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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184189
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】半導体チップ、半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/00 20070101AFI20231221BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20231221BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20231221BHJP
   H01L 27/06 20060101ALI20231221BHJP
   H03K 17/00 20060101ALI20231221BHJP
   H02H 3/08 20060101ALI20231221BHJP
   G05F 1/56 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H02M1/00 H
H01L27/04 T
H01L27/06 102A
H01L27/04 H
H01L27/06 311A
H03K17/00 B
H02H3/08 A
G05F1/56 320C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098192
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内本 大介
【テーマコード(参考)】
5F038
5F048
5G004
5H430
5H740
5J055
【Fターム(参考)】
5F038BH02
5F038BH11
5F038DT08
5F038DT12
5F038DT18
5F048AC06
5F048AC10
5F048CC01
5F048CC09
5F048CC15
5F048CC16
5G004BA04
5H430BB01
5H430BB05
5H430BB09
5H430BB11
5H430EE04
5H430FF08
5H430FF12
5H430HH01
5H430LA07
5H740AA10
5H740BA12
5H740BB07
5H740BC01
5H740BC02
5H740JA01
5H740JB01
5H740MM12
5H740PP03
5J055AX41
5J055BX16
5J055CX23
5J055DX13
5J055DX22
5J055DX61
5J055EY01
5J055EY21
5J055EZ09
5J055FX04
5J055FX08
5J055GX01
5J055GX08
(57)【要約】
【課題】電流検出専用のワイヤー及びパッドを要することなくパワートランジスタに流れる出力電流を検出する。
【解決手段】半導体チップ10は、パワートランジスタM11と、複数のパッドP11及びP12と、複数のパッドP11及びP12それぞれとパワートランジスタM11の一端との間をそれぞれ導通する複数の配線MT1及びMT2と、複数の配線MT1及びMT2それぞれに流れる分流電流I1及びI2と複数の配線MT1及びMT2それぞれが持つ配線抵抗成分に応じて複数の配線MT1及びMT2それぞれに生じる電圧降下のうち少なくとも一つをセンス電圧Vsとして検出する電流検出回路12と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワートランジスタと、
複数のパッドと、
前記複数のパッドそれぞれと前記パワートランジスタの一端との間をそれぞれ導通するように構成された複数の配線と、
前記複数の配線それぞれに流れる分流電流と前記複数の配線それぞれが持つ配線抵抗成分に応じて前記複数の配線それぞれに生じる電圧降下のうち少なくとも一つをセンス電圧として検出するように構成された電流検出回路と、
を備える、半導体チップ。
【請求項2】
前記複数の配線のうち、前記センス電圧が引き出される配線は、前記パワートランジスタの素子形成領域上に敷設されている、請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項3】
前記複数の配線のうち、前記センス電圧が引き出される配線は、その余の配線と比べて前記配線抵抗成分が大きい、請求項1又は2に記載の半導体チップ。
【請求項4】
前記パワートランジスタは、それぞれの制御端が共通に接続された複数の単位トランジスタに分割されている、請求項1又は2に記載の半導体チップ。
【請求項5】
前記複数の単位トランジスタは、それぞれの電流能力が互いに等しい、請求項4に記載の半導体チップ。
【請求項6】
前記電流検出回路は、前記パワートランジスタの入力側及び出力側の少なくとも一方に設けられている、請求項1又は2に記載の半導体チップ。
【請求項7】
前記電流検出回路は、前記センス電圧を検出して前記パワートランジスタに流れる出力電流を制限するように構成された過電流保護回路である、請求項1又は2に記載の半導体チップ。
【請求項8】
前記電流検出回路は、前記センス電圧又はこれに応じた電圧と所定の閾値電圧とを比較して過電流保護信号を生成するように構成されたコンパレータを含む、請求項7に記載の半導体チップ。
【請求項9】
前記パワートランジスタから出力される出力電圧又はこれに応じた帰還電圧が基準電圧と一致するように前記パワートランジスタの駆動制御を行うように構成されたドライバをさらに備える、請求項1又は2に記載の半導体チップ。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の半導体チップと、
複数の外部電極と、
前記複数の外部電極と前記複数のパッドとの間をボンディングするように構成されたワイヤーと、
を備える、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体チップ及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パワートランジスタにボンディングされるワイヤーの抵抗成分を電流検出用のセンス抵抗として用いた電流検出方法が提案されている(例えば特許文献1、2及び3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-109665号公報
【特許文献2】特開2008-236528号公報
【特許文献3】特開2004-080087号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の電流検出方法では、センス抵抗として用いられるワイヤーの両端間電圧を検出するためだけに、電流検出専用のワイヤー及びパッドが必要であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
例えば、本明細書中に開示されている半導体チップは、パワートランジスタと、複数のパッドと、前記複数のパッドそれぞれと前記パワートランジスタの一端との間をそれぞれ導通するように構成された複数の配線と、前記複数の配線それぞれに流れる分流電流と前記複数の配線それぞれが持つ配線抵抗成分に応じて前記複数の配線それぞれに生じる電圧降下のうち少なくとも一つをセンス電圧として検出するように構成された電流検出回路とを備える。
【0006】
なお、その他の特徴、要素、ステップ、利点、及び、特性については、以下に続く発明を実施するための形態及びこれに関する添付の図面によって、さらに明らかとなる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電流検出専用のワイヤー及びパッドを要することなくパワートランジスタに流れる出力電流を検出することのできる半導体チップ及び半導体装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、半導体装置の比較例を示す図である。
図2図2は、半導体装置の第1実施形態を示す図である。
図3図3は、第1実施形態の回路レイアウトを示す図である。
図4図4は、半導体装置の第2実施形態を示す図である。
図5図5は、第2実施形態の回路レイアウト(MT描写なし)を示す図である。
図6図6は、第2実施形態の回路レイアウト(MT描写あり)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<半導体装置(比較例)>
図1は、半導体装置の比較例(=後出の第1実施形態及び第2実施形態と対比される一般的な構成例)を示す図である。本比較例の半導体装置1は、入力電圧Viを降圧して出力電圧Voを生成するリニア電源IC[integrated circuit]である。本図に即して述べると、半導体装置1は、半導体チップ10と、入力電極IN及び出力電極OUTと、ワイヤーW1~W3と、をパッケージに封止して成る。
【0010】
半導体チップ10には、電源機能を実現するために種々の回路要素が集積化されている(詳細は後述)。また、半導体チップ10は、入力電極IN及び出力電極OUTそれぞれとの電気的な導通を得るためにパッドP1~P3を備えている。
【0011】
入力電極INは、入力電圧Viが印加される外部電極である。なお、入力電極INの一端は、半導体装置1のパッケージから露出されている。
【0012】
出力電極OUTは、出力電圧Voが印加される外部電極である。なお、出力電極OUTの一端は、半導体装置1のパッケージから露出されている。
【0013】
ワイヤーW1は、入力電極INの他端と半導体チップ10のパッドP1との間をボンディングするように敷設されている。
【0014】
ワイヤーW2は、出力電極OUTの他端と半導体チップ10のパッドP2との間をボンディングするように敷設されている。
【0015】
ワイヤーW3は、入力電極INの他端と半導体チップ10のパッドP3との間をボンディングするように敷設されている。
【0016】
<半導体チップ>
引き続き、図1を参照しながら、半導体チップ10の内部構成について説明する。半導体チップ10は、パワートランジスタM1(本図では、NMOSFET[N-channel type metal oxide semiconductor field effect transistor])と、ドライバ11と、電流検出回路12と、を備える。
【0017】
パワートランジスタM1は、パッドP1とパッドP2の間に接続されている。本図に即して述べると、パワートランジスタM1のドレインは、パッドP1に接続されている。パワートランジスタM1のソースは、パッドP2に接続されている。パワートランジスタM1のゲートは、ゲート信号G1の印加端(=ドライバ11の出力端)に接続されている。
【0018】
パワートランジスタM1は、ゲート信号G1に応じてオン抵抗が変化する。パワートランジスタM1がNMOSFETである場合、パワートランジスタM1のオン抵抗は、ゲート信号G1が高いほど小さくなり、ゲート信号G1が低いほど大きくなる。従って、パワートランジスタM1に流れる出力電流Ioは、ゲート信号G1が高いほど大きくなり、ゲート信号G1が低いほど小さくなる。
【0019】
ドライバ11は、パワートランジスタM1のソースから出力される出力電圧Vo(より正確には、出力電圧Voに応じた帰還電圧Vfb)が基準電圧Vrefと一致するようにパワートランジスタM1の駆動制御を行う。本図に即して述べると、ドライバ11は、抵抗R1及びR2と、オペアンプA1と、を含む。
【0020】
抵抗R1及びR2は、パワートランジスタM1のソース(=出力電圧Voの印加端)と接地端との間に直列接続されている。従って、抵抗R1及びR2相互間の接続ノードには出力電圧Voを分圧した帰還電圧Vfb(=Vo×R2/(R1+R2))が現れる。なお、出力電圧VoがオペアンプA1の入力ダイナックレンジに収まっている場合には、抵抗R1及びR2を省略して、出力電圧VoをオペアンプA1に直接入力しても構わない。
【0021】
オペアンプA1は、非反転入力端(+)に入力される基準電圧Vrefと、反転入力端(-)に入力される帰還電圧Vfbとが一致するように、パワートランジスタM1のゲート信号G1を制御する。ゲート信号G1は、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも低いときに上昇し、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも高いときに低下する。
【0022】
また、オペアンプA1は、過電流保護信号OCPに応じてゲート信号G1を強制的にローレベルに引き下げる機能も備えている。
【0023】
電流検出回路12は、パッドP1とパッドP3との間に現れるセンス電圧Vsを検出してパワートランジスタM1に流れる出力電流Ioを制限するように過電流保護信号OCPを生成する過電流保護回路である。本図に即して述べると、電流検出回路12は、トランジスタM2(本図ではPMOSFET[P-channel type MOSFET])と、オペアンプA2と、コンパレータCMPと、抵抗R3~R5と、を含む。
【0024】
抵抗R3の第1端は、パッドP1に接続されている。抵抗R3の第2端は、トランジスタM2のソースとオペアンプA2の反転入力端(-)に接続されている。抵抗R4の第1端は、パッドP3に接続されている。抵抗R4の第2端は、オペアンプA2の非反転入力端(+)に接続されている。オペアンプA2の出力端は、トランジスタM2のゲートに接続されている。トランジスタM2のドレインと抵抗R5の第1端との接続ノード(=ノード電圧Vxの印加端に相当)は、コンパレータCMPの非反転入力端(+)に接続されている。抵抗R5の第2端は、接地端に接続されている。コンパレータCMPの反転入力端(-)は、閾値電圧Vyの印加端に接続されている。コンパレータCMPの出力端(=過電流保護信号OCPの印加端に相当)は、オペアンプA1の制御端に接続されている。
【0025】
オペアンプA2は、非反転入力端(+)と反転入力端(-)がイマジナリショートするようにトランジスタM2のゲート信号G2を制御する。このとき、パッドP1から抵抗R3、トランジスタM2及び抵抗R5を介して接地端に至る電流経路には、センス電圧Vsに応じた電流Ix(=Vs/R3)が流れる。その結果、トランジスタM2のドレインと抵抗R5の第1端との接続ノードには、センス電圧Vsに応じたノード電圧Vx(=Vs×R5/R3)が現れる。
【0026】
なお、センス電圧Vsは、出力電流Ioが大きいほど高くなり、出力電流Ioが小さいほど低くなる。従って、ノード電圧Vxも、出力電流Ioが大きいほど高くなり、出力電流Ioが小さいほど低くなる。
【0027】
コンパレータCMPは、非反転入力端(+)に入力されるノード電圧Vxと、反転入力端(-)に入力される閾値電圧Vyとを比較することにより、過電流保護信号OCPを生成する。過電流保護信号OCPは、ノード電圧Vxが閾値電圧Vyよりも高いときにハイレベル(=過電流検出時の論理レベル)となり、ノード電圧Vxが閾値電圧Vyよりも低いときにローレベル(=過電流未検出時の論理レベル)となる。
【0028】
本比較例の半導体装置1では、出力電流Ioに応じたセンス電圧Vsを生成するためのセンス抵抗RsとしてワイヤーW1の抵抗成分が利用されている。従って、半導体チップ10にセンス抵抗Rsを集積化する必要がない。また、パワートランジスタM1のレイアウトが容易となる。ただし、ワイヤーW1の両端間電圧を検出するためだけに、電流検出専用のワイヤーW3及びパッドP3が必要となる。
【0029】
<半導体装置(第1実施形態)>
図2は、半導体装置の第1実施形態を示す図である。本実施形態の半導体装置1は、先出の比較例(図1)を基本としつつ、半導体チップ10にセンス抵抗Rsが集積化されている。センス抵抗Rsの第1端は、パッドP1に接続されている。センス抵抗Rsの第2端は、パワートランジスタM1のドレインに接続されている。
【0030】
なお、センス抵抗Rsとしては、例えば、パッドP1とパワートランジスタM1のドレインとの間に敷設されるメタル配線の抵抗成分を利用すればよい。
【0031】
また、上記の変更に伴い、抵抗R3及びR4それぞれの接続についても、先出の比較例(図1)から少し変更されている。本図に即して述べると、抵抗R3の第1端は、パッドP1ではなくセンス抵抗Rsの第2端に接続されている。また、抵抗R4の第1端は、パッドP3ではなくパッドP1に接続されている。
【0032】
本実施形態の半導体装置1であれば、先出の比較例(図1)におけるパッドP3及びワイヤーW3が不要となる。
【0033】
図3は、第1実施形態における半導体チップ10の回路レイアウトを示す図である。なお、図中のハッチング矢印は、パッドP1からパワートランジスタM1に向かう出力電流Ioを示す。パッドP1とパワートランジスタM1のドレインとの間に敷設されるメタル配線の抵抗成分をセンス抵抗Rsとして利用する場合、センス抵抗Rsとして機能するメタル配線は、本図で示したように、パワートランジスタM1の素子形成領域外に形成される。そのため、半導体チップ10の面積効率が悪い。また、パワートランジスタM1のレイアウトが難しい。本図に即して述べると、半導体チップ10の平面視におけるパワートランジスタM1対称性が崩れており、オン抵抗を十分に引き下げられないおそれがある。
【0034】
<半導体装置(第2実施形態)>
図4は、半導体装置の第2実施形態を示す図である。本実施形態の半導体装置1では、先出の第1実施形態(図2)を基本としつつ、出力電流Ioの流れる電流経路が複数の系統に分岐されており、そのうちの一つがセンス抵抗Rsとして利用されている。
【0035】
本図に即して述べると、先出のパワートランジスタM1は、それぞれのゲートが共通に接続された3つのパワートランジスタM11~M13(=単位トランジスタに相当)に分割されている。
【0036】
なお、パワートランジスタM11~M13は、それぞれの素子サイズ(延いては電流能力)が互いに等しい。従って、パワートランジスタM11~M13には、パワートランジスタM1全体に流れる出力電流Ioを3等分した単位出力電流Io/3が流れる。
【0037】
また、先出の入力電極IN、出力電極OUT、パッドP1及びP2は、それぞれ、入力電極IN1~IN3、出力電極OUT1~OUT3、パッドP11~P16及びP21~P26に置き換えられている。
【0038】
パワートランジスタM11のドレインは、パッドP11及びP12に接続されている。パワートランジスタM11のソースは、パッドP21及びP22に接続されている。パワートランジスタM11のゲートは、ゲート信号G1の印加端(=ドライバ11の出力端)に接続されている。
【0039】
パワートランジスタM12のドレインは、パッドP13及びP14に接続されている。パワートランジスタM12のソースは、パッドP23及びP24に接続されている。パワートランジスタM12のゲートは、ゲート信号G1の印加端(=ドライバ11の出力端)に接続されている。
【0040】
パワートランジスタM13のドレインは、パッドP15及びP16に接続されている。パワートランジスタM13のソースは、パッドP25及びP26に接続されている。パワートランジスタM13のゲートは、ゲート信号G1の印加端(=ドライバ11の出力端)に接続されている。
【0041】
入力電極IN1~IN3は、いずれも、入力電圧Viが印加される外部電極である。なお、入力電極IN1~IN3それぞれの一端は、いずれも半導体装置1のパッケージから露出されている。
【0042】
出力電極OUT1~OUT3は、いずれも出力電圧Voが印加される外部電極である。なお、出力電極OUT1~OUT3それぞれの一端は、いずれも半導体装置1のパッケージから露出されている。
【0043】
ワイヤーW11は、入力電極IN1の他端と半導体チップ10のパッドP11との間をボンディングするように敷設されている。ワイヤーW12は、入力電極IN1の他端と半導体チップ10のパッドP12との間をボンディングするように敷設されている。ワイヤーW13は、入力電極IN2の他端と半導体チップ10のパッドP13との間をボンディングするように敷設されている。ワイヤーW14は、入力電極IN2の他端と半導体チップ10のパッドP14との間をボンディングするように敷設されている。ワイヤーW15は、入力電極IN3の他端と半導体チップ10のパッドP15との間をボンディングするように敷設されている。ワイヤーW16は、入力電極IN3の他端と半導体チップ10のパッドP16との間をボンディングするように敷設されている。
【0044】
ワイヤーW21は、出力電極OUT1の他端と半導体チップ10のパッドP21との間をボンディングするように敷設されている。ワイヤーW22は、出力電極OUT1の他端と半導体チップ10のパッドP22との間をボンディングするように敷設されている。ワイヤーW23は、出力電極OUT2の他端と半導体チップ10のパッドP23との間をボンディングするように敷設されている。ワイヤーW24は、出力電極OUT2の他端と半導体チップ10のパッドP24との間をボンディングするように敷設されている。ワイヤーW25は、出力電極OUT3の他端と半導体チップ10のパッドP25との間をボンディングするように敷設されている。ワイヤーW26は、出力電極OUT3の他端と半導体チップ10のパッドP26との間をボンディングするように敷設されている。
【0045】
なお、パッドP11~P16及びワイヤーW11~W16は、いずれも、出力電流Io(より正確には出力電流Ioを分岐した分流電流)が流れる電流経路であって電流検出専用ではない。パッドP21~P26及びワイヤーW21~W26についても同様である。
【0046】
電流検出回路12は、パワートランジスタM11の入力側に設けられている。本図に即して述べると、パワートランジスタM11のドレインとパッドP11との間には、両者を導通するためのメタル配線MT1が敷設されている。また、パワートランジスタM11のドレインとパッドP12との間には、両者を導通するためのメタル配線MT2が敷設されている。なお、メタル配線MT1及びMT2には、それぞれ、分流電流I1及びI2(=I1=I2=Io/6)が流れる。
【0047】
そこで、電流検出回路12は、メタル配線MT2に流れる分流電流I2とメタル配線MT2が持つ配線抵抗成分(=センス抵抗Rs)に応じてメタル配線MT2に生じる電圧降下をセンス電圧Vs(=I2×Rs)として検出する。
【0048】
つまり、本実施形態の半導体装置1では、パワートランジスタM1のドレインに繋がるメタル配線全体をセンス抵抗Rsとして流用するのではなく、複数の系統に分岐されたメタル配線の一つ(本図ではメタル配線MT2)がセンス抵抗Rsとして利用されている。
【0049】
従って、先出の比較例(図1)におけるパッドP3及びワイヤーW3が不要となる。
【0050】
また、先出の第1実施形態(図2及び図3)と異なり、センス抵抗Rsとして機能するメタル配線MT2をパワートランジスタM1の素子形成領域上に形成しやすくなる。そのため、半導体チップ10の面積効率を高めることができる。また、パワートランジスタM1のレイアウトを敢えて崩す必要がなくなる。
【0051】
なお、電流検出回路12は、パワートランジスタM11の出力側に設けてもよい。
【0052】
図5は、第2実施形態における半導体チップ10の回路レイアウト(メタル配線の描写なし)を示す図である。なお、図中のハッチング矢印は、パッドP12からパワートランジスタM11に向かう分流電流I2を示す。
【0053】
パワートランジスタM11~M13は、半導体チップ10の平面視において、それぞれ同一の素子サイズを持つ矩形状に形成されている。本図に即して述べると、パワートランジスタM11~M13は、それぞれ、紙面の上下方向に延びる右辺及び左辺を長辺とし、紙面の左右方向に延びる上辺及び下辺を短辺とする長矩形状に形成されている。また、パワートランジスタM11~M13は、それぞれ、紙面の左から右に向けて、M11→M12→M13の順に配列されている。
【0054】
パッドP11は、パワートランジスタM11の素子形成領域上(本図では右下隅)に配置されている。パッドP12は、パワートランジスタM11の素子形成領域外(本図では下辺左端近傍)に配置されている。パッドP13は、パワートランジスタM12の素子形成領域上(本図では右下隅)に配置されている。パッドP14は、パワートランジスタM12の素子形成領域外(本図では下辺左端近傍)に配置されている。パッドP15は、パワートランジスタM13の素子形成領域上(本図では左下隅)に配置されている。パッドP16は、パワートランジスタM13の素子形成領域外(本図では下辺右端近傍)に配置されている。
【0055】
一方、パッドP21は、パワートランジスタM11の素子形成領域上(本図では上辺中央近傍)に配置されている。パッドP22は、パワートランジスタM11の素子形成領域上(本図では左辺上端近傍であってパッドP21よりも下辺寄り)に配置されている。パッドP23は、パワートランジスタM12の素子形成領域上(本図では上辺中央近傍)に配置されている。パッドP24は、パワートランジスタM12の素子形成領域上(本図では左辺上端近傍であってパッドP23よりも下辺寄り)に配置されている。パッドP25は、パワートランジスタM13の素子形成領域上(本図では上辺中央近傍)に配置されている。パッドP26は、パワートランジスタM13の素子形成領域上(本図では左辺上端近傍であってパッドP25よりも下辺寄り)に配置されている。
【0056】
また、本図の破線枠で示したように、センス抵抗Rsとして機能するメタル配線は、パワートランジスタM11の素子形成領域上(本図では左下隅)に敷設されている。
【0057】
図6は、第2実施形態における半導体チップ10の回路レイアウト(メタル配線の描写あり)を示す図である。本図では、図5のパワートランジスタM11~M13(本図では細い破線で描写)にメタル配線MTa及びMTbを重ね合わせるように描写されている。
【0058】
本図で示すように、パワートランジスタM1(=パワートランジスタM11~M13それぞれ)の素子形成領域上には、複数のメタル配線MTa及びMTbが形成されている。
【0059】
メタル配線MTaは、半導体チップ10の平面視において、パワートランジスタM11~M13それぞれの下辺外側からパッドP11~P16それぞれを被覆しつつパワートランジスタM11~M13それぞれの素子形成領域上に向けて延びる複数の櫛歯状突起部を持つように形成されている。さらに、メタル配線MTaは、パワートランジスタM11の左辺外側から左上隅を経てパワートランジスタM12及びM13それぞれの上辺外側に回り込み、パワートランジスタM12及びM13それぞれの素子形成領域上に向かうように延出されている。このように、メタル配線MTaは、パッドP11~P16それぞれとパワートランジスタM11~M13それぞれのドレインとの間を導通するように形成してもよい。なお、メタル配線MTaの一部は、センス抵抗Rsとして機能する先出のメタル配線MT2に相当するものとして理解され得る。
【0060】
メタル配線MTbは、半導体チップ10の平面視において、パワートランジスタM11~M13それぞれの上辺近傍からパッドP21~P26それぞれを被覆しつつパワートランジスタM11~M13それぞれの素子形成領域上を紙面下側に向けて延びる複数の櫛歯状突起部を持つように形成されている。このように、メタル配線MTbは、パッドP21~P26それぞれとパワートランジスタM11~M13それぞれのソースとの間を導通するように形成してもよい。なお、メタル配線MTaの櫛歯状突起部とメタル配線MTbの櫛歯状突起部は、互いに噛み合うようにレイアウトされている。従って、ドレイン及びソースの一部に電流が集中しにくくなる。
【0061】
なお、本図で示すように、センス抵抗Rsとして機能するメタル配線MTaの一部は、パワートランジスタM11の素子形成領域上(本図では左下隅)に敷設されている。従って、センス抵抗RsをパワートランジスタM1の素子形成領域外に設ける構成と比べて、半導体チップ10の面積効率を高めることが可能となる。
【0062】
また、センス電圧Vsが引き出されるメタル配線MTaの一部分は、メタル配線MTaのその余の部分と比べて配線抵抗成分が大きくなるように(例えば配線幅が狭くなるように)敷設されている。従って、先出のメタル配線MT2(図4を参照)に流れる分流電流I2がパワートランジスタM1の全体に流れる出力電流Ioより小さくても、センス電圧Vsの検出に支障を生じにくくなる。
【0063】
また、メタル配線MTaについて、メタル配線MT2に相当する部分の配線抵抗成分が他の部分の配線抵抗成分より大きくても、メタル配線MTa全体の合成抵抗値にそれほど影響はない。
【0064】
また、メタル配線MT2に相当する部分は、パワートランジスタM1の外縁部に敷設されている。従って、センス電圧Vsを引き出すためにパワートランジスタM1のレイアウトを敢えて崩さなくても済む。その結果、パワートランジスタM1のオン抵抗に悪影響を及ぼしにくい。
【0065】
<総括>
以下では、上記で説明した種々の実施形態について総括的に述べる。
【0066】
例えば、本明細書中に開示されている半導体チップは、パワートランジスタと、複数のパッドと、前記複数のパッドそれぞれと前記パワートランジスタの一端との間をそれぞれ導通するように構成された複数の配線と、前記複数の配線それぞれに流れる分流電流と前記複数の配線それぞれが持つ配線抵抗成分に応じて前記複数の配線それぞれに生じる電圧降下のうち少なくとも一つをセンス電圧として検出するように構成された電流検出回路とを備える構成(第1の構成)とされている。
【0067】
なお、上記第1の構成による半導体チップにおいて、前記複数の配線のうち、前記センス電圧が引き出される配線は、前記パワートランジスタの素子形成領域上に敷設されている構成(第2の構成)にしてもよい。
【0068】
また、上記第1又は第2の構成による半導体チップにおいて、前記複数の配線のうち、前記センス電圧が引き出される配線は、その余の配線と比べて前記配線抵抗成分が大きい構成(第3の構成)にしてもよい。
【0069】
また、上記第1~第3いずれかの構成による半導体チップにおいて、前記パワートランジスタは、それぞれの制御端が共通に接続された複数の単位トランジスタに分割されている構成(第4の構成)にしてもよい。
【0070】
また、上記第4の構成による半導体チップにおいて、前記複数の単位トランジスタは、それぞれの電流能力が互いに等しい構成(第5の構成)にしてもよい。
【0071】
また、上記第1~第5いずれかの構成による半導体チップにおいて、前記電流検出回路は、前記パワートランジスタの入力側及び出力側の少なくとも一方に設けられている構成(第6の構成)にしてもよい。
【0072】
また、上記第1~第6いずれかの構成による半導体チップにおいて、前記電流検出回路は、前記センス電圧を検出して前記パワートランジスタに流れる出力電流を制限するように構成された過電流保護回路である構成(第7の構成)にしてもよい。
【0073】
また、上記第7の構成による半導体チップにおいて、前記電流検出回路は、前記センス電圧又はこれに応じた電圧と所定の閾値電圧とを比較して過電流保護信号を生成するように構成されたコンパレータを含む構成(第8の構成)にしてもよい。
【0074】
また、上記第1~第8いずれかの構成による半導体チップは、前記パワートランジスタから出力される出力電圧又はこれに応じた帰還電圧が基準電圧と一致するように前記パワートランジスタの駆動制御を行うように構成されたドライバをさらに備える構成(第9の構成)にしてもよい。
【0075】
また、例えば、本明細書中に開示されている半導体装置は、上記第1~第9いずれかの構成による半導体チップと、複数の外部電極と、前記複数の外部電極と前記複数のパッドとの間をボンディングするように構成されたワイヤーと、を備える構成(第10の構成)とされている。
【0076】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0077】
また、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、先出のリニア電源IC(LDO[low drop out]レギュレータなど)に限らず、DC/DCコンバータなどを含めて、電源全般(特に車載バッテリーのプライマリ電源など)に適用することができる。さらに言えば、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、パワートランジスタを用いる全ての回路(スイッチ回路又はインバータ回路など)に適用され得る。
【0078】
すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。また、本開示の技術的範囲は、特許請求の範囲により規定されるものであって、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0079】
1 半導体装置
10 半導体チップ
11 ドライバ
12 電流検出回路(過電流保護回路)
A1、A2 オペアンプ
CMP コンパレータ
IN、IN1~IN3 入力電極(外部電極)
M1 パワートランジスタ(NMOSFET)
M11~M13 パワートランジスタ(NMOSFET)
M2 トランジスタ(PMOSFET)
MT1、MT2、MTa、MTb メタル配線
OUT、OUT1~OUT3 出力電極(外部電極)
P1~P3、P11~P16、P21~P26 パッド
R1~R5 抵抗
Rs センス抵抗
W1~W3、W11~W16、W21~W26 ワイヤー
図1
図2
図3
図4
図5
図6