(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184224
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】配車計画装置及び配車計画方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/30 20120101AFI20231221BHJP
【FI】
G06Q50/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098259
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鵜澤 和正
(72)【発明者】
【氏名】米倉 裕子
(72)【発明者】
【氏名】堀 純幸
(72)【発明者】
【氏名】隈元 雄介
(72)【発明者】
【氏名】山口 友里
(72)【発明者】
【氏名】吉 愛喜
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC42
(57)【要約】
【課題】複合的な条件を満たす最適な配車計画を作成する。
【解決手段】配車計画サーバ101において、メモリ203は、利用者が車両に乗車する際の乗車条件に関する乗車条件情報を保持し、乗車条件情報は、利用者ごとの送迎場所および属性に関する利用者情報221と、利用者ごとの迎車希望時刻に関する来館予定情報222と、車両ごとの使用条件に関する車両情報223と、を含む。CPU201は、ルート作成機能212により、乗車条件情報に基づいて、それぞれが1以上の送迎場所を経由する複数のルートを生成し、配車計画作成機能213により、全ての送迎場所を経由する、複数のルートに含まれるルートの組み合わせ、を1つ以上特定し、特定したルートの組み合わせに基づいて配車計画を作成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の車両で複数の利用者を所定の施設まで送迎するための配車計画を作成する装置であって、
プロセッサとメモリとを含み、
前記メモリは、前記利用者が前記車両に乗車する際の乗車条件に関する乗車条件情報を保持し、
前記乗車条件情報は、前記利用者ごとの送迎場所および属性に関する利用者情報と、前記利用者ごとの迎車希望時刻に関する来館予定情報と、前記車両ごとの使用条件に関する車両情報と、を含み、
前記プロセッサは、
前記乗車条件情報に基づいて、それぞれが1以上の前記送迎場所を経由する複数のルートを生成し、
全ての前記送迎場所を経由する、前記複数のルートに含まれるルートの組み合わせ、を1つ以上特定し、
特定した前記ルートの組み合わせに基づいて前記配車計画を作成する、配車計画装置。
【請求項2】
請求項1に記載の配車計画装置であって、
前記利用者情報は、各利用者の前記車両ごとの乗車の可否に関する車両制限の情報を含み、
前記プロセッサは、前記複数のルートそれぞれにおいて、当該ルートに対応する全ての前記利用者について前記車両制限を満たすように、前記複数のルートを生成する、配車計画装置。
【請求項3】
請求項1に記載の配車計画装置であって、
前記利用者情報は、各利用者と他の利用者との同乗の可否に関する同乗条件の情報を含み、
前記プロセッサは、前記複数のルートそれぞれにおいて、当該ルートに対応する全ての前記利用者について前記同乗条件を満たすように、前記複数のルートを生成する、配車計画装置。
【請求項4】
請求項1に記載の配車計画装置であって、
前記車両情報は、各車両が備える席数に関する情報を含み、
前記プロセッサは、前記複数のルートそれぞれにおいて、当該ルートに対応する前記利用者の合計数が、当該ルートに対して割り当て可能な前記車両が備える前記席数以下となるように、前記複数のルートを生成する、配車計画装置。
【請求項5】
請求項4に記載の配車計画装置であって、
前記利用者情報は、各利用者の車いす使用の有無に関する情報を含み、
前記車両情報は、各車両が備える車いす用の席数に関する情報を含み、
前記プロセッサは、前記複数のルートそれぞれにおいて、当該ルートで車いすを使用する前記利用者の合計数が、当該ルートに対して割り当て可能な前記車両が備える前記車いす用の席数以下となるように、前記複数のルートを生成する、配車計画装置。
【請求項6】
請求項1に記載の配車計画装置であって、
前記プロセッサは、前記複数のルートそれぞれにおいて、当該ルートにおける各利用者の乗車時間増加率を算出し、全ての前記利用者について前記乗車時間増加率が所定値以下となるように、前記複数のルートを生成する、配車計画装置。
【請求項7】
請求項6に記載の配車計画装置であって、
前記プロセッサは、前記車両が各利用者の前記送迎場所から前記施設へ直行した場合の移動時間に対する当該ルートの移動時間の割合に基づいて前記乗車時間増加率を算出する、配車計画装置。
【請求項8】
請求項1に記載の配車計画装置であって、
前記プロセッサは、前記複数のルートそれぞれにおいて、当該ルートにおける各利用者の乗車時間が所定値以下となるように、前記複数のルートを生成する、配車計画装置。
【請求項9】
請求項1に記載の配車計画装置であって、
前記プロセッサは、前記複数のルートそれぞれにおいて、当該ルートにおける各利用者の迎車予定時刻を算出し、全ての前記利用者について前記迎車予定時刻と前記迎車希望時刻との差が所定値以下となるように、前記複数のルートを生成する、配車計画装置。
【請求項10】
請求項1に記載の配車計画装置であって、
前記プロセッサは、前記利用者情報における前記送迎場所の情報と、前記来館予定情報とに基づいて、一定の条件を満たす前記利用者同士を同一のグループに分類するクラスタリング処理を行い、前記クラスタリング処理の結果に基づいて前記複数のルートを生成する、配車計画装置。
【請求項11】
請求項10に記載の配車計画装置であって、
前記プロセッサは、前記クラスタリング処理において、前記送迎場所間の距離または移動時間が所定値以内であり、かつ、前記迎車希望時刻の差が所定の範囲内である前記利用者同士を、前記同一のグループに分類する、配車計画装置。
【請求項12】
請求項1に記載の配車計画装置であって、
前記プロセッサは、前記複数のルートそれぞれにおいて、順番に経由する3つの前記送迎場所によって定められる角度が所定の範囲となるように、前記複数のルートを生成する、配車計画装置。
【請求項13】
請求項1に記載の配車計画装置であって、
前記プロセッサは、前記利用者情報を参照して、前記複数のルートそれぞれにおいて、前記車両の出発地から最も遠い送迎場所を除く各送迎場所が、前記出発地と前記出発地から最も遠い送迎場所とを結んだ線分に対する垂直方向の幅が定められた所定のエリアに含まれるように、前記複数のルートを生成する、配車計画装置。
【請求項14】
請求項1に記載の配車計画装置であって、
前記乗車条件情報は、前記車両の移動時間に関する移動時間情報を含み、
前記プロセッサは、前記車両から所定時間ごとに送信される前記車両の位置情報に基づいて前記移動時間情報を更新する、配車計画装置。
【請求項15】
請求項1に記載の配車計画装置であって、
前記プロセッサは、
1つ以上の前記ルートの組み合わせそれぞれについて、当該組み合わせに含まれる各ルートの評価値を、当該ルートにおける前記利用者の満足度に基づいて算出し、
前記ルートの組み合わせのうち前記満足度が最も高い組み合わせを選択し、
選択した前記ルートの組み合わせに基づいて前記配車計画を作成する、配車計画装置。
【請求項16】
請求項15に記載の配車計画装置であって、
前記プロセッサは、前記ルートの組み合わせそれぞれについて、当該組み合わせに含まれる各ルートでの前記利用者の乗車時間に基づいて前記満足度を算出する、配車計画装置。
【請求項17】
請求項15に記載の配車計画装置であって、
前記プロセッサは、前記ルートの組み合わせそれぞれについて、当該組み合わせに含まれる各ルートでの前記送迎場所の分布に基づいて前記満足度を算出する、配車計画装置。
【請求項18】
請求項15に記載の配車計画装置であって、
前記プロセッサは、前記ルートの組み合わせそれぞれについて、当該組み合わせに含まれる各ルートにおける各利用者の迎車予定時刻と前記迎車希望時刻との差に基づいて前記満足度を算出する、配車計画装置。
【請求項19】
プロセッサとメモリとを含むコンピュータにより、1つ以上の車両で複数の利用者を所定の施設まで送迎するための配車計画を作成する方法であって、
前記メモリは、前記利用者が前記車両に乗車する際の乗車条件に関する乗車条件情報を保持し、
前記乗車条件情報は、前記利用者ごとの送迎場所および属性に関する利用者情報と、前記利用者ごとの迎車希望時刻に関する来館予定情報と、前記車両ごとの使用条件に関する車両情報と、を含み、
前記プロセッサが、
前記乗車条件情報に基づいて、それぞれが1以上の前記送迎場所を経由する複数のルートを生成し、
全ての前記送迎場所を経由する、前記複数のルートに含まれるルートの組み合わせ、を1つ以上特定し、
特定した前記ルートの組み合わせに基づいて前記配車計画を作成する、配車計画方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配車計画装置及び配車計画方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2019-086993号公報(特許文献1)がある。この公報には、「送迎支援システム1にメモリ10およびプログラム20を備える。メモリ10に、被介護者情報格納領域11と、各被介護者の乗降時間情報を格納している乗降時間格納領域12と、車両の移動時間情報を格納している移動時間格納領域13とを備える。プログラム20に、特定の被介護者情報を抽出する抽出プログラム28と、特定の被介護者情報に基づいて巡回ルートを計算するルート計算プログラム22と、巡回ルートにおける送迎位置の到着時間を計算する到着時間計算プログラム23と、外部からの信号の受信に基づいて車両の停止時間および移動時間を計算する運行時間計算プログラム24と、乗降時間情報および移動時間情報を更新する更新プログラム25とを備える。」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、被介護者の送迎位置の到着時間の算出の精度を向上させることで、被介護者の送迎における時間的なロスの低減を図っているが、被介護者の送迎における制約条件や、被介護者の様々な要望などの複合的な条件を総合的に判断し、最適な配車計画を作成することは考慮されていない。
【0005】
本発明では、上記課題を解決するために、複合的な条件を満たす最適な配車計画を作成することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による配車計画装置は、1つ以上の車両で複数の利用者を所定の施設まで送迎するための配車計画を作成する装置であって、プロセッサとメモリとを含み、前記メモリは、前記利用者が前記車両に乗車する際の乗車条件に関する乗車条件情報を保持し、前記乗車条件情報は、前記利用者ごとの送迎場所および属性に関する利用者情報と、前記利用者ごとの迎車希望時刻に関する来館予定情報と、前記車両ごとの使用条件に関する車両情報と、を含み、前記プロセッサは、前記乗車条件情報に基づいて、それぞれが1以上の前記送迎場所を経由する複数のルートを生成し、全ての前記送迎場所を経由する、前記複数のルートに含まれるルートの組み合わせ、を1つ以上特定し、特定した前記ルートの組み合わせに基づいて前記配車計画を作成する。
本発明による配車計画方法は、プロセッサとメモリとを含むコンピュータにより、1つ以上の車両で複数の利用者を所定の施設まで送迎するための配車計画を作成する方法であって、前記メモリは、前記利用者が前記車両に乗車する際の乗車条件に関する乗車条件情報を保持し、前記乗車条件情報は、前記利用者ごとの送迎場所および属性に関する利用者情報と、前記利用者ごとの迎車希望時刻に関する来館予定情報と、前記車両ごとの使用条件に関する車両情報と、を含み、前記プロセッサが、前記乗車条件情報に基づいて、それぞれが1以上の前記送迎場所を経由する複数のルートを生成し、全ての前記送迎場所を経由する、前記複数のルートに含まれるルートの組み合わせ、を1つ以上特定し、特定した前記ルートの組み合わせに基づいて前記配車計画を作成する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複合的な条件を満たす最適な配車計画を作成することができる。
【0008】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る配車計画システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】配車計画サーバの構成例を示すブロック図である。
【
図10】配車計画サーバによる全体処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図11】ルート作成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】ルート候補作成の一例を示す説明図である。
【
図13】クラスタリング処理の一例を示す説明図である。
【
図14】採用ルート決定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】ルート形状条件の一例を示す説明図である。
【
図16】配車計画作成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図17】第2評価値の算出方法の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態において、同一の構成には原則として同一の符号を付け、繰り返しの説明は省略する。なお、本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る配車計画システムの構成例を示すブロック図である。配車計画システムは、例えば、インターネット等のネットワーク104を介して互いに接続された配車計画サーバ101と、1以上の登録端末102と、1以上の車載端末103と、を含む。
【0012】
登録端末102は、例えば、被介護者に対して介護サービスを提供する通所介護施設などのように、車両による送迎対象者である当該施設の利用者を受け入れる施設が保持する端末である。登録端末102は、例えば登録端末102のユーザによって入力された各種乗車条件に基づく乗車条件情報を配車計画サーバ101に送信する。
【0013】
車載端末103は、例えば、利用者の送迎を行う車両に搭載される端末である。車載端末103は、車両の位置を一定時間ごとに計測し、その計測結果に基づく車両位置情報を配車計画サーバ101に送信する。
【0014】
配車計画サーバ101は、登録端末102と車載端末103からそれぞれ受信した乗車条件情報及び車両位置情報に基づいて、配車計画を作成し、作成した配車計画に基づく配車計画情報を登録端末102と車載端末103にそれぞれ送信する。
【0015】
なお、本実施例では、配車計画サーバ101は、車両が出発地である施設を出発して、それぞれ利用者(乗客)がいる1以上の送迎場所を訪問して当該利用者を迎車し、当該利用者を乗せて施設に戻る(つまり目的地が出発地と一致する)ための車両が通過するルート及び配車計画を作成する。
【0016】
図2は、配車計画サーバ101の構成例を示すブロック図である。配車計画サーバ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)201、補助記憶装置202、メモリ203、通信装置204、入力装置205、及び出力装置206を有するコンピュータによって構成される。
【0017】
CPU201は、演算処理装置であるプロセッサを含み、メモリ203に格納されたプログラムを実行する。メモリ203は、不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や、揮発性の記憶素子であるRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS(Basic Input/Output System))などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子であり、CPU201が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。
【0018】
補助記憶装置202は、例えば、磁気記憶装置(HDD(Hard Disk Drive))、フラッシュメモリ(SSD(Solid State Drive))等の大容量かつ不揮発性の記憶装置であり、CPU201が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを格納する。すなわち、プログラムは、補助記憶装置202から読み出されて、メモリ203にロードされて、CPU201によって実行される。
【0019】
入力装置205は、キーボードやマウスなどの、オペレータからの入力を受ける装置である。出力装置206は、ディスプレイ装置やプリンタなどの、プログラムの実行結果をオペレータが視認可能な形式で出力する装置である。
【0020】
通信装置204は、所定のプロトコルに従って、他の装置との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。また、通信装置204は、例えば、USB(Universal Serial Bus)等のシリアルインターフェースを含んでもよい。
【0021】
CPU201が実行するプログラムの一部またはすべては、非一時的記憶媒体であるリムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリなど)又は、非一時的記憶装置を備える外部計算機からネットワークを介して配車計画サーバ101に提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性の補助記憶装置202に格納されてもよい。このため、配車計画サーバ101は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。これは、登録端末102及び車載端末103についても同様である。
【0022】
配車計画サーバ101は、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された複数の計算機上で構成される計算機システムであり、同一の計算機上で別個のスレッドで動作してもよく、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。これは、登録端末102及び車載端末103についても同様である。
【0023】
CPU201は、例えば、端末通信機能211、ルート作成機能212、配車計画作成機能213、及び移動時間計算機能214を有する。
【0024】
端末通信機能211は、登録端末102や車載端末103と通信を行って情報の送受信を実行し、必要に応じて当該送受信した情報を出力装置206に表示したり、別システムに当該送受信した情報を送信したりする。ルート作成機能212は、車両が通過するルート(出発地である施設を出発し、各利用者の送迎場所を順に訪問して利用者を迎車し、施設へと戻るルート)を1つ以上作成する。配車計画作成機能213は、ルート作成機能212が作成したルートに基づいて、全ての送迎場所を経由するルートの組み合わせを1つ以上生成し、配車計画を生成する。移動時間計算機能214は、車載端末103から送信される車両位置情報に基づいて、車両の移動時間を計算する。
【0025】
例えば、CPU201は、メモリ203にロードされた端末通信プログラムに従って動作することで、端末通信機能211として機能し、メモリ203にロードされたルート作成プログラムに従って動作することで、ルート作成機能212として機能する。CPU201に含まれる他の機能部についても、プログラムと機能部の関係は同様である。
【0026】
なお、CPU201に含まれる機能部による機能の一部又は全部が、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0027】
補助記憶装置202は、例えば、利用者情報221、来館予定情報222、車両情報223、車両利用情報224、及び移動時間情報225を保持する。
【0028】
利用者情報221は、迎車の対象物である利用者ごとの送迎場所および属性に関する情報である。来館予定情報222は、利用者ごとの迎車希望時刻(時間帯)に関する情報である。車両情報223は、車両ごとの使用条件に関する情報である。車両利用情報224は、車両ごとの利用可能な時間帯を示す情報である。移動時間情報225は、移動時間計算機能214によって計算された車両の移動時間、例えば車両が各利用者の送迎場所間を移動する際の所要時間に関する情報である。これらの情報は、CPU201の制御により、必要に応じて補助記憶装置202から読み出され、メモリ203に一時的に記憶されてCPU201の処理に利用される。すなわち、メモリ203は、CPU201の制御により、利用者情報221、来館予定情報222、車両情報223、車両利用情報224、及び移動時間情報225を一時的に保持することができる。
【0029】
なお、補助記憶装置202に格納されている一部又は全部の情報は、メモリ203に格納されていてもよいし、配車計画サーバ101に接続されているデータベースに格納されていてもよい。
【0030】
図3は、登録端末102の構成例を示すブロック図である。登録端末102は、例えば、CPU301、補助記憶装置302、メモリ303、通信装置304、入力装置305、及び出力装置306を有するコンピュータによって構成される。
【0031】
CPU301、補助記憶装置302、メモリ303、通信装置304、入力装置305、及び出力装置306のハードウェアとしての説明は、
図2のCPU201、補助記憶装置202、メモリ203、通信装置204、入力装置205、及び出力装置206のハードウェアとしての説明と同様であるため省略する。
【0032】
CPU301は、例えば、サーバ通信機能311を含む。サーバ通信機能311は、配車計画サーバ101と通信して、情報の送受信を実行し、必要に応じて当該送受信した情報を出力装置306に表示したり、別システムに当該送受信した情報を送信したりする。
【0033】
補助記憶装置302は、例えば、配車計画情報321を保持する。配車計画情報321は、配車計画サーバ101から受信した配車計画を示す情報である。なお、配車計画情報321の一部又は全部は、補助記憶装置302ではなくメモリ303に格納されていてもよい。
【0034】
図4は、車載端末103の構成例を示すブロック図である。車載端末103は、例えば、CPU401、補助記憶装置402、メモリ403、通信装置404、入力装置405、及び出力装置406を有するコンピュータによって構成される。
【0035】
CPU401、補助記憶装置402、メモリ403、通信装置404、入力装置405、及び出力装置406のハードウェアとしての説明は、
図2のCPU201、補助記憶装置202、メモリ203、通信装置204、入力装置205、及び出力装置206のハードウェアとしての説明と同様であるため省略する。
【0036】
CPU401は、例えば、サーバ通信機能411を含む。サーバ通信機能411は、配車計画サーバ101と通信して、情報の送受信を実行し、必要に応じて当該送受信した情報を出力装置406に表示したり、別システムに当該送受信した情報を送信したりする。
【0037】
補助記憶装置402は、例えば、配車計画情報421及び車両位置情報422を保持する。配車計画情報421は、配車計画サーバ101から受信した配車計画を示す情報である。車両位置情報422は、所定時間ごとの車両の位置情報である。例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)等を利用して測位を行う測位センサが車載端末103に搭載されており、この測位センサから所定時間ごとに取得した車両の位置情報が、車両位置情報422として補助記憶装置402に格納され、サーバ通信機能411により車載端末103から配車計画サーバ101へ送信される。なお、配車計画情報421や車両位置情報422の一部又は全部は、補助記憶装置402ではなくメモリ403に格納されていてもよい。
【0038】
続いて、配車計画サーバ101における利用者情報221、来館予定情報222、車両情報223、及び車両利用情報224の具体例について、
図5~
図9を参照して以下に説明する。
【0039】
図5は、利用者情報221の一例を示す図である。利用者情報221は、例えば、名前欄2211、送迎場所欄2212、車いす使用欄2213、車両制限欄2214、添乗員の有無欄2215、同乗グループ欄2216、及び同乗不可欄2217を含む。名前欄2211は、各利用者の氏名を示す情報を保持する。送迎場所欄2212は、各利用者の送迎場所(住所、緯度、経度等)を示す情報を保持する。車いす使用欄2213は、各利用者の車いす使用の有無を示す情報を保持する。車両制限欄2214は、各利用者の車両ごとの乗車の可否を示す情報を保持する。添乗員の有無欄2215は、各利用者が乗車時に添乗員の付き添いを必要とするか否かの情報を保持する。同乗グループ欄2216は、各利用者がいずれかの同乗グループに属する場合に、当該同乗グループの情報を保持する。同乗グループとは、施設が送迎効率を考慮して同じ車両に乗車させた方が良いと考える利用者のグループや、同じ車両に乗りたいと要望した利用者同士のグループであり、夫婦や親族などを含んでも良い。同乗不可欄2217は、利用者同士や施設側の都合により同じ車両には乗車できない利用者の組み合わせがある場合に、当該利用者の組み合わせの情報を保持する。
【0040】
配車計画サーバ101では、例えば、上記の同乗グループ欄2216及び同乗不可欄2217の情報により、各利用者と他の利用者との同乗の可否に関する同乗条件の情報が示される。
【0041】
図6は、同乗グループの設定例を示す図である。配車計画サーバ101では、予め定義された同乗グループに従って、例えば
図6に示すような同乗グループを設定し、これに応じた内容を、
図5の利用者情報221における同乗グループ欄2216に格納することができる。
【0042】
図7は、来館予定情報222の一例を示す図である。来館予定情報222は、例えば、名前欄2221及び迎車希望時間帯欄2222を含む。名前欄2221は、各利用者の氏名を示す情報を保持する。迎車希望時間帯欄2222は、各利用者が希望する迎車時間の範囲、すなわち、車両が各利用者の送迎場所を訪問するときの時間帯に対する各利用者の希望条件を示す情報を保持する。
【0043】
図8は、車両情報223の一例を示す図である。車両情報223は、例えば、車両名欄2231、通常席数欄2232、車いす席数欄2233、及び荷物積載数欄2234を含む。車両名欄2231は、各車両を識別するための車両名を示す情報を保持する。通常席数欄2232は、各車両が備える通常の座席数を示す情報を保持する。車いす席数欄2233は、各車両が備える車いす用の座席数を示す情報を保持する。荷物積載数欄2234は、各車両が積載可能な荷物の数を示す情報を保持する。例えば車いすを折りたたんだ場合の大きさを基準として、車いす何台分に相当する荷物が当該車両に積載可能かを、荷物積載数欄2234に示すことができる。
【0044】
図9は、車両利用情報224の一例を示す図である。車両利用情報224は、例えば、車両名欄2241及び利用可否欄2242を含む。車両名欄2241は、各車両を識別するための車両名を示す情報を保持する。利用可否欄2242は、時間帯ごとに各車両が利用可能であるか否かを示す情報を保持する(例えば、「7:00」の列には、7:00から7:15までの間に各車両が利用可能であるか否かを示す情報が格納されている)。
【0045】
なお、本実施形態において、配車計画サーバ101が使用する情報は、データ構造に依存せずどのようなデータ構造で表現されていてもよい。
図5~
図9の例ではテーブル形式で各情報が表現されているが、例えば、リスト、データベース又はキューから適切に選択したデータ構造体により、情報を格納することができる。また、登録端末102や車載端末103が使用する情報についても同様である。
【0046】
続いて、配車計画サーバ101における処理の流れについて、
図10~
図17を参照して以下に説明する。
【0047】
図10は、配車計画サーバ101による全体処理の一例を示すシーケンス図である。なお、
図10に示す全体処理は、例えば、配車計画を作成する日ごとに実行される。登録端末102のサーバ通信機能311は、例えば、入力装置305を介して、利用者情報、来館予定情報、車両情報、及び車両利用情報等を含む乗車条件情報の入力を、登録端末102のユーザから受け付ける。そして、入力された利用者情報(S101)、来館予定情報(S102)、車両情報(S103)、及び車両利用情報(S104)を、配車計画サーバ101に送信する。
【0048】
配車計画サーバ101の端末通信機能211は、受信した利用者情報、来館予定情報、車両情報、及び車両利用情報を、それぞれ、利用者情報221(S105)、来館予定情報222(S106)、車両情報223(S107)、及び車両利用情報224(S108)として、補助記憶装置202に格納する。
【0049】
ルート作成機能212は、利用者情報221(S109)、来館予定情報222(S110)、車両情報223(S111)、及び移動時間情報225(S112)を参照して、ルート作成処理を実行する(S113)。ステップS113のルート作成処理の詳細については後述する。
【0050】
配車計画作成機能213は、車両利用情報224(S114)及びステップS113のルート作成処理で作成されたルートに基づいて、配車計画作成処理を実行する(S115)。ステップS115の配車計画作成処理の詳細については後述する。端末通信機能211は、配車計画作成機能213がステップS115で作成した配車計画の情報を、登録端末102及び車載端末103に送信する(S116)。この情報は、登録端末102及び車載端末103において、配車計画情報321、421として補助記憶装置302、402にそれぞれ格納される。
【0051】
車載端末103のサーバ通信機能411は、例えば、補助記憶装置402に記憶された車両位置情報422を、一定時間ごとに配車計画サーバ101に送信する(S117)。配車計画サーバ101の移動時間計算機能214は、受信した車両位置情報422に基づいて、移動時間計算処理を実行する(S118)。ステップS118の移動時間計算処理では、例えば、今回の車両位置情報422が示す各地点間での車両の移動時間を計算する。そして、得られた計算結果を用いて、移動時間情報225を更新する(S119)。例えば、今回の計算結果と、これまでに得られた過去の計算結果とに基づき、加重平均等の統計処理を行うことで、移動時間情報225を更新することができる。
【0052】
図11は、ルート作成処理の一例を示すフローチャートである。ルート作成機能212は、来館予定情報222に含まれる利用者総数n人からj人(j=1,・・・,n)を取り出す各順列に対応するルート候補を作成する(S1101)。
【0053】
図12は、ステップS1101におけるルート候補作成の一例を示す説明図である。ステップS1101では、利用者情報221に含まれる各利用者の送迎場所の情報及び来館予定情報222に基づいて、一定の条件を満たす利用者同士を同一のグループに分類するクラスタリング処理を行い、その処理結果を示すクラスタリング情報を生成する。そして、生成したクラスタリング情報と、利用者情報221、来館予定情報222、車両情報223、及び移動時間情報225とに基づいて、来館予定情報222に含まれる利用者総数n人からj人(j=1,・・・,n)を取り出す(重複を許さない)順列を全て算出し、算出した順列それぞれに対応するルート候補を全て生成する。これにより、理論上可能な全ての利用者の迎車順序(例えば、車両が、出発地である施設を出発して、順列が示す利用者の順序で各利用者の送迎場所を訪問し、利用者それぞれを迎車して施設へと戻る、という順序)について、ルート候補をそれぞれ作成することができる。
【0054】
図13は、クラスタリング処理の一例を示す説明図である。クラスタリング処理では、利用者情報221に含まれる各利用者の送迎場所の情報及び来館予定情報222に基づいて、同日の同じ時間帯に施設への来館予定がある複数の利用者のうち、近傍の利用者同士を同じグループにまとめる。具体的には、例えば
図13に示すように、利用者情報221が示す送迎場所間の移動時間が所定値(例えば1分)以内であり、かつ、来館予定情報222が示す迎車希望時刻の差が所定の範囲内である利用者同士を、同一のグループに分類する。この場合、利用者1,2,3及び4がグループaに、利用者5及び6がグループbにそれぞれ分類される。なお、送迎場所間の移動時間の代わりに、送迎場所間の距離が所定値(例えば500m)以内であることを、同一グループにまとめる利用者同士の条件としても良い。
【0055】
クラスタリング処理によって複数の利用者がまとめられた各グループは、ステップS1101でルート候補を作成する際に、それぞれが一体不可分の利用者のセットとして取り扱われる。例えば
図13の場合、グループaに属する利用者1,2,3及び4の送迎場所を全て含むか、又は全て含まないように、各ルート候補が作成される。同様に、グループbに属する利用者5及び6の送迎場所を全て含むか、又は全て含まないように、各ルート候補が作成される。これにより、近傍の利用者同士が別便のルートに割り当てられて無駄な送迎が発生することを防止することができる。また、複数の利用者をセット化して取り扱うことで、送迎順序を意識せずに、作成されるルート候補を減らして効率化が可能となる。
【0056】
図11の説明に戻る。ルート作成機能212は、ステップS1101で作成した複数のルート候補のうち、利用者n人から1人を取り出す各順列に対応するルート候補、すなわち、車両が出発地である施設を出発して、1名のみの利用者に対応する送迎場所を訪問し、当該1名のみの利用者を迎車して施設に戻るルート候補を、採用ルートに決定する(S1102)。
【0057】
次にルート作成機能212は、変数kに初期値k=2をセットする(S1103)。続いてルート作成機能212は、現在の変数kの値に基づき、ステップS1101で作成した複数のルート候補がそれぞれ表す順列のうち、利用者n人からk人を取り出す順列を抽出し、これらの各順列のうちで未選択の順列に対応するルート候補を1つ選択する(S1104)。そして、選択したルート候補に対して採用ルート決定処理を実行する(S1105)。この採用ルート決定処理では、選択したルート候補に基づき、車両が出発地である施設を出発して、k人又はそれ以下の各利用者に対応する送迎場所を訪問し、各利用者を迎車して施設に戻るルートであり、かつ、利用者情報221、来館予定情報222、及び車両情報223によって示された乗車条件を全て満たすルートを作成して、採用ルートに決定する。なお、ステップS1105で実行される採用ルート決定処理の詳細については後述する。
【0058】
採用ルート決定処理の実行後、ルート作成機能212は、利用者n人からk人を取り出す順列の全てを選択済みであるかを判定する(S1106)。ルート作成機能212は、利用者n人からk人を取り出す順列のうち未選択のものがあると判定した場合(S1106:No)、ステップS1104に戻る。
【0059】
ルート作成機能212は、利用者n人からk人を取り出す順列の全てを選択済みであると判定した場合(S1106:Yes)、k=nであるかを判定する(S1107)。ルート作成機能212は、k=nでないと判定した場合(S1107:No)、変数kに1を加えることでk=k+1をセットし(S1108)、ステップS1104に戻る。ルート作成機能212は、k=nであると判定した場合(S1107:Yes)、ルート作成処理を終了する。
【0060】
図14は、採用ルート決定処理の一例を示すフローチャートである。ルート作成機能212は、まず変数iに初期値i=2をセットする(S1401)。続いてルート作成機能212は、車両情報223を参照し、いずれかの車両を選択する(S1402)。その後、ステップS1403~S1413では、
図11のステップS1104で選択したルート候補に対して、以下に説明するような処理を実行することで、当該ルート候補が様々な乗車条件を満たすかどうかの判定を行う。
【0061】
ルート作成機能212は、ステップS1402で選択した車両について、選択中のルート候補におけるi番目の利用者が車両制限を満たすか否かを判定する(S1403)。ここでは例えば、利用者情報221の車両制限欄2214を参照し、選択中の車両が当該利用者が乗車可能な車両であるか否かを判定する。その結果、車両制限を満たす場合は(S1403:Yes)、ステップS1404に遷移し、満たさない場合は(S1403:No)、ステップS1406に遷移する。
【0062】
ルート作成機能212は、ステップS1402で選択した車両について、選択中のルート候補におけるi番目までの利用者の合計数が、当該車両の通常席数以下であるか否かを判定する(S1404)。ここでは例えば、車両情報223の通常席数欄2232を参照することで選択中の車両が有する通常の席数を取得し、1番目からi番目までの利用者の合計数が取得した通常席数以下であるか否かを判定する。その結果、利用者の合計数が通常席数以下の場合は(S1404:Yes)、ステップS1405に遷移し、通常席数よりも大きい場合は(S1404:No)、ステップS1406に遷移する。
【0063】
ルート作成機能212は、ステップS1402で選択した車両について、選択中のルート候補におけるi番目までの利用者のうち車いすを使用する利用者の合計数が、当該車両の車いす用席数以下であるか否かを判定する(S1405)。ここでは例えば、車両情報223の車いす席数欄2233を参照することで選択中の車両が有する車いす用の席数を取得するとともに、利用者情報221の車いす使用欄2213を参照することで、i番目までの各利用者について車いす使用の有無を判断し、1番目からi番目までの利用者のうち車いすを使用する利用者の合計数を算出する。そして、算出した車いす使用の利用者の合計数が取得した車いす用席数以下であるか否かを判定する。その結果、車いす使用の利用者の合計数が車いす用席数以下の場合は(S1405:Yes)、ステップS1407に遷移し、車いす用席数よりも大きい場合は(S1405:No)、ステップS1406に遷移する。なお、車いす使用の利用者であっても通常の座席に乗車可能であり、車いすをたたんで車両に積載できる場合は、利用者情報221の荷物積載数欄2234を参照することで当該車両の車いすの積載可能数を判断し、これを車いす用席数に加えてステップS1405の判定を行っても良い。
【0064】
ルート作成機能212は、ステップS1402で選択した車両とは別の車両を選択可能であるか否かを判定する(S1406)。ここでは例えば、車両情報223を参照して未選択の車両の有無を判断する。その結果、未選択の車両がある場合は別車両を選択可能と判定し(S1406:Yes)、ステップS1402に戻って未選択の車両のいずれかを選択した後、当該車両についてステップS1403~S1405の処理を繰り返す。一方、全ての車両を選択済みの場合は別車両を選択不可と判定し(S1406:No)、ステップS1414に遷移する。
【0065】
ルート作成機能212は、選択中のルート候補におけるi番目の利用者が他の各利用者との同乗条件を満たすか否かを判定する(S1407)。ここでは例えば、利用者情報221の同乗不可欄2217を参照し、1番目から(i-1)番目までの利用者の中で、i番目の利用者について同乗不可に設定された利用者の有無を判定する。その結果、同乗不可に設定された利用者がいない場合は、同乗条件を満たすと判定して(S1407:Yes)ステップS1408に遷移し、同乗不可に設定された利用者がいる場合は(S1407:No)、ステップS1414に遷移する。
【0066】
ルート作成機能212は、選択中のルート候補における各利用者の乗車時間増加率、すなわち、選択中のルート候補によって各利用者がどれ程遠回りすることになるかを示す指標を算出する(S1408)。ここでは例えば、利用者情報221の送迎場所欄2212に示された各利用者の送迎場所、及び移動時間情報225に基づき、1番目からi番目までの各利用者について、車両が各利用者の送迎場所から施設へ直行する場合の移動時間(直行移動時間)と、車両が各利用者の送迎場所を順に訪問して施設へ向かう場合の各利用者の送迎場所から施設までの移動時間(ルート移動時間)とを算出する。そして、利用者ごとの直行移動時間に対するルート移動時間の割合を求めることで、各利用者の乗車時間増加率を算出することができる。
【0067】
ルート作成機能212は、1番目からi番目までの利用者の全てについて、ステップS1408で算出した乗車時間増加率が所定値以下であるか否かを判定する(S1409)。全ての利用者の乗車時間増加率が所定値、例えば2以下である場合は(S1409:Yes)、ステップS1410に遷移し、少なくともいずれか1人の利用者の乗車時間増加率が所定値を超える場合は(S1409:No)、ステップS1414に遷移する。
【0068】
ルート作成機能212は、選択中のルート候補におけるi番目までの各利用者の乗車時間が所定値以下であるか否かを判定する(S1410)。ここでは例えば、ステップS1408で乗車時間増加率を算出する際に求めた各利用者のルート移動時間を乗車時間として、この値が所定値、例えば1時間以下であるか否かを判定する。その結果、全ての利用者の乗車時間が所定値以下である場合は(S1410:Yes)、ステップS1411に遷移し、少なくともいずれか1人の利用者の乗車時間が所定値を超える場合は(S1410:No)、ステップS1414に遷移する。
【0069】
ルート作成機能212は、選択中のルート候補におけるi番目の利用者の迎車予定時刻を算出する(S1411)。ここでは例えば、利用者情報221の送迎場所欄2212に示された各利用者の送迎場所、及び移動時間情報225に基づき、出発地である施設から1番目の利用者の送迎場所までの移動時間と、1番目からi番目までの各利用者の送迎場所間の移動時間とを算出する。そして、出発時刻を設定し、出発時刻にこれらの移動時間を加算することにより、i番目の利用者の迎車予定時刻を算出することができる。
【0070】
ルート作成機能212は、選択中のルート候補におけるi番目の利用者について、ステップS1411で算出した迎車予定時刻と当該利用者の迎車希望時刻との差が所定値以下であるか否かを判定する(S1412)。ここでは例えば、来館予定情報222の迎車希望時間帯欄2222を参照することでi番目の利用者の迎車希望時間帯を取得し、算出した迎車予定時刻と比較する。その結果、迎車予定時刻が迎車希望時間帯の範囲内にあるか、又は迎車予定時刻が迎車希望時間帯から外れていてもその差が所定値、例えば30分以下である場合は(S1412:Yes)、ステップS1413に遷移し、迎車予定時刻と迎車希望時間との差が所定値を超える場合は(S1412:No)、ステップS1414に遷移する。
【0071】
ルート作成機能212は、選択中のルート候補におけるi番目の利用者の送迎場所がルート形状条件を全て満たすかを判定する(S1413)。なお、ステップS1413において、ルート作成機能212は、重複する利用者についてのルート形状条件については重複して判定する必要はない。その理由は、例えば、利用者1、利用者2、利用者3、利用者4という順列P1に対応するルート候補と、利用者1、利用者2、利用者4、利用者3という順列P2に対応するルート候補と、において、利用者2についてのルート形状条件はいずれも同じであり(利用者2に対応する迎車場所に到達するまでのルートがいずれも同じであるため)、一方のルート候補においてのみ利用者2についてのルート形状条件を判定すればよいためである。以下、ルート形状条件について説明する。
【0072】
図15は、ルート形状条件の一例を示す説明図である。
図15の例は、車両が出発地を出発して、送迎場所A、送迎場所B、送迎場所C、送迎場所Dの順で送迎場所を訪問した後に出発地に戻るルートにおけるルート形状条件の確認例である。
【0073】
1番目の送迎場所である送迎場所Aについてのルート形状条件はない。2番目以降の送迎場所である、送迎場所B、送迎場所C、及び送迎場所Dについてのルート形状条件は、例えば、選択可能エリア1501に各送迎場所が含まれていることを含む。
【0074】
図15の例では、選択可能エリア1501は、2つの長方形が結合した形状(T字を右に90度回転させたような形状)である。当該2つの長方形のうち一方の長方形は、長さ2Wの辺と、長さLの辺(但し出発地と送迎場所A(出発地から最も遠い送迎場所)とを結んだ線分(以下、線分lとも呼ぶ)の長さを2Lとする)と、によって定義され、長さ2W(Wは、例えば予め定められている)の一方の辺の中点が出発地に位置し、長さ2Wの他方の辺の中点が線分lの中点に位置する。また、当該2つの長方形のうち他方の長方形は、長さ4Wの辺と、長さLの辺と、によって定義され、長さ4Wの一方の辺の中点が1番目の送迎場所Aに位置し、長さ4Wの他方の辺の中点が線分lの中点に位置する。
【0075】
このように、選択可能エリア1501は、例えば、出発地から遠くなるほど線分lに対する垂直方向の幅が広くなるよう定められる。従って、例えば、選択可能エリア1501は、出発地を頂点として含み、線分lに垂直な長さ2Wの線分であって、1番目の送迎場所Aを中点が通る長さ2Lの線分、を当該頂点の対辺とする二等辺三角形、等であってもよい。選択可能エリア1501がこれらのような形状であることにより、出発地に近いエリアほど車両が移動可能な(線分lに対する垂直方向の)幅が狭まるため、利用者を乗せた車両が出発地へ戻っているときに車両が無駄な移動をしていないと利用者に感じさせることができる。なお、選択可能エリア1501は、線分lに対する垂直方向の幅が定められた所定のエリアであってもよい。つまり、選択可能エリア1501は、例えば、出発地から遠くなるほど線分lに対する垂直方向の幅が、狭くなるように定められていてもよいし、一定であるように定められていてもよいし、狭くなったり広くなったりを繰り返すように定められていてもよい。
【0076】
また、2番目以降の送迎場所である、送迎場所B、送迎場所C、及び送迎場所Dについてのルート形状条件は、当該送迎場所の出発地からの距離が、1つ前の送迎場所の出発地からの距離より短いことを含んでもよい。これにより、1人でも利用者が乗車した後には、出発地に近づくルートが選択され、利用者を乗せた車両が出発地へ戻っているときに車両が無駄な移動をしていないと利用者に感じさせることができる。
【0077】
また、2番目以降かつ最後を除く送迎場所についてのルート形状条件は、当該送迎場所と、1つ前の送迎場所と、1つ次の送迎場所と、の角度が所定の範囲であることを含んでもよい。つまり、
図15の例では、2番目の送迎場所Bについての角度ABCと、3番目の送迎場所Cについての角度BCDと、はそれぞれ当該所定の範囲内になければルート形状条件を満たさない。当該所定の範囲は、例えば、100度以上かつ180度以下であったり、鈍角であったりすればよい。ルート形状条件が、当該角度が所定の範囲であることを含むことにより、一度訪れた送迎場所に近い位置に戻る方向のルートが選択されなくなり、利用者を乗せた車両が出発地へ戻っているときに車両が無駄な移動をしていないと利用者に感じさせることができる。
【0078】
また、2番目以降の送迎場所である、送迎場所B、送迎場所C、及び送迎場所Dについてのルート形状条件は、来館予定情報222が示す迎車希望時間帯を満たすことを含む。ルート作成機能212は、送迎場所Bについては、例えば、1番目の送迎場所Aの位置と2番目の送迎場所Bの位置から算出される移動時間を、来館予定情報222が示す1番目の送迎場所Aに対応する利用者の迎車希望時間帯に加えた時間帯が、来館予定情報222が示す2番目の送迎場所Bに対応する利用者の迎車希望時間帯と重複するかを判定することにより、当該ルート形状条件が満たされるかを確認すればよい。これにより、各ルートにおいて、車両が各送迎場所に停車する時間帯(時刻)、出発地を出発する時間帯(時刻)、出発地に到着する(戻ってくる)時間帯(時刻)が特定される。
【0079】
図14の説明に戻る。ルート作成機能212は、選択中のルート候補におけるi番目の利用者の送迎場所がルート形状条件を全て満たすと判定した場合は(S1413:Yes)、ステップS1415に遷移し、少なくともいずれか1つのルート形状条件を満たさない場合は(S1413:No)、ステップS1414に遷移する。
【0080】
ルート作成機能212は、選択中のルート候補におけるi番目の利用者を、当該ルート候補に基づくルートからの削除対象に決定し(S1414)、ステップS1415に遷移する。
【0081】
ルート作成機能212は、i=kであるかを判定する(S1415)。i=kでないと判定した場合(S1415:No)、変数iに1を加えることでi=i+1をセットし(S1416)、ステップS1403に戻る。i=kであると判定した場合(S1415:Yes)、ステップS1417に遷移する。
【0082】
ルート作成機能212は、選択中のルート候補から、ステップS1414で削除対象に決定された利用者を削除し、採用ルートに決定する(S1417)。このとき、ステップS1414を一度も実行していない場合は、選択中のルート候補をそのまま採用ルートに決定すれば良い。
【0083】
ルート作成機能212は、ステップS1417の処理を実行したら、
図14のフローチャートに示す採用ルート決定処理を終了し、
図11のステップS1106に遷移する。その後は、ステップS1107においてk=nと判定されるまで、ステップS1105で採用ルート決定処理が繰り返し実行される。これにより、
図14のステップS1403~S1405、S1407、S1409、S1410、S1412、S1413の各判定条件によって示された乗車条件を全て満たすように、1つ以上のルートが作成される。
【0084】
なお、以上説明した
図14の採用ルート決定処理において、ステップS1403~S1405、S1407、S1409、S1410、S1412、S1413の各判定条件は必ずしも全てが必要ではなく、いずれかの判定条件を省略しても良い。また、さらに別の判定条件を追加しても良い。少なくともいずれか1つの判定条件を用いることにより、登録端末102によってユーザに指定された乗車条件を満たしつつ、それぞれが1以上の送迎場所を経由する複数のルートを生成することができる。
【0085】
図16は、配車計画作成処理の一例を示すフローチャートである。配車計画作成機能213は、
図14のステップS1417で採用されたルートそれぞれの評価値を算出する(S1601)。配車計画作成機能213は、以下に説明する第1評価値、第2評価値又は第3評価値のいずれかをステップS1601における評価値として算出してもよいし、第1評価値、第2評価値及び第3評価値のうちいずれか2つ、又はこれらの全てを統合した値を、ステップS1601における評価値として算出してもよい。第1評価値、第2評価値及び第3評価値は、利用者の満足度を示す指標である。
【0086】
第1評価値は、ルートにおける利用者の乗車時間が短いほどに高くなる値である。具体的には、例えば、ルートにおける利用者の最大乗車時間(1番目の利用者の乗車時間)が長いほど値が小さくなる減少関数によって第1評価値が定められる。利用者の最大乗車時間は、
図14のステップS1410で説明した方法により算出することができる。また、例えば、ルートにおける利用者全員の総乗車時間が長いほど値が小さくなる減少関数によって第1評価値が算出されてもよい。
【0087】
配車計画作成機能213が第1評価値に基づいて配車計画を作成することにより、利用者の乗車時間が短い配車計画が生成されやすくなり、利用者の満足度を向上させることができる。
【0088】
第2評価値は、ルートにおいて各利用者の送迎場所が互いに近い範囲に分布しているほどに高くなる値である。
図17は、第2評価値の算出方法の一例を示す説明図である。配車計画作成機能213は、例えば、出発地と1番目の送迎場所Aとを結ぶ直線を所定等分(
図17の例では4等分)した位置を通る垂線を生成する。これらの垂線によって分割されたグループごとに得点が予め定められ(1番目の送迎場所に近いグループほど得点が高く定められている)、配車計画作成機能213は、各送迎場所が属するグループの得点を合計することで、第2評価値を算出する。
図17の例におけるルートでは、送迎場所A及び送迎場所Bがグループ4に属し、送迎場所C及び送迎場所Dがグループ3に属しているため、8+8+4+4=24が第2評価値である。
【0089】
また、例えば、ルートにおける全ての送迎場所(ルートにおける所定割合以上の送迎場所としてもよい)が含まれる最小の円の半径が大きくなるほどに高い値となる増加関数によって第2評価値が算出されてもよい。また、例えば、1番目の送迎場所に対応する利用者の乗車時間に占める、1番目の送迎場所に対応する利用者が乗車してから最後の送迎場所に対応する利用者が乗車するまでの時間の割合が大きくなるほどに小さい値となる減少関数によって第2評価値が算出されてもよい。
【0090】
配車計画作成機能213が第2評価値に基づいて配車計画を作成することにより、各利用者の送迎場所の分布が近い範囲に集中しやすくなるため、車両が寄り道をしていない(遠回りをしていない)と利用者が感じ、ひいては利用者の満足度を向上させることができる。
【0091】
第3評価値は、ルートにおける各利用者の迎車予定時刻、すなわち車両が各利用者の送迎場所に到着する予定時刻と、各利用者の迎車希望時刻との差が小さくなるほどに、高くなる値である。具体的には、例えば、ルートにおける各送迎場所への到着予定時刻と迎車希望時刻との時間差を利用者ごとに算出し、各時間差の合計値を利用者の人数で割った値を、ルートの時間差分として求める。この時間差分が大きいほど値が小さくなる減少関数によって第3評価値が定められる。各利用者の迎車予定時刻と迎車希望時刻との時間差は、
図14のステップS1412で説明した方法により算出することができる。
【0092】
配車計画作成機能213が第3評価値に基づいて配車計画を作成することにより、迎車予定時刻が利用者の迎車希望時刻に近い配車計画が生成されやすくなり、利用者の満足度を向上させることができる。
【0093】
なお、配車計画作成機能213は、ステップS1601において第1評価値、第2評価値及び第3評価値を統合した値を評価値として算出する場合、例えば、これらの評価値を単に足した値や掛けた値を当該評価値として算出してもよいし、これらの評価値の重みづけ和を当該評価値として算出してもよいし、これらの評価値の偏差値の平均を当該評価値として算出する等により所定の統計量を用いてもよい。重み付け和を用いる場合、例えば第1評価値と第2評価値に対して、第3評価値の重み付けを小さくすることで、利用者の乗車時間や寄り道感を重視した配車計画を作成することができる。
【0094】
図16の説明に戻る。配車計画作成機能213は、車両利用情報224が示す利用可能車両によるルートの組み合わせを探索する(S1602)。具体的には、例えば、配車計画作成機能213は、各ルートについて、出発地を出発する時刻から出発地へと戻る時刻まで利用可能である車両(以下、単に利用可能車両とも呼ぶ)であって、各利用者の車両制限を満たす車両を、車両情報223及び車両利用情報224を参照して特定する。さらに、配車計画作成機能213は、全ての利用者の送迎場所を重複せずに含むルートの組み合わせ(1つ又は複数のルートからなる)であって、かつ利用可能車両が重複せずに割り当て可能なルートの組み合わせを、1つ以上特定する。
【0095】
配車計画作成機能213は、ステップS1602で特定したルートの組み合わせのうち、当該組み合わせに含まれるルートのステップS1601で算出した評価値の合計値が最も高い組み合わせを選択する(S1603)。
【0096】
配車計画作成機能213は、ステップS1603で選択したルートの組み合わせ、当該組み合わせに含まれるルートそれぞれに用いられる車両、並びに当該組み合わせに含まれるルートそれぞれにおいて車両が出発地を出発する時刻、各送迎場所に停車する時刻、及び出発地に戻る時刻等を含む配車計画を作成し(S1604)、
図16のフローチャートに示す配車計画作成処理を終了する。
【0097】
なお、
図10のステップS116において、端末通信機能211は、
図16のステップS1604で作成された配車計画を、登録端末102及び車載端末103に送信するとよい。登録端末102のサーバ通信機能311、及び車載端末103のサーバ通信機能411は、受信した配車計画を、例えば、配車計画情報321、421として補助記憶装置302、402にそれぞれ格納し、出力装置306、406にそれぞれ表示する。
【0098】
以上説明した本発明の実施形態によれば、以下の作用効果が得られる。
【0099】
(1)配車計画サーバ101は、1つ以上の車両で複数の利用者を所定の施設まで送迎するための配車計画を作成する装置であって、プロセッサであるCPU201とメモリ203とを含む。メモリ203は、利用者が車両に乗車する際の乗車条件に関する乗車条件情報を保持し、乗車条件情報は、利用者ごとの送迎場所および属性に関する利用者情報221と、利用者ごとの迎車希望時刻に関する来館予定情報222と、車両ごとの使用条件に関する車両情報223と、を含む。CPU201は、ルート作成機能212により、乗車条件情報に基づいて、それぞれが1以上の送迎場所を経由する複数のルートを生成し(S1101、S1105)、配車計画作成機能213により、全ての送迎場所を経由する、複数のルートに含まれるルートの組み合わせ、を1つ以上特定し(S1602)、特定したルートの組み合わせに基づいて配車計画を作成する(S1603~S1604)。このようにしたので、複合的な条件を満たす最適な配車計画を作成することができる。
【0100】
(2)利用者情報221は、車両制限欄2214において、各利用者の車両ごとの乗車の可否に関する車両制限の情報を含む。CPU201は、複数のルートそれぞれにおいて、当該ルートに対応する全ての利用者について車両制限を満たすように、複数のルートを生成する(S1403、S1414、S1417)。このようにしたので、各利用者の車両制限条件を満たすルートを生成し、これを用いて配車計画の作成を行うことができる。
【0101】
(3)利用者情報221は、同乗不可欄2217において、各利用者と他の利用者との同乗の可否に関する同乗条件の情報を含む。CPU201は、複数のルートそれぞれにおいて、当該ルートに対応する全ての利用者について同乗条件を満たすように、複数のルートを生成する(S1407、S1414、S1417)。このようにしたので、各利用者の同乗条件を満たすルートを生成し、これを用いて配車計画の作成を行うことができる。
【0102】
(4)車両情報223は、通常席数欄2232において、各車両が備える席数に関する情報を含む。CPU201は、複数のルートそれぞれにおいて、当該ルートに対応する利用者の合計数が、当該ルートに対して割り当て可能な車両が備える席数以下となるように、複数のルートを生成する(S1404、S1414、S1417)。このようにしたので、全ての利用者が確実に乗車可能なルートを生成し、これを用いて配車計画の作成を行うことができる。
【0103】
(5)利用者情報221は、車いす使用欄2213において、各利用者の車いす使用の有無に関する情報を含み、車両情報223は、車いす席数欄2233において、各車両が備える車いす用の席数に関する情報を含む。CPU201は、複数のルートそれぞれにおいて、当該ルートで車いすを使用する利用者の合計数が、当該ルートに対して割り当て可能な車両が備える車いす用の席数以下となるように、複数のルートを生成する(S1405、S1414、S1417)。このようにしたので、車いすを使用する全ての利用者が確実に乗車可能なルートを生成し、これを用いて配車計画の作成を行うことができる。
【0104】
(6)CPU201は、複数のルートそれぞれにおいて、当該ルートにおける各利用者の乗車時間増加率を算出し(S1408)、全ての利用者について乗車時間増加率が所定値以下となるように、複数のルートを生成する(S1409、S1414、S1417)。このようにしたので、全ての利用者にとって違和感の少ないルートを生成し、これを用いて配車計画の作成を行うことができる。
【0105】
(7)CPU201は、車両が各利用者の送迎場所から施設へ直行した場合の移動時間に対する当該ルートの移動時間の割合に基づいて乗車時間増加率を算出する(S1408)。このようにしたので、各利用者の送迎場所に対してルートがどの程度遠回りしているかを、容易かつ適切に算出することができる。
【0106】
(8)CPU201は、複数のルートそれぞれにおいて、当該ルートにおける各利用者の乗車時間が所定値以下となるように、複数のルートを生成する(S1410、S1414、S1417)。このようにしたので、乗車時間が長い利用者にとっても、その乗車時間が一定以下となるようにルートを生成し、これを用いて配車計画の作成を行うことができる。
【0107】
(9)CPU201は、複数のルートそれぞれにおいて、当該ルートにおける各利用者の迎車予定時刻を算出し(S1411)、全ての利用者について迎車予定時刻と迎車希望時刻との差が所定値以下となるように、複数のルートを生成する(S1412、S1414、S1417)。このようにしたので、各利用者の迎車希望時間に合わせてルートを生成し、これを用いて配車計画の作成を行うことができる。
【0108】
(10)CPU201は、利用者情報221における送迎場所の情報(送迎場所欄2212の情報)と、来館予定情報222とに基づいて、一定の条件を満たす利用者同士を同一のグループに分類するクラスタリング処理を行い、このクラスタリング処理の結果に基づいて複数のルートを生成する(S1101)。このようにしたので、複数の利用者に対して条件を満たすルートを効率的に生成することができる。
【0109】
(11)CPU201は、クラスタリング処理において、送迎場所間の距離または移動時間が所定値以内であり、かつ、迎車希望時刻の差が所定の範囲内である利用者同士を、同一のグループに分類する。このようにしたので、近傍の利用者同士をまとめて送迎可能なルートを確実に生成することができる。
【0110】
(12)CPU201は、各利用者の送迎場所が所定のルート形状条件を満たすように、複数のルートを生成する(S1413、S1414、S1417)。具体的には、例えば
図15に示すように、複数のルートそれぞれにおいて、順番に経由する3つの送迎場所によって定められる角度が所定の範囲となるように、複数のルートを生成する。また、利用者情報221を参照して、複数のルートそれぞれにおいて、車両の出発地から最も遠い送迎場所を除く各送迎場所が、出発地と出発地から最も遠い送迎場所とを結んだ線分に対する垂直方向の幅が定められた所定のエリアに含まれるように、複数のルートを生成する。このようにしたので、各利用者にとって車両が無駄な動きをしていないと感じさせることができる自然なルートを生成し、これを用いて配車計画の作成を行うことができる。
【0111】
(13)乗車条件情報は、車両の移動時間に関する移動時間情報225を含む。CPU201は、移動時間計算機能214により、車両から所定時間ごとに送信される車両の位置情報に基づいて移動時間情報225を更新する(S118、S119)。このようにしたので、車両が各送迎場所間を移動する際の移動時間を正確に推定してルート生成を行うことができる。
【0112】
(14)CPU201は、1つ以上のルートの組み合わせそれぞれについて、当該組み合わせに含まれる各ルートの評価値を、当該ルートにおける利用者の満足度に基づいて算出し(S1601)、ルートの組み合わせのうち満足度が最も高い組み合わせを選択し(S1603)、選択したルートの組み合わせに基づいて配車計画を作成する(S1604)。このようにしたので、各利用者にとって満足度が高い配車計画を作成することができる。
【0113】
(15)CPU201は、ルートの組み合わせそれぞれについて、当該組み合わせに含まれる各ルートでの利用者の乗車時間に基づいて満足度(第1評価値)を算出することができる。また、ルートの組み合わせそれぞれについて、当該組み合わせに含まれる各ルートでの送迎場所の分布に基づいて満足度(第2評価値)を算出することができる。さらに、ルートの組み合わせそれぞれについて、当該組み合わせに含まれる各ルートにおける各利用者の迎車予定時刻と迎車希望時刻との差に基づいて満足度(第3評価値)を算出することができる。このようにしたので、様々なルートの組み合わせにおける各利用者の満足度合いを示す満足度を、適切に算出することができる。
【0114】
なお、本実施形態では、車両利用情報224が
図9のデータ構造を有する例を説明したが、例えば
図18のようなデータ構造としても良い。
図18は、車両利用情報224の変形例を示す図である。車両利用情報224は、車両名欄2241及び利用可否欄2242に加えて、さらに総合車種欄2243を含んでも良い。総合車種欄2243は、共通の利用スケジュールを有する複数の車両(例えば、車両1と車両2)をまとめて1つの統合車種として示す情報を保持する。この統合車種の情報は、例えば配車計画作成機能213が配車計画を作成する際に利用される。車両スケジュールはある程度パターン化されるため、同一車種の同じスケジュールの車両を統合車種として集約することで、処理の効率化を図ることが可能となる。
【0115】
また、本実施形態では、配車計画サーバ101が、車両は出発地を出発して、送迎場所へと利用者を迎えに行って利用者を乗せ、最終的に出発地に戻ってくる配車計画(迎えの配車計画とも呼ぶ)を生成する例を説明したが、配車計画サーバ101は、利用者が乗車した車両が出発地を出発して、送迎場所へと利用者を送りに行って利用者を降車させ、乗車していた利用者全てを降車させると出発地に戻ってくる配車計画(送りの配車計画とも呼ぶ)を、本実施形態で説明した方法と同様の方法で生成してもよい。
【0116】
但し、配車計画サーバ101が送りの配車計画を生成するときには、迎えの配車計画を生成するときと比較して、以下の点が異なる。まず、
図11のステップS1101で算出されるルート候補それぞれが示すものが、当該ルート候補における各利用者を乗せた車両が、出発地を出発して、当該ルート候補の順列が示す利用者の順序で各送迎場所を訪問して利用者それぞれを降車させ、出発地へと戻るルートとなる点において異なる。また、迎えの配車計画生成における2番目以降の送迎場所についてのルート形状条件に含まれ得る、当該送迎場所の出発地からの距離が、1つ前の送迎場所の出発地からの距離より短いことという条件は、当該送迎場所の出発地からの距離が、1つ前の送迎場所の出発地からの距離より遠いことという条件に読み替えられる必要がある。これ以外にも、送りの配車計画に合わせて、
図11や
図14の処理において適宜変更が加えられる。
【0117】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれ得る。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある構成の一部を他の構成に置き換えることも可能であり、また、ある構成に他の構成を加えることも可能である。各構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0118】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0119】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0120】
上記の実施形態や変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0121】
101:配車計画サーバ、102:登録端末、103:車載端末、201:CPU、202:補助記憶装置、203:メモリ、204:通信装置、205:入力装置、206:出力装置、211:端末通信機能、212:ルート作成機能、213:配車計画作成機能、214:移動時間計算機能、221:利用者情報、222:来館予定情報、223:車両情報、224:車両利用情報、225:移動時間情報、301:CPU、302:補助記憶装置、303:メモリ、304:通信装置、305:入力装置、306:出力装置、311:サーバ通信機能、321:配車計画情報、401:CPU、402:補助記憶装置、403:メモリ、404:通信装置、405:入力装置、406:出力装置、411:サーバ通信機能、421:配車計画情報、422:車両位置情報