッセンブリのシール性の低下を抑制できる。しかしながら、燃料電池ユニットの部品点数が増加する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するための燃料電池ユニットは、タンクアッセンブリと、前記タンクアッセンブリを収容する筐体と、前記筐体に前記タンクアッセンブリを固定するための固定部材とを備え、前記タンクアッセンブリは、内部にガスが充填されるタンク本体と前記タンク本体に設けられた口金とを有する金属製のタンクと、前記口金に挿通されるノズル、及び前記口金の内周面と前記ノズルの外周面との間に配置されるシール部材を有するバルブユニットと、を有する燃料電池ユニットであって、前記固定部材は、前記口金の周囲に設けられ、前記口金を拘束する拘束部と、前記拘束部と前記筐体とを接続する接続部とを有することを要旨とする。
【0007】
口金は、拘束部によって拘束されている。このため、ガスの充填に伴ってタンク本体が膨張しても口金は広がるように変形しにくいため、口金の内周面とシール部材との間に隙間が生じにくい。また、拘束部は、既存の構成である固定部材に設けられている。よって、部品点数を増やすことなく、タンクアッセンブリのシール性の低下を抑制できる。
【0008】
上記燃料電池ユニットにおいて、前記拘束部は、円弧状の第1構成体と円弧状の第2構成体とによって構成され、前記第1構成体は前記接続部と一体形成されているとともに、前記第2構成体は前記第1構成体と別体であってもよい。
【0009】
例えば、蝶番等によって第2構成体が第1構成体と一体化されている場合と比較して、固定部材の製造が容易である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部品点数を増やすことなく、タンクアッセンブリのシール性の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の燃料電池ユニットを示す断面図である。
【
図2】実施形態の燃料電池ユニットを示す部分断面図である。
【
図3】実施形態の燃料電池ユニットを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、燃料電池ユニットを具体化した一実施形態を
図1~
図3にしたがって説明する。本実施形態の燃料電池ユニットは、フォークリフトに搭載されている。
図1に示すように、燃料電池ユニット10は、筐体20と、タンクアッセンブリ30と、固定部材としての第1固定部材40と、第2固定部材50と、図示しない燃料電池とを備えている。燃料電池は、水素と酸素との化学反応によって発電を行う。
【0013】
筐体20は、直方体状である。筐体20は、有底四角筒状のケース本体21と、ケース本体21の開口部を閉塞する蓋22とを有している。
タンクアッセンブリ30は、タンク31と、バルブユニット32とを有している。
【0014】
タンク31は、金属製である。本実施形態のタンク31は、鉄製である。タンク31は、タンク本体33と、円筒状の口金34とを有している。タンク本体33の内部には、図示しないガスステーションによって水素ガスが充填される。タンク本体33の内部に充填された水素ガスは、燃料電池に供給される。タンク本体33は、円筒部33aと、円筒部33aの軸方向の両端部に設けられた一対のドーム部33bとを有している。口金34は、一方のドーム部33bの頂点部に設けられている。口金34は、タンク本体33の内部とタンク31の外部とを連通させている。口金34の軸方向は、円筒部33aの軸方向と一致している。
【0015】
本実施形態のタンク31は、1枚の金属シートを絞り加工することによって形成されている。したがって、円筒部33aと各ドーム部33bとの境界、及びタンク本体33と口金34との境界には継ぎ目がない。
【0016】
図2に示すように、バルブユニット32は、タンク31に取り付けられている。バルブユニット32は、バルブ35と、ハウジング36と、ノズル37と、シール部材としてのOリング38とを有している。
【0017】
バルブ35は、例えば、電磁式の開閉弁である。バルブ35は、開状態のとき、タンク31の内部と外部とを連通させる。バルブ35は、閉状態のとき、タンク31の内部と外部とを遮断する。バルブ35は、ノズル37に設けられた図示しない供給流路を介して燃料電池にタンク31内の水素ガスを供給する時に開状態となり、水素ガスの供給を停止する時に閉状態となるバルブである。バルブ35は、ハウジング36に収容されている。ハウジング36は、タンク31の外部に位置している。
【0018】
ノズル37は、ガスが流れるガス流路37aを有している。ノズル37は、口金34に挿通されることによって、タンク本体33の内部に挿入されている。水素ガスは、ガス流路37aを介してタンク本体33の内部に充填される。Oリング38は、口金34の内周面とノズル37の外周面との間に配置されている。Oリング38は、口金34の内周面とノズル37の外周面との間を軸シールしている。これにより、タンク本体33の内部に充填された水素ガスがタンク31の外部に漏れ出すことが規制されている。
【0019】
タンクアッセンブリ30は、筐体20内に収容されている。本実施形態では、燃料電池ユニット10は、タンク31の軸線が水平方向に延びるような状態で、図示しないフォークリフトに搭載されている。
【0020】
図3に示すように、第1固定部材40は、拘束部41と、接続部42とを有している。拘束部41は、口金34の周囲に設けられている。拘束部41は、口金34を拘束している。接続部42は、拘束部41と筐体20とを接続している。第1固定部材40は、筐体20に対してタンクアッセンブリ30を固定している。
【0021】
本実施形態の拘束部41は、第1構成体41aと第2構成体41bとを有している。第1構成体41aは、接続部42と一体形成されている。第2構成体41bは、第1構成体41aと別体である。第1構成体41a及び第2構成体41bはそれぞれ、口金34の外周面を覆う円弧状の被覆部411と、被覆部411の周方向の両端部から延出する一対のフランジ412とを有している。第1構成体41aと第2構成体41bとは、口金34を挟み込んでいる。被覆部411の内周面は、口金34の外周面と当接している。フランジ412は、ボルト挿通孔413を有している。
【0022】
第1構成体41aと第2構成体41bとは、連結部材としてのボルト43及びナット44によって連結されている。なお、
図1では、ボルト43及びナット44の図示を省略している。具体的には、第1構成体41aのフランジ412と第2構成体41bのフランジ412とは、各フランジ412のボルト挿通孔413に挿通されたボルト43にナット44が螺合されることによって互いに連結されている。第1構成体41aと第2構成体41bとは、連結部材によって互いに連結されることによって、拘束部41を構成している。
【0023】
本実施形態の接続部42は、第1台座部42aと軸部42bとを有している。第1台座部42aは、ケース本体21の内底面21aに固定されている。軸部42bの一端部は、第1台座部42aと繋がっているとともに、軸部42bの他端部は、第1構成体41aと繋がっている。
【0024】
図1に示すように、本実施形態の第2固定部材50は、拘束バンド51と第2台座部52とを有している。拘束バンド51は、タンク本体33の円筒部33aに巻きつけられている。拘束バンド51は、第2台座部52に接続されている。第2台座部52は、ケース本体21の内底面21aに固定されている。第2固定部材50は、筐体20に対してタンクアッセンブリ30を固定している。
【0025】
[本実施形態の作用及び効果]
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)筐体20にタンクアッセンブリ30を固定するための第1固定部材40は、口金34を拘束する拘束部41と、拘束部41と筐体20とを接続する接続部42とを有している。口金34は拘束部41によって拘束されているため、水素ガスの充填に伴ってタンク本体33のドーム部33bが膨張しても、口金34は広がるように変形しにくい。したがって、口金34の内周面とOリング38との間に隙間が生じにくい。また、拘束部41は、既存の構成である第1固定部材40に設けられている。よって、部品点数を増やすことなく、タンクアッセンブリ30のシール性の低下を抑制できる。
【0026】
(2)拘束部41は、円弧状の第1構成体41aと円弧状の第2構成体41bとによって構成されている。第1構成体41aは、接続部42と一体形成されている。第2構成体41bは、第1構成体41aと別体である。したがって、例えば、蝶番等によって第2構成体41bが第1構成体41aと一体化されている場合と比較して、第1固定部材40の製造が容易である。
【0027】
また、蝶番等によって第2構成体41bが第1構成体41aと一体化されている場合、拘束部41の内側に口金34を配置する際、第1構成体41aの内周面と第2構成体41bの内周面とが互いに離れるように拘束部41を開く必要がある。しかしながら、筐体20内のスペースは限られているため、拘束部41を開くためのスペースを確保できない場合がある。これに対し、本実施形態では、第1構成体41aと第2構成体41bとによって口金34を挟み込むだけで拘束部41の内側に口金34を配置できる。したがって、筐体20内の限られたスペースであっても拘束部41の内側に口金34を配置しやすい。
【0028】
(3)タンクアッセンブリ30は、第1固定部材40及び第2固定部材50によって、筐体20に固定されている。したがって、タンクアッセンブリ30が筐体20内で転がることが規制されている。
【0029】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0030】
○ 第1構成体41aと第2構成体41bとを連結する連結部材は、ボルト43及びナット44に限定されない。例えば、第1構成体41aのフランジ412と第2構成体41bのフランジ412とは、連結部材としてのクリップによって互いに連結されていてもよい。
【0031】
○ 口金34が拘束部41によって拘束されるのであれば、拘束部41の構成は適宜変更されてもよい。
一例として、第2構成体41bは、蝶番等によって第1構成体41aと一体化されていてもよい。この場合、第1固定部材40がばらけることを回避できる。
【0032】
他の例として、拘束部41は、口金34の周方向に並ぶ3つ以上の構成体によって構成されていてもよい。口金34の周方向に隣り合う構成体同士は、連結部材によって互いに連結される。
【0033】
○ 接続部42によって拘束部41と筐体20とが接続されるのであれば、接続部42の構成は適宜変更されてもよい。例えば、接続部42は、軸部42bのみを有していてもよい。この場合、軸部42bにおける拘束部41が位置する端部とは反対側の端部は、筐体20に固定される。
【0034】
○ 接続部42は、例えば、ケース本体21の内側面や蓋22の内面に固定されていてもよい。
○ 上記実施形態の筐体20は一例である。筐体20の形状や構成は適宜変更されてもよい。
【0035】
○ 筐体20内においてタンクアッセンブリ30が転がらない程度に筐体20に対してタンクアッセンブリ30が固定されていれば、第2固定部材50は省略されてもよい。
○ 燃料電池ユニット10は、第1固定部材40を含む3つ以上の固定部材を備えていてもよい。
【0036】
○ 上記実施形態の第2固定部材50は一例である。第2固定部材50がタンクアッセンブリ30を筐体20に対して固定可能であれば、第2固定部材50の構成は適宜変更されてもよい。
【0037】
○ タンク31は、タンク本体33と口金34とが溶接されることによって形成されていてもよい。この場合、タンク本体33と口金34との境界には、継ぎ目が生じる。
○ タンク本体33は、円筒部33aと一対のドーム部33bとが溶接されることによって形成されていてもよい。この場合、円筒部33aと各ドーム部33bとの境界には、継ぎ目が生じる。
【0038】
○ タンク31は、鉄製でなくてもよい。タンク31は、他の金属製であってもよい。
○ タンク31は、樹脂製の外殻によって覆われていてもよい。
○ 口金34は、タンク本体33の軸方向の両端部に設けられていてもよい。この場合、燃料電池ユニット10は、2つの第1固定部材40を備えるのが好ましい。一方の第1固定部材40の拘束部41は、タンク本体33の軸方向の一端部に位置する口金34を拘束するとともに、他方の第1固定部材40は、タンク本体33の軸方向の他端部に位置する口金34を拘束する。
【0039】
○ タンク本体33の内部に充填されるガスは、水素ガスに限定されない。タンク本体33の内部に充填されるガスは、他のガスであってもよい。
○ 燃料電池ユニット10は、フォークリフト以外の車両に搭載されてもよい。
【0040】
○ 車両に対する燃料電池ユニット10の搭載方向は適宜変更されてもよい。例えば、燃料電池ユニット10は、タンク31の軸方向が鉛直方向に延びるように車両に搭載されていてもよい。
【0041】
○ バルブユニット32は、バルブ35に加えて、逆止弁や減圧弁等のバルブを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…燃料電池ユニット、20…筐体、30…タンクアッセンブリ、31…タンク、32…バルブユニット、33…タンク本体、34…口金、37…ノズル、38…シール部材としてのOリング、40…固定部材としての第1固定部材、41…拘束部、41a…第1構成体、41b…第2構成体、42…接続部。