(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184211
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】無人航空機、無人航空機の制御方法、プログラム、及びシステム
(51)【国際特許分類】
B64D 25/00 20060101AFI20231221BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20231221BHJP
B64C 13/18 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
B64D25/00
B64C39/02
B64C13/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098241
(22)【出願日】2022-06-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年6月16日 一般社団法人セキュアドローン協議会ウェブサイトにて公開(https://www.secure-drone.org/news/2022/0616-drone_security_guide_r3/)
(71)【出願人】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】吉里 光喜
(57)【要約】
【課題】 無人航空機に異常が発生した場合でも、無人航空機の安全を確保する無人航空機、無人航空機の制御方法、プログラム、及びシステムを提供する。
【解決手段】 無人航空機は、無人航空機の本体に取り付けられた複数のセンサと、センサが計測した計測情報と、無人航空機を制御するための制御情報とに基づいて無人航空機の飛行制御をする飛行制御部と、無人航空機に異常が発生した場合、異常回避制御をするために用いる異常回避制御情報を飛行制御部に送信し、飛行制御部に異常回避制御をさせる異常回避制御部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人航空機の本体に取り付けられた複数のセンサと、
前記センサが計測した計測情報と、前記無人航空機を制御するための制御情報とに基づいて前記無人航空機の飛行制御をする飛行制御手段と、
前記無人航空機に異常が発生した場合、異常回避制御をするために用いる異常回避制御情報を前記飛行制御手段に送信し、前記飛行制御手段に異常回避制御をさせる異常回避制御手段と、
を有する無人航空機。
【請求項2】
前記異常回避制御手段は、前記飛行制御手段から前記無人航空機を監視するために用いる一つ以上の監視情報を取得し、前記監視情報のいずれかに異常がある場合、前記監視情報に対応する異常回避制御情報を選択する、
請求項1に記載の無人航空機。
【請求項3】
前記異常回避制御手段は、前記無人航空機の外部に設けられた情報処理装置から送信される設定情報を取得して、前記監視情報と、当該監視情報が異常であるか否かを判定する閾値と、当該監視情報に対応する前記異常回避制御とを関連付けて記憶する
請求項2に記載の無人航空機。
【請求項4】
前記異常回避制御手段に一つ以上の補助センサを設け、前記補助センサに対応する前記センサが異常である場合、前記補助センサの計測した計測情報を用いて前記飛行制御手段は前記飛行制御をする
請求項1に記載の無人航空機。
【請求項5】
前記異常回避制御手段は、前記無人航空機が前記異常回避制御をした場合、前記異常回避制御をしたことを、前記情報処理装置に接続されている出力装置に出力させるために、前記情報処理装置に当該異常回避制御の内容を送信する。
請求項3に記載の無人航空機。
【請求項6】
無人航空機の制御方法であって、
前記無人航空機は、飛行制御手段と異常回避制御手段とを有し、
前記飛行制御手段は、前記無人航空機の本体に取り付けられた複数のセンサが計測した計測情報と、前記無人航空機を制御するための制御情報とに基づいて前記無人航空機の飛行制御をし、
前記異常回避制御手段は、前記無人航空機が異常である場合、異常回避制御をするために用いる異常回避制御情報を前記飛行制御手段に送信し、前記飛行制御手段に異常回避制御をさせる
無人航空機の制御方法。
【請求項7】
第一のコンピュータに、
無人航空機の本体に取り付けられた複数のセンサが計測した計測情報と、前記無人航空機を制御するための制御情報とに基づいて前記無人航空機の飛行制御をさせる第一のプログラムと、
第二のコンピュータに、
前記無人航空機が異常である場合、異常回避制御をするために用いる異常回避制御情報を前記第一のコンピュータに送信させ、前記第一のコンピュータに異常回避制御をさせる第二のプログラムと、
を有するプログラム。
【請求項8】
無人航空機と情報処理装置とを有するシステムであって、
前記無人航空機は、
本体に取り付けられた複数のセンサと、
前記センサが計測した計測情報と、前記無人航空機を制御するための制御情報とに基づいて前記無人航空機の飛行制御をする飛行制御手段と、
前記無人航空機が異常である場合、異常回避制御をするために用いる異常回避制御情報を前記飛行制御手段に送信し、前記飛行制御手段に異常回避制御をさせる異常回避制御手段と、を有し、
前記情報処理装置は、
前記異常回避制御手段に、前記異常回避制御を設定するために用いる設定情報を送信する
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無人航空機、無人航空機の制御方法、プログラム、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドローンなどの無人航空機は、例えば、乗っ取りされた場合、乗っ取られた無人航空機は墜落させられる可能性が高まる。
【0003】
関連する技術として特許文献1には、フライトコントローラと、荷物配送通信プロトコルにしたがって荷物の配送ミッションを実行するコンパニオンマイコンとを搭載したドローンが開示されている。
【0004】
また、特許文献1に開示されている発送側端末装置は、ネットワークを経由して、コマンドをドローンのコンパニオンマイコンに送信する。コンパニオンマイコンは、ドローンが着地したことを検知すると、受取側端末装置に到着通知を送信する。受取側端末装置は、ドローンから到着通知を受信すると、タッチパネルに到着したことを表す表示をする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のドローンは、異常が発生した場合、コンパニオンマイコンがフライトコントローラに異常回避制御をさせるものではない。
【0007】
本開示の目的の一例は、無人航空機に異常が発生した場合でも、無人航空機の安全を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の一側面における無人航空機は、
無人航空機の本体に取り付けられた複数のセンサと、
前記センサが計測した計測情報と、前記無人航空機を制御するための制御情報とに基づいて前記無人航空機の飛行制御をする飛行制御部と、
前記無人航空機に異常が発生した場合、異常回避制御をするために用いる異常回避制御情報を前記飛行制御手段に送信し、前記飛行制御手段に異常回避制御をさせる異常回避制御部と、
を有することを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本開示の一側面における無人航空機の制御方法は、
前記無人航空機は、飛行制御部と異常回避制御部とを有し、
前記飛行制御部は、前記無人航空機の本体に取り付けられた複数のセンサが計測した計測情報と、前記無人航空機を制御するための制御情報とに基づいて前記無人航空機の飛行制御をし、
前記異常回避制御部は、前記無人航空機が異常である場合、異常回避制御をするために用いる異常回避制御情報を前記飛行制御部に送信し、前記飛行制御部に異常回避制御をさせる
ことを特徴とする。
【0010】
また、上記目的を達成するため、本開示の一側面におけるプログラムは、
第一のコンピュータに、
無人航空機の本体に取り付けられた複数のセンサが計測した計測情報と、前記無人航空機を制御するための制御情報とに基づいて前記無人航空機の飛行制御をさせる第一のプログラムと、
第二のコンピュータに、
前記無人航空機が異常である場合、異常回避制御をするために用いる異常回避制御情報を前記第一のコンピュータに送信させ、前記第一のコンピュータに異常回避制御をさせる第二のプログラムと、
を有することを特徴とする。
【0011】
さらに、上記目的を達成するため、本開示の一側面におけるシステムは、
無人航空機は、
本体に取り付けられた複数のセンサと、
前記センサが計測した計測情報と、前記無人航空機を制御するための制御情報とに基づいて前記無人航空機の飛行制御をする飛行制御部と、
前記無人航空機が異常である場合、異常回避制御をするために用いる異常回避制御情報を前記飛行制御部に送信し、前記飛行制御部に異常回避制御をさせる異常回避制御部と、を有し、
情報処理装置は、
前記異常回避制御部に、前記異常回避制御を設定するために用いる設定情報を送信する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
一つの側面として、無人航空機に異常が発生した場合でも、無人航空機の安全を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、無人航空機の一例を説明するための図である。
【
図2】
図2は、フェイルセーフ情報のデータ構造の一例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、無人航空機を有するシステムの一例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、地上局の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、設計情報の生成を説明するための図である。
【
図6】
図6は、無人航空機の動作の一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、地上局の動作の一例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、実施形態における第一、第二、第三のコンピュータの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。なお、以下で説明する図面において、同一の機能又は対応する機能を有する要素には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略することもある。
【0015】
(実施形態)
図1を用いて、実施形態における無人航空機10の構成について説明する。
図1は、無人航空機の一例を説明するための図である。
【0016】
[装置構成]
図1に示す無人航空機10は、無人航空機10に異常が発生した場合でも、無人航空機の安全を確保する。また、
図1に示すように、無人航空機10は、複数のセンサ11と、飛行制御部12と、異常回避制御部13とを有する。
【0017】
複数のセンサ11(11a、11b・・・)は、無人航空機10の本体に取り付けられている。複数のセンサ11それぞれは、計測した計測情報を飛行制御部12へ送信する。
【0018】
複数のセンサ11は、例えば、機体制御用センサなどである。ただし、無人航空機10には機体制御用センサ以外のセンサも取り付けてもよい。また、機体制御用センサは、上述したセンサのうち、いずれか一つ以上のセンサを無人航空機10に取り付ければよい。
【0019】
機体制御用センサは、例えば、温度センサ、湿度センサ、気圧センサ、磁気センサ、角速度センサ、加速度センサ、電圧センサ、電流センサ、障害物検知センサ、超音波センサ、画像認識センサ、位置検出センサ、モータ回転数センサなどである。
【0020】
温度センサは温度を計測して温度情報を出力する。湿度センサは湿度を計測して湿度情報を出力する。気圧センサは気圧を計測して気圧情報(又は高度情報)を出力する。磁気センサは方位を計測して方位情報を出力する。角速度センサは無人航空機10の傾きの角度を検出して角速度情報を出力する。加速度センサは無人航空機10の加速度を計測して加速度情報を出力する。
【0021】
電圧センサはバッテリの電圧を計測して電圧情報を出力する。電流センサはバッテリに流れる電流を計測して電流情報を出力する。障害物検知センサは前方の障害物を検知して障害物検知情報を出力する。超音波センサは障害物との衝突を回避するために距離を算出して障害物距離情報を出力する。画像認識センサは認識した画像を画像認識情報として出力する。位置検出センサ(GPS受信機)は位置を検出して位置情報を出力する。モータ回転数センサはモータの回転数を測定してモータ回転数情報を出力する。
【0022】
計測情報は、例えば、上述した温度情報、湿度情報、気圧情報(又は高度情報)、方位情報、角速度情報、加速度情報、電圧情報、電流情報、障害物検知情報、障害物距離情報、位置情報、モータ回転数情報などである。
【0023】
飛行制御部12は、複数のセンサ11それぞれが計測した計測情報と、無人航空機10を制御するための制御情報と、に基づいて無人航空機10の飛行制御をする。
【0024】
飛行制御部12は、例えば、フライトコントローラなどである。飛行制御部12は、複数のセンサ11と電気的に接続されている。飛行制御部12は、プロポコントローラ(操縦機又は送信機)、又は、地上局(無人航空機10の外部に設けられた情報処理装置)から無線で送信された制御信号を、通信部(不図示)を介して受信する。
【0025】
制御情報は、制御信号に含まれる情報(指令)である。飛行制御は、例えば、無人航空機10の姿勢を制御する姿勢制御、手動飛行制御、自動飛行制御などの制御である。手動飛行制御は、プロポコントローラを用いて利用者により行われる無人航空機10の制御である。自動飛行制御とは、例えば、姿勢保持、高度保持、位置保持、ウェイポイント飛行、自動帰還(RTL)などの制御である。
【0026】
姿勢保持は、無人航空機10のピッチ、ロール、ヨーの姿勢を保持する機能である。高度保持は、無人航空機10の高度を自動的に保持する機能である。位置保持は、無人航空機10の位置をホバリングにより保持する機能である。ウェイポイント飛行は、あらかじめ設定したポイント順に無人航空機10を飛行させる機能である。自動帰還は、飛行開始点に無人航空機10を自動的に帰還させる機能である。
【0027】
さらに、飛行制御部12は、計測情報に基づいて監視情報を生成し、生成した監視情報を異常回避制御部13に出力する。
【0028】
監視情報は、プロポコントローラを用いた手動飛行制御を監視する情報、及び、地上局を用いた自動飛行制御を監視する情報である。
【0029】
監視情報は、例えば、バッテリ残量を表す情報、無人航空機10の角度(ロール、ピッチ)を表す情報、無人航空機10の速度を表す情報、無人航空機10の高さ(高度)を表す情報、無人航空機10の加速度を表す情報、無人航空機10の振動を表す情報、モータの回転数を表す情報、モータの温度を表す情報、位置情報の取得状況を表す情報、最後の通信日時を表す情報、入力された制御情報の内容と実際の無人航空機10の動きとの隔離を表す情報などである。
【0030】
異常の原因は、飛行制御部12の無人航空機10の手動飛行制御を実行する機能の不具合、又は、飛行制御部12のウェイポイント飛行と自動帰還の制御を実行する機能の不具合、又は、無人航空機10の飛行制御部12が乗っ取られたことなどが想定される。
【0031】
さらに、無人航空機10に異常が発生した場合、飛行制御部12は、異常回避制御部13から異常回避制御をするために用いる異常回避制御情報を受信し、受信した異常回避制御情報に基づいて異常回避制御をする(フェイルセーフアクションをする)。
【0032】
異常回避制御は、例えば、地上局に異常を通知する制御、無人航空機10を自動帰還(RTL)させる制御、無人航空機10に着陸(LAND)させる制御、無人航空機10の位置をホバリングにより保持(動きを止める)する制御、無人航空機10の高度を下げる制御、無人航空機10の機能(例えばモータの機能)を強制停止させる制御、無人航空機10に搭載されているパラシュートを開く制御、無人航空機10に搭載されているエアバッグを開く制御、無人航空機10をパージ(空中で機体を分解)させる制御などである。
【0033】
異常回避制御情報は、例えば、上述した異常回避制御を、飛行制御部12にさせるための情報である。
【0034】
異常回避制御部13は、無人航空機10に異常が発生した場合(異常を検出した場合)、異常回避制御をするために用いる異常回避制御情報を飛行制御部12に送信し、飛行制御部12に異常回避制御をさせる(フェイルセーフアクションをさせる)。
【0035】
異常回避制御部13は、例えば、コンパニオンコンピュータなどである。異常回避制御部13は、飛行制御部12と電気的に接続されている。接続は、有線で接続することが好適である。
【0036】
具体的は、異常回避制御部13は、飛行制御部12から無人航空機10を監視するために用いる監視情報を取得し、監視情報のいずれかに異常がある場合、監視情報に対応する異常回避制御情報を選択する。その後、異常回避制御部13は、飛行制御部12に異常回避制御情報を送信する(フェイルセーフに関する通信をする)。
【0037】
さらに、異常回避制御部13は、無人航空機10の外部に設けられた地上局(情報処理装置)から送信される設定情報を取得し、取得した設計情報に基づいて、監視情報と、当該監視情報が異常であるか否かを判定する閾値と、当該監視情報に対応する異常回避制御情報とを関連付けたフェイルセーフ情報を生成し、生成したフェイルセーフ情報を異常回避制御部13が有するメモリに記憶する。
【0038】
監視情報の異常の判定は、上述した監視情報ごとに設定された閾値に基づいて判定を行う。
【0039】
閾値は、監視情報に含まれる値が異常であるか否かを判定する情報である。閾値は、例えば、実験、シミュレーション、機械学習などにより決定した情報である。また、閾値は、地上局(無人航空機10の外部に設けられた情報処理装置)から送信された設定情報に基づいて設定される。
【0040】
設定情報は、監視情報と、閾値と、異常回避制御情報とを関連付ける情報である。
【0041】
図2は、フェイルセーフ情報のデータ構造の一例を説明するための図である。
図2の例では、フェイルセーフ情報は、監視情報と、閾値と、異常回避制御情報とが関連付けられている。
【0042】
また、
図2の例では、監視情報「S1」は、監視情報「S1」に対応する閾値「ThS1」と、監視情報「S1」に対応する異常回避制御情報「AvS1」とが関連付けられている。監視情報「S2」「S3」・・・についても、監視情報「S1」同じように、閾値と異常回避制御情報とが関連付けられている。
【0043】
このように、実施形態においては、無人航空機10に異常が発生した場合でも、異常回避制御情報を異常回避制御部13(コンパニオンコンピュータ)から飛行制御部12(フライトコントローラ)に送信し、飛行制御部12に異常回避制御をさせるので、無人航空機の安全を確保できる。
【0044】
(変形例)
変形例として、異常回避制御部13に、一つ以上の補助センサを設け、補助センサに対応するセンサ11が異常(例えば故障など)である場合、補助センサの計測した計測情報を用いて飛行制御部11は飛行制御をする。
【0045】
補助センサは、例えば、温度センサ、湿度センサ、気圧センサ、磁気センサ、角速度センサ、加速度センサ、電圧センサ、電流センサ、障害物検知センサ、超音波センサ、画像認識センサ、位置検出センサ、モータ回転数センサなどである。
【0046】
補助センサは、複数のセンサ11と同じ種類のセンサを、全て又は一部を異常回避制御部13に設ける。異常回避制御部13に設けられない場合、当該センサ11に対応する補助センサを異常回避制御部13に設けなくてもよい。
【0047】
[システム構成]
図3を用いて、実施形態における無人航空機10の構成をより具体的に説明する。
図3は、無人航空機を有するシステムの一例を説明するための図である。
【0048】
図3に示すように、システム100は、無人航空機10と、プロポコントローラ20と、地上局30(Ground Control System:GCS)とを有する。
【0049】
無人航空機10は、複数のセンサ11と、飛行制御部12(フライトコントローラ)と、異常回避制御部13(コンパニオンコンピュータ)と、複数のロータ駆動部14と、通信部15と、安全装置16とを有する。
【0050】
複数のセンサ11、飛行制御部12、異常回避制御部13については、既に上述したので、複数のセンサ11、飛行制御部12、異常回避制御部13の説明は省略する。
【0051】
複数のロータ駆動部14は、
図3の例では、無人航空機10に四つのロータ駆動部14a、14b、14c、14dが設けられている。ただし、ロータ駆動部14の数は四つに限定されるものではない。
【0052】
また、ロータ駆動部14それぞれは、ロータ141と、モータ142と、モータ駆動部143とを有している。
図3には一例として、一つのロータ駆動部14aが、ロータ141aと、モータ142aと、モータ駆動部143aとを有していることを示した。
【0053】
ロータ141は揚力と推進力とを得るための羽を有する。モータ142はロータ141を回転させる。モータ駆動部143はモータ142を駆動する。モータ駆動部143は、例えば、ESC(Electric Speed Controller)などが考えられる。
【0054】
通信部15は、プロポコントローラ20と地上局30とに搭載されている通信部と、アンテナ15aを介して通信をする。
【0055】
安全装置16は、例えば、パラシュート、エアバッグなどの、無人航空機10が墜落した場合に、無人航空機10を保護するための装置である。
【0056】
プロポコントローラ20は、操縦者が、無線通信により、無人航空機10の操作をするために用いる装置である。
【0057】
地上局30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのプログラマブルなデバイス、又はGPU(Graphics Processing Unit)、又はそれらのうちのいずれか一つ以上を搭載した回路、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ、モバイル端末などの情報処理装置である。
【0058】
図4は、地上局の一例を説明するための図である。地上局30は、通信部31と、入力部32と、出力部33と、処理部34とを有する。
【0059】
通信部31は、無人航空機10に搭載されている通信部15と通信をする。入力部32は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネルなどである。入力部32は、地上局30を操作する際に用いる。出力部33は、例えば、液晶、有機EL(Electro Luminescence)、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた画像表示装置などである。さらに、画像表示装置は、スピーカなどの音声出力装置などを備えていてもよい。
【0060】
処理部34は、利用者が入力部32を用いて入力された情報に基づいて設計情報を生成し、生成した上述した設計情報を、通信部31を介して無人航空機10に送信する。
【0061】
具体的には、処理部34は、まず、利用者により選択された設定の対象となる監視情報を出力部33に表示させる。次に、処理部34は、設定の対象となる監視情報に対応する、一つ以上の閾値候補と異常回避制御情報候補とを出力部33に表示する。
【0062】
次に、処理部34は、利用者が入力部32を用いて、出力部33に表示された閾値候補と異常回避制御情報候補の中から、設計情報に用いる閾値と異常回避制御情報とを選択する。次に、処理部34は、利用者が選択した閾値と異常回避制御情報とを用いて設計情報を生成する。次に、処理部34は、計測情報を、通信部31を介して無人航空機10に送信する。
【0063】
図5は、設計情報の生成を説明するための図である。
図5の例は、監視情報S1に対する閾値と異常回避制御とを決定するための閾値候補と異常回避制御情報候補とを、出力部33に表示した例である。
【0064】
閾値候補は、例えば、監視情報S1の閾値として適切と考えられる候補である。
図5の例では、監視情報S1の閾値候補として、閾値候補「C1ThS1」「C2ThS1」「C3ThS1」・・・などを表示している。
【0065】
なお、利用者は、入力部32を用いて表示された閾値候補から閾値を選択する。又は、利用者は、入力部32を用いて閾値を直接入力してもよい。
【0066】
異常回避制御情報候補は、例えば、監視情報S1の異常回避制御情報として適切と考えられる候補である。
図5の例では、監視情報S1の候補として、異常回避制御情報候補「C1AvS1」「C2AvS1」「C3AvS1」・・・などを表示している。
【0067】
なお、利用者は、入力部32を用いて表示された異常回避制御情報候補から異常回避制御情報を選択する。又は、利用者は、入力部32を用いて異常回避制御情報を直接入力してもよい。
【0068】
さらに、処理部34は、無人航空機10にウェイポイント飛行をさせるために、ウェイポイント、飛行ルート、飛行高度、飛行速度などを設定するための設定機能を有する。処理部34は、無人航空機10の状態(例えば、バッテリ残量、姿勢、速度など)を確認するための確認機能を有する。処理部34は、無人航空機10に搭載された撮像装置(カメラ)に撮影をさせるための撮像機能を有する。
【0069】
[装置動作]
(無人航空機の動作)
実施形態における無人航空機の動作について図を用いて説明する。
図6は、無人航空機の動作の一例を説明するための図である。以下の説明においては、適宜図を参照する。また、実施形態では、無人航空機を動作させることによって、無人航空機の制御方法が実施される。よって、実施形態における無人航空機の制御方法の説明は、以下の無人航空機の動作説明に代える。
【0070】
図6に示すように、まず、飛行制御部12は、センサ11から計測情報を取得する(ステップA1)。次に、飛行制御部12は、計測情報に基づいて監視情報を生成し(ステップA2)、生成した監視情報を異常回避制御部13に出力する(ステップA3)。
【0071】
次に、異常回避制御部13は、飛行制御部12から取得した監視情報を用いて無人航空機10に異常が発生したか否かを検出する(ステップA4)。そして、異常回避制御部13は、無人航空機10の異常を検出した場合(ステップA4:Yes)、異常回避制御をするために用いる異常回避制御情報を飛行制御部12に送信(出力)する(ステップA5)。
【0072】
また、異常回避制御部13は、無人航空機10の異常を検出しない場合(ステップA4:No)、ステップA1に移行して監視処理を継続する。
【0073】
次に、飛行制御部12は、異常回避制御情報を取得し、取得した異常回避制御情報に基づいて異常回避制御をする(フェイルセーフアクションをする)(ステップA6)。
【0074】
(地上局の動作)
実施形態における地上局(情報処理装置)の動作について図を用いて説明する。
図7は、地上局の動作の一例を説明するための図である。以下の説明においては、適宜図を参照する。また、実施形態では、地上局を動作させることによって、地上局の制御方法が実施される。よって、実施形態における地上局の制御方法の説明は、以下の地上局の動作説明に代える。
【0075】
図7に示すように、まず、処理部34は、利用者により選択された設定の対象となる監視情報を出力部33に表示する(ステップB1)。次に、処理部34は、設定の対象となる監視情報に対応する、一つ以上の閾値候補と異常回避制御情報候補とを出力部33に表示する(ステップB2)。
【0076】
次に、処理部34は、利用者が入力部32を用いて、表示された閾値候補と異常回避制御情報候補の中から、設計情報に用いる閾値と異常回避制御情報とを選択する(ステップB3)。
【0077】
次に、処理部34は、利用者が選択した閾値と異常回避制御情報とを用いて設計情報を生成する(ステップB4)。次に、処理部34は、計測情報を、通信部31を介して無人航空機10に送信する(ステップB5)。
【0078】
[実施形態の効果]
以上のように実施形態によれば、無人航空機10に異常が発生した場合、異常回避制御情報を異常回避制御部13(コンパニオンコンピュータ)から飛行制御部12(フライトコントローラ)に送信し、飛行制御部12に異常回避制御をさせるので、無人航空機10の安全を確保できる。
【0079】
すなわち、異常回避制御部13に独自のフェイルセーフ機能を搭載することにより、安全対策を二重化できるので、安全性が向上する。
【0080】
また、地上局30を用いることで、飛行環境、機体に合わせて、柔軟に閾値を変更できる。
【0081】
[プログラム]
実施形態における無人航空機の飛行制御部12(第一のコンピュータ)のプログラムは、第一のコンピュータに、
図6に示すステップA1、A6を実行させるプログラムであればよい。
【0082】
また、実施形態における無人航空機の異常回避制御部13(第二のコンピュータ)のプログラムは、第二のコンピュータに、
図6に示すステップA2からA5を実行させるプログラムであればよい。
【0083】
上述したプログラムそれぞれを、第一のコンピュータと第二のコンピュータとにインストールし、実行することによって、実施形態における無人航空機と無人航空機の制御方法とを実現することができる。
【0084】
この場合、第一のコンピュータのプロセッサは飛行制御部11として機能し、処理を行なう。第二のコンピュータのプロセッサは異常回避制御部13として機能し、処理を行なう。
【0085】
また、実施形態における地上局(第三のコンピュータ)のプログラムは、第三のコンピュータに、
図7に示すステップB1からB5を実行させるプログラムであればよい。このプログラムを第三のコンピュータにインストールし、実行することによって、実施形態における地上局と地上局の制御方法とを実現することができる。この場合、第三のコンピュータのプロセッサは、処理部34として機能し、処理を行なう。
【0086】
また、実施形態における地上局のプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されてもよい。
【0087】
[物理構成]
ここで、実施形態におけるプログラムを実行することによって、第一のコンピュータ、第二のコンピュータ、第三のコンピュータを実現するコンピュータについて
図8を用いて説明する。
図8は、実施形態における第一、第二、第三のコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0088】
図8に示すように、コンピュータ110は、CPU(Central Processing Unit)111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。なお、コンピュータ110は、CPU111に加えて、又はCPU111に代えて、GPU、又はFPGAを備えていてもよい。
【0089】
CPU111は、記憶装置113に格納された、実施形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置である。また、実施形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、実施形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであってもよい。なお、記録媒体120は、不揮発性記録媒体である。
【0090】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクドライブの他、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置があげられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。
【0091】
データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0092】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))及びSD(Secure Digital)などの汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)などの磁気記録媒体、又はCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記録媒体があげられる。
【0093】
以上、実施形態を参照して説明したが、上述した実施形態に限定されるものではない。構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
上述した記載によれば、無人航空機に異常が発生した場合でも、無人航空機の安全を確保できる。また、無人航空機などの安全性の確保が必要な分野において有用である。
【符号の説明】
【0095】
10 無人航空機
11、11a、11b センサ
12 飛行制御部
13 異常回避制御部
14、14a、14d ロータ駆動部
141a ロータ
142a モータ
143a モータ駆動部
15 通信部
15a アンテナ
16 安全装置
20 プロポコントローラ
30 地上局
31 通信部
31a アンテナ
32 入力部
33 出力部
34 処理部
100 システム
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス