(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023184234
(43)【公開日】2023-12-28
(54)【発明の名称】フェライトコア内蔵コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/7193 20110101AFI20231221BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20231221BHJP
H01F 17/06 20060101ALI20231221BHJP
H01R 13/405 20060101ALI20231221BHJP
【FI】
H01R13/7193
H05K9/00 L
H01F17/06 D
H01R13/405
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098273
(22)【出願日】2022-06-17
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】橋本 侑希
(72)【発明者】
【氏名】西島 誠道
(72)【発明者】
【氏名】木村 章夫
【テーマコード(参考)】
5E021
5E070
5E087
5E321
【Fターム(参考)】
5E021FA04
5E021FA09
5E021FB20
5E021FC05
5E021FC19
5E021MA14
5E021MA29
5E021MB08
5E070AA01
5E070BA16
5E070DA02
5E070EA02
5E087EE14
5E087FF02
5E087GG02
5E087KK01
5E087KK04
5E087PP08
5E087QQ04
5E087RR02
5E087RR06
5E087RR07
5E087RR25
5E087RR47
5E087RR49
5E321AA32
5E321BB53
5E321GG09
(57)【要約】
【課題】フェライトコアの損傷を抑制して、使用する樹脂材料の選択自由度にも優れる、フェライトコア内蔵コネクタを開示する。
【解決手段】フェライトコア内蔵コネクタ10が、端子金具12と、端子金具12の周囲を囲って配置されるフェライトコア14と、端子金具12とフェライトコア14を収容するコネクタハウジング16と、を備え、コネクタハウジング16は、端子金具12を埋設状態で保持する第1樹脂部18と、第1樹脂部18およびフェライトコア14を埋設状態で保持する第2樹脂部20と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子金具と、
前記端子金具の周囲を囲って配置されるフェライトコアと、
前記端子金具と前記フェライトコアを収容するコネクタハウジングと、を備え、
前記コネクタハウジングは、前記端子金具を埋設状態で保持する第1樹脂部と、前記第1樹脂部および前記フェライトコアを埋設状態で保持する第2樹脂部と、を含む、
フェライトコア内蔵コネクタ。
【請求項2】
前記第2樹脂部が、PVCよりも高耐熱性の樹脂材料で設けられている、請求項1に記載のフェライトコア内蔵コネクタ。
【請求項3】
前記第1樹脂部の周囲を囲って前記フェライトコアが環状に配置されており、
前記第2樹脂部は、前記フェライトコアの内周面と前記第1樹脂部の対向面間を充填する充填部と、前記フェライトコアの外周面および一対の軸方向端面を被覆する外面被覆部とを一体的に備えている、請求項1または請求項2に記載のフェライトコア内蔵コネクタ。
【請求項4】
前記第1樹脂部の表面に、前記フェライトコアの前記内周面に向かって突出する突起部が設けられている、請求項3に記載のフェライトコア内蔵コネクタ。
【請求項5】
複数の前記突起部が、前記第1樹脂部の前記表面の周方向で相互に離隔して分散配置されている、請求項4に記載のフェライトコア内蔵コネクタ。
【請求項6】
前記外面被覆部が、前記フェライトコアを露出させる露出孔を含んでいる、請求項3に記載のフェライトコア内蔵コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フェライトコア内蔵コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車載部品間の送電におけるノイズを抑制する目的から、特許文献1に開示の如く、端子金具の周囲にフェライトコアを配置したフェライトコア内蔵コネクタが用いられている。ところで、フェライトコアを端子金具と共にインサート成形により合成樹脂製のコネクタハウジング内に埋設してコネクタを形成すると、樹脂硬化の際の収縮力の影響により、フェライトコアが損傷するおそれがあった。そこで、特許文献1では、コネクタハウジングよりも軟質の樹脂材からなる保護部により予め包囲されたコア成形体に端子金具を組み付けたものをインサート品としてコネクタハウジングを成形する対策が提案されている。これによれば、フェライトコアがコネクタハウジングよりも軟質な樹脂材からなる保護部により包囲されていることから、コネクタハウジングの成形時におけるコネクタハウジングの収縮力が保護部により吸収されて、フェライトコアの損傷を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の構造では、保護部をコネクタハウジングよりも軟質の樹脂材により形成する必要がある。それゆえ、例えば、コネクタに高い耐熱性が要求される場合には、保護部の樹脂材料により、耐熱要求を満たせない場合も起こり得る。それゆえ、さらなる改良が求められていた。
【0005】
そこで、フェライトコアの損傷を抑制して、使用する樹脂材料の選択自由度にも優れる、フェライトコア内蔵コネクタを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のフェライトコア内蔵コネクタは、端子金具と、前記端子金具の周囲を囲って配置されるフェライトコアと、前記端子金具と前記フェライトコアを収容するコネクタハウジングと、を備え、前記コネクタハウジングは、前記端子金具を埋設状態で保持する第1樹脂部と、前記第1樹脂部および前記フェライトコアを埋設状態で保持する第2樹脂部と、を含む、ものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、フェライトコアの損傷を抑制して、使用する樹脂材料の選択自由度にも優れる、フェライトコア内蔵コネクタを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るフェライトコア内蔵コネクタを、第1および第2樹脂部を透過状態で示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されたフェライトコア内蔵コネクタにおける平面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示されたフェライトコア内蔵コネクタを構成する端子金具を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図1に示されたフェライトコア内蔵コネクタを構成する第1樹脂部を端子金具の埋設状態で示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係るフェライトコア内蔵コネクタを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態3に係るフェライトコア内蔵コネクタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のフェライトコア内蔵コネクタは、
端子金具と、前記端子金具の周囲を囲って配置されるフェライトコアと、前記端子金具と前記フェライトコアを収容するコネクタハウジングと、を備え、前記コネクタハウジングは、前記端子金具を埋設状態で保持する第1樹脂部と、前記第1樹脂部および前記フェライトコアを埋設状態で保持する第2樹脂部と、を含む、ものである。
【0010】
本開示のフェライトコア内蔵コネクタによれば、コネクタハウジングが、端子金具を埋設状態で保持する第1樹脂部と、第1樹脂部およびフェライトコアを埋設状態で保持する第2樹脂部に分けて構成されている。それゆえ、端子金具を埋設状態で保持する第1樹脂部を一次モールド成形品として形成した後、一次モールド成形品とフェライトコアをインサート品として第2樹脂部を射出成形することにより、フェライトコア内蔵コネクタを二次モールド成形品として形成することができる。これにより、フェライトコアをインサート品として含む二次モールド成形品における樹脂量を第1樹脂部の分だけ削減できることから、第2樹脂部の樹脂材料の硬化時にフェライトコアに加えられる収縮力を低減して、フェライトコアの損傷を防止または抑制することができる。
【0011】
しかも、特許文献1のように、コネクタハウジングよりも軟質の樹脂材でフェライトコアを覆う必要もなく、第1樹脂部と第2樹脂部は任意の材料で設けることができる。それゆえ、樹脂材としてPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の比較的硬質で耐熱性が高い材料を選択しても、フェライトコアの損傷のリスクを低減することが可能となり、使用する樹脂材料の選択自由度にも優れる、フェライトコア内蔵コネクタを提供することができる。
【0012】
前記第2樹脂部が、PVCよりも高耐熱性の樹脂材料で設けられている、ことが好ましい。コネクタハウジングが第1樹脂部と第2樹脂部に分けて構成されることにより、樹脂の硬化時の収縮力のフェライトコアへの影響が低減されている。そのため、従来構造のようにフェライトコアをコネクタハウジングよりも軟質な樹脂材(PVC(ポリ塩化ビニル)等)で包囲する必要がなく、PVCよりも高耐熱性の樹脂材料でフェライトコアを包囲する第2樹脂部を設けることが可能となる。これにより、フェライトコア内蔵コネクタの耐熱性を改善し、耐熱性能に優れたフェライトコア内蔵コネクタを提供することができる。PVCよりも高耐熱性の樹脂材料には、好ましくは、PBT,PPS(ポリフェニレンスルファイド),PTFE(ポリテトラフルオロエチレン),PAI(ポリアミドイミド)等の熱可塑性樹脂やPI(ポリイミド樹脂)等の熱硬化性樹脂等が含まれる。
【0013】
前記第1樹脂部の周囲を囲って前記フェライトコアが環状に配置されており、前記第2樹脂部は、前記フェライトコアの内周面と前記第1樹脂部の対向面間を充填する充填部と、前記フェライトコアの外周面および一対の軸方向端面を被覆する外面被覆部とを一体的に備えている、ことが好ましい。第2樹脂部が充填部と外面被覆部を一体的に備えていることから、第1樹脂部の周囲にフェライトコアを安定して埋設状態に保持することができる。しかも、第2樹脂部が充填部と外面被覆部とを配置領域として備えていることから、各領域での樹脂量の調整を有利に行うことができる。
【0014】
前記第1樹脂部の表面に、前記フェライトコアの前記内周面に向かって突出する突起部が設けられている、ことが好ましい。第1樹脂部の表面に、フェライトコアの内周面に向かって突出する突起部が設けられていることから、樹脂厚が大きくなり易い第2樹脂部の充填部の樹脂量を突起部の容積分削減することができ、充填部における第2樹脂部の硬化時の収縮圧を低減して、フェライトコアの損傷の更なる抑制を達成することができる。
【0015】
複数の前記突起部が、前記第1樹脂部の前記表面の周方向で相互に離隔して分散配置されている、ことが好ましい。複数の突起部が、第1樹脂部の表面の周方向で相互に離隔して分散配置されていることから、複数の突起部による第2樹脂部の充填部の樹脂量の低減を図ることができる。さらに、各突起部を小さく設けることができ、第1樹脂部の硬化時に突起部のひけにより第1樹脂部が変形し、端子金具の位置ずれが生じる等の不具合の発生も未然に防止できる。
【0016】
前記外面被覆部が、前記フェライトコアを露出させる露出孔を含んでいる、ことが好ましい。露出孔により外面被覆部の樹脂量が削減されて、第2樹脂部の硬化時における収縮力によりフェライトコアの損傷を一層有利に防止または抑制できるからである。
【0017】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示のフェライトコア内蔵コネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0018】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1のフェライトコア内蔵コネクタ10について、
図1から
図6を用いて説明する。フェライトコア内蔵コネクタ10は、例えばモータとPCU(パワーコントロールユニット)とを接続するコネクタであり、フェライトコア内蔵コネクタ10における端子金具12の一方が図示しないモータに電気的に接続されるとともに、端子金具12の他方が図示しないPCUに電気的に接続されるようになっている。なお、フェライトコア内蔵コネクタ10は、任意の向きで配置することができるが、以下では、上方とは
図3中の上方、下方とは
図3中の下方、前方とは
図2中の左方、後方とは
図2中の右方、左方とは
図2中の上方、右方とは
図2中の下方として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0019】
<フェライトコア内蔵コネクタ10>
フェライトコア内蔵コネクタ10は、端子金具12と、端子金具12の周囲を囲って配置されるフェライトコア14と、端子金具12とフェライトコア14とを収容するコネクタハウジング16と、を備えている。また、コネクタハウジング16は、端子金具12を埋設状態で保持する第1樹脂部18と、第1樹脂部18およびフェライトコア14を埋設状態で保持する第2樹脂部20と、を含んでいる。なお、
図1では、第1樹脂部18および第2樹脂部20を、それぞれ内部の部材を透過させた状態で示している。
【0020】
<端子金具12>
図5にも示されるように、実施形態1では、端子金具12は複数設けられており、左方から順に第1の端子金具12a、第2の端子金具12b、第3の端子金具12cである。各端子金具12(第1~第3の端子金具12a~12c)は、それぞれバスバーにより構成されており、例えば銅や銅合金、アルミニウムやアルミニウム合金等の導電性を有する金属により形成されている。実施形態1では、第1~第3の端子金具12a~12cはそれぞれ凹凸等が設けられることなく、水平面(上下方向に直交する面)に対して平行に広がる平板形状とされている。特に、実施形態1では、第1~第3の端子金具12a~12cが全体として略一定の長さ方向寸法(前後方向寸法)および幅方向寸法(左右方向寸法)を有しており、それぞれ前後方向に延びている。
【0021】
第1~第3の端子金具12a~12cにおける前端部には、それぞれを板厚方向(上下方向)で貫通する略円形の前方貫通孔22が形成されている。また、第1~第3の端子金具12a~12cの後端部には、それぞれを板厚方向(上下方向)で貫通する略円形の後方貫通孔24が形成されている。これにより、第1~第3の端子金具12a~12cにおける一方の端部である前端部においてそれぞれ一方の端子部26が構成されており、各一方の端子部26が図示しないモータに電気的に接続されるようになっている。また、第1~第3の端子金具12a~12cにおける他方の端部である後端部においてそれぞれ他方の端子部28が構成されており、各他方の端子部28が図示しないPCUに電気的に接続されるようになっている。そして、第1~第3の端子金具12a~12cにおいて各一方の端子部26と各他方の端子部28との前後方向中間部分が、中間部30(それぞれ第1~第3の中間部30a~30c)とされている。
【0022】
実施形態1では、左右方向で並んで配置された第1~第3の端子金具12a~12cにおける前後方向中間部分(第1~第3の中間部30a~30c)において、第1の端子金具12aの左端から第3の端子金具12cの右端に至る左右方向寸法が、他の部分(例えば第1~第3の端子金具12a~12cにおける前端部や後端部)よりも小さくされている。
【0023】
すなわち、第1の端子金具12aにおける前後方向中間部分には、前端部および後端部に対して右方に突出する右方突出部32が、前端部および後端部に対して略クランク状に屈曲して設けられている。これにより、第1の端子金具12aにおける左端部において、右方突出部32の形成位置には、左方に開口する左側凹部33が形成されている。同様に、第3の端子金具12cにおける前後方向中間部分には、前端部および後端部に対して左方に突出する左方突出部34が、前端部および後端部に対して略クランク状に屈曲して設けられている。これにより、第3の端子金具12cにおける右端部において、左方突出部34の形成位置には、右方に開口する右側凹部35が形成されている。また、第2の端子金具12bにおける前後方向中間部分には、左右方向両端部において左右方向外方に開口する凹部が設けられており、これにより、前端部および後端部に対して幅方向寸法(左右方向寸法)が小さくされた狭幅部36が形成されている。
【0024】
これら右方突出部32、狭幅部36、左方突出部34は、それぞれ第1~第3の端子金具12a~12cの前後方向において略等しい位置に設けられており、それぞれ略等しい前後方向寸法を有している。すなわち、第1の端子金具12aにおける右方突出部32が、第2の端子金具12bにおいて狭幅部36を構成する左方の凹部に近接して(あるいは、右方突出部32が狭幅部36における左方の凹部に入り込んで)いる。また、第3の端子金具12cにおける左方突出部34が、第2の端子金具12bにおいて狭幅部36を構成する右方の凹部に近接して(あるいは、左方突出部34が狭幅部36における右方の凹部に入り込んで)いる。
【0025】
これにより、第1~第3の端子金具12a~12cにおいて、第1の端子金具12aの左端から第3の端子金具12cの右端に至る左右方向寸法が、右方突出部32、狭幅部36、左方突出部34の形成位置で、前端部および後端部に比して小さくされている。そして、この第1の端子金具12aの左端から第3の端子金具12cの右端に至る左右方向寸法が小さくされた部分において、左側凹部33および右側凹部35の内部の空間を含んで、フェライトコア14が配設される配設領域38が構成されている。
【0026】
<フェライトコア14>
図4等にも示されるように、フェライトコア14は全体として環状であり、フェライトコア14の内部空間39が、最大上下方向寸法に比して最大左右方向寸法の方が大きくなる横長の長円形状の断面を有している。また、フェライトコア14は所定の前後方向寸法を有しており、フェライトコア14の前後方向寸法が、配設領域38を構成する左右の凹部33,35における前後方向寸法よりも小さくされている。これにより、後述するように、フェライトコア14(上部および下部フェライトコア48,50)を、第1~第3の端子金具12a~12cを保持する第1樹脂部18の周囲に配置する際に、上部および下部フェライトコア48,50の周方向端部を左右の凹部33,35に挿し入れ易くなっている。フェライトコア14としては従来公知の材質が採用されるが、実施形態1では、フェライトコア14がMn-Zn系フェライトにより形成されている。
【0027】
このフェライトコア14は、第1~第3の端子金具12a~12cにおいて第1の端子金具12aの左端から第3の端子金具12cの右端に至る左右方向寸法が小さくされた部分において、右方突出部32、狭幅部36および左方突出部34を覆うように配設されている。すなわち、フェライトコア14は、右方突出部32、狭幅部36および左方突出部34を上方および下方からそれぞれ覆う上方部40および下方部42を備えている。また、フェライトコア14は、フェライトコア14の配設領域38において左側凹部33に挿し入れられる左方部44と、配設領域38において右側凹部35に挿し入れられる右方部46とを備えている。
【0028】
そして、これら上方部40と左方部44および右方部46とがそれぞれ上側接続部47aにより接続されているとともに、下方部42と左方部44および右方部46とがそれぞれ下側接続部47bにより接続されている。これら各上側接続部47aおよび各下側接続部47bはそれぞれ、上下方向および水平方向(上下方向に直交する方向)に対して傾斜して斜め方向に広がっている。
【0029】
実施形態1では、フェライトコア14が上下方向で分割可能とされており、フェライトコア14が、上側に位置する上部フェライトコア48と下側に位置する下部フェライトコア50とから構成されている。すなわち、上部フェライトコア48と下部フェライトコア50は何れも半割筒形状であり、上部フェライトコア48と下部フェライトコア50におけるそれぞれの周方向両端面が上下方向で相互に重ね合わされることで、それぞれの開口部が相互に覆われて長円形状の内部空間39が構成されている。
【0030】
要するに、上部フェライトコア48および下部フェライトコア50における周方向中間部分により、それぞれ所定の左右方向寸法を有するフェライトコア14の上方部40および下方部42が構成されている。また、上部フェライトコア48の周方向両側部部分により各上側接続部47aが構成されているとともに、下部フェライトコア50の周方向両側部分により各下側接続部47bが構成されている。そして、上部フェライトコア48および下部フェライトコア50におけるそれぞれの左方の周方向端部が重ね合わされることでフェライトコア14の左方部44が構成されている。同様に、上部フェライトコア48および下部フェライトコア50におけるそれぞれの右方の周方向端部が重ね合わされることでフェライトコア14の右方部46が構成されている。
【0031】
また、フェライトコア14の内周面52が、上部フェライトコア48の内周面52aと下部フェライトコア50の内周面52bとから構成されているとともに、フェライトコア14の外周面54が、上部フェライトコア48の外周面54aと下部フェライトコア50の外周面54bとから構成されている。さらに、フェライトコア14の一方の軸方向端面である前端面56が、上部フェライトコア48の前端面56aと下部フェライトコア50の前端面56bとから構成されているとともに、フェライトコア14の他方の軸方向端面である後端面58が、上部フェライトコア48の後端面58aと下部フェライトコア50の後端面58bとから構成されている。
【0032】
<コネクタハウジング16>
コネクタハウジング16は、前述のように、第1樹脂部18と第2樹脂部20とを含んで構成されている。これら第1樹脂部18および第2樹脂部20を構成する合成樹脂の材質は限定されるものではないが、何れも高耐熱性の樹脂材料で形成されることが好ましい。また、第1樹脂部18および第2樹脂部20を構成する合成樹脂の材質は相互に同じであってもよいし、相互に異なっていてもよい。実施形態1では、第1樹脂部18および第2樹脂部20が何れも、PVC(ポリ塩化ビニル)よりも高耐熱性を有する樹脂材料であるPBT(ポリブチレンテレフタレート)により設けられている。なお、PVCよりも高耐熱性の樹脂材料としては、例えばPBT,PPS(ポリフェニレンスルファイド),PTFE(ポリテトラフルオロエチレン),PAI(ポリアミドイミド)等の熱可塑性樹脂やPI(ポリイミド樹脂)等の熱硬化性樹脂等が挙げられて、第1樹脂部18および第2樹脂部20の材質として、これらの材質が好適に採用され得る。
【0033】
<第1樹脂部18>
図6に示されるように、第1樹脂部18は、各端子金具12(第1~第3の端子金具12a~12c)を埋設状態で保持している。具体的には、第1樹脂部18は、各端子金具12(第1~第3の端子金具12a~12c)における前後方向中間部分(第1~第3の中間部30a~30c)を略全面的に覆っている。換言すれば、第1~第3の端子金具12a~12cにおける各一方の端子部26(前方の端子部)が第1樹脂部18から前方に突出しているとともに、各他方の端子部28(後方の端子部)が第1樹脂部18から後方に突出している。実施形態1では、
図3,4にも示されるように、略一定の厚さ寸法を有する第1樹脂部18が、各端子金具12(第1~第3の端子金具12a~12c)における所定の領域(第1~第3の中間部30a~30c)の表面において、略全面にわたって固着されている。
【0034】
また、第1樹脂部18における後方部分における左右方向両端部分には、左右方向外方に突出する脚部59が設けられている。これら各脚部59は、第1の端子金具12aおよび第3の端子金具12cよりも左右方向外方に設けられており、各脚部59において、それぞれボルト挿通孔60を有する金属製のカラー62が設けられている。すなわち、一対のカラー62,62が、第1樹脂部18の後方部分において、第1の端子金具12aおよび第3の端子金具12cよりも左右方向外方で、第1樹脂部18における各脚部59により保持されている。これら各ボルト挿通孔60に挿通される図示しないボルトによって、フェライトコア内蔵コネクタ10が、各端子金具12における各一方の端子部26または各他方の端子部28に接続されるモータまたはPCU、あるいはこれらの間に配置される車載部品等に固定されるようになっている。
【0035】
実施形態1では、第1樹脂部18が、第1~第3の端子金具12a~12cおよび一対のカラー62,62を備える一体成形品(一次成形品64)として形成されている。要するに、第1樹脂部18の成形時に、第1樹脂部18の成形用キャビティ内に第1~第3の端子金具12a~12cおよび一対のカラー62,62をセットした状態で、第1樹脂部18を構成する樹脂材料(PBT)を射出して成形することで、
図6に示される一次成形品64が形成されるようになっている。
【0036】
ここで、第1樹脂部18において第1~第3の端子金具12a~12cにおける右方突出部32、狭幅部36および左方突出部34を覆う部分には、第1樹脂部18の表面である上面66aおよび下面66bから上下方向両側に突出する突起部68が設けられている。実施形態1では、第1樹脂部18の上面66aおよび下面66bにおいて、それぞれ複数(5つ)の突起部68が、第1樹脂部18の表面において周方向となる幅方向(左右方向)で相互に離隔して分散配置されている。各突起部68は相互に同形状であり、実施形態1では、各突起部68が略矩形平板状をもって形成されている。
【0037】
後述するように、第1樹脂部18において第1~第3の端子金具12a~12cにおける右方突出部32、狭幅部36および左方突出部34を覆う部分に対して、外周側にフェライトコア14(上部および下部フェライトコア48,50)が配置されることから、各突起部68は、フェライトコア14の内周面52に向かって突出している。要するに、上方に突出する各突起部68が、上部フェライトコア48の内周面52aに向かって突出しているとともに、下方に突出する各突起部68が、下部フェライトコア50の内周面52bに向かって突出している。換言すれば、第1~第3の端子金具12a~12cにおける右方突出部32、狭幅部36および左方突出部34と、これらを覆う第1樹脂部18および第1樹脂部18から上下方向外方に突出する各突起部68が、フェライトコア14の内部空間39に配置されている。このようにして、第1樹脂部18の周囲を囲ってフェライトコア14が環状に配置されている。
【0038】
なお、第1樹脂部18の表面(上面66aおよび下面66b)から上下方向外方に突出する各突起部68の突出先端は、フェライトコア14の内周面52(内周面52a,52b)に対して当接していてもよいし、所定の距離をもって離隔していてもよい。実施形態1では、各突起部68の突出先端は、フェライトコア14の内周面52(内周面52a,52b)に対して僅かな離隔距離をもって上下方向で対向している。
【0039】
<第2樹脂部20>
そして、第1~第3の端子金具12a~12cを保持する第1樹脂部18の外周側にフェライトコア14が配置された状態において、このフェライトコア14の外周側に第2樹脂部20が設けられており、第2樹脂部20が、第1樹脂部18およびフェライトコア14を埋設状態で保持している。すなわち、第2樹脂部20は、フェライトコア14の外周面54と一対の軸方向端面である前端面56および後端面58とを被覆する外面被覆部70を有している。実施形態1では、
図3,4にも示されるように、略一定の厚さ寸法を有する外面被覆部70が、フェライトコア14の外周面54、前端面56および後端面58に対する略全面に固着されている。
【0040】
また、第2樹脂部20は、フェライトコア14の内部空間39にも充填されている。具体的には、第2樹脂部20は、フェライトコア14の内周面52と第1樹脂部18の対向面間、要するに上部フェライトコア48の内周面52aと第1樹脂部18における上面66aとの上下方向対向面間、および下部フェライトコア50の内周面52bと第1樹脂部18における下面66bとの上下方向対向面間に充填される充填部72を有している。すなわち、充填部72は、上部および下部フェライトコア48,50の各内周面52a,52bと第1樹脂部18における上面66aおよび下面66bの各面に対して固着されている。このような第2樹脂部20は、フェライトコア14の外側に設けられる外面被覆部70と、フェライトコア14の内側に設けられる充填部72とを一体的に備えている。
【0041】
実施形態1では、第2樹脂部20が、一次成形品64およびフェライトコア14を備える一体成形品(二次成形品)として形成されており、この二次成形品により、フェライトコア内蔵コネクタ10が構成されている。要するに、第2樹脂部20の成形時に、第2樹脂部20の成形用キャビティ内において一次成形品64の外周側にフェライトコア14(上部および下部フェライトコア48,50)をセットした状態で、第2樹脂部20を構成する樹脂材料(PBT)を射出して成形する。これにより、第2樹脂部20およびコネクタハウジング16の形成と同時に、
図1から
図4に示されるフェライトコア内蔵コネクタ10が形成されるようになっている。
【0042】
<フェライトコア内蔵コネクタ10の製造方法>
以下、フェライトコア内蔵コネクタ10の製造方法の具体的な一例を説明する。なお、フェライトコア内蔵コネクタ10の製造方法は、以下に記載の態様に限定されるものではない。
【0043】
先ず、第1~第3の端子金具12a~12cおよび一対のカラー62,62を準備する。そして、第1樹脂部18の成形用キャビティ内において、
図5に示されるように第1~第3の端子金具12a~12cを左右方向で並べて配置するとともに、第1の端子金具12aおよび第3の端子金具12cの左右方向外方に一対のカラー62,62を配置する。その後、第1樹脂部18の成形用キャビティ内に第1樹脂部18を構成する樹脂材料(PBT)を射出して成形する。成形後、成形型を開くことで一次成形品64を得る。
【0044】
次に、一次成形品64における各突起部68の上下方向外方から上部および下部フェライトコア48,50を配置して、上部および下部フェライトコア48,50の周方向両端面を突き合わせて重ね合わせ、この状態の一次成形品64と上部および下部フェライトコア48,50とを第2樹脂部20の成形用キャビティ内にセットする。そして、第2樹脂部20の成形用キャビティ内に第2樹脂部20を構成する樹脂材料(PBT)を射出して成形する。これにより、第2樹脂部20の形成と同時にコネクタハウジング16が形成される。そして、成形後、成形型を開くことで二次成形品としてフェライトコア内蔵コネクタ10を得て、フェライトコア内蔵コネクタ10の製造が完了する。
【0045】
このようにして製造されたフェライトコア内蔵コネクタ10は、各一方の端子部26(前方の端子部)が図示しないモータに対して電気的に接続されるとともに、各他方の端子部28(後方の端子部)が図示しないPCUに対して電気的に接続される。また、各脚部59に設けられた各カラー62のボルト挿通孔60に挿通される図示しないボルトにより、フェライトコア内蔵コネクタ10が、モータまたはPCU、あるいはそれら以外の適切な車載部品に固定される。そして、このようなフェライトコア内蔵コネクタ10では、各端子金具12(第1~第3の端子金具12a~12c)の周囲にフェライトコア14が配置されていることから、当該フェライトコア14によりモータとPCUとの間の送電におけるノイズが抑制される。
【0046】
実施形態1のフェライトコア内蔵コネクタ10によれば、コネクタハウジング16が、各端子金具12を埋設状態で保持する第1樹脂部18と、第1樹脂部18およびフェライトコア14を埋設状態で保持する第2樹脂部20とを含んでいる。この第1樹脂部18は各端子金具12(第1~第3の端子金具20a~20c)を備える一体成形品(一次成形品64)として形成されている。また、第2樹脂部20は、一次成形品64とフェライトコア14とを備える一体成形品(二次成形品)として形成されている。すなわち、フェライトコア14の内部にも第2樹脂部20の充填部72が充填されることとなるが、フェライトコア14の内部に一次成形品64が配置された状態で第2樹脂部20の成形が行われることから、第2樹脂部20の樹脂材料、特に充填部72の樹脂材料の量を減少させることができる。要するに、コネクタハウジング16を第1樹脂部18と第2樹脂部20とを含む構成にすることで、例えば単にフェライトコアの内部に各端子金具を配置した状態でコネクタハウジングを成形する場合に比べて、1回の成形に必要な樹脂材料の量を減少させることができる。それゆえ、第2樹脂部20の成形時において樹脂材料の収縮等によりフェライトコア14が損傷することが回避され得る。
【0047】
そして、これにより、フェライトコア14を囲う部材における材質の選択の自由度が向上されており、フェライトコア14を囲う部材である第2樹脂部20の樹脂材料としてPVCよりも高耐熱性の樹脂材料(実施形態1ではPBT)を採用することが可能となる。この結果、耐熱性に優れるフェライトコア内蔵コネクタ10を提供することができる。
【0048】
第1樹脂部18の周囲を囲ってフェライトコア14が環状に配置されており、第2樹脂部20はフェライトコア14の内側に充填される充填部72と、フェライトコア14の外側を被覆する外面被覆部70とを一体的に備えている。フェライトコア14の内側に第1樹脂部18(一次成形品64)が配置されることで、充填部72の樹脂材料の減少がより確実に実現され得る。また、一次成形品64およびフェライトコア14をキャビティ内にセットした状態で第2樹脂部20を成形することで、充填部72と外面被覆部70とを一体的に形成することができることから、第2樹脂部20ひいてはフェライトコア内蔵コネクタ10の製造効率の向上も図られる。特に、フェライトコア14を上下で分割可能な構造としたことで、フェライトコア14を第1樹脂部18の周囲を囲って配置する作業も容易に行うことができる。
【0049】
第1樹脂部18の表面(上面66aおよび下面66b)には、フェライトコア14の内周面52に向かって突出する突起部68が設けられている。これにより、第2樹脂部20の成形時において充填部72の樹脂材料の量をより減少させることができて、第2樹脂部20が収縮する際のフェライトコア14の損傷がより確実に回避される。
【0050】
特に、第1樹脂部18の表面(上面66aおよび下面66b)において、複数の突起部68が周方向で相互に離隔して分散配置されている。これにより、第2樹脂部20の成形時において充填部72の樹脂材料の量を一層減少させることができて、第2樹脂部20が収縮する際のフェライトコア14の損傷が一層確実に回避され得る。また、第1樹脂部の表面に単一の大きな突起部を設ける場合に比べて、第1樹脂部18の成形時において第1樹脂部18の収縮等により第1樹脂部18の内部に位置する各端子金具12(第1~第3端子金具12a~12c)が曲がったり損傷するおそれが低減され得る。
【0051】
<実施形態2>
以下、本開示の実施形態2のフェライトコア内蔵コネクタ80について、
図7を用いて説明する。実施形態2のフェライトコア内蔵コネクタ80は、実施形態1のフェライトコア内蔵コネクタ10と同様の構造であるが、第2樹脂部82における外面被覆部84においてフェライトコア14を露出させる露出孔86を有している点で異なっている。なお、以下の説明において、実施形態1と実質的に同一の部材および部位には、図中に、実施形態1と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0052】
具体的には、外面被覆部84における、特にフェライトコア14の外周面54(外周面54a,54b)を覆う部分において、外面被覆部84に対して上下方向または左右方向で貫通する露出孔86が形成されている。実施形態2では、平面視または側面視において略円形とされた複数の露出孔86が形成されており、複数の露出孔86が、外面被覆部84の周方向および前後方向で相互に所定の距離を隔てて整列して配置されている。そして、これら複数の露出孔86を通じて、フェライトコア14の外周面54(外周面54a,54b)が外部に露出している。
【0053】
なお、第2樹脂部82においてフェライトコア14の左方部44および右方部46を左右方向外方から覆う部分には、側面視において略円形とされた複数の露出孔86が第2樹脂部82を左右方向で貫通して形成されている。また、第2樹脂部82における他の部分(フェライトコア14の上方部40および下方部42や、斜め方向に広がる各上側接続部47aおよび各下側接続部47bを外方から覆う部分)には、平面視において略円形とされた複数の露出孔86が第2樹脂部82を上下方向で貫通して形成されている。
【0054】
実施形態2のフェライトコア内蔵コネクタ80においても、コネクタハウジング16が第1樹脂部18と第2樹脂部82とを含んで構成されることから、実施形態1のフェライトコア内蔵コネクタ10と同様の効果が発揮され得る。すなわち、フェライトコア14の内側に第1樹脂部18が設けられることで、フェライトコア14の内側に充填される第2樹脂部82(充填部72)の樹脂材料の量を減少させることができる。それに加えて、実施形態2では、第2樹脂部82における外面被覆部84に複数の露出孔86を設けており、これにより、フェライトコア14の外側に設けられる第2樹脂部82(外面被覆部84)の樹脂材料の量も減少させることができる。この結果、第2樹脂部82の樹脂材料の量を一層減少させることができて、第2樹脂部82の成形時において、樹脂材料の収縮等によるフェライトコア14の損傷のおそれが一層低減され得る。
【0055】
また、フェライトコア14の外周面54(外周面54a,54b)が複数の露出孔86を通じて外部に露出していることから、ノイズ吸収時においてフェライトコア14が発熱する場合にも複数の露出孔86を通じて外部空間に熱を放熱することができて、熱性能に優れるフェライトコア内蔵コネクタ80を提供することができる。
【0056】
<実施形態3>
以下、本開示の実施形態3のフェライトコア内蔵コネクタ90について、
図8を用いて説明する。実施形態3のフェライトコア内蔵コネクタ90は、実施形態2のフェライトコア内蔵コネクタ80と同様に、第2樹脂部92における外面被覆部94においてフェライトコア14を露出させる露出孔96を有している。これにより、実施形態3のフェライトコア内蔵コネクタ90は、実施形態2のフェライトコア内蔵コネクタ80と同様の効果を発揮することができる。
【0057】
なお、実施形態2では略円形の露出孔86が設けられていたが、実施形態3では、平面視または側面視において略矩形とされた露出孔96が設けられている。また、実施形態3においても外面被覆部94において複数の露出孔96が周方向で所定の距離を隔てて設けられているが、露出孔96の1つあたりの断面積は、実施形態2における露出孔86よりも大きくされている。そして、実施形態3では、複数の露出孔96における断面積の総和が、実施形態2における複数の露出孔86の断面積の総和よりも大きくされている。これにより、第2樹脂部92において外面被覆部94を構成する部分の樹脂材料が、実施形態2における外面被覆部84よりも少なくされており、この結果、第2樹脂部92の成形時における樹脂材料の収縮等によるフェライトコア14の損傷のおそれがより一層低減され得る。
【0058】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述および図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0059】
(1)前記実施形態では、各端子金具12(第1~第3の端子金具12a~12c)において、右方突出部32(左側凹部33)、狭幅部36、左方突出部34(右側凹部35)が設けられていたが、各端子金具のうち少なくとも1つは前後方向に略ストレートに延びていてもよい。なお、前記実施形態では、3つの端子金具12(第1~第3の端子金具12a~12c)が設けられていたが、端子金具の数は限定されるものではなく、1つや2つ、4つ以上であってもよい。
【0060】
(2)前記実施形態では、第1樹脂部18の上面66aおよび下面66bにおいて略矩形平板状とされた5つの突起部68が設けられていたが、突起部の数や形状等は限定されるものではない。例えば、突起部は、第1樹脂部の上面および下面において1つ~4つ設けられてもよいし、6つ以上設けられてもよい。また、側面視における突起部の形状は略矩形に限定されず、三角形や五角以上の多角形状、半円形状等であってもよいし、これらが組み合わされて採用されてもよい。さらに、突起部は第1樹脂部の上面と下面の何れか一方に設けられるだけであってもよいし、上面や下面に代えてまたは加えて、例えば第1樹脂部の左端面や右端面に設けられてもよい。なお、本開示に係るフェライトコア内蔵コネクタにおいて、第1樹脂部に設けられる突起部は必須なものではない。
【0061】
(3)前記実施形態では、各突起部68の突出先端がフェライトコア14の内周面52(内周面52a,52b)に対して僅かに離隔して上下方向で対向していたが、この態様に限定されるものではない。すなわち、各突起部の突出先端はフェライトコアの内周面に対して当接していてもよい。そして、これにより、第1樹脂部の上下方向外方から上部フェライトコアおよび下部フェライトコアを配置するに際して、各突起部と上部および下部フェライトコアの各内周面とが当接することで、上部フェライトコアおよび下部フェライトコアの上下方向位置が規定されるようになっていてもよい。すなわち、上部フェライトコアと下部フェライトコアの周方向両端面は上下方向で相互に重ね合わされていなくてもよく、上下方向で僅かに離隔して対向していてもよい。
【0062】
(4)前記実施形態2,3では、第2樹脂部82,92における外面被覆部84,94において第2樹脂部82,92を貫通する露出孔86,96が設けられていたが、この態様に限定されるものではない。すなわち、例えば第2樹脂部における外面被覆部には外周側に開口する有底の凹部が設けられるだけであってもよく、これによっても、第2樹脂部における樹脂材料の量の減少が達成される。また、その場合、凹部は、第2樹脂部の外面被覆部におけるフェライトコアの外周面を覆う部分に代えてまたは加えて、第2樹脂部の外面被覆部におけるフェライトコアの軸方向端面を覆う部分に設けられてもよい。
【0063】
(5)前記実施形態2,3では、各露出孔86,96は、第2樹脂部82,92を上下方向または左右方向で貫通して形成されていたが、各露出孔は、第2樹脂部を厚さ方向で貫通して形成されてもよい。すなわち、前記実施形態2,3では、第2樹脂部82,92における外面被覆部84,94において、斜め方向に広がる各上側接続部47aおよび各下側接続部47bを覆う部分に設けられる露出孔86,96も第2樹脂部82,92を上下方向で貫通して形成されていたが、これらの部分に設けられる露出孔は、第2樹脂部を斜め方向で貫通して形成されてもよい。
【符号の説明】
【0064】
10 フェライトコア内蔵コネクタ(実施形態1)
12 端子金具
12a 第1の端子金具
12b 第2の端子金具
12c 第3の端子金具
14 フェライトコア
16 コネクタハウジング
18 第1樹脂部
20 第2樹脂部
22 前方貫通孔
24 後方貫通孔
26 一方の端子部(前方の端子部)
28 他方の端子部(後方の端子部)
30 中間部
30a 第1の中間部
30b 第2の中間部
30c 第3の中間部
32 右方突出部
33 左側凹部
34 左方突出部
35 右側凹部
36 狭幅部
38 配設領域
39 内部空間
40 上方部
42 下方部
44 左方部
46 右方部
47a 上側接続部
47b 下側接続部
48 上部フェライトコア
50 下部フェライトコア
52,52a,52b 内周面
54,54a,54b 外周面
56,56a,56b 前端面(一方の軸方向端面)
58,58a,58b 後端面(他方の軸方向端面)
59 脚部
60 ボルト挿通孔
62 カラー
64 一次成形品
66a 上面(表面)
66b 下面(表面)
68 突起部
70 外面被覆部
72 充填部
80 フェライトコア内蔵コネクタ(実施形態2)
82 第2樹脂部
84 外面被覆部
86 露出孔
90 フェライトコア内蔵コネクタ(実施形態3)
92 第2樹脂部
94 外面被覆部
96 露出孔