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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184187
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20231221BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098185
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西原 洋一
(57)【要約】
【課題】電気的接続信頼性の低下を抑制できる半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置10は、下基板20と、電流入力端子22Aを有する配線パターン22と電気的に接続される電極とその電極とは反対側に設けられた電極32とを有する半導体素子30と、半導体素子30の電極32側に設けられた上基板40とを有する。半導体装置10は、上基板40を厚さ方向に貫通して電極32と接続された複数のビア配線80と、上基板40の上面に設けられるとともに、複数のビア配線80を介して電極32と電気的に接続される配線パターン62と、電流を出力する電流出力端子23Aとを有する。複数のビア配線80は、X軸方向において、電流出力端子23Aに最も近い位置に配置された1以上のビア配線81と、ビア配線81の隣に設けられた1以上のビア配線82とを有する。ビア配線81の平面形状は、ビア配線82の平面形状よりも大きく形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下基板と、
電流が入力される電流入力端子を有し、前記下基板の上面に設けられた第1配線パターンと、
前記第1配線パターンと電気的に接続される第1電極と、前記第1電極とは反対側に設けられた第2電極とを有し、前記下基板の上面側に搭載された半導体素子と、
前記半導体素子の前記第2電極側に設けられた上基板と、
前記上基板を厚さ方向に貫通して前記第2電極と接続された複数のビア配線と、
前記上基板の上面に設けられるとともに、前記複数のビア配線を介して前記第2電極と電気的に接続される第2配線パターンと、
前記電流を出力する電流出力端子と、を有し、
前記第2配線パターンは、前記電流出力端子と電気的に接続されるとともに、平面方向の1つである第1方向において前記第2電極から前記電流出力端子に向かって延びており、
前記複数のビア配線は、前記第1方向において、前記電流出力端子に最も近い位置に配置された1以上の第1ビア配線と、前記第1ビア配線の隣に設けられた1以上の第2ビア配線とを有し、
前記第1ビア配線の平面形状は、前記第2ビア配線の平面形状よりも大きく形成されている半導体装置。
【請求項2】
前記半導体素子の平面形状は、矩形状に形成されており、
前記ビア配線は、前記半導体素子の4つの辺の中で前記第1方向において前記電流出力端子に最も近い位置に配置された辺に沿って並んで設けられた複数の前記第1ビア配線を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1ビア配線の平面形状は、前記第1ビア配線以外の前記ビア配線の各々の平面形状よりも大きく形成されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ビア配線は、前記第1方向において、前記第2ビア配線の隣に設けられた1以上の第3ビア配線を有し、
前記第1ビア配線の平面形状は、前記第3ビア配線の平面形状よりも大きく形成されており、
前記第2ビア配線の平面形状は、前記第3ビア配線の平面形状よりも小さく形成されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記下基板と前記上基板との間に設けられるとともに、前記半導体素子を封止する封止樹脂を有し、
前記電流入力端子は、前記封止樹脂から露出した位置に設けられており、
前記電流出力端子は、前記封止樹脂から露出した位置に設けられている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体素子は、パワー半導体素子である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体素子は、ドレイン電極である前記第1電極と、ソース電極である前記第2電極と、ゲート電極である第3電極とを有する金属酸化膜半導体電界効果トランジスタである請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記半導体素子は、アノード電極である前記第1電極と、カソード電極である前記第2電極とを有するダイオードである請求項6に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置として、電力の制御や電力の供給を行うパワー系の半導体装置(パワーモジュール)が知られている。この種の半導体装置は、下基板と上基板との間に搭載された半導体素子と、下基板と上基板との間に設けられるとともに半導体素子を封止する封止樹脂と、上基板の上面に形成された配線層とを有する。上基板の上面に形成された配線層は、上基板を厚さ方向に貫通する複数のビア配線を介して半導体素子の電極と電気的に接続されている。
【0003】
なお、上記従来技術に関連する先行技術として、特許文献1が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-120902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の半導体装置では、半導体素子に電流を流した際に、一部のビア配線に電流密度が集中する場合がある。すると、電流密度が集中したビア配線に発熱が生じ、そのビア配線が局所破断するおそれがある。ビア配線が局所破断すると、配線層と半導体素子の電極との電気的接続信頼性が低下するという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、下基板と、電流が入力される電流入力端子を有し、前記下基板の上面に設けられた第1配線パターンと、前記第1配線パターンと電気的に接続される第1電極と、前記第1電極とは反対側に設けられた第2電極とを有し、前記下基板の上面側に搭載された半導体素子と、前記半導体素子の前記第2電極側に設けられた上基板と、前記上基板を厚さ方向に貫通して前記第2電極と接続された複数のビア配線と、前記上基板の上面に設けられるとともに、前記複数のビア配線を介して前記第2電極と電気的に接続される第2配線パターンと、前記電流を出力する電流出力端子と、を有し、前記第2配線パターンは、前記電流出力端子と電気的に接続されるとともに、平面方向の1つである第1方向において前記第2電極から前記電流出力端子に向かって延びており、前記複数のビア配線は、前記第1方向において、前記電流出力端子に最も近い位置に配置された1以上の第1ビア配線と、前記第1ビア配線の隣に設けられた1以上の第2ビア配線とを有し、前記第1ビア配線の平面形状は、前記第2ビア配線の平面形状よりも大きく形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一観点によれば、電気的接続信頼性の低下を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の半導体装置を示す概略平面図である。
図2】一実施形態の半導体装置の一部を拡大した拡大平面図である。
図3】一実施形態の半導体装置を示す概略断面図(図1における3-3線断面図)である。
図4】一実施形態の半導体装置を示す概略断面図(図1における4-4線断面図)である。
図5】一実施形態の半導体装置の電流経路を示す概略平面図である。
図6】比較例の半導体装置を示す概略平面図である。
図7】電流密度のシミュレーション結果を示すグラフである。
図8】変更例の半導体装置の一部を拡大した拡大平面図である。
図9】変更例の半導体装置を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。各図面では、相互に直交するX軸、Y軸、Z軸を図示している。以下の説明では、便宜上、X軸に沿って延びる方向をX軸方向と称し、Y軸に沿って延びる方向をY軸方向と称し、Z軸に沿って延びる方向をZ軸方向と称する。また、本明細書において、「平面視」とは、対象物をZ軸方向から見ることを言い、「平面形状」とは、対象物をZ軸方向から見た形状のことを言う。
【0010】
(半導体装置10の全体構成)
まず、図1図4に従って、半導体装置10の全体構成について説明する。
図1図4に示した半導体装置10は、例えば、電力の制御や電力の供給を行うパワー系の半導体装置(パワーモジュール)である。半導体装置10としては、例えば、DC-DCコンバータなどを挙げることができる。
【0011】
半導体装置10は、下基板20と、下基板20の上面に搭載された1以上(本実施形態では、1個)の半導体素子30と、半導体素子30の上面に設けられた上基板40とを有している。半導体装置10は、下基板20の上面に設けられた配線層21を有している。
【0012】
図3及び図4に示すように、半導体装置10は、下基板20と上基板40との間に設けられるとともに半導体素子30を封止する封止樹脂50と、半導体素子30と電気的に接続されるとともに上基板40の上面に設けられた配線層60とを有している。半導体素子30は、下基板20の上面と上基板40の下面との間に設けられている。半導体装置10では、下基板20と上基板40との間に半導体素子30が内蔵されている。
【0013】
(半導体素子30の構成)
半導体素子30は、例えば、シリコン(Si)やシリコンカーバイド(SiC)から形成されている。半導体素子30は、例えば、パワー系の半導体素子、つまりパワー半導体素子である。例えば、半導体素子30としては、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)やダイオード等を用いることができる。本実施形態の半導体素子30は、MOSFETである。半導体素子30の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。半導体素子30の平面形状は、例えば、矩形状に形成されている。半導体素子30の平面形状の大きさは、例えば、5mm×5mm程度とすることができる。半導体素子30の厚さは、例えば、50μm以上600μm以下の範囲とすることができる。
【0014】
図4に示すように、半導体素子30は、例えば、下面側に設けられた電極31と、上面側に設けられた電極32及び電極33とを有している。半導体素子30は、例えば、本体部34を有している。電極32,33は、電極31とは反対側に設けられている。電極31は、例えば、MOSFETのドレイン電極である。電極32は、例えば、MOSFETのソース電極である。電極33は、例えば、MOSFETのゲート電極である。
【0015】
電極31,32,33の材料としては、例えば、アルミニウム(Al)や銅(Cu)などの金属、又はこれら金属から選択される少なくとも一種の金属を含む合金を用いることができる。なお、必要に応じて、電極31,32,33の表面に表面処理層を形成するようにしてもよい。表面処理層の例としては、金(Au)層、ニッケル(Ni)層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。これらAu層、Ni層、Pd層としては、例えば、無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき金属層)を用いることができる。また、Au層はAu又はAu合金からなる金属層、Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、Pd層はPd又はPd合金からなる金属層である。
【0016】
電極31は、例えば、本体部34の下面に形成されている。例えば、電極31は、本体部34の下面全面を被覆するように形成されている。
図2に示すように、電極32,33は、例えば、本体部34の上面に形成されている。本実施形態の本体部34の上面には、2個の電極32と、1個の電極33とが設けられている。2個の電極32は、本体部34の上面において互いに離れて設けられている。2個の電極32は、例えば、X軸方向に沿って並んで設けられている。各電極32は、例えば、図中下側の部分に凹部32Xを有している。電極33は、例えば、本体部34の上面において電極32と離れて設けられている。電極33は、例えば、平面視において、2個の凹部32Xの内部に入り込むように設けられている。
【0017】
(下基板20の構成)
図1に示すように、下基板20は、平板状に形成されている。下基板20は、例えば、酸化物系セラミックスや非酸化物系セラミックス等のセラミックスからなるセラミックス基板である。酸化物系セラミックスとしては、例えば、酸化アルミニウム(Al)、ジルコニア(ZrO)などを挙げることができる。非酸化物系セラミックスとしては、例えば、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si)などを挙げることができる。
【0018】
下基板20の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。例えば、下基板20の平面形状は、矩形状に形成されている。下基板20の厚さは、例えば、200μm以上400μm以下の範囲とすることができる。なお、図1は、図3及び図4に示した半導体装置10を上方から見た平面図である。また、図2は、図1に示した半導体装置10の一部を拡大した平面図である。図2では、上基板40と封止樹脂50と配線層60とが透視的に描かれている。
【0019】
(配線層21の構成)
図1に示すように、配線層21は、例えば、多数の配線パターンを有している。本実施形態の配線層21は、配線パターン22と、配線パターン23と、配線パターン24と、配線パターン25とを有している。
【0020】
配線パターン22,23,24,25の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。なお、必要に応じて、配線パターン22,23,24,25の表面(上面及び側面、又は上面のみ)に表面処理層を形成するようにしてもよい。表面処理層としては、Au層、Ni層/Au層、Ni層/Pd層/Au層などの金属層を挙げることができる。配線パターン22,23,24,25の厚さは、例えば、100μm以上800μm以下の範囲とすることができる。
【0021】
配線パターン22,23,24,25は、下基板20の上面において互いに離れて設けられている。配線パターン22,23,24,25の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。
【0022】
配線パターン22の平面形状は、例えば、矩形状に形成されている。配線パターン22は、例えば、平面方向の1つであるY軸方向に所定の幅を有し、平面方向の1つであるX軸方向に延びる帯状に形成されている。配線パターン22は、例えば、配線パターン22の一部が上基板40と平面視で重なるように設けられるとともに、配線パターン22の残りの部分が上基板40から露出するように設けられている。図3に示すように、配線パターン22は、例えば、半導体素子30の電極31と電気的に接続されている。すなわち、配線パターン22は、ドレイン電極としての電極31と電気的に接続されている。
【0023】
配線パターン22は、例えば、電流入力端子22Aを有している。電流入力端子22Aは、例えば、上基板40及び封止樹脂50から露出された部分の配線パターン22の上面に設けられている。電流入力端子22Aは、例えば、半導体装置10の外部に設けられる外部電極などと電気的に接続される。電流入力端子22Aは、例えば、半導体装置10の外部に設けられる回路や電源などから電流I1が入力される接続端子である。本実施形態の電流入力端子22Aは、ドレイン電極端子である。
【0024】
図1に示すように、配線パターン23の平面形状は、例えば、矩形状に形成されている。配線パターン23は、例えば、Y軸方向に所定の幅を有し、X軸方向に延びる帯状に形成されている。配線パターン23は、例えば、配線パターン22の図中下側に設けられている。配線パターン23は、例えば、配線パターン22と平行に延びるように形成されている。配線パターン23は、例えば、X軸方向において、配線パターン22と等しい長さに形成されている。配線パターン23は、例えば、配線パターン23の一部が上基板40と平面視で重なるように設けられるとともに、配線パターン23の残りの部分が上基板40から露出するように設けられている。配線パターン23は、例えば、半導体素子30の電極32と電気的に接続されている。すなわち、配線パターン22は、ソース電極としての電極32と電気的に接続されている。
【0025】
配線パターン23は、例えば、電流出力端子23Aを有している。電流出力端子23Aは、例えば、上基板40及び封止樹脂50から露出された部分の配線パターン23の上面に設けられている。電流出力端子23Aは、例えば、半導体装置10の外部に設けられる外部電極などと電気的に接続される。電流出力端子23Aは、例えば、半導体装置10の外部に設けられる回路等に電流I1(図3参照)を出力する接続端子である。本実施形態の電流出力端子23Aは、ソース電極端子である。
【0026】
配線パターン24の平面形状は、例えば、矩形状に形成されている。配線パターン24は、例えば、Y軸方向に所定の幅を有し、X軸方向に延びる帯状に形成されている。配線パターン24は、例えば、配線パターン23よりも図中下側に設けられている。配線パターン24は、例えば、配線パターン22,23と平行に延びるように形成されている。配線パターン24は、例えば、X軸方向において、配線パターン23,24よりも長く形成されている。配線パターン24は、例えば、配線パターン24の一部が上基板40と平面視で重なるように設けられるとともに、配線パターン24の残りの部分が上基板40から露出するように設けられている。配線パターン24は、例えば、半導体素子30の電極33と電気的に接続されている。すなわち、配線パターン24は、ゲート電極としての電極33と電気的に接続されている。
【0027】
配線パターン24は、例えば、接続端子24Aを有している。接続端子24Aは、上基板40及び封止樹脂50から露出された部分の配線パターン24の上面に設けられている。接続端子24Aは、例えば、半導体装置10の外部に設けられる外部電極などと電気的に接続される。接続端子24Aは、例えば、ゲート電極端子である。
【0028】
配線パターン25の平面形状は、例えば、矩形状に形成されている。配線パターン25は、例えば、各配線パターン23,24,25の平面形状よりも大きく形成されている。配線パターン25は、例えば、ベタ状に形成されている。例えば、配線パターン25は、下基板20の上面において、図中右側半分の領域に全体的に広がるように形成されている。配線パターン25は、例えば、その全体が上基板40と平面視で重なるように設けられている。配線パターン25は、例えば、半導体素子30と平面視で重なるように設けられている。配線パターン25は、例えば、半導体素子30の電極31(図3参照)と電気的に接続されている。
【0029】
(接合部71の構成)
図3に示すように、配線パターン25の上面には、導電性を有する接合部71を介して半導体素子30が接合されている。接合部71は、配線パターン25に接合されるとともに、電極31に接合されている。接合部71は、配線パターン25と半導体素子30の電極31とを電気的に接続している。
【0030】
図1に示すように、半導体素子30は、例えば、その全体が配線パターン25と平面視で重なるように設けられている。半導体素子30は、例えば、その全体が上基板40と平面視で重なるように設けられている。
【0031】
(接合部72の構成)
図3に示すように、配線パターン22の上面には、導電性を有する接合部72が形成されている。図4に示すように、配線パターン23の上面には、接合部72が形成されている。詳細な図示は省略するが、図1に示した配線パターン24の上面にも同様に、接合部72が形成されている。各接合部72の上面には、接続部材75が形成されている。接合部72は、配線パターン22(図3参照)、配線パターン23又は配線パターン24(図1参照)に接合されるとともに、接続部材75に接合されている。図3に示すように、接合部72は、配線パターン22と接続部材75とを電気的に接続している。図4に示すように、接合部72は、配線パターン23と接続部材75とを電気的に接続している。接合部72は、配線パターン24(図1参照)と接続部材75とを電気的に接続している。
【0032】
接合部71,72の材料としては、例えば、金属の焼結材料を用いることができる。焼結材料としては、例えば、銀(Ag)粒子を主成分とする焼結材料(銀シンタリング材料)や銅粒子を主成分とする焼結材料(銅シンタリング材料)を用いることができる。また、接合部71,72の材料としては、例えば、はんだ、銀ペースト等の導電性ペーストや金属ろう材を用いることもできる。接合部71,72の厚さは、例えば、10μm以上60μm以下の範囲とすることができる。
【0033】
(接続部材75の構成)
接続部材75は、上基板40の上面に形成された配線層60と電気的に接続されている。これにより、配線パターン22,23,24は、接合部72及び接続部材75を介して配線層60と電気的に接続されている。接続部材75は、例えば、半導体装置10の積層方向(ここでは、Z軸方向)に沿って延びる柱状に形成されている。接続部材75は、例えば、金属ポストである。接続部材75は、例えば、半導体素子30と同じ厚さに形成されている。接続部材75の厚さは、例えば、50μm以上775μm以下の範囲とすることができる。なお、接続部材75の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。
【0034】
(上基板40の構成)
上基板40は、半導体素子30の電極32,33側に設けられている。上基板40は、半導体素子30の上面及び接続部材75の上面に設けられている。上基板40は、平板状に形成されている。上基板40の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。図1に示すように、上基板40の平面形状は、例えば、矩形状に形成されている。上基板40の平面形状は、例えば、下基板20の平面形状よりも小さく形成されている。例えば、上基板40のX軸方向の寸法は、下基板20のX軸方向の寸法よりも小さく形成されている。例えば、上基板40のY軸方向の寸法は、下基板20のY軸方向の寸法よりも小さく形成されている。上基板40は、例えば、その全体が下基板20と平面視で重なるように設けられている。
【0035】
図4に示すように、上基板40は、例えば、基板本体41と、基板本体41の下面に形成された接着層42とを有している。基板本体41の材料としては、例えば、ポリイミド系樹脂やポリエステル系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。接着層42としては、例えば、エポキシ系、ポリイミド系やシリコーン系の接着剤を用いることができる。基板本体41の厚さは、例えば、30μm以上50μm以下の範囲とすることができる。接着層42の厚さは、例えば、15μm以上45μm以下の範囲とすることができる。
【0036】
基板本体41は、例えば、接着層42により半導体素子30及び接続部材75に接着されている。接着層42は、半導体素子30の上面に接着されるとともに、基板本体41の下面に接着されている。接着層42は、接続部材75の上面に接着されるとともに、基板本体41の下面に接着されている。接着層42は、例えば、半導体素子30の一部を内蔵するように設けられている。換言すると、半導体素子30の一部は、接着層42に埋設されている。例えば、半導体素子30の電極32,33の一部は、接着層42に埋設されている。
【0037】
上基板40には、上基板40を厚さ方向(ここでは、Z軸方向)に貫通する複数の開口部43が形成されている。各開口部43は、例えば、基板本体41及び接着層42を厚さ方向に貫通して形成されている。各開口部43は、例えば、図4において上側(上基板40の上面側)から下側(下基板20側)に向かうに連れて開口幅(開口径)が小さくなるテーパ形状に形成されている。例えば、各開口部43は、下側の開口端の開口径が上側の開口端の開口径よりも小さくなる逆円錐台形状に形成されている。一部の開口部43は、例えば、電極32,33の上面の一部を露出するように形成されている。一部の開口部43は、例えば、接続部材75の上面の一部を露出するように形成されている。
【0038】
(配線層60の構成)
配線層60は、上基板40の上面に形成されている。図1に示すように、配線層60は、配線パターン61と、配線パターン62と、配線パターン63とを有している。配線パターン61,62,63の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。なお、必要に応じて、配線パターン61,62,63の表面(上面及び側面、又は上面のみ)に表面処理層を形成するようにしてもよい。表面処理層としては、Au層、Ni層/Au層、Ni層/Pd層/Au層などの金属層を挙げることができる。配線パターン61,62の厚さは、例えば、50μm以上200μm以下の範囲とすることができる。
【0039】
配線パターン61,62,63は、上基板40の上面において互いに離れて設けられている。配線パターン61,62,63の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさとすることができる。
【0040】
(配線パターン61の構成)
配線パターン61は、例えば、配線パターン22と配線パターン25とを電気的に接続するように形成されている。配線パターン61は、例えば、平面視において、X軸方向に延びるように形成されている。配線パターン61は、例えば、平面視において、配線パターン22から配線パターン25まで延びるように形成されている。
【0041】
配線パターン61は、例えば、平面視において、配線パターン22と部分的に重なるように形成されている。配線パターン61は、例えば、配線パターン22の図中右側の端部と平面視で重なるように形成されている。図3に示すように、配線パターン61は、例えば、上基板40を厚さ方向に貫通する1以上(本実施形態では、2個)のビア配線V1を介して、配線パターン22上に設けられた接続部材75と電気的に接続されている。配線パターン61は、例えば、ビア配線V1と接続部材75と接合部72とを介して、配線パターン22と電気的に接続されている。配線パターン61は、例えば、ビア配線V1と一体に形成されている。各ビア配線V1は、例えば、配線パターン22上に設けられた接続部材75の上面の一部を露出する開口部43内に形成されている。各ビア配線V1は、例えば、開口部43を充填するように形成されている。2個のビア配線V1は、例えば、1個の接続部材75と接続されている。2個のビア配線V1は、例えば、X軸方向に沿って並んで設けられている。
【0042】
図1に示すように、配線パターン61は、例えば、平面視において、配線パターン25と部分的に重なるように形成されている。配線パターン61は、例えば、配線パターン25の図中上側の部分と平面視で重なるように形成されている。図3に示すように、配線パターン61は、例えば、上基板40を厚さ方向に貫通する1以上のビア配線V2を介して、配線パターン25上に設けられた接続部材75と電気的に接続されている。図1に示すように、本実施形態の配線パターン61は、4個のビア配線V2を介して、配線パターン25上に設けられた2個の接続部材75と電気的に接続されている。4個のビア配線V2は、例えば、X軸方向に沿って並んで設けられている。4個のビア配線V2は、例えば、1個の接続部材75に対して2個ずつのビア配線V2が接続されるように設けられている。図3に示すように、各ビア配線V2は、例えば、配線パターン25上に設けられた接続部材75の上面の一部を露出する開口部43内に形成されている。各ビア配線V2は、例えば、開口部43を充填するように形成されている。配線パターン61は、例えば、ビア配線V2と一体に形成されている。配線パターン61は、ビア配線V2と接続部材75と接合部72とを介して、配線パターン25と電気的に接続されている。これにより、配線パターン22は、接合部72と接続部材75とビア配線V1と配線パターン61とビア配線V2と接続部材75と接合部72と配線パターン25と接合部71とを介して、半導体素子30の電極31と電気的に接続されている。すなわち、電流入力端子22Aを有する配線パターン22は、配線パターン61,25等を介して、ドレイン電極である電極31と電気的に接続されている。
【0043】
(配線パターン62の構成)
図1に示すように、配線パターン62は、例えば、配線パターン23と半導体素子30の電極32とを電気的に接続するように形成されている。配線パターン62は、例えば、配線パターン23の有する電流出力端子23Aと半導体素子30の電極32とを電気的に接続するように形成されている。配線パターン62は、例えば、平面視において、X軸方向に延びるように形成されている。配線パターン62は、例えば、X軸方向において、電極32から電流出力端子23Aに向かって延びるように形成されている。
【0044】
配線パターン62は、例えば、平面視において、配線パターン23と部分的に重なるように形成されている。配線パターン62は、例えば、配線パターン23の図中右側の端部と平面視で重なるように形成されている。図4に示すように、配線パターン62は、例えば、上基板40を厚さ方向に貫通する1以上(本実施形態では、2個)のビア配線V3を介して、配線パターン23上に設けられた接続部材75と電気的に接続されている。配線パターン62は、例えば、ビア配線V3と接続部材75と接合部72とを介して、配線パターン23と電気的に接続されている。配線パターン62は、例えば、ビア配線V3と一体に形成されている。各ビア配線V3は、例えば、配線パターン23上に設けられた接続部材75の上面の一部を露出する開口部43内に形成されている。各ビア配線V3は、例えば、開口部43を充填するように形成されている。2個のビア配線V3は、例えば、1個の接続部材75と接続されている。2個のビア配線V3は、例えば、X軸方向に沿って並んで設けられている。
【0045】
図1に示すように、配線パターン62は、例えば、平面視において、半導体素子30と部分的に重なるように形成されている。配線パターン62は、例えば、半導体素子30の電極32と平面視で重なるように形成されている。配線パターン62は、例えば、2個の電極32と平面視で重なるように形成されている。図4に示すように、配線パターン62は、例えば、上基板40を厚さ方向に貫通する複数のビア配線80を介して、電極32と電気的に接続されている。これにより、配線パターン62は、ビア配線80を介して電極32と電気的に接続されるとともに、ビア配線V3と接続部材75と接合部72とを介して配線パターン23と電気的に接続されている。換言すると、電流出力端子23Aを有する配線パターン23は、接合部72と接続部材75とビア配線V3と配線パターン62とビア配線80とを介して、ソース電極である電極32と電気的に接続されている。配線パターン62は、例えば、ビア配線80と一体に形成されている。ここで、図2に示すように、本実施形態の配線パターン62は、20個のビア配線80を介して、2個の電極32と電気的に接続されている。
【0046】
(ビア配線80の構成)
図3に示すように、各ビア配線80は、上基板40を厚さ方向に貫通して電極32と接続されている。各ビア配線80は、例えば、電極32の上面の一部を露出する開口部43内に形成されている。各ビア配線80は、例えば、開口部43を充填するように形成されている。図2に示すように、例えば、各電極32に対して複数のビア配線80が接続されている。本実施形態の20個のビア配線80は、1個の電極32に対して10個ずつのビア配線80が接続されるように設けられている。20個のビア配線80は、例えば、X軸方向に沿って並んで設けられるとともに、Y軸方向に沿って並んで設けられている。
【0047】
図1に示すように、本実施形態のビア配線80は、X軸方向において、6列に並んで設けられている。ビア配線80は、X軸方向において、電流出力端子23Aに最も近い位置に設けられた1以上(本実施形態では、4個)のビア配線81を有している。4個のビア配線81は、例えば、矩形状の半導体素子30の外形を構成する4つの辺の中でX軸方向において電流出力端子23Aに最も近い位置に配置された辺、ここでは図中左側に配置されたY軸方向に延びる辺に沿って並んで設けられている。4個のビア配線81は、Y軸方向において互いに離れて設けられている。以下の説明では、便宜上、4個のビア配線81を、「1列目のビア配線81」と称する場合がある。ビア配線80は、X軸方向において、1列目のビア配線81の隣に設けられた2列目の1以上のビア配線82と、2列目のビア配線82の隣に設けられた3列目の1以上のビア配線83とを有している。ビア配線80は、X軸方向において、3列目のビア配線83の隣に設けられた4列目の1以上のビア配線84と、4列目のビア配線84の隣に設けられた5列目の1以上のビア配線85とを有している。ビア配線80は、X軸方向において、5列目のビア配線85の隣に設けられた6列目の1以上のビア配線86を有している。本実施形態のビア配線80は、3個のビア配線82と、3個のビア配線83と、3個のビア配線84と、3個のビア配線85と、4個のビア配線86とを有している。図2に示すように、1列目~3列目のビア配線81,82,83が一方の電極32に接続されるとともに、4列目~6列目のビア配線84,85,86が他方の電極32に接続されている。1列目~3列目のビア配線81,82,83は、例えば、電極32の上面に千鳥状に配列されている。例えば、1列目のビア配線81と3列目のビア配線83とは、X軸方向において互いに重なる位置に設けられている。例えば、2列目のビア配線82は、Y軸方向において1列目のビア配線81及び3列目のビア配線83とずれた位置に設けられている。4列目~6列目のビア配線84,85,86は、例えば、電極32の上面に千鳥状に配列されている。例えば、4列目のビア配線84と6列目のビア配線86とは、X軸方向において互いに重なる位置に設けられている。5列目のビア配線85は、例えば、Y軸方向において4列目のビア配線84及び6列目のビア配線86とずれた位置に設けられている。なお、3列目のビア配線83と4列目のビア配線84とは、X軸方向において互いに重なる位置に設けられている。
【0048】
各ビア配線81~86の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさに形成することができる。複数のビア配線81~86の平面形状は、互いに同じ形状であってもよいし、互いに異なる形状であってもよい。本実施形態の複数のビア配線81~86の平面形状は、互いに同じ形状、具体的には円形状に形成されている。
【0049】
1列目のビア配線81の平面形状は、2列目のビア配線82の平面形状よりも大きく形成されている。各ビア配線81の平面形状は、例えば、ビア配線81以外のビア配線80、具体的には2~6列目のビア配線82~86の各々の平面形状よりも大きく形成されている。1列目のビア配線81のビア径(直径)は、例えば、2列目のビア配線82のビア径よりも大きく形成されている。各ビア配線81のビア径は、例えば、2~6列目のビア配線82~86の各々のビア径よりも大きく形成されている。4個のビア配線81の平面形状の大きさは、例えば、互いに同じ大きさに形成されている。例えば、2~6列目のビア配線82~86の平面形状の大きさは、互いに同じ大きさに形成されている。本実施形態の複数のビア配線80では、ビア配線81~86のうち1列目のビア配線81の平面形状のみが大きく形成されている。ビア配線81の平面形状の大きさは、例えば、他のビア配線82~86の平面形状の大きさの1.2倍以上2倍以下の範囲の大きさに設定することができる。例えば、ビア配線82~86のビア径は300μm以上600μm以下の範囲とすることができ、ビア配線81の直径は360μm以上1200μm以下の範囲とすることができる。
【0050】
(配線パターン63の構成)
図1に示すように、配線パターン63は、例えば、配線パターン24と半導体素子30の電極33とを電気的に接続するように形成されている。配線パターン63は、例えば、平面視において、X軸方向に延びるように形成されている。配線パターン63は、例えば、平面視において、配線パターン24から半導体素子30まで延びるように形成されている。
【0051】
配線パターン63は、例えば、平面視において、配線パターン24と部分的に重なるように形成されている。配線パターン63は、例えば、配線パターン24の図中右側の端部と平面視で重なるように形成されている。配線パターン63は、例えば、上基板40を厚さ方向に貫通する1以上のビア配線V4を介して、配線パターン24上に設けられた接続部材75と電気的に接続されている。本実施形態の配線パターン63は、4個のビア配線V4を介して、配線パターン24上に設けられた2個の接続部材75と電気的に接続されている。詳細な図示は省略するが、配線パターン63は、例えば、ビア配線V4及び接続部材75を介して、配線パターン24と電気的に接続されている。配線パターン63は、例えば、ビア配線V4と一体に形成されている。4個のビア配線V4は、例えば、1個の接続部材75に対して2個ずつのビア配線V4が接続されるように設けられている。4個のビア配線V4は、例えば、X軸方向に沿って並んで設けられている。
【0052】
配線パターン63は、例えば、平面視において、半導体素子30と部分的に重なるように形成されている。配線パターン63は、例えば、半導体素子30の電極33と平面視で重なるように形成されている。図4に示すように、配線パターン63は、例えば、上基板40を厚さ方向に貫通する1以上(本実施形態では、1個)のビア配線V5を介して、電極33と電気的に接続されている。配線パターン63は、例えば、ビア配線V5と一体に形成されている。ビア配線V5は、例えば、電極33の上面の一部を露出する開口部43内に形成されている。ビア配線V5は、例えば、開口部43を充填するように形成されている。
【0053】
図1に示すように、配線パターン63は、ビア配線V5を介して電極33と電気的に接続されるとともに、ビア配線V4及び接続部材75を介して配線パターン24と電気的に接続されている。換言すると、ゲート電極である電極33は、ビア配線V5と配線パターン63とビア配線V4と接続部材75とを介して、配線パターン24と電気的に接続されている。
【0054】
(封止樹脂50の構成)
図3に示すように、封止樹脂50は、例えば、下基板20と上基板40との間に設けられた半導体素子30、接続部材75及び接合部71,72を封止するように形成されている。封止樹脂50は、例えば、半導体素子30の側面と、接続部材75の側面と、半導体素子30から露出する接合部71の上面と、接合部71の側面と、接続部材75から露出する接合部72の上面と、接合部72の側面とを被覆するように形成されている。封止樹脂50は、例えば、上基板40の下面全面を被覆するように形成されている。封止樹脂50は、例えば、上基板40と平面視で重なる部分において、接合部71,72から露出する配線層21の上面と、配線層21の側面と、配線層21から露出する下基板20の上面とを被覆するように形成されている。
【0055】
封止樹脂50の材料としては、例えば、熱硬化性樹脂を主成分とする非感光性の絶縁性樹脂を用いることができる。封止樹脂50の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁性樹脂、又はこれら樹脂にシリカやアルミナ等のフィラーを混入した樹脂材を用いることができる。封止樹脂50としては、例えば、モールド樹脂を用いることができる。
【0056】
電極31は、配線パターン25,61,22を介して封止樹脂50よりも外側に引き出されている。図1に示すように、電極32は、配線パターン62,23を介して封止樹脂50よりも外側に引き出されている。電極33は、配線パターン63,24を介して封止樹脂50よりも外側に引き出されている。
【0057】
(電流経路について)
次に、図3図5に従って、半導体素子30が駆動する際に半導体装置10に流れる電流I1の経路について説明する。
【0058】
図3及び図5に示すように、電流入力端子22Aに電流I1が入力されると、電流I1は、配線パターン22から接続部材75及びビア配線V1を通じて配線パターン61に流れる。続いて、電流I1は、配線パターン61においてビア配線V1側からビア配線V2に向かって流れる。次いで、電流I1は、配線パターン61からビア配線V2及び接続部材75を通じて配線パターン25に流れる。その後、図3に示すように、電流I1は、配線パターン25から接合部71を通じて電極31に流れる。続いて、電流I1は、電極32からビア配線80を通じて配線パターン62に流れる。次いで、図4及び図5に示すように、電流I1は、配線パターン62においてビア配線80側からビア配線V3に向かって流れる。その後、電流I1は、配線パターン62からビア配線V3及び接続部材75を通じて配線パターン23に流れる。そして、配線パターン23の電流出力端子23Aから電流I1が出力される。
【0059】
ここで、本発明者の鋭意研究により、ソース電極である電極32に接続される複数のビア配線80のうち電流I1の出口側に配置されたビア配線、具体的には1列目のビア配線81に電流密度が集中しやすいことが分かってきた。すなわち、複数のビア配線80の中で、X軸方向において電流出力端子23Aに最も近い位置に配置された1列目のビア配線81に電流密度が集中しやすいことが分かってきた。
【0060】
そこで、本実施形態の半導体装置10では、電流密度が集中しやすい位置に配置された1列目のビア配線81の平面形状の大きさを、他のビア配線82~86の平面形状の大きさよりも大きく形成した。このため、各ビア配線81と各ビア配線82~86との平面形状が互いに同じ大きさに形成される場合に比べて、各ビア配線81の体積を増大させることができる。これにより、ビア配線81における電流密度を分散させることができ、ビア配線81に電流密度が集中することを好適に抑制できる。
【0061】
なお、本実施形態において、電極31は第1電極の一例、電極32は第2電極の一例、電極33は第3電極の一例、配線パターン22は第1配線パターンの一例、配線パターン62は第2配線パターンの一例、X軸方向は第1方向の一例である。また、ビア配線81は第1ビア配線の一例、ビア配線82は第2ビア配線の一例、ビア配線83は第3ビア配線の一例である。
【0062】
(シミュレーションについて)
図1図4に示した半導体装置10(サンプル1)と、図6に示した比較例の半導体装置100(サンプル2)とについて、電流密度に関するシミュレーション解析を実行した。
【0063】
(シミュレーション条件)
サンプル1の半導体装置10では、2~6列目のビア配線82~86のビア径を500μmに設定した。そして、サンプル1の半導体装置10において、1列目の各ビア配線81のビア径を、300μm、500μm、650μm、700μmに変えた場合の電流密度分布のシミュレーションを実行した。ここで、4個のビア配線81の各々のビア径を、ビア配線82~86のビア径よりも小さい300μmに設定したものは比較例1になる。4個のビア配線81の各々のビア径を、ビア配線82~86のビア径と同じ500μmに設定したものは比較例2になる。4個のビア配線81の各々のビア径を、ビア配線82~86のビア径よりも大きい650μmに設定したものは実施例1になる。4個のビア配線81の各々のビア径を、ビア配線82~86のビア径よりも大きい700μmに設定したものは実施例2になる。シミュレーションでは、比較例1,2及び実施例1,2における半導体装置10の電流入力端子22Aに規格電流の最大電流、ここでは95Aの電流を入力し、複数のビア配線80における最大電流密度を測定した。そして、各ビア配線81のビア径を500μmに設定した比較例2における最大電流密度に対する、比較例1及び実施例1,2における最大電流密度の変化率を算出した。具体的には、比較例2における最大電流密度を0%とした場合の比較例1及び実施例1,2における最大電流密度を最大電流密度変化率として算出した。
【0064】
サンプル2の半導体装置100では、1~5列目のビア配線81~85のビア径を500μmに設定した。そして、サンプル2の半導体装置100において、6列目の各ビア配線86のビア径を、300μm、500μm、650μm、700μmに変えた場合の電流密度分布のシミュレーションを実行した。すなわち、サンプル2の半導体装置100では、X軸方向において電流出力端子23Aから最も離れた位置に設けられたビア配線86のビア径を可変させるようにした。ここで、4個のビア配線86の各々のビア径を300μmに設定したものは比較例3になり、4個のビア配線86の各々のビア径を500μmに設定したものは比較例4になる。4個のビア配線86の各々のビア径を650μmに設定したものは比較例5になり、4個のビア配線86の各々のビア径を700μmに設定したものは比較例6になる。そして、比較例3~6の半導体装置100に対して、サンプル1の半導体装置10の場合と同一の条件でシミュレーションを実行した。なお、比較例3~6の半導体装置100では、比較例4における最大電流密度を0%とした場合の比較例3,5,6における最大電流密度を最大電流密度変化率として算出した。
【0065】
(シミュレーション結果)
電流密度変化率のシミュレーション結果を図7に示した。図7の横軸は、サンプル1の場合にはビア配線81のビア径を示し、サンプル2の場合にはビア配線82のビア径を示している。また、図7の縦軸は最大電流密度変化率を示している。図7において、実線で示した最大電流密度変化率はサンプル1の最大電流密度変化率であり、一点鎖線で示した最大電流密度変化率はサンプル2の最大電流密度変化率である。なお、図示は省略するが、比較例1~6及び実施例1,2の全てにおいて、1列目のビア配線81の一部の電流密度が最大電流密度になっていた。
【0066】
図7に示すように、サンプル1の半導体装置10では、ビア配線81のビア径に反比例して最大電流密度が低下することが確認された。具体的には、ビア配線81のビア径を他のビア配線82~86のビア径よりも大きく設定することにより(実施例1,2)、ビア配線81のビア径とビア配線82~86のビア径とを同一径に設定した比較例2よりも、最大電流密度を低くできることが確認された。すなわち、ビア配線81のビア径を他のビア配線82~86のビア径よりも大きく設定することにより、比較例2よりも、ビア配線81における電流密度を分散させることができ、ビア配線81に電流密度が集中することを抑制できることが確認された。さらに、実施例1と実施例2の結果から明らかなように、ビア配線81のビア径を大きくするほど、最大電流密度を低くできることが確認された。
【0067】
一方、サンプル2の半導体装置100では、ビア配線86のビア径を可変させても最大電流密度がほとんど変化しないことが確認された。すなわち、ビア配線86のビア径と最大電流密度、つまりビア配線81における電流密度との間に相関性がないことが確認された。具体的には、ビア配線86のビア径を他のビア配線81~85のビア径よりも大きく設定した場合であっても、複数のビア配線80における最大電流密度を低くできないことが確認された。すなわち、ビア配線86のビア径を大きくすることにより複数のビア配線80全体の体積を増大させた場合であっても、複数のビア配線80における最大電流密度を低くできないことが確認された。
【0068】
これらの結果から、複数のビア配線80のうち電流密度の集中する電流I1の出口側に配置されたビア配線81のビア径を大きくすることにより、ビア配線81における電流密度を分散できることが分かる。これにより、ビア配線81における電流密度の集中を抑制できるため、ビア配線81が局所破断することを好適に抑制できる。
【0069】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)半導体素子30の電極32と配線パターン62とを接続する複数のビア配線80は、X軸方向において、電流出力端子23Aに最も近い位置に配置された1以上のビア配線81と、そのビア配線81の隣に設けられたビア配線82とを有する。そして、ビア配線81の平面形状を、ビア配線82の平面形状よりも大きく形成した。
【0070】
この構成によれば、複数のビア配線80のうち電流密度の集中しやすい電流I1の出口側に配置されたビア配線81の平面形状を大きく形成できる。これにより、ビア配線81の平面形状とビア配線82の平面形状とが同じ大きさに形成される場合に比べて、ビア配線81における電流密度を分散でき、ビア配線81における電流密度の集中を抑制できる。このため、電流密度の集中に起因してビア配線81が局部的に発熱することを好適に抑制でき、ビア配線81が局所破断することを好適に抑制できる。この結果、半導体素子30の電極32と配線パターン62との電気的接続信頼性が低下することを好適に抑制できる。
【0071】
(2)半導体素子30の平面形状は、矩形状に形成されている。ビア配線80は、半導体素子30の4つの辺の中でX軸方向において電流出力端子23Aに最も近い位置に配置された辺に沿って並んで設けられた複数(本実施形態では、4個)のビア配線81を有する。そして、4個のビア配線81の各々の平面形状を、ビア配線82の平面形状よりも大きく形成した。
【0072】
この構成によれば、電流密度の集中しやすい位置に設けられた全てのビア配線81の平面形状を大きく形成できる。これにより、全てのビア配線81における電流密度を分散でき、全てのビア配線81において電流密度が集中することを抑制できる。
【0073】
(3)ところで、1列目のビア配線81と一緒に2~6列目のビア配線82~86の平面形状も大きく形成した場合には、上基板40の接着層42と電極32との密着面積が小さくなる。このため、複数のビア配線80の平面形状を全体的に大きくした場合には、半導体素子30から上基板40が剥離しやすくなるという問題がある。これに対し、本実施形態の半導体装置10では、1列目のビア配線81の平面形状を、ビア配線81以外のビア配線80、つまり2~6列目のビア配線81の各々の平面形状よりも大きく形成した。この構成によれば、複数のビア配線80のうち1列目のビア配線81の平面形状のみ大きく形成される。これにより、上基板40の接着層42と電極32との密着面積が小さくなることを抑制でき、半導体素子30から上基板40が剥離することを好適に抑制できる。したがって、1列目のビア配線81における電流密度の集中を抑制しつつも、上基板40の剥離を好適に抑制できる。
【0074】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0075】
図8に示すように、2列目のビア配線82の平面形状を、3列目のビア配線83の平面形状よりも小さく形成してもよい。本変更例の各ビア配線82の平面形状は、3~6列目のビア配線83~86の各々の平面形状よりも小さく形成されている。
【0076】
この構成によれば、ビア配線82~86よりも平面形状を大きく形成したビア配線81の隣に設けられるビア配線82の平面形状が、ビア配線83~86の平面形状よりも小さく形成される。これにより、ビア配線81の平面形状を拡大するための領域を広く確保することができる。さらに、ビア配線81の平面形状を拡大しつつも、上基板40の接着層42と電極32との密着面積が小さくなることを抑制できる。
【0077】
・上記実施形態におけるビア配線80の個数及び配置は適宜変更することができる。例えば、X軸方向において電流出力端子23Aに最も近い配置されるビア配線81の数は、1~3個であってもよいし、5個以上であってもよい。例えば上記実施形態では、複数のビア配線80を、X軸方向において、6列に配列した。これに限らず、複数のビア配線80を、X軸方向において、2~5列に配列してもよいし、7列以上に配列してもよい。
【0078】
・上記実施形態では、電流入力端子22Aを、下基板20の上面に設けるようにしたが、電流入力端子22Aの形成位置はこれに限定されない。例えば、電流入力端子22Aを、上基板40の上面に設けるようにしてもよい。例えば、上基板40の上面に設けられた配線パターン61が電流入力端子22Aを有するようにしてもよい。
【0079】
・上記実施形態では、電流出力端子23Aを、下基板20の上面に設けるようにしたが、電流出力端子23Aの形成位置はこれに限定されない。例えば、電流出力端子23Aを、上基板40の上面に設けるようにしてもよい。例えば、上基板40の上面に設けられた配線パターン62が電流出力端子23Aを有するようにしてもよい。
【0080】
・上記実施形態では、接続端子24Aを、下基板20の上面に設けるようにしたが、接続端子24Aの形成位置はこれに限定されない。例えば、接続端子24Aを、上基板40の上面に設けるようにしてもよい。例えば、上基板40の上面に設けられた配線パターン63が接続端子24Aを有するようにしてもよい。
【0081】
・上記実施形態における封止樹脂50の形成範囲は適宜変更することができる。例えば、封止樹脂50を、上基板40の側面を被覆するように形成してもよい。例えば、封止樹脂50を、上基板40の上面を被覆するように形成してもよい。例えば、封止樹脂50を、配線層60の上面の一部を被覆するように形成してもよい。
【0082】
・上記実施形態の封止樹脂50を省略してもよい。
・上記実施形態では、上基板40を、下基板20よりも平面形状が小さくなるように形成したが、これに限定されない。例えば、上基板40の平面形状を、下基板20の平面形状よりも大きく形成してもよい。例えば、上基板40の平面形状を、下基板20の平面形状と同じ大きさに形成してもよい。
【0083】
・上記実施形態の下基板20の下面に、放熱板となる金属板を設けるようにしてもよい。
・上記実施形態では、上基板40の基板本体41を単層構造に具体化したが、これに限定されない。例えば、基板本体41を、1層又は複数層の配線層と複数層の絶縁層とを積層した積層構造に具体化してもよい。
【0084】
・上記実施形態では、半導体素子30をMOSFETに具体化したが、これに限定されない。
例えば図9に示すように、半導体素子30を、アノード電極である電極91と、カソード電極である電極92とを有するダイオードに具体化してもよい。半導体素子30は、例えば、本体部94を有している。電極91は、例えば、本体部94の下面に設けられている。電極91は、例えば、本体部94の下面全面を被覆するように形成されている。電極92は、例えば、本体部94の上面に設けられている。電極92は、例えば、本体部94の上面全面を被覆するように形成されている。この場合の配線パターン62は、上基板40を厚さ方向に貫通する複数のビア配線80を介して電極92と電気的に接続されている。この場合であっても、複数のビア配線80のうち電流I1の出口側に配置されたビア配線81の平面形状が、ビア配線81以外のビア配線80の平面形状よりも大きく形成されている。
【0085】
・上記実施形態では、半導体装置10をパワー系の半導体装置に具体化したが、これに限定されない。例えば、半導体装置10をパワー系以外の各種の半導体装置に具体化してもよい。
【0086】
・上記実施形態では、半導体素子30をパワー系の半導体素子に具体化したが、これに限定されない。例えば、半導体素子30をパワー系以外の各種の半導体素子に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0087】
10 半導体装置
20 下基板
22 配線パターン
22A 電流入力端子
23 配線パターン
23A 電流出力端子
24 配線パターン
24A 接続端子
25 配線パターン
30 半導体素子
31 電極
32 電極
33 電極
34 本体部
40 上基板
50 封止樹脂
61 配線パターン
62 配線パターン
63 配線パターン
80 ビア配線
81 ビア配線
82 ビア配線
83 ビア配線
84,85,86 ビア配線
91 電極
92 電極
94 本体部
V1,V2,V3,V4,V5 ビア配線
I1 電流
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9