(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184217
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】収容容器
(51)【国際特許分類】
A61C 13/38 20060101AFI20231221BHJP
B65D 25/00 20060101ALI20231221BHJP
A61C 19/02 20060101ALI20231221BHJP
B24C 9/00 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
A61C13/38
B65D25/00
A61C19/02
B24C9/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098250
(22)【出願日】2022-06-17
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】390011121
【氏名又は名称】株式会社モリタ東京製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】石森 勝也
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 哲也
【テーマコード(参考)】
3E062
4C052
【Fターム(参考)】
3E062AA20
3E062AB07
3E062BA01
3E062BB02
3E062FB02
3E062MA02
4C052AA07
4C052PP00
(57)【要約】
【課題】加工の対象である被加工物を収容する収容容器の小型化を図る。
【解決手段】容器本体12の側部に、容器本体12の内側と外側とを結ぶ貫通孔により構成された指用開口16が設けられている。ユーザは、収容容器1の外側から収容容器1の内部へ自身の指を入れて、収容容器1内の被加工物に触れる。より具体的には、ユーザは、収容容器1の外部から収容容器1の内部へ2本の指を入れ、この2本の指の先端で、収容容器1内の被加工物を挟んで保持する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工の対象である被加工物を収容するとともに、当該加工の際に当該被加工物に対して供給され当該加工に用いられる供給物及び/又は当該加工に伴い発生する発生物を収容する収容容器であり、
前記収容容器外から当該収容容器内の前記被加工物に触れるユーザの指を通すための指用開口であって当該ユーザの手首が通らない大きさで形成された指用開口を備える収容容器。
【請求項2】
前記指用開口は、複数設けられている請求項1に記載の収容容器。
【請求項3】
前記収容容器は、筒状に形成され、
複数設けられた前記指用開口は、前記収容容器の周方向における位置が互いに異なるように配置されている請求項2に記載の収容容器。
【請求項4】
前記指用開口を通じて、前記ユーザの片方の手の親指と当該片方の手の他の指とを前記収容容器内へ入れることができる請求項1に記載の収容容器。
【請求項5】
前記親指を通すための前記指用開口と前記他の指を通すための前記指用開口とが、個別に設けられている請求項4に記載の収容容器。
【請求項6】
個別に設けられ複数存在する前記指用開口の設置間隔が、前記親指の先端と前記他の指の先端とを前記収容容器内にて互いに接触させることが可能な設置間隔となっている請求項5に記載の収容容器。
【請求項7】
前記収容容器内には、当該収容容器の底部よりも上方に位置し、当該収容容器内に収容される前記被加工物を下方から支持する支持部が設けられている請求項1に記載の収容容器。
【請求項8】
前記支持部の位置の変更を行える請求項7に記載の収容容器。
【請求項9】
前記収容容器内には、下方に向かって凹み、前記供給物及び/又は前記発生物を収容する凹部が設けられている請求項1に記載の収容容器。
【請求項10】
前記収容容器内には、前記供給物及び/又は前記発生物が入り込む多孔質材が設けられている請求項1に記載の収容容器。
【請求項11】
前記収容容器には、当該収容容器の外部から当該収容容器内へ供給される前記供給物を通すための供給用開口が設けられている請求項1に記載の収容容器。
【請求項12】
前記供給物は、当該供給物を噴射する噴射装置の噴射口から前記被加工物に対して供給され、
前記収容容器には、当該収容容器の外部に位置する前記噴射装置が有する前記噴射口を当該収容容器内に入れるための噴射用開口が設けられている請求項1に記載の収容容器。
【請求項13】
前記収容容器内へ前記被加工物が収容される際に当該被加工物が通る被加工物用開口と、
開閉可能に設けられ、前記被加工物用開口を塞ぐ塞ぎ部材と、
をさらに備える請求項1に記載の収容容器。
【請求項14】
前記塞ぎ部材の表裏の反転を行えるように構成されている請求項13に記載の収容容器。
【請求項15】
前記供給物は、当該供給物を噴射する噴射装置の噴射口から前記被加工物に対して供給され、
前記塞ぎ部材には、前記収容容器の外部に位置する前記噴射装置が有する前記噴射口を当該収容容器内に入れるための噴射用開口が設けられている請求項13に記載の収容容器。
【請求項16】
収容容器内の空気の排出に用いられる空気排出用開口がさらに設けられている請求項1に記載の収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ノズルコード引き込み口が形成され、作業者の手挿入口が形成され、さらに、作業用開口が形成された作業用ケースが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被加工物の加工にあたっては、この被加工物に供給される供給物の飛散や、被加工物の加工に伴い発生する発生物の飛散を抑えるため、収容容器内にこの被加工物が収容されたうえで、この被加工物の加工が行われることがある。
ここで、被加工物に触れるユーザの手首まで収容容器に入る構成とする場合、収容容器の大型化を招きやすくなる。
本発明の目的は、加工の対象である被加工物を収容する収容容器の小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される収容容器は、加工の対象である被加工物を収容するとともに、当該加工の際に当該被加工物に対して供給され当該加工に用いられる供給物及び/又は当該加工に伴い発生する発生物を収容する収容容器であり、前記収容容器外から当該収容容器内の前記被加工物に触れるユーザの指を通すための指用開口であって当該ユーザの手首が通らない大きさで形成された指用開口を備える収容容器である。
ここで、前記指用開口は、複数設けられているようにしてもよい。
また、前記収容容器は、筒状に形成され、複数設けられた前記指用開口は、前記収容容器の周方向における位置が互いに異なるように配置されているようにしてもよい。
また、前記指用開口を通じて、前記ユーザの片方の手の親指と当該片方の手の他の指とを前記収容容器内へ入れることができるようにしてもよい。
また、前記親指を通すための前記指用開口と前記他の指を通すための前記指用開口とが、個別に設けられているようにしてもよい。
また、個別に設けられ複数存在する前記指用開口の設置間隔が、前記親指の先端と前記他の指の先端とを前記収容容器内にて互いに接触させることが可能な設置間隔となっているようにしてもよい。
また、前記収容容器内には、当該収容容器の底部よりも上方に位置し、当該収容容器内に収容される前記被加工物を下方から支持する支持部が設けられているようにしてもよい。
また、前記支持部の位置の変更を行えるようにしてもよい。
また、前記収容容器内には、下方に向かって凹み、前記供給物及び/又は前記発生物を収容する凹部が設けられているようにしてもよい。
【0006】
また、前記収容容器内には、前記供給物及び/又は前記発生物が入り込む多孔質材が設けられているようにしてもよい。
また、前記収容容器には、当該収容容器の外部から当該収容容器内へ供給される前記供給物を通すための供給用開口が設けられているようにしてもよい。
また、前記供給物は、当該供給物を噴射する噴射装置の噴射口から前記被加工物に対して供給され、前記収容容器には、当該収容容器の外部に位置する前記噴射装置が有する前記噴射口を当該収容容器内に入れるための噴射用開口が設けられているようにしてもよい。
また、前記収容容器内へ前記被加工物が収容される際に当該被加工物が通る被加工物用開口と、開閉可能に設けられ、前記被加工物用開口を塞ぐ塞ぎ部材と、をさらに備えるようにしてもよい。
また、前記塞ぎ部材の表裏の反転を行えるように構成されているようにしてもよい。
また、前記供給物は、当該供給物を噴射する噴射装置の噴射口から前記被加工物に対して供給され、前記塞ぎ部材には、前記収容容器の外部に位置する前記噴射装置が有する前記噴射口を当該収容容器内に入れるための噴射用開口が設けられているようにしてもよい。
また、収容容器内の空気の排出に用いられる空気排出用開口がさらに設けられているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、加工の対象である被加工物を収容する収容容器の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】塞ぎ部材が開かれた状態にある収容容器を示した図である。
【
図3】
図1の矢印IIIで示す方向から、収容容器を見た場合の図である。
【
図4】ユーザが被加工物に対する加工を行う際の状態を示した図である。
【
図5】
図1のV-V線における収容容器の断面図である。
【
図6】
図1のVI-VI線におけるヒンジ部の断面図である。
【
図11】収容容器の他の構成例を示した図であって、収容容器を側方から見た場合の図である。
【
図12】収容容器の他の構成例を示した図であって、収容容器を側方から見た場合の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る収容容器1の斜視図である。
図1では、蓋として機能する塞ぎ部材10が閉じられた状態の収容容器1を示している。また、
図2は、塞ぎ部材10が開かれた状態にある収容容器1を示した図である。
本実施形態の収容容器1は、ユーザによる加工が行われる被加工物を収容する。言い換えると、収容容器1は、加工の対象である被加工物を収容する。
【0010】
被加工物としては、例えば、歯科の補綴物が一例に挙げられ、この場合の収容容器1は、歯科用の収容容器1と言える。言い換えると、この場合の収容容器1は、医療用の収容容器1と言える。
本実施形態では、被加工物の一例としての補綴物に対して、いわゆるサンドブラスト処理が行われ、この補綴物の表面が荒らされる処理が行われる。これにより、補綴物を接着箇所に対して接着する際の接着強度が向上する。
【0011】
本実施形態では、被加工物の加工の際、この被加工物に対して、供給物の一例としてのアルミナなどの粉体が吹き付けられる。これにより、上記の通り、被加工物の表面が荒らされる。
本実施形態では、供給物は、収容容器1の外部から収容容器1の内部に供給され、さらに、収容容器1の内部の被加工物に対して、この供給物が供給される。
被加工物への供給が行われた後の供給物は、落下し、収容容器1に収容される。
【0012】
さらに、本実施形態では、被加工物の加工によって、切削粉などの発生物が発生する。本実施形態では、この発生物についても、収容容器1内に収容される。
本実施形態では、サンドブラスト処理によって、被加工物が削られることにより生じる粉体が、発生物となり、この発生物が、収容容器1内に収容される。
【0013】
図2に示すように、収容容器1には、筒状に形成された容器本体12が設けられている。
本実施形態では、この容器本体12の上部に、被加工物用開口12Aが設けられている。容器本体12内へ被加工物が収容される際、被加工物は、この被加工物用開口12Aを通って容器本体12内へ収容される。
さらに、本実施形態では、開閉可能に設けられ、被加工物用開口12Aを塞ぐ塞ぎ部材10が設けられている。
本実施形態では、ヒンジ部14を中心に塞ぎ部材10が回転するようになっており、塞ぎ部材10を回転させることで、塞ぎ部材10の開閉が行われる。
【0014】
本実施形態では、塞ぎ部材10は、内側面10Aおよび外側面10Bの2つ面を有する。本実施形態では、この2つ面のうち、塞ぎ部材10が閉じられた際に容器本体12側を向く内側面10Aに、着脱可能な透明な保護フィルム(不図示)が貼られている。
本実施形態では、被加工物に供給されこの被加工物から跳ね返った供給物や、容器本体12の内面にて跳ね返った供給物が、内側面10Aに当たって、この内側面10Aが白濁するなどの不具合が生じるおそれがある。
【0015】
本実施形態のように、保護フィルムが貼られていると、塞ぎ部材10の内側面10Aが白濁するなどの不具合が生じにくくなる。
本実施形態では、保護フィルムが交換可能となっており、この保護フィルムが白濁した状態となった場合は、この保護フィルムを新たな保護フィルムに交換することで、保護フィルムの透明度が回復する。
【0016】
塞ぎ部材10は、透明に形成されており、塞ぎ部材10が閉じられた状態にあっても(
図1参照)、ユーザは、収容容器1内の状態の確認を行える。
言い換えると、本実施形態では、塞ぎ部材10が閉じられた状態にあっても、ユーザは、収容容器1内に収容された被加工物(
図1では不図示)の視認を行える。
本実施形態では、塞ぎ部材10を開くと、
図2に示すように、容器本体12の上部にある被加工物用開口12Aが露出する。ユーザは、被加工物用開口12Aを通じて、容器本体12内への被加工物の出し入れを行う。
【0017】
図3は、
図1の矢印IIIで示す方向から、収容容器1を見た場合の図である。
本実施形態では、
図3に示すように、容器本体12の側部に、容器本体12の内側と外側とを結ぶ貫通孔により構成された指用開口16が設けられている。
本実施形態では、ユーザは、収容容器1の外側から収容容器1の内部へ自身の指を入れて、収容容器1内の被加工物に触れる。
より具体的には、ユーザは、収容容器1の外部から収容容器1の内部へ2本の指を入れ、この2本の指の先端で、収容容器1内の被加工物を挟んで保持する。
指用開口16は、収容容器1の外側から収容容器1の内部の被加工物に触れるユーザの指を通すための開口である。
【0018】
図3に示すように、指用開口16は、複数設けられている。また、本実施形態では、指用開口16の各々は、ユーザの指は通すが、ユーザの手首が通らない大きさで形成されている。
ここで、指用開口16が正円である場合には、指用開口16の直径を、26mm以下とすることが好ましい。また、指用開口16が楕円である場合には、指用開口16の長軸の長さを26mm以下とすることが好ましい。
【0019】
本実施形態では、複数設けられた指用開口16は、収容容器1の周方向における位置が互いに異なるように配置されている。
本実施形態では、指用開口16として、ユーザの片方の手の一例である左手の親指が通る親指用開口161と、この左手の他の指の一例である人差し指が通る人差し指用開口162とが設けられている。
【0020】
また、本実施形態では、
図1、
図2に示すように、蓋部材として機能する塞ぎ部材10に、収容容器1の外部から収容容器1の内部へ供給される供給物を通すための供給用開口18が設けられている。
この供給用開口18は、塞ぎ部材10の内側面10Aと外側面10Bとを結ぶように形成された貫通孔により構成されている。本実施形態では、塞ぎ部材10が閉じられた状態にあるとき、この供給用開口18は、支持部(後述)の対向位置に配置される。
本実施形態では、この供給用開口18を通じて、収容容器1の内部に供給物が供給される。
【0021】
本実施形態では、噴射装置(後述)が用いられて、収容容器1の内部への供給物の供給が行われる。
噴射装置が用いられる場合は、収容容器1の外部に噴射装置が配置され、さらに、噴射装置が有する噴射口の部分が、供給用開口18を通じて、収容容器1の内部に入れられる。
そして、この噴射口から、この噴射口の対向位置にある被加工物へ、供給物が供給される。ここで、供給用開口18は、噴射装置が有する噴射口を収容容器1内に入れるための噴射用開口として捉えることができる。
【0022】
図4は、ユーザが被加工物に対する加工を行う際の状態を示した図である。
本実施形態では、被加工物22の加工が行われる際、ユーザは、
図4に示すように、指用開口16を通じて、自身の左手の親指と、自身の左手の人差し指とを収容容器1内へ入れる。
より具体的には、ユーザは、親指用開口161を通じて、自身の親指を収容容器1内へ入れ、また、人差し指用開口162を通じて、自身の人差し指を収容容器1内へ入れる。
さらに、ユーザは、収容容器1内にある親指と人差し指とで、収容容器1内の被加工物22を挟んで保持する。
【0023】
より具体的には、本実施形態では、ユーザが、左手で、被加工物22を挟んで保持する場合、ユーザは、まず、指用開口16を通じて、親指と人差し指とを、収容容器1内へ入れる。
その後、ユーザは、開放されている状態にある被加工物用開口12A(
図2参照)を通じ、右手で、容器本体12内へ被加工物22を入れ、さらに、左手の親指と左手の人差し指とでこの被加工物22を挟んで保持する。
その後、ユーザは、開いた状態にある塞ぎ部材10(
図2参照)を回転させて、被加工物用開口12Aを閉じる。
【0024】
次いで、ユーザは、
図4に示すように、供給物を噴射する噴射装置24の操作を行って、被加工物22への供給物の噴射を行う。これにより、噴射装置24の噴射口24Aから噴射された供給物が、被加工物22に対して供給される。
より具体的には、本実施形態では、上記の通り、塞ぎ部材10に供給用開口18が設けられており、ユーザは、噴射装置24のうちの少なくとも噴射口24Aの部分を、この供給用開口18を通じて収容容器1内に入れたうえで、供給物の噴射を行う。これにより、被加工物22への供給物の供給が行われる。
本実施形態では、ユーザは、片方の手の一例である左手で、被加工物22と収容容器1とを持ちながら、他方の手である右手で、被加工物22への供給物の供給を行う。
【0025】
本実施形態では、
図4に示すように、親指を通すための親指用開口161と、人差し指を通すための人差し指用開口162とが、個別に設けられている。
さらに、本実施形態では、親指用開口161と人差し指用開口162との設置間隔L(
図3参照)が、小さくなっており、この設置間隔Lが、親指の先端と人差し指の先端とを収容容器1内にて互いに接触させることが可能な設置間隔となっている。
これにより、ユーザは、指用開口16を通して収容容器1内に入れた親指と人差し指とにより、被加工物22を両側から保持することができる。
【0026】
被加工物22の加工にあたっては、この被加工物22に供給される供給物の飛散や、被加工物22の加工に伴い発生する発生物の飛散を抑えるため、本実施形態のように、収容容器1内にこの被加工物22が収容されたうえで、この被加工物22の加工が行われることがある。
この場合において、被加工物22に触れるユーザの手首や腕の一部まで収容容器1に入る構成であると、収容容器1の大型化を招きやすい。
これに対し、本実施形態の構成では、収容容器1内に指のみを入れる構成であり、ユーザの手首や腕の一部まで収容容器1に入る構成に比べ、収容容器1の小型化を図れる。
【0027】
図5は、
図1のV-V線における収容容器1の断面図である。
本実施形態では、収容容器1内に、収容容器1内に収容される被加工物22を下方から支持する支持部26が設けられている。この支持部26は、収容容器1の底部28よりも上方に位置する。
さらに、この支持部26は、指用開口16(
図3参照)の径方向における中心部16Cよりも下側に位置する。
【0028】
本実施形態では、ユーザは、必要に応じ、親指と人差し指とによって保持する被加工物22を支持部26の上に載せる。
この場合、被加工物22は、親指、人差し指、支持部26の3つの部位によって支持される形となり、親指、人差し指のみによって被加工物22が支持される場合に比べ、被加工物22がより安定的に支持される。
被加工物22への供給物の供給にあたっては、ユーザは、自身が保持している被加工物22の向きを変え、被加工物22のうちの供給物が供給される箇所を変化させる。
【0029】
図5では、噴射装置24も表示している。噴射装置24が用いられる場合は、収容容器1の外部に噴射装置24が配置され、さらに、噴射装置24が有する噴射口24Aの部分が、供給用開口18を通じて、収容容器1の内部に入れられる。そして、この噴射口24Aから、この噴射口24Aの対向位置にある被加工物22へ、供給物が供給される。
噴射装置24は、例えば、加圧エアーの供給を受け、供給されたこの加圧エアーを用いて、自身が保持するアルミナなどの供給物を、噴射口24Aから噴射する。
【0030】
本実施形態では、容器本体12の底部28の径方向における中央部から、塞ぎ部材10側に向かって突出する円筒状の突出部30が設けられている。本実施形態では、この突出部30の突出方向における先端に位置する端面が、支持部26として機能する。
さらに、本実施形態では、収容容器1内に、下方に向かって凹み、供給物や発生物を収容する凹部32が設けられている。
この凹部32は、円筒状の突出部30の周囲に設けられている。本実施形態では、収容容器1の上方から凹部32を見た場合に(
図5の矢印5Bで示す方向から凹部32を見た場合に)、この凹部32は、環状に形成されている。
【0031】
本実施形態では、被加工物22へ供給された後の供給物や、被加工物22の加工によって発生した発生物が、この凹部32内に入り、この凹部32内に、供給物や発生物が溜まる。
さらに、本実施形態では、この凹部32内に、供給物や発生物が入り込む環状の多孔質材34が設けられている。
【0032】
本実施形態では、供給物や発生物が、この多孔質材34の内部に入り込むことによって、また、本実施形態では、供給物や発生物が、この多孔質材34を通過して、容器本体12の底部28まで達することによって、供給物や発生物の移動が抑制される。
本実施形態では、サンドブラスト処理によって発生する気流によって、供給物や発生物が移動しようとするが、本実施形態では、多孔質材34が設けられることによって、この移動が抑制される。
【0033】
本実施形態では、多孔質材34が底部28に位置しておらず、容器本体12の底部28と多孔質材34との間に間隙Gが設けられている。
本実施形態では、筒状に形成された突出部30の外周面に段差が設けられており、この段差によって、多孔質材34の下方への移動が規制され、底部28と多孔質材34との間に間隙Gが設けられる。
本実施形態では、多孔質材34を通過して下方へ移動した供給物や発生物が、この間隙G内に位置するようになる。
なお、多孔質材34の材料は、特に制限されない。多孔質材34としては、例えば、スポンジなど、樹脂材料により形成された多孔質材が一例に挙げられる。
【0034】
次に、ヒンジ部14の詳細を説明する。
図6は、
図1のVI-VI線におけるヒンジ部14の断面図である。
本実施形態では、
図6に示すように、塞ぎ部材10の支持に用いられる円柱状の支持軸38が設けられている。本実施形態では、この支持軸38の両端が、容器本体12(
図2参照)により支持される。
さらに、本実施形態では、
図6に示すように、この支持軸38の周りに、板状の塞ぎ部材10を両側から挟んで保持するU字状の板バネ40が設けられている。
【0035】
本実施形態では、この板バネ40の内部に、支持軸38が入る構成となっている。
板バネ40は、互いに対向する第1対向片40A、第2対向片40Bと、曲率を有し第1対向片40Aと第2対向片40Bとを接続する接続部40Cとを備える。
さらに、板バネ40には、接続部40Cが設けられている側とは反対側に、塞ぎ部材10を板バネ40の内部に入れるための開口部40Dが設けられている。
本実施形態では、第1対向片40A、第2対向片40B、および、接続部40Cにより囲まれた領域内に、支持軸38が入る。また、本実施形態では、支持軸38を回転中心として、板バネ40が回転する。そして、本実施形態では、板バネ40のこの回転により、塞ぎ部材10が回転する。
【0036】
本実施形態では、この板バネ40に対して、塞ぎ部材10が取り付けられる。
板バネ40への塞ぎ部材10の取り付けにあたっては、ユーザは、板バネ40の開口部40Dから板バネ40の内部方向へ塞ぎ部材10が移動するように、塞ぎ部材10を移動させる。
これにより、板バネ40の第1対向片40Aと第2対向片40Bとにより塞ぎ部材10が挟まれる形となり、板バネ40による塞ぎ部材10の保持が行われる。
【0037】
さらに、本実施形態では、板バネ40に対する塞ぎ部材10の着脱を行えるようになっている。言い換えると、本実施形態では、容器本体12に対する塞ぎ部材10の着脱を行えるようになっている。
容器本体12から塞ぎ部材10を取り外す際には、板バネ40を
図2に示す状態としたうえで、図中矢印2Aで示す方向へ塞ぎ部材10を移動させる。これにより、板バネ40から塞ぎ部材10が外れるようになる。
また、容器本体12への塞ぎ部材10の取り付けを行う際には、板バネ40を
図2に示す状態としたうえで、図中矢印2Bで示す方向へ塞ぎ部材10を移動させ、板バネ40の第1対向片40A(
図6参照)と第2対向片40Bとの間に、塞ぎ部材10を入れる。これにより、板バネ40により塞ぎ部材10が挟まれ、板バネ40による塞ぎ部材10の保持が行われる。
【0038】
さらに、本実施形態では、塞ぎ部材10の表裏の反転を行えるようになっている。
塞ぎ部材10の表裏の反転を行う際には、まず、板バネ40を
図2に示す状態としたうえで、矢印2Aで示す方向へ塞ぎ部材10を移動させ、板バネ40からの塞ぎ部材10の取り外しを行う。
そして、塞ぎ部材10の表裏の反転を行う。
次いで、表裏の反転を行った後の塞ぎ部材10を矢印2Bで示す方向へ移動させて、板バネ40への塞ぎ部材10の取り付けを行う。
【0039】
図7は、塞ぎ部材10の正面図である。
塞ぎ部材10は、略矩形状に形成され、第1辺10E、第2辺10F、第3辺10G、第4辺10Hの4つの辺を有する。本実施形態では、互いに対向する関係にある第1辺10E、第3辺10Gに、塞ぎ部材10の径方向における外側に向かって突出する突出部44が設けられている。
本実施形態では、板バネ40(
図2参照)への塞ぎ部材10の取り付けが行われる際には、2つ設けられた突出部44のうちの一方の突出部44である第1突出部44Aが、板バネ40に挿入されて、板バネ40に対して取り付けられる。
【0040】
さらに、本実施形態では、
図3に示すように、塞ぎ部材10が閉じられた状態にあるときには、他方の突出部44である第2突出部44Bが、容器本体12の外周面12Xよりも、この容器本体12の径方向における外側に位置する。
これにより、本実施形態では、ユーザは、塞ぎ部材10を開く操作を行う際、自身の指を、第2突出部44Bに引っ掛けることができる。これにより、突出部44が設けられない構成に比べ、ユーザは、塞ぎ部材10を開けやすくなる。
【0041】
本実施形態では、
図7の符号7Aで示す直線を対象軸として、塞ぎ部材10は線対象となっており、本実施形態では、第2突出部44Bも、板バネ40内に入れることができる。
言い換えると、本実施形態では、塞ぎ部材10の向きを変えることができ、第2突出部44Bも、板バネ40内に入れることができる。
第2突出部44Bを、板バネ40内に入れる場合、第1突出部44Aが、容器本体12(
図3参照)の外周面12Xよりも、容器本体12の径方向における外側に位置するようになる。
【0042】
図8は、収容容器1の他の構成例を示した図である。
この構成例では、支持部26の位置の変更を行えるようになっている。
この構成例では、突出部30が、底部28側に位置する底部側突出部30Yと、突出部30の先端部側に位置する先端側突出部30Xとにより構成されている。
【0043】
底部側突出部30Yの内周面には、らせん状のねじ部101が設けられ、先端側突出部30Xの外周面には、同じく、らせん状のねじ部102が設けられている。
さらに、この構成例では、底部側突出部30Yの内部に、先端側突出部30Xが入り込み、また、底部側突出部30Yのねじ部101と、先端側突出部30Xのねじ部102とが噛み合っている。
【0044】
この構成例では、先端側突出部30Xを回転させると、収容容器1の高さ方向に沿って先端側突出部30Xが移動し、これに伴い、支持部26も、収容容器1の高さ方向に沿って移動する。これにより、支持部26の位置が変更される。
この構成例では、塞ぎ部材10に設けられた供給用開口18に対する支持部26の進退が可能になっており、供給用開口18に接近する方向への支持部26の移動、供給用開口18から離れる方向への支持部26の移動を行えるようになっている。
この構成例では、支持部26により支持される被加工物22(
図5参照)と、噴射装置24が有する噴射口24Aとの離間距離の変更を行える。
【0045】
なお、上記では、ねじ部101、ねじ部102を用いて支持部26を移動させる構成を説明したが、支持部26を移動させる構成は、ねじ部を用いるものに限らず、他の公知の技術を用いて、支持部26が移動するようにしてもよい。
また、本実施形態では、収容容器1の高さ方向へ支持部26が移動する構成を説明したが、支持部26の移動方向は特に制限されず、収容容器1の径方向へ支持部26が移動する構成としてもよい。また、収容容器1の高さ方向、および、収容容器1の径方向にそれぞれの方向へ、支持部26が移動する構成としてもよい。
収容容器1の径方向へ支持部26が移動する構成とすると、指用開口16(
図4参照)と支持部26との離間距離の変更を行える。
【0046】
図9は、収容容器1の他の構成例を示した図である。
この構成例では、突出部30の一部に、収容容器1内の空気の排出に用いられる空気排出用開口30Zが設けられている。
この構成例では、歯科の診療に用いられるコンプレッサなどの吸気源に対して、この空気排出用開口30Zが接続される。より具体的には、吸気源に対して、符号9Aで示す部分が接続される。
これにより、この構成例では、収容容器1の内部の空気が排出され、これに伴い、供給物や発生物が、収容容器1の外部に排出される。
【0047】
図10は、収容容器1の他の構成例を示した図である。
この構成例では、容器本体12の外周面12Xに、空気排出用開口30Zが設けられている。
この構成例では、収容容器1のこの空気排出用開口30Zが、歯科用の吸引装置に接続される。具体的には、空気排出用開口30Zは、患者の口腔の近傍にて飛散する唾液や水を吸引する口腔外バキュームに接続される。
この構成例においても、上記と同様、収容容器1の内部の空気が排出され、これに伴い、供給物や発生物が、収容容器1の外部に排出される。
【0048】
(その他)
上記では、歯科に用いられる収容容器1を説明したが、これに限らず、上記にて説明した収容容器1は、歯科以外の分野における、被加工物22の加工にも用いることができる。具体的には、例えば、工業分野や、個人の工作などの分野における、被加工物22の加工にも用いることができる。
また、上記では、供給物、発生物の両者を収容する場合を一例に説明したが、供給物が供給されず、発生物のみが発生する場合もある。また、供給物のみ供給され、発生物が発生しない場合もある。
これらの場合、供給物および発生物のうちの一方のみが、収容容器1に収容されることになる。
【0049】
具体的には、例えば、ユーザが、切削工具などを用いて収容容器1内の被加工物22の加工を手作業で行う場合、供給物の供給が行われずに、切削粉などの発生物のみが発生することになる。この場合、収容容器1には、被加工物22と発生物とが収容される。
なお、切削工具などが用いられる場合にも、塞ぎ部材10を設けるとともに、この塞ぎ部材10に、切削工具を通すための開口を設けるようにすることが好ましい。この場合の開口は、
図1等にて示した供給用開口18よりも大きくすることが好ましい。
【0050】
また、被加工物22の加工としては、例えば、スプレーによる被加工物22の着色を挙げることができ、この場合は、供給物としての塗料のみが存在し、発生物は生じない。この場合、収容容器1には、被加工物22と供給物とが収容される。
なお、この場合も、塞ぎ部材10を設けるとともに、この塞ぎ部材10に、スプレーのノズル等を通すための開口を設けるようにすることが好ましい。この場合の開口は、
図1等にて示した供給用開口18と同じ大きさとしてもよい。
【0051】
また、上記では、
図4に示すように、収容容器1の大きさが、概ね、ユーザの手の大きさと同じであったが、例えば、収容容器1の高さ寸法を大きくしてもよい。この場合、凹部32(
図5参照)の深さを、より大きなものとすることができる。
【0052】
また、収容容器1の径方向の寸法を大きくしてもよい。
収容容器1の径方向の寸法を大きくする場合は、指用開口16(
図4参照)から支持部26が離れ、ユーザの作業性が低下するおそれがある。このため、この場合、容器本体12の径方向における中央部よりも指用開口16に近い側に、支持部26を設けるようにして、指用開口16に支持部26を近づけてもよい。
言い換えると、この場合、容器本体12の径方向における中央部に対して、支持部26を偏心させる形で設けてもよい。
【0053】
また、指用開口16については、
図11(収容容器1の他の構成例を示した図であって、収容容器1を側方から見た場合の図)に示すように、長穴状の開口を形成し、1つのこの開口を介して、親指および人差し指の両者が、収容容器1内に入るようにしてもよい。
なお、収容容器1の外部への供給物や発生物の漏れ出しを抑えるという観点からは、
図3に示したように、1つの指毎に、指用開口16を設けるようにすることが好ましい。
【0054】
また、長穴状の開口を形成する場合には、
図12(収容容器1の他の構成例を示した図であって、収容容器1を側方から見た場合の図)に示すように、親指が位置するようになる箇所と人差し指が位置するようになる箇所との間の空間に、この空間を塞ぐ塞ぎ部材200を設けるようにしてもよい。
この塞ぎ部材200は、例えば、ゴム、樹脂などより構成し、また、例えば、接着や嵌合などによって、容器本体12に固定する。これにより、収容容器1の外部への供給物や発生物の漏れ出しを抑えられる。
【0055】
また、その他に、例えば、ユーザの指を通すためのスリットや貫通孔を有するゴム状の部材を、容器本体12に形成された開口に取り付けるようにしてもよい。
また、塞ぎ部材10(
図1参照)は省略してもよく、
図9、
図10にて示したように、収容容器1内の空気を吸引する構成では、塞ぎ部材10を省略することもできる。
また、上記では、親指とともに人差し指が、収容容器1が入る構成であったが、これに限らず、親指とともに収容容器1に入る指は、中指や薬指であってもよい。
【0056】
また、3本以上の指が入るようにするための1つの指用開口16を容器本体12に形成し、又は、3つ以上の指用開口16を容器本体12に形成し、親指の他に、2本以上の指が、収容容器1に入る構成としてもよい。
なお、この場合も、指用開口16の各々の大きさは、ユーザの手首が収容容器1内に入らない大きさとする。
【符号の説明】
【0057】
1…収容容器、10…塞ぎ部材、12A…被加工物用開口、16…指用開口、18…供給用開口、22…被加工物、24…噴射装置、24A…噴射口、26…支持部、28…底部、30Z…空気排出用開口、32…凹部、34…多孔質材