(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184185
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20231221BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 125
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098182
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 哲司
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 真一
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA24
2C056FA13
2C056HA46
2C056HA58
2C056HA60
(57)【要約】
【課題】記録装置の枠体について必要十分な強度を確保した上で、安価で輸送性に優れる記録装置を提供する。
【解決手段】連続したシート状の記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録部と、記録媒体の搬送経路において前記記録部より下流側かつ鉛直方向において前記記録部の下方に位置し、記録媒体を乾燥する乾燥部と、を備える記録装置であって、前記記録部を支持する第一枠体と、前記乾燥部を支持する第二枠体と、をさらに備え、前記第一枠体は前記第二枠体の上に設置されることを特徴とする。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続したシート状の記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録部と、
記録媒体の搬送経路において前記記録部より下流側かつ鉛直方向において前記記録部の下方に位置し、記録媒体を乾燥する乾燥部と、
を備える記録装置であって、
前記記録部を支持する第一枠体と、
前記乾燥部を支持する第二枠体と、
をさらに備え、
前記第一枠体は前記第二枠体の上に設置されることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記第一枠体は、複数の第一柱部材を有し、
前記第二枠体は、鉛直方向から見たときに前記複数の第一柱部材と重なる位置に設けられる複数の第二柱部材を有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記複数の第一柱部材は、鉛直方向から見たときに、前記記録部を囲む矩形領域の4つの角に位置するように設けられ、
前記第一枠体は、前記第一柱部材同士を第一方向で連結する第一連結部材と、前記第一柱部材同士を前記第一方向と直交する第二方向で連結する第二連結部材と、をさらに有し、
前記第二枠体は、前記第二柱部材同士を前記第一方向で連結する第三連結部材と、前記第二柱部材同士を前記第二方向で連結する第四連結部材と、をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記第一連結部材は、前記第二方向から見たときに、前記記録部内の記録媒体と重ならない位置に設けられることを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記第一枠体及び前記第二枠体の内部には、前記第一枠体から前記第二枠体に連通する記録媒体の搬送路が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記搬送路は、前記第一枠体の内部で略水平方向に延びる第一部分と、前記第一枠体から前記第二枠体に向かって略鉛直方向に延びる第二部分と、前記第二枠体の内部で略水平方向に延びる第三部分と、を有することを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記第一部分における記録媒体の搬送方向と、前記第三部分における記録媒体の搬送方向は、互いに反対方向を向いていることを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
【請求項8】
前記第一枠体に隣接する第三枠体と、
前記第二枠体に隣接して連結され、前記第三枠体を下方から支持する第四枠体をさらに備え、
記録媒体は、前記第三枠体、前記第一枠体、前記第二枠体、前記第四枠体の順にそれぞれの内部を通過するように搬送されることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項9】
前記第二枠体が支持する前記乾燥部は第一乾燥部であって、
前記第四枠体に支持され、記録媒体を乾燥する第二乾燥部をさらに備え、
前記第四枠体は、前記第二枠体と構成が同一であることを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項10】
前記第四枠体に支持され、記録媒体を冷却する冷却部をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項11】
前記第一枠体に支持される位置と、前記第三枠体に支持される位置と、に移動可能に構成され、前記記録部のメンテナンスを行うメンテナンス部をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
【請求項12】
前記第一方向と直交する断面において、前記第一連結部材の断面二次モーメントは、前記第三連結部材の断面二次モーメントより大きいことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項13】
前記第二方向と直交する断面において、前記第二連結部材の断面二次モーメントは、前記第四連結部材の断面二次モーメントより大きいことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項14】
前記第一枠体は、複数の前記第一連結部材を有し、
前記第二枠体は、複数の前記第三連結部材を有し、
前記第一枠体が有する前記第一連結部材の数は、前記第二枠体が有する前記第三連結部材の数より多いことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項15】
前記第一枠体は、複数の前記第二連結部材を有し、
前記第二枠体は、複数の前記第四連結部材を有し、
前記第一枠体が有する前記第二連結部材の数は、前記第二枠体が有する前記第四連結部材の数より多いことを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項16】
前記記録部は、前記複数の第一連結部材によって支持される記録手段を有し、
前記乾燥部は、前記複数の第三連結部材によって支持される乾燥手段を有することを特徴とする請求項14に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、特にインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロールに巻かれた連続シート状の記録媒体にインクを吐出して文字や画像などを記録する記録装置として、インクジェット記録装置などが知られている。インクジェット記録装置のうち、ラインヘッド型記録装置においては、記録ヘッドが本体に対して移動しない状態で、記録媒体の搬送に連動して記録ヘッドから液滴を吐出して記録媒体に文字や画像を記録する。
【0003】
このような記録装置において、特許文献1には、記録部と乾燥部が上下に並んで配置され構成が開示されている。このような記録装置においては、記録部と乾燥部は一体的に形成される枠体により支持される構成が一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、同一の枠体で記録部と乾燥部を支持する構成においては、枠体を構成する部材は高強度かつ大サイズである必要があり、枠体や部材を輸送する際に不便であり、コストがかかる。特に、高い位置精度が要求される記録部を支持する枠体には高強度な部材を用いる必要があり、枠体を構成する部材の材料費や加工費、輸送費は高くなる。一方で、乾燥部は記録部と同等の精度は必要とされないことが多く、乾燥部を支持する枠体は記録部を支持する枠体と比較して強度が必要ない。従って、同一の枠体で記録部と乾燥部を支持する構成においては、乾燥部にとって枠体は過度に高強度であるといえる。
【0006】
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、記録装置の枠体について必要十分な強度を確保した上で、安価で輸送性に優れる記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の記録装置は、
連続したシート状の記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録部と、
記録媒体の搬送経路において前記記録部より下流側かつ鉛直方向において前記記録部の下方に位置し、記録媒体を乾燥する乾燥部と、
を備える記録装置であって、
前記記録部を支持する第一枠体と、
前記乾燥部を支持する第二枠体と、
をさらに備え、
前記第一枠体は前記第二枠体の上に設置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記録装置の枠体について必要十分な強度を確保した上で、安価で輸送性に優れる記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】記録装置の内部構成を示す概略断面図である。
【
図5】記録装置を構成する枠体の分解斜視図である。
【
図6】記録装置を構成する枠体とシートの搬送経路を示す正面図である。
【
図9】第一枠体が設置される第二枠体の設置面を示す斜視図である。
【
図10】枠体同士を連結する連結部材の配置を示す概略図である。
【
図11】第一枠体と第二枠体を連結する連結部材の斜視図である。
【
図12】第二枠体と第四枠体を連結する連結部材の斜視図である。
【
図14】第一枠体における記録部のガイド手段の支持構成を示す斜視図である。
【
図15】第一枠体における記録部の記録ヘッドの支持構成を示す斜視図である。
【
図16】第二枠体における乾燥部の支持構成を示す斜視図である。
【
図17】第三枠体におけるユニットの支持構成を示す斜視図である。
【
図18】変形例に係る記録装置の内部構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0011】
(記録装置)
まずは、第一の実施形態に係る記録装置1の概略構成について説明する。
図1は、記録装置1の内部構成を示す概略断面図である。本実施形態の記録装置1は、ロール状に巻かれた連続シートに記録動作等を行う高速ラインプリンタ(ラインヘッド型記録装置)である。記録装置1において、記録媒体としてシートSが用いられ、シートSの幅方向と直交する方向にシートSは搬送される。以下の説明においては、記録装置1におけるシートSの搬送方向を単に搬送方向と称して説明する。
【0012】
本実施形態の記録装置1は、搬送方向の順に、巻出ロール部2、第一ダンサー部3、第一主搬送部4、蛇行矯正部5、搬送検出部6、マークセンサ部7、記録部8、第一スキャナ部9、を備える。さらに記録装置1は、搬送方向の順に、第一乾燥部10、第二乾燥部11、冷却部12、第二スキャナ部13、第二主搬送部14、第二ダンサー部15、巻取ロール部16、を備える。また、記録部8の近傍には、メンテナンス部17が設けられる。シートSは、
図1中の実線で示したシートSの搬送経路に沿って搬送され、各ユニットで処理がなされる。
【0013】
本実施形態において、記録部8と第一スキャナ部9は第一枠体101、第一乾燥部10は第二枠体102、搬送検出部6とマークセンサ部7は第三枠体103、第二乾燥部11は第四枠体104にそれぞれ支持される。第一枠体101、第二枠体102、第三枠体103、第四枠体104はそれぞれ別個に分割可能な枠体である。これらの枠体の構成について、詳細は後述する。
【0014】
巻出ロール部2は、ロール状に巻かれた連続シートを保持して供給するためのユニット
である。巻出ロール部2は、巻出ロールを収納し、巻出ロールからシートSを引き出して供給する構成となっている。なお、収納可能なロールは1つであることに限定はされず、巻出ロール部2は、2つ、あるいは3つ以上を収納し、択一的にシートSを引き出して供給する構成であってもよい。
【0015】
第一ダンサー部3は、巻出ロール部2と第一主搬送部4との間で一定のシート張力を付与するためのユニットである。第一ダンサー部3では、不図示の張力付与手段により、シートSに張力が付与される。
【0016】
第一主搬送部4は、シートSを搬送するためのユニットであり、第二主搬送部14との間でシートSに張力を付与するためのユニットでもある。第一主搬送部4により、シートSの搬送経路に沿って以下順で配置された、蛇行矯正部5、搬送検出部6、マークセンサ部7、記録部8、第一スキャナ部9、第一乾燥部10、第二乾燥部11、冷却部12、第二スキャナ部13に、シートSが送り込まれる。第一主搬送部4は、不図示のモータを駆動することにより回転し、シートSに張力を付与しながらシートSの搬送を行う。シートSの搬送路は、各ユニット又はユニット間に設けられたローラやガイド等により形成される。
【0017】
蛇行矯正部5は、シートSの搬送時に、シートSの蛇行を矯正するためのユニットである。蛇行矯正部5は、蛇行矯正ローラ5aと、シートSの蛇行を検知する不図示の蛇行検知センサと、を備える。蛇行矯正ローラ5aは、不図示のモータにより、シートSの傾きを変更可能であり、蛇行検知センサの測定をもとに、シートSの蛇行矯正を行う。このとき、蛇行矯正ローラ5aにシートSが巻き付くことで、蛇行矯正の機能を高めることができる。
【0018】
搬送検出部6は、第一主搬送部4と第二主搬送部14の間を搬送されるシートSの張力を検出するためのユニットである。また、搬送検出部6は、記録部8の画像形成タイミングを制御するため、シートSの速度を検出するためのユニットである。
【0019】
マークセンサ部7は、記録部8における画像形成タイミングを制御するため、予めシートSに印字されたマークを検出するためのユニットである。
【0020】
記録部8は、搬送されるシートSに対して上方から記録ヘッド22によりシートS上に記録処理を行なって画像を形成するシート処理部である。記録部8における搬送路は、上方に凸となる円弧形状に配置されたガイドローラ23によって形成されており、シートSに一定の張力が付与されることにより、シートSと記録ヘッド22の間にクリアランスが確保される。
【0021】
記録部8には、複数の記録ヘッド22が搬送方向に沿って並んで配置されている。本実施形態の記録装置1は、Bk(ブラック)、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の4色に加えて、反応液及び3つの特色に対応した計8つのライン型記録ヘッドを有する。なお、色数及び記録ヘッド22の数は8つに限定はされない。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、不図示のインクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッド22に供給される。
【0022】
図2は、記録部8のガイド手段81の詳細を示す斜視図である。
図2に示すように、記録部8のガイド手段81は、記録ヘッド22の位置決めを行うための位置決め部材811を複数備える。位置決め部材811は、シートSの幅方向においてシートSを挟むように記録ヘッド22一つに対してそれぞれ手前側に一つ、奥側に二つずつ設けられる。また、
記録ヘッド22には、位置決め部材811に対応する被位置決め部221a、221b、221cが設けられる。
【0023】
図3は、記録ヘッド22と周辺部材を示す斜視図である。
図3に示すように、記録ヘッド22は、保持部26に保持され上下に昇降される。記録ヘッド22は、シートSの幅方向に突出する支持軸27が保持部26により軸支されている。保持部26は内部に設けられる不図示の駆動機構により、フレーム28に設けられる昇降用のレール28aに沿って上下に昇降動作を行う。また、フレーム28は、後述する第一枠体101との係合部として、支持穴28b、28cと固定部28d、28eを備える。
【0024】
第一スキャナ部9は、印刷中に記録部8でシートSに形成された画像を読み取り、画像のズレや濃度を検出して、印刷を補正させるためのユニットである。
【0025】
第一乾燥部10及び第二乾燥部11は、記録部8でシートS上に付与されたインクに含まれる液体分を減少させ、シートSとインクとの定着性を高めるユニットである。第一乾燥部10は、記録部8や第一スキャナ部9に対して搬送経路の下流側に配置され、記録部8の下方に位置する。また、第二乾燥部11は第一乾燥部10に対して搬送経路の下流側に配置され、搬送検出部6やマークセンサ部7の下方に位置する。
【0026】
第一乾燥部10及び第二乾燥部11は、記録されたシートSを加熱することで付与されたインクを乾燥させる。本実施形態において、第一乾燥部10及び第二乾燥部11の内部では、通過するシートSに対して少なくともインク付与面側から熱風が付与されシートSのインク付与面が乾燥される。なお、乾燥方式は熱風を付与する方式の他に、電磁波(紫外線や赤外線など)をシートS表面に照射する方式や、発熱体の接触による伝導伝熱方式を組み合わせて構成してもよい。また、本実施形態においては、画像形成の高速化のために十分な乾燥時間を確保できるように、乾燥部を2つ設ける構成としたが、乾燥部は1つとしても良いし、3つ以上設けても良い。
【0027】
また、第一スキャナ部9と第一乾燥部10の間には、第一枠体101から第二枠体102に連通するシートSの搬送経路に沿って、複数のガイドローラ31が設けられる。ガイドローラ31は、シートSのインク付与面と反対側の面が一定の巻き付き角で巻き付けられるローラである。シートSの搬送路は、第一枠体101内で記録部8を通過する略水平方向に延びる第一部分と、第一枠体101から第二枠体102まで略鉛直方向に延びる第二部分と、第二枠体102内で第一乾燥部10を通過する略水平方向に延びる第三部分と、を有する。本実施形態において、第一部分におけるシートSの搬送方向と第三部分におけるシートSの搬送方向は、互いに反対方向を向いている。すなわち、本実施形態においては、2つのガイドローラ31により、シートSは記録部8や第一スキャナ部9から折り返されるようにして第一乾燥部10で搬送される。このような配置構成とすることで、第一乾燥部10で熱風によりシートSに振動等が発生しても、記録部8への影響が遮断され、記録部8においてシートSに高精度に記録を行うことができる。
【0028】
冷却部12は、第一乾燥部10及び第二乾燥部11で定着されたシートSを冷却し、軟化したインクを固化させると共に、記録装置1の後半工程におけるシートSの温度変化量を抑制させるユニットである。冷却部12の内部では、通過するシートSに対して少なくともインク付与面側からシートSよりも低い温度の風が付与され、シートSのインク付与面が冷却される。なお、冷却方式は風を付与する方式に限らず、放熱部材の接触による伝導伝熱方式や、それらを組み合わせて構成してもよい。
【0029】
第二スキャナ部13は、印刷前に記録部8でシートSに形成されたテスト画像を読み取り、画像のズレや濃度を検出して、本印刷の補正をさせるためのユニットである。冷却部
12を通過したシートSは、冷却部12や第一乾燥部10、第二枠体102の上述の第三部分の下方に設けられた搬送路を通り、第二スキャナ部13へと搬送される。
【0030】
第二主搬送部14は、第一主搬送部4と共にシートSに張力を付与しながらシートSを搬送し、シートSの張力を調整するユニットである。第二主搬送部14は、不図示のモータで駆動することにより回転し、搬送検出部6により検出された張力値に応じて、シートSの張力を調整する。シートSの張力は、モータのトルクを制御できるモータに駆動連結された不図示のクラッチによって調整される。なお、シートSの張力を調整する追加の構成として、搬送検出部6によって第二主搬送部14の速度を制御する構成が付加されても良い。この場合、記録装置1は、張力制御方法として、クラッチから伝達されるトルク値を制御するトルク制御方法と、第二主搬送部14のローラ速度を制御する速度制御方法の2方式を有する。これらの張力制御方式は、目的に応じて切替え、又は、双方同時に使用することができる。
【0031】
第二ダンサー部15は、第二主搬送部14と巻取ロール部16の間で一定のシート張力を付与するためのユニットである。第二ダンサー部15では、不図示の張力付与手段により、シートSに張力が付与される。
【0032】
巻取ロール部16は、記録処理されたシートSを巻き芯に巻き取るためのユニットである。回収可能なロールは1つであることに限定はされず、巻取ロール部16は、2つ、あるいは3つ以上の巻き芯を有し、択一的に切り替えてシートSを回収する構成であってもよい。なお、記録後の加工処理内容によっては、巻き芯に巻き取る巻取ロール部16の代わりに、カッターを用いて連続シートを裁断し、裁断したシートSを積載する切断部が設けられてもよい。
【0033】
制御部21は、記録装置1全体の各部の制御を司るユニットである。制御部21は、CPU、記憶装置、各種制御部を備えたコントローラ、外部インターフェース、及びユーザが入出力を行なう操作部24を有する。記録装置1の動作は、コントローラ又はコントローラに外部インターフェースを介して接続されるホストコンピュータ等のホスト装置25からの指令に基づいて制御される。
【0034】
メンテナンス部17は、記録ヘッド22の吐出性能を回復する機構を備えたユニットである。吐出性能回復機構としては、例えば、記録ヘッド22のインク吐出面を保護するキャップ機構、インク吐出面をワイピングするワイパ機構、インク吐出面から記録ヘッド22内のインクを負圧吸引する吸引機構が採用できる。また、メンテナンス部17は不図示の駆動機構とレールを備えており、レールに沿って水平方向に往復移動可能である。メンテナンス部17は、記録ヘッド22のメンテナンスの際に記録ヘッド直下に移動し、メンテナンス動作しないときは記録ヘッド直下から退避した位置に移動する。
【0035】
(枠体の構成)
続いて、本実施形態の記録装置1における枠体の構成について説明する。記録装置1は、それぞれ独立した複数の枠体によって構成される。
図4は記録装置1を構成する一部の枠体を示す斜視図であり、
図5は
図4に示す枠体の分解斜視図である。
【0036】
なお、以下の説明において、記録装置1の長手方向(
図1の左右方向)を第一方向D1、記録装置1の幅方向(
図1の紙面奥行方向)を第二方向D2と定義する。本実施形態において、第一方向D1と第二方向D2は互いに直交する水平な方向である。また、シートSの幅方向は第二方向D2と平行である。
【0037】
図4及び
図5に示すように、記録装置1は、第一枠体101、第二枠体102、第三枠
体103、第四枠体104、底板105、を備える。底板105は、底板部105bと、底板部105bの前後左右の4隅に配置されて床面と接する設置部であるアジャスタ105aと、を有する。底板105は、アジャスタ105aを調節することによって底板部105bの上面が水平になるように設置される。本実施形態の記録装置1は、長手方向に隣接して配置される底板105を2つ備える。一方の底板105の上には第二枠体102が設置され、さらに第二枠体102の上には第一枠体101が設置される。また、もう一方の底板105の上には第四枠体104が設置され、さらに第四枠体104の上には第三枠体103が設置される。
【0038】
続いて、枠体101~104の詳細構成について説明する。枠体101~104は、それぞれ、上下方向に延びる4つの柱部材と、柱部材同士を第一方向D1又は第二方向D2で連結する連結部材と、を有する。柱部材と連結部材は、溶接等の接合手段により連結される。部材間の連結は、不図示の治工具によって位置決めをされた状態で行われ、枠体101~104を構成する各部材は高精度に位置決めされる。なお、本実施形態の柱部材と連結部材は同一の材質で形成される。本実施形態において、各部材は電気亜鉛めっき鋼板で形成されるが、ステンレス鋼など別の金属材質の板材であっても良いし、各部材に異なる材質を用いても良い。
【0039】
第一枠体101において、鉛直方向から見たときに、4つの柱部材111は記録部8を囲む矩形領域の4つの角に位置する。第一枠体101の柱部材111は、第一方向D1において、第一連結部材として4つの長手連結部材115、2つの長手連結部材116、1つの板状の長手連結部材117、により連結される。また、第一枠体101の柱部材111は、第二方向D2において、第二連結部材として4つの幅連結部材119と1つの幅連結部材120により連結される。
【0040】
第二枠体102において、鉛直方向から見たときに、4つの柱部材112は第一乾燥部10を囲む矩形領域の4つの角に位置する。第二枠体102の柱部材112は、第一方向D1において、第三連結部材として3つの長手連結部材116で連結される。また、第二枠体102の柱部材112は、第四連結部材として2つの幅連結部材120と2つの幅連結部材121により連結される。第四枠体104は、第二枠体102と同一に構成される。
【0041】
第三枠体103において、鉛直方向から見たときに、4つの柱部材113は搬送検出部6やマークセンサ部7を囲む矩形領域の4つの角に位置する。第三枠体103の柱部材113は、第一方向D1において、4つの長手連結部材116で連結される。また、第三枠体103の柱部材113は、第二方向D2において、3つの幅連結部材120で連結される。
【0042】
図6は、枠体101~104の詳細構成を示す記録装置1の概略断面図である。
図6には、シートSの搬送経路が実線で、シートSの搬送路を構成する各種ローラが点線で示され、記録ヘッド22等の部材の図示は省略されている。
図6に示すように、枠体101~104において、幅連結部材119~122は、シートSから一定の距離を置いて配置される。これにより、シートSが幅連結部材119~122と接触することはない。
【0043】
また、各枠体101~104の長手連結部材115~116は、幅方向と平行な記録装置1の前面方向から見て記録装置1内を搬送されるシートSと重なる箇所が少なくなるように配置される。例えば、第一枠体101においては、記録装置1の前面方向から見たときに、長手連結部材115は記録部内を搬送されるシートSと重ならない位置に設けられる。これにより、枠体101~104内でシートSのジャムや破断等が発生した場合、作業者がシートSの処理をする際に長手連結部材115~116に遮られることが減り、作
業性が向上する。
【0044】
図6において、矢印で示すように、シートSは第三枠体103、第一枠体101、第二枠体102、第四枠体104の順にそれぞれの内部を通過するように、搬送経路に沿って搬送される。具体的には、シートSは、第三枠体103と第一枠体101の内部を第一方向D1と略平行に
図6中の右から左へと搬送される。そして、シートSは、上方の第一枠体101から下方の第二枠体102へと搬送された後、第二枠体102と第四枠体104の内部を第一方向D1と略平行に
図6中の左から右に搬送される。言い換えると、第一枠体101内の記録部8におけるシートSの搬送方向(第一搬送方向)と、第二枠体102内の第一乾燥部10におけるシートSの搬送方向(第二搬送方向)は、略平行かつ互いに反対方向である。さらに、第四枠体104内の第二乾燥部11や冷却部12を通過したシートSは再度、第四枠体104に搬送される。そして、シートSは、第四枠体104の第二乾燥部11と第二枠体102の第一乾燥部10の下方に設けられた搬送路において、第一方向D1と略平行に
図6中の右から左へと搬送される。さらに、シートSは、第二枠体102の下方の搬送路から、第二スキャナ部13へと搬送される。
【0045】
図7(a)は本実施形態の柱部材や長手連結部材を示す斜視図であり、
図7(b)は柱部材や長手連結部材の変形例を示す斜視図である。
図7(a)に示すように、柱部材111~113は、断面がU字形状の板材を2つを組み合わせて構成され、断面が矩形状となっている。これにより、柱部材111~113は曲げやたわみに対して強い強度を有する。また、長手連結部材115~116においても同様に、断面が矩形状である。なお、
図7(b)に示すように、断面が矩形状となるように1つの板材が一体成形されて、柱部材が構成されても構わない。また、各柱部材や各連結部材の断面形状は矩形に限定されず、板厚を厚くするなどして十分な強度が保証されれば、U字形状やL字形状でも構わない。
【0046】
次に、
図8(a)~
図8(d)を参照して、長手連結部材115、116や幅連結部材119、120、122の断面形状について詳細を説明する。
図8(a)は長手連結部材115の断面を示す図であり、
図8(b)は長手連結部材116の断面を示す図である。
図8(c)は幅連結部材119の断面を示す図であり、
図8(d)は幅連結部材120、122の断面を示す図である。
【0047】
図8(a)に示すように、第一枠体101を構成する長手連結部材115の第一方向D1と直交する断面において、縦幅をH1、横幅をB1、板厚をt1、断面二次モーメントをI1とする。また、
図8(b)に示すように、枠体101~104を構成する長手連結部材116の第一方向D1と直交する断面において、縦幅をH2、横幅をB2、板厚をt2、断面二次モーメントをI2とする。記録装置1において、縦幅H1、H2は鉛直方向の長さであり、横幅B1、B2は第二方向D2の長さである。本実施形態において、縦幅H1は縦幅H2より大きく、横幅B1と横幅B2は略同等の長さであり、板厚t1は板厚t2より大きいため、断面二次モーメントI1は断面二次モーメントI2より大きい。具体的には、縦幅H1は縦幅H2のおよそ2倍であり、板厚t1は板厚t2のおよそ1.6倍であり、断面二次モーメントI1は断面二次モーメントI2のおよそ8倍である。従って、
図8(a)、
図8(b)に図示した矢印方向の荷重に対して、長手連結部材115は長手連結部材116と比較して強度に優れる。
【0048】
図8(c)に示すように、第一枠体101を構成する幅連結部材119の第二方向D2(幅連結部材119の長手方向)と直交する断面において、縦幅をH3、横幅をB3、板厚をt3、断面二次モーメントをI3とする。また、
図8(d)に示すように、枠体101~104を構成する幅連結部材120の第二方向D2(幅連結部材120の長手方向)と直交する断面において、縦幅をH4、横幅をB4、板厚をt4、断面二次モーメントをI4とする。なお、幅連結部材122は幅連結部材120と略同一形状である。記録装置
1において、縦幅H3、H4は鉛直方向の長さであり、横幅B3、B4は第一方向D1の長さである。本実施形態において、縦幅H3は縦幅H4より大きく、横幅B3と横幅B4は略同等の長さであり、板厚t3と板厚t4は略同等の長さであるため、断面二次モーメントI3は断面二次モーメントI4より大きい。具体的には、縦幅H3は縦幅H4のおよそ2倍であり、断面二次モーメントI3は断面二次モーメントI4のおよそ5~6倍である。従って、
図8(c)、
図8(d)に図示した矢印方向の荷重に対して、幅連結部材119は幅連結部材120と比較して強度に優れる。
【0049】
上述のとおり、第一枠体101には、他の枠体102~104と比較して、より多くの連結部材が設けられている。加えて、第一枠体101を構成する連結部材は、他の枠体102~104を構成する連結部材と比較して、より断面二次モーメントの大きいものを含む。これにより、第一枠体101は、他の枠体102~104と比較して、ねじれや倒れに対して強い強度を有する。
【0050】
以上の構成により、第一枠体101は、他の枠体と比較して、構成部材のサイズが大きく、数が多く、板厚が厚いため、重量物を多く含む記録部を高強度かつ高精度に支持することができる。また、第二枠体102においては、第一枠体101と別体に構成されるため、第一枠体101と異なる強度を有するように構成することができ、構成部材を適正なサイズ、数や板厚にすることができる。従って、上下に並ぶ記録部と乾燥部が同一の枠体で構成される場合と比較して、本発明によれば、枠体が過度に高強度とならないため生産コストの抑制につながる。また、第四枠体104においては、第二枠体102と同一の部材がそれぞれ第二枠体102と同一の箇所に配置されるため、各部材の生産コストをさらに抑えることができる。
【0051】
(枠体間の連結構造)
続いて、本実施形態の記録装置1における枠体101~104間の連結構造について詳細を説明する。まずは、
図9を参照して、第一枠体101が設置される第二枠体102の設置面について説明する。
図9は、第一枠体101と第二枠体102の斜視図である。
図9に示すように、第一枠体101の柱部材111は、下方向端面に第二枠体102と接触する設置部111aを有する。
【0052】
また、第二枠体102には、断面形状がL字形状で第二方向D2に延びる幅連結部材121が上方に2つ設けられる。幅連結部材121は、鉛直方向上を向く設置面121a、第一方向D1を向く位置決め面121b、位置決め面121b上で第一方向D1に貫通する貫通孔121c、121d、を有する。第二枠体102において、設置面121aが柱部材112の上で、鉛直方向上を向くように幅連結部材121は配置される。そして、第一枠体101は、設置部111aが設置面121aに接するように第二枠体102の上に設置される。このように設置面121aが平面で構成されるため、第一枠体101を第二枠体102に設置する際に、第一方向D1及び第二方向D2の位置決めの際に妨げとなるものがなく、水平方向の位置調整を容易に行うことができる。
【0053】
また、第一枠体101の柱部材111の設置部111aと、第二枠体102の柱部材112の設置面121aと、底板105のアジャスタ105aは、第一方向D1及び第二方向D2において略同一位置に配置される。言い換えると、鉛直方向から見たときに柱部材111、柱部材112、アジャスタ105aは重なった位置にある。これにより、第一枠体101及び第一枠体101に配置される各ユニットの自重による荷重は、第二枠体102及びアジャスタ105aを介して装置上下方向に略一直線で記録装置1の接地面に伝わる。従って、鉛直方向から見たときに柱部材111と柱部材112がずれた位置にある構成と比較して、第一枠体101の自重によって、第二枠体102に生じるねじれや倒れが小さくなるため、記録装置1が高強度に構成される。また、第二枠体102の強度を過度
に高くする必要がなく、第二枠体102を構成する部材の強度や数量を抑えられるため、第二枠体102にかかる製造コストを抑制できる。なお、第四枠体104が第三枠体103を下方から支持する構成は、第二枠体102及び第一枠体101と同様であるため、説明は省略する。
【0054】
続いて、枠体101~104の相対的な位置決め方法及び連結方法について説明する。
図10は、第二方向D2と平行な記録装置1の前面方向から枠体101~104を見た図である。上下に並ぶ第一枠体101と第二枠体102は、上下連結部材211と上下連結部材212により連結される。
図10に示すように、第一枠体101と第二枠体102の第一方向D1の一端(
図10の右側)には上下連結部材211が配置され、第一方向D1の他端(
図10の左側)には上下連結部材212が配置される。同様に、上下に並ぶ第三枠体103と第四枠体104の第一方向D1の一端には上下連結部材211が配置され、第一方向D1の他端には上下連結部材212が配置される。また、隣接する第二枠体102と第四枠体104は、4つの長手連結部材217により連結される。長手連結部材217は、記録装置1の第二方向D2の両側の上部と下部にそれぞれ設けられる。
【0055】
図11(a)、
図11(b)を参照して、第一枠体101と第二枠体102が上下連結部材211、212によって連結される構成について詳細を説明する。
図11(a)は第一枠体101と第二枠体102が上下連結部材211により連結される様子を示す斜視図であり、
図11(b)は第一枠体101と第二枠体102が上下連結部材212により連結される様子を示す斜視図である。
図11(a)に示すように、上下連結部材211は、3つの位置決め軸211aと、複数の貫通孔211bと、第一枠体101及び第二枠体102に接する平面211cと、を有する。位置決め軸211aは、柱部材111の位置決め穴111b、柱部材112の位置決め穴112a、柱部材112の位置決め穴112bと係合する。なお、位置決め穴111bは
図11(a)中左側の柱部材111に設けられている。また、位置決め穴112aは
図11(a)中左側の柱部材112に設けられ、位置決め穴112bは
図11(a)中右側の柱部材112に設けられている。これにより、第一枠体101の第二枠体102に対する第二方向D2の位置決めがされる。2つの柱部材112を連結している幅連結部材121には貫通孔121cと貫通孔121dが設けられているため、幅連結部材121は上下連結部材211と柱部材112の係合の妨げとならない。貫通孔121c、121dは、位置決めの障害とならない形状であれば、丸穴形状でも長穴形状でも良い。
【0056】
本実施形態では、
図11(a)に示すように、上下連結部材211の位置決め穴112aは丸穴形状、位置決め穴112b鉛直方向に長い長穴形状、位置決め穴111bは第二方向D2に長い長穴形状である。これにより、各位置決め軸211aの軸間長さのばらつきを吸収できるようにしている。各位置決め軸211aの軸間長さのばらつきを吸収するためには、位置決め穴112bを丸穴形状にして、他の位置決め穴112a、111bを長穴形状にしても良い。又は、位置決め穴112a、112b、111bを全て丸穴形状にして、位置決め軸211aの断面形状を丸形状と特定の方向で丸穴とのクリアランスが大きくなるダイヤ形状等を組み合わせた構成としてもよい。
【0057】
また、上下連結部材211の平面211cは、第一枠体101と第二枠体102の第一方向D1の端面に接する。具体的には、平面211cは、位置決め穴111bを有する柱部材111の位置決め面111c、及び幅連結部材121の位置決め面121bと接する。これにより、第一枠体101の第二枠体102に対する第一方向D1の位置決めがされる。
【0058】
また、本実施形態では、
図11中左側の柱部材111の位置決め面111cや幅連結部材121の位置決め面121bに対して、同じ方向を向く
図11中右側の柱部材111の
面111dや幅連結部材120の面120aは、第一方向D1に段差を有している。すなわち、上下連結部材212は、第一方向D1の一番外側に位置する位置決め面111cや位置決め面121bに接した後、貫通孔211bを挿通するネジ等で第一枠体101と第二枠体102に固定される。このとき、上下連結部材212は、撓むように変形して面111dや面120aに接する。これにより、第一枠体101と第二枠体102の第一方向D1の位置決めの際に、基準とする面が明確となり、作業性や位置決め精度が向上する。位置決め面111cや位置決め面121bに対する面111dや面120aの段差量は、製造誤差や上下連結部材211の変形性等を考慮して決定すればよい。なお、第一方向D1の位置決めにあたっては、面111dや面120aを位置決め面としても良く、上述の構成に限られない。
【0059】
また、
図11(b)に示すように、第一枠体101や第二枠体102の第一方向D1の端面であって、上下連結部材211が設けられる側と反対側の端面には、複数の貫通孔212bを有する上下連結部材212が設けられる。上下連結部材212の平面212cは、第一枠体101と第二枠体102の第一方向D1端面に接する。具体的には、平面212cは、
図11(b)中左側の柱部材111の面111e、
図11(b)中右側の柱部材111の面111f、幅連結部材119の面119a、幅連結部材121の設置面121aに接する。平面212cが上述の複数の面に接した状態で、上下連結部材212は第一枠体101と第二枠体102に、貫通孔212bを挿通するネジ等で固定される。第一方向D1において面111e、面111f、面119a、設置面121aの間に段差がある場合、上下連結部材212が撓んで変形して平面212cがそれぞれの面に接する。
【0060】
なお、本実施形態では、第一枠体101と第二枠体102を位置決め軸211aと位置決め穴111b、112a、112bにより位置決めしているが、治工具等で第一枠体101及び第二枠体102の各端面を突き当てて位置決めする構成としてもよい。このような構成とすることにより、本実施形態のように上下で枠体が分割可能な構成とした場合でも上下の枠体の相対的な位置関係を高精度に保つことができる。
【0061】
本実施形態の記録装置1において、第三枠体103が第四枠体104の上に設置されて第四枠体104に連結される構成は、第一枠体101は第二枠体102の上に設置されて第二枠体102に連結される構成と同様である。すなわち、第三枠体103は第四枠体104上の設置面上に設置され、第三枠体103と第四枠体104は上下連結部材211、212で連結される。第三枠体103と第四枠体104について、第一枠体101や第二枠体102と同様の構成について説明は省略する。
【0062】
続いて、第一枠体101が設置された第二枠体102と、第三枠体103が設置された第四枠体104との連結方法について、
図12を参照して説明する。
図12は、第二枠体102と第四枠体104が長手連結部材217によって連結される様子を示す斜視図である。
図12に示すように、長手連結部材217は3つの位置決め軸217aと、複数の貫通孔217bと、第二枠体102及び第四枠体104に接する平面217cと、を有する。3つの位置決め軸217aは、第二枠体102の柱部材112の位置決め穴112cと位置決め穴112d、第四枠体104の柱部材112の位置決め穴112dと係合する。これにより、第二枠体102の第四枠体104に対する第一方向D1の位置決めがされる。
【0063】
また、長手連結部材217の平面217cは、第二方向D2を向く第二枠体102の柱部材112の位置決め面112eと第四枠体104の柱部材112の位置決め面112eに接する。これにより、第二枠体102の第四枠体104に対する第二方向D2の位置決めがされる。そして、上下方向で連結された第一枠体101と第二枠体102は、上下方向で連結された第三枠体103と第四枠体104に対して、第二方向D2の両端面に設け
られた長手連結部材217によってそれぞれ固定される。
【0064】
以上に述べた構成により、高い位置精度が要求される記録ヘッド等の重量物を支持するため高強度に構成された第一枠体101を、第二枠体102で精度よく強固に支持することができる。同様に、第三枠体103についても第四枠体104で精度よく強固に支持することができる。さらには、水平方向に隣接する第二枠体102と第四枠体104も精度よく連結することが可能であるため、記録装置1を構成する枠体がそれぞれ精度良く配置される。なお、本発明の適用にあたっては、枠体同士の連結構成は本実施形態の構成に限られず、連結部材の形状や数、連結方法は適宜変更が可能である。
【0065】
本発明によれば、上下に並んだ記録部と乾燥部をそれぞれ独立した枠体で支持する構成とすることができる。前述の通り、記録部は高精度な位置決めが必要であるため、記録部を支持する枠体には、サイズが大きく板厚が大きい柱部材や連結部材が採用されるのが一般的である。従って、記録部と乾燥部を支持する枠体が一体で形成されている場合、該枠体に用いる柱部材や連結部材は大きくなり、かつ重いものとなる。しかし、本発明によれば、記録部と乾燥部を支持する枠体が独立しているため、第二枠体102には過度に高強度な連結部材等を用いることなく、記録部を第一枠体101で高精度に支持することが可能である。すなわち、上述の場合と比較して、枠体の柱部材を短くしたり、乾燥部を支持する枠体の連結部材の板厚を小さくしたりできるため、枠体の構成部材の成形時の取り回しや材料費、輸送性等の面で利点がある。
【0066】
また、上述のように枠体が上下で分割できない構成の場合、記録部と乾燥部を支持する枠体と、センサ部と乾燥部を支持する枠体には、異なる部材が用いられると考えられる。記録部はセンサ部と比較して必要とされる精度や強度が大きく異なるためである。従って、センサ部と乾燥部を支持する枠体を、記録部を支持する枠体と同様の強度とすると、センサ部を支持する枠体が過度に高強度になり、生産コストが上昇する。しかし、記録部と乾燥部を支持する枠体と、センサ部と乾燥部を支持する枠体が、異なる種類の部材で構成されると、より多くの種類の部材が必要となるため、いずれにせよ生産コストは上昇する。一方、本発明によれば第二枠体102と第四枠体104を同じ部材で構成することができるため、上述の場合と比較して柱部材や連結部材の生産性向上につながり、ひいては生産コストを抑制することができる。
【0067】
(各ユニットの支持方法)
続いて、本実施形態の記録装置1の枠体101~104における各ユニットの支持方法について説明する。
図13は、記録装置1の枠体101~104とそれぞれの枠体に取り付けられたユニットを示す斜視図である。
図13に示すように、第一枠体101は記録部8と第一スキャナ部9を支持し、第二枠体102は第一乾燥部10を支持し、第三枠体103は搬送検出部6、マークセンサ部7とメンテナンス部17を支持し、第四枠体104は第二乾燥部11を支持する。
【0068】
図14は、第一枠体101がガイド手段81とスキャン手段91を支持する様子を示す斜視図であり、支持構成を示すため一部の連結部材等の図示を省略している。
図14に示すように、第一枠体101内部には、記録部8において搬送されるシートSをガイドするガイドローラ23を含むガイド手段81と、第一スキャナ部9においてシートSに形成された画像を読み取るスキャン手段91と、ガイドローラ31が配置される。第一枠体101は、第一枠体101の第二方向D2の両端部に位置する長手連結部材115の間に延在する2つの支持部材221と1つの支持部材222を備える。2つの支持部材221は、長手連結部材115上の第一方向D1の異なる位置に設けられ、ガイド手段81が支持部材221の上面に設置される。また、支持部材222は2つの長手連結部材115が互いに対向する対向面に接続して配置される。そして、ガイド手段81は、L字形状の固定部
材223を介して支持部材221に固定される。固定部材223が支持部材221とガイド手段81に接続されることで、ガイド手段81が支持部材221に対して固定される。固定部材223は、ネジ部材等の締結手段により支持部材221とガイド手段81に接続されるが、接続方法は、締結に限られない。同様に、スキャン手段91も、固定部材223を介して支持部材222に固定される。
【0069】
図15は、第一枠体101に記録ヘッド22を取り付ける様子を示す斜視図であり、支持構成を示すため一部の連結部材等の図示を省略している。
図15に示すように、第一枠体101には、保持部26を上下方向に昇降可能に支持するフレーム28が係合される。前述の通り、フレーム28は、第一枠体101と係合する支持穴28b、28cと固定部28d、28eを備える。第一枠体101の長手連結部材117は、フレーム28に該当する位置に、支持軸117aを2個ずつ備える。本実施形態においては、記録装置1は8つの記録ヘッド22を備える構成であるため、長手連結部材117には計16の支持軸117aが設けられる。また、長手連結部材117に第二方向D2で対向する長手連結部材115には被固定部115aが設けられ、同様に長手連結部材117に第二方向D2で対向する長手連結部材116には被固定部116aが設けられる。フレーム28の固定部28dは被固定部115aに対して、固定部28eは被固定部116aに対して、ビス等の締結部材によって固定される。すなわち、記録ヘッド22は、保持部26やフレーム28を介して長手連結部材115、116、117に固定される。また、記録ヘッド22は、
図2に示したように被位置決め部221a、221b、221cがガイド手段81の位置決め部材811と係合し、ガイド手段81に対して位置決めされる。
【0070】
図16は、第二枠体102が乾燥手段92を支持する様子を示す斜視図であり、支持構成を示すため一部の連結部材等の図示を省略している。
図16に示すように、第二枠体102内部には、第一乾燥部10においてシートSの乾燥を行う乾燥手段92が配置される。本実施形態において、乾燥手段92は2つの幅連結部材122の間に配置され、幅連結部材122の乾燥手段92との対向面にはL字形状の支持部材241が設けられている。幅連結部材122に接続されている支持部材241は、L字形状の長辺部が第二方向D2に延在し、L字形状の短辺部が長辺部から鉛直方向上側に延びている。なお、
図16中左側に位置する幅連結部材122は、支持部材241を示すため透明とし、外形線を点線で示した。支持部材241の長辺部の上に、乾燥手段92の筐体の両端面から第一方向D1に突出する支持軸92aが配置されることで、支持部材241が乾燥手段92を下方から支持する。支持軸92aは、それぞれの端面に2つずつ設けられている。また、第一方向D1において、乾燥手段92の一端側の2つの支持軸92aのうち一方の支持軸92aは、支持部材241の短辺部にも接触し、乾燥手段92の第二枠体102に対する第二方向D2の位置決めがされる。
【0071】
さらに、乾燥手段92を第二枠体102に対して固定するための部材として、L字形状の固定部材242が、乾燥手段92の第一方向D1の両端部に設けられる。固定部材242は、L字形状の一方の辺が支持軸92aを挟んで支持部材241の長辺部と鉛直方向に対向し、もう一方の辺が支持軸92aを挟んで支持部材241の短辺部と第二方向D2に対向するように設けられる。すなわち、固定部材242と支持部材241は、支持軸92aの四方を囲むように配置され、支持軸92aを固定する。支持軸92aの固定にあたっては、支持部材241の上に支持軸92aが配置された後に、固定部材242を支持部材241に接続させる構成としても良いし、その他の方法で固定部材242を配置して支持軸92aを固定しても良い。また、支持部材241や固定部材242の形状や配置も上述のものに限られず、種々の変更が可能である。なお、第四枠体104が第二乾燥部11の筐体を支持する構成も同様であるため、第四枠体104におけるユニットの支持構成について説明は省略する。
【0072】
図17は、第三枠体103が張力検出手段93やマーク検出手段94、メンテナンス手段95を支持する様子を示す斜視図であり、支持構成を示すため一部の連結部材等の図示を省略している。
図17に示すように、第三枠体103内部には、搬送検出部6においてシートSの張力を検出する張力検出手段93と、マークセンサ部7においてシートS上のマークを検出するマーク検出手段94が配置される。さらに、第三枠体103内部には、メンテナンス部17において記録ヘッド22の清掃等のメンテナンスを行うメンテナンス手段95が配置される。
【0073】
また、第三枠体103は、第三枠体103の第二方向D2両端部に位置する長手連結部材116の間に延在する2つの支持部材251を備える。一方の支持部材251の上面には張力検出手段93が配置され、もう一方の支持部材251の上面にはマーク検出手段94が配置される。そして、第一枠体101におけるガイド手段81の支持部材221への固定方法と同様に、張力検出手段93は、固定部材223を介して支持部材251に固定される。すなわち、固定部材223が支持部材251と張力検出手段93に接続されることで、張力検出手段93が支持部材251に対して固定される。同様に、マーク検出手段94も、固定部材223を介して支持部材251に固定される。
【0074】
第三枠体103の鉛直方向上端部に設けられ、第一方向D1に延在する2つの長手連結部材116には、第一方向D1に延びるメンテナンスレール252が設けられる。メンテナンス部17のメンテナンス手段95は、2つのメンテナンスレール252により第一方向D1に移動可能に支持される。また、第一枠体101にもメンテナンスレール252と連結される不図示のメンテナンスレールが設けられ、メンテナンス手段95は第一枠体101に支持される位置と、第三枠体103に支持される位置と、に移動可能に構成されている。メンテナンス手段95は、記録ヘッド22のメンテナンス時には第一枠体101内部に位置し、それ以外の場合には記録動作等を阻害しないように第三枠体103内部に位置する。
【0075】
以上に述べた構成により、各枠体は高精度にユニットを支持することができる。また、前述の通り、枠体同士も高精度に配置されているため、シートの搬送や記録動作を高精度に行うことが可能である。
【0076】
(他の実施形態)
なお、本発明の適用において、記録装置は上述の構成に限られるものではない。例えば第二枠体102が乾燥部に加えて、冷却部やインクタンク等の異なるユニットを支持する構成としても良い。また、前述した実施形態においては、第四枠体104に第二乾燥部11を配置したが、線速が遅いなどの理由で第二乾燥部11が不要の場合は第二乾燥部11の代わりに冷却部12を配置してもよい。また、前述した実施形態においては、記録部8における搬送路を上方に凸となる円弧形状に配置されたガイドローラ23によって形成していたが、
図18に示す変形例のように吸着搬送ベルト1001で搬送路が形成されてもよい。この場合、記録部8の下方に第一乾燥部10を配置するため、記録装置1の設置面積を小さくすることができる。
【0077】
本実施形態の開示は、以下の構成(及び方法)を含む。
(構成1)
連続したシート状の記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録部と、
記録媒体の搬送経路において前記記録部より下流側かつ鉛直方向において前記記録部の下方に位置し、記録媒体を乾燥する乾燥部と、
を備える記録装置であって、
前記記録部を支持する第一枠体と、
前記乾燥部を支持する第二枠体と、
をさらに備え、
前記第一枠体は前記第二枠体の上に設置されることを特徴とする記録装置。
(構成2)
前記第一枠体は、複数の第一柱部材を有し、
前記第二枠体は、鉛直方向から見たときに前記複数の第一柱部材と重なる位置に設けられる複数の第二柱部材を有することを特徴とする構成1に記載の記録装置。
(構成3)
前記複数の第一柱部材は、鉛直方向から見たときに、前記記録部を囲む矩形領域の4つの角に位置するように設けられ、
前記第一枠体は、前記第一柱部材同士を第一方向で連結する第一連結部材と、前記第一柱部材同士を前記第一方向と直交する第二方向で連結する第二連結部材と、をさらに有し、
前記第二枠体は、前記第二柱部材同士を前記第一方向で連結する第三連結部材と、前記第二柱部材同士を前記第二方向で連結する第四連結部材と、をさらに有することを特徴とする構成2に記載の記録装置。
(構成4)
前記第一連結部材は、前記第二方向から見たときに、前記記録部内の記録媒体と重ならない位置に設けられることを特徴とする構成3に記載の記録装置。
(構成5)
前記第一枠体及び前記第二枠体の内部には、前記第一枠体から前記第二枠体に連通する記録媒体の搬送路が形成されていることを特徴とする構成1~4のいずれか一の構成に記載の記録装置。
(構成6)
前記搬送路は、前記第一枠体の内部で略水平方向に延びる第一部分と、前記第一枠体から前記第二枠体に向かって略鉛直方向に延びる第二部分と、前記第二枠体の内部で略水平方向に延びる第三部分と、を有することを特徴とする構成5に記載の記録装置。
(構成7)
前記第一部分における記録媒体の搬送方向と、前記第三部分における記録媒体の搬送方向は、互いに反対方向を向いていることを特徴とする構成6に記載の記録装置。
(構成8)
前記第一枠体に隣接する第三枠体と、
前記第二枠体に隣接して連結され、前記第三枠体を下方から支持する第四枠体をさらに備え、
記録媒体は、前記第三枠体、前記第一枠体、前記第二枠体、前記第四枠体の順にそれぞれの内部を通過するように搬送されることを特徴とする構成1~7のいずれか一の構成に記載の記録装置。
(構成9)
前記第二枠体が支持する前記乾燥部は第一乾燥部であって、
前記第四枠体に支持され、記録媒体を乾燥する第二乾燥部をさらに備え、
前記第四枠体は、前記第二枠体と構成が同一であることを特徴とする構成8に記載の記録装置。
(構成10)
前記第四枠体に支持され、記録媒体を冷却する冷却部をさらに備えることを特徴とする構成8に記載の記録装置。
(構成11)
前記第一枠体に支持される位置と、前記第三枠体に支持される位置と、に移動可能に構成され、前記記録部のメンテナンスを行うメンテナンス部をさらに備えることを特徴とする構成8に記載の記録装置。
(構成12)
前記第一方向と直交する断面において、前記第一連結部材の断面二次モーメントは、前
記第三連結部材の断面二次モーメントより大きいことを特徴とする構成3又は4に記載の記録装置。
(構成13)
前記第二方向と直交する断面において、前記第二連結部材の断面二次モーメントは、前記第四連結部材の断面二次モーメントより大きいことを特徴とする構成3又は4に記載の記録装置。
(構成14)
前記第一枠体は、複数の前記第一連結部材を有し、
前記第二枠体は、複数の前記第三連結部材を有し、
前記第一枠体が有する前記第一連結部材の数は、前記第二枠体が有する前記第三連結部材の数より多いことを特徴とする構成3又は4に記載の記録装置。
(構成15)
前記第一枠体は、複数の前記第二連結部材を有し、
前記第二枠体は、複数の前記第四連結部材を有し、
前記第一枠体が有する前記第二連結部材の数は、前記第二枠体が有する前記第四連結部材の数より多いことを特徴とする構成3又は4に記載の記録装置。
(構成16)
前記記録部は、前記複数の第一連結部材によって支持される記録手段を有し、
前記乾燥部は、前記複数の第三連結部材によって支持される乾燥手段を有することを特徴とする構成14に記載の記録装置。
【符号の説明】
【0078】
1…記録装置、8…記録部、10…第一乾燥部(乾燥部)、101…第一枠体、102…第二枠体、S…シート(記録媒体)